JPH0625743A - 優れた低温靭性を有する耐サワー鋼板の製造方法 - Google Patents

優れた低温靭性を有する耐サワー鋼板の製造方法

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JPH0625743A
JPH0625743A JP18372292A JP18372292A JPH0625743A JP H0625743 A JPH0625743 A JP H0625743A JP 18372292 A JP18372292 A JP 18372292A JP 18372292 A JP18372292 A JP 18372292A JP H0625743 A JPH0625743 A JP H0625743A
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temperature
steel
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cooling
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Akihiko Kojima
明彦 児島
Yoshio Terada
好男 寺田
Hiroshi Tamehiro
博 為広
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 優れた低温靭性を有する耐サワー鋼板の製造
方法を提供する。 【構成】 重量%でC:0.12%以下、Si:0.6
%以下、Mn:0.6〜1.5%、P:0.015%以
下、Al:0.01〜0.10%、Ti:0.005〜
0.030%、Nb:0.01〜0.10%、Mo:
0.1〜0.5%、S:0.003%以下、O:0.0
05%以下、Ca:0.006%以下で残部がFe及び
不可避的不純物よりなる鋼を鋳造後熱間圧延し、表面温
度が900℃以上で圧延を中断し、5〜40℃/秒の冷
却速度で表面温度700℃以下まで冷却し、表面温度A
3 以下、板厚中心部950℃以下まで放置後、累積圧
下率が60%以上でかつ平均の1パスあたりの圧延真歪
が0.2以下となる圧下を加え、板厚平均温度がAr3
以上で圧延を終了し、直ちに5〜40℃/秒の冷却速度
で350〜550℃まで冷却し、その後空冷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた低温靭性を有する
耐サワー鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パイプラインの敷設が大規模に行
なわれているが、このようなパイプラインにおいて腐食
による材料の劣化が問題となっている。特に石油や天然
ガスのパイプライン輸送において、原油や天然ガスに硫
化水素(以後H2 Sと言う)や二酸化炭素(以後CO2
と言う)を含む場合が多く、これらのH2 S,CO2
水と共存し腐食作用により発生した原子状の水素が鋼中
に侵入して起る破壊が問題となっている。
【0003】この腐食作用により発生した原子状の水素
が鋼中に侵入して起る破壊には、板面に平行な割れであ
る水素誘起割れ(以後HICと言う)と板面に垂直な割
れである硫化物応力腐食割れ(以後SSCと言う)とが
ある。
【0004】HICの発生機構は、サワー環境下で起る
鋼材表面の鉄の腐食によって生じた原子状の水素が鋼中
に侵入し、鋼材中のMnSや酸化物系のクラスターのよ
うな層状の広がりをもつ介在物のまわりに集積して起る
ものである。
【0005】しかもかかる層状の介在物はしばしば偏析
帯の中に存在するために、介在物を起点に発生したHI
Cが偏析帯によって助長されることが知られており、一
般にHICの発生は中心偏析部に多い。
【0006】一方、SSCは特に高強度側で起る現象で
あり、更に、ラインパイプ等の製造、敷設に際しては溶
接施工が必須となるから、これらの用途に供される鋼の
溶接部の硬度は高くなり、パイプラインの操業化及び残
留応力と鋼中の原子状の水素によりSSCが発生するこ
とが知られている。
【0007】従来、耐サワー用鋼板の製造方法として、
例えば特開昭63−1369号公報のようにS含有量を
極端に下げると共にCa添加によりMnSの形態制御処
理を実施し、Mo,Ti添加した鋼片を加熱し、オース
テナイト粒の再結晶域の圧延に加えて、900℃以下の
未再結晶域で60〜80%の圧下を加え、Ar3 変態点
以上で圧延を終了した後、直ちに比較的速い冷却速度2
0超〜40℃/secで冷却し、350℃以上550℃未満
の温度で水冷停止し、その後放冷する技術がある。
【0008】この方法に従えば冷却後の組織は微細なベ
イナイトあるいは微細なフェライト−ベイナイトの混合
組織となり板厚方向の硬度は一定となり、また中心偏析
部のミクロ組織も改善され、耐HIC,耐SSC性は非
常に改善される。
【0009】一方、厚鋼板の低温靭性を向上させる加工
方法としては、特公昭49−7291号公報、特公昭5
7−21007号公報、特公昭59−14535号公報
等があり、オーステナイトの未再結晶温度域において制
御圧延を行ない、引き続いて加速冷却を行なうことが有
効とされてきた。
【0010】しかしこの方法では板厚が厚くなった場合
に板厚中心部まで十分に圧下の効果がゆきわたらず、圧
下による靭性の向上効果は飽和してしまう。
【0011】耐サワー用鋼板の場合、耐サワー性の観点
から圧延終了温度がAr3 以上に制限されるために低温
靭性に不利な高温圧延が強いられる。しかも、耐サワー
用厚手材においては高温圧延に加えて、圧下による靭性
の向上効果も飽和してしまうために、低温靭性に優れた
耐サワー用厚手鋼板を製造することは極めて困難であっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は鋼の成分に特
別な条件を設けると共に圧延途中冷却を特徴とする加熱
圧延条件及び圧延直後の冷却条件を制御することによ
り、湿潤な硫化水素環境(以後サワー環境と言う)、と
くに高濃度の硫化水素あるいはさらに二酸化炭素を含む
湿潤環境下における優れた耐水素誘起割れ性及び耐硫化
物応力腐食割れ性と優れた低温靭性を有する耐サワー鋼
板の製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、重量%
でC:0.12%以下、Si:0.6%以下、Mn:
0.6〜1.5%、P:0.015%以下、Al:0.
01〜0.10%、Ti:0.005〜0.030%、
Nb:0.01〜0.10%、Mo:0.1〜0.5%
を基本成分としてS,O,Caの含有量がS:0.00
3%以下、O:0.005%以下、Ca:0.006%
以下であって、かつ次式(1),(2) 0.7≦ICP≦1.5 ………………………………………(1) ICP=〔Ca〕/1.25〔S〕+0.625〔O〕 ……………(2) を満足する成分を含有し、残部がFe及び不可避的不純
物よりなる鋼を鋳造後冷片にすることなく、あるいは冷
片を1000〜1250℃の温度に加熱し、抽出後圧延
を開始して表面温度が900℃以上で圧延を一旦中断
し、引続き5〜40℃/秒の冷却速度で表面温度が70
0℃以下になるまで冷却した後、表面温度がAc3
下、板厚中心部温度が950℃以下になるまで放置し、
しかる後に累積圧下率が60%以上でかつ平均の1パス
あたりの圧延真歪が0.2以下となる圧下を加え、板厚
平均温度がAr3 以上で圧延を終了し、直ちに5〜40
℃/秒の冷却速度で板厚平均温度が350〜550℃と
なるまで冷却し、その後空冷することを特徴とする低温
靭性に優れた耐サワー鋼板の製造方法である。
【0014】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、Ar3 以上の高温圧延において厚手材の低温靭性の
向上を図る技術思想について述べる。
【0015】一般に高温からの冷却による降温過程で生
じる変態温度域と、低温からの加熱による昇温過程で生
じる変態温度域との間には100℃から200℃程度の
温度差があり、昇温過程で生じる変態温度域の方が高
い。
【0016】そのため本発明の場合のように図1に示す
ごとく厚鋼板を適切な温度域まで一度冷却した後に復熱
させる過程においては、板厚表層部は昇温中にフェライ
トからオーステナイトへ変態し、板厚中心部はいまだに
フェライト変態が開始せずに、オーステナイト一相の状
態である。
【0017】そのため復熱がある程度進行して両者の温
度差が小さくなった時点でも、板厚表層部ではフェライ
ト主体の金属組織を有し、板厚中心部ではオーステナイ
ト主体の金属組織を有するため、両者の間には大きな変
形抵抗差が生じ、板厚表層部の変形抵抗の方が極めて大
きい。
【0018】これは図2に示すように、フェライト主体
の金属組織とオーステナイト主体の金属組織とではその
応力−歪関係が異なり、圧延真歪で0.2以下の範囲で
はフェライト主体の金属組織の方が同じ歪を与えた場合
の変形抵抗が大きいためである。
【0019】本発明ではこの板厚方向の変形抵抗差を利
用した板厚中心部の強圧下により、高温圧延における厚
手材の低温靭性の向上を図る。
【0020】次に加熱、圧延、冷却条件について説明す
る。本発明においては鋳造後冷片にすることなく鋳片を
直接圧延してもよいし、また鋳造後冷片としたものを再
加熱して用いてもよい。加熱温度は1000〜1250
℃の範囲である。
【0021】これは母材の強度、低温靭性を確保するた
めに必要である。加熱温度が1000℃未満になると、
Nb,V,Ti等の固溶が不十分となり、良好な強度、
低温靭性が確保できない。しかし再加熱温度が1250
℃超になると、オーステナイト(γ)粒が粗大化、圧延
後の結晶粒も大きくなって低温靭性が劣化する。したが
って適切な再加熱温度は1000〜1250℃である。
【0022】加熱後、圧延を行ない表面温度が900℃
以上で圧延を一旦中断し、5〜40℃/秒の冷却速度で
表面温度が700℃以下まで冷却する必要がある。
【0023】粗圧延を必要とするのは、オーステナイト
再結晶温度域での圧延によって、組織の細粒化、均一化
を図るためである。
【0024】スラブの表面温度が900℃未満から冷却
すると、鋼板中心部の温度も低下するために、圧延終了
時に板厚平均温度をAr3 以上に確保するのが困難とな
る。冷却により到達する温度域を表面温度で700℃以
下とした理由は、700℃を超える温度では板厚中心部
の温度が復熱過程で未再結晶温度域まで下がらないため
である。
【0025】冷却速度が小さ過ぎると板厚表層部でαへ
変態する部分の割合が小さくなり過ぎて、板厚中心部を
強圧下できなくなるため、冷却速度の下限は5℃/秒と
した。冷却速度が大き過ぎると板厚平均温度が低下し過
ぎて、圧延終了時に板厚平均温度をAr3 以上に確保で
きなくなるため、上限を40℃/秒とした。
【0026】冷却後、表面温度がAc3 以下、板厚中心
部温度が950℃以下の温度域になるまで放置し、その
後累積圧下率で60%以上でかつ平均の1パスあたりの
圧延真歪が0.2以下となるような圧下を加えなければ
ならない。
【0027】冷却後の圧延開始時の表面温度がAc3
下である理由は、Ac3 を超えてしまうと板厚表層部の
αがγへ逆変態してしまい、本発明の基本思想であるα
とγの変形抵抗差の利用が不可能となるからである。
【0028】また冷却終了後板厚中心部の温度が950
℃以下の温度域に低下するまで放置する理由は、板厚中
心部の温度をオーステナイトの未再結晶温度域に低下さ
せた後圧下を加えるためである。
【0029】冷却後の圧延の累積圧下率を60%以上と
する理由は、60%未満では板厚表層部(α)と板厚中
心部(γ)の変形抵抗差による強圧下の効果は小さく、
板厚中心部へ導入される加工歪量が少ないためである。
【0030】また平均の1パスあたりの圧延真歪を0.
2以下に制限した理由は、圧延真歪が0.2超となると
板厚中心部と板厚表層部の変形抵抗の大きさが逆転して
しまうためであり、これについては図2に示したとおり
である。
【0031】冷却後の圧延は板厚平均温度がAr3 以上
で終了し、その後直ちに5〜40℃/秒の冷却速度で板
厚平均温度が350〜550℃となるまで加速冷却し、
その後空冷する。
【0032】板厚平均の圧延終了温度をAr3 以上とす
る理由は、Ar3 未満ではMnS系介在物が残存した
場合に延伸しやすい、Mn等の偏析により周囲よりも
Ar3 が低下している中心偏析部へ、その周囲のγ→α
変態に伴なうCの濃縮が起り中心偏析部に硬化組織が形
成される等により耐サワー性を劣化させるからである。
【0033】圧延終了後の加速冷却及び空冷は、耐サワ
ー性と良好な強度、靭性を確保するために行なう。加速
冷却において、5℃/秒以下の冷却速度あるいは550
℃を超える冷却停止温度ではγ→α変態に伴なう中心偏
析部へのC濃縮やパーライトの生成により硬化組織が形
成されるために耐サワー性が劣化する。
【0034】40℃/秒以上の冷却速度あるいは350
℃未満の冷却停止温度では焼きの入りが大きくマルテン
サイト等の硬化組織が形成されるために耐サワー性が劣
化する。加速冷却後の空冷では焼戻し処理と同等の効果
が得られ、良好な強度、靭性を確保できる。
【0035】次に各成分の限定理由について説明する。
Cの上限を0.12%としたのは母材及び溶接部の強度
確保のためであるが、0.12%を超えると制御冷却し
た場合島状マルテンサイトが生成し、延靭性に悪影響を
及ぼすばかりでなく、内質、溶接性及びHAZ靭性も劣
化させるため上限を0.12%とした。なお、Cは0.
03%未満であれば中心偏析部を非常に改善することか
ら0.03%未満が好ましい。
【0036】Siは脱酸上鋼に必然的に含まれる元素で
あるが、溶接性及びHAZ部靭性を劣化させるため上限
を0.6%とした(鋼の脱酸はAlだけでも可能であり
好ましくは0.2%以下が望ましい)。
【0037】Mnは強度、靭性を同時に向上せしめる極
めて重要な元素である。Mnが0.6%未満では低Cで
あるため強度が確保できず、靭性改善効果も少ないため
下限を0.6%とした。
【0038】しかしMnが多過ぎて焼入性が増加する
と、マルテンサイトが多量に生成し易くなると共に、中
心偏析が著しくなり、HIC伝播停止能力が低下する。
また、母材及びHAZの靭性を劣化させるため、その上
限を1.5%とした。
【0039】Pについては、中心偏析を助長する元素で
あるから上限を0.015%以下とした。
【0040】Alは脱酸上この種のキルド鋼に必然的に
含有される元素であるが、Al0.01%未満では脱酸
が不十分となり、母材靭性が劣化するため下限を0.0
1%とした。
【0041】一方Alが0.10%を超えるとクラスタ
ー状の酸化物系介在物が増加し、HICに悪影響を及ぼ
すと共に、HAZ靭性が劣化するため上限を0.10%
にした。
【0042】Tiは添加量が少ない範囲(Ti0.00
5〜0.030%)では微細なTiNを形成し、圧延組
織及びHAZの細粒化、つまり靭性向上に効果的であ
る。またTi,Caの相乗効果によりHICの発生原因
であるMnSを球状化する効果もある。
【0043】したがってTi添加量の下限は材質上の効
果が発揮される最少量であり、上限は微細なTiNが鋼
片中に通常の製造法で得られ、またTiCによる靭性劣
化が起きない条件から0.030%とした。
【0044】Nbは圧延組織の細粒化、焼入性の向上と
析出硬化のため含有させるもので強度、靭性を共に向上
させる重要な元素であり、0.01%以下では実質的に
効果がないため、下限を0.01%とした。
【0045】制御冷却材では0.10%を超えて添加し
ても材質上効果なく、また溶接性及びHAZ靭性に有害
であるため上限を0.10%に限定した。
【0046】Moについては低pH環境においてHIC
に有効な元素であり0.1%以下ではこの効果は小さい
ため下限を0.1%とした。また0.5%超ではこの効
果が薄く、かつコストアップになるため上限を0.5%
とした。
【0047】本発明鋼において不純物であるSを0.0
03%以下、Oを0.005%以下、Caを0.006
%以下に限定し、更にこの3成分の関係が0.7≦〔C
a〕/1.25〔S〕+0.625〔O〕≦1.5の条
件を満足するように規定した。
【0048】この主なる理由は、HICの発生主因であ
るMnSの球状化と主に低pH域でHICの起点となる
クラスター状の酸化物系介在物の減少にある。
【0049】この対策として鋼中のS量、即ち、MnS
の絶対量を減少させ、更にCa添加によりMnSを形態
制御すると共に、O量即ちAl2 3 の絶対量を減少さ
せ、Ca添加によりクラスター状の酸化物であるAl2
3 を還元させ、球状のCaO・Al2 3 に転化させ
る。
【0050】このための条件を鋭意検討した結果、本発
明者らは、Sを0.003%以下と少なくした上で、
〔Ca〕/1.25〔S〕+0.625〔O〕を0.7
以上にすることにより、伸長介在物MnSを極端に減少
させることが可能である。同様に〔Ca〕/1.25
〔S〕+0.625〔O〕を1.5以下に抑えることに
よりクラスター状の酸化物系介在物の発生量を最少に抑
えることが可能であり、耐HICに顕著な効果が認めら
れることを見出した。
【0051】このためSの上限を0.003%とし、
〔Ca〕/1.25〔S〕+0.625〔O〕の上限を
1.5、下限を0.7とした。またSは低い程改善効果
が大きく、0.001%以下にすることにより飛躍的に
向上する。
【0052】なお、圧延後の鋼板を靭性改善、脱水素等
の目的でAc1 以下の温度に再加熱(焼戻し処理)する
ことは何ら本発明の特徴を損なうものではない。
【0053】
【実施例】転炉−連鋳工程で製造した表1の化学成分の
鋼を用い、表2のごとく加熱、圧延、冷却の条件を変え
て、板厚25〜40mmの鋼板を製造した。表3には機械
的性質、及び耐HIC特性、耐SSC特性を示す。
【0054】HIC試験は鋼板より表裏面1mm切削した
厚さで、幅20mm、長さ100mmの試験片を用い、また
SSC試験は厚さ3mm、幅10mm、長さ115mmの試験
片を用いて行なった。
【0055】試験条件としてはHIC試験は外部応力を
負荷せずに行ない、SSC試験は4点曲げ治具により降
伏応力に相当するたわみを試験片に負荷した。
【0056】浸漬条件としては25℃のH2 S飽和で
0.5%CH3 COOH−5%NaCl水溶液(pH約
3)中に、HIC試験片は4日間、SSC試験片は21
日間浸漬した。浸漬結果を表2に示す。DWTTは板厚
を19.1mmに減厚して試験を行なった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】比較鋼中、鋼11は圧延途中に冷却を行な
わない従来方法であり、本発明鋼に比べて低温靭性が劣
る。鋼12は加熱温度が高いために、低温靭性が劣化す
る。鋼13は逆に加熱温度が低いために、強度、低温靭
性が劣化する。鋼14は仕上圧延における累積圧下率が
低いために低温靭性が劣化する。
【0062】鋼15は圧延途中冷却の冷却開始表面温度
が低いために、圧延終了温度がAr3 以下となり、耐サ
ワー特性が劣化する。鋼16は圧延途中冷却の冷却速度
が小さいために、仕上圧延での変形抵抗差による強圧下
効果が小さく、低温靭性が劣化する。鋼17は逆に冷却
速度が大きいために圧延終了温度がAr3 以下となり、
耐サワー特性が劣化する。
【0063】鋼18は圧延途中冷却の冷却停止表面温度
が高いために仕上圧延開始時の板厚中心部温度がγ未再
結晶温度域まで下がらず、鋼19は仕上圧延開始表面温
度が高いために強圧下効果が小さく、鋼20は仕上圧延
での各パス平均圧延真歪が大きいために、強圧下効果が
効かず、低温靭性が劣化する。
【0064】鋼21は圧延終了後の加速冷却の冷却速度
が小さいために、鋼22は逆に冷却速度が大きいため
に、鋼23は加速冷却停止温度が高いために、鋼24は
逆に冷却停止温度が低いために耐サワー特性が劣化す
る。
【0065】鋼25はMnが高いために、鋼26はPが
高いために耐サワー特性が劣化する。鋼27はNbが低
いために低温靭性が劣化する。鋼28はICPが高いた
めに、鋼29は逆にICPが低いために耐サワー特性が
劣化する。
【0066】
【発明の効果】本発明により、低温靭性に優れた耐サワ
ー鋼板を大量かつ安価に製造することが可能になった。
その結果、耐サワー鋼管を主とするサワー環境用鉄鋼構
造物の安全性を大きく向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板製造プロセスにおける鋼板表面と板厚中心
部の温度履歴模式図表である。
【図2】αとγの組織の差による変形抵抗差を示す図表
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.12%以下、 Si:0.6%以下、 Mn:0.6〜1.5%、 P :0.015%以下、 Al:0.01〜0.10%、 Ti:0.005〜0.030%、 Nb:0.01〜0.10%、 Mo:0.1〜0.5% を基本成分としてS,O,Caの含有量が S :0.003%以下、 O :0.005%以下、 Ca:0.006%以下 であって、かつ次式(1),(2) 0.7≦ICP≦1.5 ………………………………………(1) ICP=〔Ca〕/1.25〔S〕+0.625〔O〕 ……………(2) を満足する成分を含有し、 残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼を鋳造後冷片
    にすることなく、あるいは冷片を1000〜1250℃
    の温度に加熱し、抽出後圧延を開始して表面温度が90
    0℃以上で圧延を一旦中断し、引続き5〜40℃/秒の
    冷却速度で表面温度が700℃以下になるまで冷却した
    後、表面温度がAc3 以下、板厚中心部温度が950℃
    以下になるまで放置し、しかる後に累積圧下率が60%
    以上でかつ平均の1パスあたりの圧延真歪が0.2以下
    となる圧下を加え、板厚平均温度がAr3 以上で圧延を
    終了し、直ちに5〜40℃/秒の冷却速度で板厚平均温
    度が350〜550℃となるまで冷却し、その後空冷す
    ることを特徴とする低温靭性に優れた耐サワー鋼板の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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