JPH0630595B2 - 微生物菌体を用いる油脂のエステル交換方法 - Google Patents

微生物菌体を用いる油脂のエステル交換方法

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JPH0630595B2
JPH0630595B2 JP63139798A JP13979888A JPH0630595B2 JP H0630595 B2 JPH0630595 B2 JP H0630595B2 JP 63139798 A JP63139798 A JP 63139798A JP 13979888 A JP13979888 A JP 13979888A JP H0630595 B2 JPH0630595 B2 JP H0630595B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は微生物菌体を用いる酵素反応方法に関し、皿に
詳しくは、リパーゼ酵素を触媒として用いて行われる油
脂類の構成成分であるトリグリセライド間でのエステル
交換反応に関する。
〔従来の技術〕
従来、油脂のエステル交換反応はアルカリ金属、アルカ
リ金属アルコキシラート、アルカリ金属水酸化物などを
触媒として行われてきたが、この方法では交換位置に特
異性がないため、最近リパーゼ酵素を用いる方法が数多
く報告されている。しかし乍ら、トリグリセライドのご
とき水と混じりあわない基質(反応物質)に、水に溶解
して或いは水が存在して初めて活性が発現する酵素を触
媒として作用させる場合には、下記の如き幾つかの問題
が存在する。
(1)基質と酵素との接触機会を増やすには、基質中に
直接酵素を添加することが望ましいが、油脂や有機溶媒
中では酵素を何等かの形で保護してやらない限り酵素は
急激に失活する。従来、多く報告されているリパーゼ酵
素を利用する方法では吸着剤の様な担体に酵素を吸着さ
せることにより失活を防止しているが、脱着すると失活
する。
(2)酵素近傍の水分量が多すぎると、反応は加水分解
が支配的となりエステル化が進まない。逆に水分量を減
らしすぎると、エステル交換反応速度は小さくなる。従
来の方法では、反応初期における反応系の水分濃度が0.
005〜1.0重量%の範囲がエステル交換反応に適した水分
量であるとされているが、反応中の水分量の調整は行わ
れていない。また水のかわりに2〜3価の低級アルコー
ルを用いる方法が提案されているが、本発明者らの経験
によると、反応速度が小さく実用性に乏しい。
(3)吸着担体に酵素を吸着させると、反応物質が担体
上の酵素にまで拡散しにくく、特に担体の細孔内に吸着
された酵素は実質的に反応に関与し得ず、特にこの傾向
は親水性の担体を用いる場合に強くなる。
この様に油相系の反応物質に対し、水相系で活性を発現
するリパーゼ酵素を触媒とするエステル交換反応を行う
に際しては、酵素を失活させず、また反応系の水分量は
適当な微水環境に維持されなければならず、しかも酵素
と反応物質に充分な接触機会が提供されなければならな
い。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来の方法は上述の(2)のみに留意し、しかも反応初
期の水分濃度のみに着目しているに過ぎない。従って、
本発明者らの検討結果によれば、反応速度が遅く実用性
に乏しい。更に従来の方法は精製酵素を利用するため、
煩雑な酵素の分離、精製工程および固定化酵素製造工程
を必要とし、これらは反応触媒の製造コストを上昇さ
せ、工業的、経済的観点からは不都合であると言わざる
を得ない。
また、上述のごとくリパーゼによるエステル交換反応
は、トリグリセライド(TG)をジグリセライド(D
G)、モノグリセライド(MG)、或いはグリセリンと
脂肪酸(FA)とに加水分解する反応と、該加水分解物
を再びトリグリセライド等に合成する反応とに可逆反応
の結果生じるものと考えられる。従って、エステル交換
反応では水の存在が必須であるが、水分の添加量が多く
なると、遊離の脂肪酸、モノグリセライド、ジグリセラ
イド等の副生成分を多量に生成してトリグリセライドの
収率を低下せしめ、或いは製品トリグリセライドの品質
を低下させる。また反応系の水分量が少なすぎると、酵
素の触媒活性を充分に発現させることが出来ず、反応速
度が小さくなる。従って、エステル交換反応を効果的に
行うためには、反応系を常に適切な微水濃度に維持しな
ければならない。
そこで、工業的にエステル交換反応を実施可能とするに
は、安価なリパーゼの製造方法、及び酵素近傍の水分濃
度を常に最適な微水濃度に調整する方法の開発が高い反
応速度を得、また副反応生成物を抑制し、更に効果なリ
パーゼ酵素を無駄なく有効利用する上で必要とされてい
た。
〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは上述の如き課題を解決し、長期間酵素を失
活させず、しかも充分な反応速度を持ち、工業的に安価
な製造コストで利用できるリパーゼの利用形態について
鋭意検討の結果、リパーゼ生成能を有する微生物を培養
し、そのリパーゼを菌体内に包蔵した状態で乾燥あるい
は極性溶媒、非極性溶媒で処理した後、トリグリセライ
ドの混合物にリパーゼ触媒として供することによって、
そのエステル交換反応を効率良く実施せしめ得ることを
見出した。更に、この様な菌体を利用するエステル交換
反応では反応液と菌体との間に水分の吸着平衡関係が成
立することを見出し、反応液中の水分濃度を検出すれ
ば、この平衡関係を用いて間接的に菌体の水分濃度を求
め得ることを知見した。従って、同様の平衡関係によっ
て、所望の菌体内水分濃度に対応するように反応液中の
水分濃度を調整することによって、その結果として菌体
内管水分濃度を所望の値に調整できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
即ち、本発明は反応液中の水分濃度を10〜500ppm
に調整することにより、菌体と反応液との間の水分吸着
平衡関係を利用して、リパーゼを含有する菌体の水分含
量を0.1〜20重量%にコントロールしながらグリセラ
イドと反応させることを特徴とする、微生物菌体を用い
る油脂のエステル交換方法を内容とするものである。
本発明に用いられる微生物としては、リパーゼ生産能を
有する微生物であればすべて用いることが出来るが、リ
ゾプス(Rhizopus)属としては、例えばリゾプス・キネ
ンシス(Rh.chinensis)、リゾプス・デレマー(Rh.del
emar)、リゾプス・ジャポニカス(Rh.japonicus)、リ
ゾプス・オリゴスポラス(Rh.oligosporus)、リゾプス
・ニベウス(Rh.niveus)、リゾプス・ジャヴァニカス
(Rh.javanicus)など;ムコール(Mucor)属として
は、例えばムコール・ジャヴァニカス(Mucor javanicu
s)など;アスペルギルス(Aspergillus)属としては、
例えばアスペルギルス・ニガー(As-pergillus niger)
など;ジョートリクム(Geotri-chum)属としては、ジ
ョートリクム・カンディダム(Geotrichum candium)な
ど;キャンディダ(Candida)属としては、キャンディ
ダ・シリンドラッセ(Candida cylindoracea)など;コ
リネバクテリウム(Corynebacterium)属としては、コ
リネバクテリウム・イクイ(Corynebacterium equ-i)
など;スタフィロコッカス(Staphyrococcu-s)属とし
てはスタフィロコッカス・アウレウス(Staphyrococcus
aureus)等がその代表的なものとして挙げられ、いず
れも容易に入手することが出来る。
これらの微生物は通常公知の回分、半回分、連続培養法
等を用いて培養されるが、本発明者らの検討結果によれ
ば、その培地成分に関してリパーゼ生成に対して阻害作
用を有するアミノ酸群が存在し、これら阻害作用の大き
いアミノ酸群の含有率の低い有機窒素源を主成分として
用いることによりこれら微生物のリパーゼ生成能を高め
得ること、またアミノ酸またはアミノ酸およびペプチド
を主成分とする基質を流加して培養液中のアミノ酸濃度
を低濃度に保ちながら培養することによりこれら微生物
のリパーゼ生成能を高め得ることを見出した。これらの
有機窒素源としては、ポリペプトン、イーストエキス、
マルトエキス、イーストペプトン、プロエキス、肉エキ
ス、コーンスティープリカー等をその代表的なものとし
て挙げることが出来る。
またその培地中にグリセライドまたは脂肪酸などの脂質
関連物質を誘導物質として0.2〜80重量%培養初期あ
るいは培養中に添加すると、菌体内のリパーゼ活性は一
層高められる。このような脂質関連物質としては、オリ
ーブオイル、茶油、魚油などのトリグリセライド類、オ
レイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸類、オ
レイルアルコール、リノールアルコール等の高級アルコ
ール類、オレイン酸メチル、カプリン酸エチル等のエス
テル類をその代表的なものとして挙げることが出来る。
更に培地中に予め微生物保持材、例えば1〜2000μ
mの多孔質粒子を仕込み、微生物を該粒子内あるいは粒
子表層近くで増殖させることにより、菌体内のリパーゼ
活性を飛躍的に上昇させることができる。
このような微生物保持材としては、微生物の持つ粘着
力、吸着力により微生物の吸着増殖を可能ならしめる任
意の材料が使用できる。例えば高分子多孔質材料として
は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレ
フィン系;ブタジエンまたはイソプレンなどのジエン
系;ポリ塩化ビニル、アクリルアミドまたはポリスチレ
ンなどのビニル重合体;ポリエーテル、ポリエステル、
ポリカーボネートまたはポリアミドなどの縮合系;ポリ
ウレタン、シリコン及びフッ素系樹脂などの材料;また
無機材料としてはセラミックス、ガラス、活性炭、及び
多孔質金属や金属繊維加工材料などが使用できる。いず
れの材料においても微生物を良好に該保持材に固定化さ
せるためには、空隙率が10〜99%、孔径が1〜20
00μmの範囲にある多孔質材料か、空隙率が10〜9
9%である金属加工材料等を使用するのが好ましい。
このような微生物保持材は微生物の種類及び培養条件等
によって適宜選択でき、形状については例えば球状、ブ
ロック状あいはシート状等に加工して使用することがで
きる。寸法については、微生物の種類、培養条件、反応
器の種類等によって異なるが、球状であれば概ね直径1
〜100mm、ブロック状のものであれば一辺が概ね1〜
100mmのものが使用される。また、微生物を上記保持
材に固定化させるには、通常公知の回分、半回分、連続
培養法等を用いて容易に達成される。
微生物保持材の添加量としては、5〜40容量%が微生
物の増殖及び固定化の条件として好ましい。
本発明において、培養槽への通気は空気、酸素あるいは
両者の混合ガスが用いられ、培養槽としては、攪拌機型
または無攪拌機型、気泡塔型のあらゆる形式のものが適
用できるが、通常、微生物保持材に固定化増殖させるに
は、無攪拌機型の培養槽が操作面及びコスト面から一層
好ましい。
更に、本発明においては微生物保持材とともに培養する
場合は、前述の様に菌体内のリパーゼの誘導物質として
加えられるグリセライド類や脂肪酸類は、例えば微生物
保持材として親油性の高分子材料、例えばポリウレタン
等を用いる場合、これらの脂質関連物質は微生物保持材
内に吸収される。従って、脂質関連物質が多量に微生物
保持材内に吸収されると、微生物保持材内への酸素、基
質の移動抵抗が大きくなり、微生物保持材内での増殖に
対してマイナス要因となるばかりでなく、ひいては微生
物保持材内での増殖が不可能となるためリパーゼ生成は
促進されなくなる。従って、微生物保持材を用いる場合
に加えられる脂質関連物質の量は好ましくは0.2〜8
%、より好ましくは0.2〜2%である。
更に微生物保持材内での安定した増殖を保ち、微生物の
微生物保持材からの剥離を抑制するためには、培養液中
の乱流強度及び培養液中の微生物保持材の濃度が重要な
因子となる。従って、微生物保持材内でのリパーゼを生
成する微生物の安定した増殖を維持するための乱流強度
としては、攪拌機型の培養槽では攪拌レイノルズ数で好
ましくは10〜10、より好ましくは10〜10
となる攪拌条件で操作される。
無攪拌機型の気泡塔では、特に微生物保持材からの微生
物の剥離の問題は、通気ガスの吹き抜けが発生する通気
線速度までの範囲においては認められない。従って、通
常1cm/sec、好ましくは1.5cm/sec以上の通気線速度
で操作される。菌体内のリパーゼの漏洩を防ぐという観
点からは1.2〜2.8cm/secの範囲が好ましい。
上述の様に培養して得られた微生物、即ち固定化微生物
は生菌体のまま反応に使用することもできるが、前述の
如く水分含量が大きすぎるとエステル交換収率が小さく
なるため、予め菌体から水分を除去しておくのが望まし
い。また水分を除去した状態では乾燥菌体内のリパーゼ
は非常に安定であり、長期間保存することができる。
微生物から水分を除去する方法としては、原則的には酵
素が失活しない温度(80℃以下)で乾燥すればよい
が、単に水分を蒸発させると細胞組織の収縮が起こり非
常に堅くなり、組織内のリパーゼと外界との接触が断た
れて活性を発揮することが困難となる。従って、菌体を
乾燥させるには細胞組織の収縮を伴わない方法を採用す
るのが好ましい。このため、極性溶媒に菌体を浸して組
織内の水分を極性溶媒に置換した後、極性溶媒を蒸発さ
せる方法により、細胞組織の収縮を抑えて乾燥菌体を得
ることができる。この場合、乾燥方法としては真空ある
いは凍結乾燥、低温乾燥、温風乾燥等の公知の乾燥法が
使用できる。本発明に用いられる極性溶媒としては、水
と混合した場合に水と均一相となるものならいかなるも
のも利用できるが、その代表的なものとしてアセトン、
メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール等の低級アルコール類;エチレングリコール、プロ
ピレングリコール等のジオール類;グリセロール等のト
リオール類などが挙げられる。就中、アセトンやグリセ
ロールが酵素活性をほとんど低下させないので好まし
い。
更に乾燥せずともこのような極性溶媒を非極性溶媒で置
換することによっても、菌体内の水分濃度を所望のオー
ダーまで低下させることができる。本発明で用いられる
非極性溶媒としては、反応基質である油脂類を溶解し得
る物であればいかなる物も用い得る。その代表的なもの
として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタ
ン、ノナン、デカン等のアルキル炭化水素類;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が例示さ
れる。
このようにして培養された菌体は菌体内の水分濃度を0.
1〜20重量%に調整され(以後、リパーゼ含有菌体と
記す)、エステル交換反応に供される。
次にリパーゼ含有菌体、或いは微生物保持材に固定化さ
れたリパーゼ含有菌体はいずれも反応液中に懸濁させる
が、取扱の容易さおよびリパーゼ活性が飛躍的に上昇し
ている点から、工業的には微生物保持材に固定化された
ものを用いる方が好都合である。
前述のごとく酵素近傍の水分量が多すぎると、反応は加
水分解が支配的となりエステル化が進まないので、効率
良くエステル交換反応を実施するためには酵素近傍の水
分量は適当な値に制御されなければならない。本発明者
らはこの点に関して鋭意検討の結果、反応液中の水分濃
度をコントロールすることにより、それに対する吸着平
衡関係に基づいて菌体内の水分濃度を制御できることを
見出した。
以下、具体的な水分量のコントロール方法について記述
する。
本反応系のごとき固液(菌体−反応液)の混在する系で
は、菌体(酵素触媒)内の水分を直接求めることも困難
であるとされているが、本発明者らは菌体(酵素触媒)
に保持された水分を間接的に求める方法を見出した。即
ち、微水系での菌体(酵素触媒)と反応液(油相)との
間に、水分の吸着平衡という関係が存在することに着目
し、予め求めておいたこの平衡関係を用いて反応液中の
極く微量の水分濃度を検出することによって菌体内の水
分量を求める方法である。このような吸着平衡関係は反
応液の種類、組成、菌体或いは菌体が固定化されている
微生物保持材の種類によって異なり、また、それぞれの
組合わせについて各々固有の平衡関係が存在する。この
ような平衡関係は通常の液相吸着の吸着等温線の求め方
に従って容易に得ることができる。例えば、第1図のよ
うな反応液−菌体(酵素触媒)間の水分吸着平衡関係が
得られ、反応時における反応液中の水分濃度をコントロ
ールすることにより、菌体内の水分濃度の制御が可能と
なる。
反応速度に及ぼす水分濃度の影響は、固定化に使用され
る微生物保持材の種類、菌体の種類、菌体のリパーゼ活
性等により様々な様相を呈する。このような系での最適
水分濃度は別途公知の方法により容易に決定することが
でき、種々の微生物について検討した結果、菌体内の最
適水分濃度は概ね0.1〜20重量%が好ましい。この様
な菌体内水分濃度に調整するには反応液中の水分濃度を
10〜500ppmに調整するのがよい。更に好ましくは
10〜200ppmであり、この範囲内では副反応の加水
分解が抑制され。製品の品質が向上する。
水分を分析する手法としては、一般的には試料の水分だ
けを蒸発させその重量変化から試料の水分を求める重量
法や、あるいは脱水反応を利用したカールフィッシャー
の方法が良く知られている。カールフィッシャー法で
は、反応器から液体試料を採取する時に適切なフィルタ
ー(例えば焼結金属や樹脂製の多孔性フィルター)によ
って固相を分離して液相中の水分濃度を測定すればよ
い。その他の手段として、種々の公知の原理に基づいた
オンライン水分濃度計、例えば試料に赤外線を投光し、
吸収された光量を測定する方法や、センサー部の電気的
な抵抗の変化から測定する方法、あるいは液の静電容量
を測定する方法等による水分センサーが使用できる。こ
れらのセンサーを用いて反応器内の反応液中の微量水分
濃度あるいは反応系(固液)の平均水分濃度を測定すれ
ば、固液間の水分の吸着平衡関係を用いて、固相である
菌体(酵素触媒)に保持された水分の量を知ることが出
来る。得られた水分濃度が設定したい値よりも小であれ
ば反応液中の水分濃度を増加し、逆に大であれば減少さ
せることにより、触媒内の水分濃度を常に適量に保つこ
とが出来る。
反応器内の水分を増加する方法としては、水分を直接反
応器中に注入したり、反応液に水分を溶解させた後反応
器に注入する方法が適用できる。注入する反応液は新規
な反応液であってもよく、あるいは反応器から抜き出し
た反応液に水分を溶解したものであつてもよい。また反
応液は水分を飽和溶解したものであつてもよく、あるい
は飽和に達せずにある程度まで水分を溶解したものであ
ってもよい。
反応液に水分を飽和溶解させる方法としては、反応液と
水とを長時間接触させることによって達成できる。また
水分をある程度溶解するためには、水と反応液との接触
時間を調整することによって可能であるが、また反応液
と相互に溶解しない水溶性物質、例えばグリセリン、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール
等の水溶液を反応液と接触させ、反応液−水溶性物質水
溶液間の水分分配平衡を利用することによっても反応液
中の水分濃度の調整が可能である。
反応液中の水分濃度を減少させる方法としては、水分を
除去した新規な反応液を直接反応器中に注入したり、あ
るいは反応器から抜出した反応液から水分を除去し反応
器に戻す方法などが適用できる。
反応液のような有機溶媒系から水分を除去する方法とし
ては、吸水性材料と反応液を接触させることによって達
成できる。吸水性材料としては反応液に溶解せず、また
反応基質と反応しないものであればどんなものでも使用
することができるが、例えばグリセリンやエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキ
シレングリコール、ポリエチレングリコール等の水溶性
物質;モレキュラーシーブ、ゼオライト、シリカゲル、
アルミナ、珪藻土、活性炭、カオリナイト、パーライ
ト、セルロースパウダー、ヒドロキシルアパタイト、キ
トサン等の吸水性物質;グルコース、ガラクトース、リ
ボース、フラクトース等の単糖類;シュクロース、トレ
ハロース、デキストリン、グリコーゲン、デンプン等の
多糖類;焼石膏、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等の
吸水性を有する塩類;水酸化ナトリウム、水酸化カルシ
ウム等の潮解性を有する塩類;または無水硫酸ナトリウ
ムのような結晶水を失った金属塩類等を使用することが
できる。
このように水分を増減するための水分調整装置の型式と
しては攪拌槽式、充填層式等どのような形式であっても
よく、更に撥水性または親水性の多孔性樹脂からなる薄
膜の両面あるいはチューブの内外にそれぞれ反応液と水
または上記水溶性物質の水溶液を流す隔膜式であっても
よい。
本発明の反応方式は回分式でも連続式であってもよい
が、本発明においては酵素活性の劣化度が低減されるた
め、特に長期間にわたる連続式に適している。また反応
器の段数は1段であってもよいが、反応収率を上げるた
めには多段方式を用いてもよい。更に反応装置の形式は
攪拌槽式、充填層式、流動層式、あるいはこれらの組合
わせ等のいずれの型式であってもよい。このうち充填層
式の場合には、供給した水分が反応器入口付近の菌体に
選択的に吸収されてしまうため、効率良く反応させるに
は充填層を小さく分割して段数を大きくしなければなら
ない。
以下に、第2図乃至第5図を用いて、本発明に適用され
る反応装置の例を具体的に説明するが、もとより本発明
はそれらに限定されるものではない。
第2図は、1段の攪拌槽からなる反応器(1)と攪拌槽
式の水分溶解装置(2)を組合わせた装置の例である。
第2図において、水添加口(11)は水添加ポンプ
(7)を介して、水分溶解装置(2)と接続されてい
る。反応液中の水分濃度は水分濃度センサー(4)で常
時測定され、プロセッサー(5)内部で測定値と設定値
を比較して、循環ポンプ(3)、(13)または水添加
ポンプ(7)をON,OFFして注入された水を溶解し
た反応液の反応器(1)への流量が調整され設定値に保
たれる。
第3図は反応器(1)として多段の流動層を有するもの
を用い、各段にそれぞれ攪拌槽式の水分調整装置(8)
を組合わせた装置の例である。第3図において、反応液
と相互に溶解しない水溶性物質の水溶液を反応液と接触
させる水分調整装置(8)が反応器(1)の各段に各々
循環ポンプ(3),(13)を介して接続されている。
第3図では、循環ポンプ(12)を常時稼働させ菌体自
体、あるいは微生物保持材に固定化された菌体を反応器
(1)内で流動させている。反応器(1)内の最下段で
ある。1段目の水分は、水分溶解装置(2)に水添加口
(11)より水添加ポンプ(7)を介して水を提供する
ことによって補われ、さらに2,3段目には各々循環ポ
ンプ(3)を介して水分調整装置(8)が設けられ、該
装置(8)内でグリセリン水溶液と反応液が液滴を形成
しない程度に穏やかに攪拌して接触せしめ、反応液−グ
リセリン水溶液間の水分分配平衡関係を利用して反応液
中の水分濃度を微小に調整する。
第4図は第2図に示した1段の攪拌槽からなる反応器
(1)と攪拌槽式の水分溶解装置(2)に、更にシリカ
ゲルの充填塔からなる水分除去装置(14)を組合わせ
た例である。第4図に示される装置において、反応器
(1)はフィルター(6)と循環ポンプ(3),(1
3)を介して水分溶解装置(2)と接続され、また循環
ポンプ(15)を介して水分除去装置(14)と接続さ
れている。
第2図の場合と同様に、反応液中の水分濃度は水分濃度
センサー(4)で常時測定され、プロセッサー(5)内
部である程度の幅をもつ設定値と測定値を比較して水分
濃度が設定値の下限を下回ると、水添加ポンプ(7)、
循環ポンプ(3),(13)をONにして反応液中の水
分濃度を増加させ、逆に設定値上限を上回ると循環ポン
プ(15)をONにして水分を除去して反応液中の水分
濃度を減少させることにより、水分濃度が精度良く所望
の範囲内に保たれる。
第5図は第3図の多段式流動層を単段としたもので、第
4図と同様にシリカゲルの充填塔を水分除去装置(1
4)として組み込んだ例である。第3図と同様に、循環
ポンプ(12)を常時稼働させ菌体そのもの、あるいは
微生物保持材料に固定化された菌体を反応器(1)内で
流動させ、第4図と同様の水分調整方式で反応液の水分
濃度、すなわち菌体内の水分濃度は所望の値にコントロ
ールされる。
第4図、第5図に示した水分調整方式を用いれば、第2
図、第3図に示した方式に比べより微小の水分濃度を調
整することができるため、副反応である加水分解の進行
をより効果的に抑制でき、エステル交換反応による製品
の収率や品質を一層向上させることが出来る。
上述のように、エステル交換反応に用いられる反応器と
しては、攪拌機型または無攪拌機型、気泡塔型のあらゆ
る型式のものが適用できるが、微生物保持材に固定化さ
れた菌体を用いる場合は菌体の剥離を抑制するという観
点から、反応液の流動が穏やかで剪断力の小さい無攪拌
機型の気泡塔型のものが好ましい。
特に微生物保持材を用いる場合は、その分離、洗浄等が
容易となるので、前述の培養槽として用いた装置を培養
の後そのままエステル交換の反応器として利用すること
も可能である。
本発明に用いるグリセライドとしては通常の動植物性油
脂あるいは合成油脂であり、具体的にはオリーブ油、パ
ーム油、シア脂、大豆油、綿実油、サフラワー油、牛
脂、ラード、魚油、サル脂、マンゴ脂、コーカム脂、ト
リオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、ジオレ
イン、ジパルミチン、ジステアリン、モノオレイン、モ
ノパルミチン、モノステアリン等である。またこれらの
油脂類が通常の分別晶析工程を経て得られるこれら油脂
の高融点部、中融点部、低融点部もまたそれぞれ反応基
質として用いることが出来る。
また本発明において、上記反応基質は直接用いることが
できるが、必要に応じて基質をn−ヘキサン、イソオク
タン、アセトン、エタノール、メタノール、石油エーテ
ル、酢酸エチルのような有機溶媒に希釈して用いること
もできる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例を用いて説明するが、もとより本
発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
尚、%及び部は特に断らない限り、それぞれ重量%及び
重量部を意味する。
実施例1 微生物としてリゾプス・デレマー(Rh.delemar IFO 469
7)を用い、グルコース1%、ポリペプトン7%、NaNO3
0.1%、KH2PO40.1%、MgSO4.7H20 0.05%からなる培地
で30℃で24時間前培養を行い種母を調製した。
5l攪拌槽ジャーファーメンター(いわしや生物化学
(株)製、MBC-5、攪拌翼径8cm)を用いて、次の条件で
回分培養を行った。
使用培地組成:酵母エキス7%、NaNO30.1%、KH2PO40.
1%、MgSO4・7H20 0.05%オリーブオイル6.5% pH:5.6、攪拌数:400rpm 通気量:0.5vvm、温度:30℃ 40時間培養した後、菌体を濾別後、水で2回洗浄、更
にアセトンで2回洗浄した後、真空乾燥機で48時間乾
燥して乾燥菌体を調製した。乾燥菌体内の水分濃度は4
〜6%であった。
この乾燥菌体5部をパーム油中融点画分(1V:35、
トリグリセリド中POP含量:62%)60部と大豆油
40部をヘキサン450部に溶解したものに加え、第2
図に示した反応装置を用いて反応液中の水分濃度を50
ppmにコントロールして、40℃で15時間攪拌してエ
ステル交換反応を実施した。
反応後ヘキサンは分離せず、常法による溶剤分別に供し
た。すなわち10℃において高融点画分カットし、−1
5℃において低融点画分をカットした。得られた中融点
画分の収量はヘキサン除去後の45部であった。
この油脂は軟化点32.8℃、油脂中の1不飽和2飽和型グ
リセリドの含量は90.2%であった。更に、この油脂を用
いてチョコレートを製造したが、テンパリング性、耐熱
性は非常に良好で、原料は明らかに改質されていた。
また同様の反応を反応液の水分濃度を800ppmにコン
トロールして実施し、同様に溶剤分別に供した結果、得
られた中融点画分の収量はヘキサン除去後の30部であ
った。
また液体クロマトグラフィーにおいて島津製作所(製)
(商品名HGS−15および20)の2本のカラムを用
い、交換後の全油脂中のジグリセライド(以下、DGと
略す)の量を測定したところ、水分濃度50ppmの場合
は4.3%、800ppmの場合は30.2%であり、800ppm
では明らかに反応収率が悪くなり加水分解が進んでい
た。
本実施例を含む全ての実施例において、水分センサーは
パナメトリックス社製の水分センサー(商品名:システ
ムI)を用いた。
実施例2 微生物としてムコール・ジャヴァニカス(Mucorjavanic
us IFO 4569)を用いて、実施例1と同様にして種母を
調製した。
第6図は実施例2で培養槽として用いた気泡塔(Circul
ating Bed Fermentor)(16)の概略断面図である。
第6図に示したごとく、この気泡塔(16)は高さ
(H)が400mm、内径(D)が150mmである。ま
た第7図は第6図に示されている気泡塔(16)内に設
けられている気泡分散板(17)の平面図である。気泡
分散板(17)は直径(D)が150mmであり、第7
図に示されているように直径3mmの孔(18)が設けら
れ、空気は第6図に矢印で示す方向に通気される。
第6図の気泡塔(16)を用いて、通気量24l/mi
n、温度30℃、pH5.0の条件で回分培養した。なお用い
た培地は実施例1の酵母エキスを肉エキスにかえたもの
を用いた。
微生物保持材として1辺6mmのブロック状のポリウレタ
ンフォーム(ブリジストン(株)製、商品名HR−40)
を使用培地中に1500個/lとなるように加えた。
80時間培養した後、微生物保持材に固定化された菌体
を濾別後、実施例1と同様に水洗、アセトン洗浄した後
ヘキサンでさらに3回洗浄してリパーゼ含有固定化菌体
を調製した。
この固定化菌体を用いて、実施例1と同様に反応液中の
水分濃度を50ppmと800ppmにコントロールしてエス
テル交換反応を実施したところ、加えた菌体量を同一量
とした場合、5時間でほぼ実施例1と同様の改質反応結
果が得られた。
実施例3 パーム油中融点部(AV:0.1,IV:35.5)50部
と、シア脂中融点部(AV:0.08,IV:50.2)50部
をヘキサン300部に溶解し実施例1と同様の方法で調
製したアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger IF
O 4343)のリパーゼ含有菌体を10部加え、第4図に示
した反応装置内で反応液中の水分濃度を20〜30ppm
の範囲にコントロールして攪拌し12時間反応させた。
実施例1と同様に溶剤分別を行った後、ヘキサン除去後
の85部の中融点画分を得た。
この油脂は軟化点33.5℃、油脂中の1不飽和2飽和型グ
リセリドの含量は92.2%であり、テンパリング性も良
く、チョコレートを試作して官能テストを供したとこ
ろ、口どけ性と耐熱性に優れていた。
実施例4 実施例3のシア脂中融点部の代わりにサル脂(AV:0.
065,IV:37.6)を用い、実施例2と同様の方法で調
製した微生物保持材に固定化されたリゾプス・ニベウス
(Rh.niveus IFO 4759)のリパーゼ含有菌体を添加され
る菌体量として実施例3と同様になるように加え、第5
図に示した反応装置内で反応液中の水分濃度を40〜5
0ppmの範囲にコントロールして3時間反応させ、実施
例3と同様にハードバターを得た。得られた油脂の収量
はヘキサン除去後の47部であった。
この油脂は軟化点31.9℃、油脂中の1不飽和2飽和型グ
リセリドの含量は89.3%であり、テンパリング性も良
く、チョコレートを試作して官能テストを供したとこ
ろ、実施例3と同様に口どけ性と耐熱性に優れていた。
実施例5 トリオレイン50部、トリステアリン50部をヘキサン
1000部に溶解し実施例1と同様の方法で調製したコ
リネバクテリウム・イクイ(Cory−nebacterium equi I
FO 3730)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphyr
ococuss aureus IFO 3060)、キャンディダ・シリンド
ラッセ(Candidacylindoracea ATCC 10571)、ジョート
リクム。カンディダム(Geotrichum candidum IFO 459
7)のリパーゼ含有菌体をそれぞれ菌体量として10部
加え、40℃で攪拌しながら第2図に示す反応装置の水
分調整装置を第3図に示すグリセリンとの水分分配平衡
関係を利用するものに換えて水分濃度を50ppmにコン
トロールし、5時間エステル交換反応を実施した。
反応前後の反応液を液体クロマトグラフィーで分析し、
油脂中のグリセライドの組成ならびに生成したDGの量
を第1表に示した。
第1表より、各菌体によってトリグリセライド組成が変
化し、これらの菌体がエステル交換反応を実施する上で
高機能な触媒となっていることが分かる。また反応液中
の水分濃度をコントロールすることによって、副反応で
ある加水分解が抑制されていることも分かる。
実施例6 トリオレイン50部、トリステアリン50部をヘキサン
1000部に溶解し、酵母エキスを肉エキスに変えた実
施例1および実施例2と同様の方法で調製したリゾプス
・オリゴスポラス(Rh.ol−igosporus IFO 8631)のリ
パーゼ含有菌体を菌体量として10部加え、40℃で攪
拌しながら実施例3と同様の反応装置内で反応液中の水
分濃度を20〜30ppmの範囲にコントロールしてエス
テル交換反応を実施した。
反応中適宜反応液を抜出し液体クロマトグラフィーで油
脂中のグリセライドの組成を分析した。第2表に各菌体
におけるトリグリセライド組成の変化を示した。
第2表より、これらの菌体がエステル交換反応の触媒と
なっていることが分かり、微生物保持材に固定化するこ
とによって、菌体内の活性が飛躍的に上昇していること
も分かる。20時間目でのDGの生成量はそれぞれ3.2
%、4.0%であり、副反応は著しく抑制されていた。
実施例7 実施例2と同様にリゾプス・キネンシス(Rh.chinensis
IFO 4768)を培養後、その培養槽内で水洗、アセトン
洗浄した後、常温で通気して微生物保持材に固定化され
た菌体をその水分量が2〜3%なるまで乾燥した。その
後実施例5と同様の反応基質を仕込み、第5図に示す培
養槽をそのまま反応器として用い、水分濃度を15〜2
0ppmの範囲にコントロールして連続エステル交換反応
を行った。反応基質は供給ポンプを用いて反応器(培養
槽)内に供給され、排出ポンプを用いて反応器(培養
槽)から排出された。槽内での反応液の平均滞留時間は
10時間とした。
第3表に排出液のトリグリセライド組成及びDGの生成
量の経時変化を示す。
第3表より菌体内の水分をコントロールすることによっ
て、菌体内のリパーゼの安定性は一層高められ、500
時間の連続反応の後も約90%の活性が残存していた。
また副反応は長時間にわたり抑制されていた。
〔作用・効果〕
叙上の通り、菌体内の水分量を適切な範囲にコントロー
ルして反応させる本発明の酵素反応方法は、リパーゼ酵
素の安定化を図り、失活を防ぐと共に、充分な酵素と基
質の接触機会を提供するばかりでなく、副反応である加
水分解反応を著しく抑制し、反応速度及び収率を高め、
反応を長時間安定的に持続させることがてきる。
また市販リパーゼ酵素を用いる場合に比べて、低コスト
でのリパーゼ触媒の生産を可能ならしめる。
更に微生物保持材に固定化された菌体を利用する場合
は、菌体内のリパーゼ活性が飛躍的に向上するのに加え
て、エステル交換反応の各工程での菌体の取り扱い等の
操作性が向上するので、工業的にエステル交換反応を実
施する場合に精製酵素を利用する従来のプロセスに比べ
て極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は菌体と反応液の間に成立する水分吸着平衡関係
の1例を示すグラフであり、第2図乃至第5図はそれぞ
れ本発明に用いられる装置の一例を示す概要図、第6図
は実施例2,4,6,7で用いた気泡塔の概略断面図、
第7図は第6図に示した気泡塔中に設けられた気泡分散
板の平面図である。 1…反応器、2…水分溶解装置 3…循環ポンプ、4…水分濃度センサー 5…プロセッサー、6…フィルター 7…水添加ポンプ、8…水分調整装置 9…反応液入口、10…反応液抜出口 11…水添加口、12…循環ポンプ 13…循環ポンプ、14…水分除去装置 15…循環ポンプ、16…気泡塔 17…気泡分散板、18…孔

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応液中の水分濃度を10〜500ppmに
    調整することにより、菌体と反応液との間の水分吸着平
    衡関係を利用して、リパーゼを含有する菌体の水分含量
    を0.1〜20重量%にコントロールしながらグリセライ
    ドと反応させることを特徴とする、微生物菌体を用いる
    油脂のエステル交換方法。
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