JPH0633803A - エンジンの燃料供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 混合気供給ポートに対し、排気ガスを混合気
形成のためのガスとして利用して、燃料の微粒化を良好
に行なうようにしつつ、加圧用の装置を不要にし、燃費
改善の効果を高め、さらにエミッションも改善する。 【構成】 第１排気ポート５の排気弁開時期を第２排気
ポート６の排気弁開時期より早くし、第１排気ポート５
の途中に排気シャッター弁２５を設け、その上流と混合
気供給ポート７とを連通路２７で連通し、低負荷低回転
域で排気シャッター弁２５を閉じて、上記排気弁開時期
のずれの期間に第１排気ポート５において得られる比較
的高圧の排気ガスを混合気供給ポート７に導くようにす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吸気ポートとは別個
に、加圧エアと燃料とを混合させて燃焼室に供給する混
合気供給ポートを備えたエンジンの燃料供給装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば実開昭６２−１８３３５号
公報に示されるように、燃焼室に空気を供給する第１お
よび第２の吸気ポートに加え、混合気供給用の第３吸気
ポートを燃焼室に開口させ、このポートに燃料噴射用の
インジェクタを設け、かつこのポートを加圧エア供給用
の過給機を備えた連通路に接続し、このポートの燃焼室
への開口部に一定タイミングで開閉作動するタイミング
弁（第３吸気弁）を設けて、その開弁時期を第１，第２
吸気ポートの吸気弁の開弁時期よりも遅くするように設
定した燃料供給装置が知られている。この装置による
と、上記第３吸気ポート内で燃料と加圧エアとがミキシ
ングされた上で、その混合気が、上記第１吸気ポート等
から吸入される空気とは別に、吸気行程後半に燃焼室に
送り込まれる。そして、低負荷領域では、第２吸気ポー
トが閉じられた状態で、第１吸気ポートからの吸気によ
り燃焼室内にスワールが生成されつつ、混合気供給用の
第３吸気ポートから混合気が燃焼室中央部の点火プラグ
に向けて送り込まれることにより、点火プラグまわりに
混合気を偏在させる成層化状態とすることが可能とな
り、成層燃焼によるリーンバーンで燃費改善が図られ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この種の装置では、混
合気供給用のポート内で燃料のミキシング、微粒化を促
進するために混合気供給ポートに加圧エアが供給され、
その加圧エア供給用の装置を必要としている。そして、
とくに成層燃焼によるリーンバーンを図るように、低負
荷低回転側の運転領域で混合気供給ポートに加圧エアを
供給することが要求される。ところが、加圧エアを供給
する装置として例えばターボ過給機などを用いると低負
荷低回転側の運転領域で十分な加圧エアが得られにく
く、またエンジン出力軸で駆動されるコンプレッサや電
動式のエアポンプ等によると、リーンバーンは図られて
も上記装置の駆動によるエネルギー損失が生じる等、改
良の余地があった。

【０００４】本発明は、上記の事情に鑑み、排気ガスを
加圧ガスとして混合気供給ポートへ供給し、しかも、低
負荷低回転側の運転領域でも比較的高圧のガスを供給す
ることができるようにすることにより、燃料のミキシン
グ、微粒化を促進するとともに燃費改善の効果を高め、
かつエミッションも改善することができるエンジンの燃
料供給装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、燃料供給用のインジェクタを具備すると
ともに加圧ガスが供給されるようになっている混合気供
給ポートを、吸気ポートとは別個に設け、この混合気供
給ポートの燃焼室への開口部に、吸気ポートの吸気弁よ
りも遅れて開くタイミング弁を設けたエンジンの燃料供
給装置において、燃焼室に開口する複数の独立した排気
ポートを設け、そのうちの一部の排気ポートの排気弁開
時期を他の排気ポートの排気弁開時期よりも早くすると
ともに、この一部の排気ポートの途中に、少なくとも低
負荷低回転域では閉じて少なくとも高負荷高回転域では
開く排気シャッター弁を設け、この排気シャッター弁の
上流の排気ポートと上記混合気供給ポートとを連通する
連通路を設けたものである。

【０００６】この構成において、一定範囲の運転域で、
高負荷高回転側への運転状態の変化につれて上記排気シ
ャッター弁の開度を次第に大きくするようにしてもよ
い。

【０００７】

【作用】本発明によると、少なくとも低負荷低回転域
で、上記排気シャッター弁が設けられている排気ポート
から排気ガスが上記連通路を通して混合気供給ポートに
供給される。この場合に、上記排気シャッター弁が閉じ
られるとともに排気弁の閉時期が上記のように設定され
ていることにより比較的高圧の排気ガスが得られ、また
この運転領域ではリーンバーンが行なわれていることに
より排気ガス中に比較的多くの酸素が含まれ、上記混合
気供給ポートでの混合気生成に適合する。

【０００８】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図１および図２は本発明の一実施例による燃料供給装置
を示している。これらの図において、エンジンの各シリ
ンダ１には、図外のピストンの作動に伴って容積変化す
る燃焼室２が形成され、この燃焼室２に対し、少なくと
も１つの吸気ポートと複数の排気ポートと混合気供給ポ
ートとが設けられ、図示の例では、下流端部が燃焼室２
の片半部側に開口する２つの吸気ポート３，４と、上流
端部が燃焼室２の他半部側に開口する２つの排気ポート
５，６と、下流端部が燃焼室中央部付近に開口する混合
気供給ポート７とが配設されている。これらのポート３
〜７はシリンダヘッドに形成されている。また、燃焼室
２における混合気供給ポート７の開口部に比較的近い位
置に、上記点火プラグ８が設けられている。

【０００９】上記両吸気ポート３，４の燃焼室２への開
口部には吸気弁１１，１２が設けられ、両排気ポート
５，６の燃焼室２への開口部には排気弁１３，１４が設
けられており、これら吸気弁１１，１２および排気弁１
３，１４はカムシャフト等からなる動弁機構（図示せ
ず）により作動されるようになっている。また、上記混
合気供給ポート７の燃焼室２への開口部にはタイミング
弁１５が設けられ、このタイミング弁１５は、例えば吸
・排気弁の動弁機構と同様のカムシャフト等からなる動
弁機構で作動されて、後述の所定タイミングで開閉する
ようになっている。

【００１０】上記各吸気ポート３，４には空気が吸気通
路１６を通して導かれる。この吸気通路１６は、上流側
の共通吸気通路１６ａと、その下流のサージタンク１６
ｂと、その下流に形成されて各シリンダ１の吸気ポート
３，４に連なる独立吸気通路１６ｃとからなり、上記共
通吸気通路１６ａには、アクセル操作に応じて作動して
吸入空気量を調節するスロットル弁１７が設けられてい
る。

【００１１】上記混合気供給ポート７には、タイミング
弁１５の上流に燃料供給用のインジェクタ２０が設けら
れている。さらに、インジェクタ２０の上流の混合気供
給ポート７中に絞り弁２１が設けられており、この絞り
弁２１は、アクチュエータ２２により作動されて開度が
変化するようになっている。また、上記吸気通路１６の
独立吸気通路１６ｃの上流側の集合部付近に補助インジ
ェクタ２３が設けられ、高負荷側や高回転側の領域で
は、上記混合気供給ポート７のインジェクタ２０に加え
て補助インジェクタ２３からも燃料供給が行なわれるよ
うになっている。

【００１２】上記混合気供給ポート７に対し、燃料との
ミキシング用の加圧ガスとして排気ガスが導かれるよう
になっている。この排気ガスを導く構造として、上記両
排気ポート５，６のうちの一方（実施例ではこの排気ポ
ートを第１排気ポート５、他の排気ポートを第２排気ポ
ート６と呼ぶ）に排気シャッター弁２５が設けられると
ともに、この排気シャッター弁２５の上流の第１排気ポ
ート５と上記混合気供給ポート７とを連通する連通路２
７が設けられている。

【００１３】上記排気シャッター弁２５は制御信号に応
じてアクチュエータ２６により作動される。また、上記
連通路２７には、排気ポート５への排気ガスの逆流を阻
止するためのワンウェイバルブ２８が設けられるととも
に、加圧排気ガスを蓄えておくためのチャンバー２９が
形成されている。

【００１４】３０はマイクロコンピュータ等からなるコ
ントロールユニット（ＥＣＵ）であり、エンジン回転数
を検出する回転数センサ３１、エンジンの軸トルク等の
エンジン負荷相当量を係止するエンジン負荷センサ３２
等からの信号を受け、上記各アクチュエータ２２，２６
に制御信号を出力することにより、運転状態に応じて上
記絞り弁２１および排気シャッター弁２５を制御する。
さらに上記各インジェクタ２０，２３の制御も行なうよ
うになっている。

【００１５】図３は吸・排気弁１１〜１４およびタイミ
ング弁１５の開閉タイミングを示しており、吸気弁１
１，１２は上死点付近から下死点より少し後の時期まで
開かれる。これに対し、タイミング弁１５は、その開弁
時期および閉弁時期がそれぞれ吸気弁１１，１２よりも
遅く、吸気行程後半から圧縮行程にわたる範囲内に開弁
するように設定されている。また、両排気ポート５，６
の排気弁１３，１４は排気行程で開かれるが、両者の開
弁時期はずれており、第１排気弁（第１排気ポート５の
排気弁）１３の開時期が第２排気弁（第２排気ポート６
の排気弁）１４の開時期よりも早くなっている。

【００１６】図４は、排気シャッター弁２５および混合
気供給ポート７の絞り弁２１の、運転状態に応じた作動
の特性を示している。ＥＣＵ３０による運転状態に応じ
た制御により、上記排気シャッター弁２５は、少なくと
も低負荷低回転域では全閉もしくは微小開度に閉じら
れ、少なくとも高負荷高回転域では開かれるようになっ
ている。例えばこの図における所定吸入空気量相当のラ
インＬａを境にこれより低負荷低回転側で閉じられ、高
負荷高回転側で開かれる。また、絞り弁２１は、上記ラ
インＬａより低負荷低回転側の領域のうちでも特に吸入
空気量の少ないアイドル運転領域付近の所定領域で最小
開度に閉じられ、吸入空気量増加方向（高負荷高回転側
の方向）への運転状態の移行につれて次第に開かれ、上
記ラインＬａより高負荷側では全開とされるようになっ
ている。

【００１７】次に、当実施例の装置の作用を説明する。

【００１８】少なくとも低負荷低回転時には、上記第１
排気ポート５の排気シャッター弁２５が閉じられること
と、予め両排気弁１３，１４の開閉タイミングが図３の
ように設定されていることとにより、排気シャッター弁
２５より上流の第１排気ポート５内の排気ガスの圧力が
高められる。すなわち、第１排気弁１３の開時期が第２
排気弁１４の開時期よりも早いため、第１排気弁１３が
開いてから第２排気弁１４が開くまでの間は、燃焼後の
高圧ガスが第１排気ポート５のみに送り出され、かつ、
排気シャッター弁２５によって第１排気ポート５の下流
側への排気流出が阻止もしくは制限されることにより、
排気流量が少ない領域でありながら排気シャッター弁２
５上流の第１排気ポート５内の圧力が十分に高められ
る。

【００１９】この比較的高圧の排気ガスがワンウェイバ
ルブ２８およびチャンバー２９を介して混合気供給ポー
ト７に導かれる。そして、混合気供給ポート７に設けら
れた絞り弁２１の開度が運転状態に応じて制御されるこ
とによりガス流量が調整されつつ、このガスとインジェ
クタ２０からの噴射燃料とが混合され、その混合気が燃
焼室２内の点火プラグ８付近に送られることにより、成
層燃焼が行なわれる。

【００２０】この場合に、比較的高圧の排気ガスが与え
られることでミキシング、微粒化に有利となり、その
上、排気ガスの熱によって燃料の微粒化、気化を促進す
る作用も得られる。また、この低負荷低回転域では、リ
ーンバーンが行なわれることから排気ガス中の酸素濃度
が比較的高く、従って混合気中に十分に酸素を含ませる
ことができる。これらの要因により、燃焼性にすぐれた
混合気が生成される。

【００２１】さらに、混合気供給ポート７に供給された
排気ガスが燃焼室２に送りこまれてＥＧＲとしての機能
が得られることにより、ＮＯｘを低減する作用も果た
す。

【００２２】一方、高負荷高回転側の運転領域では、排
気シャッター弁２５を閉じたままにしておくと、排圧が
異常に高くなってエンジンの作動に悪影響を及ぼし、ま
た、このような領域ではリーンバーンよりも出力性能が
要求される。そこで、少なくとも高負荷高回転域では、
上記排気シャッター弁２５が開かれることにより排圧上
昇が避けられるとともに、混合気供給ポート７の絞り弁
２１が開かれ、かつ吸気通路１６の補助インジェクタ２
３からも燃料が供給され、燃焼室２全体に燃料が分散さ
れた状態で均一燃焼が行なわれる。

【００２３】なお、上記実施例では、排気シャッター弁
２５が図４中の実線のラインＬａを境に閉状態と開状態
とに切換えられるようにしているが、例えば図４中に破
線のラインＬｂの程度から実線のラインＬａの程度まで
の一定範囲の運転域で、高負荷高回転側への運転状態の
変化につれて排気シャッター弁２５の開度が次第に大き
くなるように、リニアに制御してもよい。このようにす
ると、燃焼室２に作用する排圧および混合気供給ポート
７への供給排気ガス圧力が運転状態に応じて適度に調整
されるとともに、急激な排圧の変化が避けられる。

【００２４】また、第１排気ポート５から混合気供給ポ
ート７に排気ガスを導くための通路構成として、図示の
実施例では同一気筒の混合気供給ポート７と第１排気ポ
ート５とを連通路２７で接続しているが、混合気供給ポ
ート７を別の気筒の第１排気ポート５に接続するように
してもよい。

【００２５】

【発明の効果】本発明の装置によると、混合気供給ポー
トに加圧ガスを供給するための構造として、複数の排気
ポートのうちの一部の排気ポートの排気弁開時期を他の
排気ポートの排気弁開時期よりも早くし、この一部の排
気ポートの途中に、少なくとも低負荷低回転域で閉じる
排気シャッター弁を設け、この排気シャッター弁の上流
の排気ポートと上記混合気供給ポートとを連通路で連通
しているため、排気ガスを混合気形成用のガスとして利
用し、かつ排気流量が少ない領域でも比較的高い圧力の
排気ガスを供給することができる。従って、ポンプ等の
加圧手段を必要とせず、エネルギー損失を低減しつつ、
リーンバーンを効果的に達成し、燃費を大幅に節減する
ことができるとともに、排気ガスを利用することでＮＯ
ｘを低減してエミッションの改善にも有効となる。ま
た、少なくとも高負荷高回転域では上記排気シャッター
弁を開くことにより、排圧が過大に上昇することを防止
することができる。

【００２６】この発明において、一定範囲の運転域で高
負荷高回転側への運転状態の変化につれて上記排気シャ
ッター弁の開度を次第に大きくするようにしておくと、
混合気供給ポートに対する供給ガス圧力を運転状態に応
じて適切に調整し、エンジンの作動および混合気生成を
良好に行なわせることができるとともに、排圧の急変に
よるショック等を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例による燃料供給装置の要
部の概略図である。

【図２】同燃料供給装置の全体概略図である。

【図３】吸・排気弁およびタイミング弁の開閉タイミン
グを示す図である。

【図４】運転状態に応じた絞り弁開度のマップを示す図
である。

【符号の説明】

２ 燃焼室 ３，４ 吸気ポート ５，６ 排気ポート ７ 混合気供給ポート １３，１４ 排気弁 １５ タイミング弁 ２０ インジェクタ ２５ 排気シャッター弁 ２７ 連通路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料供給用のインジェクタを具備すると
   ともに加圧ガスが供給されるようになっている混合気供
   給ポートを、吸気ポートとは別個に設け、この混合気供
   給ポートの燃焼室への開口部に、吸気ポートの吸気弁よ
   りも遅れて開くタイミング弁を設けたエンジンの燃料供
   給装置において、燃焼室に開口する複数の独立した排気
   ポートを設け、そのうちの一部の排気ポートの排気弁開
   時期を他の排気ポートの排気弁開時期よりも早くすると
   ともに、この一部の排気ポートの途中に、少なくとも低
   負荷低回転域では閉じて少なくとも高負荷高回転域では
   開く排気シャッター弁を設け、この排気シャッター弁の
   上流の排気ポートと上記混合気供給ポートとを連通する
   連通路を設けたことを特徴とするエンジンの燃料供給装
   置。
2. 【請求項２】 一定範囲の運転域で、高負荷高回転側へ
   の運転状態の変化につれて上記排気シャッター弁の開度
   を次第に大きくする開度調節手段を設けた請求項１記載
   のエンジンの燃料供給装置。