JPH06197647A - ミスト栽培方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】軽量で移動が容易であるとともに、花替えも必
要に応じて自由に行なえ、また培養水の作用を充分に付
与することができて室内の雰囲気悪化防止を図ることも
できるようなミスト栽培方法およびその装置の提供。 【構成】種子あるいは植物体を、栽培容器２に対して着
脱自在に取付ける栽培床３上に載置し、上記栽培床３下
方のミスト飛散空間４内に、培養水の噴霧を行なう噴霧
管５を設け、該噴霧管５の基端側に、培養水を収容する
タンク１２と、該タンク１２からの培養水の噴霧を行な
う噴射用ポンプ１３とを配設して、上記栽培床３上の種
子あるいは植物体に培養水を浸透させるミスト栽培方法
およびその装置１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば、花木や果菜
類、葉菜類等の栽培を霧状の培養水によって行なうミス
ト栽培方法およびその装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般家庭や飲食店、商店等において植物
を栽培し、観賞用としたりする場合には、鉢植えのほか
に水耕栽培が行われている。これは、栽培容器内に培養
水を入れ、植物体を支持した支持枠を栽培容器に固定す
ることによって、植物体の根を培養液に浸すのである。

【０００３】しかし、このような水耕栽培では、栽培容
器が大きい場合には、重量が重く移動が困難であり、ま
た、植物体を支持する支持枠が栽培容器に対し固定され
ているので、ことに飲食店や商店等における栽培では、
店内の模様替における移動や花替え等が行ないにくく不
便である。

【０００４】また、栽培容器内の培養水は、時間の経過
に伴って各成分の分離現象が起こり、植物体の生長が阻
害される等の不都合が生じやすい。さらに、培養水はま
た、経時に伴って腐敗し、悪臭を発する。このため、家
庭内や飲食店内等の雰囲気が悪化するという難点をも有
する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこでこの発明は、上
述したような各種の難点を考慮して、軽量で移動が容易
であるとともに、花替えも必要に応じて自由に行なえ、
また培養水の作用を充分に付与することができて室内の
雰囲気悪化防止を図ることもできるようなミスト栽培方
法およびその装置の提供を課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ための手段を実施例の図１を用いて説明すると、その第
１発明の構成は、種子あるいは植物体を、栽培容器２に
対して着脱自在に取付ける栽培床３上に載置し、上記栽
培床３下方のミスト飛散空間４内に、培養水を噴霧する
噴霧手段５を配設して、上記栽培床３上の種子あるいは
植物体に浸透させるミスト栽培方法であることを特徴と
する。

【０００７】また、第２発明の構成は、有底箱状の栽培
容器２の上部に、種子あるいは植物体を支持する栽培床
３を着脱自在に支持し、上記栽培床３の種子あるいは植
物体支持位置に、通気部８を形成し、上記栽培床３下方
のミスト飛散空間４内に、噴霧管５を設け、該噴霧管５
の基端に、培養水を収容するタンク１２と、該タンク１
２からの培養水の噴霧を行なうポンプ１３とを配設した
ミスト栽培装置１であることを特徴とする。

【０００８】

【作用】すなわち、上述した第１発明の構成によれば、
種子あるいは植物体を栽培床の上に載置して、種子の場
合には例えば水を掛けて発根を待ち、伸びた根が栽培床
下方のミスト飛散空間に位置するようにし、手動または
自動制御によって噴霧手段を適宜作動して適宜培養水の
噴霧を行なえばよい。直接噴霧あるいは間接噴霧によっ
て、植物体は根から培養水中の水分および養分（場合に
よっては水分のみ）を吸収して生長する。

【０００９】また、前述した第２発明の構成によれば、
種子あるいは植物体を栽培床の上に載置して、この栽培
床を、有底箱状の栽培容器の上部に着脱自在に取付け、
栽培床に載置したものが種子であるならば水を掛けて発
根を待って、通気部を介して伸びた根を栽培床下方のミ
スト飛散空間に位置させる。そして、手動あるいは自動
制御によって適宜、タンク内の培養水をポンプによって
汲み出し、噴霧管から植物体の根に対し直接的あるいは
間接的に噴射してミスト飛散空間に培養水を霧状に飛散
させる。植物体は根から培養水中の水および養分（場合
によっては水のみ）を吸収して生長する。

【００１０】

【発明の効果】上述の結果、この発明によると、栽培容
器内には従来の水耕栽培のように培養水を満たしておく
必要がないので、軽量であり、移動が容易に行なえる。
また、種子あるいは植物体を支持する栽培床を栽培容器
に対して着脱自在にしたので、花替えを行なう場合には
栽培床を取替えることによって簡単に行なえ、室内の模
様替え等が極めて容易に行なえる。

【００１１】また、上述の通り、栽培容器に培養水を満
たしておく必要はないので、従来の水耕栽培のような成
分の分離は起こらず、培養水を均等に作用させることが
でき、植物体の生長が阻害される等の不都合を防止する
ことができる。さらに培養水がないので、腐敗して悪臭
を発するようなことを防止でき、家庭内や飲食店内等の
雰囲気を良好に保つことができる。

【００１２】

【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図１は、ミスト栽培装置１の構成を示す概略説
明図であって、この図に示すようにミスト栽培装置１
は、平面視長方形で有底箱状の栽培容器２と、この栽培
容器２の上部に着脱自在に取付ける栽培床３と、この栽
培床３下方のミスト飛散空間４の下部に位置した噴霧管
５と、この噴霧管５の基端側に装着した噴霧機構６とで
構成している。

【００１３】上述の栽培容器２は、ミスト飛散空間４を
形成する本体部２ａと、噴霧機構６を収納する収納部２
ｂとで構成し、本体部の底板２ｃは、収納部２ｂ側に向
けて下がるように傾斜し、また上部の内周面には、上述
の栽培床３を係止するための係止段部２ｄを突出形成し
ている。また、収納部２ｂには、上面に開閉可能な蓋体
２ｅを形成し、培養水の補充や交換等を行なえるように
している。

【００１４】前述した栽培床３は、図２に示すように、
栽培容器２本体部２ａの係止段部２ｄに係止可能な平面
視長方形で、内側に穴部７ａを有した枠形状の枠体７
と、この枠体７の底面に装着した通気部としての網目体
８とで構成している。

【００１５】上述の枠体７は、合成樹脂等で形成し、両
端部にはコ字状の把手７ｂ，７ｂを、相対向する長手側
の片の上面には複数の嵌合筒部７ｃ…を、それぞれ上方
へ向けて一体に形成している。把手７ｂ，７ｂは、図１
に示したように、栽培容器２に対して取付けたときに、
上縁部が適宜突出し、栽培容器２からの離脱を可能とし
ている。また、嵌合筒部７ｃ…は、適宜形状の植物体支
持具９…を嵌合固定できるようにしている。植物体支持
具９…は、植物体の配置、株数、種類等に応じて適宜の
形状に形成したものであり、植物体の生長にともない必
要に応じて嵌合筒部７ｃ…に嵌合固定して使用する。

【００１６】また、穴部７ａの両端部には、固定具１
０，１０を装着している。この固定具１０，１０は、上
述の網目体８とで挟持を行なうものであって、押下部１
０ａは幅狭に、挟持部１０ｂを穴部７ａの幅に対応する
長さに形成し、押下部１０ａの基部を軸として回転する
ように、図３にも示す如く枠体７の上面側に枢着してい
る。そして、この枢着部にはバネ１１を介装して挟持方
向に付勢している。図中１０ｃは、規制片であって、こ
の規制片１０ｃの縁部が穴部の縁に当接することによっ
て、網目体８に対する過度の負荷を防止する。

【００１７】前述の噴霧管５は、栽培容器２の幅に合わ
せて例えば２本等、長手方向に沿って水平に収納し、所
定位置に位置固定している。また噴霧管５の上面には、
栽培床３に支持する植物体の根の位置に対応させて、あ
るいは根の位置とは無関係に適宜間隔ごとに噴霧口５ａ
…を形成している。根の位置に対応して形成する場合に
は、直接噴霧が、根の位置とは無関係に形成する場合に
は、ミスト飛散空間４内を所定量のミストで満たして雰
囲気をつくる間接噴霧が行なえる。

【００１８】前述の噴霧機構６は、水と肥料とを混合し
た培養水を充填するタンク１２、タンク１２の培養水を
噴霧するための噴射用ポンプ１３、余分な培養水を回収
する回収用タンク１４、回収用タンク１４の培養水を上
述のタンク１２に戻すための回収用ポンプ１５、モータ
（図示せず）、および制御ユニット（図示せず）で構成
している。

【００１９】タンク１２は、上端にキャップ１２ａを有
し、培養水の補充等を行えるようにし、内部には撹拌手
段１２ｂを有している。この撹拌手段１２ｂは、上述し
た噴射用ポンプ１３、回収用ポンプ１５とともに、上述
したモータで駆動するようにしている。

【００２０】上述の噴射用ポンプ１３は、第１パイプ１
６と第２パイプ１７とを介して、それぞれ上述のタンク
１２と噴霧管５とに接続している。また、上述の回収用
タンク１４は、噴霧して余った培養水が栽培容器２本体
部２ａの傾斜した底板２ｃを流下し、第３パイプ１８を
介して回収されるようにしており、この回収用タンク１
４からは第４パイプ１９を介して回収用ポンプ１５へ、
回収用ポンプ１５からは第５パイプ２０を介してタンク
１２へと順次接続している。

【００２１】そして、前述の制御ユニットは、タイマ
（図示せず）を内蔵して構成し、前述のモータを適宜駆
動制御する。すなわち、例えば噴霧時間を１０秒、噴霧
回数を日に３回、噴霧時刻を朝６時、昼１２時、夕６時
などというように適宜設定すると、各噴霧時刻にモータ
は駆動し、撹拌手段１２ｂ、噴射用ポンプ１３、回収用
ポンプ１５がそれぞれ同時に作動して、撹拌手段１２ｂ
はタンク１２内の培養水を撹拌して成分の均一化を行な
うとともに、噴射用ポンプ１３が噴霧管５の噴霧口５ａ
…から培養水の噴霧を開始してミスト飛散空間４内に培
養水のミストを飛散させ、また回収用ポンプ１５は前回
の噴霧時に回収された培養水があればそれを含めて、回
収される培養水をタンク１２へ戻す。

【００２２】以上のように構成したミスト栽培装置の作
用および効果をつぎに説明する。栽培を播種段階から行
なう場合には、例えば、図４および図５に示したような
種子パック２１を使用する。この種子パック２１は、多
数の種子パック２１ａ…をミシン目２２…を介して連結
し、ロール状に巻回したものであって、これら多数の種
子パック２１ａ…は、図５に断面図で示すように、２枚
の不織布２３，２３を上下に重合して、収納量に対応し
た大きさの円形の収納空間２４を中央位置に形成し、こ
の収納空間２４には一度の播種に適した所定数の種子２
５…と充填材２６とを収納している。ここで、充填材２
６とは、生育に必要な肥料のほか、発根促進剤や発芽促
進剤といった薬剤、また、おが屑や、植物体の根の基部
を安定して支持すべく立体的にカールして複雑に絡み合
った複数本のモノフィラメントからなる植物体安定化部
材等も含む。なお、上述のような植物体安定化部材を収
納すると、伸びる根は絡み合ったモノフィラメント間を
縫うように生長するので、自らの姿勢を保持する力が向
上し、土の中での栽培と同様に安定度が得られる。ま
た、前述の不織布２３，２３同士の接合は圧着等適宜手
段により行なう。

【００２３】さらに、各種子パック２１ａ…の収納空間
２４…の間には、図４に示すように、余り込合わず、か
つ間隔が空き過ぎない、播種に適した所定間隔ｗを隔て
ており、収納空間２４…間の中間位置には、前述した切
離し用のミシン目２２…を一定間隔おきに形成してい
る。

【００２４】すなわち、栽培床３の上に種子パック２１
を適宜の複数列に延ばして載置し、図１および図３に示
したように、種子パック２１（２１ａ）の両端縁を固定
具１０，１０で挟持固定して網目体８の上に安定化させ
る。そして、図１に示したように、栽培床を栽培容器の
本体部に取付けたのち、種子パック２１に水を掛けて発
芽を待つ。この時、種子パック２１は不織布２３，２３
で形成しているので、保温性が良好で発芽温度に近づけ
ることができるとともに、通気性も良いので、発芽に必
要な酸素の供給を充分に行なえる。また、収納空間２４
に水分の保持を行なえる充填材、例えばおが屑等を収納
したならば、水の供給も充分に行なえる。

【００２５】発芽および発根が開始したら、タンク１２
に培養水を充填し、噴霧についての条件を設定して制御
ユニットを作動する。

【００２６】すると、設定した各噴霧時刻になるとモー
タが駆動して、撹拌手段１２ｂ、噴射用ポンプ１３、回
収用ポンプ１５をそれぞれ同時に作動する。撹拌手段１
２ｂはタンク１２内の培養水を撹拌して成分の均一化を
行ない、噴射用ポンプ１３が、噴霧管５の噴霧口５ａ…
から培養水の噴霧を開始してミスト飛散空間４内に培養
水のミストを飛散する。また回収用ポンプ１５は前回の
噴霧時に回収された培養水があればそれを含めて、回収
される培養水をタンク１２へ戻す。

【００２７】噴霧口５ａ…からの培養水の噴霧により、
図６に示すように、栽培床３の網目体８を通過して伸び
た根が培養水のミストを被り、培養水中の水および養分
を吸収し、さらに空気中の窒素を固定して、植物体を生
長させる。植物体の生長に応じて、図２に示したような
植物体支持具９…を適宜取付け、紐（図示せず）で茎を
結えるなどして植物体の支持を行なう。

【００２８】したがって、このミスト栽培装置１では、
栽培容器２内全体に培養水を満たしておく必要がないの
で、軽量であり、移動が容易に行なえる。また、種子あ
るいは植物体を支持する栽培床３を栽培容器２に対して
着脱自在にしたので、花替えを行なう場合には栽培床３
を取替えることによって簡単に行なえ、室内の模様替え
等が極めて容易に行なえる。

【００２９】また、上述の通り、栽培容器２に培養水を
満たしておく必要はないので、培養水中での成分分離は
起こらず、培養水を均等に作用させることができ、植物
体の生長が阻害される等の不都合を防止することができ
る。さらに培養水がないので、腐敗して悪臭を発するよ
うなことを防止でき、家庭内や飲食店内等の雰囲気を良
好に保つことができる。

【００３０】また、栽培床３には、植物体を支持する植
物体支持具９…を取付けるように構成しているので、植
物体を見栄えのする状態にすることができ、果菜類や葉
菜類を栽培して収穫するだけでなく、観賞用とする場合
にも、所望通りの美麗な栽培が行なえる。さらに、栽培
を播種段階から行なえるので、植替えの手間がかからな
いという利点も有する。

【００３１】なお、栽培を苗の段階から行なう場合に
は、まず、例えばスポンジ状体で床体を形成し、これの
中央に苗を挿通する孔を形成して苗の基部を挿通保持
し、栽培床３の網目体８上に載置したり、栽培床３を例
えば板状のもので形成し、所定位置に、植物体の基部を
支持する、通気部としての支持孔を設け、ここに植物体
の基部を挿通保持したりして、植物体の根をミスト飛散
空間に位置させる。

【００３２】そして次に、タンク１２に培養水を充填
し、噴霧についての条件を設定して制御ユニットを作動
する。制御ユニットの作動による動作は前述した場合と
同様であるので省略する。

【００３３】以上この発明の一実施例を説明したが、こ
の発明は上述の実施例に限定されず、他の構成を作用す
るもよい。例えば、栽培床３を、枠体７と網目体８とで
構成したが、図７に示すように、枠体２７の所定の栽培
位置に、円形の穴部２７ａを形成し、この穴部２７ａの
下に、カップ形状の網目体２８を装着して、この網目体
２８の中に種子あるいは植物体を支持するようにするも
よく、また、噴霧管５をミスト飛散空間４の下部に位置
させたが、中間部分等に設定して、ミスト飛散空間４内
を培養水のミストで満たすようにするもよい。さらに、
噴射用ポンプ１３を作動するモータの駆動を自動制御し
たが、手動でモータの駆動を行うようにするもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】ミスト栽培装置の構造を示す概略説明図。

【図２】栽培床を示す斜視図。

【図３】図１のＡ部分を示す拡大断面図。

【図４】種子パックを示す斜視図。

【図５】種子パックを示す断面図。

【図６】ミストの作用状態を示す説明図。

【図７】栽培床の他の例を示す断面図。

【符号の説明】

１…ミスト栽培装置 ２…栽培容器 ３…栽培床 ４…ミスト飛散空間 ５…噴霧管 ５ａ…噴霧口 ６…噴霧機構 ７ｂ…把手 ８…網目体（通気部） １２…タンク １２ｂ…撹拌手段 １３…噴射用ポンプ １４…回収用タンク １５…回収用ポンプ ２１（２１ａ）…種子パック ２２…ミシン目 ２３…不織布 ２５…種子 ２６…充填材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】種子あるいは植物体を、栽培容器に対して
   着脱自在に取付ける栽培床上に載置し、上記栽培床下方
   のミスト飛散空間内に、培養水を噴霧する噴霧手段を配
   設して、上記栽培床上の種子あるいは植物体に浸透させ
   るミスト栽培方法。
2. 【請求項２】有底箱状の栽培容器の上部に、種子あるい
   は植物体を支持する栽培床を着脱自在に支持し、上記栽
   培床の種子あるいは植物体支持位置に、通気部を形成
   し、上記栽培床下方のミスト飛散空間内に、噴霧管を設
   け、該噴霧管の基端に、培養水を収容するタンクと、該
   タンクからの培養水の噴霧を行なうポンプとを配設した
   ミスト栽培装置。