JPH06293995A - アルミニウム系金属表面の水系無機塗料塗装前処理方法 - Google Patents

アルミニウム系金属表面の水系無機塗料塗装前処理方法

Info

Publication number
JPH06293995A
JPH06293995A JP10512593A JP10512593A JPH06293995A JP H06293995 A JPH06293995 A JP H06293995A JP 10512593 A JP10512593 A JP 10512593A JP 10512593 A JP10512593 A JP 10512593A JP H06293995 A JPH06293995 A JP H06293995A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
treatment
film
chromium
based inorganic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10512593A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3212754B2 (ja
Inventor
Jun Kawaguchi
純 川口
Akihiko Hasebe
昭彦 長谷部
Shinnosuke Nakano
慎之助 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Parkerizing Co Ltd filed Critical Nihon Parkerizing Co Ltd
Priority to JP10512593A priority Critical patent/JP3212754B2/ja
Publication of JPH06293995A publication Critical patent/JPH06293995A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3212754B2 publication Critical patent/JP3212754B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水系無機塗料に適した塗装前処理方法を提供
する。 【構成】 アルミニウム系金属表面に水系無機塗料を塗
装する場合の該塗装前処理において、該金属表面を予め
6価クロムイオン及び/又は3価クロムイオンを含有す
る酸性水溶液にて陰極電解処理をすることを特徴とす
る、アルミニウム系金属表面の水系無機塗料塗装前処理
方法。 【効果】 作業性が良好で、塗膜欠陥の無い塗装が可能
となり、水系無機塗料の塗膜に対して極めて高い密着性
と耐食性を付与する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム系金属表面
に水系無機塗料、例えばアルカリ珪酸塩系無機塗料を塗
装する場合の新規な塗装前処理方法に関する。より具体
的には陰極電解法により該素材表面に金属クロムと3価
のクロムを主成分とするクロム化合物の皮膜(以下、ク
ロメート皮膜と称する)を形成させる方法に関するもの
であって、前記前処理した表面に水系無機塗料を塗装し
て、ブツ、フクレ、ワレ、並びに剥離等の塗膜欠陥がな
く、かつ塗装後の密着性、ならびに耐食性の優れた高品
質塗膜を安定的に形成させ得る新規な水系無機塗料塗装
前処理方法を提供するものである。
【0002】
【従来技術】アルカリ珪酸塩系セラミックコーティング
剤を初めとする水系無機塗料は、その高い耐食性、耐薬
品性、耐摩耗性、耐候性、耐熱性、耐カビ性、防菌性さ
らには従来の有機樹脂系塗料の塗膜外観とは趣を異にし
た意匠性から、建材や構造材の分野で大きな注目を集め
いている。特に同じような耐候性、耐摩耗性、耐食性、
耐薬品性を目的として注目を集めいているフッ素樹脂塗
料に比べてコスト的に安価で、かつ同等の性能を有して
いる。しかも、形成される塗膜はガラス質なため有機樹
脂系の塗膜に比べ著しく高い塗膜硬度を有するために、
比較的軟質な金属表面を高硬度に改質し、耐傷付き性を
著しく向上することによって恒久的な意匠性を提供する
ことができる。
【0003】しかし、これらの水系無機塗料はpHが高
く強アルカリ性を呈するために、両性金属であるアルミ
ニウムのようにアルカリに浸されやすい素材に塗装する
と、塗装直後から金属溶出が始まり、続く焼付け工程に
おいてブツ、フクレ、剥離等に代表される塗装欠陥を生
ずることになる。これを避けるために、塗装前処理とし
てアルミニウム又はアルミニウム合金素材に対しては反
応型、もしくは塗布型クロメート処理や陽極酸化処理
(アルマイト処理)が施される。
【0004】これら従来の前処理方法は、きわめて注意
深く完璧に処理された場合には問題無いが、処理上予想
される僅かな欠陥や搬送時に傷等がつけられるとその部
分が集中的に侵され、先述の塗装外観不良の原因とな
る。しかも、クロメート処理においては皮膜そのものも
充分満足な耐アルカリ性を有しているわけではないの
で、その対応手段として前記皮膜形成後その表面を20
0℃以上の温度で20〜30分間程度の空焼きが必要で
あり、従って生産効率を低下させる問題を有している。
一方、アルミニウム素材を対象として行われる陽極酸化
処理はクロメート処理等に比べると皮膜付着量が大きい
ためにこれらの欠陥が起こりにくいものの、通常長くと
も60秒間以内で処理可能なクロメート処理に比較し、
数10分間程度の長い処理時間を必要とし、この方法も
生産効率が悪い。また、通常陽極酸化処理はそのままで
はポーラスなため封孔処理が施されるが、この封孔処理
後の水系無機塗料塗膜においては、有機樹脂系塗料によ
る塗装の場合とは異なり逆に塗膜剥離等の塗膜欠陥が発
生しやすい。従って、陽極酸化皮膜に該水系無機塗料を
塗装するためには未封孔の状態で塗装しなければならな
いが、未封孔の陽極酸化皮膜は不安定なため、処理後の
経過時間が長いと表面状態が変化して封孔処理を行った
場合と同様な塗装欠陥を生じやすく、陽極酸化処理後直
ちに塗装しなければならないといった工程上の制約を受
ける。
【0005】以上、アルミニウム系金属表面に水系無機
塗料を塗装する場合の塗装前処理方法に関する従来技術
について概説したが、金属材料の種類によっては上に述
べた方法を充分注意深く適用しても従来の方法では良好
な塗膜形成が不可能なものもある。例えば、アルミダイ
キャストに広く用いられているアルミニウム合金ADC
シリーズ(JIS)が挙げられ、これらは他のアルミニ
ウム合金に比較して合金元素の添加量が多く、一般に耐
腐食性が良好とはいえないとされている。特にADC1
2種の材料では上に述べたどの塗装前処理方法でも塗膜
焼付け時に鋳込みの際に形成される巣孔部分からフク
レ、ブツが生じたり、剥離が生じたりして良好な塗装が
不可能とされている。 反応型、塗布型クロメート皮膜は均一な皮膜が得られ
るもののCrとして50mg/m2程度と皮膜量が比較
的少なく、しかも耐アルカリ性に劣ること、陽極酸化
皮膜においては5μm程度と厚膜ではあるが傷等がつく
とむしろそこが集中的に侵されること、さらには、封
孔処理を行っていないことから、経時安定性に劣ること
等が欠点として挙げられる。従って、これらを解決する
ための前処理皮膜は耐アルカリ性が優れることと、皮膜
に傷等の欠陥があってもその部分が集中的に腐食される
ことがなくむしろ緩和する方向に働くような皮膜である
ことが望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はアルミ
ニウム系金属材料の表面に水系無機塗料を塗装して、塗
装外観に優れ、かつ密着性、耐食性の優れた塗膜を形成
させることができる新規な水系無機塗料塗装前処理方法
を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の機能
を付与するための表面処理方法について鋭意検討を重ね
た結果、6価クロムイオン及び/又は3価のクロムイオ
ンを含有する溶液中で被処理物を陰極電解処理をするこ
とにより得られる皮膜が水系無機塗料の塗装下地として
最適であることを見いだし本発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明は、アルミニウム系金属
表面に水系無機塗料を塗装する場合の該塗装前処理にお
いて、該金属表面を予め6価クロムイオン及び/又は3
価クロムイオンを含有する酸性水溶液にて陰極電解処理
をすることを特徴とする、アルミニウム系金属表面の水
系無機塗料塗装前処理方法を提供する。
【0009】以下本発明の構成を詳述する。本発明で対
象とする金属は、アルミニウム系金属である。さらに詳
しくは、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウ
ムめっき材、アルミニウム合金めっき材である。
【0010】最初に6価クロムイオンを含む溶液により
陰極電解処理をする場合について説明する。このような
電解液では処理を継続すると皮膜として生成される3価
クロムを主体とするクロメート皮膜の一部が溶解して浴
中に3価クロムイオンが蓄積するため、結局この例は6
価と3価のクロムイオンが混在する場合についても同時
に論じられることになる。
【0011】使用する電解液は6価クロムを含有する通
常のクロムめっき浴を若干修正して用いればよく、とく
に大きな限定条件はない。最も代表的なクロムめっき浴
にはサージェント浴(無水クロム酸:200〜300g
/L、硫酸:2〜3g/L)やサージェント浴の硫酸を
一部硅フッ化浴等があるが、本発明では通常のクロムめ
っきのように数μm〜数10μmの連続的な金属クロム
皮膜で素材表面を完全に被覆する必要は無いので、通常
のクロムめっき浴のように高濃度のものを用いる必要は
ない。経験上、無水クロム酸を用いて6価クロム換算で
2g/L以上あれば充分で、特に、6価クロムの排水処
理の問題を考慮すると希薄な溶液を用いた方が工業的に
も有利である。ただし、サージェント浴においては無水
クロム酸/硫酸の比率が100/1となっているが、希
釈された溶液においてもこの比率で硫酸を添加した方が
皮膜形成効率上好ましい結果となっている。
【0012】一方、電解条件についてもとくに大きな制
約はなく、温度については常温でも可能であるが、電解
条件を一定にする意味でも40℃程度で管理するのが好
ましい。電流密度については、0.5〜60A/dm2
と広い範囲で可能であるが、必要な全クロム付着量は電
流密度と電解時間によってきまるので、それらを適性範
囲内にするためには電流密度1〜2A/dm2程度、電
解時間は30〜100秒程度とすべきである。前にも述
べたように、このような低電流密度かつ短時間の電解は
通常のクロムめっきやアルミニウムの陽極酸化処理と比
較して電源設備コスト、ランニングコストの点でも非常
に有利と思われる。また、使用する陽極(対電極)は
鉛、酸化鉛(触媒電極)、あるいは炭素のような不溶性
電極が好ましいが、鉄やステンレスでも可能で、この場
合溶出する鉄・ニッケル等のイオンは数g/Lまでは許
容可能である。ステンレスを陽極として用いた場合はク
ロム(3価)の溶出も起こり得るが、3価のクロムイオ
ンはカソードにおいて金属クロムが析出する過程でも生
成し浴中に蓄積する。一方、アニオンとして酸化性の酸
となる硝酸イオンや3価クロムイオンとの溶解度積の小
さいりん酸イオンなどは皮膜の形成効率を低下させるた
めに、不純物としての混入を避けるべきである。また、
塩素イオン等の混入も皮膜形成を阻害するだけでなく陽
極材料を侵すので好ましくない。
【0013】次に、クロム供給源として3価クロムイオ
ンのみを含有する電解液を用いた場合について説明す
る。3価クロムイオンは比較的安定なアコ錯体を形成す
るために6価クロム浴に比べてクロム電析が困難である
が、排水処理等に有利であるため種々のタイプの浴が提
唱されている。基本的には硫酸クロム(Cr2(SO4
3)や塩化クロム(CrCl3)をクロム供給源として、
それらを蓚酸・ギ酸・グリシン・オキシカルボン酸等の
有機錯化剤を用いて錯化した浴を用いればよい。電解電
流密度と電解時間を適当に制御することにより、6価ク
ロム浴と同様の皮膜析出が可能であるが、6価クロム浴
にくらべて析出効率が劣るために、同じ電流密度で行う
場合は長い電解時間を必要とする。また、3価クロム浴
の場合、陽極として鉛や酸化鉛を用いると、それらの触
媒性によって浴中3価クロムが6価クロムに酸化してし
まうので、カーボン電極を用いるべきである。
【0014】本発明による皮膜についてクロム付着量を
指標にさらに詳しく述べる。本発明における陰極電解皮
膜の皮膜量は全クロム付着量で見るのが工業的に有利で
ある。これは金属クロムを含むクロム総量を意味し、蛍
光X線分析等で簡単に測定可能である。本発明が対象と
する水系無機塗料の前処理皮膜として最適な全クロム付
着量は素材により多少異なるので明確に規定することが
困難であるが、多くのアルミニウム系金属表面では約5
0〜300mg/m2が良好な範囲といえる。一般的に
は、皮膜量が少なすぎると前処理皮膜としての機能が低
下し、従来技術でみられるような塗装欠陥や塗装後の性
能劣化が起こり易くなる。一方、皮膜量が多すぎる場
合、例えば1000mg/m2を越える場合は塗装後の
密着性が劣化し、かつ処理時間が長くなることにより生
産性が低下するので好ましくない。
【0015】本発明による陰極電解処理の作業性につい
てのべる。一般にクロムめっきに代表されるようにクロ
ムイオンを含有する処理液から金属クロム、又はクロム
化合物を電析する場合には一般に電流効率が非常に悪
い。本発明による陰極電解処理においても通電電気量の
うち皮膜形成に消費される割合は高々20%程度で必ず
しも良いとはいえない。しかし、前述の塗装前処理皮膜
として必要な全クロム付着量が高くとも300mg/m
2であることから、析出効率はほとんど問題にする必要
がないと判断されるのである。電解条件は、前述した通
り通常2A/dm2程度の低電流密度でよく、この条件
で行っても例えば150mg/m2成膜するのに30〜
60秒間の電解で充分である。従って、アルミニウムの
陽極酸化のように3〜5A/dm2の電流密度で数10
分間の電解時間を必要とすることに比較すると、作業
性、設備、並びに生産効率的にも極めて有利な方法とい
うことができる。
【0016】陰極電解処理により形成される皮膜は、既
に述べた反応型、塗布型クロメート処理において該処理
後不可欠であった空焼き処理の必要が無く、陽極酸化処
理後速やかに塗装しなければならないとした工程上の制
約もない。この方法により形成される皮膜は不均一に存
在する金属クロムとそれを覆う3価クロムの水和酸化物
を主体とし、場合によってはさらに微量の6価クロムも
含有する複合型のクロメート皮膜であることが判明して
いる。このうち3価クロムにより構成されるクロメート
皮膜は強アルカリに侵されるため、何故このような強ア
ルカリタイプの水系無機塗料の塗装下地として前記3価
クロム系皮膜が良好なのかは不明である。この理由を考
察すると、理由としては次の二つが考えられる。金属
クロムに比較してクロメートの膜厚が数10オングスト
ロームときわめて薄いこと、本陰極電解処理により素
材表面の自然電位分布がよりフラットになりアルカリに
よる腐食の発端となる局部電池が形成されにくくなるこ
とによることが推定される。
【0017】本発明による水系無機塗料の塗装前処理法
はアルミニウム系金属表面の塗装の場合にさらに副次的
なメリットを得ることができる。これは全クロム付着量
150mg/m2以下の皮膜形成において得られるもの
であって、前述の如く制限された皮膜量では素材外観を
殆ど変化させずに、あたかも無処理であるかのような、
アルミニウム素地に起因した美しい金属光沢を有する外
観を呈することである。その結果、本発明による塗装前
処理皮膜はクリア塗装下地として最適であるということ
ができる。さらに、水系無機塗料は塗料自体が強アルカ
リ性を呈するため使用できる顔料にはある程度の制約が
あり、通常隠ぺい性の低いものが使用されているのが現
状である。このことは有機樹脂系の塗料に比較し色合い
が独特で、特に建材分野で注目を集める結果となってい
るが、一方では、水系無機塗料の低い隠ぺい性の故に塗
装前処理皮膜の色調の微妙な変化により同じ水系無機塗
料を塗装しても仕上がり外観が異なるといった問題を有
している。しかし、本発明による塗装前処理ではこのよ
うな問題を懸念する必要が殆ど無いといった副次的メリ
ットが得られる。
【0018】以上述べた陰極電解法は本発明が対象とす
る水系無機塗料の塗装下地としてばかりではなく、ゾル
ゲル型無機塗料や通常の有機樹脂系の塗料にも適用可能
である。塗膜密着性や耐食性などの塗装後の性能につい
ては、従来技術である塗布型、反応型クロメート処理に
比べてより優れており。素材がアルミニウミの場合は塗
装前処理として最も優れるといわれる陽極酸化処理に優
るとも劣らない。従って、陰極電解処理のための設備は
本発明が対象とする水系無機塗料による塗装ばかりでは
なく、一般の塗装系にも適用可能でありそのための投資
も無駄にならない。
【0019】
【実施例】本発明について実施例と比較例を挙げてさら
に具体的に説明する。以下に試験片の材質とそれらの作
製方法について説明する。各々の実施例、比較例におけ
る試験片は下記の(1)〜(6)の工程で作製したが、
比較例6及び13については塗装の前処理を脱脂のみと
し、従って(3)、(3’)または(3”)、および
(4)の工程を省略した。一方、比較例1〜5、7〜
8、9〜12については陰極電解処理のかわりに反応型
クロメート処理、もしくは陽極酸化処理を行ったため、
従って(3)のかわりに(3’)もしくは(3”)の工
程を採用した。
【0020】1.供試試験材 ・アルミ鋳造合金(JIS AC4C)フライス研削材 ・アルミ鋳造合金(JIS ADC12) ・JIS A5052板材
【0021】2.試験片作製工程 (1)アルカリ脱脂 ノンエッチングタイプのアルカリ脱脂剤(日本パーカラ
イジング製、ファインクリーナー4327)の2%水溶
液を用い、温度60℃、1分間スプレー脱脂を行った。 (2)洗浄 脱イオン水を用いて20秒間スプレー洗浄を行った。 (3)陰極電解 第1表に示した所定のクロム含有電解液を用い、第2表
に示した電解条件により陰極電解を行った。ただし、第
1表において、6価クロム含有浴(No.1〜2)の場
合は陽極としてステンレス電極(SUS304)を3価
クロム浴(No.3)の場合は炭素電極を用いた。ま
た、基本的に工程(6)の塗装は工程(4)(5)終了
直後に行ったが、必要に応じて5日間経時させてから塗
装を行った水準も設けた。 (3’)反応型クロメート処理 日本パーカライジング製アルクロム713の7%水溶液
を用いて、温度50℃にて20秒間スプレー処理し、反
応型クロメート皮膜を形成した。以上の処理を行った
後、必要に応じて230℃、20分間の空焼き処理を行
った。 (3”)陽極酸化処理 15%H2SO4水溶液中にて温度30℃、電流密度3A
/dm2の条件で陽極電解を行った。このとき、AC4
C材では電解時間を20分間、ADC12材では30分
間、A5052材では12分間として陽極酸化皮膜厚を
約3μmに制御した。また、基本的に工程(6)の塗装
は、工程(5)終了直後に行った。また、別に(5)工
程終了後3日間経時させてから塗装を行ったものも準備
した。他に、陽極酸化処理後沸騰脱イオン水中にて20
分間浸漬し、封孔処理を行ったものも準備した。 (4)洗浄 脱イオン水を用いて20秒間スプレー洗浄を行った。 (5)乾燥 100℃に設定したオーブン中にて2分間水切り乾燥を
行った。 (6)塗装 日本パーカライジング製水系無機塗料パルセラコート4
00S(黒)を用いて目標膜厚20μmでスプレー塗装
を行った。塗装後の焼付けは230℃にて30分間保持
することにより行った。
【0022】以下に、試験片の評価方法について説明す
る。 (イ)クロム付着量 蛍光X線分析装置を用いて試験片表面に存在する全クロ
ム付着量を測定した。 (ロ)塗膜外観観察 塗装、焼付け後の塗膜を観察し、剥がれ、ブツ、フク
レ、割れの発生状況を目視にて観察した。 (ハ)碁盤目密着性試験 塗装面にNTカッターで素地に達するように1mm四方
の碁盤目を100個描き、セロテープで剥離する。テー
プ剥離後の残存碁盤目数により下記のランクに分けて評
価した。 ○:異常無し △:残存碁盤目数 95/100以上 ×:残存碁盤目数 95/100未満 (ニ)塩水噴霧試験 塗装した試験片にNTカッターを用いて素地まで達する
カット傷をつけた後、JIS−Z2371に基づいて塩
水噴霧を1000時間行った後に発生したカット傷から
の錆や膨れの最大幅を測定した。 ○:最大錆・膨れ幅1mm以内 △:最大錆・膨れ幅2mm以内 ×:最大錆・膨れ幅2mm超過
【0023】各々の実施例、並びに比較例における試験
結果を、AC4C材については表3に、ADC12材に
ついては表4に、A5052材については表5にそれぞ
れ示した。
【0024】本実施例、比較例から次のことが言える。 本発明の陰極電解処理を施したアルミニウム材料、ア
ルミニウム合金材料では、実施例1〜6に示したように
水系無機塗料塗装後の外観観察において剥離やフクレ等
の塗装欠陥が起こらず、塗装後の密着性、耐食性におい
ても極めて優れた結果となっている。しかも、反応クロ
メートや陽極酸化処理のように空焼き処理や処理後塗装
までの扱い方に留意する必要が無く工業的に非常に有利
な方法といえる。 これに対して、比較例1〜2、9〜10に示すように
反応型クロメート処理においては後処理として高温度、
長時間の処理を必要とする空焼き工程を追加しないと塗
装欠陥が発生し、しかもそれを行っても塗装後の密着
性、耐食性は陰極電解処理を行ったものに比較してやや
劣る結果となった。 また、比較例3〜5、11〜12に示す陽極酸化処理
においては処理後に時間経過があると塗装欠陥が発生す
るため注意深い工程管理が必要なのと、それを避けるた
めの表面安定化処理として封孔処理を行ったものはむし
ろ塗装欠陥が顕著になる結果となった。しかも、この問
題に充分留意しても塗装後の耐食性は陰極電解処理法に
比べてやや劣る結果となった。 一方、比較例7〜8に示すように対象素材がADC1
2材である場合には上に述べた後処理や工程管理を行っ
ても全く塗装が不可能であった。 さらに、比較例6及び13には塗装前処理を行わなか
った例を挙げたが、もちろんこれらの場合も全く塗装が
不可能であった。
【0025】
【発明の効果】 アルミニウム系金属表面を対象として
水系無機塗料を塗装する際に、該塗装前処理として本発
明の陰極電解処理を行うことにより、複雑な工程を必要
とせずに、また工程上特別な制約を受けることなく、し
かも作業性が良好で、塗膜欠陥の無い美麗な塗装が可能
となるばかりでなく、水系無機塗料の塗膜に対して極め
て高い密着性と耐食性を付与することが可能となる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム系金属表面に水系無機塗料を
    塗装する場合の該塗装前処理において、該金属表面を予
    め6価クロムイオン及び/又は3価クロムイオンを含有
    する酸性水溶液中にて陰極電解処理をすることを特徴と
    する、アルミニウム系金属表面の水系無機塗料塗装前処
    理方法。
JP10512593A 1993-04-07 1993-04-07 アルミニウム系金属表面の水系無機塗料塗装前処理方法 Expired - Fee Related JP3212754B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10512593A JP3212754B2 (ja) 1993-04-07 1993-04-07 アルミニウム系金属表面の水系無機塗料塗装前処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10512593A JP3212754B2 (ja) 1993-04-07 1993-04-07 アルミニウム系金属表面の水系無機塗料塗装前処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06293995A true JPH06293995A (ja) 1994-10-21
JP3212754B2 JP3212754B2 (ja) 2001-09-25

Family

ID=14399072

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10512593A Expired - Fee Related JP3212754B2 (ja) 1993-04-07 1993-04-07 アルミニウム系金属表面の水系無機塗料塗装前処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3212754B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103848572A (zh) * 2012-12-05 2014-06-11 周伟 一种钢筋防腐蚀玻璃涂层材料的制备及涂覆方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9790613B2 (en) * 2015-03-17 2017-10-17 Goodrich Corporation Aluminum alloy anodization

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103848572A (zh) * 2012-12-05 2014-06-11 周伟 一种钢筋防腐蚀玻璃涂层材料的制备及涂覆方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3212754B2 (ja) 2001-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3392008B2 (ja) 金属の保護皮膜形成処理剤と処理方法
JP3987633B2 (ja) 金属の保護皮膜形成用処理剤と形成方法
JPH0693462A (ja) 電気メッキ亜鉛上にクロム酸塩転化皮膜をシールする方法
US3790355A (en) Coated metal article and method of coating
JP3212754B2 (ja) アルミニウム系金属表面の水系無機塗料塗装前処理方法
JPS6021235B2 (ja) コバルト−亜鉛合金電気メツキ浴組成物とメツキ方法
JPH0352557B2 (ja)
JP2816559B2 (ja) 黒色亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPS6270583A (ja) 黒色亜鉛合金メツキ鋼板の製造方法
JPS61291981A (ja) 黒色亜鉛合金メツキ鋼板の製造方法
JPS6210292A (ja) 着色亜鉛メツキ鋼板の製造方法
JPH0359996B2 (ja)
JPS63153295A (ja) 化成処理性に優れた着色被覆鋼板の製造方法
JPH06240490A (ja) 耐食性クロムめっき
JP2000219975A (ja) 表面処理されたMg合金およびその表面処理方法
JP3139838B2 (ja) クリア塗装用表面処理アルミニウム及びアルミニウム合金材料とその製法
JP3330423B2 (ja) 陰極電解樹脂クロメート型金属表面処理方法
JPH0340116B2 (ja)
JP3241170B2 (ja) アルミニウム系金属材料のカチオン電着塗装前処理方法
JPH06228797A (ja) チタン部材の塗装方法
JPH10140396A (ja) アルミニウム系金属材料の表面処理方法
JP3224639B2 (ja) アルミホイールの無色クロメート皮膜形成方法
Price Metal Coatings
JPH0696794B2 (ja) 交流電解クロメート処理メッキ鋼板の製造方法
JPS63143292A (ja) 耐食性に優れた電解クロメート処理亜鉛系メッキ鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees