JPH06228216A - pH応答性多孔質重合体の製造方法 - Google Patents

pH応答性多孔質重合体の製造方法

Info

Publication number
JPH06228216A
JPH06228216A JP1607793A JP1607793A JPH06228216A JP H06228216 A JPH06228216 A JP H06228216A JP 1607793 A JP1607793 A JP 1607793A JP 1607793 A JP1607793 A JP 1607793A JP H06228216 A JPH06228216 A JP H06228216A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
energy rays
monomer
rays
polymer
polymerizable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1607793A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunari Sakai
一成 酒井
Rika Kimura
理香 木村
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP1607793A priority Critical patent/JPH06228216A/ja
Publication of JPH06228216A publication Critical patent/JPH06228216A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 エネルギー線の照射により重合可能なイオン
性モノマー、エネルギー線の照射により架橋可能なモノ
マーおよび/またはオリゴマー、およびこれらの混合物
と相溶し、該混合物にエネルギー線を照射することによ
り生成した重合体とは相溶せず、かつエネルギー線に対
して不活性な化合物とを含有した均一な重合性液体にエ
ネルギー線を照射することにより、pH応答性多孔質重
合体を得る。 【効果】 本発明は、高い濾過速度、吸着速度、放出速
度を有し、pH変化に対する応答速度が高く、pH変化
に応じて、ろ過速度、吸着速度、放出速度等が短時間に
変化し、また任意の形状の多孔質重合体を容易に成形で
きるpH応答性多孔質重合体の製造方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品工業、医薬品工
業、電子工業、排水処理、人工臓器、海水の淡水化等の
種々のプロセスにおいて、タンパク、コロイド、バクテ
リヤ、ウイルス、塩等の分離の目的で使用される限外濾
過膜、逆浸透膜、精密濾過膜、吸着剤、クロマトグラフ
ィー用充填剤等、薬剤の徐放の目的で使用されるドラッ
グデリバリーシステム等に用いられるのpH応答性の多
孔質重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、上記産業分野等におけるプロセス
の高度化により、単なるろ過分離、吸着等では、充分ニ
ーズに対応してゆくことができなくなりつつある。その
ような背景から、外部からの信号および刺激に対し自ら
の機 能を変化させるという刺激応答性材料によるイン
テリジェントシステムの開発が注目を集めている。
【0003】刺激応答性材料の1つとして、置かれた環
境のpH変化により膨潤収縮を行う含水ゲル状重合体が
発見され、ドラッグデリバリーシステム、ろ過膜等への
応用が盛んに研究されている。例えば、POLYMER
PREPRINTS,JAPAN,41、(199
2)665、POLYMER,31,(1990)21
57、POLYMER PREPRINTS,JAPA
N,39,(1990)1328にろ過膜としての応用
が記載されている。
【0004】また、JOURNAL OF CONTR
OLLED RELEASE,8,(1988)179
−182、POLYMER COMMUNICATIO
N,29,(1988)204−208、JOURNA
L OF CONTROLLED RELEASE,1
5,(1991)141−152にドラグデリバリーシ
ステムへの応用につき記載されている。これらの例で
は、イオン性モノマーと架橋可能なモノマーおよび/ま
たはオリゴマーの混合物の熱重合により含水ゲル状重合
体を成形していることから、その構造にはゲル網目以上
の孔を有さない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した熱重合により
含水ゲル状重合体は、実用に供する上で充分な性能を有
するとは言えない。即ち、ろ過膜、吸着剤、ドラッグデ
リバリーシステム等に用いた場合、ろ過速度、吸着速
度、放出速度等が該重合体内での水、電解質、薬剤の拡
散に支配されるため、非常に遅いという問題点を有す
る。またpH変化により、ろ過速度、吸着速度、放出速
度等が変化する時間が長すぎる、即ち応答が遅いという
問題点も有する。
【0006】本発明の目的は、ろ過膜、吸着剤、ドラッ
グデリバリーシステム等に用いた場合、ろ過、吸着、放
出等に充分な速度を有し、pH変化により、ろ過速度、
吸着速度、放出速度等が短時間で変わり得るpH応答性
多孔質重合体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成す
るに至った。
【0008】
【構成】即ち本発明は、エネルギー線の照射により重合
可能なイオン性モノマー(A)と、エネルギー線の照射
により架橋可能なモノマーおよび/またはオリゴマー
(B)と、これらの混合物(A+B)と相溶し、該混合
物(A+B)にエネルギー線を照射することにより生成
したポリマーと相溶せず、かつエネルギー線に対して不
活性な化合物(C)とを含有した均一な重合性液体にエ
ネルギー線を照射した後、必要に応じ該化合物(C)を
除去することを特徴とする、pH応答性の多孔質重合体
の製造方法およびpH応答性多孔質重合体カプセルの製
造方法である。
【0009】ここで云うイオン性モノマーとは、適当な
pH領域でイオン解離し得る官能基を有するモノマーで
あり、本発明に用いられるエネルギー線の照射により重
合可能なイオン性モノマー(A)としては、例えば、カ
ルボキシル基、スルホン基またはアミノ基を有する重合
性のモノマーがあり、より具体的には、アクリル酸、メ
タクリル酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリル
アミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
【0010】N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルア
ミド等をあげることができる。これらの中で、カルボキ
シル基含有(メタ)アクリレートまたは第3級アミノ基
含有(メタ)アクリレートが、重合速度が速く、また適
当なpH応答性を有するために特に好ましい。
【0011】本発明に用いられるエネルギー線により架
橋可能なモノマー(B)としては、通常用いられるエネ
ルギー線により架橋可能なモノマーは、いずれも用いる
ことができるが、イオン性モノマー(A)と相溶可能な
モノマーが好ましく、代表的には1分子内に2以上の二
重結合を有するモノマーであり、例えば、メチレンビス
アクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、ジエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、
【0012】2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイ
ルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,
2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロ
ピレンオキシフェニル)プロパン等の2官能モノマー、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシ
アヌレートトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマ
ー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
等の4官能モノマー、ジペンタエリスリト−ルヘキサア
クリレート等の6官能モノマー等が挙げられる。これら
のモノマーを混合して用いることも勿論可能である。
【0013】本発明に用いられるエネルギー線照射によ
り架橋可能なオリゴマーとしては、例えば、エネルギー
線照射で重合可能で、重量平均分子量が500〜500
00の、1分子内に2以上の二重結合を有するオリゴマ
ーであり、通常用いられるエネルギー線により架橋可能
なオリゴマーは、いずれも用いることができるが、イオ
ン性モノマー(A)およびエネルギー線により架橋可能
なモノマー(B)と相溶可能なオリゴマーが好ましく、
より具体的には、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、ポ
リブタジエン樹脂またはポリウレタン樹脂のオリゴマー
であり、
【0014】例えばエポキシ樹脂のアクリル酸エステル
またはメタクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂のアク
リル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、ポリブタ
ジエン樹脂のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エ
ステル、分子末端にアクリル基またはメタクリル基を有
するポリウレタン樹脂等を挙げることができる。もちろ
んこれらのオリゴマ−同士を混合して用いることもでき
るし、モノマーと混合して用いることもできる。
【0015】本発明においては、pH応答性多孔質重合
体の強度、伸度、硬度、膨潤度、応答速度などを調節す
る目的で、モノマーおよび/またはオリゴマー(B)以
外に、エネルギー線重合性の、非イオン性のモノマーお
よび/またはオリゴマー(D)を加えることができる。
モノマーおよび/またはオリゴマー(D)としては、通
常用いられるモノマーおよびオリゴマーをいずれも用い
ることができるが、イオン性モノマー(A)およびエネ
ルギー線により架橋可能なモノマー(B)と相溶可能な
オリゴマーが好ましく、具体的には単官能のモノマーま
たはオリゴマーであり、例えば、アクリルアミド、メタ
クリルアミド、
【0016】ポリエチレングリコール(メタ)アクリレ
ート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレ
ート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレ
ート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、n−
ビニルピロリドン、イソボルニル(メタ)アクリレー
ト、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシク
ロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレートなどを挙
げることができる。
【0017】本発明に用いられる化合物(C)として
は、混合物(A+B)と相溶し、該混合物(A+B)に
エネルギー線を照射することにより生成した重合体とは
相溶せず、かつエネルギー線に対して不活性なものであ
れば特に限定は無いが、水、一価または多価アルコール
類、カプリン酸メチル等のアルキルエステル類、ジイソ
ブチルケトン等のジアルキルケトン類、液状ポリエチレ
ングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ルのモノエステ
ル、ポリエチレングリコールのモノエーテル、ポリエチ
レングリコールソルビタンモノエステル、ポリエチレン
グリコールソルビタンジエステル、ポリエチレングリコ
ールソルビタントリエステル、
【0018】ポリエステルポリオール、ポリエチレング
リコ−ルアミン等のオリゴマー類、酢酸セルロース、エ
チルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシメチル
セルロース、キトサン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカ−ボネ−ト、ポリスルホン、ポリエ−テルス
ルホン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリア
クリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリメチルメタク
リレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテ
ル、ポリビニルアルコールおよびこれらの共重合体等の
ポリマー類が挙げられる。なかでも、重量平均分子量が
200〜10000であるオリゴマー類が好適に用いら
れる。
【0019】もちろん、化合物(C)は上記のモノマー
やオリゴマー同士、あるいはこれらを含む混合物であっ
てよい。また本発明のpH応答性多孔質重合体から化合
物(C)を除去する必用がある場合は、該化合物(C)
水溶性であることが除去しやすい為、生産性の面で好ま
しい。
【0020】重合性液体の粘度は、目的とする多孔質体
の形状や製膜方法により変わり得るが、25℃において
1〜1000000cpsであることが好ましく、10
0〜10000cpsであることがさらに好ましい。こ
の範囲外では製造条件の制約が強くなる。
【0021】本発明に用いられるエネルギー線として
は、電子線、γ線、X線、紫外線、可視光線等を挙げる
ことが出来る。なかでも装置および取扱いの簡便さから
紫外線が最も好ましい。照射する紫外線の強度は、10
〜5000mw/cm2が好ましく、照射時間は、0.
01〜100秒が好ましい。紫外線の照射を不活性ガス
雰囲気下で行うことによって、重合速度を速めることも
好ましい。エネルギ−線として紫外線を用いる場合に
は、重合速度を速める目的で、重合性溶液に紫外線重合
開始剤を含有させることも好ましい。
【0022】本発明に使用される紫外線重合開始剤とし
ては特に制約を設ける必要は無いが、重合性溶液に溶解
可能な物が好ましく、例えばp−tert−ブチルトリ
クロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフ
ェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン −1−オン、等のアセトフェノン類;ベンゾフ
ェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノ
ン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサン
トン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチ
オキサントン等のケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメ
チルエーテル、
【0023】ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾ
インイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベ
ンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフ
ェニルケトン等のベンジルケタール類等を挙げることが
できる。本発明に於いて重合性液体が水溶液である場
合、重合性液体のpHは、モノマーおよび/またはオリ
ゴマーの混合物(A+B)から生成する重合体と化合物
(C)が相分離するpHであることが好ましい。相分離
しないpH領域での重合で得られた重合体は、多孔質構
造の形成が不完全となり、pH応答性が不十分となる。
【0024】成形された重合体が多孔質構造であること
は、ポリマー分子やコロイド物質などが重合体を透過す
るか否かで判定でき、透過可能な物質の分子量から細孔
の寸法が判定できる。
【0025】本発明の製造方法により作製される多孔質
重合体の形状については何ら制約はなく、例えば、塊
状、板状、フィルム状、糸状、網状、粒状、中空糸状、
管状、カプセル状その他任意の形状であってよい。所望
する形状に成形した状態でエネルギー線を照射すること
により、あるいはエネルギー線の照射により硬化させた
後整形することにより所望の形状のpH応答性多孔質重
合体を得ることができる。
【0026】例えば、フィルム状の多孔質体を製造する
場合、金属板などの支持体上に重合性液体をキャスト
し、エネルギー線を照射した後、必要に応じて支持体か
ら剥離して目的物を得ることができる。また、二重円環
ノズルを用いて重合性液体を気体中に押し出し、自然落
下中にエネルギー線を照射することにより硬化させて中
空糸状、管状、またはカプセル状の多孔質体を得ること
ができる。本発明の製造方法で得られたpH応答性多孔
質重合体を用いて製造したカプセルは、pH変化に依存
して収縮・膨潤、あるは開孔し、カプセル内の内容物を
放出する。これらのpH応答性多孔質重合体で作られた
カプセルは、医薬、農薬は無論のこと、化学反応等の工
業用用途にも有用である。
【0027】本発明の多孔質体は、補強材により補強す
ることも可能である。補強材の例としては、糸、布、不
織布、紙、網や、その他の多孔性物質を挙げることがで
きる。多孔質体成形後に補強材と一体化することも可能
であるし、重合性液体と補強材とを接触させた状態でエ
ネルギー線を照射して、一体成形することも可能であ
る。
【0028】本発明のpH応答性多孔質重合体は、補強
材で補強することにより、透過速度の増加や透過/遮断
の流量比の増加が認められるなど、一般的、その応答性
が向上する。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲がこれにより限定されるもの
ではない。
【0030】[実施例1] (膜の作製)イオン性モノマー(A)としてアロニック
スM−5400(東亜合成化学工業(株)製、カルボキ
シル基を有する単官能アクリル酸エステル)を27部、
架橋度調節用に、非イオン性のモノマーおよび/または
オリゴマー(D)としてアロニックスM−101(東亜
合成化学工業(株)製、単官能モノマー)を63部、架
橋可能なモノマーおよび/またはオリゴマー(B)とし
てニュ−フロンティアBPE−4(第一工業(株)製、
EO変成ビスフェノ−ルAジアクリレ−ト)を10部、
化合物(C)としてイソプロピルアルコール(IPA)
120部および
【0031】水50部、紫外線重合開始剤としてイルガ
キュア184(チバガイギ−社製)を混合した均一な重
合性液体をシリコンゴムスペ−サ−を介して硝子板に挟
んだ状態で、メタルハライドランプにて、365nmに
於ける紫外線強度が100mw/cm2 の紫外線を60
秒間照射した後、水洗して、厚み1mm、直径25mm
の円盤型の多孔質重合体を得た。得られた多孔質重合体
は、紫外線照射直後、水洗後ともに白色を呈していた。
【0032】(測定)得られた多孔質重合体を室温にて
pH9.18の緩衝液に浸漬し、緩く攪拌を続けた。浸
漬後5時間で引き揚げて、付着した水をぬぐい去り、そ
の重量を測定したところ、元の重量の1.8倍まで膨潤
し、それ以上おいても変化しなかった。続いて、この膨
潤した多孔質重合体を、室温にてpH4.01の緩衝液
に浸漬し緩く攪拌したところ、1時間で元の重量まで収
縮し、3時間後には元の重量の90%にまで収縮し、ほ
ぼ一定となった。
【0033】さらにこの多孔質重合体を、pH2〜11
の範囲で約pH1ずつ大きくなる緩衝液に、順次各24
時間浸漬し、その重量変化を測定したところ、pHが2
〜5の範囲ではほとんど変化が無く、pH7ではpH2
での重量の1.5倍、pH8で1.9倍、P10で2.
1倍,pH12で2.4倍に膨潤した。
【0034】[実施例2] (膜の作製)実施例1で用いたと同じ重合性液体中に不
織布(日本バイリ−ン製、MF−180)を浸し、重合
性液体の容器ごと超音波洗浄機に5分間かけて脱泡した
後、不織布を引き上げて硝子板上に置き、バ−コ−タ−
(#7)にて余分な液を落とした。続いて、メタルハラ
イドランプにて、365nmに於ける紫外線強度が10
0mw/cm2の紫外線を60秒間照射し、水洗して、
不織布にて補強された膜を得た。
【0035】(測定)得られた膜を全濾過型ロ過試験器
に装着し、膜の一方に分子量150000のポリエチレ
ングリコ−ルの0.01重量%水溶液を3.0kgf/
cm2Gの圧力で導入し、他の側を大気圧解放として、
ロ過試験を行ったところ、ロ液のポリエチレングリコ−
ル濃度は、原液と同じ0.01重量%であった。このこ
とから、この膜は分子量150000のポリエチレング
リコ−ルが透過する細孔を有する多孔質膜であることが
分かる。
【0036】[実施例3] (膜の作製)イオン性モノマー(A)としてアロニック
スM−5400を40部、架橋度調節用の非イオン性の
モノマーおよび/またはオリゴマー(D)としてアロニ
ックスM−101を60部、架橋可能なモノマーおよび
/またはオリゴマー(B)としてニュ−フロンティアB
PE−4を10部、化合物(C)として分子量1000
0のポリビニルピロリドン(PVP)100部および
N,Nージメチルアセトアミド(DMAC)を150
部、
【0037】紫外線重合開始剤としてイルガキュア18
4を7部混合した均一な重合性液体をシリコンゴムスペ
−サ−を介して硝子板に挟んだ状態で、メタルハライド
ランプにて、365nmに於ける紫外線強度が100m
w/cm2の紫外線を60秒間照射し、水洗して、厚み
1mm、直径25mmの円盤型の多孔質重合体を得た。
得られた多孔質重合体は、紫外線照射直後は透明であっ
たが、水洗すると半透明白色となった。
【0038】(測定)得られた多孔質重合体を室温にて
pH9.18の燐酸系緩衝液に浸漬し、緩く攪拌を続け
たところ、浸漬後5時間で元の重量の3倍まで膨潤し、
浸漬後10時間で3.6倍にまで膨潤し、さらにそれ以
上おいても変化しなかった。続いて、この膨潤した多孔
質重合体を、室温にてpH4.01の燐酸系緩衝液に浸
漬し緩く攪拌したところ、2時間で元の重量の2倍まで
収縮し、5時間で元の重量の1.3にまで収縮した。
【0039】[実施例4] (膜の作製)実施例3で用いたと同じ重合性液体中に不
織布(日本バイリ−ン製、MF−180)を浸し、重合
性液体の容器ごと超音波洗浄機に5分間かけて脱泡した
後、不織布を引き上げて硝子板上に置き、バ−コ−タ−
(#7)にて余分な液を落とした。続いて、メタルハラ
イドランプにて、365nmに於ける紫外線強度が10
0mw/cm2の紫外線を60秒間照射し、水洗して、
不織布にて補強された膜を得た。
【0040】(測定)得られた膜をクロスフロー型限外
濾過試験器にて膜の一方に0.5kgf/cm2Gの圧力
を掛け、他の側を大気圧解放として、透過流束の試験を
行った。原液として、pH=4.01の緩衝液と9.1
8の緩衝液を30分ごとに交換するサイクルテストを行
ったところ、図1に示すような結果を得た。遮断→透過
および透過→遮断の両方向ともに、分オーダーの速い応
答速度を示し、繰り返し再現性があることが分かる。
【0041】また原液として、分子量150000のポ
リエチレングリコ−ルを0.01重量%溶解させたpH
=4.01の緩衝液を用いたところ、濾過液のポリエチ
レングリコ−ル濃度も原液と同じ0.01重量%であっ
た。このことから、この膜は分子量150000のポリ
マーが透過する連通孔を有する多孔質膜であることが分
かる。
【0042】[実施例5] (膜の作製)アロニックスM−101を使用しなかった
こと以外は実施例3と同様にして多孔質重合体を作製し
た。
【0043】(測定)得られた多孔質重合体を室温にて
pH9.18の緩衝液に浸漬し、緩く攪拌を続けたとこ
ろ、浸漬後5時間で元の重量の1.4倍、浸漬後10時
間で元の重量の1.7倍に膨潤し、さらにそれ以上置い
ても変化しなかった。続いて、この膨潤した多孔質重合
体を、室温にてpH4.01の緩衝液に浸漬し緩く攪拌
したところ、2時間で元の重量の1.2倍まで収縮し、
4時間で元の重量の1.1倍にまで収縮した。架橋密度
が高いと変化量が少なくなることが分かる。
【0044】[実施例6] (膜の作製)直径5mmの二重円環ノズルの環状スリッ
トから、実施例2で用いたと同じ重合性液体を窒素雰囲
気中に押し出し、二重円環ノズルの中心孔からは、芯剤
として分子量50000のポリエチレングリコールの
0.01%水溶液を押し出し、自然落下させつつ、液滴
となった付近を365nmにおける紫外線強度が600
mw/cm2の紫外線を照射することにより、直径約3
mmの球状の、ポリエチレングリコール水溶液を包含す
るカプセルを得た。
【0045】(測定)このカプセルをpH9.18の緩
衝液中に浸漬したが、30分後にも緩衝液中にポリエチ
レングリコールは検出されなかった。続いて、このカプ
セルをpH=4.01の緩衝液中に投入したところ、速
やかに直径約2.8mmに収縮し、1分後には緩衝液中
にポリエチレングリコールが検出された。
【0046】[比較例1] (膜の作製)化合物(C)である分子量10000のポ
リビニリピロリドン(PVP)およびN,Nージメチル
アセトアミド(DMAC)を加えなかったこと以外は実
施例3と同様にして高分子膜を作製した。得られた膜
は、寸法は同じであったが、紫外線照射後、水洗後とも
に透明であった。
【0047】(測定)得られた非多孔質重合体について
実施例2と同様の測定を行った。pH9.18の緩衝液
浸漬後の重量変化は、17時間後に元の重量の1.2
倍、25時間後に1.3倍と、膨潤速度が極めて遅いも
のであった。
【0048】[比較例2]化合物(C)である分子量1
0000のポリビニリピロリドン(PVP)およびN,
Nージメチルアセトアミド(DMAC)を加えなかった
こと以外は実施例4と同様にして不織布で補強された膜
を作製した。
【0049】この膜使用して、実施例4と同様のロ過試
験を行ったが、pH=9.18の緩衝液、pH=4.0
1の緩衝液ともに透過流束は測定限界(0.1l/m2
h)以下であった。このことから、この膜は非多孔質膜
であることが分かる。
【0050】[比較例3]イオン性モノマー(A)であ
るアロニックスM−5400を使用せず、非イオン性モ
ノマーであるアロニックスM−101を100部とした
こと以外は実施例4と同様にして、不織布で補強された
膜を得た。
【0051】得られた膜を使用して実施例4と同様の試
験を行ったが、緩衝液の透過流速はpHを変えても約4
00l/m2・hで全く変化せず、この膜はpH応答性を
有しないことが分かる。
【0052】また原液として、分子量150000のポ
リエチレングリコ−ルを0.01重量%溶解させたpH
=9.18の緩衝液を用いたところ、濾過液のポリエチ
レングリコ−ル濃度も原液と同じ0.01重量%であっ
た。このことから、この膜は分子量150000のポリ
マーが透過する連通孔を有する多孔質膜であることが分
かる。
【0053】
【発明の効果】本発明は、高い濾過速度、吸着速度、放
出速度を有し、pH変化に対する応答速度が高く、pH
変化に応じて、ろ過速度、吸着速度、放出速度等が短時
間に変化し、また任意の形状の多孔質重合体を容易に成
形できるpH応答性多孔質重合体の製造方法を提供でき
る。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】
【0026】図1は、実施例4の測定条件と測定結果を
示す図である。図下段にろ過原液のpHの時間変化
(分)を示し、図上段にはpHの時間変化に依存した膜
の透過流束(l/m2・h)を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギー線の照射により重合可能なイ
    オン性モノマー(A)と、エネルギー線の照射により架
    橋可能なモノマーおよび/またはオリゴマー(B)と、
    これらの混合物(A+B)と相溶し、該混合物(A+
    B)にエネルギー線を照射することにより生成したポリ
    マーと相溶せず、かつエネルギー線に対して不活性な化
    合物(C)とを含有した均一な重合性液体にエネルギー
    線を照射した後、必要に応じ該化合物(C)を除去する
    ことを特徴とするpH応答性多孔質重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 エネルギー線の照射により重合可能なイ
    オン性モノマー(A)が、カルボキシル基含有(メタ)
    アクリレートである請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 化合物(C)が水溶性物質である請求項
    1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 重合性液体が、モノマーおよび/または
    オリゴマー(B)以外に、エネルギー線の照射により重
    合可能な非イオン性のモノマーおよび/またはオリゴマ
    ー(D)をも含有するものである請求項1、2または3
    記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 重合性液体を補強材と接触させた状態で
    エネルギー線を照射することによって、補強材により補
    強されたpH応答性多孔質重合体を製造することを特徴
    とする、請求項1〜4の何れか1つに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 エネルギー線が、紫外線または電子線で
    ある請求項1〜5の何れか1つに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5の何れか1つに記載の製造
    方法によるpH応答性多孔質重合体カプセルの製造方
    法。
JP1607793A 1993-02-03 1993-02-03 pH応答性多孔質重合体の製造方法 Pending JPH06228216A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1607793A JPH06228216A (ja) 1993-02-03 1993-02-03 pH応答性多孔質重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1607793A JPH06228216A (ja) 1993-02-03 1993-02-03 pH応答性多孔質重合体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06228216A true JPH06228216A (ja) 1994-08-16

Family

ID=11906500

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1607793A Pending JPH06228216A (ja) 1993-02-03 1993-02-03 pH応答性多孔質重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06228216A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1266686A1 (en) * 2000-02-16 2002-12-18 Sekisui Chemical Co., Ltd. Hydrophobic substance adsorbents
JP2009521556A (ja) * 2005-12-21 2009-06-04 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー マクロ孔質カチオン交換樹脂の製造方法
JP2011202198A (ja) * 2010-03-24 2011-10-13 Fujitsu Ltd 液質調整剤、これを用いた液質調整装置および水冷システム
US8338497B2 (en) 2005-12-21 2012-12-25 3M Innovative Properties Company Method of making macroporous anion exchange resins
US8349906B2 (en) 2006-07-28 2013-01-08 3M Innovative Properties Company Method of making macroporous cation exchange resins

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1266686A1 (en) * 2000-02-16 2002-12-18 Sekisui Chemical Co., Ltd. Hydrophobic substance adsorbents
EP1266686A4 (en) * 2000-02-16 2003-03-12 Sekisui Chemical Co Ltd HYDROPHOBIC ADSORBERS
JP2009521556A (ja) * 2005-12-21 2009-06-04 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー マクロ孔質カチオン交換樹脂の製造方法
US8338496B2 (en) 2005-12-21 2012-12-25 3M Innovative Properties Company Method of making macroporous cation exchange resins
US8338497B2 (en) 2005-12-21 2012-12-25 3M Innovative Properties Company Method of making macroporous anion exchange resins
US8349906B2 (en) 2006-07-28 2013-01-08 3M Innovative Properties Company Method of making macroporous cation exchange resins
JP2011202198A (ja) * 2010-03-24 2011-10-13 Fujitsu Ltd 液質調整剤、これを用いた液質調整装置および水冷システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5236588A (en) Asymmetric polymer membrane and preparation thereof
Susanto et al. Photografted thin polymer hydrogel layers on PES ultrafiltration membranes: characterization, stability, and influence on separation performance
US5889073A (en) Process for producing material with hydrophilic surface
JP3084292B2 (ja) 多孔質複合膜と方法
JP5308667B2 (ja) 非架橋ゲルポリマーを含んで成る複合材料
CA2866300C (en) Resilient anion exchange membranes prepared by polymerizing ionic surfactant monomers
JPH03186325A (ja) 侵入型網状構造重合体から形成した親水性表面を有する多孔性膜及びその製造方法
JPH107835A (ja) 多孔質体の製造方法および多孔質体
WO2017045114A1 (en) Forward osmosis draw material
JP3287415B2 (ja) 多孔質高分子膜の製造方法
JP2010189663A (ja) 空間的に制御された改質多孔膜
JP2004510859A (ja) Pesおよびpsf膜のuv補助グラフト処理方法
Ghazinezhad et al. A review of frontal polymerization in the chemical industry
JPH06228215A (ja) 感温性多孔質重合体の製造方法
JPH06228216A (ja) pH応答性多孔質重合体の製造方法
Uredat et al. A review of stimuli-responsive polymer-based gating membranes
JP3156955B2 (ja) 連結されたミクロゲル粒子の製造方法及びそれで処理された物品
JPS63190602A (ja) 親水化多孔質膜及びその製造方法
JP3131951B2 (ja) 非対称性高分子膜及びその製造方法
JP3513965B2 (ja) 耐ファウリング性多孔質膜およびその製造方法
JP2000351806A (ja) 重合性組成物、該組成物を用いた多孔質体の製造方法及び該製造方法による精密濾過膜
KR101816284B1 (ko) 광중합 유도 상분리 현상을 이용한 고분자 반투과성 미세캡슐 및 이의 제조방법
JPH0259029A (ja) 親水性表面を有する多孔質膜及びその製造方法
JPH06312135A (ja) 多孔質吸着体
JP5930015B2 (ja) 温度応答性多孔質体及びその製造方法