JPH0617260A - 密着性に優れた亜鉛系めっき被覆アルミニウム材の製法 - Google Patents

密着性に優れた亜鉛系めっき被覆アルミニウム材の製法

Info

Publication number
JPH0617260A
JPH0617260A JP17710592A JP17710592A JPH0617260A JP H0617260 A JPH0617260 A JP H0617260A JP 17710592 A JP17710592 A JP 17710592A JP 17710592 A JP17710592 A JP 17710592A JP H0617260 A JPH0617260 A JP H0617260A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zinc
plating
aluminum plate
displacement plating
adhesion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP17710592A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanori Tsuji
正規 辻
Yoshihiko Hobo
芳彦 保母
Masaya Kimoto
雅也 木本
Hiroshi Ikeda
洋 池田
Takao Aitake
隆男 相武
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Light Metal Industries Ltd, Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Priority to JP17710592A priority Critical patent/JPH0617260A/ja
Publication of JPH0617260A publication Critical patent/JPH0617260A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)
  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 Al材またはAl合金材に、亜鉛系置換めっきを
施し、必要であればその上に亜鉛系電気めっきを施した
後、80〜200 ℃で1〜10分間の加熱処理を行って、アル
ミニウム板への置換めっき皮膜の密着性を高めた亜鉛系
めっき被覆アルミニウム材の製造方法。 【効果】 塗装および未塗装状態での耐食性、プレス加
工性、溶接性、りん酸亜鉛処理性に優れ、自動車車体製
造用に最適。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車車体用に特に適
した、りん酸亜鉛処理性に優れ、高耐食性の亜鉛系被覆
アルミニウム材に関する。より詳しくは、本発明は、Al
イオンを溶出させずにりん酸亜鉛処理でき、未塗装また
は塗装状態において、耐食性、加工性、めっき密着性な
ど自動車車体用アルミニウム材として要求される総合性
能において優れた特性を示す、亜鉛系めっき被覆アルミ
ニウム材に関する。本発明において、アルミニウム材と
は、Al材およびAl合金材の両者を含む意味である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車車体用鋼板には、寒冷地に
おける凍結防止剤散布による腐食対策および燃費向上の
ための軽量化対策の要求がますます強くなってきてい
る。腐食対策として、亜鉛めっき、亜鉛系合金めっきな
どの表面処理鋼板の適用、軽量化対策としては、板厚を
薄くできる高張力鋼板の適用が進められてきた。
【0003】さらに車体の一層の軽量化を図るために、
アルミニウム板を車体に使用することも多くなってき
た。自動車車体用のアルミニウム板としては、JIS 5000
系および6000系のアルミニウム合金が主に使用されてい
る。具体的には、5000系材料としてはAl-5%Mg合金が、
6000系材料としてはAl-0.5%Mg−1%Si合金が代表例と
して例示される。車体軽量化の目的でアルミニウム板を
使用する場合、現状では車体全体をアルミニウム化する
ことはほとんどなく、アルミニウム板を鋼板と併用する
のが普通である。
【0004】アルミニウム板は、鋼板に比べれば耐食性
に優れているが、防食処理を施さずにそのまま使用する
と、孔質腐食や糸状さびが発生することが知られてい
る。アルミニウム板の一般的な防食対策として、陽極酸
化により表面に数μm以上の比較的厚い酸化皮膜を形成
することが行われている。しかし、この酸化皮膜は、重
金属イオンや塩素イオンを含む環境においては耐食性が
十分ではない。また、このような比較的厚い酸化皮膜は
通電を阻害し、溶接性を悪化させるので、自動車用アル
ミニウム板には不適当である。従って、自動車車体用の
アルミニウム板には他の表面処理手段で耐食性を高める
必要がある。
【0005】例えば、特公昭62−6744号公報および特開
平1−252785号公報には、アルミニウム材をフッ素イオ
ンおよび亜鉛イオンを含む水溶液中で浸漬処理し、アル
ミニウム材表面に亜鉛析出層を形成することからなる表
面処理方法が開示されている。しかし、この方法は、フ
ッ素含有ガスが発生し、環境に悪影響を及ぼす。また、
有害なフッ素イオンを含有する処理液を使用するため、
面倒な廃液処理が必要となる。
【0006】ところで、一般に自動車の車体製造ライン
においては、鋼板をプレス加工により所定形状に成形
し、各部品を組み立てた後、りん酸亜鉛処理、電着塗
装、スプレー塗装が施されるのが一般的である。そし
て、アルミニウム板を自動車車体に適用する場合も、こ
れと同じラインを用いて自動車車体を組み立てることが
要望される。それにより、別の組み立てラインを新設し
ないですみ、アルミニウム板を鋼板と併用する場合に、
工程の連続性を保って自動車車体を組み立てることがで
きるからである。
【0007】しかし、この場合、りん酸亜鉛処理工程に
おいて問題を生じる。即ち、アルミニウム板にりん酸亜
鉛処理を施すと、アルミニウム板表面に良好なりん酸亜
鉛皮膜が形成されないばかりでなく、アルミニウム板表
面が溶解して、りん酸亜鉛処理浴中にAlイオンが溶出し
てしまう。その結果、りん酸亜鉛処理浴中のAlイオン濃
度がわずか数ppm に増大しただけで、鋼板表面の方にも
良好なりん酸亜鉛皮膜が形成されなくなる。
【0008】この問題の解決策として、特開昭61−1576
93号公報に、りん酸亜鉛処理性に優れたアルミニウム板
の製造方法が提案されている。この方法は、アルミニウ
ム板表面にZnめっき層、Zn系合金めっき層、またはFe系
めっき層のいずれかを1g/m2以上の付着量で形成してお
くものである。このようにZn系またはFe系めっき層を形
成しておくことにより、後のりん酸亜鉛処理時にアルミ
ニウム板からAlイオンが処理浴中に溶出せず、そのため
鋼板とアルミニウム板とを混在処理した場合でも、良好
なりん酸亜鉛皮膜を形成することができるとされてい
る。実施例においては、このめっき層は全て電気めっき
により形成されている。
【0009】特に、アルミニウム板を亜鉛系めっき (純
ZnまたはZn合金めっき) で被覆すると、りん酸亜鉛処理
性のみならず、亜鉛の犠牲防食能によりアルミニウム板
の耐食性も著しく改善される。しかし、アルミニウム板
を直接電気めっきしても、AlおよびAl合金は表面活性が
高く、表面に再生容易な酸化膜を形成して、この酸化膜
によりめっき密着性が阻害されるため、密着性のよいめ
っき皮膜を得ることが難しい。密着性が不完全な亜鉛系
めっき被覆アルミニウム板を用いてプレス加工を行う
と、プレス金型にパウダー状に剥離しためっき金属が付
着し、このめっき金属がアルミニウム板表面に疵を与え
てしまう。従って、めっき密着性が悪く、アルミニウム
表面が完全に被覆されないと、耐食性やりん酸亜鉛処理
性が劣化するのみならず、プレス成形性も低下する。
【0010】そのため、アルミニウム板に電気めっきを
施す場合、めっき前に酸化膜を除去するための前処理を
実施するのが普通である。このような前処理として広く
行われているのは、脱脂および酸洗したアルミニウム板
にZnまたはZn合金による置換めっきを行い(通常2
回)、さらにストライクCuまたはNiめっきを施すことで
ある。
【0011】この場合のZnまたはZn合金による置換めっ
きは、アルミニウム板の酸化膜を除去し、その上に設け
られる電気めっき皮膜の密着性を高めるための前処理と
しての意味しかなく、置換めっき自体に何か特別の機能
を持たせることは意図していない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、自動
車車体の製造に適した、高耐食性でりん酸亜鉛処理性に
優れたアルミニウム材の製造方法を提供することであ
る。より具体的な目的は、密着性に優れ、パウダー状に
剥離しない亜鉛系めっき被覆を施したアルミニウム材の
製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の達成を目指して検討した結果、従来はアルミニウム板
の電気めっきにおける前処理としてしか利用されてこな
かった亜鉛系置換めっき処理により、アルミニウム板の
りん酸亜鉛処理性と耐食性が改善されることを見出し
た。しかし、亜鉛系置換めっきを施したままでは、置換
めっき皮膜の密着性が低く、改善効果が十分に発揮され
ないことが判明した。置換めっき皮膜の密着性を改善す
べく検討した結果、特定条件での加熱処理により密着性
が著しく向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0014】ここに、本発明は、Al材またはAl合金材
に亜鉛系置換めっきを施した後、80〜200 ℃で1〜10分
間の加熱処理を行うか、或いはAl材またはAl合金材に
亜鉛系置換めっきを施し、その上に亜鉛系電気めっきを
施した後、80〜200 ℃で1〜10分間の加熱処理を行うこ
とを特徴とする、密着性に優れた亜鉛系めっき被覆アル
ミニウム材の製造方法を要旨とする。
【0015】ここで、「亜鉛系置換めっき」とは、純Zn
による置換めっき、およびZnと他金属とからなる置換め
っきの両者を包含する意味である。Znとの置換めっきに
適した他金属の例としては、Fe、Cr、Co、MnおよびNiが
あり、これらの少なくとも1種の金属をZnとともに置換
めっきに使用することができる。
【0016】同様に、「亜鉛系電気めっき」とは、純Zn
による電気めっき、およびZnと他金属との合金電気めっ
きの両者を包含する意味である。Zn合金めっきに適した
合金元素の例は、置換めっきの場合と同じく、Fe、Cr、
Co、MnおよびNiであり、これらの少なくとも1種の金属
をZn合金電気めっき皮膜中に存在させることができる。
【0017】本発明の方法において被覆処理されるアル
ミニウム材は、板材、管材、異形材など任意の形状のも
のでよいが、以下は、代表的な形状である板材について
説明する。他の形状のアルミニウム材についても、同様
に処理を行うことができることはいうまでもない。
【0018】
【作用】アルミニウム板の表面をAlに対して電気化学的
に卑なZnで置換めっきすると、Znの犠牲防食能によりア
ルミニウム板の腐食が防止される。置換めっき皮膜中に
Znより貴なNi、Cr、Co、Mnなどの他金属が共存していて
も、Znとこれらの他金属とは置換めっき皮膜中では合金
を形成せず、単に物理的混合物の状態にとどまってい
る。そのため、合金化していないZnがその犠牲防食能を
十分に発揮することができる。従って、亜鉛系置換めっ
きを施したアルミニウム板は、未塗装および塗装後のい
ずれの状態においても、置換めっき皮膜中のZnの犠牲防
食能により、腐食に対して保護されることになる。
【0019】また、アルミニウム板が亜鉛系置換めっき
で被覆されると、めっき皮膜によりりん酸亜鉛処理液中
でのAlの溶出が抑えられ、りん酸亜鉛処理性が改善され
ると共に、アルミニウム板から自動車車体を組み立てる
場合の大きな難点であった溶接性 (スポット溶接性) も
改善される。
【0020】しかし、アルミニウム板をZnまたはZnと他
金属との混合物で置換めっきしても、得られた置換めっ
き皮膜の密着性が不十分であるため、所期の耐食性やり
ん酸亜鉛処理性の改善が得られず、また前述のように加
工中にめっき金属の剥離が起き易くプレス加工性が著し
く低下する。この置換めっき皮膜の密着性は、本発明に
より置換めっきしたアルミニウム板をを80〜200 ℃で1
〜10分間加熱すると著しく向上することが判明した。そ
の結果、亜鉛系置換めっき被覆が本来有している耐食性
やりん酸亜鉛処理性の改善効果が十分に発揮され、プレ
ス加工性の低下も避けられる。
【0021】この置換めっき皮膜の密着性が、めっきま
までは不十分であり、加熱により向上する理由は次のよ
うに考えられる。置換めっき皮膜は小さな金属粒子が集
合した組織を有し、小粒径のめっき金属粒子間に隙間が
多数存在する。置換めっきは通常は水溶液中で行うた
め、水がこの隙間に入り込む。こうして、めっき金属粒
子間に水が存在すると、粒子どうしの接触が阻害され、
粒子間の分子間力が損なわれる結果、置換めっき皮膜自
体の密着性が阻害される。
【0022】ところが、置換めっき後に加熱を行うと、
密着性阻害の原因である水がめっき粒子間から除去さ
れ、密着性が向上する。この加熱による密着性の改善
は、置換めっき皮膜の上に電気めっきを施した後で実施
しても有効である。この場合でも、電気めっき皮膜の粒
間を水分子が拡散することにより水分が置換めっき皮膜
から除去される。置換めっき皮膜からの水分除去は、湿
度の低い環境に自然放置することによっても可能である
が、非常に長い時間を要し、しかも脱水が不完全である
ことから、実際には採用しがたい。また、自然放置で
は、電気めっきを施した後では、厚い電気めっき皮膜が
水の蒸発を阻害するため、水分除去の効果が認められな
い。
【0023】置換めっき後の加熱処理の温度は80℃以
上、200 ℃以下である。加熱温度が80℃より低いと、置
換めっき皮膜の密着性の改善に必要な加熱処理を10分よ
り長くしなければならず、操業上不適当である。一方、
加熱温度が200 ℃より高いと、アルミニウム板中のAl成
分が亜鉛系置換めっき皮膜中に拡散し、めっき皮膜の劣
化を生ずる。加熱処理時間は1分以上、10分以下とす
る。加熱処理時間が1分未満では、200 ℃で加熱しても
十分にめっき皮膜密着性を改善することができない。10
分を超える処理時間は、前述のように、操業上長すぎ
る。一般に、加熱処理時間は、加熱温度に応じて、温度
が高い場合には短かめに、温度が低い場合には長めにす
るのが好ましい。
【0024】アルミニウム板の置換めっきは、常法によ
り、例えば、アルカリ浴、シアン化物浴などを使用して
実施することができる。置換めっき浴の基本浴組成は、
例えば水酸化ナトリウム120 g/l および酸化亜鉛20 g/l
を含有し、これに必要に応じてNi、Cr、Co、Mnなどの少
なくとも1種の金属を、塩化物、シアン化物などの形態
で浴に添加する。さらに、ロッセル塩などの他の塩類を
浴に添加することができる。処理は温度20℃前後で20〜
60秒程度行うのが普通である。
【0025】亜鉛系置換めっきの付着量は特に限定され
ないが、一般には0.05 g/m2 以上の付着量が好ましい。
置換めっきの付着量が0.05 g/m2 未満であると、置換め
っき層がアルミニウム板を完全に被覆せず、十分な耐食
性を得ることができなくなり、ひいてはりん酸亜鉛処理
性、溶接性、プレス加工性にも悪影響を及ぼすことがあ
る。一方、置換めっきで5g/m2を超える付着量の皮膜を
形成するのは、処理時間が長くなりすぎるので、置換め
っき皮膜の付着量は一般に5g/m2以下となろう。より好
ましい置換めっき皮膜の付着量は 0.1〜1 g/m2である。
置換めっき皮膜が亜鉛以外の他金属を含む場合、他金属
の含有量は15重量%以下とすることが好ましい。
【0026】置換めっきした後、通常はアルミニウム板
を水洗し、次いで上記のようの加熱処理を行って、置換
めっき皮膜の密着性を高める。こうして亜鉛系置換めっ
き皮膜により被覆されたアルミニウム板は、置換めっき
皮膜が薄いため、長期間の耐久性は有していないが、置
換めっき後の比較的早い時期に自動車車体の組み立てに
使用するには十分な耐食性を保有している。従って、置
換めっき皮膜のみを施したアルミニウム板は、短期間
(付着量によっても異なるが10〜20日間程度) のうちに
使用することが好ましい。置換めっき中のZnが犠牲防食
によりあまり溶解しないうちに組み立てに使用すれば、
薄い置換めっき皮膜であっても、りん酸亜鉛処理液中で
アルミニウム板の溶解を抑制することができ、処理液の
Alイオンによる汚染も防止される。
【0027】アルミニウム板の置換めっき処理から自動
車車体の組み立てに使用するまでの期間が長い場合に
は、亜鉛系置換めっき皮膜はZnの犠牲防食による溶解で
次第に溶損してしまうので、置換めっきの上層に亜鉛系
電気めっきを施し、亜鉛系電気めっき層により下層の置
換めっきを保護することが好ましい。それにより、全体
のめっき皮膜厚が厚くなって、置換めっきのめっき皮膜
残存性が著しく改善され、アルミニウム板の耐食性が一
層良好となる。
【0028】亜鉛系電気めっき層も、置換めっき層と同
様に、純Znめっきでも、或いはZnとNi、Fe、Co、Cr、Mn
などの1種以上の金属との合金めっきでもよい。電気め
っき層の組成は、下層の置換めっき層の組成と同じにす
る必要はない。合金めっきの場合の合金元素の含有量は
好ましくは30重量%以下とする。電気めっき層の付着量
は 0.5〜40 g/m2 の範囲内とすることが好ましい。電気
めっき層の付着量が0.5 g/m2未満では下層の置換めっき
を完全に被覆することが困難で、置換めっき皮膜の保護
の目的が十分に達成されない。40 g/m2 を超える厚膜の
電気めっき層は、処理に長時間を要し、めっき効率が悪
くなる上、プレス加工性を悪化させることもある。
【0029】上層のZnまたはZn合金電気めっき層は2層
電気めっき層としてもよい。それにより、めっき付着量
を増大させ、表面性質を変えることができる。2層電気
めっき層とした場合、その合計付着量が 0.5〜40 g/m2
となるようにすることが好ましい。2層電気めっきの場
合も、各電気めっき層が純ZnめっきまたはZn合金めっき
であることが好ましいが、2層のうちの1層 (例、上
層) は非Zn系電気めっき層 (例、FeまたはNiめっき) で
あってもよい。
【0030】亜鉛系置換めっき層を亜鉛系電気めっき層
で被覆する場合、置換めっき層の加熱処理は、電気めっ
きの前に行うこともできるが、置換めっきと電気めっき
を続けて行った後で加熱処理を行う方が、電気めっき中
の水分も除去できることから好ましい。電気めっき後に
加熱処理する場合の加熱処理条件も上と同様でよい。
【0031】本発明の表面処理アルミニウム板は、めっ
き皮膜の密着性に優れているため、Znの犠牲防食能によ
る高耐食性が十分に発揮され、Alイオンの溶出を生ずる
ことなくりん酸亜鉛処理でき、溶接性やプレス加工性に
も優れている。従って、従来の鋼板用の自動車車体組み
立てラインに適用することができ、鋼板とアルミニウム
板とを併用して自動車車体を製造するのに非常に適して
いる。
【0032】
【実施例】脱脂および酸洗したアルミニウム板(自動車
ボンネット用Al−4.5%Mg合金、板厚 1.0mm) に、置換め
っき→電気めっき→加熱処理、或いは置換めっき→加熱
処理を下記条件で順次施した。置換めっき条件 めっき浴: NaOH 120g/l 、ZnO 20g/l を含有する
市販置換めっき浴にX金属を塩化物として添加 pH: 10〜12 温度: 20 ℃ 浸漬時間: 5 〜300 秒 めっき組成: Zn−5%XまたはZn−15%X (XはF
e、Cr、Co、Mn、Ni) めっき付着量: 0.1 g/m2または0.5 g/m2 電気めっき条件 めっき浴: 硫酸塩浴 (pH 1.5〜1.8) 温度: 60℃ 電流密度: 35〜50A/dm2 めっき組成: Zn−15%X (XはFe、Cr、Co、Mn、N
i) めっき付着量: 10 g/m2 または 20 g/m2 加熱処理条件 加熱温度: 50、80、100 、150 、200 、300 ℃ 処理時間: 0.5 、1 、5 、10分 得られた亜鉛系めっき被覆アルミニウム板について、め
っき皮膜密着性と塗装後耐食性を次のようにして調べ
た。
【0033】[めっき皮膜密着性試験]めっき被覆供試材
をエリクセンA法により高さ5mmに球頭張出し加工した
後、凸部を粘着テープで剥離し、テープへの剥離金属片
の付着量により次の基準で評価した。 ○:剥離片がほとんど見られない (合格) △:剥離片がテープに10〜50%の面積率で付着 (不合
格) ×:剥離片がテープに50%以上の面積率で付着 (不合
格) [塗装後耐食性試験]塗装後耐食性は、次に示す条件で自
動車車体用の塗装を施した供試材に、アルミニウム板素
地に達する深さでクロスカットを入れた後、塩水噴霧(5
% NaCl, 35℃) 7時間→乾燥 (50℃) 2時間→湿潤 (50
℃、RH 85%) 15時間を繰り返す腐食サイクル試験 (1サ
イクル24時間) を30サイクル受けさせ、クロスカット部
のブリスター (ふくれ) の幅 (片側での最大値) を測定
し、下記基準で評価した。
【0034】塗装条件 化成処理:浸漬型りん酸亜鉛処理 (40℃、120 秒間) 電着塗装:カチオンタイプ (膜厚=20μm) 中塗り:アルキッド系 (膜厚=40μm) 上塗り:メラミン・ポリエステル系 (膜厚=40μm) [塗装後耐食性評価基準] 1:ブリスター幅<0.5 mm (合格) 2:ブリスター幅<1.0 mm (合格) 3:ブリスター幅<2.0 mm (不合格) 4:ブリスター幅<3.0 mm (不合格) 5:ブリスター幅≧3.0 mm (不合格) 置換めっきおよび電気めっきの各層の組成と付着量なら
びに試験結果を表1−1〜3にまとめて示す。
【0035】
【表1−1】
【0036】
【表1−2】
【0037】
【表1−3】
【0038】めっき後に80〜200 ℃で1〜10分間の加熱
処理を施した本発明例のめっき被覆アルミニウム板は、
いずれもめっき皮膜密着性に優れていた。これに対し、
加熱処理を行わない比較例では密着性が非常に劣ってい
た。また、加熱処理を実施しても、処理条件が本発明の
範囲外であると密着性の改善は不十分であった。
【0039】
【発明の効果】本発明の亜鉛系めっき被覆された表面処
理アルミニウム板は、めっき皮膜密着性が著しく改善さ
れているため、亜鉛系めっき皮膜が有する犠牲防食能に
基づく耐食性が十分に発揮され、未塗装および塗装のい
ずれの状態においても高耐食性を保持している。また、
プレス加工性、溶接性、りん酸亜鉛処理性、塗装後塗膜
密着性に優れており、Alイオンを溶出せずに鋼材と一緒
にりん酸亜鉛処理することができる。従って、本発明の
表面処理アルミニウム板は、アルミニウム板のみで、或
いは鋼板とアルミニウム板とを併用して、従来の自動車
車体組み立てラインで自動車車体を製造するのに好適で
あり、アルミニウムの自動車車体への利用拡大、従って
自動車の燃費向上に貢献する技術である。もちろん、本
発明の表面処理アルミニウム板は、自動車車体以外の用
途、例えば、建材などにも利用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 5/50 (72)発明者 木本 雅也 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 池田 洋 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 相武 隆男 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al材またはAl合金材に、亜鉛系置換めっ
    きを施した後、80〜200 ℃で1〜10分間の加熱処理を行
    うことを特徴とする、密着性に優れた亜鉛系めっき被覆
    アルミニウム材の製造方法。
  2. 【請求項2】 Al材またはAl合金材に、亜鉛系置換めっ
    きを施し、その上に亜鉛系電気めっきを施した後、80〜
    200 ℃で1〜10分間の加熱処理を行うことを特徴とす
    る、密着性に優れた亜鉛系めっき被覆アルミニウム材の
    製造方法。
JP17710592A 1992-07-03 1992-07-03 密着性に優れた亜鉛系めっき被覆アルミニウム材の製法 Withdrawn JPH0617260A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17710592A JPH0617260A (ja) 1992-07-03 1992-07-03 密着性に優れた亜鉛系めっき被覆アルミニウム材の製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17710592A JPH0617260A (ja) 1992-07-03 1992-07-03 密着性に優れた亜鉛系めっき被覆アルミニウム材の製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0617260A true JPH0617260A (ja) 1994-01-25

Family

ID=16025240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17710592A Withdrawn JPH0617260A (ja) 1992-07-03 1992-07-03 密着性に優れた亜鉛系めっき被覆アルミニウム材の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0617260A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10707642B2 (en) 2016-02-10 2020-07-07 Schott Ag Housing for an electronic component, and laser module

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10707642B2 (en) 2016-02-10 2020-07-07 Schott Ag Housing for an electronic component, and laser module
US11367992B2 (en) 2016-02-10 2022-06-21 Schott Ag Housing for an electronic component, and laser module

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR910002895B1 (ko) 스테인레스 강판 및 그 제조방법
US5356723A (en) Multilayer plated aluminum sheets
JPH04214895A (ja) めっき性と溶接性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法
JPH073417A (ja) 高耐蝕性合金化溶融Znめっき鋼板
JPS5815554B2 (ja) カチオン電着塗装用のメッキ鋼材
JPH0617259A (ja) 高耐食性表面処理アルミニウム板
JPH0617260A (ja) 密着性に優れた亜鉛系めっき被覆アルミニウム材の製法
JP2718310B2 (ja) 積層めっきAl板およびその製造法
JPH0768634B2 (ja) 耐食性,塗装性能及び加工性に優れた亜鉛系メツキ鋼板
JPH0142356B2 (ja)
JPH0517885A (ja) 耐食性に優れたアルミニウム系金属材
JPH0210236B2 (ja)
JPH072997B2 (ja) 耐食性と塗装性にすぐれた亜鉛系メツキ鋼板
KR950000909B1 (ko) 복수의 도금층을 가진 가공성, 내식성 및 내수도료 밀착성이 우수한 전기 도금 강판
JPS616295A (ja) 積層メツキ鋼板
JP2665297B2 (ja) 亜鉛系めっきアルミニウム板の製造方法
JPS6213590A (ja) 塗装性、塗装後のめっき密着性および耐食性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法
JP2795071B2 (ja) 密着性に優れた電気めっきアルミニウム板とその製造方法
JPH0536518B2 (ja)
JPH0273980A (ja) 高耐食性複層めっき鋼板
JP3358468B2 (ja) 亜鉛系複合めっき金属板およびその製造方法
JPH0520514B2 (ja)
JPS642195B2 (ja)
JPS58224740A (ja) 溶接可能な塗装鋼板
JPH05179424A (ja) 表裏異種めっき鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19991005