JPH0630201Y2 - 血液透析装置の除水量制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は腎不全患者の治療に用いられる血液透析装置
に関し、特に除水量を制御する除水量制御装置に係わ
る。

「従来の技術」 現在行われている除水量制御のうち代表的なものとして
ECUM方式がある。ECUM方式は第４図に示すようにして行
われる。すなわち患者１１からの血液は血液ポンプ１２
により透析器１３へ供給され、透析器１３で水分や老廃
物が除去された血液はドリップチャンバ１４を介して患
者１１に戻される。一方透析液は液供給流路１５より第
１開閉弁１６を介して透析器１３へ供給され、透析器13
よりの透析液は排液流路１７より第２開閉弁１８を介
し、更に陰圧ポンプ１９により引かれて排液される。第
１開閉弁１６の入口と第２開閉弁１８の出口との間に分
岐路２１が連結され、分岐路21に第３開閉弁２２が挿入
される。

測定モードにおいて第１開閉弁１６、第２開閉弁１８が
閉とされ、第３開閉弁２２が開とされ、透析器１３及び
第２開閉弁１８間に設けられた除水量測定用ポンプ２３
が引かれ、所定の除水量としたときの透析器１３の透析
液側圧力Ｑが圧力測定器２４で測定される。この透析液
側圧力Ｑと、血液側圧力Ｐとの差Ｐ−Ｑ（TMP：透過膜
圧力）と除水量との関係が求まる。

透析モードでは第１開閉弁１６、第２開閉弁18を開と
し、第３開閉弁２２を閉として、透析器13に透析液を流
し、このときのTMPが前記測定したTMPとなるように制御
する。

また往復式定量ポンプを二つに設けて、透析器に対する
流入、流出透析液量を等しくし、第３の除水ポンプによ
り除水量に相当する液量を強制的に除水する方式があ
る。この方式の代表的なものを第５図に示す。すなわち
往復式定量ポンプ２５，２６を設け、これらを連動と
し、往復式定量ポンプ２５の計量室２５ｂから透析液を
透析器１３へ供給しているときに、透析器１３から透析
液を定量ポンプ２５の計量室２５ａに取り込み、一方定
量ポンプ２６の計量室２６ａに供給すべき透析液を取り
込み、計量室２６ｂに取り込んだ透析液を排液する。逆
に定量ポンプ２６の計量室２６ａの透析液を透析器１３
へ供給するとき、透析器１３からの透析液を計量室２６
ｂに取り込み、定量ポンプ２５は計量室２５ｂに供給す
べき透析液を取り込み、計量室２５ａの透析液を排液す
る。

透析器１３から排出される透析液は除水用ポンプ２７に
よっても引かれ、この除水用ポンプ２７により引く透析
液の量は、定量ポンプ２５または２６により透析器１３
へ供給する量と透析器１３より引く量との差の量とす
る。

このようにして４つの計量室を用いることにより、定量
ポンプの往復動による透析液の流れが不連続となる問題
を解決している。

「考案が解決しようとする課題） 第４図に示す従来方式においては測定モード時以外は除
水量の測定が行われず、また透析液が流れている場合
と、停止している場合とで透析器１３の内部の圧力が異
なり、誤差の原因となる。最近の透析器ではTMP当たり
の除水量が従来のものの５倍程度もあるものが出現し、
従来問題とならなかった小さなTMPの誤差が、大きな除
水誤差の原因となり、臨床上の問題となっている。

他方第５図に示す方式には、計量室間の誤差が累積され
ることと、計量室の切替えを頻繁に行う必要があり、こ
の切替えタイミングにより誤差が生じる欠点がある。更
に透析液中には炭酸カルシウムが、透析器の下流液には
低分子量の蛋白質などが含まれるため、これらによる弁
の動作不良、ポンプの容積変化も無視できない。

「課題を解決するための手段」 この考案によれば第１回転式定量ポンプにより透析液が
透析器へ供給され、透析器よりの透析液が第２回転式定
量ポンプで引かれる。校正モードにおいて第１回転式定
量ポンプの吐出口と第２回転式定量ポンプの流入口とが
密閉路で連結される。つまり、この密閉路はポンプ以外
に液の出入がないようにされる。その密閉路で連結され
た状態で第１回転式定量ポンプと第２回転式定量ポンプ
との流量差が検出され、その流量差検出出力に応じて第
１回転式定量ポンプと第２回転式定量ポンプとの流量差
がゼロに構成される。第１回転式定量ポンプと透析器と
の間の液供給流路に第３回転式定量ポンプが接続され、
その第３回転式定量ポンプによって液供給流路によりの
透析液が第１回転式定量ポンプの流入口に帰還される。
透析モードにおいて第３回転式定量ポンプが駆動され、
第２回転式定量ポンプの流量よりも限外濾過量（除水
量）分だけ少ない透析液が透析器へ供給される。

「実施例」 第１図はこの考案の実施例を示し、第４図と対応する部
分には同一符号を付けてある。この考案においては液供
給流路１５に第１回転式定量ポンプ３１が設けられ、排
液流路１７に第２回転式定量ポンプ３２が設けられる。
第１回転式定量ポンプ３１から供給される液のみが、か
つそのすべてが第２回転式定量ポンプ３２へ供給される
密閉路を構成する手段が設けられる。このため、この例
ではバイパスカプラ３３が設けられて、透析器13より液
供給流路１５を外してバイパスカプラ３３の一端に連結
し、透析器１３から排液流路１７を外してバイパスカプ
ラ３３の他端に連結できるようにされる。上記密閉路を
形成した状態で第１回転式定量ポンプ３１と第２回転式
定量ポンプ３２との流量差を検出する流量差検出手段が
設けられる。この流量差検出手段としてこの例では第１
回転式定量ポンプ３１と第２回転式定量ポンプ３２との
間の上記密閉路に液圧を検出する圧力測定器３４が設け
られる。第１回転式定量ポンプ３１と透析器１３との間
の液供給流路１５に第３回転式定量ポンプ３５が分岐接
続され、第３回転式定量ポンプ３５の吐出側は第１回転
式定量ポンプ３１の流入側に接続される。

この装置は二つのモードがある。第１は校正モードで、
第２は透析モードである。まず校正モードについて説明
する。校正モードにおいては第１回転式定量ポンプ３１
と第２回転式定量ポンプ32との間を密閉路とする。つま
り透析器１３から液供給流路１５を外してバイパスカプ
ラ３３に連結し、透析器１３から排液流路１７を外して
バイパスカプラ３３に連結し、第３回転式定量ポンプ35
は停止する。このとき、第１回転式定量ポンプ31よりの
液はすべてが第２回転式定量ポンプ３２へ供給され、そ
の他の液が第２回転式定量ポンプ32へ供給されることは
ない。

この状態で圧力測定器３４の出力を監視する。この測定
圧力が上昇傾向を示すならば第１回転式定量ポンプ３１
の流量が第２回転式定量ポンプ32の流量よりも多いこと
を示しており、圧力測定器３４の測定圧力が下降するな
らば第１回転式定量ポンプ３１の流量が第２回転式定量
ポンプ３２の流量より少ないことを示す。このようにし
て圧力測定器３４により第１回転式定量ポンプ３１と第
２回転式定量ポンプ３２との流量差が検出される。

この検出された流量差がゼロになるように、つまり圧力
測定器３４の測定圧力が変化しないように第１回転式定
量ポンプ３１あるいは第２回転式定量ポンプ３２のポン
プ回転数が制御される。これにより第１回転式定量ポン
プ３１、第２回転式定量ポンプ３２の透析モードにおけ
る回転数が決定される。

次に透析モードについて説明する。液供給流路１５をバ
イパスカプラ３３から外して透析器１３に連結し、排液
流路１７をバイパスカプラ３３から外して透析器１３に
連結し、透析器１３への送液を開始する。このとき、第
１回転式定量ポンプ３１及び第２回転式定量ポンプ３２
は校正モードで決定された回転数を維持する。第３回転
式定量ポンプ３５は除水率設定器で設定された量に相当
する回転数で運転される。従って、第１回転式定量ポン
プ３１から供給される透析液は、除水量分だけ第３回転
式定量ポンプ３５で引かれて透析器１３へ供給され、第
３回転式定量ポンプ３５で引かれた分だけ透析器１３で
除水されることになる。このようにして除水量を高精度
に制御して計画的に除水を行うことができる。なお、回
転式定量ポンプは定量性に経時的変化がともなうが、こ
れを校正モードにより校正し、この欠点を補うことによ
り往復式ポンプより高精度の除水量制御を実現すること
ができる。第３回転式定量ポンプ３５で引かれた透析液
は第１回転式定量ポンプ３１の流入口へ供給されて有効
に利用される。

回転式定量ポンプにはモイノポンプを使用し、このポン
プの駆動源にはパルスモータを用いることができる。第
２図に示すように、第３回転式定量ポンプ３５の吐出口
側に計量カップなどの計量器３６を設け、除水量を計測
し、第３回転式定量ポンプ３５の回転数を補正すること
もできる。第３図に示すように液供給流路１５に第１開
閉弁１６を設け、排液流路１７に第２開閉弁１８を設
け、分岐路２１に第３開閉弁２２を設け、校正モードに
おいて第１開閉弁１６、第２開閉弁１８を閉とし、第３
開閉弁２２を開として分岐路２１を通じる密閉路を構成
するようにしてもよい。密閉路を構成する手段として透
析器に流出入する血液の流れを停止する手段を設けても
よい。

「考案の効果」 以上述べたように、この考案によれば高い精度で除水量
を制御できるため、高除水能膜にも充分対応できる除水
量制御装置を実現できる。計量室をもつ往復式定量ポン
プを使用する場合と比較して弁の開閉を頻繁に行う必要
がなく、かつ校正モードを適当に挿入することにより誤
差が累積されることなく、常に正しい制御を行うことが
できる。第３回転式定量ポンプ３５を排液流路１７側に
設ける場合と比較して第３回転式定量ポンプ３５が汚れ
るおそれがない。また第３回転式定量ポンプ３５で引か
れた液は有効に再利用される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示すブロック図、第２図及
び第３図はそれぞれ他の実施例を示すブロック図、第４
図及び第５図はそれぞれ従来の除水量制御装置を示すブ
ロック図である。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】透析器へ液供給流路を通じて透析液を供給
   し、上記透析器へ供給された血液から老廃物を除去して
   透析液と共に排液流路へ排出する血液透析装置におい
   て、 上記液供給流路に挿入された第１回転式定量ポンプと、 上記排液流路に挿入された第２回転式定量ポンプと、 上記第１回転式定量ポンプの吐出口と上記第２回転式定
   量ポンプの流入口とを密閉路で連結する手段と、 その密閉路で連結した状態で上記第１回転式定量ポンプ
   と上記第２回転式定量ポンプとの流量差を検出する流量
   差検出手段と、 その流量差検出手段の検出出力により上記第１回転式定
   量ポンプと上記第２回転式定量ポンプとの流量差をゼロ
   にする手段と、 上記第１回転式定量ポンプと上記透析器との間の上記液
   供給流路に接続され、その液供給流路よりの透析液を上
   記第１回転式定量ポンプの流入口に帰還する第３回転式
   定量ポンプと、 を具備する血液透析装置の除水量制御装置。
2. 【請求項２】上記第３回転式定量ポンプの吐出口側に設
   けられ、その第３回転式定量ポンプから吐出される透析
   液を計量する計量器を含む請求項１記載の血液透析装置
   の除水量制御装置。