JPH06256104A - 抗菌性持続型消毒剤 - Google Patents

抗菌性持続型消毒剤

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JPH06256104A
JPH06256104A JP5042703A JP4270393A JPH06256104A JP H06256104 A JPH06256104 A JP H06256104A JP 5042703 A JP5042703 A JP 5042703A JP 4270393 A JP4270393 A JP 4270393A JP H06256104 A JPH06256104 A JP H06256104A
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JP
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limonene
antibacterial
disinfectant
effect
sterilization
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JP5042703A
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Yoshifumi Matsuda
善文 松田
Kinji Nakai
欣司 中井
Hiroshi Ebara
博 江原
Kazuhide Momoi
一英 桃井
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HONSYU KOSAN KK
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HONSYU KOSAN KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被消毒部の殺菌消毒はもとより、殺菌消毒後
の被消毒部における抗菌性を有する消毒剤であって、特
にMRSAに対しても抗菌性が持続し得る抗菌性持続型
消毒剤の提供。 【構成】 柑橘皮油の主成分たるD−リモネンが大腸
菌,黄色ブドー球菌,又はメチシリン耐性黄色ブドー球
菌(MRSA)等の細菌類に対しその発育を阻止する特
性、即ち抗菌性の機能があることを確認した。特に、M
RSAに対しても抗菌性が認められた。即ち、医療用殺
菌剤とリモネンとを含んでなる抗菌性持続型消毒剤によ
り、被消毒部の細菌類に対する殺菌性と抗菌性とが認め
られる。尚、D−リモネンの含有量が少なくとも全体の
0.8wt%以上の場合には、殺菌後の抗菌性が持続さ
れる。より好ましくは全体の1.0wt%以上である場
合には、特にMRSAに対しても有効な抗菌効果を奏す
ることを解明した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば細菌の発育を阻
止する特性いわゆる抗菌性を有するリモネンの特性を生
かした抗菌性持続型消毒剤に係り、より詳しくは抗菌性
が長期間持続し得る抗菌性持続型消毒剤に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、モダシン,アジセフ,メイセリン
等の第3世代セファム系の抗生物質を多量に投与した場
合、その抗生物質に対し耐性を有するようになった細菌
の出現が問題化している。例えば抵抗力が低下している
人体に対し敗血症等を誘発し、最悪の場合致命的な影響
を及ぼすメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methic
illin−resistant Staphyloc
occus aureus:以下、MRSAと略称す
る)による病院での院内感染が大きな社会問題になって
いる。このMRSAによる症状を抑制するために、抗生
物質を更に投与したとしても有効でないのは明らかであ
る。そこで、このMRSAに対する応急措置として、病
室内にクレゾール等を散布したり、或いは室内備品例え
ばドアのノブ,ベッドの手すり等を消毒用アルコールに
て拭いたりするといった殺菌処理が施されている。
【0003】ところで、樹木から発散される天然物たる
テルペン類は、悪臭を隠ぺいするマスキング性や種々の
生物学的特性を有することが知られている。これらのテ
ルペン類は、概して(C1016n の構造式(詳しくは
イソプレンC5 8 を基本単位とする)で表される。上
記テルペン類のうち、モノテルペンの一種であるリモネ
ン(1−Methyl−4−(1−methyleth
enyl)cyclohexene;C10 16)は光学
活性を有する天然物であって、沸点(B.P763 )17
5〜176.5℃,比重(d4 20.85)0.8402,屈
折率(nD )1.4744,引火点45℃等の物性、及
び水に不溶でアルコールに微溶等の溶解性を有してい
る。このリモネンのうち、D体はオレンジ皮油(約90
wt%含有),ミカン皮油(約90wt%含有),又は
レモン皮油(約87wt%含有)等のいわゆる柑橘皮油
に含まれており、米国のFDAテスト合格物質であって
国内でも食品添加物としての使用が認められている。な
お、上記テルペン類の生物学的特性としては、例えば殺
菌性,殺虫性,去痰性,鎮静性,利尿性,芳香性或いは
除虫性(この除虫性は所謂フィトンチッド性ともいう)
等が挙げられる。これらのうち、殺菌性には、注目すべ
きものがある。例えば、神山等は、D−リモネンを約8
7wt%含むとされるレモン皮油がフェノールと比べて
5.2倍の殺菌力を有すると報告している(出典;書籍
名“ブルーバックス「植物の不思議な力=フィトンチッ
ド」”,昭和55年4月20日発行,講談社出版)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように特有の殺
菌性を有するにもかかわらず、従来よりリモネンは柑橘
系の香料の主用途で用いられている。例えば、米国では
一般には1940年代以降より、石鹸、洗浄剤、クリー
ムローション又は香水等の各種製品に0.005〜1.
0wt%の濃度範囲で香料として使用されてきた。これ
は、このような天然物を使用しなくても、病院等で用い
られる殺菌剤としては、アルコール,フェノール,クレ
ゾール,ホルマリン又はヨード系等の工業製品を用いた
方が簡便であること、即ち天然物の場合原料の入手や量
確保が困難であると考えられていたこと、或いは組成中
のリモネン濃度が極めて高い場合は柑橘臭がきついこと
等に起因したものである。ところで、上記工業製品の殺
菌剤を用いる場合、例えばアルコールを用いて被殺菌部
を払拭すると、極めて強力に殺菌することができる。し
かしながら、アルコールが被殺菌部から蒸散したのちは
殺菌力がなくなり、この被殺菌部に細菌が再付着すると
細菌の増殖を防ぐことができないため、いわゆる抗菌性
がほとんど持続しないという欠点があった。一方、D−
リモネンは、ミカン皮やレモン皮の柑橘皮油中に多量に
含まれており、ミカンジュースやレモンジュースの製造
時に排出される柑橘皮を圧搾し蒸留することにより、比
較的大量且つ容易に得ることができる。
【0005】そこで、本発明者等は、従来技術のかかる
問題点を解決するため種々検討を重ねた結果、被消毒部
の殺菌消毒はもとより、殺菌消毒後の被消毒部における
抗菌性が長く持続する消毒剤に関して鋭意研究を行い、
細菌類、特にMRSAに対しても抗菌性が持続し得る抗
菌性持続型消毒剤を提供するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は実験を通じ
て、柑橘皮油の主成分たるD−リモネンが大腸菌,黄色
ブドー球菌,又はメチシリン耐性黄色ブドー球菌(MR
SA)等の細菌類に対しその発育を阻止する特性、即ち
抗菌性の機能があることを確認した。特に、MRSAに
対しても抗菌性が認められ、このMRSAによる社会問
題を解決し得る発明を完成した。すなわち、本発明者等
は、医療用殺菌剤とリモネンとを含んでなる抗菌性持続
型消毒剤が、被消毒部の細菌に対する殺菌性と抗菌性と
を有し得ることを解明したのである。また、抗菌性持続
型消毒剤中のリモネンの含有量が少なくとも全体の0.
8wt%以上である場合には、殺菌後に主としてリモネ
ンによって抗菌性を持続させることができ、より好まし
くは全体の1.0wt%以上である場合には、特にMR
SAに対しても有効な抗菌効果を奏することを解明し
た。一方、上記リモネンの含有量が多いほど、リモネン
自体による殺菌効果を得ることができる。しかしなが
ら、リモネンの含有量が多過ぎると、医療用殺菌剤に対
するリモネンの分散性が悪く実用的でないことや当該消
毒剤からの柑橘臭がきつく却って不快感を与えることに
なるので、リモネンの実用的な含有量としては医療用殺
菌剤とリモネンとが比較的容易に分散され得るとともに
心地よい柑橘香を発する製品を得ることのできる量まで
に留めておくのが好ましい。更に、上記医療用殺菌剤が
常温下又は体温下にて蒸発するものである場合、この医
療用殺菌剤は被消毒部から経時的に蒸散するが、この蒸
散によってリモネンが濃縮される。
【0007】
【作用】本発明にいう医療用殺菌剤としては、殺菌作用
を有する例えばエチルアルコール,iso−プロピルア
ルコール,フェノール,クレゾール,ホルマリン,ヨー
ド系等及びそれらの水溶液を挙げることができる。ま
た、本発明にいう医療用殺菌剤としてより好ましくは、
常温下又は体温下にて蒸発しこれによってリモネンが経
時的に濃縮するものがよい。上記のようなより好ましい
医療用殺菌剤としては、例えば汎用のエチルアルコール
70wt%水溶液,iso−プロピルアルコール(沸点
(常圧下)=97℃)又はその水溶液(日本薬局方)等
が挙げられる。本発明にいうリモネンとしては、光学活
性の面から分類されるD体,L体,又はDL体のいずれ
を用いてもよいが、より好ましくはジュース工場から排
出されるミカン皮等から比較的大量且つ容易に入手でき
るD−リモネンを用いるのがよい。上記リモネンは、い
わゆる非共役型のテルペン系炭化水素であって、水やア
ルコール等に対する親和性が比較的小さくこれらの混合
物は均一に分散しにくいが、密封容器内に収容した上記
混合物を使用直前に激しく振盪してゾル状に分散させた
状態で使用すれば足りる。また、これらの混合物に対し
適当量の界面活性剤を添加すれば、均一に可溶化したも
のを用いることもできる。従って、本発明による抗菌性
持続型消毒剤を被消毒部に対して塗抹したり或いは吹き
付ければ、先ず医療用殺菌剤の作用により被消毒部が殺
菌消毒される。その後、当該被消毒部に細菌が新たに付
着しても、上記医療用殺菌剤により殺菌されるか又はリ
モネンの作用によりこの細菌の発育が阻止される。ま
た、医療用殺菌剤が常温下又は体温下にて蒸発するもの
である場合、この医療用殺菌剤が被消毒部から経時的に
蒸散したとしても、この蒸散によってリモネンが濃縮さ
れるので、最終的には細菌の発育を阻止し且つ殺菌作用
をも有するリモネン液膜が被消毒部に形成される。
【0008】本発明者等は、本発明の抗菌性持続型消毒
剤の効能と社会事情との関連についても多くの研究を行
った結果、本発明の抗菌性持続型消毒剤を広範な分野で
応用できることを見出した。例えば、皮膚の消毒用、
器具,用具,繊維,ガーゼ付きバンソウコウ,衣服等
の消毒用、消毒剤含浸手拭き用ナフキン、病院,養
護施設等の院内設備の消毒用(院内感染の阻止用)、
理容,美容施設での消毒用、公共施設での消毒用、
公共性遊戯場(例えば、パチンコ,ゲーム場等)の消毒
用として活用することができる。即ち、本発明の抗菌性
持続型消毒剤は、これを例えば紙,布或いはモップ等の
被含浸物に含浸させて被消毒部を擦拭すれば、医療用殺
菌剤により被消毒部を確実に殺菌でき、殺菌後は上記被
消毒部に新たに付着した細菌の発育・増殖をも阻止する
こともできるので、社会問題と化している例えばMRS
Aによる院内感染の蔓延防止に極めて有効である。
【0009】
【実施例】本発明の技術内容を明確にするため、以下に
示す代表的な実施例により本発明を具体的に説明する。
尚、以下の実施例は本発明を具体化した単なる例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲を限定するものでないのは無論
である。
【0010】実施例1.本実施例に係る抗菌性持続型消
毒剤は、これに含まれる医療用殺菌剤の強力な殺菌作用
を元来より有するため、これを試験用の検体としてその
まま用いると、細菌類は培養初期に悉く死滅してしま
う。そこで、殺菌後の医療用殺菌剤が被消毒部から蒸散
してリモネンが残存した状況を想定し、リモネンのみを
上記検体として用いて細菌類を培養し、その発育を観察
した。 (1)「試験概要」 リモネンとしては、D−リモネンを用い、このD−リモ
ネンを任意濃度に希釈して添加した寒天平板培地に接種
用菌液を塗抹して培養した後、菌の発育を阻止し得た最
低の任意濃度をもって最小発育阻止濃度とした。測定に
供したD−リモネンの任意濃度としては、滅菌精製水で
希釈した0.01wt%,0.1wt%及び1.0wt
%の3種類の濃度とした。 (2)「試験方法」 1)試験菌株 試験菌株としては、例えば大腸菌(Escherich
is coli IFO 12734),黄色ブドウ球
菌(Staphylococcus aureus I
FO 12732),MRSA(Methicilli
n−resistant Staphylococcu
s aureus)を用いた。 2)増菌用培地及び希釈用培地 増菌用培地及び希釈用培地としては、例えばミューラー
・ヒントン・ブロス(Mueller Hinton
Broth(Difco))を用いた。 3)感受性測定用培地 感受性測定用培地としては、例えばミューラー・ヒント
ン・ミディアム(Mueller Hinton Me
dium(Difco))を用いた。 4)感受性測定用平板の調製 ジメチルスルホキシドを溶媒として用い、検体としてD
−リモネン単体の20%(wt(溶質)/vol(溶
媒))溶液を調整した後、さらにこの溶液をもとに滅菌
精製水で2倍希釈系列液を調製した。均一に溶解させた
後、約50℃に保った上記感受性測定用培地に対し各希
釈液をそれぞれ1/9量加えて充分に混合した後、複数
のシャーレに分注し、それぞれを固化させて感受性測定
用平板とした。尚、試験対照サンプルとして検体無添加
の平板も調製した。 5)接種用菌液の調製 接種用菌液としては、各試験菌株を増菌用培地で35℃
で18〜20時間培養した後、希釈用培地を用いて菌数
が約106 /mlとなるように調製した。 6)培養 上記接種用菌液を付着させたニクロム線ループ(ループ
内径約1mm)を用いて、この接種用菌液を感受性測定
用平板に2cm程度画線塗抹し、35℃で18〜20時
間培養した。 7)判定 上記培養後に、各試験菌株の発育を観察し、発育が阻止
された最低の任意濃度をもって各試験菌株に対する最小
発育阻止濃度とした。 8)判定結果 その判定結果を以下の表1に示す。表1から明らかなよ
うに、D−リモネン濃度が、0.01wt%及び0.1
wt%の検体を用いた場合はいずれの菌についても、そ
の発育を阻止できず、抗菌性が認められなかった。しか
しながら、1.0wt%の場合はいずれの菌について
も、その発育を阻止することができ、抗菌性が認められ
た。即ち、1.0wt%のD−リモネン濃度を最小発育
阻止濃度とした。
【0011】
【表1】
【0012】上記したように、添加量1.0wt%で最
小発育阻止濃度となるD−リモネンの特性を生かすため
に、本実施例の「抗菌性持続型消毒剤」を次に示す組成
にて調製した。1〜10wt%のD−リモネン又はこの
D−リモネン1〜10wt%に相当する当量の柑橘皮油
と、0.2wt%の非イオン界面活性剤と、汎用の消毒
用エチルアルコール(約70wt%の水溶液を用い、全
体を100wt%とした場合の残分)とを混合し、かき
混ぜて均一に分散溶解させることにより、殺菌性を備え
た抗菌性持続型消毒剤を得た。そこで、上記D−リモネ
ンを含む抗菌性持続型消毒剤を用いて、被消毒部たる皮
膚や器具を拭いたり又はガーゼ等の繊維に含ませると、
抗菌性持続型消毒剤中の消毒用エチルアルコールにより
それらの殺菌が行われる。そして、殺菌後にそのまま風
乾させると、消毒用エチルアルコールが被消毒部から蒸
散し、D−リモネンが経時的に濃縮される。これによっ
て、皮膚面,器具類や衣類繊維の表面に、抗菌性はもと
より殺菌性をも有するD−リモネンの液膜が形成され
る。このように、アルコール消毒された被消毒部のD−
リモネンの液膜は、濃縮により大腸菌、黄色ブドー球菌
・MRSA等に対する殺菌・抗菌性が徐々に増大する。
また、D−リモネンは常温では蒸発しにくく被消毒部に
長期的に残留するため、細菌が付着してもその細菌の発
育・増殖を長期間阻止することができる。更に、リモネ
ンは人の皮膚組織に対して保湿作用を奏するため、例え
ばこの抗菌性持続型消毒剤で手指を払拭して消毒用エチ
ルアルコールが蒸散した後は、リモネンの作用により手
指がスベスベするといった快適感を与えることができ
る。
【0013】参考例1.上記被消毒部の殺菌・抗菌効果
に加えて、当該被消毒部の汚れ落とし効果をも考慮した
場合の適用例を想定し、次に示す組成のD−リモネン含
有乳液を調製し、上記実施例1と同様に各試験菌種に対
する抗菌性を観察した。 「D−リモネン含有乳液の組成」 ・柑橘皮油(D−リモネン90wt%含有) 40.5wt% ・乳化剤A(ソルビタン脂肪酸エステル) 7.1wt% ・乳化剤B(ポリオキシエチレンソルビタン 脂肪酸エステル) 7.4wt% ・乳化剤C(ポリオキシエチレンノニル フェニルエステル) 4.1wt% ・基材(精製水=イオン交換水) 40.8wt% ・pH調製剤(重炭酸ソーダ) 0.1wt% 組成合計 100.0wt% 「D−リモネン含有乳液の調製」精製水408gに、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル74g,ソ
ルビタン脂肪酸エステル71g,ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエステル41gを加え、これらをかき混ぜ
て均一に溶解させる。次に、柑橘皮油(D−リモネン9
0wt%含有)405gを加え、粘ちょうで均一なエマ
ルジョン液になるまでかき混ぜる。このエマルジョン液
のpH値を重炭酸ソーダを用いて6〜7に調整し、上記
D−リモネン含有乳液(クレンジング乳液)を調製し
た。
【0014】(1)「試験概要」 検体としてD−リモネン単体の代わりに上記D−リモネ
ン含有乳液を用いた以外は、このD−リモネン含有乳液
を任意濃度に希釈して添加した寒天平板培地に接種用菌
液を塗抹して培養した後、菌の発育を阻止し得た最低の
任意濃度をもって最小発育阻止濃度とするのは、実施例
1と同様である。測定に供したD−リモネン含有乳液の
任意濃度として、大腸菌及び黄色ブドウ球菌について
は、滅菌精製水で希釈した0.02wt%,0.2wt
%及び2.0wt%の3種類の濃度とし、MRSAにつ
いては、滅菌精製水で希釈した0.04wt%,0.4
wt%及び4.0wt%の3種類の濃度とした。 (2)「試験方法」 尚、1)使用した試験菌株、2)使用した増菌用培地及
び希釈用培地、3)使用した感受性測定用培地は、実施
例1によるD−リモネン単体を検体として用いた場合と
同じであって、次に示すように、4)感受性測定用平板
の調製仕様が異なる。 4)感受性測定用平板の調製 滅菌精製水を溶媒として用いてD−リモネン含有乳液
(検体)の40%(wt(溶質)/vol(溶媒))溶
液を調製した後、この溶液をもとにさらに2倍希釈系列
液を調製した。これらを均一に溶解させた後、約50℃
に保った上記感受性測定用培地に対し各希釈液をそれぞ
れ1/9量加えて充分に混合した後、複数のシャーレに
分注し、それぞれを固化させて感受性測定用平板とし
た。同様に、試験対照サンプルとして検体無添加の平板
も調製した。また、5)接種用菌液の調製仕様、6)培
養仕様、7)判定手法も、実施例1によるD−リモネン
単体を検体として用いた場合と同じである。 8)判定結果 その判定結果を以下の表2に示す。表2からも明らかな
ように、大腸菌及び黄色ブドウ球菌については、D−リ
モネン含有乳液の濃度が、0.02wt%(D−リモネ
ン単体換算濃度=0.008wt%)及び0.2wt%
(D−リモネン単体換算濃度=0.08wt%)の場合
はいずれの菌についても、その発育を阻止できず、抗菌
性が認められなかった。しかしながら、2.0wt%
(D−リモネン単体換算濃度=0.8wt%)の場合
は、その発育を阻止することができ、抗菌性が認められ
た。即ち、大腸菌及び黄色ブドウ球菌については、2.
0wt%のD−リモネン含有乳液濃度(D−リモネン単
体換算濃度=0.8wt%)を最小発育阻止濃度とし
た。
【0015】一方、MRSAについては、D−リモネン
含有乳液の濃度が、0.04wt%(D−リモネン単体
換算濃度=0.016wt%)及び0.4wt%(D−
リモネン単体換算濃度=0.16wt%)の場合は、そ
の発育を阻止できず、抗菌性が認められなかった。しか
し、4.0wt%(D−リモネン単体換算濃度=1.6
wt%)の場合は、その発育を阻止することができ、抗
菌性が認められた。即ち、MRSAについては、4.0
wt%のD−リモネン含有乳液濃度(D−リモネン単体
換算濃度=1.6wt%)を最小発育阻止濃度とした。
【0016】
【表2】
【0017】尚、本参考例のD−リモネン含有乳液を被
消毒部にスプレーで吹きつけた後、布で擦拭するように
してもよい。即ち、D−リモネン含有乳液は、水系ミセ
ル内での汚染物への転移性並びに溶解性が良好であるの
で汚れ落としの効果が比較的良く、被消毒部の殺菌と殺
菌後の抗菌性を有するのは勿論のこと、衛生面と清掃面
の両面で効果を発揮する。
【0018】また、上記参考例では、D−リモネン含有
乳液中の柑橘皮油濃度を40.5wt%とした例を示し
たが、表2の試験結果からも明らかなように、上記柑橘
皮油の添加量を例えば4.0wt%程度にした場合で
も、MRSAに対しても抗菌性のある乳液を得ることが
できる。このように柑橘皮油が比較的低濃度である場合
は、基材(精製水)に対する相溶性の面で少ない添加量
の乳化剤で済むこと、D−リモネン自体の可燃性による
危険度を小さくできること、或いは製品洗剤から発せら
れるD−リモネン特有の臭気がきつくないこと等の利点
をも有することとなる。
【0019】以上述べたように、上記実施例の抗菌性持
続型消毒剤及び上記参考例のD−リモネン含有乳液は、
リモネンを香料の主用途として用いるのではなく、比較
的容易且つ多量に入手し得る柑橘皮油(D−リモネンを
多量含有)が備えたフィトンチッド性(植物が本来有す
る虫や菌を滅殺したり寄せつけたりしない特性)の優れ
た殺菌性及び抗菌性と、人体に対する安全性とを活用し
たものである。
【0020】
【発明の効果】本発明は抗菌性持続型消毒剤に係るもの
であって、被消毒部の殺菌性及び抗菌性を備えているの
はもとより、殺菌消毒後の被消毒部における抗菌性を長
期間持続し得る消毒剤に関するものである。従って、本
発明の抗菌性持続型消毒剤の実現によって、家庭内から
病院内に至るまで広範囲に亘り細菌類に対する殺菌・抗
菌効果を奏することができ、特に近年社会問題化してい
るMRSAに対する殺菌・抗菌効果は絶大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桃井 一英 和歌山県和歌山市小雑賀2丁目5番115号 本州興産株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 医療用殺菌剤とリモネンとを含んでなる
    抗菌性持続型消毒剤。
  2. 【請求項2】 上記リモネンが少なくとも全体の0.8
    wt%以上含まれてなる請求項1に記載の抗菌性持続型
    消毒剤。
  3. 【請求項3】 上記医療用殺菌剤が常温下又は体温下で
    蒸発するものである請求項1又は請求項2のいずれかに
    記載の抗菌性持続型消毒剤。
JP5042703A 1993-03-03 1993-03-03 抗菌性持続型消毒剤 Pending JPH06256104A (ja)

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