JPH061903B2 - 信号伝送装置 - Google Patents

信号伝送装置

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JPH061903B2
JPH061903B2 JP27850184A JP27850184A JPH061903B2 JP H061903 B2 JPH061903 B2 JP H061903B2 JP 27850184 A JP27850184 A JP 27850184A JP 27850184 A JP27850184 A JP 27850184A JP H061903 B2 JPH061903 B2 JP H061903B2
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正之 西口
健三 赤桐
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  • Compression, Expansion, Code Conversion, And Decoders (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、PCM信号のようなアナログ信号をディジタ
ル化した信号を一定ワード数毎にブロック化して伝送す
る信号伝送装置に関し、特に、各ブロック毎にコンパン
ディング処理を行って伝送ビットレートの低減を図った
信号伝送装置に関する。
〔従来の技術〕
近年において、アナログのオーディオ信号やビデオ信号
等をサンプリング(標本化)して量子化および符号化処
理を行い、いわゆるPCM(パルス・コード・モジュレ
ーション)信号として伝送あるいは記録・再生すること
が多くなっている。
このようなPCM信号等を伝送あるいは記録・再生する
に際して、例えば20kHz程度の帯域と90dB程度以
上のS/N比を得るために、サンプリング周波数f
44.1kHzとし、1ワード16ビットの直線量子化が一般
に採用されているが、この場合の伝送レートは700K
BPS(1秒間に700Kビット)以上にも達する極め
て高いものとなる。
ところで、上述のようなオーディオ信号やビデオ信号の
ようなアナログ信号をA/D変換して得られたディジタ
ル信号においては、その統計的性質が偏りを持つことや
視聴覚現象からみて重要度の低い部分があることを利用
して、情報量を圧縮することが可能であり、例えば差分
・和分処理や圧縮・伸張処理(コンパンディング処理)
を行っても信号の品質劣化が極めて少ないことが知られ
ている。
このような点を考慮し、本件出願人は先に、例えばディ
ジタルPCM信号に対して、一定時間単位あるいは一定
ワード数毎にブロック化するとともに、各ブロック毎に
差分処理等の予測処理やコンパンディング処理を行って
伝送あるいは記録・再生することを、特願昭58−97
687〜9号、特願昭58−163054号、特願昭5
8−166267号あるいは特願昭58−210382
号等において提案している。
これらの技術においては、各ブロック毎に少なくとも1
ワードの基準データ、例えばストレートPCMデータを
設けており、この基準データに基いて例えば差分データ
を順次加算する等の演算処理を行うことによって、ブロ
ック内の元のサンプリングデータ(ストレートPCMデ
ータ)を全て復元可能としている。これは主として、一
般に差分処理データを伝送する際に生ずるエラー伝播を
最小限に抑えるためであり、また、ブロック毎に予測処
理やコンパンディング処理を切り換える際のブロック境
界でのオーバーシュート等のエラーを防止するためであ
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、ビット圧縮率を極端に高くとる場合、例えば
1ワード16ビットのデータを1ワード4ビットにまで
圧縮するような場合には、上記基準データの1ワードが
圧縮されたデータの4ワード分に相当するため、伝送効
率あるいは記録効率を高めようとすると、ブロック内に
上記基準データを設けずに伝送あるいは記録・再生する
ことが望ましい。
しかしながら、単なる差分出力を伝送する場合には、S
/N改善が不充分であったり、高域入力信号に対してS
/Nが劣化したり、あるいは伝送路上や記録・再生時等
にコード・エラーが発生した場合に異音が発生する等の
問題点がある。
本発明はこのような実情に鑑み、伝送ビットレートを極
端に低くできるとともに、S/N改善量の不足を補うこ
とができ、高域信号入力時のS/N劣化やコード・エラ
ー発生時の異音の発生等を防止し得るような信号伝送装
置の提供を目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕 上述の問題点を解決するために、本発明の信号伝送装置
は、入力ディジタル信号を時間軸に沿って一定ワード数
毎にブロック化し、各ブロック毎の信号に対して予測誤
差を得るためのフィルタ、いわゆる差分処理フィルタを
介して伝送するとともに、上記差分処理フィルタとし
て、N次の予測器およびN次以下の予測器を用いて成る
複数の差分処理フィルタを予め設けておき、これらの各
差分処理フィルタからの出力の上記ブロック内の最大絶
対値(ピーク値)あるいは最大絶対値(ピーク値)に係
数を乗算したものを互いに比較し、その値が最小となる
差分処理フィルタを当該ブロックに対して選択すること
を特徴としている。
ここで、上記複数の差分処理フィルタのうちには、入力
されたディジタル信号をそのまま出力するフィルタ(フ
ラット・パス)を含んでいてもよい。
〔作用〕
上記複数の差分処理フィルタからの1ブロック分の各予
測誤差出力のそれぞれのピーク値(ブロック内最大絶対
値)のうち最小のピーク値を出力する差分処理フィルタ
が、当該ブロック内の入力ディジタル信号を最も効率よ
く差分処理するものであり、この差分処理フィルタを選
択することにより高効率の伝送が行える。また、ブロッ
ク内の各ピーク値に差分処理フィルタの次数等に応じた
所定の係数を乗算して(いわゆる重み付けして)比較す
ることにより、高次のフィルタよりも低次のフィルタや
入力信号をそのまま出力するフィルタ(フラット・パ
ス)を優先的にあるいはより頻繁に選択させ、高域信号
入力時のS/N劣化の改善やコード・エラー発生時の異
音発生の防止等も可能となる。
〔実施例〕
概略的な構成 先ず、本発明が適用される信号伝送装置の一例となるオ
ーディオ・ビットレート・リダクション・システムの全
体の概略的な構成について、第1図を参照しながら説明
する。
この第1図のシステムは、送信側(あるいは記録側)の
エンコーダ10と、受信側(あるいは再生側)のデコー
ダ30とより成り、エンコーダ10の入力端子11に
は、アナログ・オーディオ信号を周波数fでサンプリ
ングし、量子化および符号化を施して得られるオーディ
オPCM信号x(n)が供給されている。この入力信号x
(n)は、予測器12および加算器13にそれぞれ送られ
ており、予測器12からの予測信号 は、加算器13に減算信号として送られている。したが
って、加算器13においては、上記入力信号x(n)から
上記予測信号 が減算されることによって、予測誤差信号あるいは(広
義の)差分出力d(n)、すなわち、 が出力される。
ここで、予測器12は、一般に過去のp個の入力x(n
−p),x(n−p+1),…,x(n−1)の1次結
合により予測値 を算出するものであり、 ただしα(k=1,2,…p)は係数 となる。したがって、上記予測誤差出力あるいは(広義
の)差分出力d(n)は、 と表せる。
また、本発明においては、入力ディジタル信号の一定時
間内のデータ、すなわち入力データの一定ワード数l毎
にブロック化するとともに、各ブロック毎に最適の予測
フィルタ特性が得られるように上記係数αの組を選択
している。これは、後述するように、互いに異なる特性
の予測器、あるいは加算器も含めて差分出力(予測誤差
出力)を得るためのフィルタが複数設けられているとみ
なすことができ、これらの複数の差分処理フィルタのう
ちの最適のフィルタを上記各ブロック毎に選択するわけ
である。この最適フィルタの選択は、複数の各差分処理
フィルタからの出力のブロック内最大絶対値(ピーク
値)または最大絶対値(ピーク値)に係数を乗算した値
を、予測・レンジ適応回路21において互いに比較する
ことによって行われ、具体的には各最大絶対値(または
その係数乗算値)のうち値が最小となるような差分処理
フィルタが当該ブロックに対して最適のフィルタとして
選択される。このときの最適フィルタ選択情報は、モー
ド選択情報として、予測・レンジ適応回路21から出力
され、予測器12に送られる。
次に、上記予測誤差としての差分出力d(n)は、加算器
14を介し、利得Gのシフタ15と量子化器16とより
なるビット圧縮手段に送られ、例えば浮動小数点(フロ
ーティング・ポイント)表示形態における指数部が上記
利得Gに、仮数部が量子化器16からの出力にそれぞれ
対応するような圧縮処理あるいはレンジング処理が施さ
れる。すなわち、シフタ15は、ディジタル2進データ
を上記利得Gに応じたビット数だけシフト(算術シフ
ト)することによりいわゆるレンジを切り替えるもので
あり、量子化器16は、このビット・シフトされたデー
タの一定ビット数を取り出すような再量子化を行ってい
る。次に、ノイズ・シェイピング回路(ノイズ・シェイ
パ)17は、量子化器16の出力と入力との誤差分、い
わゆる量子化誤差を加算器18で得て、この量子化誤差
を利得G-1のシフタ19を介し予測器20に送って、量
子化誤差の予測信号を加算器14に現存信号として帰還
するようないわゆるエラー・フィードバックを行う。こ
のとき、予測・レンジ適応回路21は、上記選択された
モードのフィルタからの差分出力のブロック内最大絶対
値に基きレンジ情報を出力し、このレンジ情報を各シフ
タ15および19に送ってブロック毎に上記各利得Gお
よびG-1を決定している。また、予測器20についてて
は、予測・レンジ適応回路21からの上記モード情報が
送られることによって特性が決定されるようになってい
る。
したがって、加算器14からの出力d′(n)は、上記差
分出力d(n)よりノイズ・シェイパ17からの量子化誤
差の予測信号(n)を減算した d′(n)=d(n)−(n) …………… となり、利得Gのシフタからの出力d″(n)は、 d″(n)=G・d′(n) …………… となる。また、量子化器16からの出力 は、量子化の過程における量子化誤差をe(n)とする
と、 となり、ノイズ・シェイパ17の加算器18において上
記量子化誤差e(n)が取り出され、利得G-1のシフト1
9を介し、過去のr個の入力の1次結合をとる予測器2
0を介して得られる量子化誤差の予測信号(n)は、 となる。この式は、上述の式と同様の形となってお
り、予測器12および20は、それぞれシステム関数
が、 のFIR(有限インパルス応答)フィルタである。
これらの〜式より、量子化器16からの出力 は、 この式のd(n)に上記式を代入して、 となり、この出力 が出力端子22を介して取り出される。ここで、上記 のz変換をそれぞれ とすると、 となる。
なお、予測・レンジ適応回路21からの上記レンジ情報
は出力端子23より、また上記モード選択情報は出力端
子24よりそれぞれ取り出される。
次に、受信側あるいは再生側のデコーダ30の入力端子
31には、上記エンコーダ10の出力端子22からの出
が伝送され、あるいは記録・再生されることによって得
られた信号 が供給されている。この入力信号 は、利得G-1のシフタ32を介し加算器33に送られて
いる。加算器33からの出力 は、予測器34に送られて予測信号(n)となり、この
予測信号(n)は加算器33に送られて上記シフタ32
からの出力 と加算される。この加算出力がデコード出力 として出力端子35より出力される。
また、エンコーダ10の各出力端子23および24より
出力され、伝送あるいは記録・再生された上記レンジ情
報およびモード選択情報は、デコーダ30の各入力端子
36および37にそれぞれ入力されている。そして、入
力端子36からのレンジ情報はシフタ32に送られて利
得G-1を決定し、入力端子37からのモード選択情報は
予測器34に送られて予測特性を決定する。この予測器
34の予測特性は、エンコーダ10の予測器12の特性
に等しいものが選択される。
このような構成のデコーダ30において、シフ となる。ここで、予測器34は、エンコーダ10の予測
器12に等しい特性が選択されることより、 であるから、,式より、 したがって、 となる。ここで、伝送路や記録媒体にエラーが無いとし
て、 とすると、上記式および式より、 となる。
この式より、量子化誤差E(z)に対してG-1のノイズ
低減効果が得られることが明らかであり、このときデコ
ーダ出力に現れるノイズのスペクトル分布をN(z)とす
ると、 となる。
また、このようなシステムにおいて、上記Gは上記ブロ
ック内の最大絶対値に関係する値で正規化するように作
用するものであるが、このGは周波数特性を有してい
る。ここで、説明を簡略化するために、上記Gを、 G=G・G …………… のような2つの要素GとGの積として表す。これら
の2つの要素のうち、Gは上記予測フィルタ処理によ
り予測ゲイン、すなわち瞬時S/Nの改善量を意味し、
は上記レンジング処理によるゲイン・コントロール
量、すなわちダイナミック・レンジの拡大量を意味す
る。したがって、Gは、入力信号周波数に依存し、入
力信号レベルには依存しないのに対し、Gは、入力信
号周波数には依存せず、入力信号レベルに依存すること
になる。またGは、 のS/N改善量を有し、また予測誤差を得るための差分
処理フィルタの伝達関数1−P(z)の逆関数となるよう
な周波数特性を有しており、このときのノイズ・スペク
トルは上記式のようになる。Gに関しては、上記ブ
ロック毎に選択されたモードにおけるブロック内最大絶
対値で正規化するような準瞬時圧伸に対応している。
このような概略構成を有するシステムにおいて、本発明
の要旨は、予測器12と加算器13とより成る予測誤差
出力あるいは差分出力を得るための差分処理フィルタと
して、N次の予測器およびN次以下の予測器を用いて成
る複数のフィルタを設け、各フィルタからの出力の上記
ブロック内最大絶対値または最大絶対値に係数を乗算し
たものを互いに比較し、その値が最少となるような差分
処理フィルタを選択するようにしたことである。この複
数の差分処理フィルタのうちには、ストレートPCMデ
ータをそのまま出力するものも含まれる。
具体的な構成例 次に第2図は、上記第1図に示したオーディオ・ビット
レート・リダクション・システムのエンコーダ10のよ
り具体的な構成例を示し、第1図の各部と対応する部分
には同一の参照番号を付している。
この第2図において、上記予測器12としては、複数
個、例えば4個の予測器12A,12B,12C,12
Dが設けられている。これらの予測器12A〜12Dか
らの予測出力は、減算信号としてそれぞれ加算器13A
〜13Dに送られ、元の入力信号から減算される。すな
わち、それぞれ4個ずつの予測器12A〜12Dおよび
加算器13A〜13Dにより、4系統の予測誤差を得る
ための4個の差分処理フィルタが構成されている。ここ
で、各予測器12A〜12Dは、見かけ上それぞれ2次
の構成を有し、係数α,αとして、予測器12Aが
K1,K2,同12BがK3,K4,同12CがK5,K6,同12Dが
K7,K8を有しているが、所望の予測器の係数の少なくと
も1個を0とすることにより、1次以下の予測特性を得
ることができる。したがって、上記4個の差分処理フィ
ルタについても、見かけ上はそれぞれ2次差分をとる構
成となっているが、所望の差分処理フィルタについて1
次以下の差分をとる特性(ストレートPCMデータを出
力するものも含む)を得ることが可能である。
これらの各差分処理フィルタからの出力、すなわち各加
算器13A〜13Dからの出力は、それぞれlワード遅
延回路41A〜41Dおよび最大絶対値ホールド回路4
2A〜42Dに送られており、lワード遅延回路41A
〜41Dからの各出力は、モード切換スイッチ回路43
の各被選択端子a〜dに送られている。すなわち、前記
1ブロックがlワードであるから、lワード遅延回路4
1A〜41Dにおいては1ブロック分の遅延が行われ、
この遅延が行われている間に、各最大絶対値(ピーク)
ホールド回路42A〜42Dにおいて前記ブロック内最
大絶対値が検出されるわけである。これらのブロック内
最大絶対値は、予測・レンジ適応回路21に送られて互
いに比較され、その値が最小となるものが選択される。
このとき、各ブロック内最大絶対値にそれぞれ所定の係
数を乗算していわゆる重み付けを行つた後に比較しても
よい。予測・レンジ適応回路21は、上記各差分処理フ
ィルタからのそれぞれ1ブロック分のデータのうちの上
記最小のブロック内最大絶対値が得られる1ブロック分
のデータを選択するためのモード選択情報を出力し、こ
のモード選択情報が切換スイッチ回路43に送られるこ
とによって、上記選択された1ブロック分のデータを出
力する遅延回路への切換接続が行われる。切換スイッチ
回路43からの出力は、加算器14に送られる。また、
予測・レンジ適応回路21からの上記モード選択情報
は、予測器20および出力端子24にも送られている。
ここで、予測器20は、例えばデコーダ出力に現れるノ
イズ(前記式参照)をホワイトとするために、予測器
12A〜12Dのうちの上記選択されたものに等しい特
性のものが選択される。すなわち、予測器20も見かけ
上2次の予測器構成を有しており、係数β,βに対
応する係数Ka,Kbは、予測器12A〜12Dの各係
数の組K1,K2〜K7,K8のうちの上記モード選択により指定
された差分処理フィルタの予測器の係数に等しいものが
選ばれる。
また、第3図に示されたデコーダ30の具体例におい
て、予測器34は、第2図の予測器12A〜12Dに対
応して見かけ上2次の構成を有しており、各係数Kc,
Kdとしては、上記予測器12A〜12Dの係数の組
K1,K2〜K7,K8のうちのいずれか一組が入力端子37から
のモード選択情報に応じて選択されるようになってい
る。
これらの第2図および第3図の他の構成は、前述した第
1図と同様であるため、説明を省略する。
なお、以上のような具体的構成を有するエンコーダ10
やデコーダ30のハードウェア構成としては、例えば複
数個の予測器12A〜12D等を現実に設ける必要はな
く、1個の予測器の係数を時分割的に切り換えて用いれ
ばよく、さらには、エンコーダ10やデコーダ30全体
をDSP(ディジタル信号プロセッサ)やメモリ等から
成るシステムによりソフトウェア的に実現できることは
勿論である。
第1の実施例 ここで、本発明の第1の実施例として、入力端子11に
供給されるオーディオPCM信号のサンプリング周波数
を18.9kHzとし、1ワード16ビットで1ブロック
のワード数lを28ワードとし、量子化器16におい
て、1ワード4ビットのデータに再量子化する場合につ
いて詳細に説明する。このときの上記2次の予測器12
A〜12Dの各係数の組K1,K2〜K7,K8としては、例え
ば、 12A:K1=1.8426,K2=-0.8649 12B:K3=0.875 ,K4=0 12C:K5=1.5155,K6=-0.81 12D:K7=0 ,K8=0 のように予め設定しておく。このときの上記各モードの
差分処理フィルタの伝達関数1−P(z)は、 A:1−1.8426z-1+0.8649z-2 B:1−0.875z-1 C:1−1.5155z-1+0.81z-2 D:1 となり、これらの各差分処理フィルタの周波数特性は、
第4図の各曲線A〜Dのようになる。
すなわち、特性曲線Aに対応する差分処理フィルタ(予
測器12Aと加算器13Aとより成る)が2次差分PC
Mモードに相当するフィルタであり、低域の予測ゲイン
すなわち瞬時S/Nの改善量が大きい。特性曲線Bに対
応する差分処理フィルタ(予測器12Bおよび加算器1
3B)は1次差分PMCモードに相当するフィルタであ
り、また、特性曲線Cに対応する差分処理フィルタ(予
測器12Cおよび加算器13C)は中域の予測ゲインが
大きくなっている。予測器12Dおよび加算器13Dよ
り成る差分処理フィルタは、係数K7,K8が共に0である
ことにより、第4図の特性曲線Dに示すように、周波数
特性を持たず基準利得1のいわゆる単なるフラット・パ
ス特性となっており、ストレートPCMモードに相当し
ている。
第5図は、1ブロック毎に伝送されるワード構成の具体
例を示し、再量子化された1ワード4ビットで28ワー
ドのオーディオ・データ・ワードW〜W27と、1ワー
ド16ビットから4ビットへのブロック毎の再量子化の
際の4ビットの取り出し位置を示すいわゆるレンジ情報
ワードWと、上記4つのフィルタに対応する4モード
のうちのいずれが選択されたかを示すモード選択情報ワ
ードWとが1ブロック毎に伝送される。したがって、
伝送されるオーディオ・データ1ワード当りの平均ビッ
ト数は、 (4×28+4+2)÷28≒4.214〔bit〕 となる。
この第4図において、単一の正弦波信号が入力される場
合には、入力信号周波数が0からf1までは特性曲線Aの
フィルタが、周波数がf1からf2までは特性曲線Cのフィ
ルタが、また周波数がf2からfs/2程度までは特性曲線
Dのフィルタがそれぞれ選択される。なお入力信号の周
波数fs/2以上については、いわゆるエリアシング防止
のため、A/D変換前にLPF(ローパスフィルタ)に
より予め除去されることは勿論である。このようにして
選択された各フィルタの周波数応答がその周波数での予
測ゲインすなわち瞬時S/Nの改善量となり、周波数に
対する瞬時S/Nの改善量は第4図の斜線部のようにな
る。
ただし、実際のオーディオ入力信号は複合スペクトルの
信号であるため、上述のような明瞭な境界による選択は
行われず、特性曲線Bのフィルタも比較的頻繁に使用さ
れる。
また、上述のフィルタ選択は、各モードのフィルタから
のブロック内最大絶対値(ピーク値)をそのまま比較し
た場合に行われるものであるが、各モードのブロック内
ピーク値に対してそれぞれ所定の係数を乗算して比較す
ることにより、低次のフィルタあるいはストレートPC
Mデータを出力するフィルタをより多く選択するように
してもよい。この場合、上記係数の一例としては、特性
Aのフィルタからの2次差分PCMデータのピーク値に
は係数2を乗算し、特性Dのフィルタからのストレート
PCMデータのピーク値には係数0.7を乗算し、他のフ
ィルタからのデータのピーク値には係数1を乗算して
(あるいは係数を乗算せずに)、各値を互いに比較し、
その値が最小となるようなフィルタを選択する。このよ
うな係数の乗算は、第4図のグラフ内の対応する特性曲
線を縦軸方向に平行移動させる(レスポンス値を変え
る)ことに対応し、例えば特性曲線Aのフィルタからの
ピーク値に係数2を乗算することは、特性曲線Aを第4
図内で約6dB上方に平行移動させることに相当する。
したがって、結果的には、フィルタ切換周波数f1やf2
低周波側に移行することになり、特性Aのフィルタに比
べて特性Cのフィルタがより頻繁に、また特性Cのフィ
ルタに比べて特性Dのフィルタがより頻繁に選択される
ことになる。このように低次のフィルタの使用頻度を上
げることにより、伝送路のコードエラーに対し、その影
響を抑えることができる。
なお、デコーダ側では、入力された1ブロック分のオー
ディオ・データ・ワードW〜W27が上記レンジ情報ワ
ードWのデータに基いてシフタ32によりブロック単
位で伸張処理あるいはエンコーダ側とは逆のレンジング
処理が施され、次に加算器33と予測器34より成るフ
ィルタにおいて、上記モード選択情報ワードWのデー
タに基いてブロック単位で逆予測処理が施され、元のス
トレートPCMデータが復元される。
この第1の実施例のシステムによれば、低〜中程度の忠
実度の音質の伝送が可能となり、通常の音声信号等を極
めて低いビットレート(1ワード当り4.214ビット、1
チャンネル当りの伝送ビットレート約79.6kビット/
秒)で伝送することができる。
第2の実施例 次に、中〜高忠実度(ミドル〜ハイ・ファイ)の音質で
の音楽信号伝送が可能なシステムの例として、第4図の
特性曲線A,B,Dに対応する予測係数を有する3種類
のフィルタを用い、サンプリング周波数fsを上記第1の
実施例の倍の37.8kHzとする場合について説明する。他
の具体的数値および具体的構成は、上記第1の実施例と
同様とする。
この場合、上記3種類のフィルタの周波数特性は、サン
プリング周波数fsが倍となったことに伴って、第6図の
特性曲線A,B,Dのようになる。すなわち、特性曲線
DはストレートPCMモードに、特性曲線Bは1次差分
モードに、特性曲線Aは2次差分モードにそれぞれ対応
する。
ところで、量子化器16において1ワード16ビットか
ら4ビットへの再量子化を行う際に、所定位置の4ビッ
トを取り出すわけであるが、このときシフタ15では、
ノイズ・シェイピング処理前のデータすなわち選択され
たモードのブロック内ピーク値に基いてレンジ(ビット
・シフト量)が決定されるため、ノイズ・シェイパ17
からのフィードバック・エラーが加算器14にて重畳さ
れることにより、特にレンジング処理の際に取り出され
るビットの最大値に近いデータ入力時において、データ
がオーバーフロウする虞れがある。
これを防止するため、選択されたモードのブロック内の
ピーク値(最大絶対値)に対して所定の1以上の係数γ
を予め乗算し、この乗算結果をピーク値とみなしてレン
ジング位置すなわち16ビット中の4ビットの取り出し
位置を決定する。このように、真のピーク値の上記所定
数γ倍の値によってレンジング位置が決定されるため、
ノイズ・シェイパ17からのエラーが帰還されても、上
記オーバーフロウが発生しにくくなる。この場合、上記
係数γは、選択されたモードの予測器特性に応じて設定
しておくことが好ましい。
ここで、ノイズ・シェイパ17内の予測器20は、差分
処理用の予測器12A〜12Dに等しい特性のものがモ
ード選択に応じて選択されることにより、ストレートP
CMモード時には、第2図の係数Ka,Kbが共に0と
なり、エラー・フィードバック量が0となってノイズ・
シェイピングの影響はなく、係数γ=1とすればよい。
また、1次差分モード時には、ノイズ・シェイピング処
理を施した後のエンコーダ出力でのノイズ・スペクトル
が第6図の特性曲線Bに等しくなる点を考慮して、γ≒
1.14とすればよく、2次差分モード時には、第6図の特
性曲線Aを考慮して、γ≒1.33とすればよい。
すなわち、上記1次差分モード選択時において、エンコ
ーダ出力でのノイズ・スペクトルは概略第7図のように
なる。これは、4ビットで再量子化するときの瞬時S/
Nが約24dBであることにより、フル・スケール(4
ビットで表現可能な最大レベル)を基準の0dBとする
とき、ノイズ・シェイピング前のノイズ・レベルが−2
4dBとなり、これに1次予測のエラー・フィードバッ
クによるノイズ・シェイピング処理が施されて、第7図
の斜線部に示すようなスペクトル分布のノイズ・レベル
となる。したがって、周波数fs/2近傍のノイズ・レベ
ルはノイズ・シェイピング前のレベルに比べて約6dB
持ち上げられることになり、これが上記オーバーフロウ
を起こす原因となる。これは、ノイズ・シェイピング前
の量子化ノイズの振幅分布が上記再量子化された4ビッ
トのLSBの ビット内でランダムであることより、これの1次差分を
とるときのノイズの最大振幅は、 より±1LSBとなり、これがfs/2付近での約6dB
の持ち上りに対応する。したがって、無入力時でも+6
dBのノイズを伝送することになり、4ビットのフル・
スケールの0dBに対してfs/2付近で約−18dBの
位置にノイズのピーク値が存在し得ることになる。ここ
で、−18dBは約0.125であるから、信号のピーク値
を1−0.125、すなわち0.875倍に抑えれば、ノイズ・シ
ェイピングによるオーバーフロウを未然に防ぐことがで
きる。したがって、レンジング位置決定のためのピーク
値に対する乗算係数γとしては、1/0.875≒1.14とす
ればよい。
次に、上記2次差分モード選択時のレンジング位置決定
用のピーク値に対する乗算係数γについては、第6図の
特性曲線Aのfs/2付近での持ち上りが約+12dBで
あることより、4ビット再量子化のフル・スケール0d
Bに対してノイズ・レベルのピーク値は約−12dBの
位置に存在し得ることになる。−12dBは約0.25であ
るから、信号のピーク値を1−0.25=0.75倍に抑えるこ
とによって、ノイズ・シェイピングによるオーバーフロ
ウを防止でき、上記係数γは1/0.75より約1.33とな
る。
ところで、信号が急激に変化することによって、再量子
化の際のレンジング位置が急激に変化する場合に、前の
ブロックのノイズが次のブロックにくり越されることに
よってオーバーフロウを生ずることがある。これは特
に、ブロックの境界近傍で信号レベルが急激に低下した
場合に生じ易く、このとき、レンジング位置すなわち再
量子化のための4ビット取り出し位置は、例えば第8図
A,Bに示すように、16ビット中のMSB側からLS
B側に急激に移動するが、前ブロックのデータ(第8図
A)のエラー分が次のブロックのデータ(第8図B)に
そのまま帰還されることによって、再量子化により取り
出される4ビットのデータかオーバーフロウしてしま
う。これは、シフタ15の利得Gとしては、前ブロック
で小さかったものが次のブロックで急激に増大すること
に相当する。
そこで、オーバーフロウを許容して、オーバーフロウが
発生したときには、再量子化4ビットで表現可能な正又
は負の最大値に固定していわゆるクリッピングすること
により、符号の反転を防ぐとともに異音の発生を最小限
に抑えることが望ましい。
また、このクリッピング処理に先立ち、レンジが小さく
なる(利得Gが大きくなる)ときのビット取り出し位置
の移動に制限を加え、例えば第8図Cに示すように、前
ブロックの位置より1ビットだけLSB側に移動した位
置をビット取り出し位置あるいはレンジング位置とす
る。
このように、レンジング位置が元の16ビットのデータ
のMSB側からLSB側に移動するときの移動量に制限
を加えることにより、急激なレンジの変化が防止でき、
ノイズ・シェイピングによるオーバーフロウの大きさを
小さくできる。
ここで、最もオーバーフロウの生じ易い、すなわち最も
急峻なノイズ・シェイピング処理を行っている上記2次
差分モード選択時のレンジング位置移動の制限作用につ
いて説明する。
この2次差分モード選択時におけるエンコーダ出力での
ノイズ・スペクトル分布は、第6図の特性曲線Aと同様
の曲線形状に表われ、ノイズ・シェイピング前に比べて
fs/2付近のノイズのピーク値は略4倍すなわち約+1
2dBだけ持ち上げられる。したがって、再量子化デー
タの4ビットによるフル・スケールを0dBとすると
き、ノイズのピーク値は−12dBの位置に存在し得る
ことになり、0.25をノイズが占めることになる。次に、
レンジング位置の移動については、上述のように、1ブ
ロックにつきLSB側に1ビット以内にするという制限
があるため、次のブロックにおいて帰還されるノイズの
大きさは、このときのフル・スケールを0dBとして、
最大でも上記1ビット分の−6dB、すなわち0.5であ
る。なお、上記制限を設けない場合には、レンジの変化
ステップが最大12ビットあることより−12+6×1
2=60、すなわち約60dBのノイズが伝播されるこ
とになる。これに対して、上記制限を設けた場合には、
過渡部で最大でも0.5をノイズが占めることになり、信
号に対し上記乗算係数γを設定しない(γ=1とする)
場合でも、信号の最大値1とノイズの最大値0.5との和
1.5、すなわち約+3.5dBのオーバーフロウですむ。
次に、このようなオーバーフロウの大きさを制限したの
ちに、上述のようなクリッピング処理を行う。
ここで、クリッピング処理とは、上記オーバーフロウが
生じたときに、再量子化によって取り出される4ビット
の正又は負の最大値にデータを固定あるいはクリッピン
グすることにより、符号の反転を防止し、エラーを小さ
く抑えるものであるが、この時発生したエラー、すなわ
ち真の値とクリップした上記正又は負の最大値との差を
帰還(エラー・フィードバック)し、次回にくり越すこ
とにより、すなわち通常のエラー・フィードバックをそ
のまま行なうことにより、クリップによる歪等の悪影響
はほとんど発生しないことが確認されている。
これに対して、上記クリップ時にエラーの帰還を停止し
てしまうと、一時的にノイズ・シェイピングがかからな
くなり、デコーダ出力には大レベルの低域ノイズ、すな
わちデコード・フィルタの特性に応じたノイズが発生
し、その歪が伝播するため、聴感上非常に問題となる。
このようなクリッピング処理時のエラー・フィードバッ
クの有無による作用上の差異について以下説明する。
ここで説明を簡略化するために、第9図に示すような1
次のノイズ・シェイピングを行う場合について考察す
る。
この第9図において、シフタ15からの出力d″(n)
は、量子化器16において16ビットから4ビットに再
量子化されて出力d(n)となり、オーバーフロウ時の
クリッピング回路(クリッパ)26を介して出力 となるものとする。また、量子化器16への入力d″
(n)とクリッパ26からの出力 の誤差分である量子化ノイズあるいはエラーe(n)は、
ノイズ・シェイパ17においてシフタ19を介し、1ワ
ード遅延手段27を介して加算器14に減算信号として
供給されている。
なお、この第9図の構成を要部とするエンコーダに対し
て、デコーダの要部は、第10図に示すように構成さ
れ、予測器34は1ワード遅延手段28より成ってい
る。
いま、時間経過に伴って任意の一ブロック(第1のブロ
ック)から次のブロック(第2のブロック)に移る際
に、信号のピーク値が小さくなり、シフタ15の利得G
がGからG・g(ただしg>1)に変化する場合に、上
記第1のブロックの最終のエンコーダ出力データを、 とするとき、デコーダのシフタ32からの出力 となる。次に、上記第2のブロックの先頭のエンコーダ
出力データ となる。ここで、デコーダ出力 を考えるに際し、 とすると、式より、 また、この式と式より、 となる。これら,式で示されるように、オーバーフ
ロウのないときには、ブロック間の干渉は一切発生せ
ず、前ブロックの大きな量子化誤差が後続のブロックに
尾を引くことはない。
次に、上記第2のブロックの先頭ワードでオーバーフロ
ウを起こした場合において、上記式のe(n)・gの項
がオーバーフロウの原因となるわけであるが、ここでオ
ーバーフロウが生じクリップさせたときのエラー分をE
として式を書きなおすと、 よって上記式は、 となる。また、上記式のデコーダ出力は、 となり、この式と上記式との差は、 E・G-1・g-1 …………… で、これがクリップによるデコーダ出力に表れる歪であ
る。
次に、クリップによるエラー伝播については、上記式
で発生したエラーを通常通りフィードバックする場合
に、n+2に対応するエンコード出力は、 この式と式より、デコーダ出力は、 となり、Eの影響はなくなる。これに対して、上記式
で発生したエラーをフィードバックしない場合には、 この式と上記式より、デコーダ出力は、 となるから、結果として、E+e(n+1)を帰還しな
かったことによる影響が伝播することになる。
以上の考察の結果からも明らかなように、クリッピング
によるエラーも、通常の量子化誤差と同様にフィードバ
ックする方が良いことがわかる。この場合、オーバーフ
ロウを起こしたワードのみが上記式のE・G-1・g-1
なる歪を発生するだけですみ、エラーが後続ワードに伝
播することはない。
次に、上記レンジング位置すなわち再量子化ビットの取
り出し位置がLSB側に移動するときの移動量に制限を
加えることの効果について説明する。
先ず、クリッピングによるエラー分を次のワードにフィ
ードバックすることは上記式に示されている。この
式中で帰還されるエラーとしては、{e(n+1)+
E}・G-1・g-1の項であり、これがn+2のワードで
オーバーフロウを引き起こす原因となり得る。すなわ
ち、前記第8図Bのように急激に再量子化ビット取り出
し位置(レンジング位置)がLSB側に移動した場合に
は、 ただし、Fsは現在のブロックの量子化ビットで表現可
能なフルスケールの大きさとなることがあり、n+1の
ワードでのエラー分Eをn+2のワードで吸引しきれず
に、連続してオーバーフロウを起こしてしまうわけであ
る。このようにして、次々とオーバーフロウによるエラ
ーが伝播し、大きな歪となる。この様子を第11図に示
す。この第11図においては、上記レンジング位置が急
激にLSB側に移動したときのブロック内の先頭ワード
をWとしており、このワードWのデータDに前ワ
ード(前ブロックの最終ワード)についての量子化誤差
(エラー)が重畳されて真の値Pとなるわけである
が、この真の値Pは現在のブロックの再量子化ビット
で表現可能なフル・スケールFSの範囲を越えてオーバ
ーフロウとなるため、上記クリッピング処理が施され
て、出力値Qは正の最大値にはりつけられる。このと
きの量子化誤差Eは、出力値Q−真の値Pであ
る。このエラーEの符号を反転したもの、すなわち−
が次のワードWのデータDに重畳されて真の値
となるが、この真の値Pもフル・スケールFSを
越えてオーバーフロウとなるため、出力値Qは正の最
大値にクリップされる。このようにしてエラーが伝播す
る。なお、第11図においては、図示の都合上、ブロッ
ク先頭ワードWのエラー重畳された真の値Pをフル
・スケールの数倍以内にしているが、実際にはWに帰
還されるエラーは、フル・スケールの約1000倍(約
60dB)となる可能性もあり、エラー伝播が長時間に
渡って接続することもある。
これに対して、上述のようにレンジング位置(再量子化
ビットの取り出し位置)がLSB側に移動するときの移
動量を例えば1ビットに制限する場合には、第12図に
示すように、ブロック先頭ワードWで帰還されるエラ
ーが小さく抑えられ、短時間でエラー伝播が解消され
る。したがって、デコーダからの出力信号の歪が小さく
抑えられ、テンポラル・マスキング効果と相まって、聴
感上何ら支障のない信号伝送が可能となる。
第3の実施例 次に、上述した第2の実施例をさらに高品質にした高忠
実度伝送が可能な第3の実施例について説明する。
この第3の実施例においては、量子化器16における再
量子化ビット数を8ビットとし、差分処理フィルタとし
ては、1次差分PCMデータを出力するものとストレー
トPCMデータを出力するものとの2種類を用いてい
る。サンプリング周波数fsは、第2の実施例と同様に3
7.8kHzとしており、1次差分フィルタの特性曲線は前記
第6図の曲線Bに等しくなる。他の条件および構成は、
上述した第2の実施例と同様である。
この第3の実施例の場合には、再量子化されたオーディ
オ・データ・ワードが8ビットであるため、第2の実施
例に比べてより高品質の信号伝送が行なえる。なお、伝
送されるデータのビットレートは、1ワード当り平均8.
214ビットで、1チャンネル当り約310.5kビット/秒と
なる。
ところで、本発明においては、fs/6以下の低域の予測
ゲインGがdB表示で負とならないようなフィルタの
みを用いており、いわゆる和分フィルタは用いていな
い。これは、広帯域の音楽信号においては、高域信号の
みが単独で存在することは非常にまれであり、常に低・
中域信号の存在を考慮した差分処理フィルタが適当なた
めである。
なお、本発明上記実施例のみに限定されるものではな
く、入力ディジタル信号のサンプリング周波数、1ワー
ドのビット数、1ブロック内のワード数、フィルタの最
高次数Nや種類数、あるいは再量子化ビット数等は任意
に設定できることは勿論である。
〔発明の効果〕
本発明の信号伝送装置によれば、高次差分PCM、1次
差分PCM、ストレートPCMの各データを出力する複
数個の差分処理フィルタを用い、これらを適応的に切換
選択しているため、効率的なビットレート低減が行え、
信号の品質を劣化させることなく極めて低いビットレー
トでの信号伝送が可能となる。また、ストレートPCM
データの出力モードも切換選択できるため、高域信号入
力時のS/N劣化や、エラー発生時の過大な誤差電力の
発生も解決できる。
また、選択されたフィルタからの出力のブロック内のピ
ーク値(最大絶対値)に係数γ(γ≧1)を乗算し、こ
の乗算された値に基いてレンジング位置すなわち再量子
化ビットの取り出し位置を決定することにより、ノイズ
・シェイピング処理によるフィードバック・エラーが重
畳されても、オーバーフロウが起こりにくくなる。
さらに、入力信号レベルがブロックの境界付近で急激に
低下し、レンジング位置すなわち再量子化ビットの取り
出し位置がLSB側に急激に移動しようとする際に、こ
の移動量に制限を加えることにより、再量子化ビットの
オーバーフロウによるエラーを小さく抑えることができ
る。このとき、再量子化ビットがオーバーフロウしたと
きに、正または負の最大値でクリッピングし、このとき
のエラーをフィードバックしてノイズ・シェイピング処
理を施すことにより、エラー伝播を抑えて異音の発生等
による悪影響を有効に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る信号伝送装置が適用されるシステ
ム全体の概略的構成を示すブロック回路図、第2図およ
び第3図は第1図のエンコーダおよびデコーダのより具
体的な構成例をそれぞれ示すブロック回路図、第4図は
複数の差分処理フィルタの周波数特性を示すグラフ、第
5図は1ブロック内の伝送ワード構成の一例を示す図、
第6図は他の具体例に用いられる複数の差分処理フィル
タの周波数特性を示すグラフ、第7図はノイズ・シェイ
ピング処理されたノイズのスペクトル分布を示すグラ
フ、第8図は再量子化の際のレンジング位置の移動を説
明するための図、第9図はエンコーダの要部を示すブロ
ック回路図、第10図はデコーダの要部を示すブロック
回路図、第11図および第12図は再量子化の際のオー
バーフロウによるエラー伝播を説明するための図であ
る。 10……………………エンコーダ 12,12A〜12D,20,34……予測器 15,19,32……シフタ 16……………………量子化器 17……………………ノイズ・シェイパ 21……………………予測・レンジ適応回路 30……………………デコーダ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力ディジタル信号を時間軸に沿って一定
    ワード数毎にブロック化し、各ブロック毎の信号に対し
    て予測誤差を得るためのフィルタを介して伝送するとと
    もに、上記フィルタとして、N次の予測器およびN次以
    下の予測器を用いて成る複数のフィルタを設け、各フィ
    ルタからの出力の上記ブロック内の最大絶対値あるいは
    最大絶対値に係数を乗算したものを互いに比較し、その
    値が最小となるフィルタを選択することを特徴とする信
    号伝送装置。
  2. 【請求項2】上記複数のフィルタのうち、少なくとも一
    つは、概略ストレートPCMデータを出力するフィルタ
    を設けて成ることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項
    記載の信号伝送装置。
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