JPH0622410B2 - イワムシ等の稚虫の大量生産方法 - Google Patents

イワムシ等の稚虫の大量生産方法

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JPH0622410B2
JPH0622410B2 JP63115735A JP11573588A JPH0622410B2 JP H0622410 B2 JPH0622410 B2 JP H0622410B2 JP 63115735 A JP63115735 A JP 63115735A JP 11573588 A JP11573588 A JP 11573588A JP H0622410 B2 JPH0622410 B2 JP H0622410B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、イワムシ等の稚虫の大量生産方法に係り、よ
り詳細には、釣用餌虫であるイワムシ等の幼生から稚虫
への育成と、底性泥状餌料生物の生産を同一環境の槽内
で並行して行うようにしたイワムシ等の稚虫の大量生産
方法に関する。
〔発明の技術的背景〕
近年の釣りブームによって、特に海釣用の釣餌に好適な
イワムシ、ゴカイなどは、国内棲息地からの生産では間
に合わず、外国からの輸入に頼っているのが現状であ
る。
しかし、輸入品の場合、価格、安定供給、品質等の面で
問題があるために養殖によって大量生産を行い、上記問
題点を解消しようとの試みがなされている。
例えば、『槽内に、適宜間隔でその縦方向に複数個の営
巣用筒状部材を配設し、且つ、その上面に培地を有する
飼育室を設け、該培地に餌虫の幼虫(生)を入れると共
に、海水を培地表面まで満たし、該海水を培地上面およ
び筒状部材の底部に流通させながら、該培地で幼虫を成
長させて、上記筒上部材に営巣させた後、培地を除去し
て該筒状部材内で成虫にまで飼育する方法』よりなる養
殖方法等が知られている(特開昭60−9439号公報
参照)。
そして、該養殖方法によれば、釣餌を幼生から成虫まで
一貫して生産できるという利点を有している。しかし、
該方法の場合、幼生より稚虫にするに当たっては、常
に、餌料を補給する必要がある等の問題がある。
ところで、イワムシ等の環形動物多毛類の原生動物は、
奇麗な海水条件下で棲息し、産卵−孵化−稚虫−成虫を
通して海水の汚濁や酸素量、さらには温度などの外部条
件に敏感である。従って、前述した養殖方法にあって
も、該釣用餌虫の養殖をするには、『飼育水として厳密
に濾過した清澄な海水を用い、初期の飼育段階では、屋
内の直射日光が通らないか、それに近い状態の所に複数
個の小型の飼育槽を底部を連通して設置し、上記濾過し
た清澄な海水を流水状態にして動植物性蛋白餌料の餌料
粉末や該粉末に類似の餌料を投与して飼育する方法』を
採用せざるを得ない。
しかし、上述のような飼育方法は、人為的に餌料を投与
して幼生を稚虫へと成長させる方法であるので、人工的
に投与する餌料が大量に必要であるという問題が指摘さ
れている。
すなわち、通常、自然棲息のイワムシ等の幼生は、底棲
生活に入ると底部に棲管を形成して、その中で棲息し、
棲管周辺部の餌料を捕喰して成長してゆくものである
が、上述のような従来方法では、海水を厳密に濾過した
清澄海水であるため各種の動植物プランクトンの不足、
或いは屋内養殖による太陽(日光)照度の不足、更には
流水状態による餌料の流失等々、不安定な環境にあるか
らである。
そこで、本発明者は、以上のような観点に立脚し、イワ
ムシ等の釣用餌虫の環境等の養殖条件について研究・検
討した結果、次ぎのことを解明した。すなわち、 濾過海水よりも生海水(粗大ゴミを取り除いた程
度)、又は生海水に近い海水を使用するほうが良いこ
と。
流水で飼育するよりも、餌料の流失および環境の安定
が計られる止水で飼育するほうが良いこと。(溶存酸素
の欠乏に対する不安は通気を十分に行うことで問題な
い) 天然餌料および泥状餌料物の養殖生産を促進する上か
らも、十分な直射日光、または、それに近い照度を取り
入れた環境にしたほうが良いこと。
イワムシの初期幼生に対して、餌料として与えている
動植物生餌料は、必ずしも絶対的なものではなく、それ
に代わる有効な餌料があり、これらは、自然条件のもと
で発生し得る付着藻や多数の微生物、底棲生物を複合化
した底性泥状餌料生物が代表的なものであること。
これら、底性泥状餌料生物を大量に繁殖させる為に
は、止水状態にして通気を行うことが有効な手段であ
り、効果的であること。
イワムシ稚虫を安価に量産するためには、先ず、環境
の安定を計ることが肝要で、飼育のための飼育槽をより
大型化して飼育することが好ましいこと。
そして、これらの点を満足する条件を得ることでイワム
シ等の釣用餌虫の稚虫を生産できることを究明したので
ある。
本発明は、上述した点に対処して創案したものであっ
て、その目的とする処は、イワムシ等の釣用餌虫の幼生
を同一環境の槽内で生産可能にし、かつ成長歩留りの優
れたイワムシ等の稚虫の大量生産方法を提供することに
ある。
〔問題点を解決するための手段および作用〕
そして、上記目的を達成するための手段としての本発明
のイワムシ等の稚虫の大量生産方法は、イワムシ等の幼
生を稚虫にまで飼育するに際し、直射日光、または直射
日光に近い明るさの下で、生海水、または生に近い状態
の海水を飼育水とし、かつ該飼育水を止水状態または止
水状態に近い条件下で、通気を行って少なくとも線虫類
を主体とした各種藻類、コペホーダおよび底棲動物卵、
幼生、及び多量の微生物を含んでいる底性泥状餌料生物
を同一水塊内で同時または並行して生産すると共に、補
助餌料を順次添加して、該補助餌料と該底性泥状餌料生
物を前記幼生の餌料とし、かつ該幼生による補助餌料の
残餌を該底性泥状餌料生物の餌料とするようにした構成
よりなる。
そして、本発明のイワムシ等の稚虫の大量生産方法によ
れば、生海水(生海水に近いものを含む)よりなる飼育
水でイワムシ等の釣用餌虫の幼生を飼育、育成しつつ、
それと並行して同一水塊内で飼育に必要な線虫類を主体
とした各種藻類、コペホーダおよび底棲動物卵、幼生、
及び多量の微生物を含んでいる底性泥状餌料生物の生産
を行わせ、適量の補助餌料を順次添加して、該補助餌料
と該底性泥状餌料生物を前記幼生の餌料とし、かつ該幼
生による補助餌料の残餌を該底性泥状餌料生物の餌料と
することで、同一水塊内に残餌が見られない状態とし、
良好な環境バランスを保持することで、確実に大量のイ
ワムシ等の釣用餌虫の稚虫を生産できるように作用す
る。
以上のように、本発明のイワムシ等の稚虫の大量生産方
法は、飼育水として生海水(生海水に近いものを含
む)を用い、直射日光(直射日光に近い明るさのもの
を含む)の明るさで飼育し、飼育水の温度を、18℃
〜29.8℃程度の水温に保持し、かつ飼育水を止水
・通気状態とし、この条件でもって、幼生の餌料となる
線虫類を主体とした各種藻類、コペホーダおよび底棲動
物卵、幼生、及び多量の微生物を含んでいる底性泥状餌
料生物を同一飼育水塊内で生産させ、該底性泥状餌料生
物と補助餌料を餌料とし、かつ該幼生による補助餌料の
残餌を該底性泥状餌料生物の餌料とすることで、同一水
塊内に残餌が見られない状態とし、良好な環境バランス
を保持させるようにした点に特徴を有し、この特徴点で
もって、釣用餌料であるイワムシ等の稚虫を大量生産で
きるようにした方法である。
〔実施例〕
次ぎに、本発明の釣用餌虫であるイワムシ等の稚虫を大
量生産方法を具体化した実施例について説明する。
本実施例は、イワムシ稚虫の大量生産方法であって、
餌料、明るさ、飼育水の止水の有無等の条件におい
て特徴を有している。
ところで、イワムシ幼生は、孵化後4〜5日間は、繊毛
運動による浮遊期で、5〜7日位より底着への移行期に
入り、以後棲管を作って棲管内での生活を開始する。そ
して、孵化後20日目頃にはイボ足が10対〔イボ足=
(PAR)、(PAR)=PARAPODIA〕となり、食性も
親虫同様の雑食性になることが知られている。
なお、イワムシ幼生は、プロトトロコフォラー、メタト
ロコフォラー期において孵出される。そして、その時
は、一対の眼点、1〜2対のイボ足(1st−2nd
PAR)を有し、繊毛で活発に泳ぎ回り、5〜7日目以
降になると、ネクトキータ期に入り3対のイボ足が形成
される。同時に黒色の顎歯の原形が出現し、幼生同志が
コロニーを作る習性が強くなり、蠕動運動により活発に
動き回り底棲生活に入ったことがはっきりする。そし
て、同時に餌料は動食物性を問わず捕喰するが付着硅藻
類を主体とした微細な泥状物を積極的に捕喰する。
そして、本実施例におけるイワムシ稚虫の成育条件を、
種々の比較試験等を行った結果を参照しながら明確にす
る。
−餌料について− 餌料としては、配合餌料等を主餌料とするのでなく、人
工泥状餌料を用いる。そして、この点を明確にするため
に、従来、一般的に行われている方法、すなわち、イワ
ムシ幼生が孵出から、本格的な底棲の棲管生活に入るま
での期間、普通の明るさの屋内で、飼育水として濾過海
水を使用し、縦30×横30×深さ20cmのプラスチッ
ク製容器に2000尾のイワムシ幼生を収容し、水温を
18〜20℃に保ち、栄養的に適当と思われる適宜大き
さの種々の餌料を水質を悪化させない程度に十分与えな
がら飼育を行った。その結果は下表の通りである。
餌料効果試験結果表 ところで、イワムシ幼生が本格的な底棲生活に入るまで
の餌料としては、動植物性を問わず、栄養価に富んだ新
鮮な餌料が有効なる餌料の条件であることは詳述するま
でもない。
そして、上表より明らかなように人工的に生産された泥
状餌料、高栄養価の配合餌料および新鮮な冷凍餌料は、
従来から利用されたフィッシュミール海藻粉末、底栄養
価配合原料と同等または、それ以上の価値を有する餌料
であることが確認できた。従って、これらの特徴を利用
して、これら餌料を混合使用することで、極めて優れた
価値を有する餌料になり得る。
−明るさ・飼育水について− 成育のための『明るさ』は、『直射日光』または『これ
に近い明るさ』である。これは、上述した前表で認めら
れるように、イワムシ幼生にとって好ましい餌料である
人工泥状餌料が生産される条件として直射日光、施肥等
が必要であること等による。
そこで、これら有効と考えられる餌料のイワムシ幼生に
対する直接の効果を確認するために、屋内で人工泥状餌
料投与区を明るく、非人工泥状物区を暗くして、60×
30cmの飼育槽に細砂を0、3 〜0、5 cm層に敷いて、水深
30cmとし、生海水を入れ、水温18〜25℃で、1飼
育槽当たり孵出稚虫を10×10尾を30日間、規定
の餌料を水質悪化しない程度に十分与えて通気しながら
イワムシの飼育を行った。そして、その結果は次ぎのと
おりである。
そして、上表において、三種餌料による歩留は、85、0〜
98、1%で大きな差異はなかったが、成育のイボ足出現か
らみると、三種餌料による差異が明確に確認できた。ま
た、単一餌料でみると、人工泥状物餌料と配合餌料、冷
凍餌料の間に明確な差がみられ、直射光のもと人工的に
培養、生産された泥状物餌料には付着硅藻、線虫(ネマ
トーダ)類を主体とした各種藻類、コペホーダおよび底
棲動物卵、幼生、及び多量の微生物を含んでいることも
確認でき、これらが、初期幼生期餌料としては、配合餌
料冷凍餌料に勝る、より価値ある餌料であることが確認
された。また、該泥状餌料に補助餌料としての配合餌料
冷凍餌料を併用投与することで、より相乗効果がでてい
ることも確認された。なお、海水を完全に濾過したもの
については付着硅藻、線虫(ネマトーダ)類を主体とし
た各種藻類、コペホーダおよび底棲動物卵、幼生、及び
微生物が少なく餌料としては十分なもので無かった。
従って、これら人工泥状餌料を自然に十分繁殖生産させ
得るためには、『暗い条件』よりも『明るい条件』のも
とで、特に、『直射日光』または『これに近い明るさの
条件』の下で、かつ、『生海水』または『生に近い海
水』を飼育水とし、また該飼育水の温度を、18℃〜2
5℃程度の水温に保持することで、泥状物餌料を繁殖、
生産させて、更に有効が確認された補助餌料類を併用し
て飼育することが極めて適正な飼育方法であると考え
る。ここで、『これに近い明るさの条件』とは、直射日
光を用いる必要はなく、他の光源を用い、同様あるいは
近似する明るさが得られるものであればよい。
−流水・止水条件について− 飼育槽における飼育水は、止水条件(止水条件に近い状
態も含む)の下で、通気性を保持させるようにする。
ところで、前述した試験結果よりイワムシ幼生の飼育
上、人工泥状餌料が有効な餌料であることが確認された
が、これら餌料を、できるだけ自然に、短時間で安定し
て生産し得ることが、イワムシの稚虫の量産につながる
ことは詳述するまでもない。そして、従来、実施されて
いる流水による飼育は、栄養物、供給餌料の流失、環境
の安定保持がなされにくく、寧ろ、通気を行い、止水に
しての飼育のほうが水塊、底質の環境安定が計られると
考えられる。
そこで、流水、止水状態でのイワムシ幼生に対する影響
を確認するために、普通の明るさの屋内に100cm×1
50cm×深さ100cmの水槽に水深80cm、細砂0、3 〜
0、5 cm層に敷いて、生海水を入れ、水温18〜25℃の
範囲で同一親虫から孵出した稚虫を流水、止水の飼育槽
に二分して収容し、泥状物餌料を槽内で自然に繁殖させ
ながら、それに補助配合餌料、冷凍餌料を水質の悪化し
ない程度に十分与えて飼育した。そして、その試験結果
を次表に示す。
そして、以上の試験結果より、流水、止水の状態では、
歩留、底質の環境面で明確な差異のあることが確認でき
た。すなわち、止水状態の場合は、泥状物餌料の繁殖、
生産が短時間でスムーズに進み、それに伴ってコペポー
ダ、ヨコエビなどの小動物の繁殖がみられ、これら生物
の棲管、残渣からできたと思える泥状物が表層に体積さ
れ、盛り上がり、その中にイワムシ幼生の棲管が多く無
数に確認された。
これに対し、流水状態では、泥状物餌料の生産が起こる
前にスヂアオサ等の藻類が繁殖し、短期間に底部を覆い
泥状物餌料の繁殖を阻害して補助餌料の投与が十分にで
きない状態であった。
そして、連日、同一同量の補助餌料を投与し続けると、
流水状態では、餌料が均一分散されないため残渣として
残り、それが腐敗へと進んでいった。それに対して、止
水状態の場合は、イワムシ幼生を始め、他の微生動物に
よって、投与された補助餌料は、完全に摂餌され、常に
残餌が見られない理想的な状態が保たれた。
また、棲息環境は、イワムシ幼生を含め、その他の小動
物たちによるバランスが常にとられていることが大切
で、常に生物相互に共存共栄の関係が保持されなければ
ならない藻類繁殖などによって、優先種が出現し、バラ
ンスが崩れることは好ましくない。
これらの結果から見て、通気を保ち、止水状態で飼育す
ることが、環境の安定、泥状餌料の生産促進がなされ、
且つ、経済性からも明らかに有効であることが確認でき
た。
−飼育面積について− 飼育面積としては、大型の飼育槽を用いることが好まし
い。
ところで、前述した試験結果より配合餌料、冷凍餌料、
泥状物餌料を併用して、止水の状態で、孵化後30日間
で20PAR稚虫にまですることが確認されたが、好ま
しくは、健全な稚虫が大量、かつ容易に量産され、より
大型の稚虫の飼育することが要求される。しかし、従来
なされている生産方式では、屋内において小規模の飼育
槽によるものに限られので、もし屋外で大型の飼育槽に
よる大量飼育が可能となれば、飛躍的に企業化への道が
拓かれることになると考える。
そこで、イワムシ幼生の成長、保留を観るために屋内、
屋外に於いて平面積の異なる30×60cm(水量54
)、100×150cm(水量1125)、10m×
10m(水量180ton)の飼育槽に生海水を入れ、
水温18〜28℃に保ち、通気をしながら止水の状態で
(水分の蒸発分のみ補充)、120日間(4ケ月)飼育
し、泥状物餌料を自然に同一槽内で繁殖、生産させ、こ
れに補助冷凍餌料、配合餌料を飼育水が汚れない程度に
十分与えて飼育した。
なお、中小型のガラス、FRP製飼育槽は、普通の明る
さの室内で、大型コンクリート製飼育槽は屋外(覆いの
ない太陽光を直接入れ込む状態)で行った。そして、そ
の結果、成育、歩留ともに大きな飼育層ほど結果は良好
で、稚虫の体育も鮮明で、成長面では、小型のガラス飼
育層(30×60cm)に対して、FRPの増加率は9〜
20%、歩留面では、27〜34%のアップを示した。
これからして、飼育水量が豊富な槽ほど、環境の安定、
泥状餌料の生産が高く、これが好結果につながったと考
える。また、試験開始後、10〜15日間は飼育槽に差
は見なれなかったが、ガラス飼育槽は以後、徐々に水温
の変動、藻類の発生、残餌の発生などが見られるように
なり、底質の環境に変化がみられてきた。
また、大型のコンクリート製FRP飼育槽は30日目位
から飼育水が透明化して、底の砂泥槽に、先ず付着珪藻
類、線虫などが出現し、次ぎにコペポダ、ヨシエビなど
の幼生が出現し、これら生物群が順次増加して全体を覆
うようになった。そして、その大部分にイワムシ稚虫の
棲管が多数見られたが、イワムシ稚虫には異常はなく、
棲息管も全体に分散されていた。これは、イワムシが、
雑食性の底棲生物で、自然界の棲域をみると、甲殻、環
形動物を始めとする多数の底棲生物達と共生することに
よって、お互いの餌料、***物を利用し合う相互扶助の
関係ができており、これが環境安定につながり、多量の
水量、平面積を有する飼育槽ほど、この自然界の棲域に
近くなると考える。このようなことから、大きな飼育層
で飼育することが、健全な稚虫を育成し、歩留も高く、
加えて、簡単、かつ確実な管理により、一度に大量の稚
虫生産が可能であることが立証され、確認された。
また、大型飼育層を利用して、120日間で:68PA
R稚虫(平均体重0、01g/尾)になったことで、養殖種
苗として十分利用できる目安をえたし、企業化への道が
拓かれたと確信される。
〔具体例〕
次ぎに、本発明の釣用餌虫の稚虫の生産方法の具体例に
ついて説明する。
本具体例においては、屋外の10m×10m×深さ2m
の覆いのない飼育槽に細砂を0、3〜0、5cm層に敷
き、水深1、8mになるように、塩化ビニル製化繊布の
20メッシュ防虫ネットの三重にして生海水を濾過し、
粗大ゴミを除去して満水にする。そして、これに通気を
行い(エアレーション25本)孵化直後の0〜2PAR
稚虫を100万尾収容して泥状餌料生産と、イワムシ幼
生の飼育を同時に同一槽内で行った。
そして、その結果を次表に示す。
以上の具体例において、飼育開始から3日間を経過する
までは、投餌を行わず4日目よりクルマエビ稚虫用粉末
餌料、ウナギ餌付け用粉末でマッシュ餌料を飼育水が汚
れない程度に連日投与を開始した。5日目より各種浮遊
性硅藻類が繁殖して飼育水は褐色を呈し、以後、徐々に
硅藻の繁殖機能は低下して、10日目には槽底に落ちて
堆積した。そして、飼育水は透明化し、これと同時にコ
ペポーダを始め、多数の底棲小動物の繁殖が始まり、泥
状餌料の繁殖生産が、太陽光の力を借りて始まったこと
が確認できた。そして、この時点で、イワムシ幼生は完
全に底棲生活に入り、底部の棲管の形成、成育は順調に
進み、悪影響を受けずに経過した。
また、以後補助餌料の配合餌料、冷凍餌料を徐々に増加
すると共に蒸発した水量は、15日周期で新鮮な海水を
濾過して補充し、6月24日から10月23日までの1
20日間(4ケ月)をそのままの状態で飼育し、その間
の飼育水は、水温18、2〜29、8℃、PH(水素イオン
濃度)7、9〜8、3の範囲に保持された。補助餌料と
してのクルマエビ稚虫用配合餌料は、1槽当たり100
kgであった。同じ補助餌料としての冷凍イワシ餌料は、
孵化95日目より、5日周期、60日目より連日投与を
行って冷凍イワシ餌料は1槽当たり180kgであった。
なお、飼育水の温度を、17℃以下とした場合は、底性
泥状餌料生物の活動が鈍く、また反対に30℃以上の場
合は、活発化し、腐敗し易くなることが確認できた。こ
のことより、水温が18℃〜29.8℃程度に保持する
ことが好ましい。
ところで、取揚に当たっての計算方法は、10cm×10
cmの枠に入れ、その中の稚虫数を計数し、その平均値が
900×10尾/槽を算出したものであるが、孵化直
後のイワムシ幼生を120日間飼育した稚虫(66、5
PAR稚虫)の歩留は90%と極めて良い成績であっ
た。
このようにして、平面積100m2、水深2mの飼育水
槽から十分、種苗稚虫として使用し得る900×10
尾生産するには、平面積100m2、深さ1、8mの水
槽が1槽あれば十分であって、従来のように屋内で多く
の飼育槽を使用し、流水による多量の清澄海水をあえて
必要としない。
特に、本発明によれば、大型の飼育槽で、止水状態のも
と、通気によって槽内還流を起こすことで、環境の安定
がより保たれ、それに補助餌料の配合餌料、冷凍餌料お
よびそれらに類する餌料を添加することで泥状物餌料
が、自然に養殖生産され、その飼育密度が適当であれ
ば、長期に亘って槽内に稚虫と、餌料生物の平衡が維持
され、補助餌料が適量投与されることで、減耗すること
なく、適正な種苗用稚虫が育成できる。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものでは
なく、本発明の要旨を変更しない範囲での変形実施は勿
論可能で、例えば、飼育槽としては、移動可能な組み立
て式簡易飼育槽や広い養成池、或いは海面の一部を幼生
が逃げない程度のメッシュの網で区画し、池水、海水を
そのまま利用した構成のものを採用し、餌料生産と幼生
飼育を同一水塊内で行うようにしてもよい。また、上述
実施例では、釣用餌虫として、イワムシで説明したが、
アカムシ等の他の餌虫であってもよいことは明らかであ
る。
また、成虫まで、同じ環境下でもって連続して飼育する
ようにしてもよいことは明らかであり、また、前述した
従来例で説明した複数個の営巣用筒状部材を複数個、飼
育槽内に適宜間隔で配設し、該筒状部材に営巣させて成
育させるようにした構成としてもよい。
〔発明の効果〕
以上の説明より明らかなように、本発明のイワムシ等の
稚虫の大量生産方法によれば、飼育槽を、屋内に多数設
置する必要がなく、飼育管理は著しく簡単で、しかも真
の意味での大量生産であり、生産コストの大幅なダウン
を達成することが可能である。
また、本発明の大量生産方法による底性の泥状餌料生物
の養殖は、極めて簡単、能率的で、何らの培養施設や技
術を必要とせず、飼育槽内の規模も容易に拡大し得る。
以上のように、本発明によれば、大型の飼育槽で止水状
態のもと、釣用餌料であるイワムシ、アカムシ等の幼生
の飼育と、それに必要な泥状餌料の生産を同時に行い適
量の補助餌料を投与することで確実に大量の釣用餌虫の
稚虫を生産できるという効果を有する。また、該幼生に
よる補助餌料の残餌を該底性泥状餌料生物の餌料とし、
同一水塊内に残餌が見られない状態とし、良好な環境バ
ランスを保持させ得るので、藻類養殖等を軽減し、同一
水塊内での優先種の出現を防止できることより、確実に
大量の釣用餌虫の稚虫を生産できるという効果を有す
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イワムシ等の幼生を稚虫にまで飼育するに
    際し、直射日光、または直射日光に近い明るさの下で、
    生海水、または生に近い状態の海水を飼育水とし、該飼
    育水を18℃〜29.8℃程度の水温に保持し、かつ該
    飼育水を止水状態または止水状態に近い条件下で、通気
    を行って少なくとも線虫類を主体とした各種藻類、コペ
    ホーダおよび底棲動物卵、幼生、及び多量の微生物を含
    んでいる底性泥状餌料生物を同一水塊内で同時または並
    行して生産すると共に、補助餌料を順次添加して、該補
    助餌料と該底性泥状餌料生物を前記幼生の餌料とし、か
    つ該幼生による補助餌料の残餌を該底性泥状餌料生物の
    餌料とすることを特徴とするイワムシ等の稚虫の大量生
    産方法。
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