JPH0617542U

JPH0617542U - 自動車用シート

Info

Publication number: JPH0617542U
Application number: JP6198492U
Authority: JP
Inventors: 善則千葉
Original assignee: 関東自動車工業株式会社
Priority date: 1992-08-12
Filing date: 1992-08-12
Publication date: 1994-03-08

Abstract

(57)【要約】【目的】常に適正な保持力を確保することができ、座
り心地等のシート性能を向上し得る自動車用シートを提
供する。【構成】シートクッション１とシートバック２の結合
部において、シートクッション１後部からシートバック
２下部にかけて、着座面を構成し得る布体４をハンモッ
ク式に張架する。布体４は複数の布片５，６により分割
可能に形成されていると共に、布片５，６相互の接合位
置が複数設定されていて、着座面に張架された布体４の
長さを調整し得るようになっている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、シートクッション及びシートバックを有するリクライニング式の自動車用シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

乗用車等の車両に装備されるリクライニング式の自動車用シートでは、図６に示されるように、シートクッション１に着座した乗員Ｍは、シートバック２を前後に適宜傾倒させることにより、所望の乗車姿勢をとることができるようになっている。シートバック２を傾倒させる場合、その回転軸３は構造的に最も有利な位置、即ち着座した乗員Ｍの臀部Ｍ₁の後方に設定されている。このため、シートクッション１及びシートバック２の結合部と上記臀部Ｍ₁との間に図示のようなほぼ三角形の隙間Ｓが形成される。そしてこの隙間Ｓが存在するために乗員Ｍの臀部Ｍ₁がシートと接触せず、これは、座り心地等のシート性能上好ましいものではない。

【０００３】ところで、乗員Ｍがシートに着座した際、その体形を保持する上で臀部Ｍ₁は極めて重要な部位である。また上記隙間Ｓに対応する部分の保持力は、そこに乗員Ｍの尾てい骨が位置する等、人体の骨格上の理由からも微小な保持力とすることが好ましい。ここで、図７は着座した乗員Ｍに対するシートの保持力の変化状態を示しているが、図６に示したシートの場合、図７（ａ）に示されるように隙間Ｓに対応する部分で保持力は急激に低下してなくなってしまう。因みに、理想的な保持力としては図７（ｂ）に示されるように、尾てい骨付近で微小な保持力が得られ且つそれが滑らかに変化するようになっていることである。

【０００４】従来、この種自動車用シートのシート性能の問題を解決すべく、例えば図８に示したように、シートバック２の下端部を上記乗員Ｍの臀部Ｍ₁と整合するように成形したものが知られている。また、図９に示したように、シートバック２の回転軸３を上方にずらし、且つシートクッション１の後部を臀部Ｍ₁の体形に沿って立ち上げるようにしたものも知られている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かかる従来の自動車用シートにおいて、先ず図８に示した自動車用シートの場合、シートバック２を前倒しする際に、該シートバック２の上記下端部がシートクッション１と干渉していまい（斜線部）、それ以上倒すことができなくなる。また、乗員Ｍの臀部Ｍ₁のサイズには個人差があるが、シートバック２の下端部の成形形状ではこのような個人差に対応し切れず、即ち全ての乗員Ｍの体形にフィットさせるのが困難で、このため前述した尾てい骨付近での微小な保持力を確保するのが難しかった。

【０００６】また、図９に示した自動車用シートの場合、シートクッション１及びシートバック２の結合部における保持力の変化が著しくなり、この結合部で異物感が生じる原因となっていた。さらに、この自動車用シートの場合でも、尾てい骨付近での微小な保持力を確保するのが難しかった。

【０００７】この考案はかかる実情に鑑み、常に適正な保持力を確保することができ、座り心地等のシート性能を有効に向上し得る自動車用シートを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案の自動車用シートは、シートクッションとシートバックの結合部において、シートクッション後部からシートバック下部にかけて、着座面を構成し得る布体をハンモック式に張架するようにしたものである。

【０００９】上記布体は複数の布片により分割可能に形成されていると共に、布片相互の接合位置が複数設定されていて、上記着座面に張架された上記布体の長さを調整し得るようになっている。

【００１０】さらに、分割された布片は、シートクッション及びシートバックの表面に沿って一体的に格納されるようになっている。

【００１１】

【作用】

この考案によれば、シートクッション及びシートバックの結合部でハンモック式に張架される布体によって、乗員の臀部を保持することにより、ほぼ理想的な保持力が確保される。即ち、シートクッション及びシートバックの結合部において臀部が布体と接触するため、実質的に該臀部の接触面積が拡大し、これにより尾てい骨付近で微小な保持力が得られると共に、シートクッションもしくはシートバックからの離れ際での臀部に対する圧力変化はなだらかになる。

【００１２】また、布体を構成する布片の接合位置を適宜選定して、布体の長さを調整することにより、乗員の体形に整合した形状及びシートサイズとすることができる。従って、乗員の体形の個人差に確実に対応することができ、常に理想的な保持力が確保される。

【００１３】さらに、布体の不使用時には、各布片がシートクッション又はシートバックと一体的に格納され、これにより整然とした状態で、全く邪魔にならずに格納することができる。

【００１４】

【実施例】

以下、図１乃至図５に基づき、従来例と同一部材には同一符号を用いてこの考案の自動車用シートの一実施例を説明する。図１において、シートクッション１の後部に設定された回転軸３を介して、シートバック２が前後に傾倒し得るようになっている。そして、シートクッション１とシートバック２の結合部において、シートクッション１の後部からシートバック２の下部にかけて着座面を構成し得る布体４が、ハンモック式に張架されている。この布体４は、布片５及び布片６により分割可能に形成されている。

【００１５】図２は上記布体４の構成例を示しているが、ここで、シートクッション１はカバー１ａ，パッド１ｂ及びフレーム１ｃを有し、またシートバック２は、カバー２ａ，パッド２ｂ及びフレーム２ｃを有している。上記布片５の前端部（前方を矢印Ｆにより示す）は、シートクッション１に縫合されている（図３参照）と共に、その後端部には着座面側にファスナ（雌）７が縫い付けられている。また、布片５の上記ファスナ７の裏面にはベルクロファスナ８が３箇所に縫い付けられ、一方、シートクッション１にはベルクロファスナ８の対応位置でそのカバー１ａの３箇所にベルクロファスナ９が縫い付けられている。

【００１６】上記布片６の上端部（上方を矢印Ｕにより示す）は、シートバック２に縫合されている（図３参照）と共に、その下端部には着座面側に複数のファスナ（雄）１０，１１，１２（この例では３個）が相互に一定間隔をおいて縫い付けられている。また、布片６の上記ファスナ１２の裏面にはベルクロファスナ１３が３箇所に縫い付けられている。一方、シートバック２にはベルクロファスナ１３の対応位置でそのカバー２ａにベルクロファスナ１４が縫い付けられている。

【００１７】この考案の自動車用シートは上記のように構成されており、次にその作用を説明する。例えば図２に示されるように、布片５のファスナ７と布片６のファスナ１１を係合させることにより、１枚の布体４が形成される。そしてこの布体４は、シートクッション１及びシートバック２の結合部でハンモック式に張架される。この布体４は従来例で説明した隙間Ｓの対応位置に配置され、シートに着座した乗員Ｍの臀部Ｍ₁付近を保持する。これにより、実質的に該臀部Ｍ₁の接触面積が拡大して、乗員Ｍの尾てい骨付近で微小な保持力が得られる。

【００１８】ここで、図４は上記のように張架された布体４による保持力の変化を表しているが、図から明らかなように、乗員Ｍの尾てい骨付近で微小な保持力になっていると共に、臀部Ｍ₁のシートクッション１もしくはシートバック２からの離れ際での圧力変化はなだらかになっている。

【００１９】また、布体４を構成する布片５，６の接合位置を適宜選定して、布体４の長さを調整することにより、乗員Ｍの体形に整合させることができる。即ち、布片５のファスナ７を、布片６のファスナ１０，１１，１２のいずれかと係合させることにより、乗員Ｍの体形、特にその臀部Ｍ₁にフィットするように長さ調整された布体４によって着座面が構成される。

【００２０】シートクッション１及びシートバック２の結合部に張架された布体４は、ファスナ７とファスナ１０，１１又は１２とをはずすことにより、簡単に布片５，６に分割される。この分割された布片５は、図５に示したように、そのベルクロファスナ８をベルクロファスナ９に係着させることにより、シートクッション１のカバー１ａに沿って一体的に格納される。一方、布片６は、そのベルクロファスナ１３をベルクロファスナ１４に係着させることにより、シートバック２のカバー２ａに沿って一体的に格納され、このように布体４の不使用時には、整然とした状態で格納することができ、これら布片５，６はシートの使用上全く邪魔にならない。

【００２１】上記実施例において、布片６のファスナ１０，１１，１２は、それらの数を必要により適宜増減してもよく、また布片５及び布片６の間でそれらの取付関係を上記実施例とは逆にするようにしてもよく、いずれの場合も上記と同様な作用効果を得ることができる。

【００２２】

【考案の効果】

上述したようにこの考案によれば、ハンモック式に張架された布体によって、乗員の臀部を保持することができ、従来問題となっていた三角形の隙間に起因する保持力不良を解消して、理想的な保持力を確保することが可能になる。また、布体を構成する布片の接合位置を適宜選定して、布体の長さを調整することにより、乗員の体形、特に臀部の個人差に有効に対応することができ、常に理想的な保持力が確保される。さらに、布体の不使用時には、整然とした状態で何ら邪魔にならずに格納することができる等の利点を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の自動車用シートの一実施例による斜
視図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図３】この考案の自動車用シートの要部分解斜視図で
ある。

【図４】図１の実施例における乗員着座時の保持力の変
化状態を示す図である。

【図５】上記自動車用シートの布体格納時の断面図であ
る。

【図６】従来のリクライニング式自動車用シートの基本
構成を示す図である。

【図７】従来のリクライニング式自動車用シートにおけ
る乗員着座時の保持力の変化状態を示す図である。

【図８】従来の自動車用シートの具体的構成例を示す図
である。

【図９】従来の自動車用シートの他の具体的構成例を示
す図である。

【符号の説明】

１シートクッション２シートバック３回転軸４布体５，６布片７，１０，１１，１２ファスナ８，９，１３，１４ベルクロファスナ

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】シートクッションとシートバックの結合
部において、上記シートクッション後部から上記シート
バック下部にかけて、着座面を構成し得る布体をハンモ
ック式に張架するようにしたことを特徴とする、自動車
用シート。
【請求項２】前記布体は複数の布片により分割可能に
形成されていると共に、上記布片相互の接合位置が複数
設定されていて、前記着座面に張架された上記布体の長
さを調整し得るようにしたことを特徴とする、請求項１
に記載の自動車用シート。
【請求項３】分割された前記布片は、前記シートクッ
ション及び前記シートバックの表面に沿って一体的に格
納されるようにしたことを特徴とする、請求項２に記載
の自動車用シート。