JPH0621479Y2 - 入浴用椅子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、身体障害者、寝たき
り老人、病人などを入浴させる際に使用する椅子に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】通常、家庭、老人養護施設、病院などで
身体障害者、寝たきり老人、病人を入浴させる場合、看
護婦などの介添者が直接抱きかかえて行なっているの
で、介添者、特に力の弱い女子にあっては、大変困難で
あり、複数の介添者を必要とすると共に、腰痛を引き起
こす問題があった。

【０００３】そこで、この出願の考案者は、実願平２−
１０４８６３号のように介添者により抱きかかえないで
車椅子から入浴させることができるようになっている。

【０００４】この入浴時に用いる椅子は、浴槽の底に載
置する座席と、この座席の後縁から起立する背凭れとで
構成されている。なお、上記の座席は、高さを変更する
ことができない定置式になっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】座席に座らせたとき湯
中に胸部が没入するので、湯に胸部を没入させることに
より弊害の発生する病人などにあっては使用することが
できない問題があった。

【０００６】また、座席に背凭れを固定してあるので、
不使用時折り畳んで嵩を低くすることができない問題が
あった。

【０００７】そこで、この考案の課題は座席を昇降調整
することができ、また、折り畳んで嵩を低くすることが
できる入浴用椅子を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この考案は座台と、前記座台の上側に配置すると
共に、適宜の昇降調整装置により昇降調整可能に設けた
座席と、上記座席上に折り重なるよう前記座台の後端に
下端を回動自在に取り付けた背凭れと、前記座台の両側
に一端側を回動自在に取り付けた側杆と、上記背凭れに
前記背凭れの起立時において前記側杆の他端に係止する
よう設けた係止具とから成る椅子を採用したものであ
る。

【０００９】

【作用】起きる方向に背凭れを回動させながら略垂直に
上記背凭れを起立し、次いで係止具に側杆の他端を係止
して背凭れの起立状態を維持する。

【００１０】また、入浴にともない座席に座らせた病人
の胸部を湯面外に止めおく場合、昇降調整装置の操作に
より所定の高さ迄座席を前もって上昇させておく。

【００１１】なお、椅子を使用しない場合、まず昇降調
整装置の操作により座台上に座席を降下させる。次い
で、係止具による側杆の他端の係止を解き、然るのち、
倒れ方向に背凭れを回動させながら、座席上に上記背凭
れを重ねる。

【００１２】

【実施例】以下、この考案に係る実施例を添付図面に基
づいて説明する。

【００１３】図において、１は座台である。 上記の座台１は、図示の場合方形状の枠体を用い、下面
にすべり止めのゴム製マット２を固着してある。

【００１４】また、座台１の上側には、昇降調整装置３
の操作により昇降調整可能な座席４が設けられている。 上記の調整装置３は、図示の場合Ｘ状に交差する部分を
ピン５により回動自在に軸支した左右一対のＸ杆６、６
と、一方左右Ｘ杆６の前方上向き端を座席４の前端両側
に、かつ後方下向き端を座台１の後端両側にそれぞれ回
動自在に取付けるピン７と、他方左右のＸ杆６の前方下
向き端同士を連結する連結杆８と、上記他方左右のＸ杆
６後方上向き端同士を連結すると共に、座席４の下面後
部を受架する支杆９と、座台１の上面前端の両側縁から
起立するよう設けた板状体１０と、この板状体１０の上
縁前端と後端との間に連結杆８の端部が嵌まり込むよう
に設けた複数の凹部１１とで構成し、図２鎖線位置から
実線位置に座席４を持ち上げながら１番前側の凹部１１
から脱出させた連結杆８を後方に押すとＸ杆６、６が開
いて座席４が上昇し、そして後方の凹部１１に連結杆８
の端部を落とし込んで上記座席４の降下を阻止するよう
にしたが、上記以外の方法で座席を昇降させてもよい。

【００１５】１２は降下位置の座席４上に折り重なるよ
う座台１の後端に蝶番１３を介し下端を回動自在に取付
けた背凭れである。

【００１６】上記背凭れ１２の下端部は、折り畳みにと
もない座席４上に並行に重なるよう下端部を前方斜下方
に屈曲してある。

【００１７】１４は座台１の両側に支持金具１５を介し
一端側を回動自在に取付けた側杆である。上記両側杆１
４は、左右同調して回動するよう杆１４’により他端同
志が連結されている。

【００１８】また、背凭れ１２には、垂直位置に回動し
た上記背凭れ１２の回動をストップするよう側杆１４の
他端係止金具１６が設けられている。 上記の係止金具１６は、図３に示すように背凭れ１２に
取付けた突片１７と、この突片１７の下縁から上方に向
け杆１４’が嵌入するよう設けた切欠き１８と、突片１
７にピン１９を介し末端を回動自在に取付けると共に、
降下方向への回動にともない切欠き１８内の杆１４’の
下部周面を抱き込むフック２０と、左右のフック２０を
連結する操作杆２１とで構成し、図３時計方向にフック
２０を回動させて杆１４’を係止し、反時計方向にフッ
ク２０を回動させて杆１４’の係止を解除するようにし
たが、上記以外の方法を採用して係止する場合もある。

【００１９】なお、上記の杆１４’は、背凭れ１２を形
成するサイドフレームと背凭れ板との間に介在させてあ
る。

【００２０】上記のように構成すると、まず、略垂直の
起立位置迄背凭れ１２を回動させたのち、係止金具１６
に側杆１４の他端を係止させて上記背凭れ１２の起立状
態を維持する。 次いで、図４に示すように浴槽Ａの底に座台１を載置す
る。

【００２１】しかして、上記浴槽Ａに車椅子Ｂを横付け
したのち、吊上げ装置ｂを介し車椅子Ｂの病人などを浴
槽Ａに入れると共に、座席４に座らせる。

【００２２】入浴にともない座席４に座らせた病人の胸
部を湯面外に止めおく場合、昇降調整装置３の操作によ
り所定の高さ迄座席４を前もって上昇させておく。

【００２３】なお、図１に示すように背凭れ１２のサイ
ドにクランプ金具３１を設けて、浴槽Ａに横付けした車
椅子Ｂのサイドの突出板３２を上記クランプ金具３１に
よりクランプしておくと、上記車椅子Ｂと浴槽用椅子と
が一体化されて車椅子Ｂの転倒などが阻止される。

【００２４】また、背凭れ１２の両サイドにネジ孔３３
を設けて、このネジ孔３３にねじ込むボルト３５を介し
クランプ金具３１を付け替えできるようにすると、便利
である。

【００２５】

【効果】以上のように、この考案に係る入浴用椅子によ
れば、昇降調整装置により座席の高さを自由に変更する
ことができるので、入浴者の胸部を湯面外に止めおく調
整ができる。

【００２６】また、不使用時座台上に座席を降下させ、
次いで上記座席上に背凭れを折り畳むことができるの
で、嵩低く格納することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る入浴用椅子の斜視図

【図２】同側面図

【図３】係止金具の部分拡大側面図

【図４】浴槽に使用した平面図

【符号の説明】

１ 座台 ３ 昇降調整装置 ４ 座席 ５ ピン ６ Ｘ杆 ７ ピン ８ 連結杆 ９ 支杆 １０ 板状体 １１ 凹部 １２ 背凭れ １３ 蝶番 １４ 側杆 １４’杆 １５ 支持金具 １６ 係止金具 １７ 突片 １８ 切欠き １９ ピン ２０ フック

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 座台と、前記座台の上側に配置すると共
   に、適宜の昇降調整装置により昇降調整可能に設けた座
   席と、上記座席上に折り重なるよう前記座台の後端に下
   端を回動自在に取り付けた背凭れと、前記座台の両側に
   一端側を回動自在に取り付けた側杆と、上記背凭れに前
   記背凭れの起立時において前記側杆の他端に係止するよ
   う設けた係止具とから成る入浴用椅子。