JPH06345357A - 昇降機のロープテンション測定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数本の吊りロープのロープテンションを同
時に、しかも、容易に測定できて、吊りロープのロープ
テンションの管理を容易に行えるようにした昇降機のロ
ープテンション測定装置を提供する。 【構成】 並列に設置された複数本の吊りロープ１の近
傍にそれぞれ設置され、前記吊りロープ１の側面部をそ
れぞれ垂直に押し付ける複数本の押し棒２と、この押し
棒２の基端側部に設置され、この押し棒２を前記吊りロ
ープ１側に押し出す押し出し機構５と、前記押し棒２の
基端側部に設置され、前記押し棒２の押し出し量を測定
する測定機構６とを備えて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、エレベーターの例え
ば、乗りかごを吊る吊りロープ等のロープテンションを
測定するために使用される昇降機のロープテンション測
定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、エレベーター等の昇降機に、か
ご等を吊るために複数本の吊りロープを設置する場合、
各吊りロープのロープテンションが均等であるように管
理する必要がある。

【０００３】従来、この種の吊りロープのロープテンシ
ョンを測定するには、作業員が吊りロープを一本々手で
押したり、引っ張たりして吊りロープの移動量や反力を
感覚的に確認して測定するものであった。また、超高層
用エレベーターのロープにあっては、吊りロープに打撃
を与え、その時の吊りロープの振幅時間を測定し、この
振幅時間より計算で吊りロープのロープテンションを測
定するものであった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のロープテンショ
ンの測定方法は、以上のような方法によって行われてい
るが、いずれの方法も、測定値にばらつきが生じ易いた
めに正確な測定がしにくく、特に、前者の測定方法には
長年の熟練と経験を要するので、測定する者により測定
値が大きく異なる場合があり、このため、ロープテンシ
ョンの管理が正確に出来ないという課題があった。ま
た、吊りロープを一本毎測定する必要があるので、作業
性が著しく劣る等の課題があった。

【０００５】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、複数本の吊りロープのロープテンショ
ンを正確かつ簡単に、しかも、同時に測定し、吊りロー
プのロープテンションの管理を容易に行えるようにした
昇降機のロープテンション測定装置を提供することを目
的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係る昇降機の
ロープテンション測定装置は、並列に設置された複数本
の吊りロープのそれぞれの近傍に設置され、前記吊りロ
ープの側面部をそれぞれ垂直に押し付ける複数本の押し
棒と、この押し棒の基端側部に設置され、この押し棒を
前記吊りロープ側に押し出す押し出し機構と、前記押し
棒の基端側部に設置され、前記押し棒の押し出し量を測
定する測定機構とを備えて構成されている。

【０００７】

【作用】この発明に係る昇降機のロープテンション測定
装置においては、押し棒が押し出し機構によって吊りロ
ープ側に押し出され、同時に、前記吊りロープが前記押
し棒によって前記押し棒の押し出し方向に押し出され、
この時の前記押し棒の押し出し量が測定機構によって測
定されて複数本の吊りロープのロープテンションが同時
に確認される。

【０００８】

【実施例】図１〜図６は、この発明に係る昇降機のロー
プテンション測定装置の一実施例を示し、図において、
符号１は、例えば、エレベーターの乗りかご等を吊る吊
りロープ、２はこの吊りロープ１の近傍にロープごとに
設置され、吊りロープ１の側面部を垂直に押し付ける押
し棒、３はこの押し棒２の先端部に取り付けられ、吊り
ロープ１の側面部に直接押し付けられる押し当て部、４
は押し棒２の中間部に取り付けられ、押し棒２の長さを
調節するアジャストリング、５は押し棒２の基端側部に
設置され、押し当て部３を介して押し棒２を吊りロープ
１の側面部に押し付けるために、押し棒２を吊りロープ
１側に押し出す押し出し機構、６は押し棒２の基端側部
に設置され、押し出し機構５によって吊りロープ１側に
押し出された押し棒２の押し出し量を測定する測定機
構、そして、符号７は押し棒２、押し出し機構５及び測
定機構６を収納する収納ケースである。

【０００９】押し棒２は収納ケース７の中に挿入された
径の太い大径部２ａと、この大径部２ａより径が細く、
大径部２ａの先端部に連結された小径部２ｂとから構成
されている。押し棒２は吊りロープ１の設置本数に合わ
せて複数本設置され、押し当て部３は、押し棒２が吊り
ロープ１の側面部を偏ることなく、均等に押し付けるよ
うに、吊りロープ１の表面形状に対応して断面略円弧状
に形成されている。

【００１０】アジャストリング４は押し棒２の大径部２
ａと小径部２ｂとの連結部に取り付けられている。ま
た、アジャストリング４は大径部２ａの先端部に回転自
在に取り付けられている。さらに、アジャストリング４
の内周部に雌ねじ部（図省略）が形成され、押し棒２の
小径部２ｂの基端部にアジャストリング４の雌ねじ部に
螺合する雄ねじ部（図省略）が形成され、前記雌ねじ部
と雄ねじ部とを螺合することにより大径部２ａと小径部
２ｂとがアジャストリング４を介して連結されている。
そして、前記アジャストリング４を回すことにより前記
雌ねじ部と雄ねじ部との螺合深さが変わることで押し棒
２の長さを自由に調節できるようになっている。

【００１１】押し出し機構５は押し棒２の基端側部に押
し棒２とＴ字状をなすように設置された回転軸５ａと、
この回転軸５ａに偏芯した状態に取り付けられ、回転軸
５ａの回転力を押し棒２に、この押し棒２を吊りロープ
１側に押し出す力として伝える偏芯カム５ｂと、この偏
芯カム５ｂと押し棒２との間に設置れ、偏芯カム５ｂの
押し出す力と押し棒２を介して伝えられる吊りロープ１
の反力とを均衡させる圧縮スプリング５ｃと、回転軸５
ａの一端に取り付けられ、偏芯カム５ｂを作動させるた
めに回転軸５ａを回すハンドル５ｄと、両端を押し棒２
の基端部と収納ケース７の側壁部７ａにそれぞれ連結し
て押し棒２と収納ケース７間に設置され、吊りロープ１
側に押し出された押し棒２を元の状態に引き戻す引っ張
りスプリング５ｅとを備えて構成されている。

【００１２】なお、回転軸５ａの両端は収納ケース７の
側壁部７ａに軸受け８を介して回転自在に支持され、偏
芯カム５ｂは押し棒２のそれぞれに対応して回転軸５ａ
の長手方向に所定間隔おきに取り付けられている。

【００１３】測定機構６は押し棒２の大径部２ａの側部
に設置され、押し棒２と共に吊りロープ１側に移動する
測定針６ａと、収納ケース７の表側部に押し棒２の長手
方向に沿って長さ単位で表示された目盛り６ｂとを備え
て構成されている。

【００１４】目盛り６ｂの側部には目盛り６ｂに沿って
一定幅のスリット６ｃが形成され、このスリット６ｃよ
り表側に測定針６ａの先端部が突出している（図１，４
参照）。そして、測定針６ａが押し棒２と共に、目盛り
６ｂの値を示しつつ吊りロープ１側に移動することによ
り、押し棒２の移動量を容易に、しかも正確に測定で
き、そして、測定針６ａの示す値が全て同じであれば、
吊りロープのロープテンションは皆同じであることを容
易に確認できる。

【００１５】なお、測定針６ａは押し棒２の大径部２ａ
に固着されているのではなく、大径部２ａの基端部に設
置され、圧縮スプリング５ｃを収納するスプリング収納
部２ｃの先端面部２ｄに単に引っ掛かるように設置され
ているので、押し棒２が引っ張りスプリング５ｅによっ
て引き戻され、元の状態に戻ったとしても、測定針６ａ
は最初の指示値を示しているので、測定値を読み落とす
ことはない。

【００１６】このような構成において、次に、この発明
に係る昇降機のロープテンション測定装置による吊りロ
ープのロープテンションの測定方法を説明する。まず、
この測定装置をエレベーターの乗りかご９の屋根部に設
置された安全手すり１０にセットする。なお、この安全
手すり１０は、エレベーターの乗りかご９の屋根部に作
業員の安全を確保する目的で設置されているものであ
る。

【００１７】次に、アジャストリング４を回して、各押
し棒２の長さを調節して各押し棒２の押し当て部３を吊
りロープ１の側面部にそれぞれ密着させる。次に、ハン
ドル５ｄを回して各押し棒２の先端部を押し当て部３を
介して吊りロープ１の側面部にそれぞれ強く押し付け
る。

【００１８】押し棒２を吊りロープ１の側面部に強く押
し付けると、当初、吊りロープ１は押し棒２に強く押し
付けられて湾曲に変形するが、押し棒２がある程度まで
押し出されると、押し棒２を介して伝えられる吊りロー
プ１の反力が圧縮スプリング５ｃの圧縮力より大きくな
り、それ以上ハンドル５ｄを回しても、圧縮スプリング
５ｃが圧縮するのみで押し棒２は吊りロープ１によって
進行を阻止され、これより前に押し出されることはな
い。

【００１９】同時に測定針６ａもそれ以上移動せず、測
定針６ａの示す目盛り６ｂの値もそれより大きくなるこ
とはない。よって、この時の測定針６ａの示す目盛り６
ｂの値が全て同じであれば、吊りロープ１のロープテン
ションは全て同じであることが容易に確認できる。

【００２０】

【発明の効果】この発明に係る昇降機のロープテンショ
ン測定装置は、以上説明したように構成され、並列に設
置された複数本の吊りロープの側面部を、それぞれ側方
に押し出すように設置された複数本の押し棒の押し出し
量を、この押し棒と連動して作動する測定機構によって
同時に測定するので、複数本の吊りロープのロープテン
ションを同時に、しかも、きわめて容易に測定できる効
果があり、よって、吊りロープのロープテンションの管
理を容易に行うことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る昇降機のロープテンション測定
装置の一実施例を示す平面図である。

【図２】図１に示す昇降機のロープテンション測定装置
の側面図である。

【図３】図１に示す昇降機のロープテンション測定装置
の内部の構造を示す一部破断正面図である。

【図４】図１に示す昇降機のロープテンション測定装置
の内部の構造を示す一部破断側面図である。

【図５】図１に示す昇降機のロープテンション測定装置
の使用方法を示す正面図である。

【図６】図１に示す昇降機のロープテンション測定装置
の使用方法を示す正面図である。

【符号の説明】

１ 吊りロープ ２ 押し棒 ５ 押し出し機構 ６ 測定機構

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成６年５月１９日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【特許請求の範囲】

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００６

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係る昇降機の
ロープテンション測定装置は、並列に設置された複数本
の吊りロープのそれぞれの近傍に設置され、前記吊りロ
ープの側面部をそれぞれ前記ロープに対して直角方向に
押す複数本の押し棒と、この押し棒の基端部に設置さ
れ、この押し棒を前記吊りロープ側に押し出す押し出し
機構と、前記押し棒の基端側部に設置され、前記押し棒
の押し出し量を測定する測定機構とを備えて構成されて
いる。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００８

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００８】

【実施例】図１〜図６は、この発明に係る昇降機のロー
プテンション測定装置の一実施例を示し、図において、
符号１は、例えば、エレベーターの乗りかご等を吊る吊
りロープ、２はこの吊りロープ１の近傍にロープごとに
設置され、吊りロープ１の側面部を前記ロープに対して
直角方向に押す押し棒、３はこの押し棒２の先端部に取
り付けられ、吊りロープ１の側面部に直接押し付けられ
る押し当て部、４は押し棒２の中間部に取り付けられ、
押し棒２の長さを調節するアジャストリング、５は押し
棒２の基端部に設置され、押し当て部３を介して押し棒
２を吊りロープ１の側面部に押し付けるために、押し棒
２を吊りロープ１側に押し出す押し出し機構、６は押し
棒２の基端側部に設置され、押し出し機構５によって吊
りロープ１側に押し出された押し棒２の押し出し量を測
定する測定機構、そして、符号７は押し棒２、押し出し
機構５及び測定機構６を収納する収納ケースである。

【手続補正４】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１１

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１１】押し出し機構５は押し棒２の基端部に押し
棒２とＴ字状をなすように設置された回転軸５ａと、こ
の回転軸５ａに偏芯した状態に取り付けられ、回転軸５
ａの回転力を押し棒２に、この押し棒２を吊りロープ１
側に押し出す力として伝える偏芯カム５ｂと、この偏芯
カム５ｂと押し棒２との間に設置され、偏芯カム５ｂの
押し出す力と押し棒２を介して伝えられる吊りロープ１
の反力とを均衡させる圧縮スプリング５ｃと、回転軸５
ａの一端に取り付けられ、偏芯カム５ｂを作動させるた
めに回転軸５ａを回すハンドル５ｄとを備えて構成され
ている。吊りロープ１側に押し出された押し棒２を元の
状態に引き戻すために、両端を押し棒２の基端部と収納
ケース７の側壁部７ａにそれぞれ連結された引っ張りス
プリング５ｅが設けてある。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 並列に設置された複数本の吊りロープの
   近傍にそれぞれ設置され、前記吊りロープの側面部をそ
   れぞれ垂直に押し付ける複数本の押し棒と、この押し棒
   の基端側部に設置され、この押し棒を前記吊りロープ側
   に押し出す押し出し機構と、前記押し棒の基端側部に設
   置され、前記押し棒の押し出し量を測定する測定機構と
   を備えてなることを特徴とする昇降機のロープテンショ
   ン測定装置。