JPH0623244A - 中空糸膜モジュ−ルの封止方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 モジュールケースの封止工程において中空糸
膜のはみ出しが生じないような中空糸膜モジュールの封
止方法を提供する。 【構成】 モジュールケース２内に多数本の中空糸膜３
の束を挿入し、モジュールケース２開口端部近傍の中空
糸膜３１をモジュールケース２に接合し、その後、束ね
た中空糸膜３の端面側からモジュールケース２の開口部
に封止材４を注入して各中空糸膜３間の隙間および中空
糸膜３とモジュールケース２間の隙間を封止してなるこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、たとえば家庭用浄水
器，医療用あるいは工業用の各種濾過装置に用いられる
中空糸膜モジュールの封止方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、この種の中空糸膜モジュール
は、図３(a) に示すように、多数本の中空糸膜１０１を
束ねてモジュールケース１００内に挿入し、各中空糸膜
１０１間の隙間および各中空糸膜１０１とモジュールケ
ース１００間の隙間に封止材１０５を充填してモジュー
ルケース１００の開口部を封止している。

【０００３】この封止材の充填は、図３(b) に示すよう
に、中空糸膜１０１を挿入したモジュールケース１００
の開口部にアダプタ１０２を装着してモジュールケース
１００の開口部を塞ぎ、封止材１０３を圧力をかけて注
入することにより、封止材１０３を各中空糸膜１０１間
の隙間および中空糸膜１０１とモジュールケース１００
間の隙間に充填して封止するようになっていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
のアダプタ側面から封止材１０３を注入する方法では、
図３(c),(d) に示すように、封止材１０３が注入側とは
反対側まで回らずに不良品ができるという問題があっ
た。

【０００５】そこで、図３（e)に示すように、アダプタ
１０２内に台１０４を設け、中空糸膜１０１の端面をこ
の台１０４に突き当て、図３(f) に示すように、台１０
４の間の空間を通じて、中空糸膜１０１の端面側から縦
方向に封止材１０３を注入する方法が取られている。

【０００６】しかし、図３(g) に示すように、封止材１
０３の圧力によって中空糸膜１０１が台１０４から浮き
上がって、図３(e) に二点鎖線で示すように、モジュー
ルケース１００からはみ出してしまうという問題があっ
た。

【０００７】本発明は上記した従来技術の課題を解決す
るためになされたもので、その目的とするところは、モ
ジュールケースの封止工程において封止材の注入圧力に
よっては中空糸膜が移動しないような中空糸膜モジュー
ルの封止方法を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明にあっては、モジュールケース内に多数本の
中空糸膜の束を挿入し、モジュールケース開口端部近傍
の中空糸膜をモジュールケースに接合し、その後、束ね
た中空糸膜の端面側からモジュールケースの開口部に封
止材を注入して各中空糸膜間の隙間および中空糸膜とモ
ジュールケース間の隙間を封止することを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明にあっては、モジュールケースの開口端
部に、開口端部近傍の中空糸膜を封止材とは別個に接合
しておくことにより、封止工程おける封止材の注入圧力
による中空糸膜の移動を防止することができる。

【００１０】

【実施例】以下に本発明を図示の実施例に基づいて説明
する。

【００１１】図１(a) は、本発明の封止方法によって開
口部が封止される中空糸膜モジュールの一例を示してい
る。図示例の中空糸膜モジュール１は全量濾過型のもの
で、概略、モジュールケース２と、このモジュールケー
ス２内に充填される多数本の中空糸膜３と、各中空糸膜
３の端部をモジュールケース２に固着する封止材として
のポッティング材４と、から構成されている。中空糸膜
３は、図１(b) に示すように、貫通する内部通路３ａを
有する多孔質の糸状部材で、原液を膜壁３ｂを透過させ
て濾過し、濾過液を内部通路３ａを通じて封止部端面か
ら流出させるようになっている。

【００１２】モジュールケース２は筒状で、各中空糸膜
３はＵ字状に曲げられていて、その両端末をモジュール
ケース２の開口端部に揃えて束ねられ、各中空糸膜３の
両端末部がポッティング材４によってモジュールケース
２に固着されている。ポッティング材４は各中空糸膜３
同士の隙間および各中空糸膜３とモジュールケース２間
の隙間に気密状態で充填され、モジュールケース２の内
部空間と外部空間とを隔てている。

【００１３】この中空糸膜モジュールの封止工程におい
ては、図１(c) に示されるように、モジュールケース２
にポッティング用のアダプタ６を装着してポッティング
材４が注入される。

【００１４】図２(e) 〜(g) には、このアダプタ６の具
体例を示している。

【００１５】すなわち、このアダプタ６はキャップ状の
部材で、その内側端面には四分割された台部７が設けら
れている。また、このアダプタ６の側面には、ポッティ
ング材４を注入するための注入口８が突出形成されてい
る。

【００１６】そして、本発明では、アダプタ６を装着す
る前に、モジュールケース２のポッティング材４を注入
する側の開口端部２１に熱を加え、モジュールケース２
近傍の中空糸膜３１の端末をモジュールケース２の開口
端部２１に接合する。

【００１７】この際、モジュールケース２は中空糸膜３
より融点の低いものが望ましく、熱は瞬間的に全面にわ
たって均一に加えるのが望ましい。また、モジュールケ
ース２には図２(a) に示すように、あらかじめ融けしろ
１０を設けておかなければならない。モジュールケース
２端面に熱を加えると、融けしろ１０の部位が融けて、
モジュールケース２の開口端部近傍の中空糸膜３の端末
部３１がモジュールケース２に一体的に融着される。

【００１８】中空糸膜３をモジュールケース２に接合し
た後に、各中空糸膜３の端末開口部を溶着して塞ぎ、ポ
ッティング工程において各中空糸膜端末開口部からポッ
ティング材４が入り込まないようにする。

【００１９】この中空糸膜３の端末部開口部の溶着工程
と、モジュールケース２と中空糸膜３の接合工程を別工
程とせずに、同時に行うようにしてもよい。その場合に
は、モジュールケース２と中空糸膜３の融点を、同時に
溶着可能なように適切な値に設定しておく。

【００２０】このように、モジュールケース２の開口端
部２１に、開口端部近傍の中空糸膜３をポッティング材
４とは別個に接合した状態で、ポッティング用のアダプ
タ６を装着する。その際、挿入された中空糸膜３の内、
最外周に位置する中空糸膜３１は接合部５にてモジュー
ルケース２に溶着されているが、その他の中空糸膜３は
モジュールケース２の開口端部２１からアダプタ６側に
突出する方向には自由状態にある。図示例では、この自
由状態にある中央部の中空糸膜３の端部もモジュールケ
ース２の開口端部位置と面位置を合わせているが、中央
部の中空糸膜３の端部はアダプタ６の台部７に当接させ
て位置合わせしてもよい。中央部の中空糸膜３を台部７
に当接させても、中空糸膜３端面とアダプタ６底面との
間に空間９が形成される。

【００２１】アダプタ６の注入口８から注入されたポッ
ティング材４は、アダプタ６の台部７の間の空間９を通
って中空糸膜３端面側からモジュールケース２の中心軸
方向に注入され、各中空糸膜３間の隙間および各中空糸
膜３とモジュールケース２間の隙間に充填され封止され
る。

【００２２】この注入圧力は中空糸膜３の束をモジュー
ルケース２から押出す方向に作用するが、中空糸膜３が
モジュールケース２に接合されているので、中空糸膜３
の移動を阻止することができる。すなわち、中空糸膜３
はモジュールケース２に最も近い部分しか接合されない
が、接合される部位は中空糸膜３の最外周部なので、中
央部に位置する他の中空糸膜３の移動は最外周部の中空
糸膜３１によって移動が規制され、モジュールケース２
からのはみ出しを抑えることができる。次いで、図示し
ないが、充填されたポッティング材４が硬化した後に、
アダプタ６をモジュールケース２から取り外し、モジュ
ールケース２の端部を所定幅だけ切断し、閉塞された各
中空糸膜３の端末部を開口させて中空糸膜モジュールが
完成する。

【００２３】このように、モジュールケース２ごと切断
すれば、完成した中空糸膜モジュールの開口端部に中空
糸膜３の接合部は残らないが、中空糸膜３のみを切断し
てモジュールケース２の開口端部に中空糸膜接合部５を
残すようにしてもよい。その場合には、モジュールケー
ス２の中央部の中空糸膜３をアダプタ６内に突出させた
状態でポッティング材４を注入硬化させ、アダプタ６を
外した後中空糸膜３のみを切断すればよい。

【００２４】なお、上記実施例では全量濾過タイプの中
空糸膜モジュールを例にとって説明したが、本発明はこ
のような全量濾過タイイプのものに限定されるものでは
なく、モジュールケースの両端開口部をポッティングし
たクロスフロータイプの中空糸膜モジュール等、種々の
タイプの中空糸膜モジュールに広く適用することができ
ることはもちろんである。

【００２５】

【発明の効果】本発明は以上の構成および作用を有する
もので、モジュールケースと中空糸膜とを接合すること
により、封止材を注入する際の中空糸膜の移動を防ぐこ
とができ、従来のように中空糸膜のモジュールケースか
らのはみ出しなどの不具合を防止することができ、品質
を安定させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１(a) は本発明の中空糸膜モジュールの概略
縦断面図、同図(b) は中空糸膜を模式的に示す一部破断
斜視図、同図(c) は本発明の中空糸膜モジュールの封止
方法の用いられるアダプタを装着したモジュールケース
概略構成図である。

【図２】図２(a) 中空糸膜とモジュールケース開口端部
との接合前の状態の要部断面図、同図(b) は中空糸膜と
モジュールケース開口端部との接合状態の要部断面図、
同図(c),(d) は封止工程のポッティング材注入状態を示
す要部断面図、同図(e)はポッティング用アダプタの縦
断面図、同図(f) は同図(e) の平面図、同図 (g)は同図
(f) のｇ−ｇ線断面図である。

【図３】図３(a) は従来の中空糸膜モジュールの縦断面
図、同図(b) は従来の封止工程に用いられるアダプタ装
着状態を示す概略縦断面図、同図(c),(d) は封止工程の
ポッティング材注入状態を示す要部断面図、同図(e) は
従来の他の封止工程に用いられるアダプタ装着状態を示
す概略縦断面図、同図(f),(g) は同図(e) のアダプタを
用いた場合のポッティング材注入状態を示す要部断面図
である。

【符号の説明】

１ 中空糸膜モジュール ２ モジュールケース ２１ 開口端部 ３ 中空糸膜 ３１ 最外周の中空糸膜 ４ ポッティング剤（封止材） ５ 接合部 ６ アダプタ ７ 台 ８ 注入口 ９ 通路 １０ 融けしろ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 モジュールケース内に多数本の中空糸膜
   の束を挿入し、 モジュールケース開口端部近傍の中空糸膜をモジュール
   ケースに接合し、 その後、束ねた中空糸膜の端面側からモジュールケース
   の開口部に封止材を注入して各中空糸膜間の隙間および
   中空糸膜とモジュールケース間の隙間を封止することを
   特徴とする中空糸膜モジュールの封止方法。