JPH0626673Y2 - 建築用断熱板の目地構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は、建築用断熱板の目地構造に関する。

考案の技術的背景ならびにその問題 建築物における壁を鉄筋コンクリート等で構築する場合
には、仮枠を組んだ後に、鉄筋等が張設された仮枠内に
コンクリートを打設することにより壁を構築する。

近年では、室内の冷暖房における省エネルギーの観点、
及び室内壁における結露を防止する観点から建築物の壁
に断熱板が張設されるようになってきた。建築物の壁に
断熱板を張設するには、室外側に断熱板を設ける外断熱
構造と室内側に断熱板を設ける内断熱構造とがある。

いずれの断熱構造であっても、コンクリートを打設する
ことによりコンクリート壁を形成する場合には、従来で
は次にようにして行なっていた。

第５，６図に示すように、まず、室内側仮枠４を、打設
後のコンクリート床１上で室内側壁面に沿って組立て、
この仮枠４の断熱板３を張設し、これら断熱板３を室内
側仮枠４に釘等で仮固定した後に、この断熱板３が張設
された室内側仮枠４を立て起し、コンクリート床１上に
立設させる。次に、室外側仮枠２を組立て、これら仮枠
２，４間に、コンクリート打設用の隙間６を形成する。

その後、鉄筋５（第５図にのみ図示）等が張設された仮
枠２，４間隙間６にコンクリートを打ち込み、コンクリ
ートの固化後に、仮枠２，４を取り除けば室内側に断熱
板３が張設された内断熱構造のコンクリート壁が完成す
る。外断熱構造のコンクリート壁を構築する場合には、
上述した説明において室内側と室外側を逆にするだけで
同様にして行なうことができる。

しかしながら、従来の断熱板３を用いてコンクリート打
設により上述したような断熱構造の壁を構築する場合に
は、断熱板３の板相互の継目部において特に、コンクリ
ートの漏れや巻き込み等が発生し、コンクリートが断熱
板３の表面側に露呈し、外観上好ましくないだけでな
く、断熱欠損が生じ、結露の原因となる虞があった。な
お、コンクリートの巻き込みとは、第５図の点線で示す
ように、コンクリートの漏れ等により断熱板３が隙間６
側に湾曲し、そこからコンクリートが巻き込む状態をい
う。

上述したようなコンクリートの漏れや巻き込みが発生し
た場合には、断熱欠損による結露等が生じることから、
手直し用工事がさらに必要となり、その作業が煩雑であ
ると共に、工費が嵩むという不都合を有していた。

このような不都合を解消するために、仮枠４の組立時
に、各断熱板３相互の継目部に粘着テープを貼着し、断
熱板３相互の継目部からのコンクリートの漏れを防止す
ることが行なわれる場合もあった。

しかしながら、このように現場作業において粘着テープ
を貼る作業は煩雑であると共に、継目部の隙間を完全に
閉塞するように粘着テープを貼着することは困難であ
り、結局、この粘着テープが剥がれて、そこからコンク
リートの漏れや巻き込みが発生する虞が依然として生じ
ていた。

考案の目的 本考案は、このような実情に鑑みてなされたもので、コ
ンクリート打設により、断熱構造の壁を形成する際に使
用して、コンクリートの漏れや巻き込みを有効に防止し
得る建築用断熱板の目地構造を提供することを目的とす
る。

考案の概要 かかる目的を達成するために、本考案は、片側表面にコ
ンクリートが打設される建築用断熱板の板相互の継目部
に沿って上記片側表面側からテープを貼着するととも
に、上記断熱板に差込可能な一対の針部をその両端に備
えたコ字状の複数の針部材を、上記テープの上から所定
間隔で上記断熱板に差込んだことを特徴としている。

上述の如く構成した建築用断熱板の目地構造において
は、断熱板相互の継目部がテープで覆われているので、
コンクリートを打設したときにこのコンクリートがテー
プで遮られ、継目部に侵入するのが阻止され、また上記
テープは針部材によって押えられているので、コンクリ
ート打設前の水打ち時の水や雨水等がかかっても容易に
剥離することがなく、テープの剥離を未然に阻止するこ
とができる。

考案の具体的説明 以下、本考案を図面に示す実施例に基づき詳細に説明す
る。

第１図は本考案の一実施例に係る建築用断熱板の目地構
造の斜視図、第２図は本考案の第１変形例に係る目地構
造の断面図、第３図は本考案の第２変形例に係る目地構
造の断面図、第４図は本考案のその他の実施例に係る目
地構造の斜視図である。

第１図に示すように、本考案に係る目地構造では断熱板
３の相互の継目部１１に沿ってコンクリート打設側から
テープ１０を貼着している。このテープ１０は通常の防
水性ガムテープを用いてよい。テープ１０の上からはさ
らにコ字状をなす針部材１３が断熱板３に対して差込ま
れている。この針部材１３は普通のステープルの針と同
様にその両端に一対の針部１３ａを備えている。これら
針部１３ａは、本実施例では、継目部１１の両側の断熱
板３にそれぞれ差込まれている。従ってテープ１０は針
部材１３の連結部１３ｂによって押え付けられている。
なお、針部材１３は継目部１１に沿って所定間隔で複数
個差込まれている。

断熱板の目地構造は上述の如く構成されてなり、継目部
１１に沿って貼着されたテープ１０はその貼着力だけで
も継目部１１に貼付いているが、さらに針部材１３の連
結部１３ｂによっても押え付けられているので、コンク
リート打設前の水打ち時の水や雨水等がかかってもまっ
たく剥離するおそれはない。また、針部材１３は断熱板
３相互を連結してその位置ずれを防止する作用をなすの
で、断熱板３の位置ずれによってテープ１０が変形剥離
するおそれもない。なお、針部材１３の針部１３ａの先
端形状としては第１図に示す直線形の他、第２図に示す
内向きＶ字形や第３図に示す外向きＶ字形等を採用して
もよく、このようなＶ字形先端形状とすることにより針
部材１３の止着力が高まる。

継目部１１に対してテープ１０および針部材１３を装着
した後はコンクリート１２を打設するが、継目部１１は
テープ１０で覆われているのでコンクリートが侵入する
おそれがない。

以上本考案の一実施例につき説明したが、本考案は上記
実施例に限定されることなく種々の変形が可能である。
例えば針部材１３の形状は図示したものに限らず必要に
応じて任意に変更可能である。

また、第４図に示すように、断熱板３相互の継目部１１
に沿ってコンクリート打設側からテープ１０を貼着した
後、このテープ１０における両側端近傍に、針部材１３
を打ち込み、針部１３ａが断熱板３まで差込まれるよう
にしても良い。このような実施例によれば、針部材１３
がテープ１０における両側端近傍に打ち込むようにした
ので、テープ１０の剥離をより確実に防止することがで
きる。

考案の効果 本考案は上述の如く、断熱板相互の継目部にテープを貼
着し、このテープの上から針部材を差し込んでいるので
テープの剥離が未然に防止される。またこのようにテー
プの剥離が完全に防止される結果、継目部に対するコン
クリートの侵入を確実に阻止することができ、コンクリ
ートの漏れや巻き込みを有効に防止することが可能にな
り、従って壁の隅部における結露を有効に防止し得ると
共に、コンクリートの漏れや巻き込み等による手直し工
事に要する作業行程ないし費用の削減が可能になる等の
優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る建築用断熱板の目地構
造の斜視図、第２図は本考案の第１変形例に係る目地構
造の断面図、第３図は本考案の第２変形例に係る目地構
造の断面図、第４図は本考案のその他の実施例に係る目
地構造の斜視図、第５，６図はそれぞれ従来の断熱板を
用いて断熱構造の壁を構築する際の断面図及び斜視図で
ある。 ３……断熱板、１０……テープ １１……継目部、１２……コンクリート １３……針部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】片側表面にコンクリートが打設される建築
   用断熱板の板相互の継目部に沿って上記片側表面側から
   テープを貼着するとともに、上記断熱板に差込可能な一
   対の針部をその両端に備えたコ字状の複数の針部材を、
   上記テープの上から所定間隔で上記断熱板に差込んだこ
   とを特徴とする建築用断熱板の目地構造。