JPH0621377U - 巻線形誘導電動機の集電装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻線形誘導電動機の集電装置から発生する摩
耗粉が固定子巻線や回転子巻線に堆積することを防止す
るとともに、保守点検が容易に行なえる集電装置を開発
する。 【構成】 上部に開放する保護カバー２０を集電装置に
取付ける。このようにすることにより、スリップリング
７とブラシ１１の接触により発生する摩耗粉１６は保護
カバー２０の底部に溜り、摩耗粉１４が固定子巻線１や
回転子巻線２に付着することはない。また、上部が開放
されているので点検も容易である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、巻線形誘導電動機の集電装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

交流エレベーターの電動機には、制御が容易な巻線形誘導電動機を使用したも のがあり、たとえば、オーム社発行の“最近のエレベーター・エスカレーター（ 木村武雄）”に述べられている。この電動機はブラシとスリップリングとよりな る集電装置が必要で、この電動機の正面から見た半断面図を図３に示した。図に おいて、１は固定子巻線、２はシャフト３に取付けられた回転子巻線、４は固定 子巻線１を固定するヨーク、５はブラケットで、この一端はヨーク４に他端はシ ャフト３を支持する軸受６に固定されている。７は軸受６と回転子巻線２との間 のシャフト３に設けられた複数個のスリップリング、８はロッド９に挟持された 複数個のブラシ保持器で、ロッド９は、ロッド固定具１０に固定されている。１ １はブラシ保持器８に保持されたブラシで、スリップリング７と接触し、図示し ない口出し線に接続され、外部の抵抗器と接続されている。一方、スリップリン グ７には図示しないリード線が接続され、その一端は回転子巻線２と端子１２で 接続されている。なお、１３は回転子巻線２の端部である。

【０００３】 このような構成において、回転子巻線２の端部１３や端子１２が高速回転する ため、この周辺の空気も一緒に高速回転し、遠心力作用によって空気は外部へ拡 散し、この端部１３付近の空気圧力が低下するので、周辺部すなわちスリップリ ング７側から空気が流れ込み風が発生する。なお、この現象は回転子巻線２がい ずれの方向に回転しても発生する。

【０００４】 ところで、エレベーターの速度制御においては、加減速制御を行うため、常時 ブラシ１１とスリップリング７は接触している。したがって、ブラシ１１の摩耗 粉１４が発生する。この摩耗粉１４は一般に銅カーボンの粉で重いから、一旦矢 印Ａのように下方に向かって落ちるが、前述の風によりこの摩耗粉１４は矢印Ｂ のように曲がり、風と一緒に吹き上げられ固定子巻線１に摩耗粉１５が付着し、 堆積することになる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来技術において、この巻線形誘導電動機を長時間使用していると、堆積 した摩耗粉１５により固定子巻線１や回転子巻線２が絶縁劣化し、絶縁破壊を発 生することがある。そのため、定期的に固定子巻線１や回転子巻線２の清掃作業 が必要となり面倒であった。

【０００６】 そこで、たとえば電気学会発行の電気工学ハンドブック；９編“誘導電動機” によれば、摩耗粉１４が外部へ放散しないように集電装置全体を保護カバーで密 閉したものが提案されている。この提案された集電装置は定格速度に達すると、 スリップリング７を短絡子を介して短絡するため運転中、ほとんど熱を発生しな い。しかしながら、エレベーターの制御においては、上記したように、常時ブラ シ１１とスリップリング７は接触しているので発生熱量が大きく、集電装置が異 常に温度上昇し問題である。また、摩耗粉１４の発生量も多いので、定期的に保 守点検をしなければならないが、この点でも問題があった。

【０００７】 本考案は上記の欠点に鑑みて、固定子巻線１や回転子巻線２に摩耗粉１４が付 着しにくい構造とするとともに、集電装置の温度上昇が小さくしかも集電装置の 保守点検が容易な巻線形誘導電動機の集電装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この目的は、巻線形誘導電動機の回転子巻線に近接して設けられた巻線形誘導 電動機の集電装置において、上部を開放した保護カバーを設けたことにより達成 される。

【０００９】

【作用】 本考案によれば、摩耗粉は重いので下方に落ち、保護カバーの底部に溜り、外 部に拡散されない。したがって、固定子巻線や回転子巻線に摩耗粉はほとんど付 着しないので、固定子巻線や回転子巻線の絶縁劣化を防止することができる。ま た、保護カバーの上部は開放しているのでスリップリングとブラシの接触により 発生する熱も上方に放散し温度上昇も問題なく、効果的な集電装置を提供するこ とができる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１および図２を用いて説明する。

【００１１】 図２は本考案の一実施例を示す保護カバー２０の斜視図である。保護カバー２ ０は上部カバー２１と下部カバー２２により構成され、上部カバー２１と下部カ バー２２は止め具２３とねじ２４を介して、組み立てられている。上部カバー２ １は水平方向にＵ字状の樹脂で構成され、中央部にはロッド９に貫通するための 穴２５が設けられ、また、他端にはロッド９に載持するための切欠２６が設けら れている。下部カバー２２は垂直方向にＵ字状の樹脂で構成され、中央部にはヒ ンジ２７を介して下方に開く扉２８が設けられている。なお、両カバー２１、２ ２とシャフト３に接触しないように半円状の切欠２９、３０が設けられている。

【００１２】 図１は本考案の保護カバー２０を巻線形誘導電動機に組み込んだ状態を示す半 断面図である。なお、図３と同一符号は同一部品であるので説明を省略する。

【００１３】 最初に、保護カバー２０を集電装置に組み込む順序を述べる。まず、上部カバ ー２１の穴２５をロッド９に差し込み、切欠２６をロッド９に載せ、上部カバー ２１をロッド９に固定する。次に下部カバー２２をスリップリング７の下方部か ら入れ、止め具２３とねじ２４を用いて、上部カバー２１に固定することにより 組み立ては完了する。

【００１４】 次に、実施例の動作を説明する。

【００１５】 今、回転子巻線２が回転すると摩耗粉１４は下方に落ち、下部カバー２２の底 部に摩耗粉１６として堆積する。したがって摩耗粉１４はほとんど回転子巻線２ の方へ吸い込まれないので、固定子巻線１や回転子巻線２は摩耗粉１４による汚 損を防止することができる。

【００１６】 なお、上述したように、集電装置の上部は開放されているので、集電装置で発 生する熱も上部に放出し、集電装置の温度上昇は保護カバー２０に無関係であり 、また、点検も容易に行なうことができる。

【００１７】 このように、保護カバー２０の上部を開放することにより、摩耗粉１４が固定 子巻線１や回転子巻線２に付着することを防止することができる。

【００１８】

【考案の効果】

以上、述べたように、本考案によれば、上方部が開放した保護カバーを集電装 置に設けることにより、この集電装置から発生する摩耗粉が固定子巻線や回転子 巻線に付着することを防止することができ、また、上部が開放しているので点検 も容易であり、効果的な集電装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示し、保護カバーを巻線形
誘導電動機に組み込んだ状態の半断面図である。

【図２】保護カバーの斜視図である。

【図３】従来の巻線形誘導電動機を正面から見た半断面
図である。

【符号の説明】

１ 固定子巻線 ２ 回転子巻線 ７ スリップリング ８ ブラシ保持器 １１ ブラシ １４ 摩耗粉 ２０ 保護カバー ２８ 扉

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻線形誘導電動機の回転子巻線に近接し
   て設けられた巻線形誘導電動機の集電装置において、上
   部を開放した保護カバーを設けたことを特徴とする巻線
   形誘導電動機の集電装置。