JPH0620733B2 - Ｐｃパネルの遠心成形方法とその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は遠心成形法によって高強度のＰＣパネルを大量
生産する事が出来るＰＣパネルの遠心成形方法とその装
置に関する。

（従来の技術とその問題点） 従来、矢板などに使用されるコンクリートパネルは、コ
ンクリートを振動機で突き固めて蒸気養生し、然る後、
脱型して湿潤養生を行って製造される機械的圧力養生工
法によるものや、振動機の代わりに大気圧を利用し、真
空マットとポンプで余剰水分を除去する真空コンクリー
ト工法によるもの、真空ポンプによる水分除去と特殊マ
ットの空気圧を利用する加圧真空工法によるものなど各
種の工法で製造されているのが現状である。

しかしながら、型にコンクリートを注入し、これを突き
固めるのであるから、部分的なむらが生じるだけでなく
圧縮強度にも限界があり、建築物の軽量化という点に付
いては満足出来ないものであった。又、その生産方法も
１枚つづであるため、生産効率が悪いという問題もあっ
た。

（発明の目的） 本発明は、かかる従来例の欠点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、遠心成形を利用する事により圧縮強度
に優れたＰＣパネルを大量に製造する事のできるＰＣパ
ネルの遠心成形方法とその装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本発明のＰＣパネルの遠
心成形装置は、 円筒状遠心成形固(1)の内周面に軸方向に平行に複数
の仕切り壁(2)を立設し、 仕切り壁を、少なくとも、上記内周面に接する断面円
弧状の外壁面部と、該外壁面部の両側に接続されて仕切
面を構成する２つの仕切用平面部と、上記外壁面部と対
向配置されかつ上記成形型中心部に向かってやや凸の曲
率を有する断面円弧状の内壁面部とからなる中空体に構
成し、該中空体内に上記外壁面部から上記成形型の回転
中心に向かって中央リム(2a)を突設し、この中央リム(2
a)に仮止めボルト(7)螺着用のネジ孔(2b)を螺設し、 仕切り壁(2)間を平面状に形成した平面部(3)とする。

；と言う技術的手段を採用しており、請求項(2)のＰＣ
パネルの遠心成形方法は、 請求項(1)記載の円筒状遠心成形型(1)内にコンクリー
ト(4)を注入した後、 遠心成形型(1)を回転させて注入コンクリート(4)を平
面部(3)内周に添わせ、 且つ、仕切り壁(2)にて分割成形してＰＣパネル(5)を
形成する。

；と言う技術的手段を採用している。

（作 用） 円筒状遠心成形型(1)内にコンクリート(4)を所定量だ
け注入した後、遠心成形型(1)を回転させて遠心締め固
めを行い、続いて養生を行い、脱型してＰＣパネル(5)
を形成する。

このようにして形状されたＰＣパネル(5)は、遠心成
形による十分な遠心締め固めが行なわれるので、圧縮強
度に優れたものになり、 又、１度の遠心成形で複数のＰＣパネル(5)が成形さ
れるので大量生産に向くものである。

（実施例） 以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。第１図
は、本発明に使用する２分割用の遠心成形型(1)の断面
図で、遠心成形型(1)は円筒状のもので、中央から半割
り可能となっており、取付リブ(15)に螺着した締め付け
ボルト(16)にて接続組み立てる事が出来るようになって
いる。遠心成形型(1)の内周面(6)には軸方向に平行に複
数の仕切り壁(2)が立設されている。仕切り壁(2)は、中
空レンズ状のもので遠心成形型(1)の全長にわたって配
設され、中央のリブ(2a)に穿設されたボルト孔(2b)に仮
止めボルト(7)が螺着されている。

仕切り壁(2)間には２本の折曲線(9)に沿った３面状の平
面部(3)が配設されている。この平面部(3)は、２面と半
面とを有するパネル型枠部(3a)と、半面の内壁枠部(3b)
とで構成されており、パネル型枠部(3a)と内型枠部(3b)
の突き合わせ端部同士が突き合わされて１つの面を構成
しており、この端部突き合わせ部分が前記遠心成形型
(1)の半割り用の取付リブ(15)に一致している。

しかして、この遠心成形型(1)内にコンクリート(4)を所
定量(即ち、遠心成形時にコンクリート(4)が仕切り壁
(2)を越えない量)だけ注入し、注入口に蓋(図示せず。)
をした後、回転させて遠心締め固めを行い、続いて養生
を行い、締め付けボルト(16)を外して遠心成形型(1)を
割って脱型し、第１図のように平面部(3)に沿った形状
(外面が凸３面で、内周面が凹面状)に形成する。この場
合、遠心成形型(1)内に鉄筋(10)を配設しておき、遠心
成形時にＰＣパネル(5)内に鉄筋(10)を埋入するようし
てもよい。

第２図は、前記方法で形成されたＰＣパネル(5)の使用
例で、立設された複数のＰＣパネル(5)を、構造物の梁
(11)に沿って配設された水平取付部材(12)に取り付けて
壁を構成した例である。

第３図は、遠心成形型(1)を４分割した例で、断面さか
づき型をした仕切り壁(2)が内周面(6)に螺着されてお
り、その間に平面部(3)が４面配設されている。この遠
心成形型(1)で成形されたＰＣパネル(5)は断面凹面レン
ズ状に形成される。(10)は、凹面部(13)から突出した鉄
筋である。

第４図は、前記４分割遠心成形方法で形成したＰＣパネ
ル(5)を基礎梁(11)や壁面に架設して現場打設コンクリ
ート床(14)の底板とした例である。この場合、ＰＣパネ
ル(5)の凹面に突出している鉄筋(10)がコンクリート床
(14)内に埋入し、両者の一体化が計られる。

尚、前記のように遠心成形法によって製造されたＰＣパ
ネル(5)の圧縮強さは、従来のパネル製造方法に比べて
非常に高い値を示す。又、本実施例では２分割と４分割
の場合を示したが、分割例はこれだけに限られるもので
はないし、２分割の場合に３面形状としたが勿論、これ
だけに限られるものでなく、適宜の形状が採用出来る。

（本発明の効果） 本発明のＰＣパネルの遠心成形装置は、円筒状遠心成形
型の内周面に軸方向に平行に複数の仕切り壁を立設し、
仕切り壁間を平面状に形成したものであり、又、その製
造方法として、その内周面に軸方向に平行に複数の仕切
り壁を立設し、仕切り壁間を平面状に形成した円筒状遠
心成形型内にコンクリートを注入した後、遠心成形型を
回転させて注入コンクリートを内周平面に添わせ、且
つ、仕切り壁にて分割成形してＰＣパネルを形成すると
いう技術手段を採用しているので、本来は円柱の製造に
使用される遠心成形装置で複数のＰＣパネルを一度に製
造する事が出来、高強度のＰＣパネルを大量に生産する
事が出来るという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図…本発明の一実施例の断面図 第２図…第１図の遠心成形型で生産したＰＣパネルを使
用した施工例の斜視図 第３図…本発明の他の実施例の断面図 第４図…第３図の遠心成形型で生産したＰＣパネルを使
用した施工例の斜視図 (1)……遠心成形型、(2)……仕切り壁 (2a)……リブ、(2b)……ボルト孔 (3)……平面部、(3a)……パネル型枠部 (3b)……内型枠部、(4)……コンクリート (5)……ＰＣパネル、(6)……内側内周面 (7)……仮止めボルト (9)……折曲線、(10)……鉄筋 (11)……梁、(12)……水平取付部材 (13)……凹面部、(14)……コンクリート床 (15)……取付リブ、(16)……締め付けボルト

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒状遠心成形型に、その内周面を周方向
   に分割する複数の仕切り壁が上記成形型の軸方向に平行
   に介装されたＰＣパネルの遠心成形装置であって、 上記仕切り壁が、少なくとも、上記内周面に接する断面
   円弧状の外壁面部と、該外壁面部の両側に接続されて仕
   切面を構成する２つの仕切用平面部と、上記外壁面部と
   対向配置されかつ上記成形型中心部に向かってやや凸の
   曲率を有する断面円弧状の内壁面部とからなる中空体
   で、該中空体内に上記外壁面部から上記成形型の回転中
   心に向かって突設される中央リムを有すると共に、この
   中央リムに仕切り壁を上記内周面に固定する仮止めボル
   ト螺着用のネジ孔を螺設し、さらに上記仕切り壁間を平
   面状に形成した平面部としてなる事を特徴とするＰＣパ
   ネルの遠心成形装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の遠心成形装置の円筒状遠心
   成形型内にコンクリートを注入した後、遠心成形型を回
   転させて注入コンクリートを平面部内周に添わせ、且
   つ、仕切り壁にて分割成形してＰＣパネルを形成する事
   を特徴とするＰＣパネルの遠心成形方法。