JPH0621831Y2 - 自動車の下部車体構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車の下部車体構造に関するものである。

（従来技術） 一般に後輪駆動車においては、フロアパネルの車幅方向
中央部に車体前後方向に延びるトンネル部を形成し、こ
のトンネル部の下方にトランスミッションの後部及びこ
れから延びるドライブシャフトを通すようにしている。
そして、このトランスミッションの後部を車体側に支持
する方法としては、トンネル部の下面両側部にミッショ
ンブラケットを設けこれによってトランスミッション後
部を支持するとともに、フロアパネルの上面側に該トン
ネル部を跨いで車幅方向に延びるミッションレインフォ
ースメントを配置し該ミッションレインフォースメント
と上記ミッションブラケットとをフロアパネルを挟んで
連結する方法が既に提案されている（実公昭５９−４３
１７６号公報参照）。

ところで、フロアパネルの両側部に位置する左右のサイ
ドシル相互間の剛性アップを図るひとつの方法として、
上記ミッションレインフォースメントでもって左右サイ
ドシール相互間を連結する方法が考えられる。

ところが、トランスミッションの後部にはシフトレバー
が取付けられているため、該トランスミッションの後部
は座席の斜前方で且つ座席から手の届く範囲内に位置す
るようにその配置位置が座席に対して相対的に設定され
る。従って、このトランスミッション後部に対応して車
幅方向に延びるミッションレインフォースメントは、座
席の直前方位置、即ち足元位置に位置することになる。
このため、例えば上述のように、ミッションレインフォ
ースメントをサイドシルまで延ばして該サイドシル相互
間の剛性アップを図ろうとすると、フロアパネルの足元
位置にミッションレインフォースメントが配置されると
ころから、該ミッションレインフォースメントの***分
だけ車室寸法（高さ寸法）が減少し居住性を損ねる等の
不具合が生じることになる。

（考案の目的） 本考案は、このような問題点を鑑み、車室寸法を犠牲に
することなくサイドシル相互間の剛性向上を図るととも
に、併せてトンネル部に設けられるシフトレバー取付穴
部分の剛性向上等をも図り得るようにした自動車の下部
車体構造を提案することを目的としてなされたものであ
る。

（目的を達成するための手段） 本考案では上記の目的を達成するための手段として、自
動車のフロアパネルに車体前後方向に延びる断面略逆Ｕ
字型のトンネル部を形成し且つ該トンネル部の上面にシ
フトレバー取付穴を設けるとともに該トンネル部の下面
の両側部にトランスミッション後部取付用のミッション
ブラケットを取り付ける一方、上記フロアパネルの上面
の上記シフトレバー取付穴よりも車体前方側位置に上記
トンネル部を跨いで車幅方向に延びるミッションレイン
フォースメントを取付けるとともに該ミッションレイン
フォースメントを上記フロアパネルをその板厚方向に挟
んで上記ミッションブラケットに連結し、さらに上記フ
ロアパネルの上面で且つ車体前後方向において上記シフ
トレバー取付穴にほぼ対応する位置に、車幅方向に延び
てその一端が上記トンネル部の側壁に、他端が車体両側
部を車体前後方向に延びるサイドシルにそれぞれ連結さ
れるクロスメンバーを取り付けるとともに、上記クロス
メンバーの上記一端側を上記フロアパネルをその板厚方
向に挟んで上記ミッションブラケットに連結したことを
特徴としている。

（作用及び考案の効果） 本考案では上記の手段により次のような作用及び効果が
得られるものである。

（１）フロアパネルのトンネル部を車幅方向に跨いで配
置されるミッションレインフォースメントと上記トンネ
ル部の左右両側から車幅方向に延びて左右のサイドシル
に連結される左右一対のクロスメンバーとが上記トンネ
ル部に配置したミッションブラケットを介して車幅方向
に一体的に連結されるところから、該ミッションレイン
フォースメントと左右のクロスメンバーと該各クロスメ
ンバーに連結された左右のサイドシルとで略Ｈ状の剛体
が構成され、上記トンネル部にシフトレバー取付穴が形
成されていてもこれに影響されることなくこのＨ状の剛
体構造によって左右のサイドシル相互間の剛性向上、延
いては車体全体の剛性向上が図られる。

（２）トンネル部の両側部にミッションブラケットが配
置されていることから、該トンネル部に設けたシフトレ
バー取付穴の部分は該ミッションブラケットにより補強
され、シフトレバー取付剛性が良好に維持される。

（３）トンネル部を車幅方向に跨いで車幅方向に配置さ
れるミッションレインフォースメントが該トンネル部に
形成されるシフトレバー取付穴より車体前方位置に配置
されていることから、該ミッションレインフォースメン
トは上記シフトレバー取付穴よりも車体後方側に配置さ
れるシートに着座した乗員の足元位置より車体前方側に
外れており、また上記シフトレバー取付穴の側方に配置
されて乗員の足元近傍に位置するクロスメンバーは上記
トンネル部を跨ぐことなくその側壁に取り付けられてお
り該トンネル部を跨いで取付けられる上記ミッションレ
インフォースメントに比して上方への突出量が小さく、
これらのことから該ミッションレインフォースメントあ
るいはクロスメンバーによって乗員の足元スペースが狭
められるということがなくこれを十分に確保することが
でき、車室内における居住性が一段と向上する。

（４）トンネル部に設けられるシフトレバー取付穴が該
トンネル部を跨いで配置されるミッションレインフォー
スメントに対して車体前後方向に偏位していることか
ら、該ミッションレインフォースメントによって上記シ
フトレバー取付穴の形成位置が制約されるということが
なく、該シフトレバー取付穴の位置を、乗員によるシフ
トレバーの操作性という観点から、比較的自由に設定し
得るものである。

（実施例） 以下、第１図ないし第３図を参照して本考案の好適な実
施例を説明する。

第１図及び第２図には本考案の実施例に係る下部車体構
造を備えた自動車の車室前部のフロントシート側部分が
示されており、同図において符号１はフロアパネルであ
る。このフロアパネル１の車幅方向中央には、上面側に
***する断面略逆Ｕ字状のトンネル部１０が車体前後方
向に向けて形成されている。また、フロアパネル１の両
側縁には閉断面をもつサイドシル５，５が車体前後方向
に向けて取付けられている。さらに、このフロアパネル
１の上面側のしかも上記トンネル部１０と左右のサイド
シル５，５との間には、それぞれハット状断面を有する
フロアフレーム４が車体前後方向に向けて取付けられて
いる。

また、このフロアパネル１の上面のしかも車体前後方向
においてトンネル部１０に設けたシフトレバー取付穴１
３とほぼ対応する左右両位置には、それぞれトンネル部
１０の側壁１２に設けた膨出部１１からフロアフレーム
４を跨いで車幅方向に延びてサイドシル５に達するハッ
ト状断面をもつクロスメンバー３，３が取付けられてい
る。

一方、トンネル部１０の内側には、トランスミッション
の後部及びこれから車体後方側に向けて延びるドライブ
シャフトとが配置される。そして、このトンネル部１０
の側壁１２に形成した左右一対の膨出部１１，１１の内
面側のしかも上記シフトレバー取付穴１３より車体前後
方向に偏位した位置には、トランスミッション後部を支
持するためのミッションブラケット６，６がそれぞれ固
定されている。このミッションブラケット６は、厚板材
のプレス加工により一体成形されるものであり、ボルト
孔をもつトランスミッション支持部６ａと該トランスミ
ッション支持部６ａに連続して延出する延設部６ｂとを
有している。そして、このミッションブラケット６は、
そのトランスミッション支持部６ａを車体前方側にまた
延設部６ｂを車体後方側にそれぞれ向けた状態でしかも
該延設部６ｂが上記クロスメンバー３の一端３ａに対応
するようにして膨出部１１の内面側に溶接固定されてい
る。

さらに、フロアパネル１の上面のしかも上記クロスメン
バー３よりも車体前方側位置には、トランスミッション
の支持荷重によるトンネル部１０の狭小変形を防止して
その支持剛性を高めるという観点から、ハット状断面を
有するミッションレインフォースメント２が、上記トン
ネル部１０を跨いで車幅方向に向けて取付けられてい
る。そして、このミッションレインフォースメント２
は、その両端２ａ，２ａをそれぞれ対応する側の上記フ
ロアフレーム４，４に連結するとともに、上記膨出部１
１部分においては上記ミッションブラケット６のトラン
スミッション支持部６ａに対応せしめられている。

このようにミッションレインフォースメント２を配置す
ることにより、第１図及び第３図に示すように、ミッシ
ョンレインフォースメント２とクロスメンバー３とは膨
出部１１部分においてミッションブラケット６を介して
一体的に連結される。従って、平面的にみた場合、左右
一対のサイドシル５，５は、左右一対のクロスメンバー
３，３とミッションレインフォースメント２を介して車
幅方向に一体的に連結され、略Ｈ状の剛体フレームを構
成することから、上記トンネル部１０にその剛性低下の
一因となるシフトレバー取付穴１３が設けられていても
この略Ｈ状の剛体フレーム構造により、該シフトレバー
取付穴１３の存在に影響されることなく左右一対のサイ
ドシル５，５相互間における剛性が向上せしめられる。

また、座席は、シフトレバーの操作性との関係から、車
体前後方向においてその前端部がシフトレバー取付穴１
３とほぼ対応するように配置されるため、座席に着座し
た乗員の足元スペースとなるクロスメンバー３の直前方
位置には、フロアパネル１から上方に突出状態で配置さ
れるミッションレインフォースメント２が存在せず、従
って、足元スペースが十分に確保され、車室内における
居住性が良好に維持されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る下部車体構造を備えた自
動車のフロアパネル部分の要部斜視図、第２図は第１図
の矢印II方向からの見上げ図、第３図は第１図のIII−I
II要部縦断面図である。 １……フロアパネル ２……ミッションレインフォースメント ３……クロスメンバー ４……フロアフレーム ５……サイドシル ６……ミッションブラケット １０……トンネル部 １１……膨出部 １２……側壁 １３……シフトレバー取付穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車のフロアパネルに車体前後方向に延
   びる断面略逆Ｕ字型のトンネル部を形成し且つ該トンネ
   ル部の上面にシフトレバー取付穴を設けるとともに該ト
   ンネル部の下面の両側部にトランスミッション後部取付
   用のミッションブラケットを取り付ける一方、 上記フロアパネルの上面の上記シフトレバー取付穴より
   も車体前方側位置に上記トンネル部を跨いで車幅方向に
   延びるミッションレインフォースメントを取付けるとと
   もに該ミッションレインフォースメントを上記フロアパ
   ネルをその板厚方向に挟んで上記ミッションブラケット
   に連結し、 さらに上記フロアパネルの上面で且つ車体前後方向にお
   いて上記シフトレバー取付穴にほぼ対応する位置に、車
   幅方向に延びてその一端が上記トンネル部の側壁に、他
   端が車体両側部を車体前後方向に延びるサイドシルにそ
   れぞれ連結されるクロスメンバーを取り付けるととも
   に、 上記クロスメンバーの上記一端側を上記フロアパネルを
   その板厚方向に挟んで上記ミッションブラケットに連結
   したことを特徴とする自動車の下部車体構造。