JPH062141A - 窒化ホウ素被覆硬質材料およびその製造法 - Google Patents

窒化ホウ素被覆硬質材料およびその製造法

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JPH062141A
JPH062141A JP4159240A JP15924092A JPH062141A JP H062141 A JPH062141 A JP H062141A JP 4159240 A JP4159240 A JP 4159240A JP 15924092 A JP15924092 A JP 15924092A JP H062141 A JPH062141 A JP H062141A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 窒化ホウ素被覆硬質材料およびその製造法を
提供する。 【構成】 WC基超硬合金を基材材質とし該基材表面に
窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料
において、該基材の表面部における結合層の存在割合が
基材内部に比べ少ない又は該基材の表面部における結合
層が存在しないことを特徴とする。特に好ましくは基材
の表面部が表面改質層,焼結肌,熱処理肌のものであ
る。基材材質を焼結肌または熱処理肌とした後窒化ホウ
を被覆することにより製造できる。極めて高い耐摩耗
性および基材との密着強度に優れるので、各種工具、部
品、砥石等に有利に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極めて高い耐磨耗性を
もつ窒化ホウ素被覆硬質材料およびその製造法に関する
ものであり、本発明品は切削工具、耐摩工具、鉱山工
具、電子部品、機械部品、砥石などに利用して好適であ
る。特に被加工材や被削材が鋼あるいは鋳鉄であるロー
ル、ガイドローラー、シールリング、ロッカーアームチ
ップ、ノズル類およびダイス等の耐摩工具や、切削工具
として用いるのに適した窒化ホウ素硬質材料に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化ホウ素は、六方晶窒化ホウ素(h−
BN)、ウルツ鉱型窒化ホウ素(w−BN)、立方晶窒
化ホウ素(以下「c−BN」と略記する)、非晶質型窒
化ホウ素等の結晶構造を持つことが知られており、その
うちc−BNはダイヤモンドに次ぐ常温硬度を持ち、ま
たダイヤモンドに比べて高温で安定であり、このためダ
イヤモンドが鉄類金属と反応しやすいのに対して高い温
度でも反応せず、高温強度も高ことが知られている。
このため、c−BNまたはc−BNを含む被覆層を切削
工具、耐摩工具その他の機械部品の表面に被覆した場
合、良好な耐磨耗性が期待できる。特に、被加工物や被
削材が、鋼および鋳鉄であるロール、ガイドローラー、
シールリング、ロッカーアーム、チップ、ノズル類、お
よびダイス、金型類などの耐摩工具、切削工具の表面に
設けた場合、良好な耐磨耗性が期待できる。近年焼き入
れ鋼、ダクタイル鋳鉄等の極めて難加工性、難削性の材
質の加工需要が高まり、またこれらの加工条件の高能率
化の要求が強く、ますます過酷なものとなってきてい
る。このような市場の重要に応じるため、特公昭57−
49621号公報、特公昭58−19737号公報、特
公昭58−55111号公報、特公昭57−3631号
公報、特公昭52−17519号公報、特公昭50−3
9444号公報、特公昭52−17838号公報を始め
とする多くの特許公報にて開示されている方法にて、c
−BN粒状結晶と特殊セラミックス結合材を超高圧下に
焼結して製造したc−BN焼結体を用いた切削工具、耐
摩工具が実用されている。この他に、基材の表面に窒化
ホウ素被覆層を形成し、基材の耐磨耗性を大幅に向上さ
せる試みも行われている。人工窒化ホウ素被覆層の製造
法としては、特公昭60−181262号公報をはじめ
とする多くの特許公報にて開示されている熱CVD法、
マイクロ波プラズマCVD法、RF−プラズマCVD
法、イオンプレーティング法、フパッタ法、イオンビー
ム支援真空蒸着法等の種々のほうほうおこれらの組合せ
が知られており、これらは窒化ホウ素被覆硬質材料製造
の有力な方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、窒化ホウ素
焼結体を台金にロウ付けして作成できる各種工具等には
形状に制約がある。具体的には、4枚刃エンドミルのよ
うな形状のすべての刃部に、優れた精度で窒化ホウ素焼
結体をロウ付けするのは、現状の技術では困難である。
このため、丸棒形状の窒化ホウ素焼結体を作成し、これ
を放電加工して目的形状を得なければならず、実際に耐
摩耗性向上に要求される部分以外も窒化ホウ素焼結体に
て構成されるため非常に高価となり、かつ生産性も低
い。逆に、窒化ホウ素被覆硬質材料は形状自由度、生産
性は非常に高い。ところが、窒化ホウ素被覆硬質材料の
多くは、基材と窒化ホウ素被覆層との密着力が不足して
いる。特に、切削工具などの過酷な条件下でき使用に適
用した場合、窒化ホウ素被覆層が剥離することにより寿
命にいたる場合が多い。
【0004】この点を改良するため、基材と窒化ホウ素
被覆層との間に中間層を設けるといった試みが多くの機
関にて行われている。例えば特開昭60−204687
号公報、特開昭60−152677号公報、特開昭63
−35774号公報、特開昭63−239103号公
報、特開昭64−28358号公報等に提案されてい
る。基材材質として、セラミックスを使用した場合、窒
化ホウ素被覆層と基材との密着力が高まる、といった技
術も開示されている(特開昭60−204686号公
報、特公昭60−59085号公報)。また、ArやH
2 などのプラズマで基板を処理し、表面の不純物を除去
し、これにより得られた正常表面上に窒化ホウ素被覆層
を成膜することにより、基材との密着強度を確保すると
いう技術は、出願人が特願平2−243859号明細書
にて既に出願している。さらにまた、基材表面に凹凸を
付け、これに窒化ホウ素被覆層を形成することにより、
被覆層と基材との機械的結合力を高める技術もある(特
願平03−41843号公報)。
【0005】上記従来技術の中で、中間層を設けた場
合、中間層と窒化ホウ素、窒化ホウ素と基材とを同時に
優れた密着力にて接合できる中間層材質の選定が困難で
あり、時には基材−中間層または中間層内部にて被覆層
の剥離が発生した。特願平03−41843号公報の技
術は効果があることは確認できたものの、しかし、この
技術を用いてもまだ、窒化ホウ素被覆層と基材の密着力
の向上には改善の余地がある。また、基材にセラミック
スを使用した場合、その密着力如何にかかわらず、基材
強度が低いため、例えば切削工具などに適用した場合、
破損、欠損する場合が多い。本発明はこれらの問題点を
解決し、優れた密着強度、強度の形状自由度をもつ窒化
ホウ素被覆硬質材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する手段
として本発明者らは、本発明の窒化ホウ素被覆硬質材料
の基材には、切削工具,耐摩工具の材質として汎用さ
れ、多くの特性をもつWC基超硬合金を選択し、窒化ホ
ウ素被覆層を形成する基材の表面状態を改善することに
より、被覆層の密着強度を高める方法を研究した結果、
下記の窒化ホウ素被覆材料および製造法により上記目的
を達成できることを見い出した。 (a) WC基超硬合金を基材材質とし、該基材表面に
窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料
において、該基材の表面部における結合相の存在割合が
基材内部に比べ少ないまたは該基材の表面部において結
合相が存在しないことを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質
材料。 (b) WC基超硬合金を基材材質とし、該基材表面に
窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料
において、該基材の表面における (1)WCおよび/また
は (2)WCと周期律表の4A、5A、6A族元素(Wを
除く)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化
物、ホウ炭化物、ホウ炭窒化物のうちの1種以上との固
溶体の少なくとも1種以上 および/または (3)周期律
表の4A、5A、6A族元素(Wを除く)の炭化物、窒
化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ
炭窒化物のうちの少なくとも1種以上の固溶体の組成割
合が、該基材の内部に比べて高くなっていることを特徴
とする窒化ホウ素被覆硬質材料。 (c) WC基超硬合金を基材材質とし、該基材表面に
窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料
において、該基材の表面に該基材内部とは組成および
/または組織の異なる表面改質層が存在し、該表面改質
層は結合相を含まない若しくは結合相の組成割合が該基
材内部に比べ少ないものであり、且つ該表面改質層の硬
質相は (1)WCおよび/または (2)WCと周期律表の4
A、5A、6A族元素(Wを除く)の炭化物、窒化物、
炭窒化物、酸化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ炭窒化
物のうちの1種以上との固溶体の少なくとも1種以上、
および/または (3)周期律表の4A、5A、6A族元素
(Wを除く)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホ
ウ化物、ホウ炭化物、ホウ炭窒化物のうちの少なくとも
1種以上または2種以上の固溶体、および (4)不可避的
不純物からなるものであることを特徴とする窒化ホウ素
被覆硬質材料。 (d) WC基超硬合金を基材材質とし、該基材表面に
窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料
において、該基材の表面部に内部より高硬度である表面
改質層が存在することを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質
材料。 (e) WC基超硬合金を基材材質とし、基材表面に窒
化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料に
おいて、少なくとも基材表面の一部は焼結肌とし、少な
くとも当該焼結肌の部分に窒化ホウ素被覆層を形成して
なる窒化ホウ素被覆硬質材料。 (f) WC基超硬合金を基材材質とし、基材表面に窒
化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料に
おいて、少なくとも基材表面の一部は焼結肌とし、該焼
結肌表面に存在する結合相を除去した少なくとも当該焼
結肌の部分に窒化ホウ素被覆層を形成してなることを特
徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料。 (g) WC基超硬合金を基材材質とし、基材表面に窒
化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料に
おいて、基材を任意の形状に加工した後、当該基材を熱
処理することにより、基材表面性状の少なくとも一部は
熱処理肌とした基材の少なくとも一部表面または全表面
上に窒化ホウ素被覆層を形成してなることを特徴とする
窒化ホウ素被覆硬質材料。 (h) WC基超硬合金を基材材質とし、基材表面に窒
化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質材料に
おいて、基材を任意の形状に加工した後、当該基材を熱
処理することにより、基材表面性状の少なくとも一部は
熱処理肌とし、表面の結合相を除去した該熱処理肌表面
の少なくとも一部表面または全表面上に窒化ホウ素被覆
層を形成してなることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質
材料。 (i) 基材となる超硬合金の焼結を、N2 および/ま
たは COの分圧が1Torr以上の雰囲気にて行い、
得られる焼結体の少なくとも一部表面を焼結肌とし、少
なくとも該焼結肌の一部表面に窒化ホウ素被覆層を設け
ることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料の製造法。 (j) 基材となる超硬合金の焼結を行い、目的形状に
加工した後、900〜1500℃以上の温度で、N2
よび/またはCOの分圧が1Torr以上の雰囲気にて
10分間〜5時間熱処理を行い、該基材の少なくとも一
部表面を熱処理肌とし、次いで該熱処理肌の少なくとも
一部に窒化ホウ素被覆層を設けることを特徴とする窒化
ホウ素被覆硬質材料の製造法。本発明の内部より結合相
の組成割合が少ないまたは結合相の存在しない表面部の
特に好ましい例としては、基材内部とは組成および/ま
たは組織の異なる層すなわち本発明において「表面改質
層」と呼称する層が基材の表面部に存在するものが挙げ
られる。
【0007】
【作用】本発明者等は多くの試行錯誤の結果、前記
(a)〜(h)のような、内部より結合相の組成割合が
少ないまたは結合相の存在しない表面部を有するWC基
超硬合金を基材とした場合、優れた密着力をもつ窒化ホ
ウ素被覆層を得ることができることを発見した。この原
因は定かではないが、推測を以下に述べる。一般に、ダ
イヤモンドがWC、金属W、Tiをはじめとする周期律
表の4A、5A、6A族元素(Wを除く)の炭化物、窒
化物、ホウ化物、酸化物、炭窒化物、ホウ窒化物の炭化
物、窒化物または炭窒化物上およびこれら固溶体上には
高い核発生密度を示し、このため良好な密着強度を示す
ことが知られている。窒化ホウ素、特にc−BNはダイ
ヤモンドと結晶構造が似ていることから、同様にこれら
の物質上には良好な密着力をもち、逆に鉄系金属の存在
がその密着力を低下させているのではないかと、本発明
者等は考えついた。
【0008】本発明においては、基材としてWC基超硬
合金を用いるが、中間層を用いた技術のように中間層が
剥離するような問題は発生せず、また超硬合金中の結合
相をエッチング等にて除去した場合に生じる基材強度低
下も起きない。
【0009】本発明において基材となる超硬合金の組成
の代表を下記に示す。 (1)結合相形成成分としてCo:0.5〜30重量%
を含有し、硬質分散相形成成分としてWCと不可避的不
純物とからなる組成を有するWC基超硬合金。 (2)結合相形成成分として、1)Co:0.5〜30
重量%を含有し、残部が硬質分散相形成成分として
2)WCと、Wを除く元素周期律表の4A、5A、およ
び6A族金属またはこれらの炭化物、窒化物、炭窒化
物、酸化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物、ホウ
炭窒化物のうちの1種以上との固溶体と、3)不可避的
不純物、からなる組成を有するWC基超硬合金。 (3)結合相形成成分として、1)Co:0.5〜30
重量%を含有し、硬質分散相形成成分として、2)Wを
除く元素周期律表の4A、5A、および6A族金属の炭
化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、ホウ炭化
物、ホウ窒化物、またはホウ炭窒化物ならびにこれらの
WCを含む2種以上の固溶体のうちの1種以上:0.2
〜40重量%を含有し、残りが硬質分散相形成成分とし
て 3)WCと、4)不可避的不純物、からなる組成を
有するWC基超硬合金。 (4)結合相形成成分として、1)Co:0.5〜30
重量%を含有し、硬質分散相形成成分として、2)Wを
除く元素周期律表の4A、5A、および6A族金属の炭
化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、ホウ炭化
物、ホウ窒化物またはホウ炭窒化物ならびにこれらのW
Cを含む2種以上の固溶体のうちの1種以上:0.2〜
40重量%を含有し、残りが硬質分散相形成成分として
3)WCと、Wを除く元素周期律表の4A、5A、お
よび6A族金属またはこれらの炭化物、窒化物または炭
窒化物のうちの1種以上との固溶体と不可避的不純物、
からなる組成を有するWC基超硬合金。なお、上記の組
成は一般的な範囲で示しており、特に限定する意味は、
硬質分散相と結合相とのバランスがこれらの範囲では良
好であり、基材の高い強度が保てるからである。
【0010】本発明の基材の表面を「結合相の存在割合
が内部に比べ少ない、または結合相が存在しない」状
態、具体的には表面改質層,焼結肌および/または熱処
理肌、として窒化ホウ素被覆硬質材料を製造する方法を
次に説明する。WC基超硬合金基材原料粉末を混合、成
型、焼結、冷却する際に、焼結中および/または冷却中
の雰囲気を、前述の硬質相の平衡O2 および/またはN
2 分圧より大とした雰囲気ガスにて焼結し、その焼結肌
に対して窒化ホウ素被覆層を形成すれば良い。また、O
2 分圧を目的の分圧程度に調整するには、COガス雰囲
気を用いれば良い。さらに、任意の焼結を行い一度研削
加工を行った基材に対しても、前述の条件で再度熱処理
し、基材表面状態を焼結肌に近い状態(以後熱処理肌と
呼ぶ)にしても、上記の状態とすることができ、この熱
処理肌に対して窒化ホウ素被覆層を形成すれれば良い。
【0011】本発明の製法において、焼結温度および時
間は、通常の超硬合金の焼結に使用される条件でよい。
具体的には、1300℃〜1500℃の温度にて、30
〜3時間が一般的である。また、前述のO2 および/ま
たはN2 ガス雰囲気にするのは、焼結初期からでも、中
期からでも、冷却段階でもよいが、900℃〜1500
℃の範囲で少なくとも10分以上保持しなければ、硬質
相の界面への移動が十分ではなく、表面改質層の発生が
認められない。
【0012】本発明における熱処理条件も、焼結条件と
同じことが言える。当該雰囲気とするのは、焼結初期か
らでも、中期からでも、冷却段階でもよいが、900℃
〜1500℃の範囲で少なくとも10分以上保持しなけ
れば、硬質相の界面への移動が十分ではなく、表面改質
相の発生が認められないため、好ましくない。また10
00分を越える長時間にわたり熱処理を行った場合、基
材超硬合金の硬質相粒子の粗大化等により強度劣化する
ため望ましくない。
【0013】上記方法にて製造した焼結肌、熱処理肌の
表面性状及び断面を観察、分析した結果、基材表面は内
部と組成および/または組織が異なっている表面改質層
が存在することを確認した。この表面改質層は、内部よ
り少なくとも5%以上の硬度上昇が認められている。ま
た、窒化ホウ素被覆後の表面からのCu−Kα線による
回折曲線において、炭化タングステンの(101)面の
回折強度比率と、周期律表4A、5Aおよび6A族金属
(Wを除く)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホ
ウ化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物またはホウ炭窒化物の
1種以上のB1型固溶体の(200)面の回折強度比率
とを比較して、前者の方が小さいことも判明した。さら
に調査を行った結果、下記数1のようにA値を定義した
場合、
【数1】 Aが小さいほど窒化ホウ素被覆層が優れた密着力を示
し、好ましくはAが0.5、更に好ましくは0.1以下
であることも見いだした。
【0014】また、表面改質相の有無にかかわらず、焼
結肌または熱処理肌の上に窒化ホウ素被覆層を形成した
場合、良好な窒化ホウ素被覆層の密着強度が得られるこ
とも判った。この原因として、焼結肌または熱処理肌
は、ダイヤモンドホイール等により研削加工を行った表
面(以下研削肌と呼ぶ)と比較して、表面に巨視的凹凸
および/または微視的凹凸が存在し、これにより窒化ホ
ウ素被覆層とWC基超硬合金基材との幾何学的な絡み合
いが生じ、これにより双方の物理的結合力が高まったこ
とも推測できる。巨視的凹凸の大きさの指標とする巨視
的面粗度とは、一般に行われている触針法により面粗度
にて検出できるレベルの凹凸による面粗度である(JI
S B 0601記載)。本発明者らは、この巨視的面
粗度よりも、微視的凹凸の存在による微視的面粗度が、
窒化ホウ素被覆層の密着力に大きく寄与することを発見
した。微視的面粗度とは、窒化ホウ素被覆層−基材最表
面の界面において、基準長さを50μmなどの微小区間
とした、この基準長さ内における面粗度のことである。
これは、窒化ホウ素被覆後の基材の断面をラッピング観
察し、写真撮影を行い、窒化ホウ素被覆層−基材の境界
線をもって被覆後の基材の表面面粗度計算を行った。こ
こで、基準長さ内の境界線の最高高さと最低高さとの差
をもってRmax * と表現した。但し、この際、巨視的な
うねりは直線近似して計算した。
【0015】本発明による焼結肌および熱処理肌上に
は、焼結体中の炭素量、焼結方法等により、表面に結合
相の浸み出しが見られる場合もある。この場合には、本
結合相を除去しないとこの結合相の表面に形成された窒
化ホウ素被覆層は容易に剥離してしまうことが判明し
た。この浸み出した結合相の除去方法として、エッチン
グ、ブラスト、バレル等の処理が挙げられる。ここで、
ブラスト、バレル等の機械加工では、その表面面粗度が
向上してしまい、面粗度劣化による密着強度向上の効果
が薄くなってしまうため、エッチング除去が望ましい。
ここで言うエッチングとは、従来の技術を説明した欄に
述べた基材を腐食させる目的ではなく、浸み出した結合
相を除去するためであり、従って表面改質層が結合相を
含有しない場合、基材に腐食層は全く存在せず、結合相
が存在する場合もその成分割合が極めて小さいため、基
材強度劣化は生じない程度の処理である。この浸み出し
結合相に対する除去処理は、熱処理肌に関しても同様の
ことが言える。
【0016】表面改質相中の結合相割合の分布は、その
焼結条件および熱処理条件により変わり、表面に向かっ
て連続的に減少しても良いし、断続的であっても良い。
また、基材焼結および研削加工後の基材の熱処理を行な
う際、結晶粒粗大化による強度劣化を少しでも低減さ
せ、同時に基材内部の欠陥(ポア)を減少させることに
より強度向上も期待できる。焼結温度と比較して低い温
度、好ましくは1200〜1450℃、更に好ましくは
1300〜1350℃の温度で、熱間静水圧プレスを行
なうことが望ましい。この時の静水圧圧力は高圧のほう
がより優れた効果を期待できるが、工業的見地から10
〜3000気圧が望ましい。
【0017】ここで、表面改質層の層厚に関しては、
0.01μm以下であれば、基材中の結合相成分の影響
が強くなり、窒化ホウ素被覆層の密着強度向上には寄与
しなくなる。この影響を完全に遮断するためには、0.
1μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。
また、上限につていは、基材強度を維持するために20
0μm以下が望ましい。
【0018】本発明において基材表面の表面面粗度は、
触針法にて測定した場合、JIS規格のRmax にて1.
5μm以上の場合、その密着力向上に大きく効果がある
ことを確認した。または、前述の断面観察による微視的
面粗度が、Rmax * にて2μm以上の場合にもその密着
力向上に大きく効果があることを確認した。
【0019】なお、窒化ホウ素被覆層の層厚に関して
は、各々の用途に応じて必要な層厚とすればよい。但
し、耐摩耗性が要求される使用用途においては、層厚が
0.5μm以下では被覆層による耐摩耗性など諸性能の
向上が認められず、また300μm以上の被覆層を形成
した場合でも、もはや大きな性能の向上が認められない
ため、経済上の理由より、0.5μm〜300μmが望
ましい。
【0020】ここまで、述べた窒化ホウ素被覆層は、そ
の構成結晶のすべてがc−BNである必要はなく、少な
くとも5体積%以上c−BNを含有すれば、基材の耐摩
耗性向上に大きく寄与する。またh−BNその他の窒化
ホウ素を被覆した後、加熱などの処理を行い、これによ
りc−BNとしてもよい。また、被覆層がリン、酸素等
を含んだ場合でも本発明の最大の特徴である基材との高
い密着強度は損なわれない。また、窒化ホウ素の被覆方
法は、従来の技術の項にて説明したいずれの方法及びこ
れらの組合せのいずれを用いてもよい。また、所定の面
粗度および/または寸法精度を得るために、窒化ホウ素
被覆層表面を砥石や熱処理等にて平滑化、鏡面化して
も、本発明の優秀性は損なわれない。
【0021】
【実施例】次に、本発明を実施例により、具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。 〔実施例1〕母材として、平均粒径が0.8〜1.5μ
mの各種粉末を準備し、表−1の組成に調合後、振動ミ
ルを用いて粉砕し、バインダーを添加したものをプレス
成形および成形加工し、内接円:12.7mm、厚み:
3.18mm、コーナーR:0.8mmのJIS B4
103に記載されているSPGN422形状のプレス成
形体を製造し、300℃にて脱バインダー後、表−2に
記載した条件にて焼結を行い、そのうちいくつかには焼
結体表面に金属成分の浸み出しが発生していたため、こ
れのエッチング除去を行い、母材チップを製造した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】まず、研削肌と焼結肌の比較を行うため、
表−3に示した内容の方法にて母材チップを加工した。
なお、チップの刃先処理の概略例を図1に示した。図1
は、一般にチャンファーホーニング加工と呼ばれている
刃先処理で、図中αは25°、βは20°、Lは0.0
5mmとした。なお、刃先処理面加工、上下面研削加工
および側面研削加工には、市販のレジンボンド・ダイヤ
モンド砥石を用いた。
【0025】
【表3】
【0026】このようにして準備したチップの母材材
質、焼結条件、窒化ホウ素被覆層形成前の表面面粗度R
max 、Rmax * 、浸み出し結合相除去方法、チップ加工
方法(結合相除去後にチップを加工する)を併せて表−
4に示した。これらの準備チップを、公知のRFプラズ
マCVD法を用いて、基板温度を600℃として、ジボ
ランガス:N2 ガス=1:2の比にて1Torrまで導
入し、窒化ホウ素被覆層を形成することにより、本発明
窒化ホウ素被覆チップNo. 1〜No.23 を製造した。各チ
ップの切れ刃近傍における窒化ホウ素被覆層厚も合わせ
て表−4に示した。また、表−4に記入したRmax *
は、母材チップ表面の微視的面粗度のことであり、母材
−窒化ホウ素被覆層界面において、基準長さを50μm
とした、この微小区間内の面粗度のことで、本チップの
断面をラッピング観察し、写真撮影を行い、窒化ホウ素
被覆層−母材の境界線をもって被覆後の基材の表面面粗
度とし、基準長さ内の最高高さと最低高さの差をもって
Rmax * と表現した。また、この断面観察により、焼結
肌の表面改質層の層厚も測定し、合わせて表−4に示し
た。表中のチップ番号の右肩に*印がついているもの
は、本発明においてとりわけ好ましいと推奨される範囲
を越えるものである。なお、本例において、基材の表面
に析出した被覆層は、赤外線吸収分析、オージェ分析、
透過電子線回折法によって、c−BNを1容量%以上含
む窒化ホウ素被覆層であることを確認した。
【0027】また、比較のため、全面研削肌で窒化ホウ
素被覆層を形成しなかった比較超硬チップ(それぞれ比
較チップA、B、Cという)、および組成がSi3 4
−3Al2 3 −5ZrO2 で同形状のチップを準備し
(全面研削肌、図1の刃先処理あり)、これを1800
℃、5atmにて1時間保持し、表面に長径8μm、短
径1.5μmの自由成長したSi3 4 柱状晶を析出さ
せた母材チップに対して、上記と同様の方法にて傷つけ
処理を行った後窒化ホウ素被覆層を形成した窒化ケイ素
セラミック基材窒化ホウ素被覆チップ(比較チップ
D)、および市販の結合相を10体積%含有した窒化ホ
ウ素焼結体を超硬合金(表−1のb組成)にロウ付け
し、研削加工および図1に示した刃先処理を施して製造
した同形状の窒化ホウ素焼結体チップ(比較チップE)
を併せて準備した。
【0028】これらの切削チップを用いて、湿式連続切
削試験として、 被削材 : HB 230を有すFC30の丸棒 切削速度 : 300m/min 送り : 0.3mm/rev 切込み : 1.0mm 切削油 : エマルジョンタイプ の条件にて試験を行い、10分後および60分後の逃げ
面摩耗量および刃先状態を観察し、この結果を合わせて
表−4に示した。
【0029】また、湿式断続切削試験として、 被削材 : SCM435(断面形状を図2に示
す) 切削速度 : 200m/min 送り : 0.3mm/rev 切込み : 1.5mm 切削時間 : 1分間 切削油 : エマルジョンタイプ の条件にて切削を行い、各々のチップについて16切れ
刃切削し、そのうち欠損が発生した刃数を調べた結果も
合わせて表−4に示した。
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】なお、表−4中、注記は以下を意味する。 1) : No.9 *の表面には、内部と組成の異なる層が存
在したが、結合相内部より高くなっていたため、本発明
にいう表面改質層とは異なる層が形成されていた(比較
例)。 2): 結合層除去方法 *1 : 硝酸5%,30℃にて5分間洗浄。これによ
り、表面の滲み出しCoは除去された。断面観察の結
果、滲み出しCoの下には硬質相にて形成された表面改
質相がくまなく表面を覆っており、これにより基材内部
に腐蝕相の存在は全く認められなかった。 *2 : *1と同じ条件にで結合相除去。表面に滲み
出した結合相は除去されたが、表面改質相に存在する結
合相も腐蝕を受けた。 3): 研削肌のRmax は0.7μm、Rmax * は1.
0μmであった。
【0033】表−4の結果から、本発明チップの特に焼
結肌の面の窒化ホウ素被覆層の密着強度が優れることが
判る。また、本発明チップにおいては窒化ホウ素焼結体
ロウ付工具とほぼ同等の耐摩耗性を示しつつ、基材に強
靱な超硬合金を使用しており、Si3 4 焼結体を母材
とした比較チップと比較しても高い靱性を備えることが
判る。本チップの耐摩耗性が優れた原因として、窒化ホ
ウ素被覆層の存在に加えて母材の表面硬度が高いことも
考えられる。
【0034】〔実施例2〕本実施例では、熱処理肌と研
削肌の比較を行う。母材として表−1の組成の混合粉末
を準備し、表−2の(条件ワ)にて焼結を行い、表−3
に示した加工を施して実施例1と同形状の母材チップを
準備した。これらを、表−2の条件にて熱処理を行い、
チップ表面を熱処理肌とした。このチップをさらに表−
5に示した加工を施すことにより、一部表面または全表
面が熱処理肌となっている本発明母材チップを準備し
た。
【0035】
【表6】
【0036】これらの母材チップを用いて、公知の高周
波スパッタリング装置を用いて、ターゲットにh−BN
を用いて、チップ加熱温度を500℃、雰囲気N2 /A
r 比が1/10、雰囲気圧力0.01Torr、バイア
ス電圧100Vにて、表−6に示した層厚の窒化ホウ素
被覆層を形成することにより、本発明チップNo.24 〜N
o.49 を製造した。なお、表中のチップ番号の右肩に*
印がついているものは、本発明において取りわけ推奨さ
れる範囲を越えるものである。
【0037】これらのチップを用いて、実施例1と同様
の連続切削試験および断続切削試験を行った。この結果
も併せて表−6に示した。本発明チップに関して、断面
観察にて表面部と内部の硬度を、荷重200gにてビッ
カース硬度を測定した結果、No.40 * を除けば実施例1
同様に、表面部硬度が5〜15%向上していた。さら
に、Cu−Kα線にて熱処理肌上に窒化ホウ素被覆層を
形成した表面について回折曲線を測定した結果、前記し
たA値が、母材組成がc、d、eのものに関しては、
0.0.5〜1.0であることを確認した。例えば、本
発明チップNo. 30については、A値は0.07であっ
た。この結果から、熱処理肌も、焼結肌同様高い窒化ホ
ウ素被覆層の密着強度を持ち、同時に高い強度を示すこ
とも判る。
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】なお、表−6中、注記は以下を意味する。 4) : No.40 * の表面改質層とは、表−4のNo.9*
様、結合相成分が内部より高く、TiC、TaC等の硬
質相成分の存在割合が減少しており、本発明にいうもの
とは異なる表面改質層が形成されていた(比較例)。ま
た、No.40 * の連続試験結果は表−4の比較チップCと
同等であった。 5): 結合層除去方法における *1、*2の内容は
表−4と同じである。 6): 研削肌のRmax 、Rmax * は表−4と同じであ
る。 7): 窒化ホウ素被覆層層厚とは、窒化ホウ素被覆層
のチップの切り刃近傍での平均層厚のことである。 8): 表面改質層なし、とは断面の光学顕微鏡による
観察限界以下のことである。
【0041】〔実施例3〕本実施例ではドリルへの適用
を示す。母材として、材質がWC−9重量%Ti−6重
量%TaC−3重量%NbC−7重量%Co、形状がJ
IS・4301のツイストドリルで、径φ8mmの超硬
ドリルを準備した(全面研削面)。このドリルを、13
50℃の100TorrのN2 雰囲気にて60分間熱処
理した本発明ドリル母材−ドリル(あ)、1350℃の
100TorrのCO雰囲気にて60分間熱処理した本
発明ドリル母材−ドリル(い)、1300℃の100a
tmのN2 雰囲気にて60分間熱処理した本発明ドリル
母材−ドリル(う)を準備し、各々に実施例1と同様の
方法を用いて、約4μmの窒化ホウ素被覆層をドリル先
端からシャンク方向に向かって30mmの深さに形成し
た本発明ドリル(あ)、(い)、(う)を製造した。さ
らに、本発明ドリル(う)の表面をダイヤモンド砥石お
よびダイヤモンドブラシを用いて0.2sまで研磨加工
した本発明ドリル(え)も準備した。なお、比較のた
め、熱処理前のドリルを比較ドリル(お)として、熱処
理を行わなかったドリルに同様の窒化ホウ素被覆層を形
成して作成した比較ドリル(か)を準備した。これらの
ドリルに対して、下記条件にて寿命まで穴明け加工を行
った。 被削材 : FCD45 切削速度 : 60m/min 送り速度 : 0.24mm/rev 深さ : 60mm 切削油 : 水溶性 寿命判断 : 外周逃げ面摩耗量が0.1mmに達す
る時点、または折損した時点 この試験結果を下記表−7に示す。
【0042】
【表9】
【0043】表−7に示す結果からも、本発明ドリル
は、非常に高い窒化ホウ素被覆層と基材との密着力を有
することが判る。さらに、その表面を研磨加工すること
により、さらにその寿命を延長できることも判る。これ
により、従来ロウ付け法では安価かつ大量な製造が困難
とされた3次元形状の基材に対しも、本発明を用いれば
強固に密着した窒化ホウ素被覆層の形成が可能となる。
本発明は、エンドミル等にも利用できることは容易に推
測できることである。
【0044】
【発明の効果】本発明の窒化ホウ素被覆硬質材料におい
てはいずれも、従来の窒化ホウ素被覆硬質材料と比べる
と窒化ホウ素膜の耐剥離性が良好であり、かつ窒化ホウ
素焼結体や多結晶窒化ホウ素と同等の耐摩耗性を持ち、
かつ高い強度を持つことは明らかである。また、窒化ホ
ウ素焼結体や多結晶窒化ホウ素を用いた場合と比べて、
高い形状自由度を持ち且つ安価に、大量に製造できると
いう長所も備えている。また、本発明の実施例として切
削工具、耐摩工具の場合を示したが、この他各種切削工
具、耐摩工具、各種機械部品、砥石などに本発明を適用
した場合も、良好な結果が得られることは、十分予想で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるチップの刃先処理の
概略例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例1の湿式断続切削試験に用いた
被削材の断面形状の説明図である。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 WC基超硬合金を基材材質とし、該基材
    表面に窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬
    質材料において、該基材の表面部における結合相の存在
    割合が基材内部に比べ少ないまたは該基材の表面部にお
    いて結合相が存在しないことを特徴とする窒化ホウ素被
    覆硬質材料。
  2. 【請求項2】 WC基超硬合金を基材材質とし、該基材
    表面に窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬
    質材料において、該基材の表面における (1)WCおよび
    /または (2)WCと周期律表の4A、5A、6A族元素
    (Wを除く)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホ
    ウ化物、ホウ炭化物、ホウ炭窒化物のうちの1種以上と
    の固溶体の少なくとも1種以上 および/または (3)周
    期律表の4A、5A、6A族元素(Wを除く)の炭化
    物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、ホウ炭化
    物、ホウ炭窒化物のうちの少なくとも1種以上の固溶体
    の組成割合が、該基材の内部に比べて高くなっているこ
    とを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料。
  3. 【請求項3】 WC基超硬合金を基材材質とし、該基材
    表面に窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬
    質材料において、該基材の表面に該基材内部とは組成
    および/または組織の異なる表面改質層が存在し、該表
    面改質層は結合相を含まない若しくは結合相の組成割合
    が該基材内部に比べ少ないものであり、且つ該表面改質
    層の硬質相は (1)WCおよび/または (2)WCと周期律
    表の4A、5A、6A族元素(Wを除く)の炭化物、窒
    化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ
    炭窒化物のうちの1種以上との固溶体の少なくとも1種
    以上、および/または (3)周期律表の4A、5A、6A
    族元素(Wを除く)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化
    物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ炭窒化物のうちの少な
    くとも1種以上または2種以上の固溶体、および (4)不
    可避的不純物からなるものであることを特徴とする窒化
    ホウ素被覆硬質材料。
  4. 【請求項4】 WC基超硬合金を基材材質とし、該基材
    表面に窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬
    質材料において、該基材の表面部に内部より高硬度であ
    る表面改質層が存在することを特徴とする窒化ホウ素被
    覆硬質材料。
  5. 【請求項5】 上記表面改質層の層厚が0.01〜50
    0μmであることを特徴とする請求項3または請求項4
    に記載の窒化ホウ素被覆硬質材料。
  6. 【請求項6】 WC基超硬合金を基材材質とし、基材表
    面に窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質
    材料において、少なくとも基材表面の一部は焼結肌と
    し、少なくとも当該焼結肌の部分に窒化ホウ素被覆層を
    形成してなる窒化ホウ素被覆硬質材料。
  7. 【請求項7】 WC基超硬合金を基材材質とし、基材表
    面に窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質
    材料において、少なくとも基材表面の一部は焼結肌と
    し、該焼結肌表面に存在する結合相を除去した少なくと
    も当該焼結肌の部分に窒化ホウ素被覆層を形成してなる
    ことを特徴とする請求項6記載の窒化ホウ素被覆硬質材
    料。
  8. 【請求項8】 WC基超硬合金を基材材質とし、基材表
    面に窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質
    材料において、基材を任意の形状に加工した後、当該基
    材を熱処理することにより、基材表面性状の少なくとも
    一部は熱処理肌とした基材の少なくとも一部表面または
    全表面上に窒化ホウ素被覆層を形成してなることを特徴
    とする窒化ホウ素被覆硬質材料。
  9. 【請求項9】 WC基超硬合金を基材材質とし、基材表
    面に窒化ホウ素被覆層を設けてなる窒化ホウ素被覆硬質
    材料において、基材を任意の形状に加工した後、当該基
    材を熱処理することにより、基材表面性状の少なくとも
    一部は熱処理肌とし、表面の結合相を除去した該熱処理
    肌表面の少なくとも一部表面または全表面上に窒化ホウ
    素被覆層を形成してなることを特徴とする請求項8記載
    の窒化ホウ素被覆硬質材料。
  10. 【請求項10】 上記基材はその内部から表面に向かっ
    て結合相がほぼ連続的または段階的に減少しているもの
    であること特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれ
    かに記載の窒化ホウ素被覆硬質材料。
  11. 【請求項11】 上記窒化ホウ素被覆層の表面からのC
    u−Aα線による回折曲線において、炭化タングステン
    の(101)面の回折強度比率と、周期律表4A、5A
    および6A族金属(Wを除く)の炭化物、窒化物、炭窒
    化物、酸化物、ホウ化物、ホウ窒化物またはホウ炭窒化
    物の1種以上のB1型固溶体の(200)面の回折強度
    比率とを比較して、前者の方が小さいことを特徴とする
    請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の窒化ホウ
    素被覆硬質材料。
  12. 【請求項12】 上記窒化ホウ素を被覆する基材表面の
    表面面粗度が、Rmax で1.5μm以上であることを特
    徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の
    窒化ホウ素被覆硬質材料。
  13. 【請求項13】 上記窒化ホウ素被覆層の層厚が0.
    5〜300μmであることを特徴とする請求項1ないし
    請求項12のいずれかに記載の窒化ホウ素被覆硬質材
    料。
  14. 【請求項14】 上記基材材質が、 (1)WCおよび/ま
    たはWCと周期律表の4A、5A、6A族元素(Wを除
    く)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、
    ホウ炭化物、ホウ炭窒化物のうちの1種以上との固溶体
    の少なくとも1種以上からなる硬質相、(2) 鉄系金属か
    らなる結合相、および (3)不可避的不純物を含むWC基
    超硬合金であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    13のいずかに記載の窒化ホウ素被覆硬質材料。
  15. 【請求項15】 上記基材材質が、 (1)WCおよび/ま
    たはWCと周期律表の4A、5A、6A族元素(Wを除
    く)の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、
    ホウ炭化物、ホウ炭窒化物のうちの1種以上との固溶体
    の少なくとも1種以上、および/または (2)周期律表の
    4A、5A、6A族元素(Wを除く)の炭化物、窒化
    物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物、ホウ炭化物、ホウ炭
    窒化物のうちの少なくとも1種以上の固溶体からなる硬
    質相、(3) 鉄系金属からなる結合相、および (4)不可避
    的不純物を含むWC基超硬合金であることを特徴とする
    請求項1ないし請求項14のいずかに記載の窒化ホウ素
    被覆硬質材料。
  16. 【請求項16】 基材となる超硬合金の焼結を、N2
    よび/または COの分圧が1Torr以上の雰囲気に
    て行い、得られる焼結体の少なくとも一部表面を焼結肌
    とし、少なくとも該焼結肌の一部表面に窒化ホウ素被覆
    層を設けることを特徴とする窒化ホウ素被覆硬質材料の
    製造法。
  17. 【請求項17】 基材となる超硬合金の焼結を行い、目
    的形状に加工した後、900〜1500℃以上の温度
    で、N2 および/またはCOの分圧が1Torr以上の
    雰囲気にて10分間〜5時間熱処理を行い、該基材の少
    なくとも一部表面を熱処理肌とし、次いで該熱処理肌の
    少なくとも一部に窒化ホウ素被覆層を設けることを特徴
    とする窒化ホウ素被覆硬質材料の製造法。
  18. 【請求項18】 上記熱処理は、焼結圧力を10〜30
    00気圧の条件で熱間静水圧プレスを行なうことを特徴
    とする請求項17記載の窒化ホウ素被覆硬質材料の製造
    法。
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