JPH0619938B2 - 真空開閉装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、真空開閉装置に関し、特にしゃ断性能を向
上する構造に関するものである。

〔従来の技術〕

第８図は例えば特開昭61-245428 号公報に示された従来
の真空開閉装置に係る電極を示す斜視図であり、図にお
いて、(4)は主電極、(10)は磁界を発生させるため、主
電極(4)の外周を囲むように設けられたコイル電極であ
る。この電極は、例えば４分割して構成されている。コ
イル電極(10)の材料は、従来、主電極(4)の材料と同
じ、あるいはそれより低い抵抗値を有する材料で構成さ
れており、この場合は主電極(4)とコイル電極(10)は銅
で形成されている。なお、図示していないが、第３図に
示す主電極(4)とコイル電極(10)より構成される電極が
真空容器内に相対向して１対設けられ、真空開閉装置を
構成している。コイル電極(10)は、主電極(4)の他方の
主電極との対向面と同レベルの対向面を有する。

次に動作について説明する。相対向して接離自在に配置
された一対の主電極(4)を開離すると主電極(4)間にアー
クが発生する。このアークはコイル電極(10)によって発
生する軸方向磁界によって安定なアークとなる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従来の真空開閉装置は以上のように構成されており、コ
イル電極(10)は主電極(4)と同一あるいはそれより低い
抵抗値を有する材料よりなるため、主電極(4)を開離す
る際発生するアークが時としてコイル電極(10)に転移
し、コイル電極(10)の極部的溶融や安定なアークを形成
するための軸方向磁界の発生を妨げ、しゃ断性能が劣化
するなどの問題点があった。

この発明は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、アークがコイル電極(10)に転移することを防
止するとともに、安定な軸方向磁界を発生することがで
き、しゃ断性能の向上を図ることのできる真空開閉装置
を得ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係る真空開閉装置は、相対向する一対の主電
極の対向面側に対応するコイル電極面を、主電極を形成
する材料より高い抵抗値を有する高抵抗体で形成したも
のである。

〔作用〕

この発明におけるコイル電極の対向面側は、主電極を形
成する材料より高い抵抗値を有する高抵抗体で形成され
ているため、アークのコイル電極への転移を防止すると
共に、安定な軸方向磁界を発生することができ、しゃ断
性能が向上する。

〔実施例〕

以下、この発明の一実施例について説明する。第１図に
おいて、(15)はコイル電極(10)の対向面を形成する材料
で、主電極(4)及び対向面以外のコイル電極(10)を形成
する材料より高い抵抗値を有する高抵抗体である。この
実施例では、主電極(4)とコイル電極(10)を銅で形成
し、対向面側のコイル電極(10)をSUSで覆って構成して
いる。なお、その他の構成は、第３図に示す従来のもの
と同様あるいは相当のものである。

相対向して接離自在に配置された一対の主電極(4)を開
離すると主電極(4)間にアークが発生する。コイル電極
(10)の対向面を形成する高抵抗体(15)は主電極(4)及び
対向面以外のコイル電極(10)を形成する材料より高い抵
抗値を有するため、主電極(4)間に発生したアークがコ
イル電極(10)に転移することを防ぎ、コイル電極(10)部
でのアークの発生を防止できるとともに、安定した軸方
向磁界を発生して安定したアークを形成することができ
る。このため、コイル電極(10)の損傷を低下でき、しゃ
断性能を向上することができる。第２図(a)はこの実施
例に係る電極の対向面を示す平面図であり、第２図(b)
〜(e)はそれぞれ他の実施例による電極の対向面を示す
平面図である。第２図(b)に示す実施例では、主電極(4)
に４本の溝(18)を設けている。図中、(101),(102),(10
3),(104)はそれぞれコイル電極を示す。主電極(4)に溝
(18)を設けることによって上記実施例の効果に加えて次
に示す効果がある。第２図(a)に示すように、点(Q)にア
ークが生じた時には、溝(18)がなければコイル電極(10
1)に多くの電流が流れる。そのため、磁束が均一となら
ずに偏在し、アークが集中するおそれがある。しかし、
第２図(b)のように溝(18)を設ければ、電流が主電極(4)
の中心付近を通って各コイル電極(101)〜(104)に分散さ
れる。従って、電流の偏在による磁束の不均一が防止で
きる。また、溝(18)を設けることによって、渦電流を少
なくできるという効果もある。

さらに他の実施例として、第２図(c)に示すように、溝
(18)をコイル電極(101)〜(104)の数より多く設けてもよ
い。この場合には一層磁束の均一化、渦電流の減少を図
ることができる。また、溝(18)は第２図(d)，第２図(e)
のような形状に設けることもできる。なお、上記実施例
ではコイル電極(10)を４分割して設けたものを示した
が、何分割にしてもよい。また、コイル電極(10)の対向
面をSUSで覆って形成したが、これに限らず、あらかじ
め銅とSUSをはり合わせて一体にして成形してもよい。
また、コイル電極(10)の主電極側やコイル電極外側等を
SUSで覆って形成してもよく、コイル電極(10)全体をSUS
で形成してもよい。また、高抵抗体(15)はSUSに限るも
のではなく、主電極(4)を構成する材料より高い抵抗値
を有する材料なら何でもよい。さらに、例えば、セラミ
ック等の導電性を持たない絶縁物で形成しても良く、こ
の場合は全く電気を通すことがないので、アークがコイ
ル電極(10)に転移することが無く、より効果が大きい。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、相対向する一対の主
電極面側に対応するコイル電極面を、主電極を形成する
材料より高い抵抗値を有する材料で形成したので、コイ
ル電極へのアークの転移を防止できると共に、安定な軸
方向磁界を発生することができ、しゃ断性能を向上でき
る真空開閉装置が得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】第１図はこの発明の一実施例によ
る真空開閉装置に係わる電極を示す斜視図，第２図(a)
は第１図に示す電極の平面図，第２図(b)〜(e)はそれぞ
れこの発明の他の実施例の電極を示す平面図，第３図は
従来の真空開閉装置に係る電極を示す斜視図である。 図において、(4)は主電極，(10),(101),(102),(103),(1
04)はコイル電極，(15)は主電極を形成する材料より高
い抵抗値を有する高抵抗体。 なお、図中、同一符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】真空容器内に相対向して接離自在に設けら
   れた一対の主電極、及びこの主電極のうちの少くとも一
   方に、上記主電極の外周を囲み、かつその対向面と同レ
   ベルの対向面を有するコイル電極を備える真空開閉装置
   において、上記コイル電極の対向面側を、上記主電極を
   形成する材料より高い抵抗値を有する高抵抗体で形成し
   たことを特徴とする真空開閉装置。
2. 【請求項２】主電極は、その外側端から内側へ向かって
   少なくとも一本以上の溝が形成されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載の真空開閉装置。
3. 【請求項３】主電極を形成する材料より高い抵抗値を有
   する高抵抗体は絶縁物であることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項又は第２項記載の真空開閉装置。