JPH06160871A - 液晶表示パネルおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶表示パネルの信頼性および耐久性を向上
させ、簡単なプロセスで作製可能な液晶表示パネルの構
成およびそのパネルの製造方法を提供する。 【構成】 少なくとも電極を有する２枚の基板の周縁部
を２種以上のシール材にて接合し、両基板間に液晶を保
持した構成を具備した液晶表示パネルにおいて、シール
材のうち、少なくとも液晶と直接触れ、液晶を密閉する
シール材が、液晶に不活性な粘性流体１３であり、この
粘性流体１３の外側に基板を保持するための少なくとも
１種の接着性シール材１４が形成されていることを特徴
とする液晶表示パネル。 【効果】 液晶に接するシール材に液晶に不活性な粘性
流体１３を配置することにより、液晶表示パネル作製時
に、従来に比べ液晶特性の劣化を生じることがなく、液
晶表示パネルの表示特性の高信頼性化が図れる。また、
液晶を粘性流体１３でシールし密閉することにより、滴
下液晶量の制御マージンが広がる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はＯＡ、映像用の表示装置
の中で、薄型軽量でしかも低消費電力であることから、
ポケットテレビ、各種計器、ノートパソコン用ディスプ
レイ等に広く使用されている液晶表示パネルおよびその
製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示パネルは、液晶を数μｍ〜１０
μｍの間隔を持つように２枚の電極基板板ではさみ、電
極基板の縁内周を有機樹脂でシールした構造をしてい
る。このシール材には、熱硬化型樹脂または光硬化型樹
脂がそれぞれ信頼性と作業性の点から使用されている。

【０００３】そして、液晶表示パネルの製造法には一般
的に、図３に工程を示すように、（ａ）工程で熱硬化型
あるいは光硬化型のシール材３２を一方の基板３１に注
入口を有するように印刷し、（ｂ）工程で２枚の電極基
板３１，３３を貼り合わせ、シール材３２を硬化させた
空パネルを形成し、（ｃ）工程において、真空中で液晶
３４を注入口から注入し、（ｄ）工程において、注入口
を封口樹脂３５で封じる真空注入法がある。しかし、こ
の方法による液晶表示パネルの製造は、あらかじめ作製
された空パネルの狭いギャップと液晶の粘性のため、液
晶の注入速度が遅く、パネルの大画面化にともない、注
入に非常に時間がかかり生産性が悪い。また、この方法
では液晶で濡れている注入口の封じる工程が必要であ
る。そこで、生産性の向上とプロセス簡略化のため、図
４に示すように、（ａ）工程で一方の基板４１に光硬化
型シール材４２をスクリーン印刷し（注入口は設けな
い）、（ｂ）工程で一定量の液晶４３を基板４１上に滴
下し、（ｃ）工程において、真空中で２枚の基板４１，
４４を貼り合わせ、（ｄ）工程において、表示部に光が
照射されないようにマスク４５で覆い、光照射によって
熱硬化型シール４２を硬化させる、滴下注入法が用いら
れている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら滴下注入
法においては、基板貼り合わせ時に液晶へ悪影響を与え
る未硬化のシール材が液晶に触れる問題がある。また、
光硬化型樹脂は、熱硬化型樹脂よりも基板を接着する力
が劣っており、ショックや長期の信頼性に問題がある。
接着力の強い光硬化型樹脂も開発されているが、接着性
の強い樹脂ほど液晶へ与える影響が大きく、以下のよう
な対策が必要となる。例えば液晶と触れる内側に、液晶
への影響が少ない光硬化型樹脂を使用し、その外側に接
着力の強い光硬化型樹脂を組み合わせた２重シール構造
を形成する方法や、特開平２−２２８６２６号公報にあ
るように、あらかじめ液晶への影響の少ない枠を形成し
た後にその外側に、接着性樹脂を配して基板を貼り合わ
せる方法が取られている。しかしいずれの場合も、シー
ル材と液晶は接触しているため、光硬化型シール材の硬
化に必要な光が、シール近傍の液晶にも必ず照射され、
液晶特性の劣化が生じる。また、後者の場合には、ギャ
ップ形成に必要な数μｍの高さ精度で液晶に不活性な枠
を均一に形成するといった非常に高い精度の工程が必要
である。

【０００５】また、滴下注入法においては、滴下液晶量
の精密な制御も同時に必要となる。すなわち、両基板と
シール材とで形成されるセル体積より多量の液晶が滴下
された場合は、貼り合わせ後のパネルが所定のギャップ
より厚く形成されるか、過剰の液晶がシール材を突き破
り外部に流出する。また、セル体積よりの小量の液晶が
滴下された場合は、基板間隔がスペーサーにより保持さ
れほとんど収縮できないために、液晶の不足分は気泡と
なるので、液晶滴下量を精度よく制御しなければならな
い。

【０００６】本発明は以上のような課題を解決するもの
であり、液晶表示パネルを生産性良く製造できる滴下注
入法において、シール材が液晶へ影響を与えず、パネル
の信頼性や耐久性が高く、滴下液晶量の制御マージンが
広がり、工程が簡略化されるなどの特徴をもった新規な
製造方法を提供するものであり、また、それにより全く
新しい構造を備えた液晶表示パネルを提供することを目
的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の液晶表示パネルは、２枚の基板を２種以上の
シール材にて接合し、両基板間に液晶を保持した構成を
具備した液晶表示パネルにおいて、シール材のうち、少
なくとも液晶と直接触れるシール材が液晶に不活性な粘
性流体であり、この粘性流体の外側に基板を保持するた
めの接着性シール材が形成されている。

【０００８】また、本発明の液晶表示パネルの製造方法
は、２枚の電極付き基板の少なくとも一方の電極付き基
板の周縁部に粘性流体を配置し、少なくとも一方の電極
付き基板上に液晶を一定量滴下し、他方の電極付き基板
と真空中で貼り合わせ、液晶を密閉し、その後、粘性流
体部の全外周に少なくとも１種の接着性樹脂を塗布し、
硬化させることにより、液晶表示パネルを製造する。

【０００９】

【作用】本発明の液晶表示パネルでは、液晶に触れるシ
ール材に耐薬品性があり、パネル作製前後に化学変化を
起こさない粘性流体を使用することにより、パネル作製
時に生じる液晶の特性劣化を抑えることができ、液晶パ
ネルの表示特性の信頼性が向上する。

【００１０】そして、貼り合わせ時に滴下液晶を粘性流
体でシールするため、滴下液晶量の制御マージンが広が
り、化学的に安定な粘性流体で液晶をシールし密閉する
ことにより、外側を覆うシール材に接着性が強くプロセ
ス性のよい接着性樹脂が使用でき、シール材硬化プロセ
スが簡略化できる。また、液晶への影響が強い溶剤を含
む接着剤あるいは、シランカップリング材等の接着力を
増強する添加剤の使用が可能になり、パネルの耐久性が
向上する。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例の液晶表示パネルおよ
びその製造方法について、図面を参照しながら説明す
る。

【００１２】本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。図１において、本発明の一実施例の液晶表示パネル
の断面図が示されている。このパネルは、基本的にその
表面にＩＴＯ（酸化インジウム）等による透明電極ある
いは薄膜トランジスタ層（図示せず）が形成され、さら
にその上にポリイミド等の配向膜（図示せず）が形成さ
れ、表示部にスペーサー（図示せず）が分散されている
ことにより、一定間隔を保つように２枚の基板１２が貼
り合わされている。そしてこの基板間に、液晶１１が充
填され、液晶１１と接するシール材としてスペーサー
（図示せず）を含んだ粘性流体１３が配置され、この粘
性流体１３の外周に、２枚の基板１２からなる液晶パネ
ルを保持する接着性樹脂１４が塗布されたものである。

【００１３】図２は、本発明の液晶表示パネルの製造工
程の一例を示す概略図である。まず、（ａ）工程におい
て、透明電極および配向膜層（図示せず）が形成され、
配向処理がなされた基板２１に液晶パネル間のギャップ
を決定する径のスペーサー（図示せず）を含んだシリコ
ン系樹脂（ダウコーニング：高真空用グリース）である
粘性流体２２を表示部を囲むように塗布する。このシリ
コン系樹脂の粘性流体２２は、各種の薬品におかされ
ず、液晶に不活性である。そして、（ｂ）工程におい
て、塗布した粘性流体２２で囲まれた領域に、液晶が封
入される空間と同体積の液晶２４を、液体定量吐出装置
（ディスペンサー）２３を用いて滴下する。この時、液
晶材料にも基板間のギャップを形成するスペーサー（図
示せず）が含まれている。（ｃ），（ｄ）工程におい
て、０．１Ｔｏｒｒ程度の減圧槽２５の中で粘性流体２
２と液晶２４が塗布された基板２１と対向する基板２６
を貼り合わせる。そして、（ｅ）工程において、貼り合
わされた基板間に接着性樹脂として、常温硬化で、硬化
時間の短いシアノアクリレート系の接着剤（東亜合成化
学：アロンアルファ）２８を粘性流体２２の全外周にデ
ィスペンサー２７で塗布した。接着性樹脂が硬化した
（ｆ）工程において、本発明の液晶表示パネルが完成す
る。

【００１４】上記構成の本実施例のパネルにおいては、
従来の工法で作製した場合に生じる。未硬化樹脂や光照
射の影響による、液晶とシール材界面での液晶の配向乱
れが発生しなかった。また、従来工法においては、液晶
の比抵抗および転移点といった物性値がパネル作製後に
低下するが、本実施例のパネルの製造では、液晶の物性
値変化が見られず、その際シールとして使用する粘性流
体は、応力に対して流動性を示すため、貼り合わせ工程
において、ギャップ形成が容易であり、しかも、従来工
法において、セル体積に対して±５％程度の精度で制御
されるべき滴下液晶量が、本実施例のパネルでは、±１
０％の滴下量制御でも、液晶の流出や気泡が発生しなか
った。また、従来工法では、シール樹脂の熱硬化あるい
は紫外線照射硬化等のプロセスが必要であるが、本実施
例の製造方法では、常温硬化接着剤を使用することによ
り硬化プロセスが簡略化された。

【００１５】なお、粘性流体として本実施例では、シリ
コン系樹脂を使用したが、化学的にも物理的にも安定な
フッ素樹脂（テフロングリース等）も、液晶に悪影響を
与えず、同様な結果が得られた。

【００１６】また、接着性樹脂としては、プロセス性の
よいシアノアクリレート接着剤ではなく、接着力の強い
エポキシ系接着剤やフェノール系接着剤、または、液晶
への影響が強い溶媒およびシランカップリング剤等の接
着力補強剤を添加した接着剤の使用も可能であり、接着
性樹脂として、光硬化型接着剤を使用し、光硬化させる
場合でも、光硬化型樹脂と液晶の間に粘性流体が存在す
るために、液晶を完全にマスクすることができ、液晶に
照射光が照射されず液晶の劣化が生じない。

【００１７】さらに、粘度の低い接着性樹脂の方が、基
板間の狭ギャップによる毛管現象で、粘性流体の外周を
うまく覆うことができた。

【００１８】

【発明の効果】以上のように、本発明の液晶表示パネル
およびその製造法によると、液晶に接するシール材に液
晶に不活性な粘性流体を配置することにより、液晶表示
パネル作製時に、従来に比べ液晶特性の劣化を生じるこ
とがなく、液晶表示パネルにおける表示特性の高信頼性
化が図れる。また、粘性流体で液晶をシールし密閉する
ために、滴下液晶量のマージンが広がる。そして、接着
力が強く硬化プロセスの簡単で液晶に有害な接着剤も液
晶パネルの接着剤として使用でき、耐久性の高いパネル
が簡単なプロセスで作製できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の液晶表示パネルを示す断面
図

【図２】本発明の液晶表示パネル作製の一実施例を示す
工程概略図

【図３】真空注入法による従来の液晶パネル作製の工程
概略図

【図４】滴下注入法による従来の液晶パネル作製の工程
概略図

【符号の説明】

１１ 液晶 １２ 基板 １３ 粘性流体 １４ 接着性樹脂 ２１ 基板 ２２ 粘性流体 ２３ ディスペンサー ２４ 液晶 ２５ 減圧槽 ２６ 対向基板 ２７ ディスペンサー ２８ 接着性樹脂

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電極を有する２枚の基板の周縁部を２種
   以上のシール材にて接合し、両基板間に液晶を保持した
   液晶表示パネルにおいて、 前記シール材のうち、少なくとも液晶と直接触れ、該液
   晶を密閉するシール材が、前記液晶に不活性な粘性流体
   であり、この粘性流体の外側に前記基板を保持するため
   の接着性シール材が形成されていることを特徴とする液
   晶表示パネル。
2. 【請求項２】 粘性流体として、シリコン系樹脂、ある
   いはフッ素系樹脂を使用した請求項１記載の液晶表示パ
   ネル。
3. 【請求項３】 電極を有する２枚の基板の少なくとも一
   方の基板の周縁部に粘性流体を配置し、該基板上に液晶
   を一定量滴下し、他方の電極付き基板と真空中で貼り合
   わせ、その後、前記粘性流体部の外周に少なくとも１種
   の接着性樹脂を塗布し、硬化させることを特徴とする請
   求項１記載の液晶表示パネルの製造方法。
4. 【請求項４】 液晶表示パネルのギャップを決定するス
   ペーサーをあらかじめ混入した粘性流体を使用する請求
   項３記載の液晶表示パネルの製造方法。