JPH06299238A - 耐疲労亀裂伝播特性と溶接熱影響部靱性の優れた鋼板の製造方法 - Google Patents

耐疲労亀裂伝播特性と溶接熱影響部靱性の優れた鋼板の製造方法

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JPH06299238A
JPH06299238A JP8367993A JP8367993A JPH06299238A JP H06299238 A JPH06299238 A JP H06299238A JP 8367993 A JP8367993 A JP 8367993A JP 8367993 A JP8367993 A JP 8367993A JP H06299238 A JPH06299238 A JP H06299238A
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Akira Ito
昭 伊藤
Hideki Yanagi
英樹 柳
Hiroshi Takezawa
博 竹澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、構造物に発生する変動荷重により
生じる疲労亀裂による破壊が発生しうる、船舶、橋梁、
海洋構造物等の大型構造物に使用する厚鋼板に適した耐
疲労亀裂伝播特性と溶接熱影響部靱性の優れた鋼板の製
造方法を提供することを目的とする。 【構成】 Ti添加鋼の製造にあたり、Tiで脱酸した
後にAlを添加し、特定の成分を含有する連続鋳造スラ
ブまたは造塊スラブの仕上圧延に際し、Ar3 点+10
℃〜Ar3 点−50℃で圧延を終了し、Ar3 点−50
℃以下の温度から水冷し、600℃以下の温度で水冷を
停止した後に空冷する。 【効果】 本発明の鋼板を疲労亀裂の発生する可能性の
ある構造物に使用することによって、疲労亀裂の進展を
遅らせると同時に脆性破壊の発生を抑制することがで
き、疲労設計条件の緩和、定期点検の期間の延長、構造
物の破壊の回避等の効果が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、構造物に発生する変動
荷重により生じる疲労亀裂による破壊が発生しうる、船
舶、橋梁、海洋構造物等の大型構造物に使用する厚鋼板
に適した、耐疲労亀裂伝播特性と溶接熱影響部靱性の優
れた鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼板に連続的に変動荷重が与えられる
と、疲労亀裂が発生する場合がある。特に溶接部では、
溶接金属と鋼板との不連続部が存在するため応力が集中
し易く、疲労亀裂の発生起点となり易い。また通常、発
生した疲労亀裂は伝播を続け、最悪の場合には構造物自
体の破壊に結び付く。
【0003】構造物が船舶、橋梁、海洋構造物等であれ
ば破壊した場合の社会的影響は大きく、多くの場合は人
命の危険を伴うことが予測される。これらの構造物で
は、溶接部で疲労破壊が発生しにくいように、構造的に
応力集中が起こらないような設計を行ったり、溶接金属
と鋼板との境界で特に入念に形状のきれいな溶接を行っ
て応力集中を避けているのが現状である。従ってこれら
の方法では、設計に大きな制約がつくため効率的な設計
ができず、また溶接の仕上げに時間がかかり、非効率的
であると同時に高コスト化の原因となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】船舶、橋梁、海洋構造
物等では、通常、板厚6mm以上の厚鋼板が用いられ、
溶融溶接により接合されて組み立てられる。前記のよう
に、溶接部では応力集中が起こりやすいため疲労亀裂の
発生を避けることは非常に難しい。しかし疲労亀裂が発
生しても、鋼板の疲労亀裂伝播速度が遅ければ、構造物
の破壊を引き起こす前に定期点検等で亀裂を発見し、補
修することが可能となる。従って、鋼板に耐疲労亀裂伝
播特性を持たすことができれば、上記の課題を解決する
ことができる。
【0005】鋼板の耐疲労亀裂伝播特性を向上させるこ
とに注目した方法として、特開平3−291355号公
報に開示された方法がある。特開平3−291355号
公報では、板厚方向に単調かつ連続的な強度勾配をつけ
ることを提案している。しかし、船舶、橋梁、海洋構造
物等の製造時に前記公開公報記載の鋼板を使用しても、
疲労亀裂の進展を遅くすることはできるが、疲労亀裂を
起点として脆性亀裂が発生した場合には、脆性亀裂が大
きく伝播して構造物の破壊に至ることも発生しうる。
【0006】疲労亀裂が発生し易いのは前記のように溶
接部であり、溶接による熱影響を受けた部分(溶接熱影
響部:以下HAZと称す)は粗大な組織が形成され易い
ため、母材に比べて靱性が低い。そのために、疲労亀裂
を起点として脆性破壊が発生し易い。しかしHAZでの
靱性が高ければ脆性破壊の発生を抑えることができ、構
造物の破壊が避けられるので、疲労亀裂伝播速度の遅い
鋼板を有効に活用することができる。
【0007】HAZでの靱性向上に注目した提案は従来
から数多くある。その中で、比較的安価に活用できる方
法としてTi窒化物(以下TiNと称す)を活用した提
案が多い。例えば特公昭55−26164号公報に開示
される微細なTiNを活用してHAZのオーステナイト
粒の微細化をはかる方法、特開平3−264614号公
報に開示されるTiNとMn硫化物(以下MnSと称
す)の複合析出物をフェライトの変態核として活用する
方法等が提案されている。
【0008】しかしながら、HAZのうち最高到達温度
が1400℃を超える溶接金属と鋼材との境界付近(以
下溶接ボンド部と称する)では、TiNが鋼中に溶解し
てTiとNに分解してしまい、上記の効果を発揮しにく
い。しかしTiは比較的安価な元素であるから、上記の
課題が解決できれば、経済的な鋼板の製造が可能とな
る。
【0009】そこで本発明の課題は、TiNを生成させ
るTi添加鋼において、鋼板自体に耐疲労亀裂伝播特性
を持たせると同時にHAZの靱性を高めることにより、
構造物の破壊が防止できる鋼板の製造方法を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために種々の検討を行った。その結果、Ti
添加鋼を製造するにあたり、Al量が0.003%以下
の溶鋼中に最終含有量が0.005〜0.020%とな
るTiを添加して脱酸した後、最終含有量として0.0
10〜0.060%となるAlを添加し、その他の成分
組成が重量%で、C :0.03〜0.20%、Si:
≦0.50%、Mn:0.4〜1.60%、P :≦
0.020%、S :≦0.010%、N :0.00
20〜0.0060%を含有し、残部は鉄および不可避
的不純物からなる鋼を連続鋳造または造塊によりスラブ
とし、直送圧延または再加熱後圧延を行い、仕上圧延に
おいてAr3 点+10℃〜Ar3 点−50℃の範囲で圧
延を終了し、その後Ar3 点−50℃以下の温度から鋼
板の表裏面同時に水冷を開始し、600℃以下の温度で
水冷を停止した後、空冷するか、またはTi添加鋼を製
造するにあたり、Al量が0.003%以下の溶鋼中に
最終含有量が0.005〜0.020%となるTiを添
加して脱酸した後、最終含有量として0.010〜0.
060%となるAlを添加し、その他の成分組成が重量
%で、C :0.03〜0.20%、Si:≦0.50
%、Mn:0.4〜1.60%、P :≦0.020
%、S :≦0.010%、N :0.0020〜0.
0060%を含有し、かつCu:≦1.0%、Ni:≦
1.5%、Nb:≦0.1%、V :≦0.1%、C
r:≦1.0%、B :0.0005〜0.0020%
のうち1種または2種以上を含有し、残部は鉄および不
可避的不純物からなる鋼を連続鋳造または造塊によりス
ラブとし、直送圧延または再加熱後圧延を行い、仕上圧
延においてAr3 点+10℃〜Ar3 点−50℃の範囲
で圧延を終了し、その後Ar3 点−50℃以下の温度か
ら鋼板の表裏面同時に水冷を開始し、600℃以下の温
度で水冷を停止した後、空冷することにより耐疲労亀裂
伝播特性とHAZ靱性の優れた鋼板が製造できることを
知見した。
【0011】ここで以下に、各成分の限定理由を述べ
る。各成分の限定理由は、一般的な構造用鋼における成
分の限定理由と同様である。Cは強度の増加及び島状マ
ルテンサイトの生成に必要であるが、少なすぎると効果
がなく、多すぎると溶接性の低下や母材及び溶接部の靱
性低下を引き起こすため、下限を0.03%とし上限を
0.20%とした。
【0012】Siは溶鋼の脱酸に有効であるが、多すぎ
ると溶接性の低下や母材及び溶接部の靱性低下を引き起
こすため、0.50%を上限とした。MnもCと同様に
強度の増加及び島状マルテンサイトの生成に必要である
が、少なすぎると効果がなく、多すぎると溶接性の低下
や母材及び溶接部の靱性低下を引き起こすため、下限を
0.4%、上限を1.60%とした。
【0013】Pは母材特性の向上のためには低い方が望
ましいが、Pを下げることによりコストが増加する。そ
こで経済性の点から上限を0.020%とした。Sは、
Pと同様に母材特性の向上のためには低い方が望ましい
が、Sを下げることによりコストが増する。そこで経済
性の点から上限を0.010%とした。Alは脱酸のた
めに必須であるが、多すぎると介在物が増加し、鋼板の
超音波探傷での欠陥として検出されたり、母材の靱性低
下を引き起こすため、下限を0.005%、上限を0.
030%とした。
【0014】Nは後述のTiと共にTiNを形成するこ
とにより、再加熱圧延時の加熱時やHAZでのオーステ
ナイト粒の成長を抑制して靱性を向上させることができ
る。しかし固溶量が多くなるとHAZの靱性を著しく低
下させることから、下限を0.0020%、上限を0.
0060%とした。Cuは母材の靱性を損なわずに強度
を増加させることができるが、多すぎると溶接部の靱性
を低下させるため、1.0%を上限とした。
【0015】Niは母材の靱性を損なわずに強度を増加
させることができるが、多すぎると溶接部の靱性を低下
させるため、1.0%を上限とした。Nbは母材の靱性
を向上させると同時に強度を増加させることができる
が、多すぎると溶接部の靱性を低下させるため、0.1
%を上限とした。Vは母材の靱性を損なわずに強度を増
加させることができるが、多すぎると溶接部の靱性を低
下させるため、0.1%を上限とした。
【0016】Crは母材の靱性を損なわずに強度を増加
させることができるが、多すぎると母材及び溶接部の靱
性を低下させるため、1.0%を上限とした。Tiは鋼
中でTiNを生成することにより、再加熱圧延時の加熱
時やHAZでのオーステナイト粒の成長を抑制して靱性
を向上させることができる。しかし添加量が少なすぎる
とその効果がなく、多すぎるとTiCの生成により母材
及びHAZの靱性が著しく低下するため、下限を0.0
05%、上限を0.020%とした。
【0017】Bは固溶Bとして母材強度の増加、BNや
Fe23CB6 の析出によりHAZでの組織微細化のため
に添加する。少なすぎるとその効果がなく、多すぎると
溶接性の低下及び靱性の低下を招くため、下限を0.0
005%、上限を0.0020%とした。上記の成分を
有するスラブを直送圧延または再加熱後圧延するにあた
り、仕上圧延においてAr3 点+10℃〜Ar3 点−5
0℃の範囲で圧延を終了し、その後Ar3 点−50℃以
下の温度から鋼板の表裏面同時に水冷を開始し、600
℃以下の温度で水冷を停止した後、空冷することによっ
て、組織が主にフェライト、パーライト、ベイナイトの
1種または2種以上で構成され、さらに平均存在間隔2
0μm以下でかつ平均偏平比5以上の形状をした島状マ
ルテンサイトが体積率5%以下の割合で存在する鋼板を
製造することができ、疲労亀裂の進展速度を低下でき
る。
【0018】しかし島状マルテンサイトは、多量に存在
するとシャルピー試験値等の靱性を著しく低下させるた
め上限の体積率を5%とし、少なすぎると効果がないこ
とから下限の体積率を0.5%とした。
【0019】
【作用】本発明者らは、下記表1の成分のスラブから製
造した数種類の鋼板の疲労亀裂伝播速度を調査し、図3
に示すような結果を得、以下のことを見出した。 仕上温度が低いほど、疲労亀裂の伝播速度が遅い。 圧延後空冷した鋼板と水冷した鋼板では、水冷した鋼
板の方が疲労亀裂の伝播速度が遅い。
【0020】
【表1】
【0021】これらの鋼板の疲労亀裂の伝播部の組織を
調査した結果、仕上圧延終了温度が低く、しかも圧延後
に水冷を行った鋼板では、鋼板中に島状マルテンサイト
が生成し、しかも島状マルテンサイトの生成部で疲労亀
裂の分岐が見られることを確かめた。疲労亀裂が分岐す
ると亀裂先端での応力が低下することが予測され、この
応力低下により疲労亀裂の伝播速度が低下したものと思
われる。
【0022】ここでの水冷は、鋼板の表面及び裏面にお
いて同時に行っているため、鋼板の強度(硬さ)は、図
4に示すように、特開平3−291355号公報に開示
されているような板厚方向に単調かつ連続的な強度勾配
を持つものではない。そこでさらに組織を詳細に調査し
た結果、フェライト、パーライトまたはベイナイトを主
とする組織中に、島状マルテンサイトが層状に分散し、
しかもその平均存在間隔が20μmである場合に、上記
の疲労亀裂伝播速度の遅延が起こることを見出した。さ
らに疲労亀裂が分岐するためには、島状マルテンサイト
の形状が、鋼板表面に平行に伸延した形状で、偏平比
(長軸の長さ/短軸の長さ)の平均値で5以上である方
がよいことを見出した。
【0023】さらに上記の組織を得るための製造条件を
検討した結果、成分は通常の構造用鋼と同等で良く、圧
延及び圧延後の冷却条件として、圧延終了温度をAr
3 点+10℃〜Ar3 点−50℃とすることによりオー
ステナイト粒を偏平させ、フェライト変態の進行した
Ar3 点−50℃以下の温度から水冷を開始することに
よりオーステナイト中に成分を濃縮させ、水冷するこ
とにより冷却速度を増加し成分の濃縮したオーステナイ
トを島状マルテンサイトに変態させ、かつ600℃以
下の温度で水冷を停止した後に空冷することにより変態
後の島状マルテンサイトを残存させることが必要である
ことを見出した。
【0024】さらに本発明者らは、HAZでの靱性を向
上させるためにTiN析出物の極限活用をはかる方法に
ついて、HAZでの析出物と組織の調査結果から下記の
仮説を立てた。 <HAZ付近での析出物観察結果> 旧オーステナイト粒内で観察されるフェライト組織中
に、TiN及びTiNとMnSの複合析出物が多数観察
されたが、溶接ボンド部近傍では少なかった。
【0025】溶接ボンド部近傍のTiN中には、微細
な析出物が観察されることがある。この析出物は微細す
ぎるため成分の特定ができなかったが、酸素は検出され
た。 TiN析出物が多数存在する場合には、旧オーステナ
イト粒の粒径が小さく、しかも旧オーステナイト粒内に
フェライトが多数観察された。 <析出物に関する仮説> TiN析出物は微細な酸化物を基にして生成する。従
って、微細な酸化物が存在した方がTiN析出物の析出
個数が多い。
【0026】TiN析出物は溶接時に高温にさらされ
るHAZ近傍で溶解してしまうが、上記の微細な酸化物
はHAZ近傍でも溶解せず、溶接後の冷却中にTiN析
出物の析出核となり、TiN析出物はその後のMnSの
生成核となるため、TiNとMnSの複合析出物個数が
増加する。 上記の結果として、TiN析出物数の増加に伴い旧オ
ーステナイト粒が微細化し、TiNとMnSの複合析出
物を核として粒内変態組織が生成するためHAZ近傍の
組織が微細化し、靱性が向上する。
【0027】そこで本発明者らは、脱酸条件を検討する
ことによって析出物量を変化させることができるとの思
想に基づき種々の脱酸実験を行った。その結果、図5に
示すように、Tiで脱酸した後にAlを添加した場合
に、Al脱酸後にTiを添加する従来工程に比べて、溶
接ボンド部近傍の析出物を増加させることができること
を見出した。これらの析出物は、溶接前の鋼材ではTi
Nが主体であり、HAZ近傍ではTiN+MnS系の析
出物が主体である。
【0028】またTiN中及びTiN+MnS系析出物
中には核らしき析出物が観察された。この析出物は非常
に微細であったため成分の特定はできなかったが、Ti
−Al系の複合酸化物であると推定している。これらの
析出物の効果により、上記鋼材の溶接ボンド部近傍の組
織は微細な組織となり、靱性も非常に向上した。
【0029】本発明は、以上の知見により構成されたも
のである。
【0030】
【実施例】表2〜表4に、本発明での実施例を示す。圧
延条件を決定するために、Ar3点を求めることが必要
であるが、下式を用いて計算により求めた。 Ar3 =1108−777×C−200×Mn−23×
Cu−38×Ni 疲労亀裂伝播速度は、図1に示す形状の試験片に、図2
で示す3点曲げの方法で応力を付加し、一定の応力振幅
付加回数ごとに応力振幅を小さくすることでビーチマー
クを入れ、ビーチマーク間の疲労亀裂の進展長さを応力
振幅付加回数で割った値を指標として用いた。この値
は、応力振幅1回あたりの疲労亀裂の進展長さを示し、
この値が小さいほど、疲労亀裂の伝播が遅いことを示
す。試験片は、その長軸方向が圧延方向と平行になるよ
うに採取した。
【0031】鋼材の主たる組織は、鋼材から切り出した
小型試験片の板厚方向断面(圧延方向と平行な面)を研
磨し、鏡面状態まで仕上げた面にて、5%硝酸−アルコ
ール溶液にて腐食を行い、その面を金属顕微鏡で観察す
ることによって決定した。鋼材中の島状マルテンサイト
は、鋼材から切り出した小型試験片の板厚方向断面(圧
延方向と平行な面)を研磨し、鏡面状態まで仕上げた面
にて、1%ピロ亜硫酸ナトリウム−4%ピクリン酸混合
溶液での腐食により現出させた。現出させた島状マルテ
ンサイトを写真撮影し、その写真について画像解析装置
で解析を行い、面積率、平均存在間隔及び平均偏平比を
求めた。
【0032】鋼材No.AとNo.B、No.CとN
o.D、No.EとNo.H、No.IとNo.J、N
o.KとNo.L、No.MとNo.N、No.OとN
o.Pは、それぞれ脱酸条件によるHAZ靱性の比較で
あり、本発明鋼であるNo.A、C、E、I、K、M、
Oは、比較鋼であるNo.B、D、H、J、L、N、P
に比べて大入熱溶接シャルピー試験値が良好である。脆
性破壊防止のためには一般的に50J以上のシャルピー
試験値が必要であるが、本発明鋼はすべて満足してい
る。またNo.F、Gは比較鋼であり、本発明鋼の脱酸
条件及び成分の範囲であるため大入熱溶接シャルピー試
験値は良好であるが、No.Fは圧延温度域がはずれて
おり、No.Gは水冷処理を行っていないため、それぞ
れ疲労亀裂の伝播速度が速い。
【0033】以上のように本発明鋼は、製造条件のはず
れた比較鋼に比べて、疲労亀裂の伝播速度が遅い、
大入熱溶接部の靱性が高い、という本発明の効果が認め
られる。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】本発明の鋼板を疲労亀裂の発生する可能
性のある構造物に使用することによって、疲労亀裂の進
展を遅らせることができると同時に脆性破壊の発生を防
止でき、疲労設計条件の緩和、定期点検の期間の延長、
構造物の破壊の回避等の効果が期待できることから、本
発明の社会的意義は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】疲労亀裂伝播特性調査に用いた試験片の形状を
示す図である。
【図2】疲労亀裂伝播特性調査に用いた試験片への応力
付加方法を示す図である。応力付加は、3点曲げ法によ
り行った。
【図3】圧延終了温度、圧延後の水冷の有無と疲労亀裂
伝播速度の関係を示す図である。
【図4】本発明鋼の板厚方向の硬さ分布の一例を示す図
である。
【図5】本発明鋼及び従来鋼のHAZの析出物を調査
し、整理して示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ti添加鋼を製造するにあたり、Al量
    が0.003%以下の溶鋼中に最終含有量が0.005
    〜0.020%となるTiを添加して脱酸した後、最終
    含有量として0.005〜0.030%となるAlを添
    加し、その他の成分組成が重量%で、 C :0.03〜0.20%、 Si:≦0.50%、 Mn:0.4〜1.60%、 P :≦0.020%、 S :≦0.010%、 N :0.0020〜0.0060% を含有し、残部は鉄および不可避的不純物からなる鋼を
    連続鋳造または造塊によりスラブとし、直送圧延または
    再加熱後圧延を行い、仕上圧延においてAr3 点+10
    ℃〜Ar3 点−50℃の範囲で圧延を終了し、その後A
    3 点−50℃以下の温度から鋼板の表裏面同時に水冷
    を開始し、600℃以下の温度で水冷を停止した後、空
    冷することを特徴とする耐疲労亀裂伝播特性と溶接熱影
    響部靱性の優れた鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 Ti添加鋼を製造するにあたり、Al量
    が0.003%以下の溶鋼中に最終含有量が0.005
    〜0.020%となるTiを添加して脱酸した後、最終
    含有量として0.005〜0.030%となるAlを添
    加し、その他の成分組成が重量%で、 C :0.03〜0.20%、 Si:≦0.50%、 Mn:0.4〜1.60%、 P :≦0.020%、 S :≦0.010%、 N :0.0020〜0.0060% を含有し、かつ Cu:≦1.0%、 Ni:≦1.5%、 Nb:≦0.1%、 V :≦0.1%、 Cr:≦1.0%、 B :0.0005〜0.0020% のうち1種または2種以上を含有し、残部は鉄および不
    可避的不純物からなる鋼を連続鋳造または造塊によりス
    ラブとし、直送圧延または再加熱後圧延を行い、仕上圧
    延においてAr3 点+10℃〜Ar3 点−50℃の範囲
    で圧延を終了し、その後Ar3 点−50℃以下の温度か
    ら鋼板の表裏面同時に水冷を開始し、600℃以下の温
    度で水冷を停止した後、空冷することを特徴とする耐疲
    労亀裂伝播特性と溶接熱影響部靱性の優れた鋼板の製造
    方法。
JP8367993A 1993-04-09 1993-04-09 耐疲労亀裂伝播特性と溶接熱影響部靱性の優れた鋼板の製造方法 Withdrawn JPH06299238A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007254828A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Nippon Steel Corp 熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板及びその製造方法
KR101392448B1 (ko) * 2012-03-21 2014-05-12 동국제강주식회사 저항복비 및 저온인성이 우수한 라인파이프용 후강판 및 이의 제조방법

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