JPH0625415Y2 - 車両のフロアパン構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、車両である自動車におけるフロアパンに係
り、特にシートもしくはシートベルトを取付けた部位に
対する補強構造の改良に関する。

（従来の技術） 第１図に示すように、車両である自動車におけるフロア
パンが構成される。すなわちこのフロアパンは、フロア
面１と、このフロア面１の略中央部に長手方向に沿って
上方に突設する突堤部２とからなる、この突堤部２は、
図示しないプロペラシャフトや排気管などを収容すると
ともにフロアパン全体の剛性の増大をなす。また、フロ
ア面１と突堤部２との一部に亘って取付座３が一体に設
けられる。この取付座３の上面には取付孔４が設けら
れ、図示しないシートあるいはシートベルト端部を取付
けるようになっている。

ところで上記フロアパン自体は、車体軽量化等の関係か
ら薄肉金属板からなるが、ここに上記突堤部２を設けた
り、強大な負荷が集中してかかる取付座３を設ける必要
があり、これら突堤部２および取付座３には何らかの補
強が必要である。

従来は第６図に示すように、突堤部２から取付座３およ
びフロア面１にかけて、これらの裏面側にバックボーン
リンホース５を密着させ、かつスポット溶接などの手段
で固着した補強をなす。そしてバックボーンリンホース
５の取付座３密着部分には、その裏面側に固定ナット６
を溶接などの手段で固着し、かつ上記取付孔４に連通す
る透孔７を設ける。実際にシートあるいはシートベルト
を取付けるには、図示しない固定ボルトを取付孔４と透
孔７を介して固定ナットに螺挿し、かつ締結してシート
あるいはシートベルトの取付固定をなす。

しかるに、この種のバックボーンリンホース５では、上
記突堤部２の形状に左右されるところとなり、その取付
強度がフロアパンの変形モードの影響を受け易い。その
結果、剛性低下の不具合があった。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は、上述したような突堤部の形状に左右される取
付強度への影響と剛性の低下を防止し、取付座部分はも
とよりフロア全体の剛性向上を図れる車両のフロアパン
構造を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） そこで、上記問題点を解決するために本考案は、フロア
パンのフロア面中央部に長手方向に沿ってプロペラシャ
フト等を収容する突堤部を一体に折曲形成してなるもの
において、上記突堤部側面およびフロア面と略平行にな
るよう取付座を一体に突設してその上面にシート等を支
持取付し、上記フロアパンの裏面からバックボーンリン
ホースを上記突堤部に重ね合せてこの補強をなすととも
に上記取付座とはボックス断面を形成するよう折曲し、
このバックボーンリンホースの上記取付座と相対向する
部位に挿嵌用口を開口し、取付座リンホースの補強支持
部を上記バックボーンリンホースの裏面側から上記挿嵌
用口に挿嵌突出して上記取付座の裏面側に密着させると
ともに、この補強支持部の周端部に沿って一体に設けた
鍔部を上記挿嵌用口の周端部裏面側に密着させたことを
特徴とする車両のフロアパン構造である。

（作用） 本考案はこのようにして構成したので、フロアパンの取
付座とバックボーンリンホースとはボックス断面を形成
し、かつ取付座の裏面には取付座用リンホースの補強支
持部が重なって取付座を補強し、かつここに取付けたシ
ート等の部品から引張り負荷がかかっても取付座用リン
ホースの鍔部がバックボーンリンホースに設けた挿嵌用
口の周端部に掛合して単位面積当りの負荷が軽減する。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第２図ないし第５図にもとず
いて説明する。ただし、上記フロアパンは中央部の長手
方向に沿って突堤部２を有するフロア面１であり、その
所定位置にシート等を取付支持するための取付座３を有
することは、従来と同一である。上記取付座３を除く突
堤部２およびフロア面１にバックボーンリンホース１０
が重なり合い、かつ固着される。ただし、上記取付座３
とは全く重なり合うことはなく、互いにボックス断面を
形成する。さらにまた、取付座３と対向する部位には矩
形状の挿嵌用口１１を予め設けておく。１２は取付座用
リンホースであり、これはその周端部に沿って形成され
上記突堤部２の側面と同一の傾斜を有する鍔部１３と、
この鍔部１３に囲繞される補強支持部１４とから構成さ
れる。なお説明すれば、補強支持部１４は上記バックボ
ーンリンホース１０に設けられる挿嵌用口１１に挿嵌可
能であり、その上面は略水平に突出し、かつその端縁か
ら上記取付座３の傾斜と同一の傾斜をもって折曲する。
この傾斜面は図示するように上下方向の一部であっても
よく、あるいは上下方向の全てであってもよい。その両
側面は閉塞されるところから、補強支持部１４は裏面が
開口する変形したボックス状になる。上面には透孔１５
が穿設され、かつその裏面には固定ナット１６が溶接な
どの手段で固着される。

しかして、バックボーンリンホース１０の裏面側から挿
嵌用口１１に取付座用リンホース１２の補強支持部１４
を挿嵌する。補強支持部１４は挿嵌用口１１を閉塞する
とともに表面側に突出し、かつ周端部である鍔部１３は
挿嵌用口１１の周端部裏面に密着する。この鍔部１３と
バックボーンリンホース１０とはスット溶接などの手段
で固着し、取付座用リンホース１２をバックボーンリン
ホース１０と一体的に形成する。そして、このバックボ
ーンリンホース１０をフロア面１と突堤部２の裏面側に
重ね合せ、スポット溶接などの手段で互いに固着する。
ここで、上記取付座３の裏面側にはバックボーンリンホ
ース１０から突出する取付座用リンホース１２の補強支
持部１４を密着させる。実際には、取付座３の上面と側
面一部の裏面に補強支持部１４が重なり合い、これら部
分をスポット溶接などの手段で固着するのは自由であ
る。この状態で補強支持部１４の上面に設けられる透孔
１５は、取付座３の取付孔４と連通する。図示しないシ
ートあるいはシートベルトを取付けるため、図示しない
固定ボルトを取付孔４を介して固定ナット１６に螺挿し
て、必要な組立をなす。

このようにして構成することにより、フロアパンに対す
る剛性向上は勿論のこと、取付座３に対する剛性も向上
する。上記取付座用リンホース１２は、取付座３とバッ
クボーンリンホース１０とがなすボックス断面のバルク
ヘッドの役割を果たす。シートなど、取付座３に取付け
たものから強い引張力が作用した場合でも、取付座用リ
ンホース１２の上面と側面一部とが取付座３の裏面に密
着し、その補強をなしているところから、突堤部２の形
状に係わらず剛性を確保する。さらに強大な負荷がかか
っても、取付座用リンホース１２の周端部に形成される
鍔部１３がバックボーンリンホース１０の挿嵌用口１１
周端部に沿って密着しているので、単位面積当りの負荷
が小さくなって充分耐え得ることとなる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、フロアパンの剛性
向上を図り、取付座におけるシート等に対する取付強度
の増大化を得られるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はフロアパンの斜視図、第２図ないし第５図は本
考案の一実施例を示し、第２図は取付座部分の縦断面
図、第３図は取付座用リンホースの斜視図、第４図はバ
ックボーンリンホースに対する取付座用リンホースの取
付説明図、第５図は要部の一部切欠した斜視図、第６図
は本考案の従来例を示す取付座部分の縦断面図である。 １……フロア面、２……突堤部、３……取付座、１０…
…バックボーンリンホース、１１……挿嵌用口、１４…
…補強支持部、１３……鍔部、１２……取付座用リンホ
ース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フロア面の中央部に長手方向に沿ってプロ
   ペラシャフト等を収容する突堤部を一体に折曲形成して
   なるフロアパンにおいて、このフロアパンの一部に上記
   突堤部側面およびフロア面と略平行になるよう一体に突
   設されその上面にシート等を支持取付けるための取付座
   と、上記フロア面および上記突堤部の裏面に重ね合せて
   この補強をなすとともに上記取付座とはボックス断面を
   形成するよう折曲されるバックボーンリンホースと、こ
   のバックボーンリンホースの上記取付座と相対向する部
   位に開口する挿嵌用口と、この挿嵌用口に上記バックボ
   ーンリンホースの裏面側から挿嵌突出するとともに上記
   取付座の裏面側に密着する補強支持部およびこの補強支
   持部の周端部に沿って一体に設けられ上記挿嵌用口の周
   端部裏面側に密着する鍔部を有する取付座用リンホース
   とを具備したことを特徴とする車両のフロアパン構造。