JPH0629508B2 - 場所打ち杭築造における補強用鋼管圧入工法及び鋼管圧入機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本願発明は、竪孔を掘削し、これにコンクリートを打設
して場所打ち杭を築造する工程において、該場所打ち杭
を補強するための鋼管を竪孔内に圧入する工法、及び鋼
管圧入機に関する。

（従来の技術） 従来、場所打ち杭の築造工法として、ケリーバの下端に
掘削バケットの取付けてなるケリーバ型バケット式竪孔
掘削機を用いて地盤に竪孔を掘削し、次に、上記竪孔内
に鉄筋かご及び生コンクリートを打設してコンクリート
杭を形成する工法が一般に使用されており、この場所打
ちコンクリート杭の築造工程において、上記コンクリー
ト杭の上端から所要下方位置までの外周面を包んで補強
するための所要長の補強用鋼管を、上記コンクリート打
設の前又は後に、上記竪孔内に圧入するためには、従来
はパワージャッキを用いて該鋼管を揺動させつつ一定長
づつ間欠的に押圧する工法や、バイブロ圧入装置を用い
て鋼管に振動を加えつつ押圧する工法が採られている。

（発明が解決しようとする課題） しかし、上記の場所打ちコンクリート杭築造工程におけ
る補強用鋼管圧入工法では、鋼管圧入のためのみにパワ
ージャッキ又はバイブロ圧入装置を別途準備しておかな
ければならず、そのため設備費が大幅にかさむばかりで
なく、現場においてそれら機器の待機スペースも必要と
なる欠点があり、又前者のパワージャッキによる圧入で
は、圧入速度がおそく、しかも広い設置面積を必要とす
る難点があり、後者のバイブロ圧入装置による圧入で
は、振動による騒音公害や、竪孔内の生コンクリートの
分離を生起させる等の欠点があった。

本願第１発明は、設備費の大幅な節減及び現場でのスペ
ースファクターの改善を課題とし、 本願第２発明は、上記パワージャッキ及びバイブロ圧入
装置の欠点を除いた新たな圧入装置を得ることを課題と
する。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決する手段として、本願第１発明は、 ケリーバを昇降自在に且つ回転駆動自在に支持すると共
に該ケリーバの下端に掘削具を着脱自在に取付けてなる
ケリーバ型竪孔掘削機を用い、該掘削具の回転により地
盤に竪孔を掘削し、ついで上記竪孔内に生コンクリート
を打設する場所打ちコンクリート杭築造工程において、 上記生コンクリート打設の前又は後において、上記ケリ
ーバ型竪孔掘削機のケリーバ下端から掘削具をはずして
代りに所要長の補強用鋼管の上端を着脱自在に取付けた
ものを用い、該鋼管を回転させて上記竪孔内に圧入す
る、 場所打ち杭築造における補強用鋼管圧入工法を提案し、 また、本願第２発明は、 支持部材に昇降自在に吊支されたケリーバを回転駆動筒
に回転不能かつ軸方向摺動自在に挿通すると共に、該ケ
リーバ下端に鋼管を着脱自在に取付け、 上記回転駆動筒を上記支持部材に回転自在かつ上下移動
自在に支持させ、該回転駆動筒を回転駆動源と回転伝達
可能に連継すると共に上記支持部材に連結された押込み
用油圧シリンダにより上下動自在に吊支させた、 鋼管圧入機を提案する。

本願発明における上記ケリーバ型竪孔掘削機の「掘削
具」には、中空円筒状本体の下面に、土砂かき取り口を
有する円錐状キャップを開閉自在に取付けてなる掘削バ
ケット、アースオーガ、グラブバケット等が使用され
る。

以下図面を参照して本願発明の実施例について説明す
る。

（実施例） 初めに、便宜上場所打ち杭築造に使用されるケリーバ型
竪孔掘削機の例について説明する。

第２図はケリーバ型バケット式竪孔掘削機を示し、ベー
スマシン(１)に下端を連結されたアーム(２)を便宜傾斜
させて上方へ起立し、該アーム(２)のトップシーブ(３)
を介して垂下した昇降ワイヤ(４)に横断面正方形のケリ
ーバ(５)の上端を連結して該ケリーバ(５)を昇降自在に
吊支し、一方上記アーム(２)の下部両側部に、左右一対
づつの油圧シリンダ(６)、(６)、支持ロッド(７)、(７)
及び上記支持ロッド(７)、(７)揺動用の油圧シリンダ
(８)、(８)の各一端を揺動自在に軸支し、該シリンダ
(６)、(６)及びロッド(７)、(７)の他端にケリーバ回転
及び押込み駆動装置(９)を支持させ、該装置(９)内の回
転駆動筒に上記ケリーバ(５)を挿通し、挿通下端に、本
例では掘削バケット(10)を着脱自在に取付けてある。上
記掘削バケット(10)の取付構造は、ケリーバ(５)の下端
から突出された接続軸部(11)を、バケット(10)の上面中
心部に突設された接続ソケット(12)内に挿入し、ピンを
挿脱自在に差しこんで回転不能に接続した構成である。

ケリーバ回転及び押込み駆動装置(９)の構成は次のよう
である。第３、４図において、ギヤボックス(13)の一側
部内に、上記ケリーバ(５)と回転不能に且つ軸方向摺動
自在に嵌合すべき四角孔(15)を有する回転駆動筒(14)を
ベアリング(16)、(16)を介して回転自在に支承させると
共に、該駆動筒(14)の開口両端をギヤボックス(13)の上
下両面に露出させ、又上記ギヤボックス(13)の他側部上
面に油圧モータ(17)を載置し、該モータ(17)からギヤボ
ックス(13)内へ突出された出力軸(18)に固着された小歯
車(19)、該小歯車(19)とかみ合う大歯車(20)、該大歯車
(20)と同軸の小歯車(21)、及び該小歯車(21)とかみ合い
且つ上記回転駆動筒(14)の外周面に固定された大歯車(2
2)の減速歯車列を経て油圧モータ(17)から回転駆動筒(1
4)に回転が伝達される。

上記左右一対づつの油圧シリンダ(６)、(６)及び支持ロ
ッド(７)、(７)の先端部に、左右一対の横断面コ字状案
内レール(23)、(23)を垂直に向けて軸(24)(24)、(25)(2
5)によりそれぞれ連結して左右一対の平行運動リンク機
構を形成し、両案内レール(23)、(23)に、上記ギヤボッ
クス(13)の左右側面に固定された横断面コ字状のスライ
ド板(26)、(26)を四角筒を形成するように昇降自在に係
合させると共に、各案内レール(23)とスライド板(26)と
の四角筒内に押込み用油圧シリンダ(27)、(27)をそれぞ
れ位置させ、そのシリンダ(27)、(27)の一端部を上記案
内レール(23)、(23)がわに連結すると共に、該シリンダ
のラム他端部を上記スライド板(26)、(26)がわに連結
し、それにより上記油圧シリンダ(27)、(27)にて上記ギ
ヤボックス(13)を吊支すると共に、該シリンダ(27)、(2
7)の進退駆動によりギヤボックス(13)を案内レール(2
3)、(23)に沿って昇降させるようにしてある。

上記案内レール(23)、(23)には、さらにギヤボックス(1
3)の後部を囲む後部フレーム(28)を取付け、該フレーム
(28)に垂直に固定された案内溝レール(29)に、上記ギヤ
ボックス(13)後部に固定されたスライド板(30)を摺動自
在に係合させてある。

次に、鋼管圧入機について説明する。第５、６、７図は
鋼管接続用アタッチメント(31)で、十字形に交又固定さ
れた伸縮アーム(32)、(33)からなり、一方の伸縮アーム
(32)は、角筒状主アーム(34)の両端部に、長手方向に複
数のピン孔を有する副アーム(35)、(35)を摺動自在に挿
入すると共に、該主アーム(34)から副アーム(35)、(35)
の所望のピン孔にロックピン(36)、(36)を差しこんで長
さを調整するもので、その副アーム(35)、(35)の先端に
座板(37)、(37)を取付けると共に該座板下面から横向き
のフック(38)、(38)を垂直に突設してあり、他方の伸縮
アーム(33)も上記と同じく円筒状主アーム(39)、副アー
ム(40)、(40)及びロックピン(41)、(41)を有するが、副
アーム(40)、(40)の先端にカギ形に屈曲垂下する当りピ
ン(42)、(42)を突設してあり、さらに両伸縮アーム(3
2)、(33)の交又点上面に、上記ケリーバ(５)の接続軸部
(11)と嵌合すべき接続ソケット(43)を垂直に突設し、該
ソケット(43)に嵌入された軸部(11)をピン(44)の差しこ
みにより回転不能に接続するようにしてある。

一方、鋼管(45)の上端部内周面に、第８図示のように係
止突起(46)、(46)を互に直径方向の位置に突設してあ
り、この鋼管(45)の上端部内に上記十字形アタッチメン
ト(31)のフック(38)、(38)及び当りピン(42)、(42)を挿
入しつつ座板(37)、(37)を鋼管(45)の開口端に当接し、
その状態でアタッチメント(31)を回してフック(38)、(3
8)を係止突起(46)、(46)に係止させると共に当りピン(4
2)、(42)を鋼管(45)内周面に当接させ、それにより鋼管
(45)をケリーバ(５)に対し回転連動可能に接続する。鋼
管圧入機の他の構造は第２、３、４図と同一である。

次に、場所打ちコンクリート杭築造工程における補強用
鋼管圧入工法の実施例について説明する。第１図におい
て、まず、第２、３、４図のケリーバ型バケット式竪孔
掘削機を使用し、(イ)図示のようにリーマナイフを取付
けた掘削バケット(10)により所期の竪孔よりも若干大径
の短い竪孔(ｈ)を掘削し、ついで(ロ)図示のように上記
短い竪孔(ｈ)内にベントナイト液を注入して孔壁の崩壊
防止処理を行った後スタンドケーシング(47)を建てこ
む。

次に、第２、３、４図のケリーバ型バケット式竪孔掘削
機を使用し、(ハ)図示のようにリーマナイフを取り外し
た掘削バケット(10)により上記短い竪孔(ｈ)に続けて所
期の竪孔の掘削を開始し、(ニ)図示の所定深さの竪孔
(Ｈ)を掘削する。なお、所期の竪孔掘削時にもベントナ
イト液の注入を行う。

次に、上記ケリーバ型バケット式竪孔掘削機について、
その接続軸部(11)からピンを引き抜いてバケット(10)を
取り外し、ついで上記接続軸部(11)に、第５、６図の鋼
管接続用アタッチメント(31)の接続ソケット(43)を被嵌
し、ピン(44)を差しこんで回転不能に接続し、該アタッ
チメント(31)のフック(38)、(38)及び当りピン(42)、(4
2)を、建込むべき補強用鋼管(45)の上端部内に挿入し、
そのフック(38)、(38)を鋼管の係止突起(46)、(46)に係
止してケリーバ型補強用鋼管圧入機に組み替える。この
ケリーバ型補強用鋼管圧入機を使用し、(ホ)図示のよう
に上記スタンドケーシング(47)に取付けた鋼管位置決め
治具(48)…に補強用鋼管(45)を支持させた状態で該鋼管
(45)を回転させながら自重で竪孔(Ｈ)内へ圧入を開始す
る。上記鋼管(45)は、一例として所期のコンクリート杭
の上部所要範囲（コンクリート杭の直径の約５倍の長さ
範囲）を包む長さもので、その外径は上記竪孔(Ｈ)とほ
ぼ同径又はやや小径である。上記の鋼管(45)の圧入にお
いて、該鋼管の回転と自重によっては圧入が困難の場合
は、第３、４図示の押込み用油圧シリンダ(27)、(27)の
進出駆動によりギヤボックス(13)を案内レール(23)、(2
3)に沿って押下げると、ケリーバ(５)に回転を伝達して
いる回転駆動筒(14)を降下してケリーバ(５)を摩擦力に
より押し下げ、それにより鋼管(45)の押込みを行う。な
お、上記押込みは、上記油圧シリンダ(27)、(27)の進退
によりギヤボックス(13)を昇降させて間欠的に行う。

(ヘ)図示のように所定位置に鋼管(45)を圧入したら(ト)
図示のように竪孔(Ｈ)内に鉄筋かご(49)を挿入し、次に
(チ)図示のようにトレミー管(50)を挿入し、まず該トレ
ミー管(50)を利用してエアリフトにより竪孔(Ｈ)内のス
ライムを竪孔外に排出した後、(リ)図示のようにトレミ
ー管(50)を通じて竪孔(Ｈ)内に生コンクリートを注入し
つつ該トレミー管(50)を引き上げていく。十分に注入し
た生コンクリートが硬化すると、(ヌ)図示のように上部
周面を鋼管(45)で補強されたコンクリート杭(51)が築造
される。

補強用鋼管圧入工法の他の実施例として、上記第１図に
おける(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の工程により竪孔(Ｈ)を
掘削した次に補強用鋼管を圧入せずに、(ト)鉄筋かご挿
入、(チ)スライム排出、(リ)生コンクリート注入を行
い、次に上記注入生コンクリートが硬化しない間に上記
(ホ)と同様に補強用鋼管(45)を圧入し、(ヌ)の鋼管(45)
で補強されたコンクリート杭(51)を築造する例も行われ
る。

（発明の効果） 本願第１発明の場所打ち杭築造における補強用鋼管圧入
工法によれば、補強用鋼管の圧入には、前工程の竪孔掘
削に使用されたケリーバ型竪孔掘削機を利用し、そのケ
リーバ下端に補強用鋼管をつけ替えて圧入作業を行うか
ら、従来のように鋼管圧入のための圧入装置を別途準備
する必要がなくなり、それにより設備費を大幅に節減す
ることができると共に、現場に圧入装置専用の待機スペ
ースを要する従来の欠点をも解消することができるので
ある。

本願第２発明の鋼管圧入機によれば、これを場所打ち杭
築造における補強要鋼管圧入に使用した場合、従来のパ
ワージャッキやバイブロ圧入装置に比較し、圧入速度が
早く、しかも振動による騒音公害や竪孔内の生コンクリ
ートの分離を起こさせる等の欠点を除くことができるの
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本願発明の実施例を示し、第１図(イ)、(ロ)、
(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)、(ヌ)は補
強用鋼管圧入を含む場所打ち杭築造工程を示す略線断面
図、第２図はケリーバ型バケット式竪孔掘削機の側面
図、第３図は第２図はケリーバ回転及び押込み駆動装置
部分の拡大平面図、第４図は第３図のIV−IV線断面図、
第５図は鋼管圧入機の鋼管接続用アタッチメント部分の
拡大正面図、第６図は同上平面図、第７図はフック部分
の拡大斜視図、第８図は鋼管の上端部の拡大斜面図であ
る。 ２……アーム、５……ケリーバ、10……掘削バケット、
13……ギヤボックス、14……回転駆動筒、17……油圧モ
ータ、26……案内レール、27……押込み用油圧シリン
ダ、45……補強用鋼管、51……コンクリート杭、Ｈ……
竪孔。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ケリーバを昇降自在に且つ回転駆動自在に
   支持すると共に該ケリーバの下端に掘削具を着脱自在に
   取付けてなるケリーバ型竪孔掘削機を用い、該掘削具の
   回転により地盤に竪孔を掘削し、ついで上記竪孔内に生
   コンクリートを打設する場所打ちコンクリート杭築造工
   程において、 上記生コンクリート打設の前又は後において、上記ケリ
   ーバ型竪孔掘削機のケリーバ下端から掘削具をはずして
   代りに所要長の補強用鋼管の上端を着脱自在に取付けた
   ものを用い、該鋼管を回転させて上記竪孔内に圧入す
   る、 場所打ち杭築造における補強用鋼管圧入工法。
2. 【請求項２】支持部材に昇降自在に吊支されたケリーバ
   を回転駆動筒に回転不能かつ軸方向摺動自在に挿通する
   と共に、該ケリーバ下端に鋼管を着脱自在に取付け、 上記回転駆動筒を上記支持部材に回転自在かつ上下移動
   自在に支持させ、該回転駆動筒を回転駆動源と回転伝達
   可能に連継すると共に上記支持部材に連結された押込み
   用油圧シリンダにより上下動自在に吊支させた、 鋼管圧入機。