JPH06316456A - 陶磁器用加飾顔料組成物および加飾陶磁器の製造方法 - Google Patents

陶磁器用加飾顔料組成物および加飾陶磁器の製造方法

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JPH06316456A
JPH06316456A JP12779393A JP12779393A JPH06316456A JP H06316456 A JPH06316456 A JP H06316456A JP 12779393 A JP12779393 A JP 12779393A JP 12779393 A JP12779393 A JP 12779393A JP H06316456 A JPH06316456 A JP H06316456A
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decorative
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firing
glaze
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岩▲崎▼孝志
Koichi Takeuchi
浩一 武内
Toshikazu Fujisaki
敏和 藤崎
Hiroshi Saiki
博 斉木
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Nagasaki Prefectural Government
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 合成後の顔料を水あるいは有機溶剤に入れる
と容易に一次粒子に分散して、顕著な粘性を発揮するの
で、各種の技法により絵付けが可能であり、焼成後は焼
成前の色調とは異なる目的とする任意の色調が発色する
ような陶磁器用加飾顔料組成物およびそれを用いた加飾
陶磁器の製造方法を開発する。 【構成】 焼成後に目的とする色調を呈する元素を含む
下式(化1)で示されるスメクタイト構造を有し且つ焼
成前は該色調とは異なる色調を有する合成珪酸塩から選
択される少なくとも1種類を主成分とする陶磁器用加飾
顔料組成物を用いることにより目的を達成できる。 【化1】 式中のXはアルカ金属イオン、X2+はアルカリ土
類金属イオン、M3+は3価の金属イオン、M2+は2
価の金属イオンを表す。n≧0。 なお、( )内
の”,”は ”及び/又は”を示す

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陶磁器の加飾に用いる
陶磁器用加飾顔料組成物および加飾陶磁器の製造方法に
関するものであり、さらに詳しくは、特定の分子構造式
で表わされるスメクタイト構造を有する合成珪酸塩の利
用に関するものであり、生成した組成物は水あるいは有
機溶媒中で超微粒子になり、顕著な粘性を発揮するの
で、手描き技法、直接印刷絵付け技法、転写絵付け技法
などの手法により絵付けすることができ、しかも素焼き
などの陶磁器前駆体や陶磁器自体への付着性がよく、焼
成後は焼成前の色調とは異なる目的とする任意の色調が
発色するような陶磁器用加飾顔料組成物、および、それ
を用いて素地そのもの、釉の下部(下絵付)、釉の内部
(シンクイン絵付)、釉の表面(上絵絵付)などに加飾
した陶磁器を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の陶磁器用顔料は、陶磁器の焼成後
に目的とする色調を発色する元素を含有した酸化物ある
いは硫化物を、スピネル型、ジルコン型、ルチル型等の
結晶構造を有する物質の化学組成に配合し、1000℃
以上で加熱反応させることにより合成されていた[「陶
磁器用顔料」,大塚淳,セラミックス,18,1983
(No.5),頁377−384]。
【0003】合成された顔料は、目的とする色調が得ら
れるように、さらに複数の顔料を混合して使用されるこ
ともある。また手描き技法、直接印刷絵付け技法(例え
ばパッド印刷法)、転写絵付け技法などの加飾技法に応
じて、メチルセルロース、デキストリン、アクリル樹脂
エマルジョン、エチレングリコールなど有機質添加剤を
加えて使用されることもある[「最近の陶磁器装飾技
術」,上田英三,セラミックス,18(1983)N
o.5,頁385−391]。
【0004】しかし従来の陶磁器顔料を製造するには、
高温で合成を行うため生成物が固く焼結し、実際に使用
するためには粉砕工程が不可欠であった。しかし現状の
機械的粉砕では、粉砕後の粒子径を1μm以下の微粒子
にすることは一般に困難であるため素焼きなどの陶磁器
前駆体や陶磁器自体への顔料粒子の付着性が悪く、指先
の接触等により剥離したり、加飾文様が汚染されるなど
の問題があった。
【0005】また顔料物質を構成する結晶構造自体が持
つ特性により、水や有機溶媒と混合して水溶液や有機溶
液とした場合、粘性に乏しく、転写絵付け技法やパッド
印刷技法で使用するためには、粘性を付与するために前
記のような有機質添加剤の混合が不可欠であった。
【0006】また2価重金属イオン、アルカリ金属イオ
ン、アルカリ土類金属イオンなどを含むスメクタイト構
造を有する合成膨潤性珪酸塩は、膨潤性、ゲル特性、含
有する金属イオンの種類や量によって様々な色調を示す
などの特性を利用して、水系塗料、顔料、化粧品、医薬
品、触媒などへの用途開発が行われていることが開示さ
れている(特開昭62−292615号公報、特開昭6
2−297210号公報、特公昭63−6485号公報
など)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、顔料
を水あるいは有機溶媒と混合するだけで粘性が発現し、
従って粘性を付与するための有機質添加剤を必要とせ
ず、さらに顔料の合成後、水あるいは有機溶媒に入れる
と容易に微粒子となって分散するため、微細粒子への粉
砕工程がいらず、加飾を施す器物への付着性に富んだ合
成顔料組成物であって、手描き技法、直接印刷絵付け技
法、転写絵付け技法などの手法により絵付けすることが
でき、焼成後は焼成前の色調とは異なる目的とする任意
の色調が発色するような陶磁器用加飾顔料組成物、およ
び、それを用いて素地そのもの、釉の下部(下絵付)、
釉の内部(シンクイン絵付)、釉の表面(上絵絵付)な
どに加飾した陶磁器を製造する方法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
に鑑み鋭意検討を行った結果、特定の分子構造式で表わ
されるスメクタイト構造を有する合成珪酸塩の有する特
性を利用することにより、焼成後は焼成前の色調とは異
なる目的とする任意の色調を発色する優れた陶磁器用加
飾顔料が得られることを見い出し本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の請求項1の発明は、焼
成後に目的とする色調を呈する元素を含む下式(化3)
で示されるスメクタイト構造を有し且つ焼成前は該色調
とは異なる色調を有する合成珪酸塩から選択される少な
くとも1種類を主成分とする陶磁器用加飾顔料組成物で
ある。式中のX+ はNa、Liなどのアルカリ金属イオ
ン、X2+はCa、Mgなどのアルカリ土類金属イオン、
3+はAl、Feなどの3価の金属イオン、M2+はN
i、Co、Zn、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd等の2
価の金属イオンを表す。n≧0である。
【0010】
【化3】
【0011】本発明の請求項2の発明は、該合成珪酸塩
が親油化処理されたものであることを特徴とする請求項
1記載の陶磁器用加飾顔料組成物である。上記の親油化
処理は、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウムイオ
ン、モノアルキルトリメチルアンモニウムイオン、トリ
アルキルモノメチルアンモニウムイオンや、アルキルジ
メチルベンジルアンモニウムイオンなどのアルキルベン
ジル第4級アンモニウムイオンなどの第4級アンモニウ
ムイオンを層間に導入することにより行うことができ
る。
【0012】本発明の請求項3の発明は、該合成珪酸塩
が下式(化4)で示されるスメクタイト構造を有する合
成珪酸塩であることを特徴とする請求項1あるいは請求
項2記載の陶磁器用加飾顔料組成物である。式中のM2+
はNi、Co、Zn、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd等
の2価の金属イオンを表す。aとbの値は、0≦a<
3、0<b≦3、n≧0である。
【0013】
【化4】
【0014】本発明の請求項4の発明は、該合成珪酸塩
の水分散液あるいは有機溶媒分散液を用いることを特徴
とする請求項1から請求項3記載の陶磁器用加飾顔料組
成物である。
【0015】本発明の請求項5の発明は、請求項1に記
載の陶磁器用加飾顔料組成物から選択される少なくとも
1種類を用いて、加飾前の陶磁器あるいは陶磁器前駆体
上に直接あるいは釉を介して絵付けし、必要に応じてそ
の上に施釉した後、酸化雰囲気および/または還元雰囲
気中で焼成して、目的とする色調を有する加飾陶磁器を
得ることを特徴とする加飾陶磁器の製造方法である。
【0016】本発明の請求項6の発明は、請求項1に記
載の陶磁器用加飾顔料組成物から選択される少なくとも
1種類を素地練り込み用顔料として用いて陶磁器前駆体
を作り、酸化雰囲気および/または還元雰囲気中で焼成
して、目的とする色調を有する加飾陶磁器を製造する
か、あるいは請求項1に記載の陶磁器用加飾顔料組成物
から選択される少なくとも1種類の上記種類とは異なる
種類および/または同一の種類を用いて、該加飾陶磁器
あるいは該陶磁器前駆体上に直接あるいは釉を介して絵
付けし、必要に応じてその上に施釉した後、酸化雰囲気
および/または還元雰囲気中で焼成して、目的とする色
調を有する加飾陶磁器を得ることを特徴とする加飾陶磁
器の製造方法である。
【0017】本発明の請求項7の発明は、釉薬中に請求
項1に記載の陶磁器用加飾顔料組成物から選択される少
なくとも1種類が配合されていることを特徴とする請求
項5あるいは請求項6記載の加飾陶磁器の製造方法であ
る。
【0018】本発明で使用する一般式(化3)で示され
るスメクタイト構造を有する物質は、天然にも存在する
が、不純物が含まれており、本発明の対象にはならな
い。本発明で使用するスメクタイト構造を有する合成珪
酸塩は一般式(化3)に示されたなかで、目的とする組
成になるように原料を配合・調製し、100〜35℃の
条件下で水熱反応を行うことにより得られる。例えば、
特公昭63−6485号公報、特開昭62−29261
5号公報、特開昭62−297210号公報に記載の方
法で合成して得ることができるが、勿論これらに限定さ
れるものではない。
【0019】一般式(化3)に示されるスメクタイト構
造を有する合成珪酸塩物質を、焼成後は焼成前の色調と
は異なる目的とする任意の色調が発色する優れた陶磁器
用加飾顔料組成物とするためには、一般式(化3)中の
XイオンとMイオンの種類と量を変えて製造する。この
場合、XイオンとMイオン共、複数のイオンを用い、微
妙な色の顔料を製造することもできる。また、Xイオン
とMイオンの種類と量を変えて別々に製造したものを複
数種類混合して製造することもできる。
【0020】このようにして得られた合成珪酸塩はその
まま陶磁器用加飾顔料組成物として用いて素地そのもの
に配合したり、あるいは釉自体に配合したりすることに
より加飾した陶磁器を製造することができる。合成後の
該合成珪酸塩は一般的には水熱合成により得られ、乾燥
により一次粒子の凝集塊になるため、実際の使用に際し
ては粉砕が必要であるが、極く普通の粉砕で容易に粒子
径約100μm以下の一次粒子の凝集体となり、水ある
いは有機溶媒に入れると粒子径約1μm以下、主に直径
100〜500nm、厚さ10〜50nm程度の超微粒
子となって容易に分散し、溶液はチクソトロピックな粘
性を示すようになる。また、層間イオンを第4級アンモ
ニウムイオン等で置換して親油化処理をしたものは、有
機溶媒に溶解することにより、同様に超微粒子になり、
溶液はチクソトロピックな粘性を示すようになる。本発
明において、該合成珪酸塩を含む水溶液あるいは有機溶
液の状態の陶磁器用加飾顔料組成物を用いると、手描き
技法、直接印刷絵付け技法、転写絵付け技法などの各種
の手法により絵付けすることができるので、釉の下部
(下絵付)、釉の内部(シンクイン絵付)、釉の表面
(上絵絵付)などに加飾した陶磁器を容易に製造するこ
とができる。
【0021】本発明の陶磁器用加飾顔料組成物を用いて
加飾された陶磁器の発色を、ぼかしのきいた芸術的な発
色とすることも容易である。本発明の陶磁器用加飾顔料
組成物を用いると上記のような芸術的な発色が容易に得
られる理由は、素地の材質、釉薬の種類(単純な石灰
釉、石灰マグネシア釉、石灰亜鉛釉、石灰バリウム釉な
どの石灰釉、長石釉、マグネシア釉、亜鉛釉、バリウム
釉など)、焼成条件(酸化、還元あるいはそれらの組み
合わせ)などにより状態が種々異なるので断定すること
はできないが、焼成後に発色する元素や該合成珪酸塩を
構成する元素が例えば釉中にイオンやコロイドの状態で
拡散することによるものと考えられる。
【0022】また、一般式(化3)を限定した構造の1
つである一般式(化4)で表されるヘクトライト型スメ
クタイト構造を有する物質は、例えば、式中のMイオン
としてNi、Co、Zn、Cu、Fe、Mn、Pb、C
d等の2価金属イオンから選んだ少なくとも1個の2価
金属イオンを選択して含むことができ、またそれら以外
のMgなどの2価金属イオンも含むさまざまな化学組成
を有する物質として得られるものであり陶磁器用加飾顔
料組成物として好ましく使用することができる。また層
間イオンを第4級アンモニウム塩等で置換して親油化処
理をしたものについても同様である。
【0023】
【作用】合成したスメクタイト構造を有する物質を陶磁
器の加飾用顔料として利用するためには、焼成後に目的
とする色調を呈する金属元素を結晶構造中に固定するこ
とで可能となる。素地の材質、釉薬の種類、焼成条件な
どにより色調は異なるが、例えば、Coを含む陶磁器用
加飾顔料組成物の種類では還元雰囲気で焼成すると青色
を発色し、同様にCuを含む組成の種類では還元雰囲気
で焼成すると釉薬の種類により緑または赤色を発色す
る。該合成珪酸塩は水あるいは有機溶媒と混合するだけ
でその溶液は顕著な粘性を示すようになる。従って顔料
をペースト状態で使用する場合でも、粘性を付与するた
めの有機添加剤を加える必要がない。合成後の該合成珪
酸塩は一次粒子が凝集した凝集体として得られるが、水
あるいは有機溶媒に入れると粒子径約1μm以下のほぼ
一次粒子となって容易に分散するので、従来の陶磁器用
顔料製造におけるような微細粒子への粉砕工程は不必要
である。また、微細な粒子であるので加飾を施す器物へ
の付着性に富む。従って、手描き技法、直接印刷絵付け
技法、転写絵付け技法などの手法により絵付けすること
ができる。素地そのもの、釉の下部(下絵付)、釉の内
部(シンクイン絵付)、釉の表面(上絵絵付)などに加
飾した陶磁器を製造することができる。本発明の陶磁器
用加飾顔料組成物を用いるとぼかしのきいた芸術的な発
色が容易に得られるが、それは、焼成後に発色する元素
や該合成珪酸塩を構成する元素が、例えば釉中にイオン
やコロイドの状態で拡散することによるものと考えられ
る。
【0024】(実施例1)1リットルのビーカーに水4
00ミリリットルを入れ、3号水ガラス(SiO2 28
%、Na2 O9%、モル比3.22)86gを溶解し、
95%硫酸16.2gを攪拌しながら一度に加えてケイ
酸溶液を得る。次に水100ミリリットルに塩化ニッケ
ル6水和物(NiCl2 ・6H2 O)特級試薬(純度9
9%)65.6gを溶解し、ケイ酸溶液に加えて均質混
合溶液を調整し、2規定水酸化ナトリウム溶液360ミ
リリットル中に攪拌しながら5分間で滴下する。直ちに
得られた反応均質複合沈殿物を濾過し、充分に水洗した
後、水20ミリリットルと水酸化リチウム水和物[Li
(OH)・H2 O]1.45gとよりなる溶液を加えて
スラリー状とし、オートクレーブに移す。15.9kg
/cm2 、200℃で3時間反応させる。冷却後、反応
生成物をとりだし、80℃で乾燥し、式(化5)で表さ
れるNiを含有した合成スメクタイトを得た。上記合成
スメクタイト1部に対し、水50部及び分散剤としてア
クリル酸ナトリウム0.02部を加え、攪拌機で充分に
混合分散させて水溶液の状態の本発明の陶磁器用加飾顔
料組成物を得た。この水溶液を毛筆に含ませ、900℃
で仮焼を行った10cm四方のタイル型素焼板上に任意
の模様を描き、室温で乾燥した。なお素焼板の作製に
は、西九州地方で普通に使用されている、天草撰上陶土
を用いた。乾燥により上記合成スメクタイトは素焼表面
上に固く付着し、その表面を指で普通にこする程度では
剥落等は生じなかった。
【0025】
【化5】
【0026】一方、石灰石14.6%、インド長石2
2.2%、対州長石32.0%、ニュージーランド・カ
オリン14.1%、珪石17.1%からなる原料配合物
をポットミルで粉砕してK2 O0.13、Na2 O0.
20、CaO0.67、Al23 0.6、SiO2
4.9、からなる組成の石灰釉を作った。乾燥後の上記
素焼板に上記釉薬を施し、1300℃(SK10番)、
還元雰囲気(CO濃度約3%)で焼成を行った。これに
より表面に褐色の模様でぼかしのきいた加飾が施された
磁器質タイル板が得られた。
【0027】(実施例2)1リットルのビーカーに水4
00ミリリットルを入れ、3号水ガラス(SiO2 28
%、Na2 O9%、モル比3.22)86gを溶解し、
95%硫酸16.2gを攪拌しながら一度に加えてケイ
酸溶液を得る。次に水100ミリリットルに塩化コバル
ト6水和物(CoCl2 ・6H2 O)特級試薬(純度9
9%)65.6gを溶解し、ケイ酸溶液に加えて均質混
合溶液を調整し、2規定水酸化ナトリウム溶液360ミ
リリットル中に攪拌しながら5分間で滴下する。直ちに
得られた反応均質複合沈殿物を濾過し、充分に水洗した
後、水20ミリリットルと水酸化リチウム水和物[Li
(OH)・H2 O]1.45gとよりなる溶液を加えて
スラリー状とし、オートクレーブに移す。15.9kg
/cm2 、200℃で3時間反応させる。冷却後、反応
生成物をとりだし、80℃で乾燥し、式(化6)で表さ
れるCoを含有した合成スメクタイトを得た。
【0028】
【化6】
【0029】式(化6)で表されるCoを含有した合成
スメクタイトをジメチルジオクタデシルアンモニウムク
ロライドで親油化処理して得られる有機無機複合体1部
に対し、アクリル系樹脂及びトルエンとの混合物からな
る市販の分散媒1部を加え、三本ローラーで充分に混合
分散させることにより、ペースト状態の混合物の本発明
の陶磁器用加飾顔料組成物を得た。このペーストを印刷
用のインクとしてスクリーン印刷の技法により、実施例
1と同様の素焼板上に任意の模様を印刷した。また別
に、任意の模様をデキストリンを含ませた紙の上に印刷
し、オーバーコートを施すことにより転写紙を作製し、
この転写紙を実施例1と同様の素焼板上に貼り付けた。
その素焼板を再び900℃で仮焼きを行い、紙等の有機
物を焼きとばした。これらの素焼板に実施例1と同じ釉
薬をかけ、1300℃(SK10番)、還元雰囲気(C
O濃度約3%)で焼成を行った。これにより表面にぼか
しのきいた青色で任意の模様が施された磁器質タイル板
が得られた。
【0030】(実施例3)式(化6)で表されるCoを
含有した合成スメクタイト1部に対し、水5部及び分散
剤としてアクリル酸ナトリウム0.02部を加え、三本
ローラーで充分に混合分散を行うことにより、105
106 センチポアズ程度の著しい粘性を持つペースト状
態の本発明の陶磁器用加飾顔料組成物を得た。このペー
ストを印刷用のインクとしてパッド印刷の技法により、
直径約20cmの一般的な皿の形状を持ち、900℃で
仮焼きを行った天草撰上陶土の素焼素地に対して印刷を
行った。室温乾燥により合成スメクタイトは素焼素地表
面上に固く付着し、その表面を指で普通にこする程度で
は剥離等は生じなかった。この素焼に対し実施例1と同
じ釉薬をかけ、1300℃(SK10番)、還元雰囲気
(CO濃度約3%)で焼成を行った。これにより表面に
ぼかしのきいた青色で任意の模様が施された磁器質タイ
ルが得られた。
【0031】(実施例4)実施例1と同様の方法でM2+
イオンを銅、鉄、マンガンに変えた合成スメクタイトを
作り、実施例3と同様にして素焼板上に任意の模様を印
刷し、実施例1と同じ釉薬をかけ、焼成前の色調と、1
300℃(SK10番)で酸化雰囲気で焼成した後の色
調、および還元雰囲気(CO濃度約3%)で焼成を行っ
た後の色調を調べた。いづれの場合も表面にぼかしのき
いた下記の色調で任意の模様が施された磁器質タイル板
が得られた。
【0032】 M2+イオン 焼成前の色調 焼成(1300℃)後の色調 (結晶構造) 酸化 還元 コバルト 紫(スメクタイト構造) 青 青 ニッケル 緑( 〃 ) 茶 茶 銅 淡緑( 〃 ) 深緑 深緑 (赤)(注1) 鉄 茶( 〃 ) 黄 淡い青 マンガン 黄( 〃 ) 褐色 茶
【0033】(注1);釉薬として、福島長石42.7
%、石灰石23.0%、仮焼タルク6.6%、カオリン
7.7%、珪石20.0%からなる原料配合物をポット
ミルで粉砕してKNaO0.20、CaO0.65、M
gO0.15、Al23 0.30、SiO2 2.5か
らなる組成の土灰釉(石灰マグネシア釉)を用いた。
【0034】(実施例5)実施例1で用いたタイル型素
焼板に実施例1で用いた釉薬を施し、1300℃(SK
10番)、還元雰囲気(CO濃度約3%)で焼成を行
い、加飾が施されていない磁器質タイルを得た。このタ
イルの釉面上に、実施例2の本発明の陶磁器用加飾顔料
組成物を用いて作製した転写紙を貼り付け、転写紙乾燥
後、1280℃(SK9番)、還元雰囲気(CO濃度約
3%)で焼成を行った。これにより表面に青色の模様で
ぼかしのきいた加飾が施された磁器質タイル板が得られ
た。
【0035】(実施例6)実施例1で用いた合成スメク
タイトを実施例1で用いた釉薬に配合したものを、実施
例1で用いたタイル型素焼板に施した。乾燥後に、13
00℃(SK10番)、還元雰囲気(CO濃度約3%)
で焼成を行った。これにより表面が褐色の加飾が施され
た磁器質タイル板が得られた。
【0036】(実施例7)実施例1で用いた天草撰上陶
土に実施例1で用いた合成スメクタイトを配合したもの
を素地として用い、茶わんの形にしたものを乾燥後、9
00℃で仮焼を行い、その後、1300℃(SK10
番)、還元雰囲気(CO濃度約3%)で焼成を行った。
これにより褐色の加飾茶わんが得られた。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明の陶磁器用加
飾顔料組成物は、顔料の材質として、いろいろな発色性
金属元素を有した種類を合成することが可能な合成スメ
クタイトを利用しているので、顔料としての多様性が生
まれる効果がある。また発色性金属元素を任意の比率で
含有させること、あるいは異なる金属元素を含む合成ス
メクタイトを2種類以上混合して用いることも可能であ
るため、中間的な色調を有する顔料の合成が可能とな
る。
【0038】合成スメクタイトは一次粒子の凝集体とし
て得られるが水や有機溶媒に容易にほぼ一次粒子として
分散するので、合成後の微細粒子への粉砕工程が不必要
となり、粉砕に要する経費が節減できる。また他の材料
と混合した場合に、微粒子であるため均一に混合がで
き、加飾した模様に色ムラ等の欠点が生じにくくなる。
さらに素焼等に加飾した場合、素焼表面に粒子を固く付
着させることができるため、顔料の剥落や汚染等の欠点
が生じにくくなり、製造ラインでの取り扱が容易とな
る。合成スメクタイトは水や有機溶媒に分散させると、
顕著な粘性を発現する特性を持っている。従って手描き
技法、直接印刷絵付け技法、転写絵付け技法などの手法
により絵付けすることができる。素地そのもの、釉の下
部(下絵付)、釉の内部(シンクイン絵付)、釉の表面
(上絵絵付)などに加飾した陶磁器を製造することがで
きる。例えば、印刷的技法を用いて加飾を行う場合、従
来添加していた粘性を付与するための助剤が不必要にな
り、印刷用インクを調整する調合作業が簡便かつ容易に
なる。また助剤を添加しないため、助剤の顔料に対する
希釈効果がなくなり、相対的に顔料粒子の含有量が増加
して金属元素の濃度が高くなり、強い発色が得られる。
【0039】従来粘性を付与するための有機質助剤を添
加した場合、腐敗や変質、乾燥固化等によって印刷用イ
ンクの長期間保存は不可能であったが、合成スメクタイ
トは無機材料であるため腐敗や変質がなく、乾燥固化後
も水や有機溶媒を加えるだけ再利用ができるため、長期
間保存した後も安定して使用することができる。本発明
の陶磁器用加飾顔料組成物を用いるとぼかしのきいた芸
術的な発色が容易に得られる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】 式中のXはアルカ金属イオン、X2+はアルカリ土
類金属イオン、M3+は3価の金属イオン、M2+は2
価の金属イオンを表す。n≧0。なお、( )内
の”,”は ”及び/又は”を示す
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【化2】 式中のM2+は2価の金属イオンを表す。aとbとcの
値は、2.5≦a≦3.5、0≦b<3、0<c≦1で
ある。なお、( )内の”,”は ”及び/又は”を示
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【化3】 式中のXはアルカ金属イオン、X2+はアルカリ土
類金属イオン、M3+は3価の金属イオン、M2+は2
価の金属イオンを表す。n≧0。なお、( )内
の”,”は ”及び/又は”を示す
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【化4】 式中のM2+は2価の金属イオンを表す。aとbとcの
値は、2.5≦a≦3.5、0≦b<3、0<c≦1で
ある。なお、( )内の”,”は ”及び/又は”を示
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩▲崎▼孝志 宮城県多賀城市東田中2−40−31−103 (72)発明者 武内 浩一 長崎県佐世保市花高2−1−10−301 (72)発明者 藤崎 敏和 新潟県豊栄市早通南1−2−7 (72)発明者 斉木 博 埼玉県浦和市大字太田窪2074−2

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼成後に目的とする色調を呈する元素を
    含む下式(化1)で示されるスメクタイト構造を有し且
    つ焼成前は該色調とは異なる色調を有する合成珪酸塩か
    ら選択される少なくとも1種類を主成分とする陶磁器用
    加飾顔料組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】 該合成珪酸塩が親油化処理されたもので
    あることを特徴とする請求項1記載の陶磁器用加飾顔料
    組成物。
  3. 【請求項3】 該合成珪酸塩が下式(化2)で示される
    スメクタイト構造を有する合成珪酸塩であることを特徴
    とする請求項1あるいは請求項2記載の陶磁器用加飾顔
    料組成物。 【化2】
  4. 【請求項4】 該合成珪酸塩の水分散液あるいは有機溶
    媒分散液を用いることを特徴とする請求項1から請求項
    3記載の陶磁器用加飾顔料組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の陶磁器用加飾顔料組成
    物から選択される少なくとも1種類を用いて、加飾前の
    陶磁器あるいは陶磁器前駆体上に直接あるいは釉を介し
    て絵付けし、必要に応じてその上に施釉した後、酸化雰
    囲気および/または還元雰囲気中で焼成して、目的とす
    る色調を有する加飾陶磁器を得ることを特徴とする加飾
    陶磁器の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の陶磁器用加飾顔料組成
    物から選択される少なくとも1種類を素地練り込み用顔
    料として用いて陶磁器前駆体を作り、酸化雰囲気および
    /または還元雰囲気中で焼成して、目的とする色調を有
    する加飾陶磁器を製造するか、あるいは請求項1に記載
    の陶磁器用加飾顔料組成物から選択される少なくとも1
    種類の上記種類とは異なる種類および/または同一の種
    類を用いて、該加飾陶磁器あるいは該陶磁器前駆体上に
    直接あるいは釉を介して絵付けし、必要に応じてその上
    に施釉した後、酸化雰囲気および/または還元雰囲気中
    で焼成して、目的とする色調を有する加飾陶磁器を得る
    ことを特徴とする加飾陶磁器の製造方法。
  7. 【請求項7】 釉薬中に請求項1に記載の陶磁器用加飾
    顔料組成物から選択される少なくとも1種類が配合され
    ていることを特徴とする請求項5あるいは請求項6記載
    の加飾陶磁器の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08253358A (ja) * 1995-03-15 1996-10-01 Enogushiyou Yamaka Shoten:Kk 陶磁器などの絵付け方法
JP2012193088A (ja) * 2011-03-17 2012-10-11 Taiheiyo Cement Corp リチウムイオン電池用正極活物質の製造法
KR101500861B1 (ko) * 2013-10-07 2015-03-10 유기정 도자기의 콜로이드 소성방법
JP2016017022A (ja) * 2014-07-10 2016-02-01 淺田 晶久 粘土成形焼成燻化物およびその製造方法

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