JPH06191858A - 無機ポリマーの形成方法 - Google Patents

無機ポリマーの形成方法

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JPH06191858A
JPH06191858A JP34463492A JP34463492A JPH06191858A JP H06191858 A JPH06191858 A JP H06191858A JP 34463492 A JP34463492 A JP 34463492A JP 34463492 A JP34463492 A JP 34463492A JP H06191858 A JPH06191858 A JP H06191858A
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solution
metal
inorganic polymer
acid
water
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JP34463492A
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Junji Nakajima
島 淳 二 中
Kazuhiko Nishimura
村 和 彦 西
Yasunobu Yamamoto
本 安 信 山
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、紫外線を用いることなく、よ
り低温で無機ポリマーを形成させる方法を提供すること
である。 【構成】テトラエトキシシラン等の金属化合物と、アル
コールと、水と、ケイフッ化水素酸あるいはケイフッ化
水素酸塩とを混合した溶液を混合攪拌し、基材表面に塗
布した後、100℃で3時間乾燥、焼成してポリマー化
させることを特徴とする、無機ポリマーの形成方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゾルゲル法における無
機ポリマーの形成方法に関し、撥水皮膜、コーティング
用保護膜等の薄膜を始め、光ファイバー、圧電素子の成
形方法などにも適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、基材の表面をコーティングす
る方法として、溶液の化学反応を利用するゾルゲル法が
知られている。ゾルゲル法は、金属アルコキシド(一般
式M(OR)n 、M:金属、R:アルキル基、n:整
数)等の金属化合物の加水分解反応と酸化による縮合反
応によって、無機ポリマーを合成させる方法であり、常
温に近い温度で無機ポリマーを合成できる方法として注
目を集めている。
【0003】このゾルゲル法によって無機ポリマーを合
成する方法として、例えば特開平3−188938号公
報がある。この方法では、まず、Ta、Si、Sbある
いはInなどの金属エトキシドとエタノールとを混合さ
せた溶液を調製する。そして、この溶液に金属原子と有
機基との結合を破壊させる特定波長の紫外線を照射し、
金属エトキシドの金属−アルコキシ基結合を選択的に切
断させる。この反応により、ゾルゲル反応の律速段階で
ある加水分解反応が促進され、溶液のプレポリマー化が
行われる。そして、さらにオゾンを発生させるための紫
外線を照射して、残った有機物をオゾン酸化して、目的
とする無機ポリマーを得ようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した方法では、無
機ポリマーを常温に近い温度で形成できるが、紫外線の
照射により逆にポリマー中の結合鎖を切断して膜機能特
性が低下する恐れがあるだけでなく、酸化工程では紫外
線によって発生させたオゾンを用いるため、作業環境的
にみて非常に好ましくない。また、出発原料である金属
酸化物によって照射する紫外線の波長が異なるために、
特定波長の紫外線ランプを選択しなければならず、適用
できる材料の種類が限定される。さらに、紫外線照射に
は大きな設備投資が必要となるため、工業的な生産には
不向きであった。
【0005】一方、ゾルゲル法において、紫外線を用い
ずに無機ポリマーを形成する方法も提案されている。例
えば、無機ポリマーを形成する溶液にポリマー化を促進
させる塩酸、硝酸、硫酸、燐酸などの酸・アルカリ触媒
を添加する方法である。しかし、最低でも200℃以上
の高温下に置いて溶液を乾燥、硬化させることが必須条
件となっているため、基板として耐熱温度の低いものを
用いることができなかった。
【0006】本発明は上記した問題点に鑑みて発明され
たものであり、その目的は紫外線を用いることなく、よ
り低温で無機ポリマーを形成させる方法を提供すること
にある。
【0007】
【発明の構成】
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた第1の技術的解決手段は、金属化合物と、アル
コールと、水と、ケイフッ化水素酸あるいはケイフッ化
水素酸塩とを混合した溶液を調製する第1の工程と、前
記溶液を基材表面に塗布して塗膜を形成する第2の工程
と、前記塗膜を焼成させる第3の工程とを順次行うこと
を特徴とする無機ポリマーの形成方法である。(請求項
1)。
【0009】また、第2の技術的解決手段は、金属化合
物と、アルコールと、水と、ケイフッ化物とを混合した
溶液を調製する第1の工程と、前記溶液を型に注入する
第2の工程と、前記型に注入された溶液を焼成させる第
3の工程とを順次行うことを特徴とする無機ポリマーの
形成方法である(請求項2)溶液の成分である金属化合
物は、Si、Nb、Ge、Cu、Bi、In、Ti、S
n、Sb、Taなどのほとんどの金属元素に対して適用
でき、金属アルコキシド、ナフテン酸塩、オクテル酸
塩、アセチルアセトンとの化合物などの有機金属化合物
や、塩化物、硝酸塩からなる無機金属化合物を用いるこ
とができる。金属化合物として、例えばシリコンアルコ
キシドを用いた場合には、撥水コーティング膜を始め、
保護膜、集積回路装置、反射防止膜、半導体素子、プラ
スチックレンズ、半導体搭載用基板、光ファイバ、反射
防止膜等に用いることができる。
【0010】また、金属化合物としてIn、Ti、S
n、Sb、Taなどの金属の金属アルコキシドを用いた
場合には、エレクトロルミネセンス素子、薄膜コンデン
サ、光ディスク、反射防止膜、熱線反射膜、金属部材等
に用いることができる。
【0011】触媒として溶液に加えられるケイフッ化水
素酸(=フルオロケイ酸)は化学式H2 SiF6 で表さ
れる弱酸であり、ケイフッ化水素酸塩は化学式M1 2Si
6あるいはM2 SiF6 で表されるケイフッ化水素酸
の塩である。ここで、Mには、Ca,Rb,Se,T
a,Na,K,Cs,Baなどの金属、あるいはNH3
などを適用できる。
【0012】調製された溶液を基材上に塗布して用いる
ときには、薄膜のコーティング膜として使用される。溶
液が塗布される基材としては、珪酸ガラス,珪酸アルカ
リガラス,鉛アルカリガラス,ソーダ石灰ガラス,カリ
石灰ガラス,バリウムガラスなどの珪酸ガラス,B2
3 及びSiO2 を有する硼珪酸ガラス,P2 5 を含有
する燐酸塩ガラスなどのガラス基板、電気素子,プリン
ト基板などの樹脂基板及び金属基板などから選択して用
いることができる。
【0013】さらに溶液には、主成分の金属化合物の
他、Fe,Co,Ni,Ti,Al,Zrなどの金属の
有機金属化合物、硝酸塩,硫酸塩,シュウ酸塩、酢酸塩
を始めとする金属塩及び金属酸化物を含有させて、無機
ポリマーの性質や機能を調製することができる。
【0014】尚、溶液中の金属化合物をシリコンアルコ
キシドとし、ガラス基板上に薄膜を形成する場合には、
これらの添加される有機金属化合物、金属塩、金属酸化
物は撥水皮膜の屈折率やガラス基板への付着性を左右す
るため、シリコンアルコキシドの量の50%(mol
%)以下とすることが好ましい。これより金属酸化物の
量が多いと、撥水皮膜のガラス基板への付着性が低下す
るとともに、干渉色が生じるため好ましくない。尚、形
成された膜を撥水コーティング膜として用いる場合に
は、第1工程で調製される溶液中に、アルコキシル基の
一部がフルオロアルキル基で置換された置換シリコンア
ルコキシド等の撥水剤が混合されることが好ましい。
【0015】
【発明の作用及び効果】溶液中のケイフッ化水素酸ある
いはケイフッ化水素酸塩は、混合される溶液中でポリマ
ー化の触媒として作用する。具体的な作用はまだ解明さ
れていないが、本発明は、ケイフッ化水素酸あるいはケ
イフッ化水素酸塩が他の塩酸、硫酸などと比較して、低
温化で無機ポリマーを形成する上で重要なゾルからゲル
への変化速度を促進することを発見したものである。こ
のため、100℃以下の低温であっても、充分に無機ポ
リマーを形成させることが可能となる。
【0016】また、ケイフッ化水素酸あるいはケイフッ
化水素酸塩は、加熱によって次式のような化学反応を起
こし、フッ酸を生じる。 H2 SiF6 → 2HF+SiF4 SiF4 +2H2 O → 4HF+SiO2 このようにして生じたフッ酸はガラスや金属よりなる基
材表面を溶かし、エッチングの作用をなす。従って、無
機ポリマーの基材への密着性が向上し、剥がれにくい無
機ポリマーの薄膜を形成することが可能となる。
【0017】さらに、ケイフッ化水素酸あるいはケイフ
ッ化水素酸塩は、溶液を調製した後の化学反応によりフ
ッ酸を生じるため、フッ酸の効果を有しながらもフッ酸
のような危険性はない。従って、安全な作業環境を提供
することが可能となる。
【0018】
【実施例】
(実施例1)容器に、テトラエトキシシラン50g、エ
タノール427gを30分攪拌混合し、さらに、水2
1.4g、ケイフッ化水素酸(0.1N)26.4gを
加えて2時間攪拌混合し、コーティング膜形成溶液を調
製した。尚、溶液中の各原料のモル比が、テトラエトキ
シシラン:エタノール:水:ケイフッ化水素酸=1:3
9:11:0.11となるようにした。
【0019】こうして調製した溶液を室温(25℃)で
約5日間放置し、テトラエトキシシランの塩酸と水によ
る加水分解反応により、プレポリマー化を促進する熟成
を行った。
【0020】次に、基材である100mm2 のソーダガ
ラス板の中央部に溶液を2.5ml滴下し、直ちにスピ
ンコート(2000rpm×10秒)し、基材表面にウ
エットなコーティング処理を施した。その後、室温で約
10分間放置し、指で触れて乾燥していることを確認し
た後、雰囲気温度を100℃の熱風循環路中で3時間乾
燥と焼成を行い、基材表面にコーティング膜を形成し
た。形成された薄膜は、平均570Åの薄膜を有するも
のであった。
【0021】こうして得られた薄膜の耐傷つき性を調べ
るために、テーバー摩耗試験(1000回)後のヘイズ
値の増加(%)を測定した結果、ヘイズ値の増加は1.
5%で、摩耗による透明度変化は極めて少なくことがわ
かった(表1参照)。また、得られた薄膜についてNM
R分析を行った結果、架橋度の高いポリシロキサン構造
であることがわかった。
【0022】(実施例2)容器に、テトラエトキシシラ
ン50g、エタノール427gを30分攪拌混合し、さ
らに、水21.4g、塩酸(0.1N)26.4gを加
えて2時間攪拌混合し、コーティング膜形成溶液を調製
した。尚、溶液中の各原料のモル比が、テトラエトキシ
シラン:エタノール:水:塩酸=1:39:11:0.
11となるようにした。
【0023】こうして調製した溶液を室温(25℃)で
約5日間放置し、テトラエトキシシランの塩酸と水によ
る加水分解反応により、プレポリマー化を促進する熟成
を行った。
【0024】次に、プレポリマー化を行った調製液に
0.5Nのケイフッ化水素酸を、調製液の1.0wt%
となるよう添加して、混合液を調製した。そして、基材
である100mm2 のソーダガラス板の中央部に混合液
を2.5ml滴下し、直ちにスピンコート(2000r
pm×10秒)し、基材表面にウエットなコーティング
処理を施した。実施例1と同様に乾燥と焼成を行い、基
材表面にコーティング膜を形成した。
【0025】形成された薄膜は、実施例1と同様に平均
570Åの膜厚を有し、テーバー摩耗試験(1000
回)後のヘイズ値の増加は1.5%で、摩耗による透明
度変化は実施例1同様に極めて少なく、またNMR分析
の結果、架橋度の高いポリシロキサン構造であることが
わかった。
【0026】(比較例1)途中でケイフッ化水素酸を添
加する以外は、実施例2と全く同様に薄膜を形成した。
この薄膜についてテーバー摩耗試験を行ったところ、ヘ
イズ値の増加は4.5%以上と極めて高く、薄膜の透明
感がなくなるほど摩耗が発生した。また、NMR分析の
結果、この薄膜は架橋度の極めて低いポリシロキサン構
造であることがわかった。
【0027】
【表1】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 無機ポリマーの形成方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゾルゲル法における無
機ポリマーの形成方法に関し、コーティング用保護膜等
の薄膜を始め、光ファイバー、圧電素子の成形方法など
にも適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、基材の表面をコーティングす
る方法として、溶液の化学反応を利用するゾルゲル法が
知られている。ゾルゲル法は、金属アルコキシド(一般
式M(OR)n 、M:金属、R:アルキル基、n:整
数)等の金属化合物の加水分解反応と酸化による縮合反
応によって、無機ポリマーを合成させる方法であり、
00〜800℃で無機ポリマーを合成できる方法として
注目を集めている。
【0003】ゾルゲル法は、一般に無機ポリマーを形成
する溶液にポリマー化を促進させる塩酸、硝酸、硫酸、
燐酸などの酸・アルカリ触媒を添加する方法が採用され
ている。しかし、最低でも200℃以上の高温下に置い
て溶液を乾燥、硬化させることが必須条件となっている
ため、基板として耐熱温度の低いものを用いることがで
きなかった。
【0004】一方、低い温度で無機ポリマーを形成させ
る方法として、特開平3−188938号公報に開示さ
れる方法が知られている。この方法では、まず、Ta、
Si、SbあるいはInなどの金属エトキシドとエタノ
ールとを混合させた溶液を調製する。そして、この溶液
に金属原子と有機基との結合を破壊させる特定波長の紫
外線を照射し、金属エトキシドの金属−アルコキシ基結
合を選択的に切断させる。この反応により、ゾルゲル反
応の律速段階である加水分解反応が促進され、溶液のプ
レポリマー化が行われる。そして、さらにオゾンを発生
させるための紫外線を照射して、残った有機物をオゾン
酸化して、目的とする無機ポリマーを得ようとするもの
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この紫
外線を用いた方法では無機ポリマーを常温に近い温度で
形成できるが、紫外線の照射により逆にポリマー中の結
合鎖を切断して膜機能特性が低下する恐れがあるだけで
なく、酸化工程では紫外線によって発生させたオゾンを
用いるため、作業環境的にみて非常に好ましくない。ま
た、出発原料である金属酸化物によって照射する紫外線
の波長が異なるために、特定波長の紫外線ランプを選択
しなければならず、適用できる材料の種類が限定され
る。さらに、紫外線照射には大きな設備投資が必要とな
るため、工業的な生産には不向きであった。
【0006】本発明は上記した問題点に鑑みて発明され
たものであり、その目的は紫外線を用いることなく、よ
り低温で無機ポリマーを形成させる方法を提供すること
にある。
【0007】
【発明の構成】
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた第1の技術的解決手段は、金属化合物と、アル
コールと、水と、ケイフッ化水素酸あるいはケイフッ化
水素酸塩とを混合した溶液を調製する第1の工程と、前
記溶液を基材表面に塗布して塗膜を形成する第2の工程
と、前記塗膜を硬化させる第3の工程とを順次行うこと
を特徴とする無機ポリマーの形成方法である。(請求項
1)。
【0009】また、第2の技術的解決手段は、金属化合
物と、アルコールと、水と、ケイフッ化物とを混合した
溶液を調製する第1の工程と、前記溶液を型に注入する
第2の工程と、前記型に注入された溶液を硬化させる第
3の工程とを順次行うことを特徴とする無機ポリマーの
形成方法である(請求項2)溶液の成分である金属化合
物は、Si、Nb、Ge、Cu、Bi、In、Ti、S
n、Sb、Taなどのほとんどの金属元素に対して適用
でき、金属アルコキシド、ナフテン酸塩、オクテル酸
塩、アセチルアセトンとの化合物などの有機金属化合物
や、塩化物、硝酸塩からなる無機金属化合物を用いるこ
とができる。金属化合物として、例えばシリコンアルコ
キシドを用いた場合には、撥水コーティング膜を始め、
保護膜、集積回路装置、反射防止膜、半導体素子、プラ
スチックレンズ、半導体搭載用基板、光ファイバ、反射
防止膜等に用いることができる。
【0010】また、金属化合物としてIn、Ti、S
n、Sb、Taなどの金属の金属アルコキシドを用いた
場合には、エレクトロルミネセンス素子、薄膜コンデン
サ、光ディスク、反射防止膜、熱線反射膜、金属部材等
に用いることができる。
【0011】触媒として溶液に加えられるケイフッ化水
素酸(=フルオロケイ酸)は化学式H2 SiF6 で表さ
れる弱酸であり、ケイフッ化水素酸塩は化学式M1 2Si
6あるいはM2 SiF6 で表されるケイフッ化水素酸
の塩である。ここで、MにはMg,Ca,Na,K,B
などの金属、あるいはNH3 などを適用できる。
【0012】調製された溶液を基材上に塗布して用いる
ときには、薄膜のコーティング膜として使用される。溶
液が塗布される基材としては、珪酸ガラス,珪酸アルカ
リガラス,鉛アルカリガラス,ソーダ石灰ガラス,カリ
石灰ガラス,バリウムガラスなどの珪酸ガラス,B2
3 及びSiO2 を有する硼珪酸ガラス,P2 5 を含有
する燐酸塩ガラスなどのガラス基板、電気素子,プリン
ト基板などの樹脂基板及び金属基板などから選択して用
いることができる。
【0013】さらに溶液には、主成分の金属化合物の
他、Fe,Co,Ni,Ti,Al,Zrなどの金属の
有機金属化合物、硝酸塩,硫酸塩,シュウ酸塩、酢酸塩
を始めとする金属塩及び金属酸化物を含有させて、無機
ポリマーの性質や機能を調製することができる。
【0014】尚、溶液中の金属化合物をシリコンアルコ
キシドとし、ガラス基板上に透明コーティング薄膜を形
成する場合には、これらの添加される有機金属化合物、
金属塩、金属酸化物は撥水皮膜の屈折率やガラス基板へ
の付着性を左右するため、シリコンアルコキシドの量の
50%(mol%)以下とすることが好ましい。これよ
り金属酸化物の量が多いと、コーティング膜のガラス基
板への付着性が低下するとともに、干渉色が生じるため
好ましくない。
【0015】
【発明の作用及び効果】溶液中のケイフッ化水素酸ある
いはケイフッ化水素酸塩は、混合される溶液中でポリマ
ー化の触媒として作用する。具体的な作用はまだ解明さ
れていないが、本発明は、ケイフッ化水素酸あるいはケ
イフッ化水素酸塩が他の塩酸、硫酸などと比較して、低
温化で無機ポリマーを形成する上で重要なゾルからゲル
への変化速度を促進することを発見したものである。こ
のため、100℃以下の低温であっても、充分に無機ポ
リマーを形成させることが可能となる。
【0016】また、ケイフッ化水素酸あるいはケイフッ
化水素酸塩は、加熱によって次式のような化学反応を起
こし、フッ酸を生じる。 H2 SiF6 → 2HF+SiF4 SiF4 +2H2 O → 4HF+SiO2 このようにして生じたフッ酸はガラスや金属よりなる基
材表面を溶かし、エッチングの作用をなす。従って、無
機ポリマーの基材への密着性が向上し、剥がれにくい無
機ポリマーの薄膜を形成することが可能となる。
【0017】さらに、ケイフッ化水素酸あるいはケイフ
ッ化水素酸塩は、溶液を調製した後の化学反応によりフ
ッ酸を生じるため、フッ酸の効果を有しながらもフッ酸
のような危険性はない。従って、安全な作業環境を提供
することが可能となる。
【0018】
【実施例】 (実施例1)容器に、テトラエトキシシラン50g、エ
タノール427gを30分攪拌混合し、さらに、水2
1.4g、ケイフッ化水素酸(0.1N)26.4gを
加えて2時間攪拌混合し、コーティング膜形成溶液を調
製した。尚、溶液中の各原料のモル比が、テトラエトキ
シシラン:エタノール:水:ケイフッ化水素酸=1:3
9:11:0.11となるようにした。
【0019】こうして調製した溶液を室温(25℃)で
約5日間放置し、テトラエトキシシランの塩酸と水によ
る加水分解反応により、プレポリマー化を促進する熟成
を行った。
【0020】次に、基材である100mm2 のソーダガ
ラス板の中央部に溶液を2.5ml滴下し、直ちにスピ
ンコート(2000rpm×10秒)し、基材表面にウ
エットなコーティング処理を施した。その後、室温で約
10分間放置し、指で触れて乾燥していることを確認し
た後、雰囲気温度を100℃の熱風循環路中で3時間乾
燥と硬化を行い、基材表面にコーティング膜を形成し
た。形成された薄膜は、平均570Åの薄膜を有するも
のであった。
【0021】こうして得られた薄膜の耐傷つき性を調べ
るために、テーバー摩耗試験(1000回)後のヘイズ
値の増加(%)を測定した結果、ヘイズ値の増加は1.
5%で、摩耗による透明度変化は極めて少なくことがわ
かった(表1参照)。また、得られた薄膜についてNM
R分析を行った結果、架橋度の高いポリシロキサン構造
であることがわかった。
【0022】(実施例2)容器に、テトラエトキシシラ
ン50g、エタノール427gを30分攪拌混合し、さ
らに、水21.4g、塩酸(0.1N)26.4gを加
えて2時間攪拌混合し、コーティング膜形成溶液を調製
した。尚、溶液中の各原料のモル比が、テトラエトキシ
シラン:エタノール:水:塩酸=1:39:11:0.
11となるようにした。
【0023】こうして調製した溶液を室温(25℃)で
約5日間放置し、テトラエトキシシランの塩酸と水によ
る加水分解反応により、プレポリマー化を促進する熟成
を行った。
【0024】次に、プレポリマー化を行った調製液に
0.5Nのケイフッ化水素酸を、調製液の1.0wt%
となるよう添加して、混合液を調製した。そして、基材
である100mm2 のソーダガラス板の中央部に混合液
を2.5ml滴下し、直ちにスピンコート(2000r
pm×10秒)し、基材表面にウエットなコーティング
処理を施した。実施例1と同様に乾燥と硬化を行い、基
材表面にコーティング膜を形成した。
【0025】形成された薄膜は、実施例1と同様に平均
570Åの膜厚を有し、テーバー摩耗試験(1000
回)後のヘイズ値の増加は1.5%で、摩耗による透明
度変化は実施例1同様に極めて少なく、またNMR分析
の結果、架橋度の高いポリシロキサン構造であることが
わかった。
【0026】(比較例1)途中でケイフッ化水素酸を添
加する以外は、実施例2と全く同様に薄膜を形成した。
この薄膜についてテーバー摩耗試験を行ったところ、ヘ
イズ値の増加は4.5%以上と極めて高く、薄膜の透明
感がなくなるほど摩耗が発生した。また、NMR分析の
結果、この薄膜は架橋度の極めて低いポリシロキサン構
造であることがわかった。
【0027】
【表1】
フロントページの続き (72)発明者 山 本 安 信 愛知県碧南市港南町2丁目8番地12 アイ シン辰栄株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属化合物と、アルコールと、水と、ケ
    イフッ化水素酸あるいはケイフッ化水素酸塩とを混合し
    た溶液を調製する第1の工程と、前記溶液を基材表面に
    塗布して塗膜を形成する第2の工程と、前記塗膜を焼成
    させる第3の工程とを順次行うことを特徴とする無機ポ
    リマーの形成方法。
  2. 【請求項2】 金属化合物と、アルコールと、水と、ケ
    イフッ化水素酸あるいはケイフッ化水素酸塩とを混合し
    た溶液を調製する第1の工程と、前記溶液を型に注入す
    る第2の工程と、前記型に注入された溶液を焼成させる
    第3の工程とを順次行うことを特徴とする無機ポリマー
    の形成方法。
JP34463492A 1992-12-24 1992-12-24 無機ポリマーの形成方法 Pending JPH06191858A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002105358A (ja) * 2000-10-03 2002-04-10 Kansai Paint Co Ltd 無機膜形成用塗布剤、その無機膜形成方法、そのものを用いて得られる無機膜被覆アルミニウム材及び無機膜被覆鋼材
JP2002167553A (ja) * 2000-11-30 2002-06-11 Kansai Paint Co Ltd 無機膜形成用塗布剤、その無機膜形成方法、そのものを用いて得られる無機膜被覆アルミニウム材及び無機膜被覆鋼材
JP2015224302A (ja) * 2014-05-28 2015-12-14 アンデス電気株式会社 低屈折率膜形成用コーティング液、低屈折率膜、低屈折率膜製造方法および応用品
KR102248986B1 (ko) * 2020-12-02 2021-05-07 주식회사 포스코건설 카르복실계 복합화합물 및 실리카 하이브리드 규불화염 복합화합물을 포함하는 콘크리트 혼화제.

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