JPH06226423A

JPH06226423A - 通気性鋳型による薄肉鋳物の製造方法

Info

Publication number: JPH06226423A
Application number: JP5016226A
Authority: JP
Inventors: Hisataka Deki; 尚隆出来; Kimio Kubo; 公雄久保
Original assignee: Hitachi Metals Ltd
Current assignee: Proterial Ltd
Priority date: 1993-02-03
Filing date: 1993-02-03
Publication date: 1994-08-16

Abstract

(57)【要約】【目的】ステンレス鋳鋼や耐熱鋳鋼鋳物などでの薄肉
鋳物を、不廻り、ブローホール等の鋳造欠陥がなく、生
産性の良い最適な製造方法を提供する。【構成】通気性鋳型内での溶湯の最終充填部近傍に押
湯および／または吐かせ、その近傍に減圧吸引口を設
け、減圧吸引口と押湯および／または吐かせ、中空中子
幅木の間に、通気性鋳型より通気度の大きい吸引部材で
接続して減圧、減圧吸引口側キャビティ内を湯口側キャ
ビティ内より減圧度を大きくして鋳造する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は薄肉鋳物を製造するに当
たり、特に薄肉ステンレス鋳鋼及び耐熱鋳鋼鋳物の不廻
り、ブローホール等の鋳造欠陥のない鋳鋼鋳物を生産性
良く製造するのに最適な製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】部分的に５ｍｍ以下の肉厚を持つ薄肉鋳
物は、溶湯が注湯され鋳型と接触した後の凝固の進行が
早い。このため、溶湯の流動性が悪くなり、不廻り欠陥
等が発生し易くなる。

【０００３】また、複雑な形状をした薄肉鋳物は、鋳造
時、空気や鋳型から発生するガスを溶湯中に巻き込みや
すく、凝固後の鋳物にブローホール等のガス欠陥が発生
し易く、健全に鋳造することは極めて困難である。

【０００４】これを解決する一般的な方法としては、ロ
ストワックス鋳造法がある。このロストワックス鋳造法
は、セラミックス鋳型を用い、鋳造時に鋳型を７００℃
〜９００℃に加熱することにより充填時の溶湯の冷却速
度を遅くし、溶湯の流動性を良くするものである。しか
しながら、高価なセラミックス鋳型を使用するため、鋳
物の製造コストも相当に高くなる。

【０００５】また、溶湯の流動性を向上するものとし
て、鋳型内キャビティを減圧して溶湯を吸引鋳造する減
圧鋳造法「ＣＬＡＳ法」として特公昭６０−３５２２７
号公報の開示があり、薄肉鋳物の鋳造方法として最近用
いられてきている。

【０００６】また、通気性鋳型を内蔵したチャンバーの
内部を減圧吸引後、溶湯を注入する減圧鋳造法として、
特開昭６１−１８０６４２号公報の開示がある。

【０００７】また、特開昭５７−３１４６３号公報に
は、製品キャビティにおける湯口位置から最も離れた位
置に設けた通気孔を介して鋳型の製品キャビティ内を吸
引しながら溶湯を製品キャビティ内に注入し、溶湯の流
動性を向上して薄肉鋳物を鋳造する開示がある。この特
開昭５７−３１４６３号公報では、製品キャビティ内面
の全面を吸引するため、必要部位の吸引効果が少なく、
また、製品キャビティ内で溶湯が乱れて、空気、スラグ
やのろの巻き込みによる鋳造欠陥が発生し易い。

【０００８】これを対策するものとして、特開昭６０−
５６４３９号公報には、製品キャビティにおける溶湯の
最終充填部近傍から石膏鋳型の外表面にかけて、石膏よ
り通気性が良好な耐火材料性フィルタを設けて、製品キ
ャビティの減圧効果を高めて吸引鋳造することにより、
不廻り欠陥がなく、また空気の巻き込みに起因するガス
欠陥のない薄肉鋳物を得る減圧鋳造用石膏鋳型の開示が
ある。

【０００９】また、特開平４−１４７７６０号公報に
は、鋳型空間の必要部位と鋳型外部との間に吸引通路を
形成する吸引ガイドを設けることにより、減圧必要部位
を局所的に減圧して吸引効果を大きくし、また注湯時に
発生するガスは前記吸引に影響されることなく鋳型外部
に自然排気されるようにしてガス欠陥をなくした薄肉鋳
物を鋳造する吸引鋳造用砂鋳型の開示がある。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
公昭６０−３５２２７号公報のものは、鋳型を溶湯中に
浸漬するための鋳型の保持や浸漬する構造等が複雑にな
る。

【００１１】また、特開昭６１−１８０６４２号公報
は、鋳型全体を吸引するため、溶湯の流れが乱れ易くブ
ローホール欠陥等が発生し易く、また、鋳型発生ガスの
爆発の危険性がある。

【００１２】また、特開昭６０−５６４３９号公報は、
鋳型として石膏を用いるために、石膏鋳型製作に多くの
工程を要し、生産性が悪い。また石膏鋳型そのものが通
気性が悪いことにより、キャビティ内の圧力（バックプ
レッシャー）が鋳造時に大きくなり、全体としては湯流
れ性が悪い。

【００１３】また、特開平４−１４７７６０号公報は、
吸引通路を形成する吸引ガイドを砂鋳型に設けるための
工程を要し、まだ生産性が不足し、吸引が局所的である
とともに、吸引通路の通気性が砂鋳型に比べてあまり大
きくないため吸引効果が小さい。

【００１４】本発明は、不廻り、ブローホール等の鋳造
欠陥のない薄肉鋳物を生産性良く安全に低価格で製造す
るのに最適な製造方法を提供することを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る薄肉鋳物の製造方法は、中子を有する通
気性鋳型の製品キャビティにおける溶湯の最終充填部近
傍に押湯および／または吐かせを設け、該押湯および／
または吐かせの近傍に少なくとも１つ以上の減圧吸引口
を前記通気性鋳型内に設け、前記減圧吸引口と該押湯お
よび／または吐かせおよび中空中子幅木のうち少なくと
も１つ以上との間を前記通気性鋳型より通気度の大きい
吸引部材で接続することによって、減圧吸引口側キャビ
ティ内の減圧を湯口側キャビティ内のそれより大きくす
ることを特徴とする。

【００１６】なお、本発明で薄肉鋳物とは少なくとも５
ｍｍ以下の薄肉部をもつ鋳物のことである。また、本発
明で吸引部材とはセラミックフィルタ、主型よりも粒度
の粗い砂を用いた砂鋳型やベントホール等の溶湯が貫通
しない通気性部材のことである。

【００１７】

【作用】上記構成により、減圧吸引口側キャビティ内の
減圧を湯口側キャビティ内のそれより大きくして、溶湯
の流れを乱すことなく溶湯の流動性を確保し向上する。
通気性鋳型内に減圧吸引口を設けることにより、減圧吸
引口周りの通気性が確保され、注湯時の発生ガスを効果
的に除去する。

【００１８】また、搬送装置（図示せず）により通気性
鋳型が所定位置のところで、吸引手段により、通気性鋳
型の外面に開口し吸引部材から減圧装置に接続する減圧
吸引口から減圧吸引される。

【００１９】

【実施例】以下、本発明に係る薄肉鋳物の製造方法につ
き図面を参考にして説明する。

【００２０】（実施例１）図１は本発明に用いる通気性
鋳型の縦断面図、図２は図１の要部拡大見取り図であ
る。図１および図２において、通気性鋳型１は、中空中
子８により外径４５ｍｍ、厚さ２．０ｍｍ、長さ２００
ｍｍの中空円筒のキャビティ２と、その両端に外径８０
ｍｍ、厚さ１０ｍｍのフランジ部と、キャビティ２の外
周面に直径１０ｍｍ、高さ１５ｍｍの２個のボス部を形
成している。通気性鋳型１はコールドボックス型でけい
砂７号を使用している。湯口５は通気性鋳型１の一端近
くに設け、この湯口５に連続して、湯口底にはフィルタ
ー６と堰部７を設けている。湯口５の反対側のフランジ
部には、吐かせ兼用の押湯９を設置している。そして、
吐かせ兼用押湯９近傍には、通気性鋳型１の底面に向け
て開口した減圧吸引口１１を設け、吐かせ兼用押湯９お
よび中空中子８と減圧吸引口１１との間に通気性鋳型１
より通気度の大きい吸引部材１０（本実施例では５号砂
層）を設けている。減圧吸引口１１の開口部に、減圧装
置１２からフレキシブル管の先端部を密着させて減圧吸
引を行っている。実施例１における、時間経過ごとの
鋳型内、湯口側および吸引口側キャビティ部分の圧
力（ｍｍＨｇ）とキャビティ内への注入溶湯量の関係を
調べた。図３（ａ）は一定減圧、図３（ｂ）は減圧制御
によるものを示す。比較のため、中子を中空化しなかっ
た場合の一定減圧の減圧パターンも調べ、図４に示し
た。鋳造した鋳鋼の化学組成を表１に示す。

【００２１】

【表1】鋳造後、通気性鋳型１は押し出し装置でローラコンベヤ
上を次の型ばらしステーションに搬出する。そして、鋳
造前の通気性鋳型１を注湯ステーションに搬入する。上
述の工程を繰り返し、必要とする数の薄肉鋳物を鋳造す
る。

【００２２】前記の方法でフランジ付き円筒状の薄肉鋳
鋼鋳物を、図３に示す実施例の減圧パターン、図４に示
す比較例の減圧パターンでそれぞれ３０個ずつ鋳造し
た。その結果、本発明の実施例の図３（ａ）および図３
（ｂ）では、減圧吸引口側キャビティ内の減圧値は湯口
側キャビティ内のそれより大きく、溶湯の注入速度が速
く、かつ溶湯が乱れにくく、空気の巻き込みが少なく、
全数、不廻り欠陥、リーク欠陥、空気の巻き込み、ブロ
ーホール等の鋳造欠陥がなかった。一方、比較例の図４
では溶湯の注入速度が図３（ａ）および図３（ｂ）に比
べて遅く、１８個が不廻りとなった。

【００２３】（実施例２）図５は本発明の別の実施例を
示す通気性鋳型の水平断面図である。図５において、通
気性鋳型１は中空中子８により外径４０ｍｍ、厚さ２．
３ｍｍの分枝状パイプと、その両端に厚さ１０ｍｍのフ
ランジ部と、パイプの外周面に直径１０ｍｍ、高さ１５
ｍｍの５個のボス部を形成している。通気性鋳型１はコ
ールドボックス型でけい砂６号を使用している。湯口５
は通気性鋳型１の一端近くに設け、湯口５に連続して、
湯口底とフィルター６と堰部を設けている。湯口５の反
対側のフランジ部には、吐かせ兼用の押湯９を設置して
いる。吐かせ兼用押湯９近傍には、通気性鋳型１の底面
に向けて開口した減圧吸引口１１を設け、吐かせ兼用押
湯９及び中空中子８と減圧吸引口１１との間に通気性鋳
型１より通気度の大きい吸引部材１０（本実施例では４
号砂層）を設けている。減圧吸引口１１の開口部に、減
圧装置からのフレキシブル管の先端部を密着させて減圧
吸引を行っている。減圧は先に示した実施例１の図３
（ａ）と同様な一定減圧で行っている。鋳造した鋳鋼の
化学組成を表２に示す。

【００２４】

【表２】鋳造後、通気性鋳型１は押し出し装置でローラコンベヤ
上を次の型ばらしステーションに搬出する。そして、鋳
造前の通気性鋳型１を注湯ステーションに搬入する。上
述の工程を繰り返し、必要とする数の薄肉鋳物を鋳造す
る。

【００２５】前記の方法で分枝状パイプの薄肉鋳鋼鋳物
を５０個鋳造したところ、減圧吸引口側キャビティ内の
減圧値は湯口側キャビティ内のそれより大きく、溶湯の
注入速度が速く、かつ溶湯が乱れにくく、空気の巻き込
みが少なく、全数、不廻り欠陥、リーク欠陥、空気の巻
き込み、ブローホール等の鋳造欠陥がなかった。

【００２６】

【発明の効果】以上説明の通り、本発明の通気性鋳型に
よる薄肉鋳物の製造方法によれば、溶湯の流れを乱すこ
となく溶湯の流動性が向上し、注湯時の発生ガスを効果
的に除去でき、不廻り、ブローホール等の鋳造欠陥のな
い薄肉鋳物を製造できる。そして、通常の通気性鋳型に
減圧吸引口を設け搬送装置等を利用して量産ができるの
で、生産性が向上する。また、鋳型を内蔵するボック
ス、チャンバー等を使用しないため、爆発の危険性がな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の通気性鋳型による薄肉鋳物の製造方法
の一実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１の要部拡大見取り図である。

【図３】本発明の通気性鋳型による薄肉鋳物の製造方法
の一実施例の各部圧力変化と注入溶湯量の関係を示すグ
ラフである。

【図４】比較例の各部圧力変化と注入溶湯量の関係を示
すグラフである。

【図５】本発明の通気性鋳型による薄肉鋳物の製造方法
の別の実施例の前記通気性鋳型の水平断面図である。

【符号の説明】

１通気性鋳型、２キャビティ、３
溶湯、４取鍋、５湯口、
６フィルター、７堰部、８
中空中子、９押湯、１０吸引部材、
１１減圧吸引口、１２減圧装置

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】通気性鋳型による中子を有する薄肉鋳物
の鋳造法において、前記通気性鋳型の製品キャビティに
おける溶湯の最終充填部近傍に押湯および／または吐か
せを設け、該押湯および／または吐かせの近傍に少なく
とも１つ以上の減圧吸引口を前記通気性鋳型内に設け、
前記減圧吸引口と該押湯および／または吐かせおよび中
空中子幅木のうち少なくとも１つ以上との間を前記通気
性鋳型より通気度の大きい吸引部材で接続することによ
り、減圧吸引口側キャビティ内の減圧を湯口側キャビテ
ィ内のそれより大きくすることを特徴とする通気性鋳型
による薄肉鋳物の製造方法。