JPH06286598A - 車両のアンチスキッドブレーキ装置 - Google Patents

車両のアンチスキッドブレーキ装置

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Publication number
JPH06286598A
JPH06286598A JP5073690A JP7369093A JPH06286598A JP H06286598 A JPH06286598 A JP H06286598A JP 5073690 A JP5073690 A JP 5073690A JP 7369093 A JP7369093 A JP 7369093A JP H06286598 A JPH06286598 A JP H06286598A
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JP
Japan
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wheel
vehicle
brake device
detected
skid brake
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Pending
Application number
JP5073690A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Omura
博志 大村
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 走行状態が如何様に変化しても、その走行状
態に適した最適な制動力を確保することができるアンチ
スキッドブレーキ装置を提案する。 【構成】 車両の走行状態に応じて車輪の目標スリップ
率を変更するアンチスキッドブレーキ装置において、検
出された走行状態に応じて車輪のグループ分けを変更
し、車輪のスリップ目標率を、グループ間で異ならせ
て、検出された走行状態に応じて変更することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、車両の制動時におけ
る過大な制動力を抑制するアンチスキッドブレーキ装置
に監視、特に、例えばコーナリング中などにおいて車両
に働くモーメントに変化があっても最適な制動力を得る
ことのできる車両のアンチスキッドブレーキ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に用いられているアンチスキッドブ
レーキ装置においては、車輪速センサ等によって検出さ
れた車輪速に基づいて車輪の加減速度(又はスリップ率
=車輪速と車体速との比)を求め、この測定した車輪の
加減速度(又はスリップ率)を目標加減速度(又は目標
スリップ率)になるように制動力を制御するものであ
る。ここで、制動力が大きくなるように制御するという
ことは、スリップ率が大きくなることを意味する。
【0003】ところで、旋回中などは、各車輪に対する
荷重が変化することが知られており、そのために、例え
ば、特開昭61−1564号のように、所定の大きさの
横方向加速度が発生した場合に、後輪の制動圧を少なく
することにより、制動を限界領域まで安定させようとし
ている。これは、旋回中は後輪に対する荷重が減少する
ので、ロックし易くなって後輪の横方向の対地グリップ
力が低下するからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は、単純に、後輪側の制動圧を下げるだけで安定的な制
動力を確保できるほど、旋回中における、各タイヤにお
いて発生する摩擦力は単純ではない。今、車両が図1に
示すように左方向に旋回しているとする。この旋回中
に、制動をかけた場合には、外側の前輪に最も大きな荷
重がかかり、内側の後輪への荷重は最も小さくなろう。
垂直荷重をWで、摩擦係数をμで表すと、摩擦力はμW
となる。この摩擦力μWは、図2に示すように、制動力
Tと横力CF(即ち、コーナリングフォース)とに分解
される。この時、実際の制動力Tiと横力CFiとの関係
は、 μW≧(CFi2+Ti21/2 となる。従って、制動力Tiは、 Ti=(μ22−CFi21/2 となる。これら、摩擦力μW,制動力T,横力CFの間
における関係を図示すると、図3や図4のようになる。
【0005】旋回中に制動動作(図1)を行なったとき
に、各車輪にかかる荷重を所謂「摩擦円」で示すと図5
のようになる。円の半径が大きいほど、摩擦力は大きく
なり、また横力も大きくなる。従って、従来のように、
四輪共同じ目標スリップ率で制御を行なうと、フロント
で発生する横力は相対的に大きくなり、後輪では小さく
なる。そのために、車両としてはオーバステア方向に向
かうことになる。
【0006】そのために、好ましくは、前輪は制動力重
視、後輪は横力重視に制御し、また、外輪は内輪に対
し、制動重視に制御することが望ましい。換言すれば、
上記従来のアンチスキッドブレーキ装置のように、単に
後輪の制動圧を相対的に少なくすることだけでは、旋回
制動時におけるヨーイングモーメントを抑えることは困
難になるということである。
【0007】そこで、本発明は上記従来技術の欠点を解
消するために提案されたもので、その目的は、走行状態
が如何様に変化しても、その走行状態に適した最適な制
動力を確保することができるアンチスキッドブレーキ装
置を提案するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
の本発明は、車両の走行状態に応じて車輪の目標スリッ
プ率を変更するアンチスキッドブレーキ装置において、
検出された走行状態に応じて車輪のグループ分けを変更
するグループ分け手段と、車輪のスリップ目標率を、グ
ループ間で異ならせて、検出された走行状態に応じて変
更する変更手段とを具備することを特徴とする。
【0009】制動力制御は車輪グループ毎に行なうべき
である。車輪グループは走行状態に応じて一定のルール
に従って変わっていく。従って、走行状態に応じて車輪
グループの変化を推定し、その車輪グループに最適な制
御を車輪毎に行なうことができる。
【0010】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら本発明の好適
な実施例を挙げて説明する。 〈システム構成〉図6は、実施例としてアンチスキッド
ブレーキシステムを示す。同図に示すように、この実施
例に係る車両は、左右の前輪1,2が従動輪、左右の後
輪3,4が駆動輪とされ、エンジン5の出力トルクが自
動変速機6からプロペラシャフト7、差動装置8および
左右の駆動軸9,10を介して左右の後輪3,4に伝達
されるようになっている。
【0011】そして、上記各車輪1〜4には、これらの
車輪1〜4と一体的に回転するディスク11a〜14a
と、制動圧の供給を受けて、これらのディスク11a〜
14aの回転を制動するキャリパ11b〜14bなどで
構成されるブレーキ装置11〜14がそれぞれ備えられ
ていると共に、これらのブレーキ装置11〜14を制動
操作させるブレーキ制御システム15が設けられてい
る。
【0012】このブレーキ制御システム15は、運転者
によるブレーキペダル16の踏込力を増大させる倍力装
置17と、この倍力装置17によって増大された踏込力
に応じた制動圧を発生させるマスターシリンダ18とを
有する。そして、このマスターシリンダ18から導かれ
た前輪用制動圧供給ライン19が2経路に分岐されて、
これらの前輪用分岐制動圧ライン19a,19bが左右
の前輪1,2におけるブレーキ装置11,12のキャリ
パ11a,12aにそれぞれ接続されてると共に、左前
輪1のブレーキ装置11に通じる一方の前輪用分岐制動
圧ライン19aには、電磁式の開閉弁20aと、同じく
電磁式のリリーフ弁20bとからなる第1バルブユニッ
ト20が設置され、また右前輪2のブレーキ装置12に
通じる他方の前輪用分岐制動圧ライン19bにも、上記
第1バルブユニット20と同様に、電磁式の開閉式21
aと、同じく電磁式のリリーフ弁21bとからなる第2
バルブユニット21が設置されている。
【0013】一方、上記マスターシリンダ18から導か
れた後輪用制動圧供給ライン22は2系統に分かれ、第
3バルブユニット31と第4バルブユニット23に送ら
れる。第3バルブユニット31,第4バルブユニット2
3には、上記第1、第2バルブユニット20,21と同
様に、電磁式の開閉弁31a,23aと、同じく電磁式
のリリーフ弁31b,23bとが設けられている。そし
て、第3バルブユニット31を介して左後輪用分岐制動
圧ライン22aが左後輪3におけるブレーキ装置13の
キヤリパ13bに接続され、第4バルブユニット23を
介して、右後輪用分岐制動圧ライン22bが右後輪4に
おけるブレーキ装置14のキヤリパ14bにそれぞれ接
続されている。すなわち、本実施例におけるブレーキ制
御システム15は、上記第1バルブユニット20の作動
によって左前輪1におけるブレーキ装置11の制動圧を
可変制御する第1チャンネルと、第2バルブユニット2
1の作動によって右前輪2におけるブレーキ装置12の
制動圧を可変制御する第2チャンネルと、第3バルブユ
ニット31の作動によって左後輪3におけるブレーキ装
置13の制動圧を可変制御する第3チャンネルと、第4
バルブユニット23の作動によって右後輪4におけるブ
レーキ装置14の制動圧を可変制御する第4チャンネル
とが設けられて、これら第1〜第4チャネルが互いに独
立して制御されるようになっている。
【0014】そして、上記ブレーキ制御システム15に
は上記第1〜第4チャンネルを制御するコントロールユ
ニット24が備えられ、このコントロールユニット24
は、ブレーキペダル16のON/OFFを検出するブレ
ーキスイッチ25からのブレーキ信号と、当該車両のハ
ンドル操作角を検出する舵角センサ26からの舵角信号
と、各車輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速センサ
27〜30からの車輪速信号とを入力し、これらの信号
に応じた制動圧制御信号を第1〜第4バルブユニット2
0,21,31,23にそれぞれ出力することにより、
左右の前輪1,2および後輪3,4のスリップに対する
制動制御、すなわちABS制御を第1〜第4チャンネル
ごとに並行して行うようになっている。すなわち、コン
トロールユニット24は、上記各車輪速センサ27〜3
0からの車輪速信号が示す車輪速に基づいて上記第1〜
第4バルブユニット20,21,31,23における開
閉弁20a,21a,31a,23aとリリーフ弁20
b,21b,31b,23bとをそれぞれデューティ制
御によって開閉制御することにより、スリップの状態に
応じた制動圧で前輪1,2および後輪3,4に制動力を
付与するようになっている。なお、第1〜第4バルブユ
ニット20,21,31,23における各リリーフ弁2
0b,21b,31b,23bから排出されたブレーキ
オイルは、図示しないドレンラインを介して上記マスタ
ーシリンダ18のリザーバタンク18aに戻されるよう
になっている。
【0015】そして、ABS非制御状態においては、上
記コントロールユニット24からは制動圧制御信号が出
力されず、したがって図示のように第1〜第4バルブユ
ニット20,21,31,23におけるリリーフ弁20
b,20b,31b,23bがそれぞれ閉保持され、か
つ各ユニット20,21,31,23の開閉弁20a,
21a,31a,23aがそれぞれ開保持されることに
なって、ブレーキペダル16の踏込力に応じてマスター
シリンダ18で発生した制動圧が、前輪用制動圧供給ラ
イン19および後輪用制動圧供給ライン22を介して左
右の前輪1,2および後輪3,4におけるブレーキ装置
11〜14に対して供給され、これらの制動圧に応じた
制動力が前輪1,2および後輪3,4に対してダイレク
トに付与されることになる。
【0016】また、本車両には、車体の横方向加速度
(以下、「横G」と略す)を検出する横Gセンサ32
と、減速時における車体の前後方向加速度(以下、「前
後G」と略す)を検出する前後Gセンサ33と、各車輪
の空気圧を検出するつの空気圧センサ34が設けられて
いる。またさらに、車体のヨー運動を検出するヨーレー
トセンサ35も設けられている。後述するように、横G
信号や前後G信号は、スリップ率制御の閾値を補正する
のに使われ、4つの空気圧センサの出力は、車輪への分
担荷重を推定するのに使われる。また、ヨーレート信号
は車輪の横滑り角度を検出するのに使われる。
【0017】本実施例のアンチスキッドブレーキ装置に
おけるスリップ率制御の概略について説明する。本実施
例のスリップ率制御には、図7に示すように、5つの制
御モードが設けられている。モード0はスリップ率制御
を行なわないモードであり、モード1からモード5では
スリップ率制御を行なう。モード1においては、各ブレ
ーキ装置(11,12,13,14)に供給されるブレ
ーキ圧を所定時間間隔毎に増大させるように制御され
る。従って、このモード1では車輪はロック方向にされ
る。モード2では、ブレーキ圧はこのモード2に入って
きたときの圧力に保持される。即ち、モード2はモード
1から推移してきたモードであり、増圧された後の保持
状態をいう。モード3においては、各ブレーキ装置(1
1,12,13,14)に供給されるブレーキ圧は所定
時間間隔毎に減少させるように制御される。従って、こ
のモード3では車輪に対するブレーキ力は緩和される方
向にされる。モード4においては、モード3よりもさら
に急速に減圧される。モード5では、ブレーキ圧はこの
モード5に入ってきたときの圧力に保持される。即ち、
モード5はモード3または4から推移してきたモードで
あり、減圧された後の保持状態をいう。
【0018】車輪のスリップ率は次の式によって定義さ
れる。 Sx=(Vwx−Vref)/Vwx (1) ここで、Vwxは車輪速度を意味し、xは各車輪を表す添
え字である。また、Vrefは疑似車体速度である。図7
において、B12はモード1から2に推移するときのスリ
ップ率閾値を示す。また、BSGはモード2から3に、B
35はモード3から5に、BSZはモード5から1に戻ると
きの閾値を示す。
【0019】ある車輪xについてのスリップ率Sxが所
定の閾値よりも高くなったとき、即ち、 Sx≧α0 (2) の時は、その車輪xはロック状態にあると判定される。
一旦、ロック状態にあると判定されるとモードは0から
1に推移する。前述したように、モード1にある間は一
定の割合で時間と共にブレーキ圧は徐々に増大する。こ
のために、スリップ率が減少して、 Sx≦B12 (3) になるかも知れない。このときモードは1から2に推移
する。さらに、 Sx≦BSG (4) になればモードは2から3に推移して、モード3におい
てブレーキ圧は時間の経過と共に徐々に減少するように
制御される。さらにスリップ率が減少して、 Sx≦B35 (5) ならば、モードは5に推移して、ブレーキ圧力を一定に
して保持してスリップ率の変化を見守る。スリップ率が
再度上昇ステップS量ならば、モードは5から1に戻っ
てブレーキ圧を増加させる。
【0020】Sx≦β 0 (6) になったならばモードは0になって、スリップ率制御は
停止される。このようなモード制御によってスリップ率
制御を行なう場合には、閾値の変更によってスリップ率
制御のロック傾向に変えたり、緩和傾向に変えたりする
ことができる。例えば、モード1から2に変異する閾値
B12を小さな値に変えることは、スリップ率がその小さ
な閾値B12になるまでのより長い間、ブレーキ圧の増加
制御を継続するようになる。即ち、ロック傾向でスリッ
プ率制御される。換言すれば、ブレーキ圧がより高いモ
ードからより低いモードに移行するときの閾値(例え
ば、B12,BSG)を小さな値に変更すれば、よりロック
傾向が強まるようになる。同じように、ブレーキ圧がよ
り低いモードからより高いモードに移行するときの閾値
(例えば、B35,BSZ)を大きな値に変更すれば、より
ロック傾向が強まるようになる。
【0021】図8に上記4つの閾値の例を示す。閾値は
テーブル状に配置され、HM1からLM3までの9組の
値が設定されている。これらの9組値は、夫々、図9に
示すように、路面を3つの摩擦係数状態(高μ状態、中
μ状態、低μ状態)と3つの車速状態(高速、中速、低
速)に応じて使い分けるようにする。尚、図8で、閾値
の単位がGのものは、車輪速の減速度を意味し、%のも
のはスリップ率を示す。
【0022】図10に、車体速度と車輪速度が色々と変
化したときの、モードの移行と、ブレーキ圧の変化の例
を示す。実施例のスリップ率制御は、上記の閾値Bを変
更することがロック傾向を変えることになるという性質
を利用する。実施例のスリップ率制御の特徴を列挙すれ
ば、 :閾値変数の独立設定 各車輪毎にモード移行制御のための閾値変数Bを独立し
て設定する。例えば、右前輪のB12は、B12FRと設定さ
れる。従って、1つの車輪に対して、図8に示すよう
に、36個の閾値が存在するのであるから、4つの車輪
に対して 36×4=144個 の閾値変数Bが設定される。 :閾値変数の分担荷重に応じた補正 走行状態の変化、例えば、旋回などによって各車輪の分
担荷重は変化する。そこで、この実施例では、分担荷重
に応じて閾値変数の値を補正する。例えば、図5に示し
たように、旋回時においては、外側前輪の荷重が一番大
きく、内側後輪が一番小さい。荷重が大きいと大きい分
だけ摩擦力は増大するから、外側前輪に対しては制動力
重視、換言すれば、スリップ率制御をロック傾向に補正
することが許される。この補正によれば、分担荷重Wに
応じて値が変わる補正係数をk(w)とすれば、補正後の
閾値変数Bは、 k(w)・B (7) となる。本実施例では、図11に示すような、荷重Wが
増えると1よりも大きくなるような特性を有する係数k
(w)を用いる。ロック系高が過大になるとスリップ率制
御が不安てになるので、図11に示すように、荷重Wが
W1とW2の間では、 k(w)=k0・W (8) とし、W≧W2では、 k(w)=k0・W2 (9) とする。
【0023】尚、車輪毎の分担荷重は、各車輪のタイヤ
に夫々設けられた4つの空気圧センサ34が夫々測定し
たタイヤ毎の空気圧をもって替える。 :横方向加速度に応じた閾値変数の補正 前述の補正閾値変数を横Gに応じてさらに補正する。こ
の「横G補正」は右車輪と左車輪について独立した補正
係数を設定して行なう。即ち、前輪か後輪かをとわず、
右車輪グループ(右前輪と右後輪)には図12に示すよ
うな特性の補正係数CTRを設定し、左輪グループ(左前
輪と左後輪)には補正係数CTLを設定する。即ち、右輪
については、 CTR・k(w)・B (10) となり、左輪については、 CTL・k(w)・B (11) となる。図12の特性によると、右側車輪に多くの荷重
がかかる車体の横方向運動(図12の横軸でプラス方
向)に対しては右車輪が「ロックされる」方向に補正さ
れ、左側車輪に多くの荷重がかかる車体の横方向運動
(図12の横軸でマイナス方向)に対しては左車輪が
「ロックされる」方向に補正される。これは、図5に関
連して説明したように、旋回時には、外輪は内輪よりも
制動力重視に制御したほうが好ましいからである。 :前後方向加速度に応じた閾値変数の補正 (10)または(11)式の閾値変数を前後Gによって
さらに補正する。この補正は、前後の車輪グループ間で
異ならせる。即ち、前後G補正の補正係数をCLで表す
と、前輪グループの補正系数はCLFとなり、後輪グルー
プの補正係数はCLRで表わされる。前輪補正系数CLFと
後輪補正係数CLRの特性を図13に示す。図13の特性
では、前輪に多くの荷重がかかるような車体の前後G運
動(図13の横軸でプラス方向)に対しては前輪が「ロ
ックされる」方向に同時に後輪の制動力が緩和される方
向にスリップ率が補正される。但し、車体がオーバステ
ア傾向にならないように、後輪を補正するCLRは後輪を
前輪に比してよりロック傾向に補正することはない。即
ち、CLR≦CLFである。かくして、右前輪に対しては、 CLF・CTR・k(w)・B (12) となり、左前輪については、 CLF・CTL・k(w)・B (13) となり、右後輪に対しては、 CLR・CTR・k(w)・B (14) となり、左後輪に対しては、 CLR・CTL・k(w)・B (15) となる。
【0024】図14は本実施例のスリップ率制御の制御
手順を示す。このフローチャートに基づいて説明する。
ステップS100では、各種のデータの取り込みを行な
う。このデータには、車輪速センサ27〜30からの車
輪速、横Gセンサ32からの横G信号、前後Gセンサ3
3からの前後G信号、4つの空気圧センサ34からの各
タイヤ毎の空気圧、ヨーレートセンサ35からのヨーレ
ート信号が含まれる。
【0025】ステップS200では、路面の摩擦係数μ
を推定する。本実施例では、摩擦状態を、高,中,低の
3段階とする。例えば、車輪速度の加速度AWが20G
よりも大きいとき(AW>20G)は高摩擦路、車輪速
度の加速度AWが10G<AW≦20GまたはAW≦2
0G且つ減速度DW≧−20Gのときは中摩擦路、そし
て、減速度DW<−20G且つAW≦10Gのときは低
摩擦路と推定する。摩擦状態は図8のテーブルを参照す
る際に用いられる。
【0026】ストッカ装置300では車体速度Vrefを
推定する。この車体速度Vrefは原則的には、最高の車
輪速度を有する車輪の速度に基づいて決定する。しかし
車輪が低μ路面に対してスリップしたために、最高車輪
速度が誤って検出されることもありえる。そこで、推定
精度を高めるために、最高車輪速度の車輪の車輪速度の
変化量ΔWmaxを演算(図15のステップS302)
し、この変化量ΔWmaxと摩擦状態に応じて設定された
所定の閾値CVRとを比較する(ステップS306)。こ
の閾値CVRは図16に示される。ステップS308〜ス
テップS314の手順では、変化量ΔWmaxが大きくと
も(ステップS308でNO)、前回の車体速度Vref
よりも今回の最大車輪速度Wmaxがそれほど変わりがな
ければ、そのWmaxを車体速度Vrefとする(ステップS
314)。一方、車輪速度の変化ΔWmxがCVRよりも小
さいか(ステップS308でYES)あるいは、ΔWmx
>CVRであっても、今回の最大車輪速度Wmxが前回の
車体速度Vrefよりも大きく下がっていたならば、Wmx
の代わりに前回の車体速度Vrefを今回の車体速度Vref
とする(ステップS310)。
【0027】ステップS400では、摩擦状態、車体速
度Vrefなどに基づいて、車輪のロック状態を判断す
る。この判定は各車輪毎に行なわれる。この判定は、例
えば、 車体速度Vref<5Km/H 車輪速度Vx<7.5Km/H のときはアンチスキッドブレーキのための制御を行なう
必要がないとする。即ち、ロック制御フラグFLKx=0
とする。また、 車体速度Vref≧5Km/H 車輪速度Vx<7.5Km/H のときは、車輪xがロック状態にあると判定して、その
車輪に対してロックフラグをセットする。
【0028】FLKx=1 ステップS500でロック状態にあると判定されたなら
ば、ステップS600〜ステップS1000で、ロック
状態にある車輪に対して閾値変数を設定し、その補正を
行なう。即ち、ステップS600では、まず、車輪毎の
分担荷重の推定を行なう。前述したように、分担荷重は
各車輪のタイヤの空気圧をもって推定する。ステップS
700では、ロック状態にある夫々の車輪について、図
8に示した夫々36個の閾値変数Bを設定する。ステッ
プS800では、ステップS700で推定した当該ロッ
ク状態にある車輪にかかる荷重Wに応じた補正を行な
う。即ち、前述の(7)式に基づいて閾値変数Bを補正
する。
【0029】図11で説明した個の(7)式の補正の意
味を、図17においてさらに説明すると、荷重Wに応じ
た設定された補正係数k(w)は図11に関連して説明し
たように、W1≦W≦W2の範囲で略線形な性質を有し、W
>W2では一定値に修練する。これはロック傾向が過度に
ならないようにするためである。また、W<W1の領域で
は、k(w)=1とする。このようにすると、閾値の補正
は図17に示すように、制動力曲線と横力曲線のバラン
スのとれた領域(図でA〜Bの範囲)に集中するように
なる。
【0030】ステップS800では、式(10),(1
1)に基づいて横G補正を行なう。ステップS100で
は、更に式(12)〜(15)にしたがって前後G補正
を行なう。このようにして、閾値変数が最終的に決定さ
れる。ステップS1100では、現在のスリップ率とこ
のようにして決定された閾値変数の値とを比較し、モー
ドを変更する必要があるか否かを判断する。変更する必
要があれば、ステップS1200でモードを変更する。
【0031】以上説明した実施例によれば、次のような
効果を得ることが出きる。 :上記実施例では、閾値変数を各車輪毎に独立して設
定しているので、各車輪毎の独立したロック制御を行な
うことができる。その結果、 :車輪グループ毎に最適な制動力制御を実現すること
が出きる。上記実施例では、同じ車輪が、あるときは前
輪グループ、あるときは後輪グループ、あるときは右車
輪グループ、あるときは左車輪グループに属するという
ように、走行状態に応じてダイナミックに変化する。車
輪の制動力制御は、車輪が、現在どのグループに属して
いるかに応じて変更して制御されるべきであるが、本実
施例では、車輪毎にロック制御を行なっているので、同
じ車輪でも車輪グループが走行状態の変化に応じて変遷
しても、その変遷に追随して最適な制御を続行すること
が出きる。具体的には、 −1:上記実施例では、分担荷重に応じて閾値変数B
の値を補正している。分担荷重は、車輪グループによっ
て大きく変化する。荷重が大きいと大きい分だけ摩擦力
は増大するから、そのような車輪に対しては制動力重
視、換言すれば、スリップ率制御をロック傾向に補正す
ることが許される。 −2:実施例では、更に、横方向加速度に応じて閾値
変数を補正した。この「横G補正」は右車輪と左車輪に
ついて独立した補正係数を設定して行なっていた。これ
により、横Gの変動に応じて変わる車輪グループ間の荷
重の変化に追随して最適なロック制御が行なうことがで
きる。 :実施例では、更に、前後方向加速度に応じて閾値変
数を補正した。これにより、前後Gの変動に応じて変わ
る車輪グループ間の荷重の変化に追随して最適なロック
制御が行なうことができる。
【0032】本発明は上述の実施例に限定されるもので
はない。例えば、上記実施例では、車輪間の制動力は、
その車輪にかかる荷重に応じて閾値を設定するようにし
ていた。しかしながら、荷重の変わりに、横滑り角度に
応じて閾値変数Bを補正してもよい。この場合、横滑り
角度は次のようにして決定する。Ψをヨーレート信号、
Lfを車両の重心から前輪駆動軸までの距離、Lrを車両
の重心から後輪駆動軸までの距離、θを舵角とすると、 前輪の横滑り角度γf=θ−Ψ・(Lf/Vref) 後輪の横滑り角度γr=Ψ・(Lr/Vref) となる。このγfおよびγrに対して、夫々前述のk(w)
に代わる係数k(γ)を設定すればよい。
【0033】特に、横滑り角度に応じてロック制御を変
更するように制御すると、次のような効果が得られる。
即ち、上記変更例では、滑り角が大きいほどロック傾向
が強まるので、、旋回時にタイヤを無理矢理ロックさせ
ることにより、横力を前後方向の制動力に変えることが
出きる。また次のように上記実施例を修正することも可
能である。
【0034】車輪に対する荷重は、空気圧の他に、例え
ば、車両がアクテイブサスペンションを装着しているの
であれば、それに用いられているシリンダ圧をもって替
えることができる。また、横Gセンサの代わりにサスペ
ンションに歪ゲージを装着することもできる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両のア
ンチスキッドブレーキ装置によれば、走行状態に応じて
車輪グループの変化を推定し、その車輪グループに最適
な制御を車輪毎に行なうことができる。従って、ヨーイ
ングモーメントの変化を抑えつつ、最適な制動力を確保
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の走行状態を説明する図。
【図2】車輪にかかる力を説明する図。
【図3】車輪にかかる力を説明する図。
【図4】車輪にかかる力を説明する図。
【図5】旋回時に車輪にかかる力が色々と変化する様子
を説明する図。
【図6】本発明の好適な実施例の構成を示す図。
【図7】実施例の制御で用いられるモード間の遷移を説
明する図。
【図8】実施例の制御に用いられる閾値変数を説明する
図。
【図9】実施例の制御に用いられる閾値変数を説明する
図。
【図10】モードが変化する様子を説明する図。
【図11】荷重Wと補正係数k(w)との関係を説明する
グラフ。
【図12】横G補正の補正係数の特性を説明するグラ
フ。
【図13】前後G補正の補正係数の特性を説明するグラ
フ。
【図14】実施例の制御手順を説明するフローチャー
ト。
【図15】実施例の制御手順を説明するフローチャー
ト。
【図16】補正値CVRの特性を説明するグラフ。
【図17】実施例の制御の原理を説明する図。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行状態に応じて車輪の目標スリ
    ップ率を変更するアンチスキッドブレーキ装置におい
    て、 検出された走行状態に応じて車輪のグループ分けを変更
    するグループ分け手段と、 車輪のスリップ目標率を、グループ間で異ならせて、検
    出された走行状態に応じて変更する変更手段とを具備す
    ることを特徴とする車両のアンチスキッドブレーキ装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1の車両のアンチスキッドブレー
    キ装置において、タイヤの横滑り角を検出し、検出され
    た横滑り角を車両の走行状態を示す信号として前記グル
    ープ分け手段と変更手段とに出力する手段を具備するこ
    とを特徴とする車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の車両のアンチスキッドブレー
    キ装置において、車輪毎の荷重分担を検出し検出された
    分担荷重を、車両の走行状態を示す信号として前記グル
    ープ分け手段と変更手段とに出力する手段を具備するこ
    とを特徴とする車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1の車両のアンチスキッドブレー
    キ装置において、 車体の横方向加速度を検出し、検出された横方向加速度
    を車両の走行状態を示す信号として前記グループ分け手
    段と変更手段とに出力する手段をさらに具備し、 前記変更手段は、検出された横方向加速度に応じて左右
    の車輪間で目標スリップ率を異ならせて変更することを
    特徴とする車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1の車両のアンチスキッドブレー
    キ装置において、 車体の前後方向加速度を検出し、検出された前後方向加
    速度を車両の走行状態を示す信号として前記グループ分
    け手段と変更手段とに出力する手段をさらに具備し、 前記変更手段は、検出された前後方向加速度に応じて前
    後の車輪間で目標スリップ率を異ならせて変更すること
    を特徴とする車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 請求項2の車両のアンチスキッドブレー
    キ装置において、さらに旋回中の制動動作を検出する手
    段と、 旋回制動時に、前記グループ分け手段と変更手段の実行
    を許可する手段とを具備することを特徴とする車両のア
    ンチスキッドブレーキ装置。
  7. 【請求項7】 請求項1の車両のアンチスキッドブレー
    キ装置において、前記グループは、検出された走行状態
    に応じて、前輪グループと後輪グループ、あるいは外側
    車輪グループと内側車輪グループ、あるいは右側車輪グ
    ループと左側車輪グループに分割されることを特徴とす
    る車両のアンチスキッドブレーキ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08113132A (ja) * 1994-10-15 1996-05-07 Aisin Seiki Co Ltd 制動力配分制御装置
JP2009202780A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Advics Co Ltd 制動力配分制御装置

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JP2009202780A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Advics Co Ltd 制動力配分制御装置

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