JPH06307300A - リング溝を有する容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リング溝の表面にバリ，段差を生ずることが
なく，シール性能に優れた，リング溝を有する容器を提
供すること。 【構成】 環状のシール材２９１を嵌合するためのリン
グ溝を有する容器２であって，該容器２はリング溝の底
部において，リング溝の一方の第１溝壁２５１を有する
第１部材２５と，リング溝の他方の第２溝壁２６１を有
する第２部材２６とに２分割されて，予め成形されてい
る。これらは，第１溝壁２５１と第２溝壁２６１とが隣
接してリング溝を形成するように，互いに結合されてい
る。上記容器２は，例えば自動車の蒸発燃料処理装置に
おける，高分子吸収剤室のケース等に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は，例えば蒸発燃料処理装
置に用いられるシール性能に優れた，リング溝を有する
容器に関する。

【０００２】

【従来技術】自動車には，燃料タンクにおける蒸発燃料
を吸収捕捉するために，キャニスタのごとき蒸発燃料処
理装置を設けることが提案されている（例えば，特開平
１−２２７８６１号公報）。図８に示すごとく，上記蒸
発燃料処理装置９０は，燃料タンク８２より燃料８の一
部が蒸発するため，その蒸発燃料８０を大気に漏らさな
いようにするために使用される。上記蒸発燃料処理装置
９０は，図８に示すごとく，次のように構成されてい
る。そして，そこには，本発明に関係する，リング溝を
有する容器として，高分子吸収剤３を収納した容器９が
用いられている。

【０００３】即ち，図８に示すごとく，この装置におい
ては，活性炭４を充填した活性炭室１１の側面に隔壁２
０１を介在させて，収納室２０２を設け，該収納室２０
２の中に上記容器９を収納している。

【０００４】容器９は，高分子吸収剤３を収納して高分
子室を構成すると共に，その下部にほぼ水平方向に設け
た内部パイプ９５を有する。該内部パイプ９５は，燃料
捕捉時において液体として捕捉された液体燃料は通さ
ず，蒸発燃料８０は通すものである。また，内部パイプ
９５は，上記活性炭室１１の下方へ開口している。

【０００５】また，容器９は，その上方にキャップ部９
２を有する。キャップ部９２の外周には，図８，図９に
示すごとく，隔壁２０１及び外壁２０５との間に，シー
ル材２９１が介設してある。即ち，上記容器９は，図９
に示すごとく，筒状本体９１と，その上に嵌合された上
記キャップ部９２とよりなる。上記筒状本体９１は，内
壁９１０を有する。

【０００６】また，上記キャップ部９２は，上方外周に
設けた直角状のリング溝９０と，筒部９２５と，その外
周に設けた固定用リブ９２３と，内壁９２０を有する。
また，キャップ部９２の内部には，高分子吸収剤３が飛
び出ることを防止するため，スクリーン９２４が設けて
ある。上記リング溝９０は，溝壁９２１，９２２からな
る。一方，図８に示すごとく，活性炭室１１は，収納タ
ンク１０内に形成されている。

【０００７】次に，上記蒸発燃料処理装置９０の作用に
つき説明する。まず，図８に示すごとく，燃料タンク８
２から蒸発した蒸発燃料８０は，導入パイプ１５を経
て，収納室２０２内に導入され，更にその上方に設けた
キャップ部９２を通って高分子室としての容器９内に入
る。そして，高分子吸収剤３に吸収される。

【０００８】一方，高分子吸収剤３に吸収されなかった
蒸発燃料８０は内部パイプ９５を経て，活性炭室１１下
方の下部空間室３４に至る。そして，その蒸発燃料８０
は多孔隔壁１９０を通過して，活性炭室１１に入り活性
炭４に吸着される。この状態を，図８に実線矢印により
示す。

【０００９】次に，パージの際には，エンジン吸気管８
５における負圧により，図８に点線矢印で示すごとく，
大気パイプ１７より空気６が吸入される。次いで，空気
６は活性炭室１１，下部空間室３４，内部パイプ９５を
経て容器９内に入り，更に収納室２０２上部のパージパ
イプ１６を経て，吸気管８５に入る。なお，図８におい
て，符号１５１，１６１はバルブである。

【００１０】この間に，空気は活性炭４，高分子吸収剤
３に吸収されていた蒸発燃料８０を離脱させる。そし
て，ここに重要なことは，上記の燃料捕捉時又はパージ
時のいずれの場合にも，蒸発燃料８０又は空気６を必ず
容器９内の高分子吸収剤３に接触させることである。そ
のため，上記のシール材２９１によるシールには，優れ
た気密性が要求される。

【００１１】

【解決しようとする課題】しかしながら，上記従来技術
には次の問題がある。即ち，図９に示すごとく，上記シ
ール材２９１は，容器９における上記キャップ部９２の
リング溝９０に取付けられている。そして，キャップ部
９２は，合成樹脂により成形されている。また，上記キ
ャップ部９２を成形するに当たっては，縦方向の型割
（パーティションライン）を有する左右一対の金型を用
いている。

【００１２】そのため，キャップ部９２のリング溝９０
においては，図１０に示すごとく，左右の金型における
パーティションライン部分にバリ９８が生じる場合があ
る。その結果，上記シール材２９１をリング溝９０内に
取付けた場合，シール材２９１とリング溝９０との間に
若干の隙間を生じ，シール性能が低下する。また，バリ
取りを行う必要があるが，特に上記リング溝９０は，直
角状凹部よりなるため，バリ取り作業は困難である。

【００１３】また，図１１に示すごとく，上記パーティ
ションライン部分に，段差９９が生じる場合がある。こ
の場合も，上記バリ９８の場合と同様に若干の隙間を生
じシール性能が低下する。本発明は，かかる従来の問題
点に鑑みてなされたもので，リング溝の表面にバリ，段
差を生じることがなく，シール性能に優れた，リング溝
を有する容器を提供しようとするものである。

【００１４】

【課題の解決手段】本発明は，環状のシール材を嵌合す
るためのリング溝を有する容器であって，該容器は，リ
ング溝の底部において，リング溝の一方の第１溝壁を有
する第１部材と，リング溝の他方の第２溝壁を有する第
２部材とに２分割されて，予め成形されており，上記第
１部材と第２部材とは，上記第１溝壁と第２溝壁とが隣
接して上記リング溝を形成するように，互いに結合され
ていることを特徴とするシール用リング溝を有する容器
にある。

【００１５】本発明において，最も重要なことは，容器
はリング溝の底部において，第１溝壁を有する第１部材
と，第２溝壁を有する第２部材とに２分割されて，予め
成形されていることである。

【００１６】上記第１部材と第２部材とは，合成樹脂材
料を用いて成形した樹脂成形体よりなる。そこで，第１
部材と第２部材とは，リング溝の底部において２分割さ
れて予め成形してある。上記リング溝の底部とは，リン
グ溝の最奥部をいう。上記第１溝壁と第２溝壁とは，例
えばそれぞれ４５度のテーパ角の傾斜面を有することが
好ましい（図２参照）。

【００１７】これにより，上記第１溝壁と第２溝壁が隣
接して結合形成した直角凹部状のリング溝に，シール材
を精度良く取付けることができる。上記両部材の２分割
は，上記リング溝の底部において，例えば上下に２分割
される（図１参照）。

【００１８】また，上記の容器とは，例えば，実施例に
示す蒸発燃料処理装置における高分子吸収剤充填用のケ
ースなど，その外周又は内周にシール材嵌合用のリング
溝を有するものをいう。また，この容器は，筒状体，有
底筒状体，或いはこれらに被冠するキャップ等も意味す
る。

【００１９】

【作用及び効果】本発明のリング溝を有する容器は，リ
ング溝の底部において，第１溝壁を有する第１部材と，
第２溝壁を有する第２部材とに２分割されて，予め別個
に成形されている。そのため，容器の成形時において
は，上記第１部材と第２部材とを別々に成形できる金型
を用いる。

【００２０】それ故，従来の容器のごとくリング溝の縦
方向にバリや段差を生じることがない。その結果，リン
グ溝と環状のシール材との間に全く隙間を生じることが
なく，シール性能が向上する。したがって，本発明によ
れば，リング溝の表面にバリ，段差を生じることがな
く，シール性能に優れた，リング溝を有する容器を提供
することができる。

【００２１】

【実施例】

実施例１ 本発明の実施例にかかる，リング溝を有する容器につ
き，図１〜図４を用いて説明する。図１〜図３に示すご
とく，本例の容器２は，自動車用の蒸発燃料処理装置１
における高分子室として使用するものである。

【００２２】上記蒸発燃料処理装置１は，図１〜図３に
示すごとく，活性炭室１１に隣接して上記容器２を配置
し，該容器２内に蒸気移行連通路２１０を形成する内部
パイプ２１を設けたものである。即ち，図３に示すごと
く，本例装置においては，活性炭室１１の側面に隔壁２
０１を介在させて，収納室２０２を設け，該収納室２０
２の中に容器２を配置している。

【００２３】上記容器２は，図２に示すごとく，環状の
シール材２９１を嵌合するためのリング溝２０を有す
る。上記リング溝２０は，その底部２０４において，図
１に示すごとく，その一方の第１溝壁２５１を有する第
１部材２５と，他方の第２溝壁２６１を有する第２部材
２６とに２分割されてなる。

【００２４】そして，両部材２５，２６は合成樹脂を用
いて，それぞれ別個に成形されている。上記リング溝２
０の底部２０４とは，図２に示すごとく，該リング溝の
最奥部のことで，上記第１部材２５と第２部材２６と
は，底部２０４の水平方向において，上下に２分割され
ている。

【００２５】図２に示すごとく，上記第１部材２５と第
２部材２６とは，上記第１溝壁２５１と第２溝壁２６１
とが隣接してリング溝２０を形成するよう，互いに結合
されてなる。そして，上記第１部材２５と第２部材２６
とは，接着剤，圧入，或いはアンダーカット止め等によ
り接合されて，容器２を構成している。

【００２６】また，図２に示すごとく，シール材２９１
は，断面４角形の環状体で，上記リング溝２０内に嵌合
されている。このシール材２９１は，ゴム，発泡樹脂成
形品等の弾性部材よりなる。上記第１溝壁２５１と第２
溝壁２６１とは，それぞれ４５度のテーパ角θからなる
傾斜面を有する（図１）。

【００２７】また，図１に示すごとく，第１部材２５
は，その外周に設けた位置合わせ用のリブ２５２を，筒
状の第２部材２６の内壁面２６０に嵌合することによ
り，容器２を形成する。また，上記リング溝２０の底部
２０４には，第１部材２５の段部２５３と第２部材２６
の段部２６２とによって形成された空間部２９０があ
る。

【００２８】この空間部２９０は，図２に示すごとく，
第２部材を吸収室２０２内に収納し，シール材２９１が
内方へ押されたとき，シール材２９１が上記空間部２９
０内に若干食い込みを生じ，シール性を一層向上させ
る。

【００２９】また，容器２は，図３に示すごとく，高分
子吸収剤３を収納すると共に，その下部にほぼ水平方向
に設けた内部パイプ２１を有する。該内部パイプ２１
は，燃料捕捉時において液体として捕捉された液体燃料
は通さず，蒸発燃料８０は通す蒸気移行連通路２１０を
有する。

【００３０】また，内部パイプ２１は，容器２の直径方
向に伸びており，その蒸気排出口２１２は容器２の外
部，即ち上記活性炭室１１の下方の開口部２０３へ開口
し，一方蒸気入口部２１１は容器２の奥方向に位置して
いる。蒸気入口部２１１の前方には空間室２３０を有す
る。

【００３１】また，容器２の第１部材２５はこれに網２
５９を設けてスクリーン蓋を兼ね，更に容器２の側面に
は収納室２０２内に位置決めするためのガイドフィン２
９２を有する。容器２の上部のリング溝２０には，隔壁
２０１及び外壁２０５との間に，環状のシール材２９１
が介設してある。また，スクリーン蓋と収納室２０２の
天井板２０６との間には，容器２を安定保持するため
の，スプリングコイル２０７が介設してある。天井板２
０６には，パージパイプ１６，導入パイプ１５が連結さ
れている。

【００３２】一方，活性炭室１１は，収納タンク１０内
に活性炭４を充填することにより形成されている。ま
た，容器２においては，パージ用空気が下部より均等に
高分子吸収剤３に通気されるように，空間室２３０を設
けてある。

【００３３】また，高分子吸収剤３がこの空間室２３０
に脱落しないように，及び空間室２３０に溜まった液体
燃料を高分子吸収剤の方向へ吸い上げるため，通気性を
有する不織布２３５を付設してある。その他は，従来例
と同様である。

【００３４】なお，前記高分子吸収剤としては，具体的
には，例えばポリプロピレン，ポリイソプレン，ポリブ
タジエン，ポリイソブチレン，ポリスチレン，ポリノル
ボルネン，ポリジメチルシロキサン，エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体，スチレン−ブタジエン共重合
体，エチレン−プロピレン共重合体，イソブチレン−イ
ソプレン共重合体，ブタジエン−アクリロニトリル共重
合体があり，これらの１種又は２種以上を用いる。

【００３５】上記高分子吸収剤には，未架橋高分子，架
橋高分子（高分子ゲル）があるが，いずれも用いること
ができる。前者の未架橋高分子は，燃料に溶解或いは膨
張するタイプのもので，一般には疎水性高分子と呼ばれ
ており，前記ポリイソプレン等のホモポリマー，スチレ
ン−ブタジエン共重合体等のコポリマーなどがある。

【００３６】次に，作用効果につき説明する。本例のリ
ング溝２０を有する容器２においては，図１に示すごと
く，リング溝２０の底部において第１溝壁２５１を有す
る第１部材２５と，第２溝壁２６１を有する第２部材２
６とに２分割されてなる。

【００３７】それ故，容器２の成形時においては，図４
に示すごとく，水平方向（上下方向）のパーティション
ライン７４を有する上型７１と下型７２からなる金型７
を用いる。この金型７は，第１部材２５を成形するため
のもので，これと同形状のキャビティー７０を有する。

【００３８】このように，第１部材２５と第２部材２６
とは，それぞれ別個に成形される。そのため，従来の容
器９のごとく縦方向にバリ９８や段差９９を生じること
がない（図１０，図１１参照）。

【００３９】その結果，リング溝２０とシール材２９１
との間には，図２に示すごとく，全く隙間を生じること
がない。そのため，シール材２９１のシール性能が向上
する。また，上記第１溝壁２５１と第２溝壁２６１と
は，図１に示すごとく，それぞれ４５度のテーパ面θを
有する。

【００４０】そのため，上記リング溝２０内には，図２
に示すごとく，上記シール材２９１を精度良く，しかも
容易に取付けることができる。その他，蒸発燃料処理装
置の作用効果は，従来例と同様である。

【００４１】実施例２ 本例の容器２は，図５〜図７に示すごとく，上部にキャ
ップシール部２Ａを設け，該キャップシール部２Ａを２
分割して，第１部材２７と第２部材２８とにしたもので
ある。これらは，筒状体２６Ａの上部に嵌合して容器２
を構成する。

【００４２】上記第１部材２７は，図６に示すごとく，
本体２７１の下方に第１嵌合用係止部２７２を有し，ま
たその下部にはスクリーン蓋２５９を配置する内壁２７
０を有する。

【００４３】上記第２部材２８は，図６に示すごとく，
本体２８１の下方に係止用ツバ２８３と嵌合用係止部２
８４とを有する。また，図５，図６に示すごとく，上記
第１部材２７と第２部材２８とは，リング溝２０を形成
するための第１溝壁２７６と第２溝壁２８６とを有す
る。

【００４４】キャップシール部２Ａを組み付けるに当た
っては，図６に示すごとく，まず上記第１部材２７の上
記第１嵌合用係止部２７２を，第２部材２８の嵌合内周
部２８５に嵌合し，両者を接着剤，圧入，アンダーカッ
ト止め等を用いて強固に結合する。次に，第２部材２８
の上記第２嵌合用係止部２８４を，筒状体２６Ａの内壁
２６０に嵌合し，これらを強固に結合する（図５，図
７）。

【００４５】これにより，図７に示すごとく，上記第１
部材２７と，第２部材２８と，筒状体２６Ａとが一体に
なった容器２を得ることができる。そして，上記第１溝
壁２７６と第２溝壁２８６とによって形成されるリング
溝２０には，図７に示すごとく，シール材２９１を装着
する。その他は，実施例１と同様である。本例において
も，実施例１と同様の効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１にかかる，２分割されたリング溝を有
する容器の断面図。

【図２】実施例１にかかる，容器の要部拡大断面図。

【図３】実施例１にかかる，蒸発燃料処理装置における
容器の使用状態を示す全体説明図。

【図４】実施例１にかかる，容器の第１部材を成形する
ための金型の断面図。

【図５】実施例２にかかる，容器の組み付け状態を示す
説明図。

【図６】実施例２にかかる，２分割されたリング溝を有
する容器の組み付け状態を示す説明図。

【図７】実施例２にかかる，リング溝を有する容器の組
み付け終了状態を示す説明図。

【図８】従来の蒸発燃料処理装置における容器の使用状
態を示す全体説明図。

【図９】従来の容器の要部拡大図。

【図１０】従来の容器の成形時における問題点を示す説
明図。

【図１１】従来の容器の成形時における他の問題点を示
す説明図。

【符号の説明】

１．．．蒸発燃料処理装置， ２．．．容器， ２０．．．リング溝， ２５，２７．．．第１部材， ２５１，２７６．．．第１溝壁， ２６，２８．．．第２部材， ２６１，２８６．．．第２溝壁， ２９１．．．シール材， ３．．．高分子吸収剤， ４．．．活性炭，

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 環状のシール材を嵌合するためのリング
   溝を有する容器であって，該容器は，リング溝の底部に
   おいて，リング溝の一方の第１溝壁を有する第１部材
   と，リング溝の他方の第２溝壁を有する第２部材とに２
   分割されて，予め成形されており，上記第１部材と第２
   部材とは，上記第１溝壁と第２溝壁とが隣接して上記リ
   ング溝を形成するように，互いに結合されていることを
   特徴とするシール用リング溝を有する容器。