JPH0627582Y2 - 保温保冷用コンテナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は，肉や魚類，さらには野菜等の食料品，その
他医薬品，化学薬品など保温状態若しくは保冷状態を維
持した状態で保管し，搬送することの必要な各種の商品
に使用するための保温保冷用コンテナに関するものであ
る。

〔従来の技術〕

例えば魚類や野菜などの生鮮食料品を保冷の状態で保管
し，運搬するコンテナは，各種の構造やデザインのもの
が知られている。

なかでも，厚手の発泡ポリスチレン等で形成した断熱性
を有する容器本体と蓋とからなるものが最も広く使用さ
れている。

しかして，かゝる普及型のコンテナの多くは，容器本体
内に保管，搬送せんとする商品を，袋に入れた氷や冷熱
を保有させた袋入りの保冷剤を共に収納したのち蓋で密
閉し，保冷状態を維持している。

また，保温の場合も，ある一定の温度に保持することの
できる蓄熱剤と共に商品を収納してコンテナ内の温度を
一定状態に維持している。

一方，容器本体内，若しくは蓋内の所定の場所に，保温
若しくは保冷用の蓄熱剤，保冷剤を収納するよう構成さ
れたコンテナも一部使用されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

かゝる公知の保温保冷用のコンテナにおいて，保温保冷
用の蓄熱剤又は保冷剤（以下これらを総称して温度保持
体という）を商品と一緒に容器本体内に収納するタイプ
のコンテナは，単に容器本体の内部に温度保持体を存在
させるだけであるので，温度保持体が一個所に偏ったり
して内容物を局部的に保温若しくは保冷し，容器本体内
の全体を保温若しくは冷却状態に維持していない場合が
しばしば生ずる。

また，袋入りの氷や温度保持体の多くの場合，コンテナ
に合わせた大きさや形状等に予め成形されたものでな
く，これら温度保持体を商品と共存させようとすると，
必然的に商品の収納量に制約を受ける。

さらに，商品の収納量を増さんとして，多量の商品を無
理に詰め込むと，運搬・保管中に氷や温度保持体が不用
意に蓋を押上げて保温・保冷の効果を消失してしまうお
それが多々ある。

一方，予め温度保持体を収納する場所を設定したタイプ
のコンテナは，容器本体の容積が小さければ，温度保持
体の効果によって容器本体内を全体的に均一の温度に維
持することができるが，容器本体の容積が大きくなれば
なる程，容器本体内の温度を均一に保持することが不可
能となり，全体を均一にするには温度保持体の収納場所
を均一に分散させる必要があるなど，必然的に容器本体
の大型化を招来し，好ましいものではない。

〔課題を解決するための手段〕

この考案はかゝる現状に鑑み，コンテナに収納する商品
（収納物）の大きさや形状，さらには収納量に応じて随
時保温若しくは保冷のための温度保持体の収納位置を替
え，以てコンテナ内を常に一定の温度に保持して保管，
搬送することのできるコンテナを提供せんとしたもので
ある。

すなわち，この考案の保温保冷用コンテナは，上面が開
口した断熱性を有する容器本体と，この容器本体の開口
部を覆う断熱性を有する蓋体と，容器本体内に装着する
板状の中空体からなる温度保持体とから構成されるもの
であって，前記温度保持体の一方の端縁側の中央部に中
央凸縁部を突設すると共に，他方の端縁の端部にそれぞ
れ端部凸縁部を形成し，前記容器本体内の対向する側壁
の一方には，前記温度保持体の中央凸縁部と係合して高
位置で支持する上部係合部と，その両側に端部凸縁部と
係合して低位置で支持する下部係合部を形成し，他方の
側壁には，前記上部係合部に対向する位置に，温度保持
体の中央凸縁部と係合して低位置で支持する下部係合部
と，その両側に温度保持体の端部凸縁部と係合して高位
置で支持する上部係合部とを形成したことを特徴とする
ものである。

この考案の保温保冷用コンテナは，上面が開口した容器
本体と，この容器本体の開口部を覆う蓋体と，容器本体
内に装着する板状の中空体からなる温度保持体とから構
成され，温度保持体内には容器本体内を保温若しくは保
冷するための温度保持剤が封入される。

容器本体と蓋体は，例えばポリエチレン，ポリスチレ
ン，ポリ塩化ビニル等の断熱性に優れた合成樹脂の発泡
体で形成するもので，これらは射出成型などによって容
易に得ることができるものである。

一方，温度保持体は，例えば発泡しないポリエチレン，
ポリプロピレン，塩化ビニル樹脂等を使用してブロー成
形等によって得られる内部が中空のほゞ長方形状をなし
た板状体である。

この温度保持体は，容器本体の対向する側壁に対称的に
設けられた上下２段の係合部によって支持されるもので
ある。

容器本体が大きい場合には，添付の図面によって示すよ
うに対向する側壁に上下２段からなる係合部を連続して
複数設け，これに対応して複数の温度保持体を使用すれ
ばよい。

〔作用〕

この考案の保温保冷用コンテナは，温度保持体を使用し
てコンテナ本体の内部を保温又は保冷するものであっ
て，コンテナを構成する温度保持体は，相対する一方の
縁部に中央凸縁部が，他方の縁部には端部凸縁部が形成
され，かつこの温度保持体を装着する容器本体の対向す
る側壁の一方には，前記温度保持体の中央凸縁部を高い
位置で保持する上部係合部と，端部凸縁部を低い位置で
保持する下部係合部が，また他方の側壁には前記上部係
合部と相対して下部結合部が，下部係合部に相対して上
部係合部が対称的に設けられているので，温度保持体の
中央若しくは端部凸縁部を容器本体に形成した上部若し
くは下部係合部のいずれと係合させるかによって容器本
体に装着する温度保持体の取付け位置を自在に変更する
ことができるものである。

〔実施例〕

以下，この考案の保温保冷用コンテナの一実施例を添付
の図面に基づいて詳細に説明する。

この考案の保温保冷用コンテナは，上面が開口した断熱
性を有するボックス型の容器本体１と，この容器本体１
の開口部を覆う断熱性を有する蓋体９と，容器本体１内
に装着する板状の中空体からなる温度保持体１２とから
構成されるものであって，温度保持体１２は，側縁部に
内部に通ずる注入口１７を有し，この注入口１７から，
例えば内部に熱容量の大きい粘稠な不凍性の液からなる
蓄熱剤を注入し，封止するものである。

容器本体１は，全体がポリエチレン発泡体からなるもの
で，底板４の周縁より相対する一対の側壁２ａ，２ｂ
と，相対する他の側壁３ａ，３ｂとにより長方形状の四
周壁を形成し，長辺を構成している側壁の一方の側壁２
ａの内面には，底板４より上方に向けて所定の厚みの凸
面部５ａを形成する。

この凸面部５ａの上縁は，低い位置で底面に対して水平
に形成された下部係合部７ａと，高い位置で水平に形成
した上部係合部６ａとを交互に形成したもので，第４図
によって明らかなごとく，この実施例の容器本体１は，
後述の温度保持体１２を２枚装着可能な大きさとしてい
るので，側壁２ａの中央部に形成される下部係合部７ａ
は，両端の下部係合部７ａ，７ｂのほゞ２倍の長さとな
るよう構成されている。

一方，第４図に示すように，この側壁２ａに対向する側
壁２ｂの内面にも同様にして底板４より上方に向けて所
定の厚みを形成した凸面部５ｂが設けられ，この凸面部
５ｂも上縁を高い位置で水平に形成した上部係合部６ｂ
と，低い位置で水平に形成した下部係合部７ｂが交互
に，かつ側壁２ａに形成した上部係合部６ａと下部係合
部７ａと全く対称となるよう配設させている。

すなわち，凸面部５ａの下部係合部７ａに相対して凸面
部５ｂに上部係合部６ｂが，凸面部５ａの上部係合部６
ａに相対して凸面部５ｂに下部係合部７ｂが形成されて
いるもので，中央部の上部係合部６ｂは，両端の上部係
合部６ｂ，６ｂのほゞ２倍の長さに形成されている。

これらの凸面部５ａ，５ｂは共に，側壁２ａ，２ｂに一
体成形されたもので，各下部係合部７ａと７ｂ，及び上
部係合部６ａと６ｂとは，いずれも垂直な凸面部５ｃに
より明確な段部を形成して連設している。

なお，８はこのコンテナの運搬に便利なように形成した
把手である。

一方，蓋体９は，容器本体１の各側壁２ａ，２ｂ，３
ａ，３ｂの上縁内側に沿って気密に嵌合する嵌入縁１０
を有すると共に，把手１１を有し，前記嵌入縁１０を嵌
め込んで容器本体１の開口部を密閉するよう構成されて
いる。

容器本体１内に装着する温度保持体１２は，長方形をな
し，相対する一方の短辺は，両側に切欠部１４ａ，１４
ｂを設けて中央部を突出させ，以て中央凸縁部としたも
ので，実施例においては，この中央凸縁部の中央部をさ
らに凹ませ，一対の中央凸縁部１３ａ，１３ｂとし，凹
ませた部位に前記注入口１７を付設したもので，該注入
口１７は薄板状のリブ１８によって固定されている。

他方の短辺は，前記中央凸縁部１３ａ，１３ｂに対応す
る部分に，切欠部１６を形成することによって端縁部に
それぞれ端部凸縁部１５ａ，１５ｂを形成する。

また，この温度保持体１２の板面の中央には，手で持ち
上げたり，表裏への熱の流通を円滑に行うための孔１９
を設け，表裏の板面にはそれぞれ放熱と，内部に充填す
る温度保持剤の温度変化に対する伸縮性の保持，及び温
度保持体１２の強度維持等の目的で，多数の凹状リブ２
０が設けられている。

なお，この温度保持体１２の表裏の各板面の四隅には，
それぞれ２個の円形の突起２１ａと，前記突起２１ａの
嵌入が可能な径を有する２個の凹部２１ｂが，第２図に
示すように，対角線上において同一配列となるよう設け
られている。

すなわち，突起２１ａと凹部２１ｂは，第２図のように
切欠１４ａと，端部凸縁部１５ｂとの近傍のコーナー部
分には，各２個の突起２１ａが温度保持体１２の長辺と
平行に沿い，各２個の凹部２１ｂは短辺と平行に沿って
互いにクロスするように配置され，一方の切欠１４ｂ
と，端部凸縁部１５ａとの近傍のコーナー部分には，各
２個の突起２１ａが温度保持体１２の短辺と平行に沿
い，各２個の凹部２１ｂは長辺と平行に沿ってクロス状
に配設されている。

また，これらの突起２１ａと凹部２１ｂとは第３図のよ
うに一面の突起２１ａに対応する他面の位置に凹部２１
ｂを設けたものである。

このように突起２１ｂと凹部２１ｂとの配設位置を四隅
と表裏で相違させることによって，１枚の温度保持体１
２の上に，他の温度保持体１２を反転させて注入口１７
や切欠部１６が同じ方向となるように揃えて重ね合わせ
ることにより，各凹部２１ｂの中に突起２１ａがそれぞ
れ嵌入してずれを生ずることなく，安定して多重に積み
重ねることができる。

かゝる構造を有する容器本体１と，蓋体９及び温度保持
体１２からなるコンテナの使用方法について以下説明す
る。

実施例のコンテナは，２枚の温度保持体１２，１２を使
用する方式のもので，この２枚の温度保持体１２の使用
によって，一つの容器本体１を３通りに使用することが
できる。

すなわち，第１の使用方法は，第５図（ａ）に示す方法
で，２枚の温度保持体１２，１２を同一方向に並べ，各
温度保持体１２の中央凸縁部（１３ａ，１３ｂ）を側壁
２ａ側に設けた上部係合部６ａ，６ａに載置し，図面の
左側の温度保持体１２の端部凸縁部１５ｂを左側に位置
する上部係合部６ｂに，右側の端部凸縁部１５ａを中央
にある上部係合部６ｂの左半分の部位に，右側の温度保
持体１２の端部凸縁部１５ｂを中央にある上部係合部６
ｂの右半分の部位に，そして一方の端部凸縁部１５ａを
右端の上部係合部６ｂにそれぞれ載置するもので，斯く
２枚の温度保持体１２，１２を容器本体１に装着するこ
とによって，容器本体１の底面４と各温度保持体１２，
１２の下面との間隔が大きくなるので，容器本体１内を
広く，若しくは収納物（図示せず）と温度保持体１２と
を離した状態で使用することができる。

第２の使用方法は，第５図（ｂ）に示す方法であって，
前記（ａ）とは逆に各温度保持体１２，１２の中央凸縁
部（１３ａ，１３ｂ）を側壁２ｂ側に設けた下部係合部
７ｂ，７ｂにそれぞれ載置し，該温度保持体１２の端部
凸縁部１５ａ，１５ｂをそれぞれ側壁２ａに設けた下部
係合部７ａ，７ａにそれぞれ載置するもので，この方法
は，容器本体１を狭く，若しくは収納物（図示せず）と
温度保持体１２と近接させた状態で使用することができ
る。

第３の使用方法は，第５図（ｃ）に示す方法であって，
２枚の温度保持体１２，１２の中央凸縁部（１３ａ，１
３ｂ）を第４図に示すように互いに逆方向となるように
セットし，しかるのち，左の温度保持体１２の中央凸縁
部（１３ａ，１３ｂ）を側壁２ａの左側の上部係合部６
ａに載置すると共に，端部凸縁部１５ｂを側壁２ｂ側の
左端の上部係合部６ｂに，端部凸縁部１５ａを中央に位
置する上部係合部６ｂの左側に載置したのち，右側の温
度保持体１２の中央凸縁部（１３ａ，１３ｂ）を側壁２
ｂに形成した中央の下部係合部７ｂに載置し，反対側の
縁部に形成した右側の端部凸縁部１５ｂを側壁２ａの中
央の下部係合部７ａの右半分側に，左側の端部凸縁部１
５ａを右端に形成した下部係合部７ａにそれぞれ載置し
てセットすれば，容器本体１の左半分側は温度保持体１
２と底部４との距離を離して，また右半分は距離を縮め
た状態で使用することができる。

したがって，容器本体１内に収納する収納物（商品）の
種類や収納量等に応じて温度保持体１２のセット位置を
変えることによって，いろいろな使い分けができる。

なお，実施例においては，容器本体１の対向する側壁２
ａ，２ｂに凸面部５ａ，５ｂを形成し，この凸面部を利
用して上部係合部と下部係合部を設けているが，凸面部
５ａ，５ｂを別個に形成したのち，これを容器本体１内
に取付けてもよく，要は容器本体１の側壁に温度保持体
１２を高さを変えて装着することができれば，その具体
的な構成は限定されない。

〔考案の効果〕

この考案の保温保冷用コンテナは，容器本体の相対する
側壁の一方の内面に，温度保持体の中央凸縁部を高位置
で支持する上部係合部と，温度保持体の端部凸縁部を低
位置で支持する下部係合部を，また他方の内面には，前
記上部係合部に対向する位置に，温度保持体の中央凸縁
部を低位置で支持する下部係合部を，また前記下部係合
部に対向する位置に，温度保持体の端部凸縁部を高位置
で支持する上部係合部とを左右対称的に配設し，温度保
持体に形成した中央凸縁部及び端部凸縁部を側壁に形成
したいずれの係合部と係合させるかによってその保持位
置を変えることができるものである。

したがって，容器本体に収納する収納物（商品）の種
類，大きさ，収納量等によって収納する商品に最適な環
境を選択でき，商品を最良の状態に維持しながら保管搬
送することができる。

しかも，温度保持体は，温度保持剤を再充填したり，放
熱したエネルギーを再び蓄熱させることによって繰り返
し使用することができるので，きわめて経済的であるな
ど実用上多大な利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の保温保冷用コンテナの実施例を示すも
ので，第１図は容器本体と蓋体を示す斜視図，第２図は
温度保持体の斜視図，第３図は温度保持体を上下に重ね
合わせて使用するための突起と凹部との関係を示す部分
拡大断面図，第４図は温度保持体の容器本体への装着を
示すための参考斜視図，第５図は容器本体と温度保持体
との関係を示し，（ａ）は温度保持体が容器本体の高い
位置に保持された状態を，（ｂ）は温度保持体が容器本
体の低い位置に保持された状態を，（ｃ）は一方が高い
位置に，他方が低い位置に保持された状態を示す説明図
である。 １……容器本体 ２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ，……側壁， ４……底面，５ａ，５ｂ……凸面部， ６ａ，６ｂ……上部係合部， ７ａ，７ｂ……下部係合部， ８……把手，９……蓋体， １２……温度保持体， １３ａ，１３ｂ……中央凸縁部， １４ａ，１４ｂ……切欠， １５ａ，１５ｂ……端部凸縁部， １６……切欠部，１７……注入口， ２１ａ……突起，２１ｂ……凹部，

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上面が開口した断熱性を有する容器本体
   と，この容器本体の開口部を覆う断熱性を有する蓋体
   と，容器本体内に装着する板状の中空体からなる温度保
   持体とから構成されるものであって，前記温度保持体の
   一方の端縁側の中央部に中央凸縁部を突設すると共に，
   他方の端縁の端部にそれぞれ端部凸縁部を形成し，前記
   容器本体内の対向する側壁の一方には，前記温度保持体
   の中央凸縁部と係合して高位置で支持する上部係合部
   と，その両側に端部凸縁部と係合して低位置で支持する
   下部係合部を形成し，他方の側壁には，前記上部係合部
   に対向する位置に，温度保持体の中央凸縁部と係合して
   低位置で支持する下部係合部と，その両側に温度保持体
   の端部凸縁部と係合して高位置で支持する上部係合部と
   を形成したことを特徴とする保温保冷用コンテナ。