JPH0623117Y2 - 薄形スピーカ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、振動板に圧電セラミック素子が貼着された圧
電発音体エレメントを利用した薄形スピーカに関する。

（従来の技術） 従来、スピーカとして、磁石とコイルによりコーン状振
動板を駆動させるダイナミック型スピーカが一般的に知
られているが、第８図(A)のように、圧電セラミック粉
末ａと樹脂ｂとを複合化した薄形スピーカや、第８図
(B)ように、振動板ｃに圧電セラミック素子板ｄが貼着
された圧電発音体エレメントｅをケースｆに装着し、該
ケースｆをパネルｇに取付けたスピーカも知られてい
る。

（考案が解決しようとする課題） 前記ダイナミック型スピーカは、形状が大きいと共に消
費電力が大きいので最近の電子機器の発音部として用い
るのには適当でなく、また磁気を発生するので磁気テー
プや磁気カード等の付近に装着することができない。

第８図(A)に示すものは、軽量で薄く、しかも磁気を用
いていないので磁気テープ等に悪影響を及ぼすことがな
い利点があるが、電気−音響変換効率が悪いため小さな
音圧しか得られない欠点がある。また、第８図(B)に示
すものは、第８図(A)に示すものに比べて大きな音圧が
得られるものの、パネルｇのために振動板ｃの振動を充
分に外部へと伝えることが出来ず、パネルｇを直接駆動
する結果となって比較的大きなパワーが必要となる欠点
があり、またパネルｇの片面にケースｆが突出するた
め、パネルｇの両面を有効に活用できない不都合が存す
ると共に突出した該ケースｆが壁面等に触れると振動が
制限され、ノイズが入って音質が低下する不都合を生ず
る。

本考案は、簡単にパネルに取付けることができ、パネル
の両面に大きな音圧が得られると共に両面を有効に利用
できる薄形スピーカを提供することを目的とするもので
ある。

（課題を解決するための手段） 本考案では、振動板に圧電セラミック素子板を貼着した
圧電発音体エレメントの一方の面を弾性板で覆い、該エ
レメントの他方の面に該弾性板よりも大面積で表面に接
着剤を塗布した大面積弾性板を重合貼着すると共に該一
方の面を覆う弾性板も該大面積弾性板に該接着剤で貼着
重合し、該大面積弾性板の該接着剤を塗布した表面の周
縁を、貫通した放音孔を有する２枚の重合されたパネル
であって一方のパネルの放音孔を他方のパネルの放音孔
よりも孔径を大きく形成して互いに連通させることによ
り形成した段部に貼着して、前記目的を達成するように
した。

（作用） 圧電発音体エレメントは、その一方の面を覆う弾性板と
他方の面に貼着した大面積弾性板とで全体が覆われ、大
面積弾性板の周縁に露出する接着剤面を重合したパネル
の放音孔内の段部に貼着することにより簡単にパネルへ
の取付けができる。弾性板により該圧電発音体エレメン
トが被包され、放音孔内に該弾性板の表面が露出して位
置するので、外部からの衝撃による該エレメントの損傷
や外部の物体との接触による音質の低下を防止でき、パ
ネルの両面に放音孔から大きな音圧が得られ、パネルの
両面に突起物がないのでその両面を有効に利用できる。

（実施例） 本考案の実施例を図面につき説明すると、第１図に於い
て符号(1)は圧電セラミック素子板、(2)は表面が導電性
を有する金属、プラスチック等の振動板で、該振動板
(2)の導電面に圧電セラミック素子板(1)を貼着してユニ
モルフ構成の略円形の圧電発音体エレメント(3)が形成
される。(4)は例えば0.5〜１mm程度の厚さの発泡弾性体
からなる大面積弾性板で、該大面積弾性板(4)は圧電発
音体エレメント(3)の径および後記の弾性板(6)の径より
大きく、該大面積弾性板(4)の片面に粘着性の接着剤(5)
が塗布され、圧電発音体エレメント(3)の一面に貼着さ
れる。弾性板(6)は、例えば0.5〜１mm程度の厚さの発泡
弾性体からなり、該圧電発音体エレメント(3)と同径以
上に形成され、該エレメント(3)のもう一方の面を保護
すべく覆って前記接着剤(5)により前記大面積弾性板(4)
に貼着される。(11a)及び(11b)は圧電セラミック素子板
(1)の電極及び振動板(2)の導電面に夫々半田付けされた
リード線である。

両面が大面積弾性板(4)と弾性板(6)で覆われた圧電発音
体エレメント(3)は第２図(A)(B)に見られるように、２
枚の重合したパネル(9)(10)の互いに連通した放音孔(7)
(8)の内部に取付される。これを更に説明すると、一方
のパネル(9)に貫通形成した放音孔(7)の孔径を他方のパ
ネル(10)に貫通形成した放音孔(8)よりも大きく形成
し、該エレメント(3)を、これらのパネル(9)(10)を重合
したとき放音孔(7)(8)間に形成される段部に、前記大面
積弾性板(4)の周縁の接着剤(5)を貼着させて取付け、各
弾性板(4)(6)の各表面が第２図(C)(D)に見られるように
各放音孔(7)(8)内に露出するようにした。

その更に具体的な実施例を説明すると、圧電発音体エレ
メント(3)を、直径が44mm、厚さ0.05mmの円形の真鍮製
振動板(2)の一面に、直径が32mm、厚さ0.05mmの円形の
圧電セラミック素子板(1)を貼合せて４個製作し、この
各エレメント(3)を、片面に接着剤(5)を塗布した発泡ウ
レタン製の厚さが夫々0.8mmで直径が55mmの大面積弾性
板(4)及び直径が46mmの弾性板(6)で挟み、更に第３図及
び第４図示のように間隔を存して594×420mm、厚さ0.2c
mの２枚のパネル(9)(10)間の放音孔(7)(8)の段部に該接
着剤(5)で貼着して取付け、該パネル(9)(10)の周縁をア
ルミニウム製のフレーム枠(12)で固定して薄型スピーカ
とした。このスピーカの周波数特性は第７図の曲線で示
すように、音圧も高く良好な特性であった。

尚、該圧電発音体エレメント(3)はバイモルフ構成のも
のであってもよく、また、パネル(9)(10)の外面には、
第５図及び第６図に見られるように写真、広告、絵等の
表示物(13)を貼ることも可能である。

（考案の効果） 以上のように本考案によるときは、圧電発音体エレメン
トの片面を弾性板で覆い、該エレメントの他面に該弾性
板よりも大きく接着剤を塗布した大面積弾性板を貼着重
合すると共に該一方の面を覆う弾性板も該大面積弾性板
に該接着剤で貼着重合し、該大面積弾性板の周縁を、２
枚の重合されたパネルに夫々形成した径の異なる放音孔
の段部に貼着したので、組立てた該エレメントをパネル
を重合して形成される放音孔内の段部に貼着するだけで
簡単に薄型スピーカを製作でき、放音孔内に圧電発音体
エレメントを被包する弾性板の表面が露出して位置する
ので、外部からの衝撃による該エレメントの損傷や外部
の物体との接触による音質の低下を防止でき、パネルの
両面に放音孔から大きな音圧が得られ、パネルの両面に
突起物がないのでその両面を有効に利用できる等の効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の実施例を示すもので、第１
図は圧電発音体エレメントの拡大断面図、第２図(A)(B)
(C)(D)はパネルに圧電発音体エレメントを取付けた状態
の説明図、第３図は本考案の他の実施例の正面図、第４
図は第３図の一部拡大断面図、第５図は本考案の更に他
の実施例の正面図、第６図は第５図の一部拡大断面図、
第７図は第４図示の実施例の周波数特性線図、第８図
(A)(B)は従来例の断面図である。 (1)……圧電セラミック素子板 (2)……振動板 (3)……圧電発音体エレメント (4)……大面積弾性板 (5)……接着剤 (6)……弾性板 (7)(8)……放音孔 (9)(10)……パネル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】振動板に圧電セラミック素子板を貼着した
   圧電発音体エレメントの一方の面を弾性板で覆い、該エ
   レメントの他方の面に該弾性板よりも大面積で表面に接
   着剤を塗布した大面積弾性板を重合貼着すると共に該一
   方の面を覆う弾性板も該大面積弾性板に該接着剤で貼着
   重合し、該大面積弾性板の該接着剤を塗布した表面の周
   縁を、貫通した放音孔を有する２枚の重合されたパネル
   であって一方のパネルの放音孔を他方のパネルの放音孔
   よりも孔径を大きく形成して互いに連通させることによ
   り形成した段部に貼着したことを特徴とする薄形スピー
   カ。