JPH06272549A - 耐熱シール材およびシール構造 - Google Patents

耐熱シール材およびシール構造

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JPH06272549A
JPH06272549A JP8533993A JP8533993A JPH06272549A JP H06272549 A JPH06272549 A JP H06272549A JP 8533993 A JP8533993 A JP 8533993A JP 8533993 A JP8533993 A JP 8533993A JP H06272549 A JPH06272549 A JP H06272549A
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JP
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heat
resistant
fibers
fiber
core material
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JP8533993A
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Inventor
Junichi Iura
純一 井浦
Tomoko Watanabe
倫子 渡邉
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】排気ガスによる風食がなく、周囲の金属物によ
って容易に汚染されない耐熱シール材を提供する。 【構成】耐熱金属製繊維からなるひも状弾性体を芯材と
して、その外周に、連続した高シリカ質ガラス繊維また
はシリカアルミナ系の結晶質繊維を、隙間なく一方向に
巻き回した耐熱シール材であって、無機質長繊維の層の
厚さが、芯材の外径に対して3〜100%の範囲内にあ
る耐熱シール材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱シール材、特に、
自動車の排気ガス浄化用セラミックス体、具体的には触
媒担体、多孔質フィルターなどを容器(ケーシング)内
に納め、前記セラミックス体を支持し、かつ、排気ガス
が浄化されないままとなるバイパス流路の形成を防ぐた
めのシール構造に好適に使用される耐熱シール材、およ
びシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の排気ガス浄化装置として、セラ
ミックス製ハニカム状触媒担体やディーゼルエンジン車
の黒煙トラップ材がある。これらのモノリス担体を金属
製容器内に組みつけ、自動車の振動からセラミックス・
モノリスを守り、しかも排気ガスが浄化されないまま流
れてしまうバイパス流路の形成を防ぐためのシール・ク
ッション材として、ステンレスやインコネルなどの耐熱
金属の繊維でできたメッシュワイヤーのひも状物や、さ
らにその外周にSiO2 ・Al23 質のセラミックス
ウールやアスベストを紡績したうえで編組した物を被覆
させたひも材が用いられている。
【0003】しかし、耐熱金属繊維からなるメッシュワ
イヤーのひも状物のみでは、通気抵抗が小さ過ぎるため
に、排気ガスのバイパス流路の形成を完全に防止するこ
とはできない。また、SiO2 ・Al23 質のセラミ
ックスウールやアスベストの編組物を被覆することは、
きわめて初期のうちにはシール効果があるものの、繊維
長が短いためにお互いの結合力がなく、排気ガスによっ
て容易に飛散してしまい、ひも材としての通気抵抗が得
られなくなる。すなわち、耐風食性に問題があり、浄化
されないままの排気ガスが車外に放出されることにな
る。
【0004】これに対し、耐熱金属線からなる弾力性構
造体の外側を、石英ガラス等のガラス繊維で被覆したシ
ール材も提案されている(実開平2−125269号公
報参照)。しかし、ここで留意することは、600〜1
000℃の高温の排気ガスにさらされたとき、芯材とし
て用いた弾力性構造体、シール材の周囲で接触している
金属製容器、またはシール材自体を位置決めし支持する
弾力性金属包囲物を源として、金属元素が、被覆した石
英ガラス繊維などの中へ拡散し、石英ガラスの結晶化が
促進されるという問題が生じることである。その結果、
使用中に繊維の強度低下に伴う石英ガラス繊維の切れ、
脱落のためにシール材としての機能を果たさなくなって
しまう問題が起こる。
【0005】このように、単独では静的条件下で耐熱性
があるとされる無機質繊維を不用意にシール材として用
いることは、風食、金属との反応からかんがみて避ける
べきである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
問題点を解決し、排気ガスによって風食することもな
く、かつ周囲の金属物によって容易に汚染されることも
ない、浄化用セラミックス・モノリスの保持用シール材
に特に適し、かつ、少ない材料費と簡便な加工法により
要求される性能を満足した耐熱シール材を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐熱金属製繊
維からなるひも状弾性体を芯材として、その外周に、連
続した耐熱性の無機質長繊維を、隙間なく一方向に巻き
回した耐熱シール材であって、芯材に巻かれる連続した
耐熱性の無機質長繊維が、Al23 を0.1〜0.6
重量%、TiO2 を0.1〜0.8重量%含有し、かつ
SiO2 を主成分とした組成の高シリカ質ガラス繊維で
あり、かつ該無機質長繊維の層の厚さが、芯材の外径に
対して3〜100%の範囲内にある耐熱シール材であ
る。
【0008】本発明はまた、耐熱金属製繊維からなるひ
も状弾性体を芯材として、その外周に、連続した耐熱性
の無機質長繊維を、隙間なく一方向に巻き回した耐熱シ
ール材であって、芯材に巻かれる連続した耐熱性の無機
質長繊維が、Al23 を60重量%以上含有したシリ
カアルミナ系の結晶質繊維であり、かつ該無機質長繊維
の層の厚さが、芯材の外径に対して3〜100%の範囲
内にある耐熱シール材である。
【0009】本発明において述べる連続した耐熱性の無
機質長繊維とは、短繊維を紡績したりしたものではな
く、繊維の製造工程そのものから連続状に作製されたも
のをいう。短繊維の集合体では、繊維同士の絡みが少な
く容易に抜け去ってしまうので、排気ガスの風食に耐
え、飛散を防止するのに不適当である。
【0010】さらに、使用温度で、周囲の金属物からの
金属元素の汚染に対しては、金属元素の拡散があるとし
ても、その温度で容易に反応しないよう、十分な耐熱性
が必要である。このような耐熱性の無機質長繊維とし
て、本発明においてはAl23 を0.1〜0.6重量
%、TiO2 を0.1〜0.8重量%含有し、かつSi
2 を主成分とした組成の高シリカ質ガラス繊維を採用
する。この組成の高シリカ質ガラス繊維は、周囲に金属
物があっても600〜1000℃の温度範囲でも容易に
金属元素と反応せず、結晶化しない。
【0011】含まれるAl23 とTiO2 の含有量お
よびその効果については、特願平4ー129704号に
記されているが、要約すると以下のとおりである。Al
23 の添加効果は、Al23 を含まない石英ガラス
に対して、ガラスの高温域の粘度増加にあり、0.1〜
2.0重量%含むときに現れるが、特に0.1〜0.6
重量%含むとき効果は著しい。一方、Al23 を0.
1〜2.0重量%含む石英ガラスに対するTiO2 の添
加効果は、結晶物(トリジマイトあるいはクリストバラ
イト)の析出のコントロールにある。TiO2 を添加し
ない、すなわちAl23 のみを含むときには、Al2
3 の含有量が増加するにつれて、所定温度での結晶物
の析出開始時間が早くなり、また析出量が増える。この
析出を抑制するためには、ガラス中にTiO2 を0.1
〜2.0重量%含むときに現れるが、特にSiO2 にA
23 が0.1〜0.6重量%含有された場合にはT
iO2 を0.1〜0.8重量%含むときが著しい。
【0012】このような組成を有する高シリカ質の繊維
としては、Eガラスを酸処理して得られる、いわゆるリ
ーチドシリカファイバーや、あるいはゾル−ゲル法にて
紡糸されたシリカファイバーがあげられる。
【0013】本発明においては、耐熱性の無機質長繊維
として、Al23 を60重量%以上含有したシリカア
ルミナ系の結晶質繊維を採用できる。高シリカ質繊維よ
りはるかに耐熱性の高い、結晶性Al23 連続長繊維
を用いれば、金属物からの化学的汚染は、自動車の排気
ガス温度域から考慮しても、さらに少なくなる。
【0014】本発明で述べるところの耐熱シール材の、
特に自動車の排気ガス処理装置のシール構造への適用を
考えた場合、次に述べる簡易加速実験がシール材の耐久
性を考えた場合有用である。
【0015】所定の面積および厚みを有した2枚の耐熱
ステンレス製板状物を用意し、本発明で作製したシール
材をはさみ込み、ネジ等で締めつける。この状態のま
ま、熱処理炉に入れ、評価したい温度で長時間加熱保持
する。シール材に用いた繊維は、一方で芯材となる耐熱
金属線と、また他方で、ステンレス板状物と接している
ので、汚染源となる金属物は十分に存在していることに
なる。熱処理が終了した後、炉外に取り出し、締めつけ
を緩め、加圧熱処理されたシール材を回収する。結晶化
の有無は、繊維の色調の変化を肉眼によっても確認でき
るが、さらには、ガラス繊維を粉末化のうえ、X線回折
によっても確かめることができる。結晶化が著しいとき
には、シール材に軽い振動あるいは突起物による殺傷を
与えてやれば、繊維の強度低下によって、容易に繊維は
巻き回した芯材から脱落する。
【0016】また風食性を評価したいときには、高圧空
気を吹きつけることによって判断できる。すなわち、熱
処理後に回収したシール材に、高圧空気源(数kg/c
2)につないだエアーガンより空気を吹きあて、繊維
の飛散の状況を観察すればよい。
【0017】本発明において、このような繊維は柔軟で
はあるが、一本一本の引張り強度は一般に高くないの
で、繊維を芯材に巻きつけるときには、単繊維ではなく
単繊維をある程度の本数束ねたもの(ロービング)ある
いはこれに撚りをかけたもの(ヤーン)であることが被
覆の効率上好ましい。クロス状に加工した後で巻きつけ
ることも可能であるが、その分、工数もかかり、クロス
に織る際の破断の可能性もあるので本発明においては採
用されない。
【0018】このような繊維を実際芯材に巻きつけると
きには、電線被覆材巻き線機などを用いることができ
る。巻きつける糸の太さとしては、この巻きつけ機によ
って効率的に巻くことができる引張り強度を持った太さ
であればよいが、重要なことととして、排気ガスのもれ
がないように隙間なく糸が巻きつけられること、排気ガ
スがあたっても切断されないことがあげられる。また、
芯材を形作る耐熱金属線の局所的かつ不均一な飛び出し
や突起によって切断されることのないような太さである
ことが必要である。さらに、周囲の金属元素からの汚染
についても、当然、糸の太さが太い方が有利である。太
ければ、周囲の金属物と接触しない繊維の割合が増える
ので、汚染が原因で引き起こされる結晶化の問題も避け
やすい。巻きつける糸の層として、1重巻き、2重巻き
以上を適宜採用することができるが、この数は用いる材
料費と期待する物性から決まってくるものであり、単に
1重巻きで一方向に巻き回して所定の耐久性が得られれ
ば、その分、工数やコストが抑えられるので好ましい。
【0019】また、巻つけられる繊維層の厚みは、触媒
コンバーターとして、セラミックス・モノリスを金属製
容器内に組みつけるときの荷重や、セラミックス・モノ
リスを支持する力(荷重)からも決定されねばならない
が、耐熱金属製繊維からなるひも状弾性体だけでは、柔
らか過ぎるので、これらの荷重値が小さくなってしま
い、所望の保持機能を有することができない。また、余
りに過剰の厚みの繊維層を形成させると、荷重値が大き
過ぎ、組みつけに大きなエネルギーを要するとともに、
セラミックス・モノリスを破壊してしまう。
【0020】このような条件を満足するための定量的記
述として、巻つけられる繊維の形成する層が、その厚み
として芯材の外径に対して3〜100%の範囲内にある
のが好ましい。また、さらに望ましくは4〜50%の範
囲内にあれば、工数やコストの点から好都合である。
【0021】本発明において、芯材の耐熱金属線の材質
は、使用温度で耐熱性を有するものであれば特に限定さ
れず種々のものを採用することができる。具体的には、
ステンレス、インコネル等を使用するのが好ましい。そ
して、シール材として適当な弾性を付与するために耐熱
金属線を組みひも状またはクロス状に加工した後、これ
を丸めることが好ましい。
【0022】本発明の耐熱シール材は、一度に数百メー
トルの長さのものを製造することが可能であるが、実際
の自動車の浄化装置に組みつけられるときには、所定の
寸法に切断されねばならない。この際、切断箇所から、
巻きつけられた糸がほつれてこないように、あらかじめ
切断箇所にほつれ止めを施しておくのが好ましい。耐熱
シール材の外周面に樹脂を塗布したり、フィルム材など
で覆っておけば、ほつれ止め効果も有するし、組みつけ
時に耐熱シール材の位置を固定したりする金属包囲物か
らの繊維への衝撃の緩和効果も有する。特に、無機質長
繊維の層の外周を熱収縮性フィルムで被覆する場合は、
具体的にはひも状物に熱収縮性梱包フィルムを巻き回
し、加熱して被覆する場合は、取扱いが容易であり、好
ましい。
【0023】
【実施例】
実施例1 Al23 を0.28重量%、TiO2 を0.17重量
%を含有し、残部は実質的にSiO2 であるリーチドシ
リカファイバー(日本無機株式会社製)のヤーンを用意
した。ヤーンの太さはTEX(単位g/km)で約85
0で、ノギスを静かに押し当てて測定したところ、0.
9mmの径を有していた。一方、芯材については、直径
140μmのステンレス線をメリヤス織りして筒状に加
工し、さらに、これを長手方向に垂直に押しつぶしたう
え、長手方向が軸になるように丸めてひも状物の芯材を
作製した。この芯材の外径は、約5.3mmで、織りの
目開きは約1mmで、単位重量は30g/mであった。
【0024】次に、用意したヤーンを3本引き揃えたう
え、電線被覆材巻き線機(株式会社キンレイ製)で前記
芯材に隙間なく1重で一方向に巻き回し、長さ20mの
ひも状耐熱シール材を製造した。巻きつけは、芯材1m
を20秒で被覆する速度で行った。でき上がったひも状
物の外径は6.3mmであり、形成された繊維層の厚み
は、芯材の外径に対して19%であった。また巻きつけ
られた繊維の重量は12.2g/mであった。さらに、
ひも状物に熱収縮性梱包フィルムを巻き回し、加熱後被
覆した。
【0025】作製した耐熱シール材のうち、20cmを
切断し、2枚のステンレス製板状物(板厚1cm)には
さみ込み、前記2枚の板状物を貫通する4本のネジを締
めながら、長手方向に垂直に3mmの厚さまでプレス変
形させた。この状態のまま800℃で200時間熱処理
を行った。ネジをゆるめ、耐熱シール材を回収したとこ
ろ、幅7mmの帯状物に変形していた。この帯状物を宙
に浮かせ、両端を支持固定し、帯状物の45°斜め上の
方向から、3cm離して、エアーガンより4kg/cm
2 の圧縮空気を吹きつけた。帯状物全体に吹きつけるよ
うに固定端の間をエアーガンをゆっくり走査させなが
ら、2分間、この状態を保った。その間、巻つけられた
糸は飛散することもなく、安定していた。
【0026】巻きつけられた糸を芯材から巻き戻しなが
ら回収し、メノウ乳鉢で粉末化のうえ、X線回折を調べ
たところ、非晶質体特有のハーローのみが観測された。
【0027】さらに、作製した耐熱シール材を所定の長
さに切断して、セラミックス製ハニカム状モノリスを保
持するように触媒コンバーター内に装着して、ベンチ試
験を実施した。エンジンは2000ccの排気量を持つ
もので、触媒コンバーター内で排気ガス温度が800℃
となる条件で200時間運転した。運転後、触媒コンバ
ーター内よりひも状物が装着変形してなった帯状物を回
収したが、なんらの変化も見られず、十分な通気抵抗を
有していた。また、セラミックス製ハニカム状モノリス
が割れたりするような問題も生じなかった。
【0028】実施例2 エチルシリケート40(日本コルコート社製品)をエタ
ノールに溶解し、微量の硝酸を含んだ水を添加し、加水
分解を行わせた。この溶液をSiO2 の含有率が46重
量%になるように濃縮した紡糸母液に、アルミニウムイ
ソプロポキシド、チタンブトキシド、アセチルアセト
ン、ギ酸、メタノールからなる黄色味を帯びた透明液を
添加し、撹拌した。得られた溶液の粘度が60ポアズ
(25℃測定)になった時点で、乾式紡糸を行い、ゲル
ファイバーとした。このゲルファイバーを約900℃で
焼成し、長径約16μmの石英ガラス繊維とした。
【0029】この繊維の組成はSiO2 を99.63重
量%、Al23 を0.2重量%、TiO2 を0.17
重量%含み、アルカリ金属酸化物とアルカリ土類金属酸
化物の含量は0.01重量%以下である。この石英ガラ
ス繊維をTEX57となるよう集束し、さらに、これを
6本合わせた後、撚りをかけてヤーンとした。ヤーンの
太さは、ノギスの測定では、0.55mmであった。
【0030】実施例1で用いたのとほぼ同様な芯材(外
径5.9mm)に、電線被覆材巻き線機にて、実施例1
と同様にしてこのヤーンを巻つけて耐熱シール材を作製
した。ひも状物の外径は、約6.4mmであり、形成さ
れた繊維の層の厚みは、芯材の外径に対して8.5%で
あった。また、巻きつけた繊維の量は、1m当たり7.
7gであった。
【0031】実施例1と同じく、2枚のステンレス板を
用いてプレス変形させたうえ、800℃で200時間熱
処理を行った。
【0032】熱処理後の繊維の柔らかさを評価するため
に、固定していたネジをゆるめてステンレス板の拘束を
解いたうえ、ステンレス板の上からハンマーで衝撃を、
繰り返し40回与えた。その結果、はさみ込まれた耐熱
シール材には、若干の毛羽立ち、毛羽の脱離がみられた
が、巻き回された糸自体は十分に柔らかく、芯材から巻
き戻すことができた。
【0033】熱処理前後の通気抵抗を、簡易マノメータ
ーで測定した。熱処理前が、風速1m/secのとき2
300mmH2 Oであったのが、熱処理後でも1850
mmH2 Oであり、触媒コンバーターのシール材として
十分な抵抗を有していた。なお、ステンレス線からなる
芯材の通気抵抗は、ほとんどなかった。
【0034】熱処理後の繊維中へのステンレス板状物か
らの元素の汚染について、調査した。熱処理後の耐熱シ
ール材から繊維だけを注意深く回収し、ICPにて元素
含有量を定量分析した。その結果は、Feが59pp
m、Crが11ppm、Niが3.5ppmであった。
これらの値は、繊維の集束材を除去するために行ったヒ
ートクリーニング(600℃、1時間)後の値、Feが
25ppm、Crが4.3ppm、Niが1.2ppm
未満(定量下限以下)に比べて大きな変化はなく、金属
元素の汚染がほとんどないことがわかった。また粉末X
線回折によっても結晶物の析出は認められなかった。
【0035】比較例1 実施例2と同様に石英ガラス繊維を作製したが、アルミ
ニウムイソプロポキシド、チタンブトキシド、アセチル
アセトン、ギ酸、メタノールからなる透明液は添加しな
かった。得られた石英ガラス繊維のSiO2 含有量は9
9.99%であり、これを集束してTEX114のヤー
ンとした。外径5.6mmの芯材に、実施例1と同様に
この繊維を巻き回し耐熱シール材を作製した。作製した
ひも状物の外径は5.9mmであり、繊維の層の厚み
は、芯材の外径の5.4%であった。
【0036】実施例1と同じ要領でプレス変形させたま
ま熱処理を行った。回収した耐熱シール材の繊維に、突
起物(シャープペンシルの先端)を繰り返し突き刺して
いくと巻きつけられた繊維は、芯材からポロポロと脱離
していき、繊維としての柔軟性を失っていることがわか
った。脱離した繊維を実体顕微鏡で40倍のもと観察し
たところ、繊維が白濁していた。
【0037】回収した繊維を粉末化のうえ、X線回折で
結晶物の析出の有無を調べた。その結果、2θ=21°
(λ=CuKα線で測定)のところに回折ピークが出、
石英ガラス繊維が結晶化していることが判明した。ま
た、SEMによって、繊維表面を観測したところ、樹枝
状の模様が複雑に絡まった異物が析出していることがわ
かり、前記突起物による突き刺しで繊維が容易に脱落し
ていくのは、表面に析出した異物によって繊維が切れや
すくなっていることによると説明できる。
【0038】実施例2と同じく、600℃のヒートクリ
ーニング後、800℃で97時間の熱処理後の、繊維中
の金属元素の汚染を調べた。その結果を、実施例2の結
果とあわせて表1に示す。表1において単位はppmで
ある。Fe、Crの含有量は、この場合、ヒートクリー
ニング後に対して一桁増えており、Al23 とTiO
2 を含有しない石英ガラス繊維では、周囲の金属物に強
く汚染され、耐熱シール材としての耐久性に問題のある
ことがわかった。
【0039】
【表1】
【0040】実施例4 Al23 連続長繊維(米国3M社製、商標名ネクステ
ル)のヤーンを用意した。TEX650であり、ヤーン
の外径として0.55mmである。これを耐熱ステンレ
スからなる芯材(外径7.1mm)に実施例1と同様に
して、耐熱シール材を作製した。巻き線の外径として
7.6mmのひも状物が得られたが、形成された繊維層
の厚みは、芯材の外径に対して7%である。
【0041】耐熱シール材を実施例1と同じ条件で熱処
理をし、実施例1と同様な評価を行った。その結果、高
圧空気による繊維の飛散もなく、ステンレス板の上から
加える衝撃に対しても繊維は切断されることもなかっ
た。また、通気抵抗値は、熱処理前の値に対して90%
を維持していた。
【0042】この耐熱シール材(外径7.6mm)8c
m長を径方向で4mm厚まで圧縮する時の荷重は130
kgであり、セラミックス・モノリスを金属製容器に装
着するときの締めつけ必要力としては適当なことがわか
った。
【0043】比較例2 SiO2 とAl23 の組成比が重量で約1:1である
セラミックスファイバーの短繊維を紡績してできたセラ
ミックスファイバーロープ(直径約2mm、紡績の際に
は、ステンレスの芯材を使用し、TEX(g/km)は
1000)を実施例1と同様にして、ステンレス製のメ
ッシュワイヤーのひも状物のまわりに巻つけた。その外
径は約8mmであった。
【0044】実施例1と同様にプレスしたまま、熱処理
を行ったうえ、4kg/cm2 の圧縮空気を吹きつけた
ところ、セラミックスファイバーのロープはたちどころ
の飛散し、メッシュワイヤーのひも状物とロープの芯材
であるステンレスの糸のみが残っていた。
【0045】比較例3 実施例2で作製した石英ガラス繊維を使用し、集束する
繊維の数を約200本とし、TEX57のヤーンとし
た。さらに外径6mmの芯材に巻き回して耐熱シール材
とした。形成された繊維の層の厚みは0.12mmであ
り、芯材の外径に対して2.2%であった。
【0046】このシール材(外径6.12mm)のうち
8cm長を取り出し、径方向で4mm厚まで圧縮する時
の必要荷重は8kgであり、シール材としては柔らかい
ことがわかり、このままではセラミックス・モノリスを
保持する力が弱いことが判明した。
【0047】
【発明の効果】本発明の耐熱シール材は、十分な通気抵
抗を示し、かつ耐久性に優れる。さらに、製造が容易
で、材料費や加工費を低減することができる。排気ガス
の処理装置に使用する場合は、排気ガスによる繊維の飛
散の心配もなく、また排気ガスのバイパス回路となるこ
とを防止するものである。また、排気ガス浄化用セラミ
ックス・モノリスを保持するのに必要な圧縮荷重を有す
る。
【0048】さらに、セラミックス・モノリスの組つけ
のために、多量に用いられている耐熱金属線からなる弾
性物、あるいは、その外側の耐熱金属製容器と、排気ガ
ス通過中、長時間接触していても、これら金属物によっ
て化学的に汚染される危険が大変小さい特性を有する。
本発明の耐熱シール材は、自動車の浄化装置に限らず、
高温の熱流にさらされる工業用各種シール材、パッキン
材、クッション材に使用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐熱金属製繊維からなるひも状弾性体を芯
    材として、その外周に、連続した耐熱性の無機質長繊維
    を、隙間なく一方向に巻き回した耐熱シール材であっ
    て、芯材に巻かれる連続した耐熱性の無機質長繊維が、
    Al23 を0.1〜0.6重量%、TiO2 を0.1
    〜0.8重量%含有し、かつSiO2 を主成分とした組
    成の高シリカ質ガラス繊維であり、かつ該無機質長繊維
    の層の厚さが、芯材の外径に対して3〜100%の範囲
    内にある耐熱シール材。
  2. 【請求項2】耐熱金属製繊維からなるひも状弾性体を芯
    材として、その外周に、連続した耐熱性の無機質長繊維
    を、隙間なく一方向に巻き回した耐熱シール材であっ
    て、芯材に巻かれる連続した耐熱性の無機質長繊維が、
    Al23 を60重量%以上含有したシリカアルミナ系
    の結晶質繊維であり、かつ該無機質長繊維の層の厚さ
    が、芯材の外径に対して3〜100%の範囲内にある耐
    熱シール材。
  3. 【請求項3】無機質長繊維の層の外周を熱収縮性フィル
    ムで被覆した請求項1または請求項2の耐熱シール材。
  4. 【請求項4】請求項1または請求項2の耐熱シール材を
    用いた自動車の排気ガス処理装置のシール構造。
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