JPH0631858B2 - 溶液中金属イオンの分離方法 - Google Patents

溶液中金属イオンの分離方法

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JPH0631858B2
JPH0631858B2 JP59201181A JP20118184A JPH0631858B2 JP H0631858 B2 JPH0631858 B2 JP H0631858B2 JP 59201181 A JP59201181 A JP 59201181A JP 20118184 A JP20118184 A JP 20118184A JP H0631858 B2 JPH0631858 B2 JP H0631858B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の技術分野] この発明は放射能を帯びた金属イオンを含んだ金属イオ
ンが溶解している高電導度溶液から、金属イオンおよび
放射能を分離する方法に関する。
[発明の技術的背景とその問題点] 放射性物質で汚染された金属物品を除染する装置として
はセリウム3価イオンとセリウム4価イオンとを含む硝
酸水溶液を用いて、電解酸化還元反応によりセリウム3
価イオンからセリウム4価イオンを生成し、この生成し
たセリウム4価イオンがセリウム3価イオンに変化する
際の酸化力を利用し、放射性物質で汚染された金属物品
の表面を溶解して、放射性物質を金属物品表面から除去
する除染装置が知られている。
また電解研摩作用を利用して放射性物質で汚染された金
属物品の表面を溶解して、放射性物質を金属物品表面か
ら除去する電解除染装置が知られている。
これらの除染装置を使用していると、これらの除染装置
に用いられている高電導度溶液中には、次第に放射能を
帯びた金属イオンが、放射能を帯びていない金属イオン
とともに蓄積する。そのため、 (1)除染装置周辺の空間線量率が上昇してしまう、 (2)除染能力が低下する、 (3)金属塩が析出し高電導度溶液の流路を閉塞してし
まう、 等の問題が生じる。
そこで、これら高電導度溶液中は、放射能濃度または金
属イオン濃度が所定の値に達すると、廃棄しなければな
らなかった。すると、これら放射能を帯びた金属イオン
を含んだ金属イオンの溶解している高電導度溶液の廃棄
処理に伴う放射性の二次廃棄物が大量に発生するという
問題点があった。
このような問題点を解決する方法としてたとえば、特開
昭57−52899号公報および特開昭59−1400
0号公報などに開示されている放射能汚染染機器の除染
方法や放射性物質の除染方法が知られている。
第3図は特開昭57−52899号公報に開示されてい
る除染装置の一例を示した概略断面図である。
すなわち、第3図において、除染槽1内に放射能汚染機
器2と集電極6が電解液7中に浸漬されており、放射能
汚染機器2は陽極3に、集電極6は陰極5に維持されて
直流電源4に接続されている。また、除染槽1の底面お
よび側面にはそれぞれ超音波発信器8、9がそれぞれ設
けられている。
またその要旨は第3図中の符号を加筆して引用すると
「電解液7中に設けた陽極3と陰極5との間に直流電流
を通じ、前記陽極3に接続した放射能汚染機器2の放射
能汚染部分を電解除去する方法において、前記陰極5に
前記電解液7中の金属イオンから金属を析出付着させる
集電極6を設けて通電し、除染通電終了後前記陽極3を
炭素極に切換えて通電を継続することを特徴とする放射
能汚染機器の除染方法。」の通りである。
なお、集電極6の材質にはその実施例でステンレス鋼ま
たは普通鋼が使用されている。
第4図は特開昭59−14000号公報における一実施
例の電解除染過程の状態を示す概略図、第5図は第4図
における電解除染後同じ電解槽内で電解液の放射能を除
去する状態を示す概略図、第6図は特開昭59−140
00号公報における他の実施例で電解槽と異る槽で電解
液の放射能を除去する状態を示す概略図である。
すなわち特開昭59−14000号公報では第4図に明
らかにされているように電解液11を満した電解槽12
にはポンプ13、濾過器14を有する液循環系路が設け
られ、電解液11中の粗大懸濁物を除去するとともに電
解槽12内の液攪拌を行なうようになっている。
電解除染は、直流電源の陽極に接続した被除染物15を
電解液11に浸漬し、電解液11中の直流電源の陰極に
接続した陰極材16との間に直流電流を流して行われ
る。通電により被除染物15の母材金属の表面部の薄層
が溶解して金属イオンとなり、被除染物15の表面上の
放射性複合酸化物被膜が浮上り状態となり酸素気泡の発
生、電解液の浸透等により破壊されて懸濁物となりそれ
ぞれ電解液中に放出される。金属イオンが液中の成分と
結合して金属塩となり陰極材16の表面で析出する際、
金属酸化物等の微細懸濁物と一緒になり多孔質のスケー
ル17となって陰極材16の全面に付着する。被除染物
15は電解除染を終えて電解槽外に取出された後、水洗
して再使用するかあるいは廃棄される。
被除染物15の取出後、第5図に示すように、直流電流
の陰極に接続した捕集電極18を電解液11中に浸漬す
るとともに、スケール17で覆われた陰極材16を直流
電源の陽極に切換えて両者間に通電する。陰極材16の
表面での付着金属の溶解や酸素気泡の発生により付着ス
ケールが粗大懸濁物として電解液中に剥離される。この
際、陰極材16に超音波振動を与えるとスケール17は
短時間で剥離される。液中に溶存する金属イオンは捕集
電極18に集まり、金属および金属塩として捕集電極1
8の表面に析出し陰極材16から剥離したスケール17
から生じた粗大懸濁物はポンプ13による液循環の過程
で瀘過器14に捕集される。
第6図は別の槽を設けて電解除染と電解液中の金属イオ
ンの除去を同時に行うようにしたものである。すなわち
電解液の循環系内に金属イオン分離槽19を設けて電解
除染と金属イオン捕集が同時に実施できるようになって
いる。電解槽12では2組の陰極材16、16′が使用
され、電解除染終了後に陰極材16、16′を交互に極
生変換して通電することにより第5図におけると同様に
して各陰極材からスケールが剥離される。瀘過器14で
スケールからの粗大懸濁物が除去され、その後電解液は
金属イオン分離槽19に循環され、ここで電解液中に浸
漬された捕集電極18′と陽極材20との間の通電によ
り電解液中の金属イオンは捕集電極18′の表面に析出
する。
スケール17からの懸濁物を捕集した瀘過器14のエレ
メントおよび金属イオンの析出した捕集電極18または
18′はそれぞれ電解液系外に取出して廃棄処分する。
ここで、陽極としても使用される陰極材16、16′お
よび陽極20としては、例えば白金または白金メッキし
たチタン材等難溶性の材質とし、前記通電により電極素
材の金属イオンが溶出しないようにしている。捕集電極
18、18′としては電解液中の金属イオンが析出しや
すい金属が望ましいが、通常の鋼材あるいは放射性物質
で汚染された部品等の金属廃棄物を捕集電極材に使用し
ている。
以上説明した特開昭57−52899号公報および特開
昭59−14000号公報では、電解研摩除染の電解液
から金属イオンおよび放射能を分離する場合について述
べている。しかしながら、これらの方法には、以下に示
すような問題点があった。
(1) 特開昭57−52899号公報では、炭素極を
用いているが、酸性の強い高電導度溶液の中では炭素極
の成分が溶出してしまうので、炭素極は実験では使用で
きても実用的には使用できない。
(2) 両方法ともに、陰極(特開昭57−52899
号公報では集電極、特開昭59−14000号公報では
捕集電極と呼んでいる)にステンレス鋼または普通鋼を
用いているが、ステンレス鋼は普通鋼は水素過電圧の絶
対値が小さいため、水素が発生し易く、金属の析出より
水素の生成に使われる電流の割合が大きくなるため、金
属分離に関する電流効率が低下する。
[発明の目的] 本発明は以上の問題点を解決するためになされたもの
で、放射能を帯びた金属イオンを含んだ金属イオンの溶
解している高電導度溶液の廃棄処理に伴う放射性を二次
廃棄物の発生量を低減するための、実用に使用でき、か
つ効率の良い、溶液中金属イオンの分離方法を提供する
ことを目的とする。
[発明の概要] 上記目的を達成するために本発明に係る溶液中金属イオ
ンの分離方法は、放射能を帯びた金属イオンを含み主と
して鉄イオンが溶解している高電導度溶液中に浸漬され
た不活性金属からなる金属析出用陽極と、水素過電圧の
絶対値が鉄の水素過電圧の絶対値より大きい金属材料か
らなる金属析出用陰極との間に直流電流を流し、前記高
電導度溶液中の放射能を帯びた金属イオンを含んだ金属
イオンを、水素ガス発生を抑制した条件下で前記金属析
出用陰極上に析出物として付着させ、次にこの析出物を
前記金属析出用陰極から剥離させ、この剥離した析出物
を放射性廃棄物として廃棄することを特徴とする。
[発明の実施例] 第1図を参照して本発明に係る溶液中金属イオンの分離
方法の第1の実施例について説明する。
第1図は、セリウム3価イオンとセリウム4価イオンと
を含む硝酸水溶液を用いて、電解酸化還元反応によりセ
リウム3価イオンからセリウム4価イオンを生成し、こ
の生成したセリウム4価イオンがセリウム3価イオンに
変化する際の酸化力を利用し、放射性物質で汚染された
金属物品の表面を溶解して、放射性物質を金属物品表面
から除去する除染装置に溶液中金属イオンの分離装置を
組み込んだ状態を説明するための図である。
第1図において符号21は金属分離槽であり、この金属
分離槽21内にはセリウム3価イオンおよびセリウム4
価イオンを含む硝酸水溶液からなる高電導度溶液22が
貯溜されている。この高電導度溶液22には、不活性金
属からなる金属析出用陽極24および水素過電圧の絶対
値の大きい金属材料からなる金属析出用陰極25が対峙
して浸漬され、金属析出用陽極24にはプラスの電圧が
印加され、金属析出用陰極25にはマイナスの電圧が印
加される。前記金属分離槽21は、放射性物質で汚染さ
れた金属物品の表面を溶解して、放射性物質を金属部品
表面から除去するための槽を兼ねており、前記高電導度
溶液22には、放射性物質で汚染された金属物品すなわ
ち被除染物23が浸漬されている。
第1図中の27はセリウム再生槽であり、このセリウム
再生槽27内には前記金属分離槽21に貯溜されていた
のと同じセリウム3価イオンおよびセリウム4価イオン
を含む硝酸水溶液からなる高電導度溶液28が貯溜され
ている。この高電導度溶液28には、プラスの電圧が印
加されたセリウム再生用陽極29とマイナスの電圧が印
加されたセリウム再生用陰極30とが対峙して浸漬され
ている。このセリウム再生槽27と前記金属分離槽21
とは循環配管31、32で連結されており、この循環配
管32の途中には循環ポンプ33が設けられており高電
導度溶液22、28が、金属分離槽21とセリウム再生
槽27との間を循環するようになっている。
次に、本発明に係る溶液中金属イオンの分離方法の第1
の実施例の作用を説明する。
セリウム再生槽27内ではセリウム3価イオンとセリウ
ム4価イオンを含む硝酸水溶液からなる高電導度溶液2
8が以下に示す電解酸化還元反応の影響を受けて、セリ
ウム3価イオン(Ce3+)はセリウム4価イオン(Ce
4+)に変換される。
陽極 Ce3+→Ce4++e ……(1) 20H→HO+1/20(↑)+2e……
(2) 陰極 H+e→(1/2)H(↑) ……(3) セリウム4価イオン(Ce4+)濃度の高くなった高電導
度溶液28は循環配管31を通って金属分離槽21に移
る。この金属分離槽21ではセリウム再生槽27で生成
されたセリウム4価イオンがセリウム3価イオンに変換
されると同時に、その時の酸化力により前記被除染物2
3の金属母材表面層は溶解された被除染物23の表面の
放射能汚染が除去される。セリウム4価イオン(C
4+)がセリウム3価イオン(Ce3+)に変換される一
方、被除染物23の金属母材表面層が溶解される反応は
金属の化学式をMとして以下に示す通りである。
M+Ce4+→M+Ce3+ 被除染物23の金属母材表面層の溶解に伴って高電導度
溶液22中へ移行した放射能のうち約90%は不溶物中
に存在するので瀘過器などで容易に高電導度溶液22か
ら分離できるが、残りの約10%は金属イオンとして高
電導度溶液22中に溶けた状態で存在するので、従来の
除染装置では、この放射能を帯びた金属イオンが放射能
を帯びていない金属イオンとともに高電導度溶液22中
に蓄積してしまった。
本発明に係る溶液中金属イオンの分離方法を用いれば、
金属析出用陽極24と金属析出用陰極25との間に印加
した電圧による電解反応で、高電導度溶液22中の金属
イオンが金属析出用陰極25上に析出物26として付着
する。そこで、この析出物26を分離すれば高電導度溶
液22中への放射能および金属イオンの蓄積を抑えるこ
とができる。さて、金属析出用陰極25上に金属イオン
が析出物26となって付着し、高電導度溶液22から容
易に分離できるようになっても、金属析出用陽極24か
ら金属イオンが容出してしまっては高電導度溶液22中
への金属イオンの蓄積を抑えることができない。したが
って、金属析出用陽極24は陽極電解では溶解しない金
属すなわち不活性金属であることが重要である。不活性
金属としては、チタン、白金、チタンに白金コーティン
グを施したもの、チタン以外の金属に白金コーティング
を施したものなどがある。本発明では、金属析出用陽極
24として不活性金属を用いるので、金属析出用陽極か
らの金属イオン溶出がない。また、従来例のように炭素
極を用いた場合の成分が溶出してしまうという問題点が
ない。一方、金属析出用陰極25の表面では、金属の析
出反応と水素の生成反応が競争している。金属析出用陰
極25として、白金、鉄、ニッケルなどのように水素過
電圧の低い金属材料を用いると、金属の析出より水素の
生成に使われる電流の割合が大きくなるため、金属析出
に関する電流効率が悪くなる。したがって、金属析出用
陰極25は、水素の生成し難い金属材料、すなわち水素
過電圧の高い金属材料であることが重要である。一般に
水素過電圧の大きさは、白金、ロジウム、金、タングス
テン、平滑白金、ニッケル、モリブデン、鉄、銀、アル
ミニウム、ベリリウム、ニオビウム、タンタル、銅、黒
鉛、ビスマス、鉛、スズ、インジウム、タリウム、水
銀、カドミウムの順に大きくなる。従来例のようにステ
ンレス鋼または普通鋼を用いる場合より金属析出に関す
る電流効率を良くするには、金属析出用陰極25の材料
は、水素過電圧の絶対値が鉄の水素過電圧の絶対値より
大きい金属材料とする必要がある。
第1表に、本発明の第1の実施例と従来例とについて、
金属析出に関する電流効率を測定した結果を比較して示
す。
高電導度溶液としては、Ce(NO濃度0.8mo
l /、HNO濃度2mol /の水溶液に前述の電解
酸化還元反応を起こさせセリウム4価イオン(Ce4+
を生成させながらステンレス鋼SUS304を100g
/溶解させた溶液を用いた。高電導度溶液温度は80
℃とした。金属析出用陰極の材質は、本発明の実施例の
場合は鉛、従来例の場合はステンレス鋼とした。金属析
出用陽極としては、どちらの場合もチタンに白金コーテ
ィングを施したものを用いた。金属析出に関する電流効
率は、溶解させた金属であるSUS304を鉄Feで代
表させて、次式に従って求めた。
(電流効率)=(析出したFeの重量)/(流れた電気
量すべてがファラデーの法則に従ってFeの析出に使わ
れたとした場合のFeの重量) =(回収したFeの重量)/ (M × I×(60×t)/ (|Z|×F)) M:Feの分子量 56 (−) I:電 流 2 (A) t:通電時間 実測 (分) Z:原子価 2 (−) F:ファラデー定数 96500(C/mol ) 第1表から、本発明の実施例の方が従来例に比べて約2
倍の金属析出に関する電流効率が得られることがわか
る。これは、金属析出用陰極に水素過電圧の高い金属材
料を用いたため、水素が生成しにくくなり、水素の生成
より金属の析出に使われる電流の割合が大きくなったた
めである。
以上説明したように、本発明では金属析出用陰極25と
して水素過電圧の大きな金属材料を用いるので、水素の
生成より金属の析出に使われる電流の割合が大きくな
り、高電導度溶液中へ溶出した金属成分を効率よく分離
できる。これに伴い、金属イオンとして溶けていて瀘過
器では分離できなかった放射能も金属析出用陰極に析出
するため、放射能も効率よく分離でき、それに伴い高電
導度溶液中に溶解していた放射能の蓄積を抑制できる。
析出物26は、金属析出用陰極25にゆるく付着してい
るので、容易に剥離できる。金属析出用陰極25から剥
離した析出物26は、放射性廃棄物として廃棄される。
以下、本発明の第1の実施例と、従来例の高電導度溶液
を廃棄する場合とについて、二次廃棄物発生量を比較す
る。高電導度溶液中の金属イオンFe3+で代表し、Fe
3+を1kg含んだ高電導度溶液に関し二次廃棄物発生量を
求める。本発明の第1の実施例で発生する二次廃棄物
は、剥離した析出物すなわちFeである。一方、高電導
度溶液を廃棄する場合、セリウムが高価なので別途回収
したとしても、Fe3+以外にFe3+と少なくとも当量の
NO を含んでおり、高電導度溶液を中和して廃棄し
なければならない。中和は以下の式に従う。
Fe3++3(OH)→Fe(OH) 3NO +3Na→3NaNO Fe(OH)とNaNOを含んだ中和後の廃電解液
を濃縮乾燥すると、Fe(OH)は、結晶水を持った
Fe粉末となり、NaNOはNaNO結晶の
粉末となる。Fe1kgを基準として、結晶水を無視した
Fe粉末の発生量、およびNaNO粉末の発生
量を求めると以下の通りである。
(Fe粉末の発生量) =(1kg)×(Feの分子量)/2(Feの分
子量) =160/2/56 =1.4kg (NaNO粉末の発生量) =(1kg)×(NaNOを分子量) ×3/(Feの分子量) =85×3/56 =4.6kg 第2表に、本発明実施例と従来例の高電導度溶液を廃棄
する場合の、Fe1kg基準の二次廃棄物発生量を検討し
た結果を比較して示す。
第2表は、被除染物である金属を1kg溶解すると、二次
廃棄物発生量は、本発明の実施例の場合1kg、従来例の
高電導度溶液を廃棄する場合6kgとなることを示してい
る。本発明によれば、二次廃棄物発生量は従来例の高電
導度溶液を廃棄する場合の約1/6となることがわか
る。
以上説明したように、本発明に係る溶液中金属イオンの
分離方法によれば、 高電導度溶液中の金属イオンを金属として分離し、この
分離した金属だけを放射性廃棄物として廃棄するので、
高電導度溶液を廃棄する場合に比べ放射性の二次廃棄物
発生量が少なくなる。
つぎに第2図を参照して本発明に係る溶液中金属イオン
の分離方法の第2の実施例について説明する。第2図は
電解研摩作用を利用し、放射性物質で汚染された金属物
品の表面を溶解して、放射性物質を金属物品表面から除
去する電解除染装置に本発明による溶液中金属イオンの
分離装置を組み込んだ様子、および本発明による溶液中
金属イオンの分離方法を示す図である。
まず、本発明に係る溶液中金属イオンの分離方法の第2
の実施例の構成を説明する。
第2図中符号21は金属分離槽であり、この金属分離槽
21内には電解除染用電解液からなる高電導度溶液22
が貯溜されている。この高電導度溶液22には、不活性
金属からなる金属析出用陽極24および水素過電圧の絶
対値の大きい金属材料からなる金属析出用陰極25が対
峙して浸漬され、金属析出用陽極24にはプラスの電圧
が印加され、金属析出用陰極25にはマイナスの電圧が
印加される。第2図中符号35は電解除染槽であり、こ
の電解除染槽35には前記金属分離槽21に貯溜されて
いたの同じ電解除染用電解液からなる高電導度溶液28
が貯溜されている。この高電導度溶液28には、プラス
の電圧が印加された被除染物23とマイナスの電圧が印
加された電解除染用陰極36とが対峙して浸漬されてい
る。この電解除染槽35と前記金属分離槽21とは循環
配管31、32で連結されており、この循環配管32の
途中には循環ポンプ33が設けられており高電導度溶液
22、28が、金属分離槽21と電解除染槽35との間
を循環するようになっている。
次に、本発明に係る溶液中金属イオンの分離装置および
方法の第2の実施例の作用を説明する。
電解除染槽35では、被除染物23と電解除染用陰極3
6との間に印加した電圧による電解研摩作用により、前
記被除染物23の金属母材表面層は溶解され被除染物2
3の表面の放射能汚染が除去される。このとき、放射能
を帯びた金属イオンが放射能を帯びていない金属イオン
とともに高電導度溶液22中に溶出するが、本発明に係
る溶液中金属イオンの分離装置および方法を用いれば、
金属析出用陽極24と金属析出用陰極25との間に印加
した電圧による電解反応で、高電導度溶液22中の金属
イオンが金属析出用陰極25上に析出物26として付着
する。そこで、この析出物26を分離すれば高電導度溶
液22中への放射能および金属イオンの蓄積を抑えるこ
とができる。
第1の実施例と同様に第2の実施例でも、金属析出用陽
極24として不活性金属を用いるので、金属析出用陽極
からの金属イオン溶出がない。また、従来例のように炭
素極を用いた場合の成分が容出してしまうという問題点
がない。
第1の実施例の説明と同様に、本発明の第2の実施例と
従来例について金属析出に関する電流効率を測定した結
果を比較して第3表に示す。高電導度溶液としては、H
PO濃度40重量%の水溶液にステンレス鋼SUS
304を100g/、電解研摩して溶解させた溶液を
用いた。高電導度溶液温度は40℃とした。金属析出用
陰極の材質は、本発明の実施例の場合は鉛、従来例の場
合はステンレス鋼とした。金属析出用陽極としては、ど
ちらの場合もチタンに白金コーティングを施したものを
用いた。金属析出に関する電流効率は、第1の実施例の
説明で述べたのと全く同じ方法で求めた。
第1の実施例の場合と同様に、第3表から金属析出用陰
極に水素過電圧の高い金属材料を用いたため、水素が生
成しにくくなり、水素の生成より金属の析出に使われる
電流の割合が大きくなったことがわかる。以上説明した
ように、本発明では金属析出用陰極25として水素過電
圧の大きな金属材料を用いるので、水素の生成より金属
の析出に使われる電流の割合が大きくなり、高電導度溶
液中へ溶出した金属成分を効率よく分離できる。これに
伴い、金属イオンとして溶けていて瀘過器では分離でき
なかった放射能も金属析出溶陰極上に析出するため放射
能も効率よく分離でき、それに伴い高電導度溶液中に溶
解していた放射能の蓄積を抑制できる。
第1の実施例の場合と同様、本発明の第2の実施例と、
従来例の高電導度溶液を廃棄する場合とについて、高電
導度溶液中の金属イオンをFe3+で代表し、Fe3+を1
kg含んだ高電導度溶液に関し二次廃棄物発生量を比較す
る。高電導度溶液は、燐酸水溶液からなる電解液とす
る。本発明の第2の実施例で発生する二次廃棄物は、剥
離した析出物すなわちFeである。一方高電導度溶液を
廃棄する場合、高電導度溶液中すなわち電解液中には、
Fe3+以外にFe3+と少なくとも当量のPO 3−を含
んでおり、高電導度溶液を中和して廃棄しなければなら
ない。中和は以下の式に従う。
Fe3++3(OH)→Fe(OH) PO 3−+3Na→NaPO Fe(OH)とNaPOを含んだ中和後の廃電解
液を濃縮乾燥すると、Fe(OH)は結晶水を持った
Fe粉末となり、NaPOはNaPO
晶の粉末となる。Fe1kgを基準として、結晶水を無視
したFe粉末の発生量、およびNaNO粉末の
発生量を求めると以下の通りである。
(Fe粉末の発生量)=(1kg) ×(Feの分子量)/2/(Feの分子量) =160/2/56 =1.4kg (NaPO粉末の発生量)=(1kg)×(Na
の分子量)/(Feの分子量) =164/56 =2.9kg 第4表に、本発明の実施例と従来例の高電導度溶液を廃
棄する場合の、Fe1kg基準の二次廃棄物発生量を検討
した結果をまとめて示す。
第4表は、被除染物である金属を1kg溶解すると二次廃
棄物発生量は、本発明の実施例の場合1kg、従来例の高
電導度溶液を廃棄する場合4.4kgとなることを示して
いる。本発明によれば二次廃棄物発生量は従来例の高電
導度溶液を廃棄する場合の約1/4.3となることがわ
かる。
以上説明したように、本発明に係る溶液中金属イオンの
分離方法によれば、高電導度溶液中の金属イオンを金属
として分離し、この分離した金属だけを放射性廃棄物と
して廃棄するので、高電導度溶液を廃棄する場合に比べ
放射性の二次廃棄物発生量が少なくなる。
なお本発明に係る溶液中金属イオンの分離方法の第2の
実施例では、高電導度溶液すなわち電解液として燐酸水
素溶液をとりあげたが、電解液は燐酸水溶液に限ったも
のではない。高電導度溶液すなわち電解液として、燐酸
水溶液以外に、硫酸水溶液、硝酸水溶液、これらの水溶
液に添加物を加えた溶液、これらの水溶液の混合液を用
いても、これまで説明した値とは異なるが、 (1)金属析出に関する電流効率が向上する、 (2)放射性の二次廃棄物が減少するという効果は得ら
れる。
[発明の効果] 本発明によれば、以下の効果がある。
(1) 高電導度溶液中の金属を分離し、この分離した
金属だけを放射性廃棄物として廃棄するので、高電導度
溶液を廃棄する場合に比較して二次廃棄物発生量が少な
くなる。
(2) 金属の分離と並行して、高電導度溶液中に溶解
していた放射能が分離されるため、高電導度溶液中に溶
解していた放射能の蓄積を抑制できる。
(3) 金属析出用陰極として水素過電圧の大きな金属
材料を用いるので、水素の生成より金属の析出に使われ
る電流の割合が大きくなる。すなわち、金属析出に関す
る電流効率が良くなる。
(4) 金属析出用陽極として不活性金属を用いるの
で、従来例の炭素鋼を用いた場合の、成分が溶出してし
まうという問題がない。
本発明による溶液中金属イオンの分離方法は、本発明の
第1の実施例および第2の実施例で説明した場合に限ら
れたものではない。他にも例えば、原子力発電所におけ
る復水脱塩装置の再生廃液中金属イオンをキレート樹脂
で回収し、このキレート樹脂の再生廃液中の金属イオン
および放射能を分離する場合にも、本発明による溶液中
金属イオンの分離方法は有効である。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、本発明に係る溶液中金属イオン
の分離装置およびその分離方法のそれぞれの実施例を示
す概要図、第3図から第6図は従来の放射能汚染除去分
離装置をそれぞれ示す概略断面図である。 1……除染槽 2……放射能汚染機器 3……陽極 4……直流電源 5……陰極 6……集電極 7……電解液 8……超音波発信器 9……超音波発信器 11……電解液 12……電解槽 13……ポンプ 14……瀘過器 15……被除染物 16、16′……陰極材 17……スケール 18、18′……捕集電極 19……金属イオン分離槽 20……陽極材 21……金属分離槽 22……高電導度溶液 23……被除染物 24……金属析出用陽極 25……金属析出用陰極 26……析出物 27……セリウム再生槽 28……高電導度溶液 29……セリウム再生用陽極 30……セリウム再生陰極 31……循環配管 32……循環配管 33……循環ポンプ 35……電解除染槽 36……電解除染用陰極

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射能を帯びた金属イオンを含み主として
    鉄イオンが溶解している酸性の高電導度溶液中に浸漬さ
    れた不活性金属からなる金属析出用陽極と、水素過電圧
    の絶対値が鉄の水素過電圧の絶対値より大きい金属材料
    からなる金属析出用陰極との間に直流電流を流し、前記
    高電導度溶液中の放射能を帯びた金属イオンを含んだ金
    属イオンを、水素ガス発生を抑制した条件下で前記金属
    析出用陰極上の析出物として付着させ、次にこの析出物
    を前記金属析出用陰極から剥離させ、この剥離した析出
    物を放射性廃棄物として廃棄することを特徴とする溶液
    中金属イオンの分離方法。
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