JPH06235387A

JPH06235387A - 圧縮機の給油装置

Info

Publication number: JPH06235387A
Application number: JP2218493A
Authority: JP
Inventors: Norihide Kobayashi; 教秀小林; Takashi Ishigaki; 隆士石垣; Akira Ogami; 明大上
Original assignee: Mitsubishi Electric Corp
Current assignee: Mitsubishi Electric Corp
Priority date: 1993-02-10
Filing date: 1993-02-10
Publication date: 1994-08-23
Anticipated expiration: 2017-02-18
Also published as: JP3257847B2

Abstract

(57)【要約】【目的】圧縮機内で生じ潤滑油中に混在する異物によ
りポンプ部や軸受部の異常摩耗や焼付きを防止すること
のできる圧縮機の給油装置を提供すること。【構成】油ポンプ部３２へ潤滑油を導くパイプ部４３
にフィルター３６を設けたので、圧縮機内で生じ油溜ま
り８６の潤滑油中に混在する異物はフィルター３６に捕
捉されて油ポンプ部３２やフレーム５またはサブフレー
ム６に導かれない。従って、例えばフレーム６のスラス
ト軸受５１の異常摩耗や焼付きを防止できる。そして、
油ポンプ部３２が、例えばトロコイド歯形等からなる容
積型ポンプである場合には、異物による歯形の破損を防
ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば空気調和装
置，冷蔵庫等に用いられる圧縮機の給油装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】図１２は、特開平４−５４２９４号公報
に開示された従来のスクロール圧縮機を示す側断面図で
ある。図において、１は渦巻ラップ１ａを有する固定ス
クロール、２は渦巻ラップ１ａに組み合わされる渦巻ラ
ップ２ａを有した揺動スクロール、３は揺動スクロール
２に連結されこの揺動スクロール２を揺動運動させる主
軸、４は揺動スクロール２を主軸３１に固定するオルダ
ム継手、５はシェル８に焼嵌め接触部１０にて焼嵌め固
定されたフレーム（上部フレームの一例）である。６は
フレーム５の下方側に設けられ主軸３の下端を回動自在
に軸支するサブフレーム（下部フレームの一例）であ
る。７はフレーム５とサブフレーム６との間に配備され
一般的なロータ，ステータ等からなり主軸３を回転駆動
するモータ（モータ部の一例）、１１は固定スクロール
１の軸心部に穿設された冷媒ガス吐出用の吐出ポート、
３１は主軸３内に当該軸心部に沿って穿設された給油通
路、３２は潤滑油を汲み上げて給油通路３１に送る油ポ
ンプ部、５１は揺動スクロール２のスラスト力を支える
スラスト軸受、８１はシェル８に設けられた密封端子、
８２は冷媒ガス用の吸入管でありシェル８内のモータ側
空間８４に開口している。８３は吐出管でありシェル８
内にて吐出ポート１１と連通する固定スクロール側空間
８５に開口している。８６はシェル８底部の油溜りであ
る。なお、５ａは焼き嵌め時のフレーム５の変形を緩衝
する逃し穴、５ｂはリーマ穴、１０１ａはリーマ穴であ
る。

【０００３】次に、前記従来の圧縮機の動作について説
明する。密封端子８１に通電がされると、モータ７が駆
動し、これに同期して主軸３が回転する。それに伴って
揺動運動する揺動スクロール２と固定スクロール１との
協働作用によって、流体ガスが圧縮される。この際、流
体ガスは、シェル８の外部から吸入管８２を通してモー
タ側空間８４に吸引された後、前記両スクロール１，２
よりなる圧縮室（圧縮部の一例）へ吸入されて圧縮され
る。更に、流体ガスは吐出ポート１１から吐出管８３を
経て、シェル８外へ排出される。また、主軸３が回転す
ると、遠心ポンプまたは容積型ポンプ等の油ポンプ部３
２が連動する。これによって、油溜り８６内の潤滑油
は、主軸３内に設けられた給油通路を通ってスラスト軸
受５１等に給油された後、自重によりシェル８内の間隙
部を通って再び底部の油溜り８６内へ戻る。

【０００４】従来の圧縮機の給油装置は以上のように構
成されているので、例えば微小な砂，鉄粉，銅粉等の異
物が吸入管８２を通して機外から圧縮機内へ持ち込まれ
た場合、これらの異物は、潤滑油に随伴し給油通路３１
を経て前記スラスト軸受５１等に流れ込んでこれらの軸
受部の異常摩耗や焼付き等の支障を生じさせたりするこ
とがある。一方、油ポンプ部として、例えばトロコイド
歯形の回転子を有する容積型ポンプを用いた場合、異物
が奥歯に入り込んで歯部・その他の損傷等をたびたび発
生させるといった問題があった。

【０００５】そこで、図１３に示したように、吸入管８
２に拡管部８７を設け、圧縮機内への異物の侵入を防止
するフィルター８８を前記拡管部８７内に設けることが
考えられる。このような構成は、圧縮機の吸入管８２，
吐出管８３が接続されてなるいわゆる冷凍サイクルより
圧縮機内に持ち込まれる異物から圧縮機を有効に保護す
るための比較的簡便な手段として、従来から採用されて
いる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たように吸入管８２にフィルター８８を設けたとして
も、圧縮機を組み立てる際に、異物（例えば、各部品単
体の加工時のバリ，カエリ，切削時の切り粉、シェルの
溶接時のスパッタや、圧縮機運転時に発生する各軸受部
の摺動による摩耗粉等）が、圧縮機内部にて生じること
を避けることは極めて困難である。これらの異物は、油
溜め８６の潤滑油と混在し、圧縮機内を随伴して流通す
る。そのため、圧縮機内部にて生じた異物によっても、
各軸受部の摩耗を促進し、更には過度の摩耗から焼付き
を起こすことがある。また、前述のように、容積型ポン
プの歯部の損傷を引き起こす原因にもなる。

【０００７】一方、空気調和装置等のコンパクト化が近
年の趨勢となっている。これに伴って、必然的に圧縮機
自体も小型化しなければならない。そのため、前記した
ように、例え圧縮機内部にて生じた異物による不都合を
解消する手段を講じたとしても、それによって前記圧縮
機が大型化することを避けねばならない。また、前記手
段を講じたことにより、潤滑油が圧縮機内を流れにくく
なることを回避する必要もある。

【０００８】他方、従来の圧縮機の給油装置に容積型ポ
ンプを使用した場合、容積型ポンプは遠心ポンプと比べ
て数多くの部品を必要とする。しかも、サブフレームの
予め設定された所定の位置に各部品をそれぞれ位置決め
精度よく組み付けなければならない。このように圧縮機
の組み立て時に容積型ポンプを位置決め精度よくサブフ
レームに組み付けるためには、予め圧縮機を人手によっ
て上下反転し、容積型ポンプの組み付け位置を上向きの
状態にしておく必要があった。そのため、人手による圧
縮機の上下反転作業を必要とし、更には前記上下反転作
業のための作業スペースも必要となる。その結果、圧縮
機の組立て製造ラインの省スペース化や部品組立ての自
動化が困難であった。

【０００９】この発明は、前記したような問題点を解消
するためになされたもので、ひとつには圧縮機内部の潤
滑油と混在する異物が、油ポンプ部や各フレームの軸受
部に持ち込まれることを防止するものである。また、前
記異物をポンプ部や軸受部に持ち込まない構成を採用し
た場合でも、圧縮機の大型化をまねくことなくポンプ効
率の低下をも防止するものである。更には、所定の位置
決め精度で容積型ポンプを圧縮機に組み付ける組み付け
工程の自動化が可能で、当該組み付け工程に要するスペ
ースの省スペース化を図るものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明の圧縮機の給油
装置は、シェル内に設けられ固定スクロールと揺動スク
ロールを組み合わせて圧縮室を形成する圧縮部と、前記
シェル内に収納され前記揺動スクロールを駆動するモー
タ部と、前記揺動スクロールに連結され前記モータ部に
同期して回転する主軸と、前記主軸を回動自在に軸支す
る上部フレームならびに下部フレームと、前記下部フレ
ームと前記シェルの底部との間に貯溜した潤滑油を汲み
上げる油ポンプ部と、前記主軸に連結固定され前記油ポ
ンプ部へ潤滑油を導くパイプ部と、前記パイプ部に設け
られたフィルターとを備えたものである。なお、油ポン
プ部としては、例えば遠心ポンプや容積型ポンプ等を用
いることができる。

【００１１】また、シェル内に設けられ固定スクロール
と揺動スクロールを組み合わせて圧縮室を形成する圧縮
部と、前記シェル内に収納され前記揺動スクロールを駆
動するモータ部と、前記揺動スクロールに連結され前記
モータ部に同期して回転する主軸と、前記主軸を回動自
在に軸支する上部フレームならびに下部フレームと、前
記下部フレームと前記シェルの底部との間に貯溜した潤
滑油を汲み上げる油ポンプ部と、前記主軸に連結固定さ
れ前記油ポンプ部へ潤滑油を導き前記下部フレーム側で
大径部に潤滑油側で小径部となるようにテーパ状に形成
されたパイプ部と、前記パイプ部に設けられ前記パイプ
部の小径部側で細く前記パイプ部の大径部側で太くなる
ように形成された略円錐形状のフィルターとを備えたも
のである。

【００１２】さらに、シェル内に設けられ固定スクロー
ルと揺動スクロールを組み合わせて圧縮室を形成する圧
縮部と、前記シェル内に収納され前記揺動スクロールを
駆動するモータ部と、前記揺動スクロールに連結され前
記モータ部に同期して回転する主軸と、前記主軸を回動
自在に軸支する上部フレームならびに下部フレームと、
前記下部フレームと前記シェルの底部との間に貯溜した
潤滑油を汲み上げる油ポンプ部と、前記主軸に連結固定
され前記油ポンプ部へ潤滑油を導くパイプ部と、前記パ
イプ部に設けられたフィルターとを備えた圧縮機の給油
装置において、前記油ポンプ部を構成する容積型ポンプ
と、前記容積型ポンプを前記下部フレームの下面に保持
するためのポンプカバーと、前記ポンプカバーの上面の
所定位置に設けられ前記容積型ポンプを位置決め支持す
る支持部とを備え、前記容積型ポンプを前記支持部に位
置決め支持して前記ポンプカバーと容積型ポンプとを一
体に構成するとともに、前記一体のポンプカバー及び容
積型ポンプを前記下部フレームの下面に固定するもので
ある。

【００１３】

【作用】この発明の圧縮機の給油装置によれば、油ポン
プ部に潤滑油を導くパイプ部にフィルターを設けたの
で、圧縮機内で生じ潤滑油中に混在する異物はフィルタ
ーに捕捉され、油ポンプ部はもとより上部フレームまた
は下部フレームに導かれない。従って、上部フレームま
たは下部フレームの例えば軸受部の異常摩耗や焼付きを
防止できる。そして、油ポンプ部が例えばトロコイド歯
形等の回転子を有する容積型ポンプである場合、前記異
物による歯形の破損を防ぐことができる。

【００１４】また、圧縮機内の異物を捕捉するフィルタ
ーを備えた構成を採用した場合であっても、フィルター
はパイプ部に当該パイプ部の形状に応じて設けられるの
で、パイプ部にはフィルターを設けるための新たなスペ
ースを要せず、従って圧縮機が大型になることがない。
そして、潤滑油中の異物は汲み上げ方向下流側となる比
較的広いパイプ部の内面とフィルターの大径部外面との
間に捕捉されるので、捕捉された異物によるフィルター
の目詰まり面積が小さく、且つ潤滑油はパイプ部の軸心
部に沿ってフィルターを円滑に通過する。

【００１５】さらに、油ポンプ部として容積型ポンプを
使用する場合、容積型ポンプは、この容積型ポンプを下
部フレームの下面に保持するためのポンプカバーに、予
め位置決め支持されて一体に構成される。従って、この
一体の容積型ポンプ及びポンプカバーを、下部フレーム
の下面に容易に固定することができる。その結果、完成
時の姿勢にある圧縮機に容積型ポンプを容易に組み付け
ることができる。

【００１６】

【実施例】

実施例１この発明の実施例１を図１乃至図４に基づいて説明す
る。図１はこの発明の実施例１によるスクロール圧縮機
の縦断面図、図２はこの発明の実施例１による油ポンプ
部の拡大縦断面図、図３はこの発明の実施例１による油
ポンプ部での潤滑油及び異物の流れ状態を示す状態説明
図、図４はこの発明の実施例１による油ポンプ部での潤
滑油及び異物の他の流れ状態を示す状態説明図である。
各図において従来例と同一または相当する部分は、同一
符号を付して説明を省略する。図１において、３２は遠
心ポンプまたは容積型ポンプ等の油ポンプ部である。ポ
ンプ部３２から汲み上げられた油溜め８６内の潤滑油
が、主軸３内の給油通路３１を通って、スラスト軸受５
１等へ汲み上げられた後、自重により油溜め８６に戻る
のは、従来例と同様である。

【００１７】油ポンプ部３２の形式には、例えば遠心ポ
ンプ、容積型ポンプがあるので、以下それぞれを用いた
場合の実施例について説明する。まず、遠心ポンプを用
いた場合について図２に基づき説明する。図において、
主軸３の油溜め８６側の端部には段差３３が形成されて
いる。遠心ポンプ部３４は、油溜め８６内の潤滑油を汲
み上げるために、油溜め８６側の開口端３５が油溜め８
６側へ向けて先細に絞って形成されている。即ち、遠心
ポンプ部３４は、下部フレーム６側で大径部に油溜め８
６側で小径部となるようにテーパ状に形成されている。
一方、前記遠心ポンプ部３４の他端側は、内壁側が前記
段差３３と圧入焼嵌め等により連結固定され、外壁側が
サブフレーム６の上端面６１及び内周面６２と摺接し
て、主軸３を図中矢印Ａで示す方向に回転自在に軸支し
ている。なお、図において、遠心ポンプ部３４と摺接す
る上端面６１及び内周面６２には、軸受を別部品として
示していないが、所定の信頼性を確保する上で必要とあ
れば、相応の軸受を設ければよい。

【００１８】特に、開口端３５と主軸３の油溜め側端部
の間における遠心ポンプ部３４の内壁には、フィルター
３６が圧入等により固着して設けられている。このフィ
ルター３６によって、開口端３５から汲み上げられた潤
滑油に随伴する異物が給油通路３１に持ち込まれること
が防止される。尚、フィルター３６の形状としては、図
１に示したような平板状のものであっても、前記の効果
を奏し得ることは言うまでもない。

【００１９】図３と図４とは、フィルターが略円錐筒形
状に絞って形成されたフィルターの配置方向に関して、
潤滑油の流れ（白抜き矢印）と異物の流れ（黒塗り矢
印）についてそれぞれ比較するための図である。図３で
はフィルターの絞られた部分が潤滑油の流れ方向に対し
て下流側に配置された場合、図４ではその逆の場合をそ
れぞれ示している。

【００２０】図３に示した構成によれば、異物３７は、
一度は遠心作用によって遠心ポンプ部３４の内壁へ飛ば
されるが、フィルター３６が潤滑油の流れ方向下流側で
絞られた形状になっているので、異物３７はフィルター
３６内で遠心ポンプ部３４の軸心部に集まろうとする。
その結果、フィルター３６の基盤目状の細やかな潤滑油
通路が比較的広範囲にわたって塞がれる。また、潤滑油
の流れは、前記軸心部に溜まった異物３７によって直進
が妨げられるので、ポンプ効率が低下することが考えら
れる。

【００２１】一方、図４のような構成にすれば、遠心ポ
ンプ部３４の内壁へ飛ばされた異物３７は、比較的広い
スペースを有するフィルター３６の外周部にて捕捉され
るので、フィルター３６の軸心部に広い潤滑油通路を確
保することができる。従って、フィルター３６を通過す
る潤滑油は前記軸心部に沿って直線状円滑に流通する。
その結果、この構成によれば異物３７によるポンプ効率
の低下をほとんど生じることがない。

【００２２】実施例２次に、この発明の実施例２として容積型ポンプを用いた
場合について、図５乃至図８に基づき説明する。図５は
容積型ポンプを用いた実施例を示す縦断面図、図６は容
積型ポンプを構成する各部品を示す斜視図である。各図
において、主軸３の油溜め側端面３８は、側面を一部切
欠かれた下向き突起状に形成されており、油ポンプ部３
２を構成する例えばトロコイド歯形状のインナーロータ
３２１及びアウタロータ３２２のうち、インナーロータ
３２１の中央部に穿設された係止穴３２３と着脱可能に
嵌合・係止される。これによって、インナーロータ３２
１は主軸３と同期して回転する。油ポンプ部３２を収納
するポンプケース３９は、ポンプケース３９の軸心に対
して所定量偏心した位置に形成された凹嵌部３９１にア
ウターロータ３２２の外径部を収納可能に形成されてい
る。また、ポンプポート４０には、潤滑油出し入れの為
の入口ポート４０２と出口ポート４０１が穿設され、ピ
ン４１によってポンプケース３９に回転方向に対して位
置決め固定されている。また、サブフレーム６の下面の
所定位置には、ポンプケース３９から皿ばね４２までの
各部品を収納可能のポンプ部収容部６１が上向きに陥入
して形成されている。

【００２３】フィルター３６を収納したパイプ部４３を
有する円盤状のポンプカバー４４の上面には、下端面４
０３に皿ばね４２を当てがった状態のポンプポート４０
が所定位置に位置決め載置される。ポンプカバー４４
は、皿ばね４２を押し上げた状態でサブフレーム６の下
面に例えばボルト４４２等により固定されている。この
とき発生する皿ばね４２の付勢力によって、ポンプケー
ス３９とポンプポート４０の軸方向シールが行われ、油
ポンプ部３２における潤滑油の漏れが防止されている。
従って、容積型ポンプの場合についても、フィルター３
６を設けたことで潤滑油中の異物が給油経路３１内に持
ち込まれることを防止できるのは無論のこと、特にイン
ナーロータ３２１とアウターロータ３２２の歯形間に異
物が侵入した場合の破損を防止することができる。

【００２４】図７および図８は、ポンプカバーに一体に
設けられたパイプ部に対するフィルターの配置状態（絞
り方向）についてそれぞれ比較したものである。各図に
おいて、パイプ部４３は油溜め８６側に開口する先細の
開口端４３１に向けて絞って形成されている。即ち、パ
イプ部４３は下部フレーム６側で大径部になり油溜め８
６側で小径部となるようにテーパ状に形成されている。
フィルター３６の全高が例えば寸法ｌで一定であるとし
た時、フィルター３６を収納するパイプ部４３のスペー
スとして、図７に示した構成の場合では、フィルター３
６の寸法ｌと等しいかそれ以上に長い収納スペースを要
する。尚、この時のパイプ部４３の寸法をＬ₁とする。

【００２５】一方、図８に示した構成の場合では、パイ
プ部４３の内面の絞り形状にフィルター３６の形状を沿
わせてフィルター３６が収納されるので、パイプ部４３
の寸法Ｌ₂は図７に示したパイプ部４３の寸法Ｌ₁より
も小さくすることが可能になる。従って、図８の構成の
場合、ポンプカバー４４の小型化、ひいては圧縮機のコ
ンパクト化が図れることになる。

【００２６】実施例３次に、容積型ポンプの他の実施例について、図９乃至図
１１に基づいて説明する。図９は容積型ポンプを用いた
他の実施例による圧縮機の縦断面図、図１０はその容積
型ポンプを構成する各部品を示す分解斜視図、図１１は
組立体の組み付け状態を示す圧縮機の縦断面図である。
主軸３の油溜り側端面３８によりインナーロータ３２１
が回転駆動されるのは、前述の実施例２と同じである
が、ここではポンプケース３９はポンプポート４０を収
納する凹部３９１を有した円筒状に形成されている。ま
た、ポンプポート４０には、油ポンプ部３２を収納する
為に当該軸心に対して偏心した位置に形成されたポンプ
部収納部４０４と、入口ポート４０２と、出口ポート４
０１とがそれぞれ形成されている。なお、皿ばね４２が
ポンプポート４０の下端面４０３に当てがわれてこれを
上向きに付勢するのは実施例２と同様である。また、ポ
ンプカバー４４の上面には、ポンプポート４０の下部と
嵌合し、ポンプポート４０が径方向に位置ずれするのを
防止し所定位置に位置決めする為の凹部４４１（支持部
の一例）が形成されている。

【００２７】引続き、前記実施例３に係る容積型ポンプ
を用いた圧縮機の組立方法について以下に説明する。ま
ず、皿ばね４２がポンプカバー４４の凹部４４１内に収
容される。続いて、ポンプポート４０の下部が凹部４４
１内に収容され、前記皿ばね４２上に載置される。そし
て、油ポンプ部３２がポンプポート４０上面のポンプ部
収納部４０４に収納される。その後、ポンプケース３９
の凹部３９１に、ポンプポート４０の上部が嵌め込まれ
る。

【００２８】この組み立て方法によれば、ポンプカバー
４４上に、皿ばね４２からポンプケース３９までの各部
品を順番に組み上げていくことにより、容積型ポンプの
組立体４５（図１１参照）が一体に組み立てられる。こ
の組立体４５の組立て時に、前記各部品はそれぞれの所
定位置に精度よく位置決めされるので、径方向にずれる
ことがない。従って、図１１に示すように、油ポンプ部
の組み付け時に従来のように圧縮機を上下反転させる必
要がなく、圧縮機を完成時と同じ姿勢のままで、前記組
立体４５をサブフレーム６のポンプ部収容部６１に比較
的容易に組み付けることができる。その結果、圧縮機へ
の容積型ポンプの組み付けを自動化することが可能とな
った。また、圧縮機を上下反転させるための作業スペー
スが不要である。

【００２９】

【発明の効果】この発明の圧縮機の給油装置によれば、
油ポンプ部に潤滑油を導くパイプ部にフィルターを設け
たので、圧縮機内で生じ潤滑油中に混在する例えば異物
は、フィルターに捕捉され、油ポンプ部や上部フレーム
または下部フレームに持ち込まれない。従って、上部フ
レームまたは下部フレームにおける例えば軸受部の異常
摩耗や焼付きを防止できる。また、油ポンプ部が、トロ
コイド歯形等がらなる容積型ポンプである場合、当該歯
形の破損を防ぐことができる。

【００３０】また、圧縮機内の異物を捕捉するフィルタ
ーを備えた構成であっても、フィルターはパイプ部に当
該パイプ部の形状に沿って設けられるので、パイプ部に
はフィルターを設けるための新たなスペースを必要とせ
ず、従って圧縮機の大型化をもたらさない。そして、潤
滑油中の異物は汲み上げ方向下流側となるフィルターの
大径部外面とパイプ部内面との間の比較的広いスペース
にて捕捉されるので、捕捉された異物によるフィルター
の目詰まり面積が小さく、且つ潤滑油はパイプ部の軸心
部に沿ってフィルターを円滑に通過する。その結果、油
ポンプ部のポンプ効率はほとんど低下することがない。

【００３１】さらに、油ポンプ部として容積型ポンプを
用いた場合、容積型ポンプは、この容積型ポンプを下部
フレームの下面に保持するためのポンプカバーに、予め
位置決め支持されて一体に構成される。そして、この一
体の容積型ポンプ及びポンプカバーを、完成時の姿勢に
ある下部フレームの下面に固定するだけですむので、圧
縮機への容積型ポンプの組み付け工程が容易になる。従
って、容積型ポンプの組み付け時に例えば人手による圧
縮機の上下反転作業が不要であって、容積型ポンプの組
み付け工程の自動化を図ることができる。加えて、圧縮
機の上下反転作業に必要であった作業スペースを省くこ
とが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例１によるスクロール圧縮機の
縦断面図である。

【図２】この発明の実施例１による油ポンプ部の拡大縦
断面図である。

【図３】この発明の実施例１による油ポンプ部での潤滑
油及び異物の流れ状態を示す状態説明図である。

【図４】この発明の実施例１による油ポンプ部での潤滑
油及び異物の他の流れ状態を示す状態説明図である。

【図５】この発明の実施例２による油ポンプ部の拡大縦
断面図である。

【図６】この発明の実施例２による油ポンプ部の構成部
品の分解斜視図である。

【図７】この発明の実施例２によるポンプカバー及びフ
ィルターの縦断面図である。

【図８】この発明の実施例２による他のポンプカバー及
びフィルターの縦断面図である。

【図９】この発明の実施例３による油ポンプ部の拡大縦
断面図である。

【図１０】この発明の実施例３による油ポンプ部の構成
部品の分解斜視図である。

【図１１】この発明の実施例３による油ポンプ部組立体
の組み付け状態を示す縦断面図である。

【図１２】従来のスクロール圧縮機の縦断面図である。

【図１３】従来の他の例によるスクロール圧縮機の縦断
面図である。

【符号の説明】

１固定スクロール２揺動スクロール３主軸５フレーム６サブフレーム７モータ８シェル３２油ポンプ部３６フィルター４３パイプ部４４ポンプカバー４５組立体４４１凹部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シェル内に設けられ固定スクロールと揺
動スクロールを組み合わせて圧縮室を形成する圧縮部
と、前記シェル内に収納され前記揺動スクロールを駆動
するモータ部と、前記揺動スクロールに連結され前記モ
ータ部に同期して回転する主軸と、前記主軸を回動自在
に軸支する上部フレームならびに下部フレームと、前記
下部フレームと前記シェルの底部との間に貯溜した潤滑
油を汲み上げる油ポンプ部と、前記主軸に連結固定され
前記油ポンプ部へ潤滑油を導くパイプ部と、前記パイプ
部に設けられたフィルターとを備えた圧縮機の給油装
置。
【請求項２】シェル内に設けられ固定スクロールと揺
動スクロールを組み合わせて圧縮室を形成する圧縮部
と、前記シェル内に収納され前記揺動スクロールを駆動
するモータ部と、前記揺動スクロールに連結され前記モ
ータ部に同期して回転する主軸と、前記主軸を回動自在
に軸支する上部フレームならびに下部フレームと、前記
下部フレームと前記シェルの底部との間に貯溜した潤滑
油を汲み上げる油ポンプ部と、前記主軸に連結固定され
前記油ポンプ部へ潤滑油を導き前記下部フレーム側で大
径部に潤滑油側で小径部となるようにテーパ状に形成さ
れたパイプ部と、前記パイプ部に設けられ前記パイプ部
の小径部側で細く前記パイプ部の大径部側で太くなるよ
うに形成された略円錐形状のフィルターとを備えた圧縮
機の給油装置。
【請求項３】シェル内に設けられ固定スクロールと揺
動スクロールを組み合わせて圧縮室を形成する圧縮部
と、前記シェル内に収納され前記揺動スクロールを駆動
するモータ部と、前記揺動スクロールに連結され前記モ
ータ部に同期して回転する主軸と、前記主軸を回動自在
に軸支する上部フレームならびに下部フレームと、前記
下部フレームと前記シェルの底部との間に貯溜した潤滑
油を汲み上げる油ポンプ部と、前記主軸に連結固定され
前記油ポンプ部へ潤滑油を導くパイプ部と、前記パイプ
部に設けられたフィルターとを備えた圧縮機の給油装置
において、前記油ポンプ部を構成する容積型ポンプと、
前記容積型ポンプを前記下部フレームの下面に保持する
ためのポンプカバーと、前記ポンプカバーの上面の所定
位置に設けられ前記容積型ポンプを位置決め支持する支
持部とを備え、前記容積型ポンプを前記支持部に位置決
め支持して前記ポンプカバーと容積型ポンプとを一体に
構成するとともに、前記一体のポンプカバー及び容積型
ポンプを前記下部フレームの下面に固定することを特徴
とする圧縮機の給油装置。