JPH0618261Y2 - 電子体温計 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は電子体温計、更に詳細には、防水性、耐久性等
に優れたスイツチ部を有する電子体温計に関する。

〔従来の技術及びその問題点〕

電子体温計は、一般に所要の長手中空体形状の函体内
に、体温情報を電気信号に変換する測温体と、該電気信
号を演算処理可能な信号に変換する測定部と、該変換信
号から体温を求める演算部と、該演算部で求めた体温を
表示する表示部と、前記各部に電力を供給する電池と、
前記各部と該電池との間に設けられたスイツチとを収容
せしめて構成される。そして、従来の電子体温計には、
スイツチとしてスライドスイツチ等が使用されている。

しかし、スライドスイツチ等を有する電子体温計は、一
般に密閉性が悪い結果、その外周面を衛生上の配慮から
アルコール等の消毒剤で消毒する場合に、内部に消毒剤
が浸み込みスイツチの接点の接触不良を起したり、電子
回路を腐蝕し故障を生ぜしめることがあるため、改善が
要望されていた。特に斯かる防水性は、電子体温計が水
銀体温計と同等の汎用性を獲得するうえで極めて重要な
要素となつていた。

また、従来、電子体温計には、防水スイツチ部としてス
イツチ接片押圧用可動部とスイツチキヤツプ部とを一体
成型したものが知られている。しかし、一体成型スイツ
チ部は、一体成型を可能とするため、スイツチ接片押圧
用可動部の材質に制約があり、また該スイツチ接片押圧
用可動部の屈曲部に於て、樹脂が繰り返し操作あるいは
薬液によつて劣化し易く、耐久性の点で問題があつた。

一方、防水スイツチ部としては、防水型腕時計等に用い
られているようなＯリングによつて密閉状態を保つ技術
も考えられるが、通常、Ｏリングを用いる方法では、構
造が複雑になるという欠点があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案者は、上記問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた
結果、各スイツチ部材を個々独立としたにも拘らず、か
つまた格別にＯリングの如き補助部材を使用せずとも、
防水性、耐久性に優れたスイツチ手段を有する本考案電
子体温計を案出したものである。

〔考案の構成および作用〕

すなわち本考案は、温度情報を電気信号に変換する測温
部と、該測温部の電気信号を演算してデジタルの温度表
示信号を発生する演算部と、該演算部からの信号によつ
て温度を表示する表示手段と、電源部と、該電源部から
電力を該演算部に供給を開始するスイツチ手段とからな
る電子体温計において、該電子体温計は、中空の本体部
と、該本体部の開口端部に設けた支持体と、該支持体を
被冠するキヤツプ体とからなり、かつ、少なくとも該演
算部および該電源部を内蔵して液密構造を形成し、該ス
イツチ手段は該キヤツプ体と該支持体とに共に連通する
孔部を有し、該孔の液体の流通を阻止するように該孔部
を横断するとともにその周縁において該キヤツプ体と該
支持体とで液密に封をする平板基体と該平板基体から該
キヤツプ体の孔部を摺動自在に通つて該キヤツプ体外に
突出する柱状部を有するスイツチ接片押圧用弾性可動体
を設け、該柱状部を孔部内方向へ押した時のみスイツチ
接片を押曲げ、該ダイヤフラムより該中空側に設けられ
た該スイツチの通電または遮断回路を形成してなり、さ
らに、該支持体と該キヤツプ体の嵌合が、該キヤツプ体
の内側面壁及び該支持体の外側面壁に形設された突条塁
によるパツチン止め嵌合であり、該孔部の液密の封が該
パツチン止め嵌合に基づく該スイツチ接片押圧用弾性体
と該キヤツプ体との圧着挟持によるものであることを特
徴とする電子体温計である。

また、スイツチ接片は該スイツチ接片と可動体との間に
介在する摺動可能な伝達体を介して押曲げられることが
望ましい。

さらに、スイツチ固定端子は演算部等を設けた基板上に
あることが望ましい。

〔実施例１〕 次に本考案の一実施例を第１図ないし第４図に示す図面
と共に説明する。

１は電子体温計本体部１１の開口端部１１ａに形成せら
れたスイツチ支持体で、その壁部に、内部に備えられた
スイツチ接片１０に臨ませて押圧操作用の孔部１ａが形
設せられているものである。この支持体１の形成法は、
本体部１１とは別体としたものを継結する方法、或いは
本体部と一体成型する方法等その如何を問わないが、水
密性の点で一体成型したものが望ましい。尚、当該スイ
ツチ接片１０の開閉（通電または遮断）動作としては、
オルタネイト方式、モメンタリー方式等適宜選択実施す
ることができ、またスイツチの開閉時のストロークも適
宜選定されるが、通常0.5〜1.5mm程度が好ましい。

２は前記支持体１に嵌合被冠されているキヤツプ体で、
その壁部に、被冠時支持体の孔部１ａと連通する押圧操
作用の孔部２ａが形設せられているものである。このキ
ヤツプ体２の支持体１への嵌合被冠は、水密性に優れた
ものであれば具体的構造の如何を間わないが、例えば支
持体１外側面壁とキヤツプ体２内側面壁にそれぞれ密嵌
用突条塁１ｂ，２ｂを形設し、所謂パツキン止め（嵌め
殺し）構造とするのが有利である。

３は斯かる支持体１とキヤツプ体２との間に挟持され、
当該連通孔部１ａ，２ａを密閉する弾性可動体で、支持
体１に内備されたスイツチ接片１０と接触し、これを押
圧動せしめることによりスイツチを開閉（「ＯＮ」また
は「ＯＦＦ」）するものである。この弾性可動体３の形
態としては、単なる平板体であると押圧面が指頭の大き
さを必要とするのでスイツチの構造が大きくなるので好
ましくない。ダイアフラムのような平板基体３ａの中央
上面に、キヤツプ体孔部２ａの外に突出する指頭面積よ
り小さな頭部面積を有する柱状部３ｂを形設せしめたも
のが、押圧操作性に優れ、良い結果を与える。尚、該弾
性可動体３の材質としては、指による押圧により弾性湾
曲し、スイツチ接片１０と接触してこれを押圧動せしめ
得るものであればその如何を問わないが、例えばシリコ
ンラバー等の軟質樹脂が耐薄品性、劣化防止等の観点か
ら好適なものとして挙げられる。また、この弾性可動体
３の具体的挟持構造は、当該連通孔部１ａ，２ａを密閉
し得るものであればその如何を問わないが、例えば支持
体の孔部１ａをキヤツプ体孔部２ａより大きく形設する
と共に、該支持体の孔部１ａ縁部に、弾性可動体３の縁
部嵌入用切欠溝１ｃを形設し、かつ該弾性可動体３の縁
部上面外方に密嵌用突条塁３ｃを、当該切欠溝１ｃより
やや突出形設せしめて、支持体１及びキヤツプ体２間に
挟持した密嵌構造とするのが良い結果を与える。因に斯
かる構造とした場合には、支持体とキヤツプ体との嵌合
によつて生じる圧縮力と相俟つて弾性可動体３を圧着挟
持することができ、かつ圧着時の弾性可動体３の横方向
の逃げを防止することができるため、極めて高い水密性
が得られることは無論のこと、更に支持体の孔部１ａの
方がキヤツプ体孔部２ａより大きいため、弾性可動体３
の下方湾曲が容易であると共に、切欠溝１ｃの存在によ
り押圧操作時の弾性可動体３の横方向のズレを防止し、
当該連通孔部１ａ，２ａの密閉をより確実な状態にて保
持することができる。従つてまた、当該切欠溝１ｃはこ
れをキヤツプ体２の天壁内面に形設しても同様な結果を
得ることができる。

本体部１１は開口端部１１ａの他端側にサーミスター等
の温度−電気信号変換体を内蔵する測温部１４を有し、
中央部付近には透明な樹脂製窓部１３を有し、窓部１３
の内面側に温度表示手段が内蔵されている。

また、本体部１１および支持体１は該測温部１４の電気
信号を演算してデジタルの温度表示信号を発生する演算
部を設けた基板１５と電池等の電源が内蔵されている。

また、基板１５にはスイツチ接片１０との間でスイツチ
機能を有するスイツチ固定端子１２が設けられている。

この固定端子１２は基板１５ではなく支持体１に別部材
を介してまたは介さなくて設けてもよい。また、スイツ
チ部は電源と演算部との間に設けられ、必要に応じてス
イツチ部の「ＯＮ」信号を検出し、演算部へ電力を供給
するスイツチ回路を設けてもよく、さらに演算部が演算
終了信号により演算部の電源を自動的切る演算終了回路
および演算部の信号により温度表示した表示手段が一定
時間表示をした後は表示手段の電源を切る表示終了回路
を設けてもよい。

本実施例１は叙上の如く構成されるスイツチ部を有する
電子体温計であるため、第４図に示す如く、弾性可動体
３を外部より内方に指で押圧すれば、該弾性可動体３が
内方に湾曲突出してスイツチ接片１０と接触し、これを
押圧動せしめることによりスイツチ接片１０の一端が基
板１５に設けられたスイツチ固定端子１２と接触し、ス
イツチを「ＯＮ」として、電源部から電力を演算部およ
び測温部に供給し、また必要に応じて表示手段にも電力
を供給する。この「ＯＮ」信号により、体温の測定が始
まり、また「ＯＮ」信号で測定待期状態において測温部
の被測定部への接触により体温の測定が始まる。

測定手段は公知の種々の手段が利用できるが演算が終了
し、温度表示が終つた時点でスイツチ部を押圧動せしめ
て、スイツチを「ＯＦＦ」とする。

この場合、測定中誤まつてスイツチ部を押圧してスイツ
チ「ＯＦＦ」とならないよう、スイツチ部に「ＯＦＦ」
機能を持たせずスイツチ「ＯＮ」より所定時間作動した
らスイツチ「ＯＦＦ」とするタイマー機能を設ける方が
安全のため好ましい。

また、タイマー機能は演算終了信号から開始して所定時
間表示手段を作動させてもよい。

斯様に、本実施例に於ては弾性可動体の弾性作用を利用
することによりスイツチの「ＯＮ」および「ＯＦＦ」ま
たは「ＯＮ」操作を行うものである。

また、本考案に於けるスイツチ部は、別体成型された支
持体１、キヤツプ体２、弾性可動体３によつて構成され
ているにも拘らず、それぞれ挟持嵌合せられているもの
であるため、優れた水密性を奏するものである。

〔実施例２〕 次に本考案の他の実施例を第１図、第５図および第６図
に基づいて説明する。

この実施例は実施例１の弾性可動体３とスイツチ接片１
０の取付け状態を変えたものである。

弾性可動体３は平板基体３ａの柱状部３ｂとは反対側面
に接するように柱状部３ｂの軸上に軸方向に摺動可能な
伝達軸３ｄを設け、この伝達軸３ｄが常に柱状体３ｂを
外へ突出するように平板基体３ａを押圧するバネ部３ｅ
を設けたものである。

スイツチ接片１０は全体にＵ字形をしており、Ｕ字形の
底辺にあたる一端の中央部が折曲げられ支持体１に抜け
ないよう固定され、他端は蛇行した反撥性部からなり、
前記柱状部３ｂが指で押された時、伝達軸３ｄはバネ部
３ｅの反撥力に抗して移動し、２つの反撥性部の端部を
基板１５に設けられたスイツチ固定端子１２と接触す
る。この接触によりスイツチ回路は通電され、「ＯＮ」
信号を発生し演算部、測温部へ電力が供給され、所定の
温度測定を行なう。

表示部は温度測定終了後所定時間表示用の電力を供給さ
れるものでよく、または前記「ＯＮ」信号により電力を
供給されるものでもよい。

前記接触により、「ＯＮ」信号を発生したスイツチ部は
指を柱状部から離すことにより、伝達軸３ｄが元の位置
に戻り、スイツチ接片１０の反撥部がスイツチ固定端子
１２より離れ、スイツチ回路は遮断され、「ＯＦＦ」状
態になる。

このように、スイツチ部は弾性可動体に伝達軸を設けた
ことにより、指の押圧力がそのままスイツチ接片に伝わ
り、かつバネ部により伝達軸が元の位置に確実に戻るの
でスイツチ回路の通電、または遮断状態を確実なものと
することができる。

なお、本実施例２の他の部分は実施例と同様である。

〔考案の効果〕

従つて、本考案電子体温計によれば、極めて容易に、言
わばワンタツチ式にスイツチの「ＯＮ」および「ＯＦ
Ｆ」または「ＯＮ」を行なうことができると共に、防水
性に優れた体温計を得ることができるため、従来の如き
スイツチ接点の接触不良や回路の腐蝕故障を防止するこ
とができる。

また、一体成型のスイツチ部のようにスイツチ接片押圧
用可動部の材質に制約がなく、しかも上記挟持部の固定
が圧着挟持によるものであるため、接着剤による接着と
異なつて接着面が剥れるということがなく、優れた耐久
性、耐薬品性を有する。

更に本考案に係るスイツチ部は、構造が簡単で部品数が
少なくて済み信頼性の点でも優れているので、汎用性を
有し、実用上極めて有利に使用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の電子体温計の正面図、第２図は本考案
の一実施例のスイツチ部の組立縦断面図、第３図は同ス
イツチ部の構造縦断面図、第４図は同スイツチ部の弾性
可動体押圧時の構造縦断面図を示す。 第５図は本考案の他の実施例のスイツチ部の構造縦断面
図、第６図は第５図の縦断面と直交する切断面の構造縦
断面を示す。 １……支持体、１ａ……孔部、１ｂ……突条塁、１ｃ…
…切欠溝、２……キヤツプ体、２ａ……キヤツプ体の孔
部、２ｂ……突条塁、３……弾性可動体、３ａ……平板
基体、３ｂ……柱状部、３ｃ……突条塁、１０……スイ
ツチ接片、１１……本体部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】温度情報を電気信号に変換する測温部と、
   該測温部の電気信号を演算してデジタルの温度表示信号
   を発生する演算部と、該演算部からの信号によつて温度
   を表示する表示手段と、電源部と、該電源部から電力を
   該演算部に供給を開始するスイツチ手段とからなる電子
   体温計において、 該電子体温計は、 中空の本体部と、該本体部の開口端部に設けた支持体
   と、該支持体を被冠するキヤツプ体とからなり、かつ、
   少なくとも該演算部および該電源部を内蔵して液密構造
   を形成し、該スイツチ手段は該キヤツプ体と該支持体と
   に共に連通する孔部を有し、該孔の液体の流通を阻止す
   るように該孔部を横断するとともにその周縁において該
   キヤツプ体と該支持体とで液密に封をする平板基体と該
   平板基体から該キヤツプ体の孔部を摺動自在に通つて該
   キヤツプ体外に突出する柱状部を有するスイツチ接片押
   圧用弾性可動体を設け、該柱状部を孔部内方向へ押した
   時のみスイツチ接片を押曲げ、該ダイヤフラムより該中
   空側に設けられた該スイツチの通電または遮断回路を形
   成してなり、 さらに、 該支持体と該キヤツプ体の嵌合が、該キヤツプ体の内側
   面壁及び該支持体の外側面壁に形設された突条塁による
   パツチン止め嵌合であり、 該孔部の液密の封が該パツチン止め嵌合に基づく該スイ
   ツチ接片押圧用弾性体と該キヤツプ体との圧着挟持によ
   るものであることを特徴とする電子体温計。
2. 【請求項２】スイツチ接片は、該スイツチ接片と該スイ
   ツ接片押圧用弾性可動体との間に介在する摺動可能な伝
   達体を介して押曲げられる実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の電子体温計。
3. 【請求項３】スイツチ固定端子は、該演算部等を設けた
   基板上にあるものである、実用新案登録請求の範囲第１
   項または第２項記載の電子体温計。