JPH06198914A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH06198914A
JPH06198914A JP1689093A JP1689093A JPH06198914A JP H06198914 A JPH06198914 A JP H06198914A JP 1689093 A JP1689093 A JP 1689093A JP 1689093 A JP1689093 A JP 1689093A JP H06198914 A JPH06198914 A JP H06198914A
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Masahiko Fujii
雅彦 藤井
Koichi Saito
孝一 斉藤
Masa Suzuki
雅 鈴木
Seiichi Kato
誠一 加藤
Nanao Inoue
七穂 井上
Koichi Naito
浩一 内藤
Yukihisa Koizumi
幸久 小泉
Yoshihiko Miroku
美彦 弥勒
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い範囲でインク滴量を変調して、十分なレ
ベルの階調表現を行なうことができるサーマルインクジ
ェット記録装置を提供する。 【構成】 隣接する2個ずつのノズル5a,5bにより
1つの印字ドットを印字する。それに対応するヒーター
7a,7bは、個別電極12に並列に接続されている。
ヒーター7a,7bの面積が相違し、インク滴を吐出さ
せる閾値エネルギーが互いに異なる。したがって、印加
電力が第1の値ではノズル5aのみがインク滴を吐出
し、それより大きい第2の値ではノズルノズル5a,5
bからインク滴が吐出され、印字ドットの大きさを変え
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発熱抵抗体の発熱によ
り発生する蒸気バブルの圧力によってインク滴をオリフ
ィスから噴射し、記録を行なうインクジェット記録装
置、特に、階調記録を行なうためのインクジェット記録
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式において、発熱
抵抗体からの発熱により発生する蒸気バブルの圧力によ
ってインク滴を噴射させるサーマルインクジェット記録
方式は、その構造的な特徴から高密度で高速記録が十分
可能であり、かつ、マルチノズル化が極めて容易である
ため、近年注目を集めている記録方式である。
【0003】従来、このようなインクジェット記録装置
における画像の階調表現は、インク滴自体の大きさを変
えることが困難であるため、例えば、ディザ法を用いて
ドットによるマトリクスを形成し、マトリクス内のドッ
トの分布により疑似的に階調を表現することが行なわれ
ている。しかしながらこの方法は、16階調を表現する
場合に4×4のマトリクスを必要とし、実質的な解像度
が1/4に低下してしまう欠点がある。解像度を低下さ
せないでディザ法を用いるには、高密度に多数のオリフ
ィスを必要とするため駆動回路や配線数が増加するとい
った問題があった。
【0004】そこで、解像度を犠牲にすることなく階調
を表現する方法として、ドロップ自体の大きさを変える
ことが試みられている。ドロップ量を変化させる方法と
して、実開昭57−141043号公報に記載された階
調設定回路は、分圧回路を利用して、電圧値を変えて濃
度階調を設定するものである。
【0005】発熱抵抗体に印加するエネルギーと、噴射
されるドロップ量の関係を示したものが図4である。印
加エネルギーが増加しても、ある値以上の印加エネルギ
ーに対しては、ドロップ量はほとんど変化しない平坦な
領域を持っている。それ以下の印加エネルギーに対して
は、ドロップ量が印加エネルギーに依存する領域がある
が、印加エネルギーの増加に対してドロップ量が変化す
る範囲は狭い。したがって、上述したような、発熱抵抗
体に印加する駆動パルスの電圧を変えることにより、ド
ロップ量を変調する方法では、十分な階調レベルを得る
ことができなかった。
【0006】特開昭57−89967号公報に記載され
た中間調画像記録方法は、特性の異なるドットを形成で
きる複数のノズルを設け、これを選択的に組み合わせ
て、網点像を形成するものである。階調レベルを多くと
れる利点はあるが、駆動回路が複雑となるという問題が
ある。
【0007】特開昭55−132258号公報に記載さ
れた液体噴射記録法は、ヒーターの構造をインク飛翔方
向に発熱勾配を生じるようにし、発熱勾配を利用して階
調記録を行なおうとするものである。この方法は、広い
範囲でドロップ量を変調できるが、ヒーターの抵抗値の
小さい領域に電流が集中するため、ヒーターが部分的に
劣化し、ヒーターの劣化が極めて早まり、結果としてヘ
ッドの寿命が大幅に短くなるという問題がある。また、
ドロップ量の変化に伴ってドロップ速度も変化するた
め、記録媒体上での位置ズレが生じるという問題点を有
しており、従来の階調表現を行なう方法は、いずれも適
切なものとはいえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、広い範囲でインク滴量を変
調して、十分なレベルの階調表現を行なうことができ、
しかも、駆動回路や配線数を増加させず、ヘッド寿命も
従来より低下することがなく、ドロップ量が変化した場
合でも、一定のドロップ速度を有し、インク滴の速度差
に起因するドット位置ズレの小さい高画質の階調記録を
行なうことができるサーマルインクジェット記録装置を
提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1に記
載の発明においては、インクを噴出するためのノズル
と、該ノズル内に設けられた発熱抵抗体と、該発熱抵抗
体を駆動する駆動手段を有し、該発熱抵抗体の発熱によ
り発生する蒸気バブルの圧力によってインクを前記ノズ
ルから吐出するインクジェット記録装置において、1ド
ットを印字する複数のノズルを設け、該複数のノズル内
に設けられた発熱抵抗体が並列に接続されていることを
特徴とするものである。請求項2に記載の発明において
は、請求項1に記載のインクジェット記録装置におい
て、1ドットを印字する複数のノズルにおける噴射特性
の閾値が、ノズルごとに異なるようにしたことを特徴と
するものである。請求項3に記載の発明においては、請
求項1または2に記載のインクジェット記録装置におい
て、1ドットを印字する複数のノズルにおいて、インク
を吐出するために必要な駆動パルスのエネルギーが、ノ
ズルごとに異なるようにしたことを特徴とするものであ
る。請求項4に記載の発明においては、請求項1乃至3
に記載のインクジェット記録装置において、発熱抵抗体
を駆動する駆動手段が、パルス電圧値(又はパルス電流
値)及び/又はパルス幅が異なる駆動パルスを発生する
ものであることを特徴とするものである。請求項5に記
載の発明においては、請求項1乃至4に記載のインクジ
ェット記録装置において、駆動手段が、並列に接続され
たON電流が異なる複数の駆動素子を有するものである
ことを特徴とするものである。請求項6に記載の発明に
おいては、請求項1乃至5に記載のインクジェット記録
装置において、1ドットを印字する複数のノズルにおい
て、該ノズルから吐出されるインク滴の速度差がもたら
す記録媒体上のドット位置の差が、画素ピッチの1/2
以下であるようにしたことを特徴とするものである。請
求項7に記載の発明においては、請求項1乃至6に記載
のインクジェット記録装置において、1ドットを印字す
る複数のノズルにおいて、ノズル間の距離が、該ノズル
に圧力を与える圧力発生部間の距離よりも短いことを特
徴とするものである。
【0010】
【作用】本発明は、請求項1に記載の発明によれば、イ
ンクを噴出するためのノズルと、該ノズル内に設けられ
た発熱抵抗体と、該発熱抵抗体を駆動する駆動手段を有
し、該発熱抵抗体の発熱により発生する蒸気バブルの圧
力によってインクを前記ノズルから吐出するインクジェ
ット記録装置において、1ドットを印字する複数のノズ
ルを設け、該複数のノズル内に設けられた発熱抵抗体が
並列に接続されていることにより、その一部または全部
のノズルから選択的にインク滴を吐出させて階調記録を
行なうことができる。請求項2に記載の発明によれば、
1ドットを印字する複数のノズルにおける噴射特性の閾
値をノズルごとに異なるようにして、ノズルごとに吐出
するドロップ量を異ならせて、駆動エネルギーを選択す
ることにより、インク滴を吐出するノズルを選択して階
調印字を行なうことができる。請求項3に記載の発明に
よれば、1ドットを印字する複数のノズルにおいて、イ
ンクを吐出するために必要な駆動パルスのエネルギー
を、ノズルごとに異なるようにし、駆動パルスのエネル
ギーを変えることにより、インク滴を噴射するノズルを
選択して階調印字を行なうことができる。請求項4に記
載の発明によれば、発熱抵抗体を駆動する駆動手段とし
て、パルス電圧値(又はパルス電流値)及び/又はパル
ス幅が異なる駆動パルスを発生するようにしたことによ
り、発熱抵抗体を駆動する駆動パルスのエネルギーを変
えることができる。請求項5に記載の発明によれば、駆
動手段が、並列に接続されたON電流が異なる複数の駆
動素子を有することにより、どの駆動素子をONするか
により、発熱抵抗体対に流れる電流値を制御することが
できる。請求項6に記載の発明によれば、1ドットを印
字する複数のノズルにおいて、該ノズルから吐出される
インク滴の速度差がもたらす記録媒体上のドット位置の
差が、画素ピッチの1/2以下であるようにしたことに
より、階調印字を行なった場合に、1ドットを印字する
複数のノズルの印字位置が離れることはなく、一体的な
ドットが形成できる。請求項7に記載の発明によれば、
1ドットを印字する複数のノズルにおいて、ノズル間の
距離が、該ノズルに圧力を与える圧力発生部間の距離よ
りも短いことにより、階調印字を行なった場合に、1ド
ットを印字する複数のノズルの印字位置が離れることは
なく、一体的なドットが形成できる。
【0011】このように、本発明によれば、並列接続さ
れた複数の発熱抵抗体に共通の駆動回路から階調信号に
応じて前記最小電力に対応するパルス電圧、パルス電
流、パルス幅を出力することにより、その時の駆動パル
スのパルス電圧、パルス電流、パルス幅以下の最小電
圧、最小パルス電流、最小パルス幅に対応するノズルか
ら選択的にインク滴を噴射することができるため、駆動
回路や配線数を増加させることがない。そしてこれら複
数のノズルを互いに近接して配置することにより一体と
してインク滴の噴射するドロップ量を変えて、階調記録
を行なうことができる。
【0012】
【実施例】図1は、本発明のインクジェット記録装置の
第1の実施例のサーマルインクジェットヘッドをチャネ
ル溝の軸方向に垂直に切った断面図、図2は、図1のB
−B線で切った断面図、図3はノズル開口側からみた正
面図である。図中、1はチャネル基板、2はヒーター基
板、3はインクリザーバ、4はインク供給口、5a,5
bはノズル、6はインク流路、7a,7bはヒーター、
8は厚膜樹脂層、9はピット、10はチャネル隔壁、1
1は共通電極、12は個別電極、13a,13bはイン
ク滴、14は記録媒体である。
【0013】このサーマルインクジェットヘッドは、研
磨されたSi基板上に蓄熱層としてのSiO2 膜を着膜
し、その上に、ヒーターとなるpoly−Siを着膜
し、パターニングする。さらに、配線となるAlを着膜
し、隣接するヒーターが並列に接続されるようにパター
ニングする。また、ヒーター、および、配線の保護層と
なる、ポリイミド、SiNX 、Ta等を着膜し、パター
ニングし(図示せず)、ヒーター基板が構成される。
【0014】一方、もう1枚の研磨されたSi基板に、
異方性エッチングによりノズルとインクリザーバが形成
され、チャネル基板となる。この2枚のヒーター基板、
チャネル基板を位置合わせ後、接着し、ダイシングによ
って1つのプリントヘッドに分離する。
【0015】このサーマルインクジェットヘッドは、ノ
ズル5a,5b内のインク流路6の底面のポリイミドに
よる厚膜樹脂層8に形成された凹所であるピット9の底
部に、ヒーター7a,7bが設けられ、各インク流路6
は、チャネル隔壁10によって仕切られている。インク
は、インク供給口4からインクリザーバ3を通り、各イ
ンク流路6に導かれる。ヒーター7a,7bは共通電極
11と個別電極12とによって、並列に接続され1つの
駆動回路によって駆動される。共通電極11は、チャネ
ル隔壁10の下方を通り、他のヒーターと接続されてい
るが、図2においては、チャネル隔壁10の下にある共
通電極の部分は隠れている。
【0016】図2および図3においては、それぞれ6個
ずつのノズルおよびヒーターが図示されている。このう
ち、隣接する2個ずつのノズル5a,5b、それに対応
するヒーター7a,7bは、1つの印字ドットに対応さ
れている。したがって、図2から分かるように、ヒータ
ー7a,7bは、共通の個別電極12に接続されてい
る。したがって、1ドットを印字するヒーターは、この
実施例では2個であり、それが並列接続されている。し
かし、1ドットを印字するノズルを3個以上用いてもよ
いことは勿論である。
【0017】1ドットを印字する2個ずつのノズル5
a,5bは、インク滴を吐出させるための閾値エネルギ
ーが互いに異なるように構成されている。この実施例で
は、隣接するインク流路において発熱抵抗体の面積を互
いに異ならせた。すなわち、2個の発熱抵抗体5a,5
bの面積抵抗率が同一であれば、発熱面積が異なること
により同じエネルギーが投入されても単位面積当たりの
投入電力が相違し、発熱エネルギーが異なることによ
り、発熱抵抗体表面の最高上昇温度に差が生じる。した
がって、2個の発熱抵抗体5a,5bにおいて、インク
中に気泡を発生させる温度に到達するに必要な閾値エネ
ルギーが異なり、発熱面積の小さい発熱体の方がより低
い閾値エネルギーを有することになる。
【0018】図5は、印加エネルギーと、噴射されるド
ロップ量の関係を示している。隣接するノズルで噴射に
必要な印加電力が異なるため、閾値W1 より小さい21
aに示す範囲の印加電力を与えた場合には、一方のノズ
ル5aからのみインク滴が噴射される。21aの印加電
力の範囲において吐出されるインクのドロップ量は、図
4で説明した従来例のものと同様に、平坦部22aを持
つ依存性を示す。この閾値W1 を越えた電力を印加した
場合には、2個のノズル5a,5bからインク滴が噴射
されるため、一旦ドロップ体積は増加し、再び平坦部2
2bを持つ。このように、2つの平坦部における2値の
エネルギーを印加することにより、2つの異なるドロッ
プ量を得ることができ、階調表現を行なうことができ
る。
【0019】印加電力は、パルス電圧、パルス電流、パ
ルス幅等に依存する。したがって、印加電力を変えるに
は、これらのファクターの少なくとも1つを変えればよ
い。
【0020】図6は、印加電圧とドロップ量との関係、
図9は、印加パルスのパルス幅とドロップ量との関係を
示す線図である。いずれも、図5で説明したものと同様
の傾向を示し、階調変調が可能であることを示してい
る。
【0021】解像度300spi(ドットピッチ84.
7μm)で印字を行なうため、サーマルインクジェット
ヘッドを試作し、印加電圧を変えて噴射されるドロップ
量と、噴射速度を測定した。記号は、図2,図3に図示
されたものであり、FCL1,FCL2はノズル開口か
らヒーターまでの長さ、HL1,HL2はヒーターの長
さ、RCL1,RCL2はヒーターからインク供給口ま
での長さ、HW1,HW2は流路と直角方向のヒーター
の幅、CW1,CW2はノズル開口の底辺の長さ、D1
はノズル5aと5bとの間隔、D2はノズル5bと隣接
するドットのノズル5aとの間隔、Pはノズル5a,5
bを一体として記録媒体上に形成されるドットのピッ
チ、PDはポリイミド層の厚みである。
【0022】試作例1においては、下記の値を採用し
た。 FCL1=FCL2=124μm HW1=25μm、HW2=30μm HL1=108μm、HL2=128μm RCL1=106μm、RCL2=86μm CW1=27μm、CW2=30μm D1=35μm、D2=49.7μm P=84.7μm PD=20μm なお、三角形状のオリフィスの底辺の長さCW1,CW
2は、噴射されるインク滴速度を同じにするために設定
された値である。ヒーター7a,7bの抵抗値は、ほぼ
等しい値である。
【0023】この2つのヒーター7a,7bに印加した
電圧値と、対応するノズル5a,5bから噴射したイン
クドロップ量の合計との関係を図6に示す。駆動パルス
幅は3μsec、最大繰り返し周波数は4.5kHz、
ヘッド全体の温度を40℃に制御して行なったものであ
る。
【0024】ノズル5aからは、印加電圧22.6Vで
インク滴が噴射し始め、印加電圧の上昇とともにドロッ
プ量は上昇し、24Vで上昇は止まる。さらに、ノズル
5bからは、26.3Vでインク滴が噴射し始めるた
め、ノズル5aとノズル5bとの合計によりドロップ量
は増加し、28Vで飽和する。したがって、24〜2
6.3Vと28V以上の2箇所の範囲の電圧でヒーター
を駆動すれば、29plと69plの2段階のインク滴
の噴射量が得られる。
【0025】図7は、ノズル5a,5bから噴射される
インク滴の速度の印加電圧に伴う変化を示す線図であ
る。ドロップ体積の飽和領域に対応した飽和領域が見ら
れる。
【0026】この試作例1のサーマルインクジェットヘ
ッドをプリンタに搭載し、印加電圧を25Vと30Vと
でインク滴を噴射させ、記録紙に記録を行なった。ノズ
ルアレイ方向と垂直方向の副走査は、ヘッドを取り付け
たキャリッジの移動によって行なう。キャリッジ移動速
度は0.382m/secである。記録紙とノズルとの
距離TDは0.5mmに設定した。得られたドットの大
きさは、 印加電圧25Vで平均の直径が83μm 印加電圧30Vで平均の直径が124μmであった。図
7に示されるように、印加電圧30Vのときに、ノズル
5a,5bから噴射されるそれぞれのインク滴速度は、
8.5m/secと9m/secであり、速度差が小さ
いため、記録紙上にほとんど同時に到着し、図8(A)
に示すようにほぼ一つのドットとみなすことができた。
【0027】次に、試作例1のサーマルインクジェット
ヘッドのヒーターを24Vの電圧パルスで、パルス幅を
変えてドロップ量を測定したものが図9である。このと
きの最大繰り返し周波数は4.5kHz、ヘッド温度は
40℃に制御した。パルス幅2.7μsecでノズル5
aからインク滴の噴射を開始し、パルス幅3.5μse
cでノズル5bから噴射を開始した。パルス幅に対する
ドロップ量の関係は、印加電圧を変えたときと同様に、
2つの平坦部を持つ依存性を示した。プリンタに搭載し
た実験では、小さいインク滴を噴射させるためのパルス
幅を3.1μsec、大きいインク滴を噴射させるため
のパルス幅を4.5μsecとし、記録を行なった。
【0028】本発明者らは、試作例1と同様のヘッドに
おいて、多数の流路幅の異なるヘッドを試作し、2つの
ノズルから噴射する様々なインク滴の速度差を生じさせ
て印字し、インク滴の速度差に起因するドットの位置ズ
レと画質の関係を調べた。図10は、それぞれのインク
滴の速度差と測定された副走査方向のドットの位置ズレ
Lの平均値、および、画質の官能評価の結果を示してい
る。このように1つの大きなドットを形成する2つのド
ットの位置ズレLが画素ピッチの1/2を超えると画質
に問題が生じることがわかった。なお、位置ズレLは、
図8(B)に示すように、2つのドットの平均的な中心
位置の副走査方向の距離である。
【0029】画素ピッチをP、ノズル5a,5bから噴
射されるインク滴の速度をそれぞれV1,V2とし、ノ
ズルから紙までの距離をTD、キャリッジ移動速度をU
とすれば、速度差に起因するドット位置ズレLは、ほ
ぼ、L=(TD/V1−TD/V2)×Uとなる筈であ
り、ヘッド設計時に、Lが画素ピッチPの1/2以下と
なるように、ノズル間のインク滴の速度差を小さく設計
する必要がある。
【0030】インク滴の速度は、発生するバブル体積に
よるバブル圧力により異なる。そこでそれぞれの流路
幅、すなわち、三角形状のノズル開口の底辺長さCWを
異ならせることによりインク滴速度を調整することがで
きる。
【0031】図11は、本発明のインクジェット記録装
置の第2の実施例のサーマルインクジェットヘッドをチ
ャネル溝の軸方向に水平に切った断面図である。図中、
図2と対応する部分には同じ符号を付して説明を省略す
る。この実施例では、隣接する2つのノズルがインク滴
を噴射させるためにヒーターに印加する最小電力が互い
に異なるよう、隣接する流路におけるヒーターの位置を
異ならせたものである。ヒーター面積を互いに等しくし
たから、最高上昇温度は同じであり、同じ圧力をもった
蒸気バブルが生じる。しかし、ノズルからインク滴が噴
射するのに必要なバブル圧力は、ヒーターからノズルま
でと、ヒーターからインク供給口までの流路抵抗に依存
する。したがって、インク流路内におけるヒーターの位
置を異ならせることは、この流路抵抗を異ならせること
になり、結果的にインク滴を噴射させるためにヒーター
に印加する電圧パルスの最小電圧や最小パルス幅が異な
ることになる。
【0032】また、このヒーター位置の違いによる流路
抵抗の違いは、インク滴の噴射速度の違いを生じさせ
る。ヒーターからオリフィスまでの距離が短く流路抵抗
が小さいノズル5aから噴射されるインク滴の速度の方
が、ノズル5bから噴射されるインク滴の速度より速く
なる。このため、この実施例においても、インク滴速度
を同じにするため、インク流路の幅を互いに異なるよう
にし、ノズル5aの幅CW1を、ノズル5bの幅CW2
より大きくした。なお、CW1,CW2,D1,D2,
P,PDは、図3で説明した寸法である。
【0033】この実施例のサーマルインクジェットヘッ
ドを、試作例2として試作した。試作例2においては、
下記の値を採用した。 FCL1=110μm、FCL2=150μm HW1=HW2=27μm HL1=HL2=120μm RCL1=110μm、RCL2=70μm CW1=30μm、CW2=28μm D1=36μm、D2=48.7μm P=84.7μm PD=20μm
【0034】このサーマルインクジェットヘッドをプリ
ンタに搭載し、印加電圧を30Vと32.4Vでインク
滴を噴射させ、記録を行なわせた。このときの駆動パル
スのパルス幅は3μsec、繰り返し周波数は4.5k
Hz、ヘッド温度は40℃に制御した。なお、印加電圧
32.4Vにおけるノズル5a,5bから噴射されるイ
ンク滴の速度はそれぞれ10.2m/sec、9.4m
/secであり、記録紙上の副走査方向のドットの位置
ズレは約16μmであった。
【0035】図12は、本発明のインクジェット記録装
置の第3の実施例のサーマルインクジェットヘッドをチ
ャネル溝の軸方向に水平に切った断面図である。図中、
図2と対応する部分には同じ符号を付して説明を省略す
る。第1の実施例においては、ヒーターの面積を異なら
せることによりヒーター発熱量を変えて、インク滴が噴
射する最小電力を異ならせ、第2の実施例では、流路に
おけるヒーターの位置を異ならせることによって流路抵
抗を異ならせることによりインク滴が噴射する最小電力
を異ならせたが、この実施例では、第1の実施例と第2
の実施例を組み合わせてインク滴が噴射する最小電力を
異ならせたものである。
【0036】この実施例では、第1の実施例と比較し
て、流路におけるヒーターの位置を変えているから、流
路抵抗が異なり、それによりインク滴速度を調整するこ
ともできる。
【0037】この実施例のサーマルインクジェットヘッ
ドを、試作例3として試作した。試作例3においては、
下記の値を採用した。なお、CW1,CW2,D1,D
2,P,PDは、図3で説明した寸法である。 FCL1=114μm、FCL2=104μm HW1=25μm、HW2=28μm HL1=25μm、HL2=155μm RCL1=76μm、RCL2=61μm CW1=25μm、CW2=35μm D1=40μm、D2=44.7μm P=84.7μm PD=25μm このサーマルインクジェットヘッドのヒーターのの抵抗
値は、ヒーター7aが150Ω、7bが159Ωであっ
た。
【0038】この2つのヒーターに印加した電圧値と、
ノズル5a,5bから噴射されたインクドロップ量との
関係を示したものが図13である。なお、ドロップ量
は、2つのノズルから噴射されたドロップ量の合計を実
線で示した。また、駆動パルスのパルス幅は3μse
c、最大繰り返し周波数は3kHz、ヘッド全体を40
℃に制御した。
【0039】図13から明らかなように、ノズル5aに
よるインク滴の吐出は、印加電圧が22.4Vでドロッ
プ体積の上昇は一旦止まる。しかし、26.3Vでノズ
ル5bからインク滴が吐出し始め、再び合計ドロップ量
は増加し、28Vで飽和する。
【0040】したがって、試作例3のヘッドでは、24
〜26.3Vとの間と28V以上の電圧の2点での駆動
を行なえば、約20plと、70plの異なるドロップ
量を得ることができる。このとき2つのノズルから噴射
されるドロップの速度は、図14に示すように、それぞ
れ2つの駆動領域で互いに等しくなるように設計してい
るので、記録媒体上でドットの位置ズレが起こることは
ない。2つのインク滴が等しい速度で噴射される領域で
は、2つのノズルからのインク滴は近接して着弾し、ド
ットが広がり、重なり合うため、ほぼ1つのドットとみ
なすことができる。
【0041】このサーマルインクジェットヘッドをプリ
ンタに搭載し、画像情報に基づいて0を含めた3値のド
ロップ量変調を行ない、2×2マトリクスを用いた3L
法を適用することにより、解像度を1/2に低下させた
だけで16階調を表現することができた。このとき小さ
いドロップを噴射させるための印加電圧は25Vで、得
られたドット直径は平均78μmであった。また、大き
いドロップを噴射させるための印加電圧を30Vとした
とき、得られたドット直径は平均で124μmであっ
た。
【0042】なお、図13における点線は、試作例3の
ヘッドにおいて、2つのヒーターの個別電極を分離し、
それぞれについての印加電圧と噴射されるドロップ量を
測定し、合計したものを示している。このように30V
においては、ノズル5aは22pl、ノズル5bからは
約2.2倍である58plのドロップ量が噴射されてい
ることがわかる。なお、図13の30Vにおけるドロッ
プ量(実線)が、2つのドロップ量を足し合わせた値
(破線)より小さいのは、同時に噴射させたことによる
インク供給量の違いに起因していることによると考えら
れる。
【0043】それぞれのヒーターを別々に駆動したと
き、ヒーター7a,7bの破壊は、それぞれ平均で、
8.4×108 ,8.6×108 回の駆動で生じたが、
2値の駆動電圧を交互に印加した場合でも、どちらかの
ヒーターが破壊されるまでの平均駆動回数は、8.3×
108 で、従来のものとほとんど変わらないことが分か
った。
【0044】試作例3と同じヘッドを用い、印加電圧を
24Vに固定し、パルス幅を変えてドロップ量を測定し
たものが図15である。ヘッド温度は40℃に制御し
た。パルス幅2.7μsecでノズル5aから噴射を開
始し、3.5μsecでノズル5bから噴射が開始され
た。ドロップ量とパルス幅の関係は、図13で示した印
加電圧との関係と同じように、平坦部を2つもつ依存性
を示した。プリンタに搭載した実験では、小さいインク
滴を噴射させるためのパルス幅を3.1μsec、大き
いインク滴を噴射させるためのパルス幅を4.5μse
cとし、3値のドロップ量を得て、2×2のディザ法で
16階調の印字を行なった。
【0045】試作例3においては、一方のノズルからイ
ンク滴が噴射させる最低印加電圧がもう一方のノズルか
らインク滴が噴射される最低印加電圧の1.17倍、パ
ルス幅においては1.3倍であった。
【0046】一方のノズルからインク滴が噴射される最
低印加電圧が、もう一方のノズルからインク滴が噴射さ
れる最低印加電圧に近いと、ドロップ量が印加電圧に依
存しない平坦部22aが十分広く取れないため、また、
大きく離れていると、高い印加電圧が必要となり、ヒー
ターに過大な電流が流れるため、ヒーターの劣化を早め
てしまう。この両方の理由から印加電圧の差は、1.1
から1.8倍が好ましい。パルス幅についても同様の理
由により、長い方の最低噴射パルス幅は、短い方の噴射
パルス幅の1.1から1.8倍が適当である。
【0047】この実施例のように、2つの平坦部での駆
動を行ない、2つのノズルから噴射される合計ドロップ
量によって、2値の吐出を行なうようにした場合、高い
電圧、あるいはパルス幅での駆動点が、低い電圧、ある
いはパルス幅の駆動点に近いと、2つのノズルから噴射
するドロップの速度が異なるため、記録媒体上で位置ズ
レが生じる。また、離れすぎると、低い噴射開始電圧、
または短いパルス幅で駆動される方のヒーターの劣化が
早まるおそれがある。このため高い方の駆動電圧は、低
い駆動電圧の1.1から1.8倍が適当であり、パルス
幅の場合には1.1から3倍が適当である。
【0048】2つのノズルから噴射するドロップ量の差
は、この実施例においては約2.2倍であったが、この
差が大きければ、広い範囲での変調が可能である。通常
のインクジェットにおいては、一方のノズルから噴射さ
れるドロップ量の1〜5倍が好ましい。
【0049】図16は、本発明のインクジェット記録装
置の第4の実施例のサーマルインクジェットヘッドのヒ
ーター近傍の平面図である。図中、図2と対応する部分
には同じ符号を付して説明を省略する。15a,15b
は駆動素子、16は抵抗である。
【0050】この実施例では、ヒーター7a,7bに接
続された個別電極12には、ON電流が異なる2個の駆
動素子15a,15bが共通に接続され、駆動素子15
aには、電流を制限するための抵抗16が接続されてい
る。したがって、選択される駆動素子により、ヒーター
7a,7bの駆動電流を2値的に制御できる。
【0051】この実施例のサーマルインクジェットヘッ
ドを、試作例4として試作した。試作例4においては、
下記の値を採用した。なお、CW1,CW2,D1,D
2,P,PDは、図3で説明した寸法である。 FCL1=FCL2=120μm HW1=25μm、HW2=40μm HL1=80μm、HL2=120μm RCL1=120μm、RCL2=80μm CW1=CW2=30μm D1=42μm、D2=42.7μm P=84.7μm PD=25μm
【0052】この試作例4では、1方の駆動素子15a
に10Ωの抵抗16を直列接続し、ヒーターを流れる電
流値を制御している。また、ヒーター7a,7bの抵抗
値はほぼ等しく100Ωに設定したが、ヒーターの表面
抵抗値が同一の場合、ヒーターの縦横比を変えることに
よりそれぞれのヒーターの抵抗値を変えることが可能で
ある。さらに、ヒーターの材料または表面抵抗値を変え
ることにより、隣接するヒーターの閾値エネルギーを変
えることも可能である。なお、駆動素子15a,15b
自身のON抵抗値はともに約10Ωである。
【0053】この2つのヒーター7a,7bに印加した
電力値と、対応するノズル5a,5bから噴射したドロ
ップ量との関係を図17に示す。駆動パルス幅は3μs
ec、最大繰り返し周波数は3kHz、ヘッド全体の温
度を40℃に制御して行なった。
【0054】全てのヒーターに印加する電圧値は28V
である。ノズル5aからは約4.0Wからインク滴が吐
出し始め、4.3W以上でほぼ一定のインク滴が吐出さ
れる。さらに、ノズル5bからは約6.0Wでインク滴
が噴射し始め、6.5Wからインク滴量が安定する。し
たがって、4.3〜6.0Wと6.5W以上の2箇所の
印加電力を与える電流値で、ヒーターを駆動すれば、3
0plと70plの2段階のインク滴の噴射量が得られ
る。
【0055】この記録ヘッドをプリンターに搭載し、印
加電圧28Vでインク滴を噴射させ、記録紙に記録を行
なった。駆動素子15aをONにした場合には、約20
0mAの電流値が得られ、駆動素子15bをONにした
場合には、約255mAの電流値が得られた。ドットの
大きさは、前者の場合で直径が85μm、後者の場合で
124μmであった。駆動素子15bをONした時のド
ットの形状は、一体的なドットと認識するに十分であっ
た。
【0056】図18乃至図20は、本発明のインクジェ
ット記録装置の第5の実施例のサーマルインクジェット
ヘッドを説明するためのものであり、図18は、ヒータ
ー基板のヒーター近傍の平面図、図19(A)は、チャ
ネル基板のインク流路の平面図、図19(B)は、図1
9(A)のA−A断面図、図20は、各ノズルのインク
流路方向の断面図である。図中、図1,図2と対応する
部分には同じ符号を付して説明を省略する。5a,5b
はノズル、6a,6bはインク流路、11aは共通電極
端子、12aは個別電極端子である。
【0057】チャネル基板1およびヒーター基板2は、
フォトリソグラフィーによりSi基板上に形成され、両
者を接着後にダイシングソーにより切断され、ヘッドが
製作される。図20に示すように、チャネル基板1は、
ヒーター基板2上にインク流路6を形成する。ポリイミ
ド層8に形成された凹所であるピット9の底部にヒータ
ー14が設けられ、ヒーター14に通電することによっ
て発生したバブルにより、インク滴13が吐出される。
吐出されたために減少したノズル近傍のインクは、イン
ク供給口4からインクの表面張力により再充填される。
【0058】図19(A)に示すチャネル基板の下の辺
が、図18に示すヒーター基板2の上の辺と重なって接
着されて、ノズル端面となっている。図19(B)の凹
溝がヒーター基板2上にインク流路6a,6bを形成
し、その開口がノズル5a,5bとなる。図19(A)
のハッチングを施した部分は、チャネル基板におけるヒ
ーター基板2との接着面である。各々の接着面が、各イ
ンク流路間を隔離し、インク流路間のインクの移動を防
止する。インク流路6aと6bの先端は、互いに近づく
方向に形成されている。すなわち、ノズル6a,6b間
の距離は、ヒーター部間の距離よりも短くなっている。
【0059】この実施例のサーマルインクジェットヘッ
ドの駆動方法について説明する。図18の共通電極端子
11aおよび個別電極端子12aは、それぞれ外部のヘ
ッド駆動部に電気的に接続される。共通電極端子11a
に、30V程度の直流電圧をかけ、個別電極端子12a
は、駆動時のみ接地し、それ以外のときはハイインピー
ダンス状態にしておく。その結果、駆動時には共通電極
端子11aから共通電極11、ヒーター14、個別電極
12、個別電極端子12aという経路で電流が流れる。
その結果として図20に示すように、ヒーター7で発生
した熱によりバブルが発生成長し、インク滴13が吐出
される。図18に示すヒーター7a、7bは、共通電極
11と個別電極12とによって並列に接続され、1つの
駆動回路によって駆動される。共通電極11は他のヒー
ターと共通に接続される。
【0060】この実施例でも、隣接する2つのヒーター
7a,7bは、各々のノズル5a,5bからインク滴を
噴射させるための最小電力が互いに異なるように設計さ
れている。この実施例の場合、駆動電圧30Vにおい
て、ヒーター7aはパルス幅2.7μs以上でインク滴
を噴射し、ヒーター7bはパルス幅3.5μs以上でイ
ンク滴を噴射する。この実施例では、駆動パルスのパル
ス幅を、3μsと4μsの2種類に切り替えて駆動する
ので、3μsの場合にはノズル5aから、4μsの場合
にはノズル5bと5aからインク滴が噴射される。その
結果、インク滴合計の噴射量は30plと70plの2
種類を選択できる。
【0061】この実施例では、図21(A),図21
(B)に示すように、1つのドットを2つのノズルから
噴射されるインク滴で形成し、1つのノズルから噴射さ
れたインク滴のみでドットを形成した場合には小さいド
ット、2つのノズルからのインク滴で形成する場合には
大きなドットが得られる。図21(A),図21(B)
の左半分では、4μsの駆動パルスが印加され、一対の
インク流路6aと6bの両方からインク滴が噴射される
場合を説明する。図21(A)に示すように、各々対を
なすインク流路6aと6bの先端が互いに近づく方向に
形成されているため、2つのノズルから噴射されたイン
ク滴が、図21(B)の左側に示すように、記録媒体上
のほぼ同一点に着弾して丸い大きなドットを形成する。
【0062】図21(A),図21(B)の右側は、3
μsの駆動パルスが印加され、一対のインク流路6c,
6dの片方のインク流路6cからのみインク滴が噴射さ
れる場合である。1つのノズルから噴射されたインク滴
が、図21(B)の右側に示すように、記録媒体上に着
弾して丸い小さなドットを形成する。
【0063】この実施例に対応して、インク流路6aと
6bが平行に形成されている場合の例を説明する。図2
6は、ヒーター基板のヒーター近傍の平面図、図27
(A)は、チャネル基板のインク流路の平面図、図27
(B)は、図27(A)のA−A断面図、図28は、イ
ンク滴の噴射状態の説明図である。図中、図2,図1
8,図19,図20と対応する部分には同じ符号を付し
て説明を省略する。第5の実施例との違いはチャネル基
板だけであり、インク流路が全て直線状に形成されてい
る。
【0064】このサーマルインクジェットヘッドにおい
て印字した場合を、図28(A),図28(B)で説明
する。第5のの実施例の場合と同様に、この例において
も、1つのドットを2つのノズルから噴射されるインク
滴で形成し、1つのノズルから噴射されたインク滴のみ
でドットを形成した場合には小さいドット、2つのノズ
ルからのインク滴で形成する場合には大きなドットが得
られる。
【0065】図28(A),図28(B)の左半分で
は、4μsの駆動パルスが印加され、一対のインク流路
6aと6bの両方からインク滴が噴射される場合を説明
する。図28(A)の左側に示すように、各々対をなす
インク流路6aと6bが直線状に形成されているため、
2つのノズルから噴射されたインク滴は、図28(B)
の左側に示すように、記録媒体上の異なる位置に着弾し
て雪だるま状のドットを形成する。その結果、画像全体
として規則的なすじ模様を与えることになる。
【0066】図28(A),図28(B)の右半分は、
3μsの駆動パルスが印加され、一対のインク流路6c
と6dの片方のインク流路6cからのみインク滴が噴射
される場合である。1つのノズルから噴射されたインク
滴が、図28(B)の右側に示すように記録媒体上に着
弾して丸い小さなドットを形成する。
【0067】図22,図23は、本発明のインクジェッ
ト記録装置の第6の実施例のサーマルインクジェットヘ
ッドを説明するためのものであり、図22は、ヒーター
基板のヒーター近傍の平面図、図23(A)は、チャネ
ル基板のインク流路の平面図、図23(B)は、図23
(A)のA−A断面図である。図中、図2,図18,図
19と対応する部分には同じ符号を付して説明を省略す
る。この実施例では、各々対をなすインク流路6aと6
bが直線状に形成されており、かつ、インク流路は、先
端に近づくにつれて互いに接近するように形成されてい
る。その結果、第5の実施例と同様に、1つのドットを
2つのノズルから噴射されるインク滴で形成した場合に
も、2つのノズルから噴射されたインク滴が図21
(B)に示すように、記録媒体上のほぼ同一点に着弾し
て丸い大きなドットを形成することができる。
【0068】図24,図25は、本発明のインクジェッ
ト記録装置の第7の実施例のサーマルインクジェットヘ
ッドを説明するためのものであり、図24は、ヒーター
基板のヒーター近傍の平面図、図25(A)は、チャネ
ル基板のインク流路の平面図、図25(B)は、図25
(A)のA−A断面図である。図中、図2,図18,図
19と対応する部分には同じ符号を付して説明を省略す
る。17は隔壁層、18は接着面である。
【0069】この実施例では、感光性樹脂を用いてフォ
トリソグラフィーによりインク流路6a,6bの隔壁層
17をSi基板上に形成し、接着面18でヒーター基板
2と接着後に、ダイシングソーにより切断してヘッドが
製作される。この実施例に述べたヘッドは、図18,図
19で説明した実施例と同様の方法で形成することもも
ちろん可能である。また、図1,図2で説明した異方性
エッチング法を利用して製作することもできる。
【0070】上述した実施例では、ヒーターを互いに電
気的に並列に接続するノズルは、2個としたが、これに
限らず、それ以上とすることもでき、この場合にはヒー
ターを駆動する駆動パルスの電圧値やパルス幅は、0を
含む3段階以上に設定すればよい。
【0071】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、サーマルインクジェット記録装置において、
噴射するドロップ量を広範囲に変えて十分なレベルの高
品質な階調表現を行なうことができる。しかも、従来の
ものと同等のヒーター寿命を提供し、ドロップ速度の違
いによるドットの位置ズレが生じないという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット記録装置の第1の実
施例のサーマルインクジェットヘッドをチャネル溝の軸
方向に垂直に切った断面図である。
【図2】 図1のB−B線で切った断面図である。
【図3】 図1のサーマルインクジェットヘッドの正面
図である。
【図4】 従来のサーマルインクジェットヘッドにおけ
る印加エネルギーとドロップ量の関係を示す線図であ
る。
【図5】 本発明の実施例のサーマルインクジェットヘ
ッドにおける印加エネルギーとドロップ量の関係を示す
線図である。
【図6】 試作例1のサーマルインクジェットヘッドに
おける印加電圧とドロップ量の関係を示す線図である。
【図7】 試作例1のサーマルインクジェットヘッドに
おける印加電圧とインク滴の速度の関係を示す線図であ
る。
【図8】 印字ドットの説明図である。
【図9】 試作例1のサーマルインクジェットヘッドに
おけるパルス幅とドロップ量の関係を示す線図である。
【図10】 第1の実施例のサーマルインクジェットヘ
ッドにおけるインク滴の速度差と印字結果の説明図であ
る。
【図11】 本発明のインクジェット記録装置の第2の
実施例のサーマルインクジェットヘッドをチャネル溝の
軸方向に水平に切った断面図である。
【図12】 本発明のインクジェット記録装置の第3の
実施例のサーマルインクジェットヘッドをチャネル溝の
軸方向に水平に切った断面図である。
【図13】 試作例3のサーマルインクジェットヘッド
における印加電圧とドロップ量の関係を示す線図であ
る。
【図14】 試作例3のサーマルインクジェットヘッド
における印加電圧とインク滴の速度の関係を示す線図で
ある。
【図15】 試作例3のサーマルインクジェットヘッド
におけるパルス幅とドロップ量の関係を示す線図であ
る。
【図16】 本発明のインクジェット記録装置の第4の
実施例のサーマルインクジェットヘッドのヒーター近傍
の平面図である。
【図17】 試作例4のサーマルインクジェットヘッド
における印加電値力とドロップ量の関係を示す線図であ
る。
【図18】 本発明のインクジェット記録装置の第5の
実施例のサーマルインクジェットヘッドのヒーター基板
の平面図である。
【図19】 第5の実施例のサーマルインクジェットヘ
ッドのチャネル基板のインク流路の説明図である。
【図20】 第5の実施例のサーマルインクジェットヘ
ッドの各ノズルのインク流路方向の断面図である。
【図21】 第5の実施例の印字状態の説明図である。
【図22】 本発明のインクジェット記録装置の第6の
実施例のサーマルインクジェットヘッドのヒーター基板
の平面図である。
【図23】 第6の実施例のサーマルインクジェットヘ
ッドのチャネル基板のインク流路の説明図である。
【図24】 本発明のインクジェット記録装置の第7の
実施例のサーマルインクジェットヘッドのヒーター基板
の平面図である。
【図25】 第7の実施例のサーマルインクジェットヘ
ッドのチャネル基板のインク流路の説明図である。
【図26】 インク流路を平行にしたサーマルインクジ
ェットヘッドのヒーター基板の平面図である。
【図27】 図26のサーマルインクジェットヘッドの
チャネル基板のインク流路の説明図である。
【図28】 図26のサーマルインクジェットヘッドの
印字状態の説明図である。
【符号の説明】
1 チャネル基板、2 ヒーター基板、3 インクリザ
ーバ、4 インク供給口、5a,5b ノズル、6 イ
ンク流路、7a,7b ヒーター、8 厚膜樹脂層、9
ピット、10 チャネル隔壁、11 共通電極、12
個別電極、13a,13b インク滴、14 記録媒
体、17 隔壁層、18 接着面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 誠一 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 井上 七穂 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 内藤 浩一 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 小泉 幸久 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 弥勒 美彦 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを噴出するためのノズルと、該ノ
    ズル内に設けられた発熱抵抗体と、該発熱抵抗体を駆動
    する駆動手段を有し、該発熱抵抗体の発熱により発生す
    る蒸気バブルの圧力によってインクを前記ノズルから吐
    出するインクジェット記録装置において、1ドットを印
    字する複数のノズルを設け、該複数のノズル内に設けら
    れた発熱抵抗体が並列に接続されていることを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 1ドットを印字する複数のノズルにおけ
    る噴射特性の閾値が、ノズルごとに異なるようにしたこ
    とを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装
    置。
  3. 【請求項3】 1ドットを印字する複数のノズルにおい
    て、インクを吐出するために必要な駆動パルスのエネル
    ギーが、ノズルごとに異なるようにしたことを特徴とす
    る請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 発熱抵抗体を駆動する駆動手段が、パル
    ス電圧値(又はパルス電流値)及び/又はパルス幅が異
    なる駆動パルスを発生するものであることを特徴とする
    請求項1乃至3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 駆動手段が、並列に接続されたON電流
    が異なる複数の駆動素子を有するものであることを特徴
    とする請求項1乃至4に記載のインクジェット記録装
    置。
  6. 【請求項6】 1ドットを印字する複数のノズルにおい
    て、該ノズルから吐出されるインク滴の速度差がもたら
    す記録媒体上のドット位置の差が、画素ピッチの1/2
    以下であるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5
    に記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 1ドットを印字する複数のノズルにおい
    て、ノズル間の距離が、該ノズルに圧力を与える圧力発
    生部間の距離よりも短いことを特徴とする請求項1乃至
    6に記載のインクジェット記録装置。
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