JPH06287229A - エチレン系重合体の製造方法及び該方法により得られるエチレン系重合体 - Google Patents

エチレン系重合体の製造方法及び該方法により得られるエチレン系重合体

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JPH06287229A
JPH06287229A JP7315793A JP7315793A JPH06287229A JP H06287229 A JPH06287229 A JP H06287229A JP 7315793 A JP7315793 A JP 7315793A JP 7315793 A JP7315793 A JP 7315793A JP H06287229 A JPH06287229 A JP H06287229A
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Shuji Machida
修司 町田
Noriyuki Tani
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 非ニュートン性が改良され、良好な成形性を
有するエチレン系重合体、あるいはエラストマーとして
好ましい性質を有するエチレン系重合体を高効率で製造
する方法を提供すること。 【構成】 末端ビニル基形成能を有する金属化合物及び
これらの金属化合物又はその派生物からイオン性錯体を
形成しうる化合物からなる触媒の存在下、多段重合法に
よりエチレンを単独重合又は共重合させる際に、特定の
温度条件及び触媒を採用してエチレン系重合体を製造す
る方法、及びこの方法により得られた密度が0.86〜0.
97g/ml、DSCによる最大融解ピーク位置が50
〜270℃、又は実質的な融解ピークを示さないか、独
立した複数の融解ピークを示し、〔η〕が0.01〜20
dl/g(135℃、デカリン)、Mw/Mnが2.0〜
40のエチレン系重合体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエチレン系重合体の新規
な製造方法及びその方法によって得られた新規なエチレ
ン系重合体に関するものである。さらに詳しくいえば、
本発明は、非ニュートン性が改良され、良好なフィルム
成形性やブロー成形性が付与されるとともに、成形加工
における低エネルギー化や低コスト化が図られ、かつ高
速成形性が付与されたエチレン系重合体を高効率で製造
する方法、この方法によって得られた上記の好ましい性
質を有するエチレン系重合体、あるいはエラストマーと
して好ましい性質を有するエチレン系重合体、すなわ
ち、ハードセグメントとして高密度ポリエチレン相,ア
イソタクチックポリプロピレン相,アイソタクチックポ
リスチレン相,シンジオタクチックポリスチレン相など
の結晶相や環状オレフィン単位を主体とする非晶凍結相
などを有し、かつエチレンとの共重合相からなるソフト
セグメントを有する熱可塑性エラストマーや熱可塑性耐
熱エラストマーとして有用なエチレン系重合体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、メタロセン系触媒によって製造さ
れるポリオレフィンは、分子量分布がせまく、さらには
エチレンとα−オレフィンとの共重合性が良好であるた
め、各種用途への展開が期待されている。しかしなが
ら、該メタロセン系触媒を用いて得られるポリオレフィ
ンは、分子量分布が狭いために加工特性に劣り、その結
果、フィルム成形(インフレーション成形)やブロー成
形などにおいて、大きな制限を免れないという欠点を有
している。
【0003】一方、拘束幾何型触媒を用いてエチレン系
重合体を製造する方法及びそれによって得られるエチレ
ン系重合体が開示されており(特開平3−163088
号公報)、そしてこの方法によって得られる共重合体は
非ニュートン性を示し、加工性が向上する旨の記載があ
る。しかしながら、加工特性についてはまだ不充分で、
必ずしも満足しうるものではない。また、非ニュートン
性を付与するために、長鎖分岐を導入することが考えら
れているが、充分に実用に供する性能及び効率的な導入
方法は得られていない。長鎖分岐を導入するには、ビニ
ル基を生成しやすいことと、そのビニル基とモノマーと
の反応性が良いこと、すなわち共重合性が良いことの2
つの条件があるが、この2つの条件を同時に満足する触
媒及び重合方法は、これまで見出されていないのが実状
である。この2つの条件を同時に満足することによっ
て、極めて温和な条件で長鎖分岐が導入されたポリマー
を製造することが可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、非ニュートン性が改良され、良好なフィ
ルム成形性やブロー成形性が付与されるとともに、成形
加工における低エネルギー化や低コスト化が図られ、か
つ高速成形性が付与されたエチレン系重合体を高効率で
製造する方法、この方法によって得られる上記の好まし
い性質を有するエチレン系重合体や熱可塑性エラストマ
ーとして有用なエチレン系重合体、及び該エチレン系重
合体を含有する熱可塑性樹脂組成物を提供することを目
的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の重合温
度条件及び触媒を採用し、多段重合法により、エチレン
の単独重合、又はエチレンとエチレン性付加重合単量体
との共重合を行うことにより、非ニュートン性が改良さ
れた上記の好ましい性質を有するエチレン系重合体、あ
るいは熱可塑性エラストマーとして有用なエチレン系重
合体が得られることを見出した。本発明は、かかる知見
に基づいて完成したものである。すなわち、本発明は、
末端ビニル基形成能を有する(A)金属化合物及び
(B)該金属化合物又はその派生物からイオン性錯体を
形成しうる化合物を主成分とする触媒を用い、多段重合
法によりエチレン単独重合体又はエチレンとエチレン性
付加重合単量体との共重合体を製造するに当たり、
(1)重合温度T1 及びT 2 において、エチレンとオク
テン−1との共重合仕込モル比〔オクテン−1/(エチ
レン+オクテン−1)〕Mを等しくしたときの生成エチ
レン/オクテン─1共重合体の融点(Tm)と結晶化エ
ンタルピー(ΔH)との積が、式 (Tm)T1・(ΔH)T1>(Tm)T2・(ΔH)T2 〔ただし、(Tm)T1及び( ΔH)T1はそれぞれ重合温
度T1 で合成したエチレン/オクテン−1共重合体の融
点及び結晶化エンタルピーを示し、(Tm)T2及び(Δ
H)T2はそれぞれ重合温度T2 で合成したエチレン/オ
クテン−1共重合体の融点及び結晶化エンタルピーを示
す。〕の関係を満たし、かつ(2)上記(1)におい
て、重合温度T2 で合成したエチレン/オクテン−1共
重合体の融点(Tm)T2と結晶化エンタルピー(ΔH)
T2との積が、式 0≦(Tm)T2・(ΔH)T2≦27000−21600
〔M〕0.56 の関係を同時に満足する重合温度条件及び触媒を採用
し、第1段の重合温度をT 1 とし、第2段の重合温度を
2 とすることを特徴とするエチレン系重合体の製造方
法、及び該方法によって製造されるエチレン系重合体で
あって、(イ)樹脂密度が0.86〜0.97g/ミリリッ
トルであること、(ロ)示差走査熱量計によって測定で
きる最大融解ピーク位置が50〜270℃の範囲にある
こと、又は実質的に融解ピークを示さないものであるこ
と、又は独立した複数の融解ピークを示すこと、(ハ)
デカリン中、温度135℃で測定した極限粘度が0.01
〜20デシリットル/gであること、及び(ニ)ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポ
リエチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子
量(Mn)との比Mw/Mnが2.0〜40の範囲にある
ことを特徴とするエチレン系重合体、並びに該エチレン
系重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物を提供するもの
である。本発明においては、重合触媒として、末端ビニ
ル基形成能を有するものであって、(1)重合温度T1
及びT2 において、エチレンとオクテン−1との共重合
仕込モル比〔オクテン−1/(エチレン+オクテン−
1)〕Mを等しくしたときの生成エチレン/オクテン−
1共重合体の融点(Tm)と結晶化エンタルピー(Δ
H)との積が、式 (Tm)T1・(ΔH)T1>(Tm)T2・(ΔH)T2 〔ただし、(Tm)T1及び(ΔH)T1はそれぞれ重合温
度T1 で合成したエチレン/オクテン−1共重合体の融
点及び結晶化エンタルピーを示し、(Tm)T2及び(Δ
H)T2はそれぞれ重合温度T2 で合成したエチレン/オ
クテン−1共重合体の融点及び結晶化エンタルピーを示
す。〕の関係を満たし、かつ(2)上記(1)におい
て、重合温度T2 で合成したエチレン/オクテン−1共
重合体の融点(Tm)T2と結晶化エンタルピー(ΔH)
T2との積が、式 0≦(Tm)T2・( ΔH)T2≦27000−21600
〔M〕0.56 の関係を同時に満足するものが用いられる。このような
重合触媒としては、(A)金属化合物及び(B)該金属
化合物又はその派生物からイオン性錯体を形成しうる化
合物を主成分とするものが挙げられる。
【0006】上記(A)成分として用いられる金属化合
物としては、種々のものが挙げられるが、一般式 CpM1 1 a 2 b 3 c ・・・(I) Cp2 1 1 a 2 b ・・・(II) (Cp−Ae −Cp)M1 1 a 2 b ・・・(III) 又は一般式 M1 1 a 2 b 3 c 4 d ・・・(IV) で示される化合物やその誘導体が好適である。前記一般
式(I)〜(IV)において、M1 はチタン,ジルコニウ
ム,ハフニウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなど
の遷移金属を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,置
換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデ
ニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒドロ
インデニル基,フルオレニル基又は置換フルオレニル基
などの環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化水素基
を示す。R1 ,R2 ,R3 及びR4 はそれぞれ独立にσ
結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基など
の配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的に
は水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20
のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数
6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはア
リールアルキル基、炭素数1〜20のアシルオキシ基,
アリル基,置換アリル基,ケイ素原子を含む置換基など
を例示でき、またキレート性の配位子としては、アセチ
ルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基などを
例示できる。Aは共有結合による架橋を示す。a,b,
c及びdはそれぞれ独立に0〜4の整数、eは0〜6の
整数を示す。R1 ,R2 ,R3 及びR4 はその2以上が
互いに結合して環を形成してもよい。上記Cpが置換基
を有する場合には、該置換基は炭素数1〜20のアルキ
ル基が好ましい。(II)式及び(III)式において、2つ
のCpは同一のものであってもよく、互いに異なるもの
であってもよい。
【0007】上記(I)〜(III)式における置換シクロ
ペンタジエニル基としては、例えばメチルシクロペンタ
ジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基;イソプロ
ピルシクロペンタジエニル基;1,2−ジメチルシクロ
ペンタジエニル基;テトラメチルシクロペンタジエニル
基;1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基;1,
2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基;1,2,
4−トリメチルシクロペンタジエニル基;ペンタメチル
シクロペンタジエニル基;トリメチルシリルシクロペン
タジエニル基などが挙げられる。また、上記(I)〜
(IV)式におけるR 1 〜R4 の具体例としては、例えば
ハロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,
ヨウ素原子,炭素数1〜20のアルキル基としてメチル
基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−
ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数
1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ
基,プロポキシ基,ブトキシ基,フェノキシ基、炭素数
6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはア
リールアルキル基としてフェニル基,トリル基,キシリ
ル基,ベンジル基、炭素数1〜20のアシルオキシ基と
してヘプタデシルカルボニルオキシ基、ケイ素原子を含
む置換基としてトリメチルシリル基、(トリメチルシリ
ル)メチル基、ルイス塩基としてジメチルエーテル,ジ
エチルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、エ
チルベンゾエートなどのエステル類、アセトニトリル;
ベンゾニトリルなどのニトリル類、トリメチルアミン;
トリエチルアミン;トリブチルアミン;N,N−ジメチ
ルアニリン;ピリジン;2,2’−ビピリジン;フェナ
ントロリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン;ト
リフェニルホスフィンなどのホスフィン類、鎖状不飽和
炭化水素として、エチレン;ブタジエン;1−ペンテ
ン;イソプレン;ペンタジエン;1−ヘキセン及びこれ
らの誘導体、環状不飽和炭化水素として、ベンゼン;ト
ルエン;キシレン;シクロヘプタトリエン;シクロオク
タジエン;シクロオクタトリエン;シクロオクタテトラ
エン及びこれらの誘導体などが挙げられる。また、上記
(III)式におけるAの共有結合による架橋としては、例
えば、メチレン架橋,ジメチルメチレン架橋,エチレン
架橋,1,1’−シクロヘキシレン架橋,ジメチルシリ
レン架橋,ジメチルゲルミレン架橋,ジメチルスタニレ
ン架橋などが挙げられる。
【0008】前記一般式(I)で表される化合物として
は、例えば、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ト
リメチルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジ
エニル)トリフェニルジルコニウム,(ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(ペ
ンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニ
ウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメト
キシジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリメチ
ルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリフェニ
ルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリベンジ
ルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリクロロ
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリメトキシ
ジルコニウム,(シクロペンタジエニル)ジメチル(メ
トキシ)ジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニ
ル)トリメチルジルコニウム,(メチルシクロペンタジ
エニル)トリフェニルジルコニウム,(メチルシクロペ
ンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(メチルシ
クロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(メチ
ルシクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコ
ニウム,(ジメチルシクロペンタジエニル)トリクロロ
ジルコニウム,(トリメチルシクロペンタジエニル)ト
リクロロジルコニウム,(トリメチルシクロペンタジエ
ニル)トリメチルジルコニウム,(テトラメチルシクロ
ペンタジエニル)トリクロロジルコニウムなど、さらに
はこれらにおいて、ジルコニウムをチタン又はハフニウ
ムに置換した化合物が挙げられる。
【0009】前記一般式(II)で表される化合物として
は、例えばビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジル
コニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジ
ルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジエチルジ
ルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジル
ジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキ
シジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジクロ
ロジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジヒド
リドジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)モノ
クロロモノヒドリドジルコニウム,ビス(メチルシクロ
ペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(メチル
シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス
(メチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウ
ム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジメチ
ルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエ
ニル)ジクロロジルコニウム,ビス(ペンタメチルシク
ロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペ
ンタメチルシクロペンタジエニル)クロロメチルジルコ
ニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒ
ドリドメチルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコ
ニウムなど、さらにはこれらにおいて、ジルコニウムを
チタン又はハフニウムに置換した化合物が挙げられる。
【0010】また、前記一般式(III)で表される化合物
としては、例えばエチレンビス(インデニル)ジメチル
ジルコニウム,エチレンビス(インデニル)ジクロロジ
ルコニウム,エチレンビス(テトラヒドロインデニル)
ジメチルジルコニウム,エチレンビス(テトラヒドロイ
ンデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレンビ
ス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ジ
メチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジクロロ
ジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニ
ル)(9−フルオレニル)ジメチルジルコニウム,イソ
プロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレ
ニル)ジクロロジルコニウム,〔フェニル(メチル)メ
チレン〕(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニ
ル)ジメチルジルコニウム,ジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジメチルジル
コニウム,エチレン(9−フルオレニル)(シクロペン
タジエニル)ジメチルジルコニウム,シクロヘキサリデ
ン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメ
チルジルコニウム,シクロペンチリデン(9−フルオレ
ニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウ
ム,シクロブチリデン(9−フルオレニル)(シクロペ
ンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ジメチルシリレ
ン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジメ
チルジルコニウム,ジメチルシリレンビス(2,3,5
−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニ
ウム,ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチル
シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ジメチ
ルシリレンスビス(インデニル)ジクロロジルコニウム
などが、さらには、これらにおいて、ジルコニウムをチ
タン又はハフニウムに置換して化合物が挙げられる。
【0011】さらに、前記一般式(IV)で表される化合
物としては、例えばテトラメチルジルコニウム,テトラ
ベンジルジルコニウム,テトラメトキシジルコニウム,
テトラエトキシジルコニウム,テトラブトキシジルコニ
ウム,テトラクロロジルコニウム,テトラブロモジルコ
ニウム,ブトキシトリクロロジルコニウム,ジブトキシ
ジクロロジルコニウム,ビス(2,5−ジ−t−ブチル
フェノキシ)ジメチルジルコニウム,ビス(2,5−ジ
−t−ブチルフェノキシ)ジクロロジルコニウム,ジル
コニウムビス(アセチルアセトナート)など、さらに
は、これらにおいて、ジルコニウムをチタン又はハフニ
ウムに置換した化合物が挙げられる。また、バナジウム
化合物の具体例としては、バナジウムトリクロリド,バ
ナジルトリクロリド,バナジウムトリアセチルアセトナ
ート,バナジウムテトラクロリド,バナジウムトリブト
キシド,バナジルジクロリド,バナジルビスアセチルア
セトナート,バナジルトリアセチルアセトナート,ジベ
ンゼンバナジウム,ジシクロペンタジエニルバナジウ
ム,ジシクロペンタジエニルバナジウムジクロリド,シ
クロペンタジエニルバナジウムジクロリド,ジシクロペ
ンタジエニルメチルバナジウムなどが挙げられる。
【0012】次に、クロム化合物の具体例としては、テ
トラメチルクロム、テトラ(t−ブトキシ)クロム、ビ
ス(シクロペンタジエニル)クロム、ヒドリドトリカル
ボニル(シクロペンタジエニル)クロム、ヘキサカルボ
ニル(シクロペンタジエニル)クロム、ビス(ベンゼ
ン)クロム、トリカルボニルトリス(ホスホン酸トリフ
ェニル)クロム、トリス(アリル)クロム、トリフェニ
ルトリス(テトラヒドロフラン)クロム、クロムトリス
(アセチルアセトナート)などが挙げられる。さらに、
(A)及び(B)成分として、前記一般式(III)の中
で、置換若しくは無置換の2個の共役シクロペンタジエ
ニル基(但し、少なくとも1個は置換シクロペンタジエ
ニル基である)が周期律表の14族から選ばれる元素を
介して互いに結合した多重配位性化合物を配位子とする
4族遷移金属化合物を好適に用いることができる。この
ような化合物としては、例えば一般式(V)
【0013】
【化1】
【0014】で表される化合物又はその誘導体を挙げる
ことができる。前記一般式(V)中のY1 は炭素,ケイ
素,ゲルマニウム又はスズ原子,R5 t −C5 4-t
びR5 u −C5 4-u はそれぞれ置換シクロペンタジエ
ニル基、t及びuは1〜4の整数を示す。ここで、R5
は水素原子,シリル基又は炭化水素基を示し、互いに同
一であっても異なっていてもよい。また、少なくとも片
方のシクロペンタジエニル基には、Y1 に結合している
炭素の隣の少なくとも片方の炭素上にR5 が存在する。
6 は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素
数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若しくは
アリールアルキル基を示す。M2 はチタン、ジルコニウ
ム又はハフニウム原子を示し、X1 は水素原子,ハロゲ
ン原子,炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20
のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリールア
ルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。X
1 は互いに同一であっても異なっていてもよく、R6
互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0015】上記一般式(V)における置換シクロペン
タジエニル基としては、例えばメチルシクロペンタジエ
ニル基;エチルシクロペンタジエニル基;イソプロピル
シクロペンタジエニル基;1,2−ジメチルシクロペン
タジエニル基;1,3−ジメチルシクロペンタジエニル
基;1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基;
1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基などが
挙げられる。X1 の具体例としては、ハロゲン原子とし
てF,Cl,Br,I、炭素数1〜20のアルキル基と
してメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピ
ル基,n−ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル
基、炭素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基,
エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基,フェノキシ
基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基
若しくはアリールアルキル基としてフェニル基,トリル
基,キシリル基、ベンジル基などが挙げられる。R6
具体例としてはメチル基,エチル基,フェニル基,トリ
ル基,キシリル基、ベンジル基などが挙げられる。
【0016】上記一般式(V)で表される化合物の具体
例としては、ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド,ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシ
クロペンタジエニル)チタニウムジクロリド,ジメチル
シリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジ
エニル)ハフニウムジクロリドなどが挙げられる。さら
に、一般式(VI)
【0017】
【化2】
【0018】で表される化合物も包含する。該一般式
(VI) の化合物において、Cpはシクロペンタジエニル
基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換
インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラ
ヒドロインデニル基、フルオレニル基又は置換フルオレ
ニル基などの環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化
水素基を示す。M3 はチタン、ジルコニウム又はハフニ
ウム原子を示し、X2 は水素原子、ハロゲン原子、炭素
数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール
基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基又
は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。ZはSi
7 2,CR7 2,SiR7 2SiR7 2,CR7 2CR7 2,CR
7 2CR7 2CR7 2,CR7 =CR7 ,CR7 2SiR7 2又は
GeR7 2を示し、Y 2 は−N(R8)−,−O−,−S−
又は−P(R8 )−を示す。上記R7 は水素原子又は2
0個までの非水素原子をもつアルキル,アリール,シリ
ル,ハロゲン化アルキル,ハロゲン化アリール基及びそ
れらの組合せから選ばれた基であり、R8 は炭素数1〜
10のアルキル若しくは炭素数6〜10のアリール基で
あるか、又は1個若しくはそれ以上のR7 と30個まで
の非水素原子の縮合環系を形成してもよい。wは1又は
2を示す。
【0019】上記一般式(VI)で表される化合物の具体
例としては、(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−
η5 −シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル
ジルコニウムジクロリド;(第3級ブチルアミド)(テ
トラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−1,2−
エタンジイルチタンジクロリド;(メチルアミド)(テ
トラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−1,2−
エタンジイルジルコニウムジクロリド;(メチルアミ
ド)(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−
1,2−エタンジイルチタンジクロリド;(エチルアミ
ド)(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−
メチレンチタンジクロリド;(第3級ブチルアミド)ジ
メチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)
シランチタンジクロリド;(第3級ブチルアミド)ジメ
チル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シ
ランジルコニウムジベンジル;(ベンジルアミド)ジメ
チル−(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)
シランチタンジクロリド;(フェニルホスフィド)ジメ
チル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シ
ランジルコニウムジベンジルなどが挙げられる。
【0020】本発明では、通常同一の金属化合物を用い
て、異なる温度条件での多段重合が行われるが、異なる
温度条件で、本発明の前記重合条件を満たすものであれ
ば、各段で異なる金属化合物を用いることもできる。本
発明における重合触媒においては、上記(A)成分の金
属化合物は、一種用いてもよく、又二種以上を組み合わ
せて用いてもよい。一方、該重合触媒において、(B)
成分として用いられる、前記(A)成分の金属化合物又
はその派生物からイオン性の錯体を形成しうる化合物と
しては、(B−1)該(A)成分の金属化合物と反応し
てイオン性の錯体を形成するイオン性化合物と、(B−
2)アルミノキサンを例示することができる。 該(B
−1)成分の化合物としては、前記(A)成分の金属化
合物と反応してイオン性の錯体を形成しうるイオン性化
合物であればいずれのものでも使用できるが、カチオン
と複数の基が元素に結合したアニオンとからなる化合
物、特にカチオンと複数の基が元素に結合したアニオン
とからなる配位錯化合物を好適に使用することできる。
このようなカチオンと複数の基が元素に結合したアニオ
ンとからなる化合物としては、一般式 (〔L1 −R9 k+p (〔M4 1 2 ・・Zn (h-g)-q ・・(VII) 又は (〔L2 k+p (〔M5 1 2 ・・Zn (h-g)-q ・・(VIII) (但し、L2 はM6 ,R10117 ,R12 3 C又はR13
7 である) (式中、L1 はルイス塩基、M4 及びM5 はそれぞれ周
期律表の5族,6族,7族,8〜10族,11族,12
族,13族,14族及び15族から選ばれる元素、好ま
しくは13族,14族及び15族から選ばれる元素、M
6 及びM7 はそれぞれ周期律表の3族,4族,5族,6
族,7族,8〜10族,1族,11族,2族,12族及
び17族から選ばれる元素、Z1 〜Zn はそれぞれ水素
原子,ジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキ
シ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜
20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アル
キルアリール基,アリールアルキル基、炭素数1〜20
のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜20のアシルオ
キシ基、有機メタロイド基又はハロゲン原子を示し、Z
1 〜Zn はその2以上が互いに結合して環を形成してい
てもよい。R9 は水素原子、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基
又はアリールアルキル基を示し、R10及びR11はそれぞ
れシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル
基,インデニル基又はフルオレニル基、R12は炭素数1
〜20のアルキル基、アリール基,アルキルアリール基
又はアリールアルキル基を示す。R13はテトラフェニル
ポルフィリン,フタロシアニンなどの大環状配位子を示
す。gはM4 ,M5 の原子価で1〜7の整数、hは2〜
8の整数、kは〔L1 −R9 〕,〔L2 〕のイオン価数
で1〜7の整数、pは1以上の整数、q=(p×k)/
(h−g)である。)で表される化合物である。
【0021】ここで、上記L1 で示されるルイス塩基の
具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリ
ン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニ
リン,ジフェニルアミン,トリメチルアミン,トリエチ
ルアミン,トリ−n−ブチルアミン,N,N−ジメチル
アニリン,メチルジフェニルアミン,ピリジン,p−ブ
ロモ−N,N−ジメチルアニリン,p−ニトロ−N,N
−ジメチルアニリンなどのアミン類、トリエチルフォス
フィン,トリフェニルフォスフィン,ジフェニルフォス
フィンなどのフォスフィン類、ジメチルエーテル,ジエ
チルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサンなどの
エーテル類、ジエチルチオエーテル,テトラヒドロチオ
フェンなどのチオエーテル類、エチルベンゾエートなど
のエステル類などが挙げられる。
【0022】また、M4 及びM5 の具体例としては、
B,Al,Si,P,As,Sbなど、好ましくはB又
はP、M6 の具体例としては、Li,Na,Ag,C
u,Br,Iなど、M7 の具体例としては、Mn,F
e,Co,Ni,Znなどが挙げられる。Z1 〜Zn
具体例としては、例えば、ジアルキルアミノ基としてジ
メチルアミノ基;ジエチルアミノ基、炭素数1〜20の
アルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブト
キシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基としてフェ
ノキシ基;2,6−ジメチルフェノキシ基;ナフチルオ
キシ基、炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基;
エチル基;n−プロピル基;イソプロピル基;n−ブチ
ル基;n−オクチル基;2−エチルヘキシル基、炭素数
6〜20のアリール基;アルキルアリール基若しくはア
リールアルキル基としてフェニル基;p−トリル基;ベ
ンジル基;4−t−ブチルフェニル基;2,6−ジメチ
ルフェニル基;3,5−ジメチルフェニル基;2,4−
ジメチルフェニル基;2,3−ジメチルフェニル基、炭
素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基としてp−フル
オロフェニル基;3,5−ジフルオロフェニル基;ペン
タクロロフェニル基;3,4,5−トリフルオロフェニ
ル基;ペンタフルオロフェニル基;3,5−ジ(トリフ
ルオロメチル)フェニル基、ハロゲン原子としてF,C
l,Br,I、有機メタロイド基として五メチルアンチ
モン基,トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,
ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン
基,ジフェニル硼素基が挙げられる。R9 ,R12の具体
例としては先に挙げたものと同様なものが挙げられる。
10及びR11の置換シクロペンタジエニル基の具体例と
しては、メチルシクロペンタジエニル基,ブチルシクロ
ペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル
基などのアルキル基で置換されたものが挙げられる。こ
こで、アルキル基は通常炭素数が1〜6であり、置換さ
れたアルキル基の数は1〜5の整数である。
【0023】上記一般式(VII),(VIII)の化合物の中
では、M4 ,M5 が硼素であるものが好ましい。一般式
(VII),(VIII)の化合物の中で、具体的には下記のも
のが特に好適に使用できる。例えば、一般式(VII)の化
合物としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸トリ(n−ブチル)アンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テ
トラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフ
ェニル硼酸メチルトリ(n−ブチル)アンモニウム,テ
トラフェニル硼酸ベンジルトリ(n−ブチル)アンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸メチルトリフェニルアンモニ
ウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テ
トラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル
硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル
(2−シアノピリジニウム),テトラフェニル硼酸トリ
メチルスルホニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルメチ
ルスルホニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸トリエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウ
ム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフ
ェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸テトラブチルアンモニウム,テトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸テトラエチルアンモニウ
ム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸〔メチ
ルトリ(n−ブチル)アンモニウム〕,テトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)硼酸〔ベンジルトリ(n−ブチ
ル)アンモニウム〕,テトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム,テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルトリフェニルア
ンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼
酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラキス(ペン
タフルオロフェニル)硼酸アニリニウム,テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルア
ニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼
酸トリメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸ジメチル(m−ニトロアニリニウ
ム),テトラキス(ペンタフルオロフェニルメチル)硼
酸ジメチル(p−ブロモアニリニウム),テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸ピリジニウム,テトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(p−シアノピリ
ジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼
酸(N−メチルピリジニウム),テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸(N−ベンジルピリジニウム),
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(O−シア
ノ−N−メチルピリジニウム),テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸(p−シアノ−N−メチルピリジ
ニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸
(p−シアノ−N−ベンジルピリジニウム),テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルスルホニ
ウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベン
ジルジメチルスルホニウム,テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸テトラフェルホスホニウム,テトラキ
ス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)硼酸ジメ
チルアニリウム,トリス(ペンタフルオロフェニル)
(p−トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル)硼
酸ジメチルアニリニウム,トリス(ペンタフルオロフェ
ニル)(p−トリフルオロメチルテトラフルオロフェニ
ル)硼酸トリエチルアンモニウム,トリス(ペンタフル
オロフェニル)(p−トリフルオロメチルテトラフルオ
ロフェニル)硼酸ピリジニウム,トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)(p−トリフルオロメチルテトラフルオロ
フェニル)硼酸(N−メチルピリジニウム),トリス
(ペンタフルオロフェニル)(p−トリフルオロメチル
テトラフルオロフェニル)硼酸(O−シアノ−N−メチ
ルピリジニウム),トリス(ペンタフルオロフェニル)
(p−トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル)硼
酸(p−シアノ−N−ベンジルピリジニウム),トリス
(ペンタフルオロフェニル)(p−トリフルオロメチル
テトラフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウ
ム,トリス(ペンタフルオロフェニル)(2,3,5,
6−テトラフルオロピリジニル)硼酸ジメチルアニリニ
ウム,トリス(ペンタフルオロフェニル)(2,3,
5,6−テトラフルオロピリジニル)硼酸トリエチルア
ンモニウム,トリス(ペンタフルオロフェニル)(2,
3,5,6−テトラフルオロピリジニル)硼酸ピリジニ
ウム,トリス(ペンタフルオロフェニル)(2,3,
5,6−テトラフルオロピリジニル)硼酸(N−メチル
ピリジニウム),トリス(ペンタフルオロフェニル)
(2,3,5,6−テトラフルオロピリジニル)硼酸
(O−シアノ−N−メチルピリジニウム),トリス(ペ
ンタフルオロフェニル)(2,3,5,6−テトラフル
オロピリジニル)硼酸(p−シアノ−N−ベンジルピリ
ジニウム),トリス(ペンタフルオロフェニル)(2,
3,5,6−テトラフルオロピリジニル)硼酸トリフェ
ニルホスホニウム,トリス(ペンタフルオロフェニル)
(フェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,トリス(ペン
タフルオロフェニル)〔3,5−ジ(トリフルオロメチ
ル)フェニル〕硼酸ジメチルアニリニウム,トリス(ペ
ンタフルオロフェニル)(4−トリフルオロメチルフェ
ニル)硼酸ジメチルアニリニウム,トリフェニル(ペン
タフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,ヘキ
サフルオロ砒素酸トリエチルアンモニウムなどが挙げら
れる。
【0024】一方、一般式(VIII)の化合物としては、
テトラフェニル硼酸フェロセニウムテトラフェニル硼酸
銀,テトラフェニル硼酸トリチル,テトラフェニル硼酸
(テトラフェニルポルフィリンマンガン),テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム,テト
ラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1’−ジ
メチルフェロセニウム),テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム,テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸アセチルフェロセニウ
ム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ホルミ
ルフェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸シアノフェロセニウム,テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸銀,テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸トリチル,テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸リチウム,テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)硼酸ナトリウム,テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)硼酸(テトラフェニルポルフィリンマンガ
ン),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テ
トラフェニルポルフィリン鉄クロライド),テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)硼酸(テトラフェニルポル
フィリン亜鉛),テトラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオ
ロ砒素酸銀,ヘキサフルオロアンチモン酸銀などが挙げ
られる。また、前記一般式(VII), (VIII)以外の化合物
としては、例えば、トリス(ペタフルオロフェニル)硼
酸,トリス〔3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニ
ル〕硼酸,トリフェニル硼酸なども使用することができ
る。
【0025】この(B−1)成分である、該(A)成分
の金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成するイオ
ン性化合物は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせ
て用いてもよい。また、該(A)成分の金属化合物及び
上記(B−1)成分のイオン性の錯体を形成しうるイオ
ン性化合物からなる成分がポリカチオン錯体であっても
よい。一方、(B−2)成分のアルミノキサンとして
は、一般式(IX)
【0026】
【化3】
【0027】(式中、R14は炭素数1〜20、好ましく
は1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,
アリールアルキル基などの炭化水素基又はハロゲン原子
を示し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。sは重
合度を示し、通常3〜50、好ましくは7〜40の整数
である。)で表される鎖状アルミノキサン、及び一般式
(X)
【0028】
【化4】
【0029】(式中、R14及びsは前記と同じであ
る。)で表される環状アルミノキサンを挙げることがで
きる。前記一般式(IX)及び(X)の化合物の中で好ま
しいのは、重合度7以上のアルミノキサンである。この
重合度7以上のアルミノキサン又はこれらの混合物を用
いた場合には高い活性を得ることができる。また、一般
式(IX)及び(X)で示されるアルミノキサンを水など
の活性水素をもつ化合物で変性した通常の溶剤に不溶な
変性アルミノキサンも好適に使用することができる。
【0030】前記アルミノキサンの製造法としては、ア
ルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方
法が挙げられるが、その手段については特に制限はな
く、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば有
機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これ
を水と接触させる方法、重合時に当初有機アルミニウ
ム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、金属
塩などに含有されている結晶水、無機物や有機物への吸
着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、テ
トラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニ
ウムを反応させ、さらに水を反応させる方法などがあ
る。これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】本発明においては、該(B)触媒成分とし
て、前記(B−1)成分のみを用いてもよいし、(B−
2)成分のみを用いてもよく、また(B−1)成分と
(B−2)成分とを併用してもよい。更に、(B)触媒
成分として、前記(B−1),(B−2)成分以外、例
えば電子対受容体としてルイス酸を用いることができ
る。ここでルイス酸は、金属カチオンへ配位し、安定化
する作用を有するものであれば、特に制限はない。この
ような化合物としては、金属酸化物,金属ハロゲン化物
などがあり、その金属種としては、特にアルミニウム,
ホウ素,亜鉛,スズ,マグネシウム,アンチモン,ケイ
素,カルシウム,ガリウム,マンガン,鉄,コバルト,
ニッケルなどが挙げられる。本発明で用いられる重合触
媒においては、所望により、(C)成分として、一般式
(XI) Rr AlQ3-r ・・・ (XI) (式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Qは
炭素数1〜20のアルコキシ基又はハロゲン原子を示
し、rは1〜3の数である。)で表される有機アルミニ
ウム化合物を用いることができる。特に、(B)成分と
して(B−1)として示した(A)成分の金属化合物と
反応してイオン性の錯体を形成するイオン性化合物を用
いる場合に、(C)有機アルミニウム化合物を併用する
ことによって高い活性を得ることができる。
【0032】前記一般式(XI) で表される化合物の具体
例としては、トリメチルアルミニウム, トリエチルアル
ミニウム, トリイソプロピルアルミニウム, トリイソブ
チルアルミニウム, ジメチルアルミニウムクロリド, ジ
エチルアルミニウムクロリド, メチルアルミニウムジク
ロリド, エチルアルミニウムジクロリド, ジメチルアル
ミニウムフルオリド, ジイソブチルアルミニウムハイド
ライド, ジエチルアルミニウムハイドライド, エチルア
ルミニウムセスキクロリドなどが挙げられる。
【0033】次に、本発明においては、前記(A),
(B)及び所望に応じて用いられる(C)触媒成分の少
なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができ
る。該担体の種類については特に制限はなく、無機酸化
物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれも用
いることができるが、特に無機酸化物担体あるいはそれ
以外の無機担体が好ましい。無機酸化物担体としては、
具体的には、SiO2 ,Al2 3 ,MgO,Zr
2 ,TiO2 ,Fe2 3 ,B2 3 ,CaO,Zn
O,BaO,ThO2 やこれらの混合物、例えばシリカ
アルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバー
などが挙げられる。これらの中では、特にSiO2 ,A
2 3 が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少
量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩などを含有してもよい。
【0034】一方、上記以外の無機担体として、MgC
2 ,Mg(OC2 5)2 などのマグネシウム化合物や
その錯塩、あるいはMgR15 i 3 j で表される有機マ
グネシウム化合物などを挙げることができる。ここで、
15は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の
アルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X3
ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、
iは0〜2、jは0〜2である。また、有機担体として
は、ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン,置
換ポリスチレン,ポリアリレートなどの重合体やスター
チ,カーボンなどを挙げることができる。ここで、用い
られる担体の性状は、その種類及び製法により異なる
が、平均粒径は通常1〜300μm、好ましくは10〜
200μm、より好ましくは20〜100μmである。
【0035】粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、
粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低
下やホッパーの詰まりの原因になる。また、担体の比表
面積は、通常1〜1000m2 /g、好ましくは50〜
500m2 /g、細孔容積は通常0.1〜5cm3 /g、
好ましくは0.3〜3cm3 /gである。比表面積又は細
孔容積のいずれかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が
低下することがある。なお、比表面積及び細孔容積は、
例えばBET法に従って吸着された窒素ガスの体積から
求めることができる(ジャーナル・オブ・アメリカン・
ケミカル・ソサィエティ,第60巻,第309ページ
(1983年)参照)。さらに、上記担体は、通常15
0〜1000℃、好ましくは200〜800℃で焼成し
て用いることが望ましい。担体に担持させる方法につい
ては特に制限はなく、従来慣用されている方法を用いる
ことができる。以上の触媒群より、(A)成分及び
(B)成分を必須として含有し、かつ(A)成分の金属
化合物を適宜選定することにより、所望の特徴を有する
エチレン系重合体を製造することができる。次に、本発
明における各触媒成分の使用割合について説明する。触
媒成分として(1)(A)成分と(B−1)成分とを用
いる場合には、(A)成分/(B−1)成分モル比が1
/0.1〜1/100、好ましくは1/0.5〜1/10、
より好ましくは1/1〜1/5の範囲にあるように両成
分を用いるのが望ましい。(2)(A)成分と(B−
1)成分と(C)成分とを用いる場合には、(A)成分
/(B−1)成分モル比は前記(1)の場合と同様であ
るが、(A)成分/(C)成分モル比は1/2000〜
1/1、好ましくは1/1000〜1/5、より好まし
くは1/500〜1/10の範囲にあるのが望ましい。
また、(3)(A)成分と(B−2)成分とを用いる場
合には、(A)成分/(B−2)成分モル比が1/20
〜1/10000、好ましくは1/100〜1/500
0、より好ましくは1/200〜1/2000の範囲に
あるように両成分を用いるのが望ましい。(4)(A)
成分と(B−2)成分と(C)成分とを用いる場合に
は、(A)成分/(B−2)成分モル比は前記(3)の
場合と同様であるが、(A)成分/(C)成分モル比は
1/2000〜1/1、好ましくは1/1000〜1/
5、より好ましくは1/500〜1/10の範囲にある
のが望ましい。また、重合形態については特に制限はな
く、不活性炭化水素などを用いる溶媒重合法(懇濁重
合,溶液重合)又は実質上不活性炭化水素溶媒の存在し
ない条件で重合する塊状重合法、気相重合法も利用でき
る重合に際して使用される炭化水素系溶媒としては、例
えばブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタ
ン,ノナン,デカン,シクロペンタン,シクロヘキサン
などの飽和炭化水素、ベンゼン,トルエン,キシレンな
どの芳香族炭化水素,クロロホルム,ジクロロメタン,
二塩化エチレン,クロロベンゼンなどの塩素含有溶媒な
どが挙げられる。重合温度としては0〜250℃、重合
圧力としては常圧〜150kg/cm2で行うのが一般
的であるが、好ましくは10〜220℃、常圧〜100
kg/cm2 さらに好ましくは15〜200℃、常圧〜
90kg/cm2 の範囲である。得られる重合体の分子
量制御は、通常用いられる方法によって行えばよい。例
えば温度、モノマー濃度、触媒濃度などで制御すること
ができる。本発明のエチレン系重合体は、エチレン単独
重合又はエチレンとエチレン性付加重合単量体との共重
合において、重合温度T1 で末端ビニル基を生成させ、
かつ重合温度T2 で共重合性がある特定の範囲にある触
媒を作用させることによって得られるものである。本発
明のエチレン系重合体が非ニュートン性を有するのは、
おそらく長鎖分岐の存在によるものと思われる。
【0036】次に末端ビニル基の生成及び共重合性につ
いて説明する。 (a)末端ビニル基の生成 末端ビニル基の生成は、一般にはエチレン又はプロピレ
ンの関与する重合系において、生長末端でのβ水素,β
アルキル基の脱離連鎖移動により生成するといわれる。
また、触媒が末端ビニル基を生成する能力を有するか否
かは、金属化合物(A)とアルミノキサンを用いたエチ
レン重合又は共重合を行うことにより生成した重合体を
評価することにより可能である。ただし、その生成量が
少ない場合、触媒濃度を上げ、モノマー濃度を低下する
などの低分子化の重合条件を採用する必要がある。末端
ビニル基の定量方法としては、IR測定で、907cm
-1に出る末端ビニル基のピークから、炭素100個当た
りの末端ビニル基の数nを、式 n=0.114×A907 /(D×T) 〔A907 :907cm-1の吸光度,D:密度(g/ミリ
リットル),T:測定フィルムの厚み(mm)〕で求め
る方法を用いることができる。
【0037】このようにして求めた末端ビニル基の数の
多いもの、すなわち、(A)成分の金属化合物として好
適に用いられるものは、チタン,ジルコニウム,ハフニ
ウム,バナジウムなどの金属を含む化合物を挙げること
ができる。また、末端ビニル基の数は、一概にビニル基
の生成しやすさを示すとはいえてい。なぜならば、ビニ
ル基を生成しやすく、かつそのビニル基とモノマーが反
応して分岐を作りやすい触媒の場合、最終的にビニル基
の数が少なくなるからである。一方、ビニル基を生成し
やすく、共重合性の悪い触媒はビニル基が多く残る。そ
こで、分岐の生成しやすさを見ることが必要である。こ
れはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)測定から求めたポリエチレン換算の数平均分子量M
nと、H−NMR測定により主鎖メチレンと末端基との
比から求めた数平均分子量Mnの比で評価することがで
きる。このMn比による分岐の評価をする際に、(1)
GPC測定より求めたMnでは、分岐構造をもつ場合、
真の分子量を示すとは限らない、(2)分子量分布が広
いとMn値の精度が落ちることに留意し、総合的に判断
定量化することが必要である。
【0038】(b)共重合性 生成した末端ビニル基をエチレン又は他のコモノマーと
共重合させるには、高度の共重合性が要求される。特に
高級α−オレフィンの共重合性は、炭素数が増加し、分
子量当たりのビニル基の割合が低下するに従って極端に
低下することが一般的である。本発明においては、重合
温度T2 におけるモノマー組成比〔オクテン−1/(エ
チレン+オクテン−1)モル比〔M〕〕と、生成共重合
体の結晶化エンタルピー(ΔH)T2と融点(Tm)T2
の積との関係が、式 0≦(ΔH)T2・(Tm)T2≦27000−21600
〔M〕0.56 を満足し、さらに重合温度T1 及びT2 において、同一
仕込みモル比〔M〕で得られたエチレン/オクテン−1
共重合体の結晶化エンタルピー(ΔH)と融点(Tm)
との積が、関係式 (ΔH)T1・(Tm)T1>(ΔH)T2・(Tm)T2 〔ただし、(ΔH)T1,(Tm)T1,(ΔH)T2及び
(Tm)T2は前記と同じ意味である。〕を同時に満足す
る重合条件が採用される。ここで重合温度T1 及びT2
は、具体的にはそれらの差の絶対値が好ましくは5℃以
上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15
℃以上の異なる温度条件である。T1 及びT2 の温度
は、後段が共重合性に優れた条件であれがよく、どちら
が高い温度となってもよい。また、重合条件は(A)成
分の金属化合物とアルミノキサンを用い共重合性に優れ
る条件を選定することにより評価される。
【0039】(上記式の関係を検証する方法)結晶化エ
ンタルピー(ΔH)は、次のようにして求める。すなわ
ち、サンプルとして190℃の温度で熱プレスしたシー
トを用い、示差走査熱量計(Perkin Elmer社製,DSC
7)を使用し、150℃の温度で5分間溶融したのち、
10℃/分の速度で−50℃まで降温し、この過程で観
察される結晶化の発熱ピークより結晶化エンタルピー
(ΔH)(単位:J/g)を算出する。また、融点は、
さらに10℃/分の速度で昇温する際の融解の吸熱ピー
クの最大ピーク位置の温度より求めた値である。一方、
共重合条件としては、(1)常圧重合,加圧重合いずれ
でもよい、(2)エチレンのみ連続供給するバッチ重合
でもよいし(ただし、モノマー転化率20%以下)、連
続重合でもよい、(3)共重合反応の開始は、エチレン
とコモノマーとの組成比、全濃度が定常に達した後で行
う、(4)生成共重合体の分子量は、臨界分子量以上で
あり、分子量の増加に従って、融点が上昇する領域での
重合を行ってはならない、(5)エチレン濃度,ガス状
モノマー濃度は、用いる重合溶媒に一定温度で溶解飽和
した重量より算出する、(6)気相重合においては、分
圧又はモノマー供給比より、モノマー仕込み組成比を算
出する、(7)エチレン又はガス状モノマーの拡散律速
により、系内のモノマー組成がずれる重合条件は不可で
ある、(8)エチレンの重合による消費がない状態で重
合を継続しない、(9)各触媒成分のモル比は、金属化
合物(A)/アルミノキサン(B−2)=1/100〜
1/2000の範囲がよい、などである。
【0040】重合温度T2 において生成するエチレン系
重合体の(ΔH)T2と融点(Tm) T2との積とモノマー
仕込組成比Mとの関係は、式 0≦(ΔH)T2・(Tm)T2≦27000−21600
〔M〕0.56 を満たすことが必要で、(ΔH)T2と融点(Tm)T2
の積がこの範囲より大きい場合、金属化合物(A)は好
ましい共重合性を示さない。なお、この関係は、好まし
くは 0≦(ΔH)T2・(Tm)T2≦27000−22000
〔M〕0.53 より好ましくは 0≦(ΔH)T2・(Tm)T2≦27000−23000
〔M〕0.53 さら好ましくは 0≦(ΔH)T2・(Tm)T2≦27000−24000
〔M〕0.47 さらにより好ましくは 0≦(ΔH)T2・(Tm)T2≦27000−26000
〔M〕0.40 最も好ましくは 0≦(ΔH)T2・(Tm)T2≦27000−27000
〔M〕0.27 である。
【0041】このような共重合性を示す(A)触媒成分
の金属化合物の好ましいものとしては、一般式 CpM1 1 a 2 b 3 c ・・・(I) (Cp−Ae −Cp)M1 1 a 2 b ・・・(III) 及び
【0042】
【化5】
【0043】で表される化合物(式中、Cp,A,
1 ,M3 ,X2 ,Y2 ,Z,R1 〜R3,a,b,
c,e及びwは前記と同じ意味である。)、さらに好ま
しいものとしては、これらの中でチタン化合物、ジルコ
ニウム化合物、ハフニウム化合物及びバナジウム化合物
である。
【0044】本発明においては、前記重合触媒の存在
下、エチレンの単独重合、又はエチレン性付加重合単量
体、例えば炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレ
フィン、スチレン及びスチレン誘導体の中から選ばれた
少なくとも一種とエチレンとの共重合が行われる。エチ
レンと共重合させる炭素数3〜20のα−オレフィンと
しては、例えばプロピレン,1−ブテン,1−ペンテ
ン,4−メチル−1−ペンテン,1−ヘキセン,1−オ
クテン,1−デセン,1−ドデセン,1−テトラデセ
ン,1−ヘキサデセン,1−オクタデセン,1−エイコ
セン,3−メチル−1−ブテンなどが挙げられる。ま
た、環状オレフィンとしては、一般式(XII)
【0045】
【化6】
【0046】(式中、R16〜R27はそれぞれ水素原子、
炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子、酸素原
子若しくは窒素原子を含む置換基を示し、それらはたが
いに同一でも異なっていてもよく、nは0以上の整数を
示す。)で表される化合物が挙げられる。該一般式(XI
I)で表される環状オレフィンとしては、例えばノルボル
ネン;5−メチルノルボルネン;5−エチルノルボルネ
ン;5−プロピルノルボルネン;5,6−ジメチルノル
ボルネン;1−メチルノルボルネン;7−メチルノルボ
ルネン;5,5,6−トリメチルノルボルネン;5−フ
ェニルノルボルネン;5−ベンジルノルボルネン;5−
エチリデンノルボルネン;1,4,5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a,−オクタヒドロ
ナフタレン;2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a,−オクタヒドロ
ナフタレン;2−シクロヘキシル−1,4,5,8−ジ
メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a,−オク
タヒドロナフタレン;2,3−ジクロロ−1,4,5,
8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a,
−オクタヒドロナフタレン;2−イソブチル−1,4,
5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8
a,−オクタヒドロナフタレン;1,2−ジヒドロジシ
クロペンタジエン;5−クロロノルボルネン;5,5−
ジクロロノルボルネン;5−フルオロノルボルネン;
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノ
ルボルネン;5−クロロメチルノルボルネン;5−メト
キシノルボルネン;5,6−ジカルボキシルノルボルネ
ンアンヒドレート;5−ジメチルアミノノルボルネン;
5−シアノノルボルネン;2−エチル−1,4,5,8
−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a,−
オクタヒドロナフタレン;2,3−ジメチル−1,4,
5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8
a,−オクタヒドロナフタレン;2−ヘキシル−1,
4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,
8,8a,−オクタヒドロナフタレン;2−エチリデン
−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,
5,8,8a,−オクタヒドロナフタレン;2−フルオ
ロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a,−オクタヒドロナフタレン;1,5
−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a,−オクタヒドロナフタレンな
どを挙げることができる。これらの中でノルボルネン及
びその誘導体が特に好適である。
【0047】さらに、スチレンをはじめ、スチレン誘導
体、例えばp−メチルスチレン,o−メチルスチレン,
p−フェニルスチレンなどもコモノマーとして用いられ
る。これらのコモノマーは一種用いてもよく、又二種以
上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、2
段重合方法が採用される。この場合、1段目の重合温度
をT1 とし、2段目の重合温度をT2 とすること、さら
に1段目に少なくともエチレン又はプロピレン単量体が
存在していることを除き、重合条件は前記範囲内で任意
に設定できる。すなわち、モノマー仕込み組成、モノマ
ー種、モノマー濃度、さらには触媒濃度や重合時間を変
更することができ、これらの操作により、所望のエチレ
ン系重合体を製造することが可能となる。重合温度T1
で製造するエチレン系重合体の割合は、0.05〜90重
量%、好ましくは0.07〜90重量%、より好ましくは
0.1〜80重量%の範囲にあるのが望ましい。この生成
割合が0.05重量%未満では非ニュートン性やエラスト
マーとしての性質が充分に発揮されないし、90重量%
を超えると0.05重量%未満の場合と同様である上、生
成重合体の熱安定性が低下するので好ましくない。
【0048】さらに、本発明においては、重合反応終了
後、引きつづき水素処理を行うことができる。この水素
処理は、未反応モノマー除去又はそのままの状態で水素
を常圧〜50kg/cm2 G程度の圧力で導入すればよ
い。他の条件は重合の場合と同様である。これによっ
て、得られる重合体の物性は本質的には変化しないが、
不飽和結合の減少により熱安定性が向上する。このよう
にして得られた本発明のエチレン系重合体、水素処理エ
チレン系重合体は、(イ)樹脂密度が0.86〜0.97g
/ミリリットルである、(ロ)示差走査熱量計(DS
C)によって測定できる最大融解ピーク位置が50〜2
70℃の範囲、又は実質的に融解ピークを示さないもの
である、又は独立した複数の融解ピークを示すこと、
(ハ)デカリン中、温度135℃で測定した極限粘度が
0.01〜20デシリットル/gである、及び(ニ)ゲル
パーミエーションクロマトグラフィーによって測定した
ポリエチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分
子量(Mn)との比Mw/Mnが2.0〜40の範囲にあ
る非ニュートン性を示す重合体である。この非ニュート
ン性は、溶融流動体の解析による方法、高分子溶液の解
析による方法及び溶融体と溶液状態の関係による方法に
よって評価することができる。次に、該非ニュートン性
の評価方法について説明する。
【0049】(1)溶融流動体の解析による方法 溶融状態での剪断速度に対する溶融粘度の関係から得ら
れる曲線の傾斜により、非ニュートン性を評価すること
ができる。この傾斜の大きいことが非ニュートン性に優
れたことを示す。また、キャピラリーレオメーターによ
って流動特性を調べ、シフトファクターから求めた活性
化エネルギー(Ea)によって評価することができる。
非ニュートン性の大きい低密度ポリエチレン(LDP
E)ではEaが12kcal/mol程度であり、一方
高密度ポリエチレン(HDPE)では6kcal/mo
l程度である。
【0050】(2)高分子溶液の解析による方法 極限粘度〔η〕とゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー法,光散乱法によって得られる分子量との関係から
評価することができる。ハギンスの式などを用い、ポリ
エチレン希薄溶液より決定した極限粘度〔η〕と、溶質
高分子の大きさに従って分子量を決定するゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)法や光散乱法に
よる分子量との関係は、高分子の分岐構造を反映するこ
とが知られている。例えば、直鎖状のHDPEの極限粘
度とGPC法による分子量との関係は、長鎖分岐を有す
るLDPEとは異なり、同一極限粘度で比較すると、L
DPEはHDPEより小さい分子量を示すことが明らか
にされている。
【0051】還元粘度ηSP/c(デシリットル/g),極
限粘度〔η〕(デシリットル/g),ハギンス定数k及
びポリマー濃度C(g/デシリットル)との間には、一
般式(ハギンスの式) ηSP/c=〔η〕+k〔η〕2 C の関係がなりたつことが知られている。該ハギンス定数
kは、希薄溶液状態でのポリマーの分子間相互作用を示
す値であって、ポリマーの分子量,分子量分布,分岐の
存在によって影響を受けるとされている。
【0052】ポリマー構造に分岐を導入すると、ハギン
ス定数は増大することがスチレン/ジビニルベンゼン共
重合体で示されている〔「ジャーナル・オブ・ポリマー
・サンエンス(J. Polymer Sci.)」第9巻,第265ペ
ージ(1952年)〕。また長鎖分岐を有するLDPE
と直鎖状HDPEのハギンス定数はLDPEで大きいこ
とが示されている〔「ポリマー・ハンドブック(Polyme
r Handbook)」John Wiley Sons 刊行(1975
年)〕。
【0053】(3)溶融体と溶融状態の関係による方法 温度190℃で測定した樹脂のメルトインデックス(M
I)とGPC法によって測定した分子量(Mw)との関
係は、直鎖ポリエチレン(HDPE)と非ニュートン性
の大きな低密度ポリエチレン(LDPE)では異なる。
すなわち、同一MIでLDPEは大きなMw値を示す。
【0054】本発明のエチレン系重合体は他の熱可塑性
樹脂に混合して用いることができる。他の熱可塑性樹脂
としては、例えばポリオレフィン系樹脂,ポリスチレン
系樹脂,縮合系高分子重合体,付加重合系高分子重合体
などが挙げられる。該ポリオレフィン系樹脂の具体例と
しては、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,ポ
リ−3−メチルブテン−1,ポリ−4−メチルペンテン
−1、コモノマー成分としてブテン−1,ヘキセン−
1,オクテン−1,4−メチルペンテン−1,3−メチ
ルブテン−1などを用いて得られる直鎖状低密度ポリエ
チレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢
酸ビニル共重合体けん化物,エチレン−アクリル酸共重
合体,エチレン−アクリル酸エステル共重合体,エチレ
ン系アイオノマー,ポリプロピレンなどが挙げられる。
ポリスチレン系樹脂の具体例としては、汎用ポリスチレ
ン,アイソタクチックポリスチレン,ハイインパクトポ
リスチレン(ゴム変性)などが挙げられる。縮合系高分
子重合体の具体例としては、ポリアセタール樹脂,ポリ
カーボネート樹脂,ナイロン6,ナイロン6・6などの
ポリアミド樹脂,ポリエチレンテレフタレート,ポリブ
チレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂,ポリフ
ェニレンオキシド樹脂,ポリイミド樹脂,ポリスルホン
樹脂,ポリエーテルスホン樹脂,ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂などが挙げられる。付加重合系高分子重合体と
しては、例えば極性ビニルモノマーから得られた重合体
やジエン系モノマーから得られた重合体、具体的にはポ
リメチルメタクリレート,ポリアクリロニトリル,アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体,アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体,ジエン鎖を水添した
ジエン系重合体,さらには熱可塑性エラストマーなどが
挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でポリオレフィ
ン系樹脂が好適である。
【0055】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。 実施例1 (1)メチルアルミノキサンの調製 アルゴン置換した内容積500ミリリットルのガラス製
容器に、トルエン200ミリリットル,硫酸銅5水塩
(CuSO4 ・5H2 O)17.8g(71ミリモル)及
びトリメチルアルミニウム24ミリリットル(250ミ
リモル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、
固体成分を除去して得られた溶液から、更にトルエンを
減圧留去して触媒生成物(メチルアルミノキサン)6.7
gを得た。 (2)ポリエチレンの製法 1リットル攪拌装置付き耐圧オートクレーブに窒素雰囲
気下、トルエン400ミリリットル,上記(1)で調製
したメチルアルミノキサン10ミリモルを加え、150
℃に昇温した。これにエチレン分圧3kg/cm2 Gで
飽和したのち、(第3級ブチルアミド)ジメチル(テト
ラメチル─η5 ─シクロペンタジエニル)シランチタン
ジクロリド10マイクロモルを加え、重合を開始した。
全圧を一定に保持し、30分間反応した。重合終了後、
エチレンの供給を停止し、ほぼ60秒間で100℃まで
冷却して、未反応エチレンを脱圧により除去した。次い
で、窒素で反応系内を充分置換したのち、さらに85℃
まで冷却した。この反応系より41ミリリットルの均一
溶液をサンプリングし、メタノール再沈により、ポリエ
チレンを回収した。これを重合体〔I〕とする。その
後、85℃でエチレン分圧4kg/cm2 Gに保持しな
がら、60分間さらに重合を行った。反応系内は均一溶
液状態のままで粘性の増加が認められた。重合終了後、
未反応エチレンを同様に除去し、大量のメタノール中に
投じ、濾過によりポリエチレンを回収した。乾燥後の収
量は19.8gであった。これを重合体〔II〕とする。こ
こで、重合体〔I〕と重合体〔II〕との生成割合は、重
量比で0.376:1であった。また、末端ビニル基量を
以下の方法により測定したところ、重合体〔I〕で0.8
78個/1000炭素、重合体〔II〕で0.275個/1
000炭素であった。以上の結果より求めた重合体
〔I〕のビニル基の反応率、すなわち重合体〔II〕に共
重合反応により取り込まれた重合体〔I〕は少なくとも
17%以上であった。 (末端ビニル基の測定)厚さ100μmのプレスシート
を作成し、透過赤外線吸収スペクトルを測定した。90
7cm-1付近の末端ビニル基に基づく吸光度(A907
とフィルム厚(t)、樹脂密度(D)より、次式 n=0.114A907 /〔D・t〕 (ただし、D:g/cm3 、t:mm、n:炭素100
個当たりのビニル基個数)により求めた。
【0056】(3)重合体〔II〕の分析 (a)熱的挙動の評価 190℃で熱プレスして得られたシートをサンプルとし
て用い、Perkin Elmer社製DSC7示差走査熱量計によ
り、測定した。150℃で5分間溶融したのち、10℃
/分の速度で−50℃まで降温し、この過程で観察され
る結晶化の発熱ピークより、結晶化エンタルピー(Δ
H)を算出した。また、さらに10℃/分の速度で昇温
し、この過程でみられる吸熱ピークより融点(Tm)を
求めた。その結果、結晶化エンタルピー(ΔH)は20
4J/g,融点(Tm)は132.5℃であった。 (b)密度の測定 190℃で熱プレスして成形した試料を用い、密度勾配
管法により測定した。その結果密度は0.947g/ミリ
リットルであった。また、試料のアニーリング処理は実
施しなかった。 (c)分子量分布の測定 装置:ウォーターズALC/GPC15C,カラム:東
ソー製,TSK HM+GMH6×2,溶媒:1,2,
4−トリクロロベンゼン,温度:135℃,流量:1ミ
リリットル/分の条件にてGPC法により、ポリエチレ
ン換算で分子量の測定を行った。その結果、重量平均分
子量と数平均分子量の比Mw/Mnは3.7であった。 (d)極限粘度の測定 135℃のデカリン中における極限粘度を求めたとこ
ろ、極限粘度〔η〕は2.05デシリットル/gであっ
た。
【0057】実施例2 実施例1−(2)において、(第3級ブチルアミド)ジ
メチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)
シランチタンジクロリドの代わりにエチレンビスインデ
ニルジルコニウムジクロリド5マイクロモルを用い、重
合体〔I〕を得る重合時間を10分とし、かつ重合体
〔II〕を得る重合温度を90℃とした以外は、同様に実
施した。その結果、ポリエチレン〔II〕の収量は29.
8gであり、重合体〔I〕と重合体〔II〕との生成割合
は、重量比で0.202:1であった。分析結果を第1表
に示す。 実施例3 実施例2の重合体〔II〕を得る重合反応過程において、
プロピレンを7.5g加えたのち、エチレン分圧6 kg/
cm2 Gで同様にしてエチレン−プロピレン共重合体を
製造した。その結果、ポリマー収量は24.2gであり、
重合体〔I〕と重合体〔II〕の生成割合は、重量比で0.
321:1であった。分析結果を第1表に示す。 実施例4 実施例2と同様にしてポリエチレン〔II〕を製造した
後、未反応エチレンを脱圧除去し、更に窒素で反応系内
を充分置換した後、90℃、水素分圧5kg/cm2
で2時間反応を行った。その後、同様にして反応生成物
を回収した。ポリエチレン収量は29.0gであった。こ
のものの厚み0.3mmのプレスシートを作成し、赤外線
吸収スペクトルを測定したところ、860から1000
cm-1にかけて観測できる、炭素−炭素二重結合に基づ
く吸収は認められなかった。
【0058】
【表1】
【0059】注1)実施例1において、温度85℃、6
0分の後段重合条件でのみ得られたポリエチレン
【0060】重合体の評価 実施例1,2及び比較例で得られたエチレン系重合体の
溶融粘度ηの剪断速度ω依存性を以下の方法により求
め、非ニュートン性を評価した。装置として、レオメト
リック社製:RMS E605型を用い、190℃にお
いて、ひずみ量10%で正弦波振動を与え動的粘弾性を
測定した。結果を図1に示す。共重合性の評価 実施例1で用いた(第3級ブチルアミド)ジメチル(テ
トラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランチタ
ンジクロリド(I)及び実施例2で用いたエチレンビス
インデニルジルコニウムジクロリド(II)のエチレンと
オクテン−1の共重合を下記第2表に示す条件により行
い、共重合体の結晶化エンタルピー(ΔH)と融点(T
m)を測定した。結果を第2表に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】注1)MAO:実施例1−(1)で調製し
たメチルアルミノキサン 2)25℃で400ミリリットルのトルエンと3.50
gのオクテン−1の混合溶媒に重合温度で溶解したエチ
レン重量より算出。 3)Tm:融点,実施例1−(3)と同様にして測定 4)ΔH:結晶化エンタルピー,実施例1−(3)と同
様にして測定 5)ΔH・Tm=27000−21600〔M〕0.56
り算出 なお、共重合方法は、具体的には以下の装置、方法によ
り評価した。すなわち、重合反応装置として、容量1.7
6リットル,内径114mmの耐圧ステンレス製オート
クレーブを用いた。このオートクレーブは攪拌装置とし
てアンカー翼(厚さ:1.5mm)を有し、翼端と反応器
内壁との間隔が最も近い所で17mmであり、翼片面の
面積は、ほぼ13cm2 であった。また、溶媒存在下、
静止状態で翼面積の70%以上が溶媒中に浸漬した状態
に固定して用いた。評価方法としては、上記オートクレ
ーブを充分に乾燥した後、室温、窒素雰囲気下、乾燥ト
ルエン(水分5ppm以下)400ミリリットル(25
℃での容量)を投入し、オクテン−1(水分5ppm以
下)を重量で規定量投入した。更に触媒成分として、有
機金属化合物(例えば、アルミノキサン,アルキルアル
ミニウム等)を投入した。その後、3分間、室温で攪拌
した。またその後、重合温度まで密閉状態で上昇し、圧
力が一定に達した後、エチレンを導入した。更にエチレ
ンの供給を停止し、圧力降下のないことをもって、飽和
状態の確認を行った。このときの攪拌速度は500回転
/分で一定にした。共重合の開始は、この状態を保持し
ながら、他触媒成分を注入することによって行った。
【0064】共重合開始後は、エチレン流量が3ノルマ
ルリッター/分以下で規定圧力に制御され、かつ温度制
御範囲が、重合設定温度±2℃にあることが必要であ
る。このような状態で制御されない場合は、触媒量を変
更することにより再度評価する必要がある。一定時間共
重合を実施した後、エチレンの供給を停止し、ただち
に、脱圧により未反応エチレンを除去した後、メタノー
ルにより失活を行った。なお、触媒成分中の溶媒の全量
は、重合溶媒トルエンとオクテン−1の総容量に対し
て、1%以下となるように調節した。
【0065】
【発明の効果】本発明によると、非ニュートン性が改良
され、良好なフィルム成形性やブロー成形性が付与され
るとともに、成形加工における低エネルギー化や低コス
ト化が図られ、かつ高速成形性が付与されたエチレン系
重合体、あるいはエラストマーとして好ましい性質を有
するエチレン系重合体が高効率で得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1,2及び比較例で得られたエチレン系
重合体の溶融粘度の剪断速度依存性を示すグラフであ
る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】末端ビニル基形成能を有する(A)金属化
    合物及び(B)該金属化合物又はその派生物からイオン
    性錯体を形成しうる化合物を主成分とする触媒を用い、
    多段重合法によりエチレン単独重合体又はエチレンとエ
    チレン性付加重合単量体との共重合体を製造するに当た
    り、(1)重合温度T1 及びT2 において、エチレンと
    オクテン−1との共重合仕込モル比〔オクテン−1/
    (エチレン+オクテン−1)〕Mを等しくしたときの生
    成エチレン/オクテン−1共重合体の融点(Tm)と結
    晶化エンタルピー(ΔH)との積が、式 (Tm)T1・(ΔH)T1>(Tm)T2・(ΔH)T2 〔ただし、(Tm)T1及び(ΔH)T1はそれぞれ重合温
    度T1 で合成したエチレン/オクテン−1共重合体の融
    点及び結晶化エンタルピーを示し、(Tm)T2及び(Δ
    H)T2はそれぞれ重合温度T2 で合成したエチレン/オ
    クテン−1共重合体の融点及び結晶化エンタルピーを示
    す。〕の関係を満たし、かつ(2)上記(1)におい
    て、重合温度T2 で合成したエチレン/オクテン−1 共
    重合体の融点(Tm)T2と結晶化エンタルピー(ΔH)
    T2との積が、式 0≦(Tm)T2・(ΔH)T2≦27000−21600
    〔M〕0.56 の関係を同時に満足する重合温度条件及び触媒を採用
    し、第1段の重合温度をT 1 とし、第2段の重合温度を
    2 とすることを特徴とするエチレン系重合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】第1段のエチレン系重合体の生成量の割合
    が0.05〜90重量%である請求項1記載のエチレン系
    重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】第1段及び第2段の重合反応において、少
    なくとも一方の反応系にエチレン性付加重合単量体を導
    入しない請求項1又は2記載のエチレン系重合体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】第2段の重合反応において、エチレンを用
    いない請求項1又は2記載のエチレン系重合体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】(A)成分の金属化合物がチタン,ジルコ
    ニウム,ハフニウム,クロム,バナジウム及びランタノ
    イド系列の中から選ばれた金属を含む化合物1種以上の
    ものである請求項1又は2記載のエチレン系重合体の製
    造方法。
  6. 【請求項6】重合反応後、引きつづき水素処理を行う請
    求項1又は2記載のエチレン系重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の方法によ
    って製造されるエチレン系重合体であって、(イ)樹脂
    密度が0.86〜0.97g/ミリリットルであること、
    (ロ)示差走査熱量計によって測定できる最大融解ピー
    ク位置が50〜270℃の範囲にあること、又は実質的
    に融解ピークを示さないものであること、又は独立した
    複数の融解ピークを示すこと、(ハ)デカリン中、温度
    135℃で測定した極限粘度が0.01〜20デシリット
    ル/gであること、及び(ニ)ゲルパーミエーションク
    ロマトグラフィーによって測定したポリエチレン換算の
    重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比
    Mw/Mnが2.0〜40の範囲にあることを特徴とする
    エチレン系重合体。
  8. 【請求項8】請求項7記載のエチレン系重合体を含有す
    る熱可塑性樹脂組成物。
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