JPH06158285A - Al系蒸着めっき材の製造方法 - Google Patents

Al系蒸着めっき材の製造方法

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JPH06158285A
JPH06158285A JP31868392A JP31868392A JPH06158285A JP H06158285 A JPH06158285 A JP H06158285A JP 31868392 A JP31868392 A JP 31868392A JP 31868392 A JP31868392 A JP 31868392A JP H06158285 A JPH06158285 A JP H06158285A
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vapor deposition
plated
plating
steel sheet
vacuum
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JP31868392A
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English (en)
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Masatoshi Iwai
正敏 岩井
Jiyunji Kawafuku
純司 川福
Koji Irie
広司 入江
Touta Ayabe
東太 綾部
Shoji Miyake
昭二 三宅
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子線加熱方式によるAl系真空蒸着めっき
法において、安定した品質のAl系めっき材を得るため
の最適な製造条件を提供する。 【構成】 予め前処理された被めっき材表面の少なくと
も片面に連続的にAl系蒸着めっきを施す真空蒸着法に
おいて、 (1) 蒸着室内の残留水素ガスが蒸着室内の全残留ガスの
90vol%以上を占める (2) 蒸着室内の残留ガスのうち、水分、酸素、一酸化炭
素、二酸化炭素のそれぞれのガス分圧の合計が 1×10-3
Pa以下である (3) 蒸着めっき開始時の被めっき材温度;T(℃)が下
式を満足する 150 ℃≦T≦ 400℃ の3条件を同時に満足するAl系蒸着めっき材の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子線加熱方式による
Al系真空蒸着めっき方法に関するものであり、詳細に
は外観、加工性、化成処理性等に優れたAl系蒸着めっ
き材を得るための製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】真空または希薄ガス雰囲気下で蒸発原料
を加熱蒸発させて、被めっき材表面に蒸着めっき層を施
すいわゆる真空蒸着法は、従来の電気めっき法や溶融め
っき法に比べて製法上の自由度が高く、各種蒸発原料の
単独または複数を同時に加熱蒸発させることで、各種類
のめっきや、合金めっき、複層めっき等を比較的容易に
製造することができるという特徴を有している。
【0003】一般に、真空蒸着めっき法に用いられる加
熱蒸発方法としては、抵抗加熱法、高周波誘導加熱法、
電子線加熱法、イオンビーム加熱、レーザービーム加熱
法、アーク放電法等があり、蒸発原料の種類、成膜方法
等によって適宜使い分けられている。これらの加熱法の
中でも電子線加熱方式を用いた真空蒸着法は、電子線が
高エネルギー、高エネルギー密度を有するものであるた
め、蒸発原料の蒸発速度を大きくすることができ、蒸発
原料表面に直接電子線を照射して加熱する方法であるた
め、加熱効率(エネルギー効率)が高く、蒸気圧の小さ
い高融点金属や各種セラミックス材料においても容易に
蒸発させることが可能である。また、電子線を磁場の利
用によって容易に偏向させることが可能なため、蒸発原
料表面上を任意に走査(スキャニング)させることがで
きる。さらに、複数の蒸発原料に対しても1台の電子銃
でそれぞれの蒸発原料を同時に加熱蒸発させることが可
能であるため、複数の蒸発原料の蒸発による各種合金め
っき、複層めっきも容易に製造することができる。この
様に、電子線加熱方式は種々の利点を有しており、連続
的に蒸着めっき材を製造する上で、高い生産性を達成で
きる方式の1つである。
【0004】ところで、AlおよびAl合金材料は、鋼
系材料に比べ耐食性が優れ、また軽量で清潔感のある外
観を有するため、建材、家電製品、各種容器等に汎用さ
れており、この様なAl素材の有する優れた特徴をめっ
き層として活用したAl系めっき鋼板も、自動車排気系
部材、建材、各種熱・光反射材料、ゴミ焼却炉構成部材
等の機械部品で多用されている。即ちAl系めっき鋼板
は、Alの持つ優れた耐食性、耐酸化性を鋼板表面に付
与した表面処理鋼板である。
【0005】現在、Al系めっき鋼板の工業的製造方法
としては溶融めっき法が一般的である。この溶融めっき
法は、大気中で溶融状態のAl浴中に鋼板を浸漬させつ
つ通過させるため、Alめっき後の鋼板温度は約 700℃
まで上昇し、鋼板表面とAlめっき層との界面にFe2
Al5 等のFe−Al系金属間化合物層が形成するとい
う現象が避けられない。この金属間化合物層は脆弱で加
工性に乏しいものであるため、溶融Alめっき鋼板を強
度に成型加工する時にAlめっき層が鋼板との界面から
剥離してしまうことが多く、加工性、加工後耐食性にお
いて問題が生じている。
【0006】このため、溶融Al浴中に少量のSiを添
加してめっき層中に10%程度のSiを含有させたAl
−Si系めっき層とすることによって、製造時の上記F
e−Al系金属間化合物層の生長を抑制し、結果として
溶融Alめっき鋼板の加工性を改善する手段が採用され
ている。しかし、めっき層中にSiを含有させるこの手
法では金属間化合物層の形成を皆無にすることは不可能
であり、加工性を充分に改善することができない。さら
にAlめっき層中へのSiの添加によって、Alめっき
層自身の耐食性が低下してしまうという新たな問題も生
じており、溶融めっき法によって充分な加工性、加工後
耐食性を有するAl系めっき鋼板を得ることは製法上非
常に困難である。
【0007】一方、Alめっき鋼板はCl- イオンの様
なハロゲン化物イオンが多量に存在する環境下では、A
l表面の不働態皮膜が該ハロゲン化物イオンによって破
壊され易く、めっき層に孔食が発生することが多い。発
生した孔食の発生部周辺にはAlの腐食生成物であるA
l(OH)3 等を主成分とする白錆が生じる。また、孔
食がさらにめっき厚み方向に進行して素地鋼板にまで達
すると、鋼板の腐食による赤錆が発生するという問題が
ある。この様な赤錆白錆の発生は、Alめっき鋼板の外
観を著しく損ね、使用される製品価値が低下するため好
ましくない。
【0008】こうした溶融Alめっき鋼板の耐食性を改
善する目的で、Zn等の各元素をAlめっき層に添加し
たAl系合金溶融めっき鋼板も一部使用されている。し
かし上述の溶融めっき法では、製法上、Al浴中に溶解
可能な金属の種類その添加量に大きな制限があって、充
分な耐食性改善を達成することが困難である。
【0009】そこで溶融Al系めっき鋼板の後処理とし
て、めっき層表面にクロメート処理等の各種化成処理皮
膜や薄膜有機系樹脂皮膜を施すことによる耐食性改善も
実施されている。これらの後処理は、溶融Alめっき鋼
板を製造するめっきライン設備の中で連続的に行なえる
という点から、生産性の面で大きなメリットを有してい
る。しかしながら、上記後処理によって形成された皮膜
は非常に薄いものであるため、取扱い時や加工時、ある
いは腐食によって容易に損傷して、欠陥破壊が生じ、溶
融Alめっき鋼板の耐食性改善効果の確実性に非常に乏
しい。さらに、クロメート処理時の作業環境の問題、使
用時の溶出Crイオンの問題、有機系樹脂皮膜付与によ
る溶接性の低下等の問題があって用途等が限定されてい
るのが現状である。
【0010】一方、Al系めっき鋼板を溶融めっき法で
製造する場合には上記の様な種々の問題が生じるため
に、電気めっき法によるAl系めっき鋼板の製造も研究
開発されている。Al自身は水素過電圧の問題で水溶液
中からの金属基板表面への電析が不可能であり、電析手
法としては、各種Al系塩を非水系有機溶媒に溶解させ
た非水溶液中からの電析方法、またはAl系溶融塩浴か
らの電析方法が検討されている。電気めっき法は、溶融
めっき法に比べて使用する浴中に添加可能な金属塩の種
類やその含有量に対する自由度が非常に高く、電気純A
lめっきのみならず、各種電気Al系合金めっき(例え
ばAl−Mn合金めっき等)を金属基板表面に電析させ
ることが可能であるという長所を有している。また、基
板に鋼板を用いても、鋼板とめっき層との界面に脆弱な
Fe−Al系金属間化合物が形成されることが無いた
め、加工性に優れたAl系めっき鋼板を得ることができ
る。
【0011】しかしながら上記電気めっき法は、一般的
に水溶液からの電析法に比べて電流効率が悪い、あるい
は高電流密度での電析が不可能である等の問題があっ
て、生産性に劣るという欠点を有する他に、めっき浴
(非水系有機溶媒浴、溶融塩浴)が電気的に不安定であ
るという事実と合わせると、工業的規模での実用化には
多くの問題が残されている。
【0012】以上の様に溶融めっき法や非水系電気めっ
き法では多くの問題点が現存しているのに対し、真空蒸
着めっき法では純Alめっきだけでなく各種Al系合金
めっきを行なうことが容易であると共に、加工性が良好
なAl系めっき鋼板を得ることが可能であるという長所
を有している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上の様に真空蒸着法
は、現用法の電気めっき法、溶融めっき法と比較して、
めっき可能な原料の種類が多く、加熱蒸発源としての電
子線が高エネルギー密度を有するために、工業的な連続
生産を考えた場合、生産性向上に有利である。
【0014】ところで、真空蒸着めっきを被めっき帯に
工業的に連続して施すためには、蒸着めっき処理を行な
うための蒸着室を所定の真空下に保持しながら、この蒸
着室内に予め表面が清浄化された被めっき帯を連続的に
導入することによって、発生した蒸発原料の蒸気を被め
っき帯表面に凝着させることが必要である。工業的な連
続生産では各製造工程での適性条件を把握して管理する
ことが重要であるが、めっき密着性、加工性、加工後耐
食性、化成処理性等の諸性能のうち1つまたは2つ以上
の性能が、不充分な製品が得られる場合があって問題と
なっている。蒸着めっき工程には、蒸着室内の真空中に
残留するガス成分の種類やガス分圧、被めっき帯の蒸着
めっき時の温度、被めっき帯の蒸着めっき前処理方法お
よび条件、蒸着めっき後のめっき材の冷却方法等の種々
の条件因子が存在しているため、各種蒸着Al系めっき
材に要求される上記性能を満足する製品を安定して連続
製造する技術は未だ確立されておらず、蒸着Al系めっ
き製品の品質の更なる向上が望まれている。
【0015】本発明は、上記従来法における諸問題を解
決し、電子線加熱方式によるAl系真空蒸着めっき法に
おいて、安定した品質のAl系めっき材を得るための最
適な製造条件を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明のAl系蒸着めっき材の製造方法は、予め前処理さ
れた被めっき材表面の少なくとも片面に連続的にAl系
蒸着めっきを施す真空蒸着法において、 (1) 蒸着室内の残留水素ガスが蒸着室内の全残留ガスの
90vol%以上を占める (2) 蒸着室内の残留ガスのうち、水分、酸素、一酸化炭
素、二酸化炭素のそれぞれのガス分圧の合計が 1×10-3
Pa以下である (3) 蒸着めっき開始時の被めっき材温度;T(℃)が下
式を満足する 150 ℃≦T≦ 400℃ の3条件を同時に満足することを要旨とする。また、被
めっき材の前処理として、還元性ガス雰囲気下において
被めっき材を加熱して該被めっき材表面の還元・活性化
処理を行なった後、非酸化性雰囲気下にて所定の温度ま
で冷却し、しかる後に被めっき材を蒸着室内に導入し
て、被めっき材表面の少なくとも片面に連続的にAl系
蒸着めっきを施す前処理法も本発明に含まれる。
【0017】なお、以下に述べる真空蒸着めっき法は加
熱蒸発源として電子線を用いるものであれば特に限定さ
れるものではない。また、蒸着めっきを施される被めっ
き材としても特に限定されず、各種金属基材に適用可能
である。被めっき材の形状についても、板状、棒状、管
状を初めとし、加工された各種形状の材料等に適用で
き、特に限定されるものではない。以下、被めっき材と
して冷延鋼帯を例にして説明する。
【0018】
【作用】まず本発明者らは、Al蒸着めっき(以下特に
断らない限り、「めっき」は「蒸着めっき」の意味であ
る)、Al−Cr合金めっき、Al−Ti合金めっき等
のAl系蒸着めっき鋼板を製造するに当たり、図1およ
び図2で示す連続蒸着めっき設備を用いて、製造条件と
得られためっき品質について検討を行なった。
【0019】図1および図2は連続めっき設備例を示す
説明図である。予め清浄化された被めっき鋼帯1は、蒸
着室6に導入される。蒸着室6は真空排気管22を介して
各種真空排気ポンプ(図示せず)の組合せによって所望
の真空度に保持されている。蒸着室6内には、蒸発槽1
1、12内に蒸発原料9、10(少なくとも一方はAl原
料)が装入されており、電子銃7から発生した電子線8
を、蒸発原料9、10の表面に走査照射することによって
原料を加熱蒸発させ、被めっき帯1の下面に所望のAl
系蒸着めっきが施される。純Al蒸着めっきを行なう場
合には、蒸着室内には蒸発原料としてAlのみを1つの
蒸発槽に用意すればよい。蒸着室内の真空度は、真空計
13でモニターされており、蒸着室内の残留ガス成分とそ
の分圧は、ガス分析計14により測定する。
【0020】一般に、密着性等の性能の高いAl系蒸着
めっき鋼板を得るためには、蒸着室内の真空度を可能な
限り高くすることが好ましいことが知られている。しか
しながら、単に真空度の管理だけでは良好なめっき密着
性やめっき外観等が得られないことがあり、本発明者ら
は、蒸着Al系めっきを製造する上において、蒸着室内
の残留ガス成分とその存在比率の影響について検討し
た。
【0021】その結果、蒸着室内の残留ガスのうち、水
分、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素のそれぞれのガス分
圧の合計が 1×10-3Pa以下であることが、常に良好な
性能を有するAl系蒸着めっき鋼板を安定して得るため
の必要条件であることが明らかとなった。水分、酸素、
二酸化炭素、一酸化炭素の4つのガス成分(以下総称し
て酸化性ガスと呼ぶ)は各々が酸素原子を有しているた
め、蒸着めっき前の被めっき帯表面の酸化、あるいは被
めっき帯表面に形成されたAl系蒸着めっき層の酸化を
引き起こす酸化性ガスである。従って、水分、酸素、一
酸化炭素、二酸化炭素のそれぞれのガス分圧の合計を 1
×10-3Pa以下にしなければならない。蒸着室内に上記
酸化性ガス成分が 1×10-3Paより多く存在すると、被
めっき材の表面還元処理等を行なっておいても、実際に
Al系蒸着めっきが施される前に、被めっき帯表面に酸
化性ガス成分が吸着・反応し、結晶性または不定形酸化
皮膜、あるいはオキシ水酸化物皮膜等の薄い反応皮膜が
形成されてしまうため好ましくない。特に、図2で例示
した蒸着めっき設備での被めっき帯表面に片面ずつ蒸着
めっきを施す様な場合には、後からめっきが施される方
の被めっき帯表面は先にめっきが施される被めっき帯表
面に比べて、前処理設備にて被めっき帯表面が清浄化さ
れてから、実際に蒸着めっきが施されるまでに真空中に
滞在する時間が長くかかるため、上記酸化皮膜等が生長
し易くなって、得られるAl系蒸着めっき鋼板のめっき
密着性、加工性が、先にめっきされた面よりも低下して
しまうこととなる。
【0022】さらに、この様な酸化皮膜等が表面に成長
された状態でAl系蒸着めっきをその表面に施すと、め
っき密着性が低下するため、得られた蒸着Al系めっき
層と被めっき帯界面でめっき層が一部剥離する現象が生
じて、製品の加工性低下を招くと共に、めっき層の一部
が加工によって脱落することになり、めっき層が剥離し
た箇所における耐食性も低下してしまい、所望の加工後
耐食性能が得られなくなる。
【0023】また、Al系蒸着めっき層の表面に、酸化
性ガス成分の吸着・反応による酸化物皮膜、オキシ水酸
化物皮膜等からなる薄い皮膜が不均一に成長すると、こ
れが目視による外観上のムラとなって現れ、製品価値が
著しく低下してしまう。さらにAl系蒸着めっき層の表
面または一部が酸化されると、めっき層内部または表面
に結晶性または不定形のAl系酸化物が形成されるか、
あるいは酸素が過飽和にめっき層中に固溶されるため、
めっき層の結晶構造(結晶格子)に歪が生じて、めっき
層自身の硬度が増加すると共に、延性が乏しくなって、
得られた蒸着Al系めっき鋼板を強度の加工に供した場
合に、めっき層の割れ、クラック、めっき剥離を生じる
ことがあり、製品の加工性、および加工後耐食性が低下
することになる。
【0024】このため、本発明では蒸着室内の真空中に
残留する該酸化性ガスをできる限り低減させること、す
なわち、蒸着室内の残留ガスのうち、水分、酸素、一酸
化炭素、二酸化炭素のそれぞれのガス分圧の合計が 1×
10-3Pa以下であることが、常に良好な性能を有するA
l系蒸着めっき鋼板を安定して得るための必要条件であ
る。
【0025】蒸着室内の残留ガス成分種類としては、上
記4成分以外にも極僅かに酸化性を有するガス成分が残
留することも有り得るが、基本的には意図的に真空中に
特殊な酸化性ガス成分を導入しない限り、上記4種類が
真空中の酸化性ガス成分とみなされるため、4成分の圧
力の総合計を1×10-3Pa以下に管理すればよい。
【0026】次に本発明法では、蒸着室内の残留水素ガ
スは、蒸着室内の全残留ガスの90vol %以上を占める
ことが必須要件である。水素ガスは還元性ガスであるた
め、前述した酸化性ガスが及ぼす悪影響は全くなく、逆
に被めっき帯表面やめっき層表面に吸着することによっ
て、酸化性ガス成分の吸着・反応を抑制する効果を有す
る。即ち、水素ガスが蒸着めっき前に被めっき帯表面に
吸着することによって、酸化性ガスによる被めっき帯表
面の酸化を防止し、前処理工程で清浄・活性化された被
めっき帯表面の維持に役立つと共に、蒸着後のAl系め
っき層表面に吸着することにより、酸化性ガスによるめ
っき層表面の酸化を防止し、表面外観ムラの無い美麗な
蒸着Al系めっき製品を得ることができるのである。
【0027】本発明では、蒸着室内の真空中に残留する
上記ガス成分の存在比率を本発明で規定する範囲に達成
するための手段は特に限定されないが、例えば以下の方
法が推奨される。
【0028】蒸着室内に具備される真空ポンプは、高
真空度を確保できるだけの十分大きな排気能力を有する
ものを用いることが好ましい。これは、蒸着室内が高真
空であればあるほど、必然的に4種類の酸化性ガス分圧
の総合計を小さくすることが容易となるためである。
【0029】蒸着室、あるいはそれに付帯する真空設
備、配管における真空リーク箇所とリーク量をできる限
り低減することが好ましい。これは、高真空を維持する
為の必須条件であり、リークによって酸化性ガス分圧が
増加することを効果的に防止できる。
【0030】蒸着めっき処理を行なうまでに、蒸着室
における真空排気を充分に行なうことが好ましい。真空
排気時間を長くすることによって高真空度に達すること
ができ、めっき時に蒸着室内壁等から放出される水分量
を低下させる効果もある。
【0031】蒸着めっき処理を行なうまでに、蒸着室
内のベーキング処理を行なうことが好ましい。蒸着室内
壁に吸着している水分等の酸化性ガスを蒸着めっき前の
各種加熱処理により積極的に真空中へ放出させ、予め真
空中の水分量を低減させる。ことができる。
【0032】各種冷媒等で極低温(− 100℃以下)に
冷却されたパネル、配管等の機器、いわゆるコールドト
ラップを蒸着室内の任意の場所または蒸着室に付帯する
真空排気系配管のヘッド部に導入し、蒸着めっき前また
は蒸着めっき中に、真空中の水分等の残留酸化性ガスを
吸着・捕捉し、除去する。
【0033】蒸着めっき前に、蒸発槽表面から蒸発さ
れたAl蒸気および合金化元素の蒸気によるゲッター作
用を利用して、予め蒸着室内の真空中に存在する残留酸
化性ガスの吸着または反応による捕捉を行なうことが好
ましい。Alは酸素との親和性が高い金属であるため、
このゲッター作用によって酸化性ガスの捕獲を効果的に
行なえる。
【0034】上記手法により蒸着室内を高真空にして
おいて、さらに意図的に水素ガスを真空中に導入するこ
とが好ましい。
【0035】ところで本発明者らは、上記真空中の残留
ガス成分の条件以外に、蒸着めっき時の被めっき帯温度
が得られるAl系蒸着めっき鋼板の品質に影響を及ぼす
ことを確認した。一般に、Al系蒸着めっきに限らず、
各種蒸着めっき処理時の被めっき帯温度T(℃)は種々
の目的に応じて所定温度範囲に予め調整されるが、本発
明法では、めっき密着性、加工性の確保、めっき表面の
良好な外観・色調、めっき層と被めっき帯との合金化抑
制等の観点から、蒸着めっき処理時の被めっき帯温度T
を150 ℃≦T≦ 400℃の範囲にすることを必須要件とし
た。
【0036】被めっき帯温度が 150℃未満の場合には、
めっき外観が暗灰色の色調を有し、光沢度や明度も低下
するために、前述の酸化性ガスを1×10-3Pa以下にし
たとしても美麗を有する外観が得られにくいため好まし
くない。これは、被めっき帯表面に形成されたAl系蒸
着めっき層表面のめっき結晶粒のサイズおよび配向性
が、主として被めっき帯温度に影響を受けることに起因
するためであり、被めっき帯温度が 150℃未満の場合に
は、結晶粒が微細になったり、めっき層表面の凹凸が大
きくなって可視光領域の波長の光がめっき層表面で散乱
してしまうことに起因するものと考えられる。
【0037】また、被めっき帯温度が 150℃未満である
と、上述で規定した蒸着室内の真空度真空中ガス成分の
分圧の各条件を全て満足していても、得られるAl系蒸
着めっき鋼板(特にAl系合金めっき鋼板)のめっき付
着量によっては、めっき密着性および加工性が低下する
場合があるため好ましくない。この理由としては、被め
っき帯表面に凝着して形成されたAl系めっき層と被め
っき帯との界面結合力が、被めっき帯の温度に影響を受
け、 150℃未満であるとこの界面結合力が不充分になる
ものと考えられる。
【0038】さらに他の理由として、被めっき帯温度が
低いと、形成されたAl系蒸着めっき層の結晶構造に歪
が生じ易く、めっき層の残留歪応力が大きくなるために
めっき層の延性が低下することによるものと考えられ
る。この様に被めっき帯温度が150 ℃未満の条件下で得
られたAl系蒸着めっき鋼板は、強度の成型加工が施さ
れると、めっき層に割れ、クラックが生じ、さらにはめ
っき層の部分的脱落・剥離等が発生して、Al系蒸着め
っき製品としての加工性、加工後耐食性の低下につなが
る場合があるため、被めっき帯の温度Tは 150℃以上に
することが必要となる。
【0039】一方、被めっき帯温度Tの上限は 400℃に
することが必要である。 400℃を超える様な被めっき帯
温度でAl系蒸着めっき層を施した場合には、蒸着めっ
き処理後のめっき帯温度が 500〜 550℃を超える高温と
なって、特に純Al蒸着めっき鋼板では純Alめっき層
と鋼板との界面に溶融めっき鋼板の時と同様なFe−A
l系金属間化合物層が形成されることがあるため好まし
くない。この金属間化合物が界面に形成されると、Al
系蒸着めっき鋼板を強度の成型加工する時に、めっき層
と金属間化合物層との界面結合力が弱いためめっき層が
剥離してしまい、加工性、加工後耐食性が大幅に低下す
るという悪影響を及ぼす。
【0040】以上詳述した様に、本発明のAl系蒸着め
っき材の製造方法では、 (1) 蒸着室内の残留水素ガスが蒸着室内の全残留ガスの
90vol%以上を占める (2) 蒸着室内の残留ガスのうち、水分、酸素、一酸化炭
素、二酸化炭素のそれぞれのガス分圧の合計が 1×10-3
Pa以下である (3) 蒸着めっき開始時の被めっき材温度;T(℃)が下
式を満足する 150 ℃≦T≦ 400℃ の3条件を同時に満足することが必須要件である。この
3条件を満たせば、Al系蒸着めっき材のめっき密着
性、加工性、加工後耐食性、美観性等の要求性能を安定
して確保することが可能である。
【0041】本発明のAl系蒸着めっき鋼板の製造方法
では、蒸着めっき処理を行なう前の被めっき処理材の清
浄化および活性化のための前処理を行なうことが好まし
い。これらの前処理は、Al系蒸着めっき層のめっき密
着性確保のために必要な処理である。前処理法として
は、被めっき帯の材質によって適宜最適な処理が行なわ
れており、例えば、被めっき帯がAlおよびAl合金等
の場合にはアルマイト皮膜処理が行なわれ、他の金属材
については、脱脂および/または酸洗後にプレコーティ
ングと呼ばれる被めっき帯との密着性が良好な極薄付着
量の下地めっきを行なわれており、一義的には決められ
ない。
【0042】本発明のAl系蒸着めっき材の製造方法に
関しては、特にこれらの前処理方法について制限を受け
るものではなく、被めっき帯の材質等により適宜最適な
前処理方法を採用すれば良いが、一般的に被めっき帯が
各種鋼板の場合においては、被めっき帯の脱脂、酸洗等
の清浄化工程を経て、その後の被めっき帯表面の活性化
処理が種々の方法により行なわれる。
【0043】活性化処理方法として代表的な方法の1つ
に、真空中におけるArイオン、窒素イオン等の不活性
ガスイオンによるイオンボンバードメント処理がある。
この方法は、各種手法により真空中で上記ガス成分のプ
ラズマを形成させ、そのプラズマ中から陽イオン化され
たガス成分を被めっき帯表面に高速で衝突させて被めっ
き帯表面をボンバーディング(スパッタリング)するこ
とにより被めっき帯表面の吸着物、酸化皮膜等を除去す
る方法である。しかしながら、この方法によって活性化
効果を充分に得るには比較的長時間の処理を要するた
め、連続的に蒸着めっき材を製造する場合はこの活性化
処理が律速となって、結果としてAl系蒸着めっき製品
の生産性が大幅に低下することになるため好ましくな
い。
【0044】本発明では、還元性ガス雰囲気下において
被めっき材を加熱して被めっき材表面の還元・活性化処
理を行なうことが好ましい。還元性ガスとしては窒素と
水素の混合ガスが好ましく用いられ、被めっき材を還元
性ガス中で 600℃以上に加熱することによって表面の還
元・活性化処理が行なえる。活性化処理後は、被めっき
材を非酸化性雰囲気下にて所定の温度まで冷却し、しか
る後に被めっき材を蒸着室内に導入して、蒸着めっきを
施すことが好ましい実施態様である。この清浄化および
活性化前処理法を採用することにより、Al系蒸着めっ
き層と被めっき帯表面との密着力をより一層高め、優れ
ためっき密着性、加工性を得ることが可能である。
【0045】この清浄化前処理方法によって活性化され
た被めっき帯の表面状態を維持したままで蒸着室内に導
入するためには、表面が再酸化されない様にすることが
必要である。従って、還元処理を行なった後は、被めっ
き帯を非酸化性雰囲気下にて所定温度まで冷却し、希薄
非酸化性雰囲気が保持された所望の真空シール装置等を
経由して蒸着室内に導入すればよい。
【0046】Al系蒸着めっき後のめっき帯の冷却方法
は特に限定されないが、めっき後のめっき帯は原料金属
蒸気から受ける潜熱と顕熱や蒸発槽表面から受ける輻射
熱によって、めっき帯温度がかなり上昇しており、この
ままの状態で真空中から所定の真空シール装置を経由し
て大気下に導くと、所望の性能が得られない場合がある
ため、希薄非酸化性雰囲気下の真空シール装置を経由し
て、非酸化性雰囲気下で充分に冷却した後に、大気下へ
導く方法が好ましい。
【0047】高温状態のままでAl系蒸着めっき材を大
気中に導くと、めっき層の表面Alと空気中の酸素、水
分とが急激に反応して極薄の酸化皮膜(不働態皮膜)が
形成される。めっき帯温度が高いと酸化皮膜の成長が促
進される。Al系蒸着めっき帯表面に厚く成長した酸化
皮膜は、Al系めっき表面の美観を損ねるばかりでな
く、クロメート処理等の化成処理性を低下させる原因と
なるため、好ましくない。
【0048】本発明において、例えば被めっき材が鋼板
で図2に例示した連続蒸着めっき設備を用いてAl系合
金めっきを行なう場合、一連の工程は次の様に行なわれ
る。まず鋼板1は脱脂装置2において脱脂され、窒素と
水素の混合還元性ガス雰囲気のガス還元炉3中で加熱処
理されることによって活性化される。活性化された鋼板
1は、やはり還元性ガス雰囲気の非酸化性冷却帯4の中
で冷却され、希薄窒素ガス雰囲気の入側真空シール装置
5を通過して第1蒸着室6へ導入される。第1蒸着室6
で鋼板1の片面(図中では下面)がめっきされた後、第
2蒸着室17へ中間チャンバー15を経由して導入され、鋼
板1の反対面がめっきされる。その後希薄窒素ガス雰囲
気の出側真空シール装置18を経由して、窒素雰囲気の非
酸化性冷却帯19で充分冷却された後、スキンパスロール
20を通って後処理装置21へ導入される。第1蒸着室およ
び第2蒸着室は、もちろん本発明の規定条件を満足する
様に調整されている。その他の設備は図2に例示したも
のに限定されない。
【0049】本発明のAl系蒸着めっき材の製造方法を
採用することにより、Al系蒸着めっき材の各種性能を
充分に満足する製品を連続的に工業生産が可能であるこ
とを説明したが、以下実施例を用いて本発明をさらに詳
細に説明する。
【0050】
【実施例】
実施例1 図1および図2に示した連続蒸着めっき設備を用いて、
表1に示した様に蒸着条件を変えて純Al蒸着めっき鋼
板の製造を行ない、得られためっき材の品質について検
討を行なった。表1に示した以外の主な製造条件は以下
の通りである。
【0051】<主な製造条件> ・被めっき帯材 :極低炭素Alキルド冷延鋼帯 ・被めっき帯前処理 :脱脂洗浄−水洗−乾燥後、水素
−窒素混合ガス雰囲気下での被めっき帯の加熱による還
元・活性化処理を実施した。 水素濃度 :5% (vol%) 被めっき帯温度: 600℃以上 その後、H2 −N2 混合ガス雰囲気下で被めっき帯を所
定温度まで冷却 ・蒸着めっき内容 :純Al蒸着めっき ・蒸着室真空度 :蒸着室の真空度は、予め校正さ
れたイオン電離真空計により測定した。 ・蒸着室内の残留ガス成分比率:残留ガス成分の比率
(組成比)は、以下の分析装置により測定した。 ULVAC製;マスフィルター型ガス分析計 (MASSMATE−200型)
【0052】・入側・出側真空シール装置の雰囲気条
件:極低酸素量および極低露点なる希薄窒素ガス雰囲気 酸素含有量:20ppm以下 露点:−60℃ ・蒸発原料の加熱源 :ピアス型電子銃(最大出力: 3
00kW) ・蒸発槽 :電融高純度アルミナ製蒸発槽
(純度98%以上) (1個のみ使用) (図1、図2中11に相当) ・蒸発原料補給方法 :純Alワイヤ(A1050相当)
を、ワイヤフィーダーにより溶融Al浴中に連続補給
(純度99.7%以上) ・蒸着めっき後の被めっき帯冷却方法:極低酸素量およ
び極低露点なる窒素ガス冷却 ガス冷却−循環噴射方式 酸素含有量:20ppm以下 露点 :−60℃
【0053】上記製造条件のもとで、得られた蒸着純A
lめっき鋼板について、以下の性能評価試験を行なっ
た。 1.めっき密着性、加工性試験 ボールインパクト加工した試験片の加工部にセロテー
プを貼り付け、剥離したテープに付着しためっき片の有
無を目視にて評価する。 試験片を180°密着曲げした後、曲げ加工部にセロ
テープを貼り付け、剥離したテープに付着しためっき片
の有無を目視にて評価する。以上の2種類の加工試験を
行ない、以下の様に判定した。 ○:めっき密着性優れる 両試験において、共にめっき片の剥離が全く認められな
い。 △:めっき密着性やや劣る 両試験の少なくともいずれか一方の試験において、めっ
き片の剥離がわずかに認められる。 ×:めっき密着性劣る 両試験の少なくともいずれか一方の試験において、めっ
き片の剥離が顕著に認められる。
【0054】2.表面外観調査 めっき表面の酸化皮膜による色ムラの有無および程度を
被めっき帯長手方向および板幅方向において、目視にて
調査し以下の判定を行なった。 ○:色ムラ無く、且つ光沢が有り、表面外観が優れる。 △:色ムラは殆ど目立たないが、色ムラ部の光沢がやや
低く、表面外観がやや劣る。 ×:色ムラが顕著に目立ち、且つ色ムラ部の光沢がかな
り低く、表面外観が劣る。 得られた結果を、比較材の結果と共に表1にまとめて示
す。
【0055】
【表1】
【0056】表1から明らかな様に、本発明で規定した
蒸着室内真空中残留ガス成分の存在割合および蒸着めっ
き時の被めっき帯温度の条件を同時に満足する場合には
(No.1〜11)優れためっき密着性およびめっき表面外観
を有する。一方、上記3条件のうち1つでもその規定範
囲をはずれる場合(No.12 〜25)は、めっき密着性やめ
っき表面外観が劣ることがわかる。特に、蒸着室真空度
が低く(残留ガス圧力が高い)、且つ残留ガス中に占め
る水素ガスの割合が非常に小さい場合(No.15 〜17、2
0、25)には、めっき密着性および加工性が共に劣って
おり、その中でも蒸着めっき時の被めっき帯温度が本発
明の規定範囲をはずれて低い場合 (No.20)や、高い場合
(No.25)は特に両性能が劣悪である。
【0057】実施例2 図1および図2に示した連続蒸着めっき設備を用いて、
表2に示した様に蒸着条件を変えてAl合金蒸着めっき
鋼板の製造を行ない、得られためっき材の品質について
検討した。表2に示した以外の主な製造条件は以下の通
りである。また、蒸着室真空度、および残留ガス成分は
実施例1と同様にして測定した。
【0058】<主な製造条件> ・被めっき帯材 :極低炭素Tiキルド冷延鋼帯 ・被めっき帯前処理 :実施例1と同じ。 ・蒸着めっき内容 :Al系合金蒸着めっき(種類、
付着量は表2の通り) ・入側・出側真空シール装置の雰囲気条件:実施例1と
同じ。 ・蒸発原料の加熱源 :実施例1と同じ。
【0059】 ・蒸発槽 :Al浴用蒸発槽(図1、図2中
11に相当) 電融高純度アルミナ製蒸発槽(純度98%以上) Cr用蒸発槽(Al−Cr合金めっき時使用、図1、図
2中12に相当) 黒鉛製蒸発槽(封孔処理材) なお、該蒸発槽内にZr−Cr合金浴を形成せしめ、該
合金浴からCrのみ選択蒸発させる方式を採用 Ti用蒸発槽(Al−Ti合金めっき時使用、図1、図
2中12に相当) 黒鉛製蒸発槽(封孔処理材) ・蒸発原料補給方法 :Al原料 純Alワイヤ(A1050相当)を、ワイヤフィーダーによ
り溶融Al浴中に連続補給(純度99.7%以上) Cr原料 Crブリケットをブリケットフィーダーにより上記Zr
−Cr合金浴中へ連続補給(純度99.7%以上) Ti原料 純Tiワイヤをワイヤフィーダーにより連続補給(純度
99.7%以上) ・蒸着めっき後の被めっき帯冷却方法:実施例1と同
じ。
【0060】上記製造条件のもとで、得られた各種蒸着
Al系合金めっき鋼板について、以下の性能評価試験を
行なった。 1.めっき密着性、加工性試験 試験内容、判定基準は、実施例1と同じ。 2.化成処理性 蒸着Al系合金めっき鋼帯をスキンパス圧延処理した
後、塗布型クロメート処理を行ない、目視にて表面の外
観判定を行なった。 ○:化成処理性優れる クロメート処理ムラなく、均一なクロメート皮膜が形
成。 △:化成処理性やや劣る めっき表面ムラに起因するクロメート処理ムラがわずか
に発生。 ×:化成処理性劣る めっき表面ムラに起因するクロメート処理ムラがかなり
発生。
【0061】3.加工後耐食性 試験片をエリクセン試験機による張り出し加工およびカ
ッターナイフによるめっき表面からのクロスカット処理
を行ない、該試験片を塩水噴霧試験に供試し、被めっき
材である鋼板の1%赤錆発生時間にて評価した。 ○:加工後耐食性優れる 未加工試験片の1%赤錆発生時間に比べて若干劣る。 △:加工後耐食性やや劣る 未加工試験片の1%赤錆発生時間の半分以下の時間で赤
錆が発生する。 ×:加工後耐食性かなり劣る 加工部から早期に赤錆が発生する。 得られた結果を、比較材の結果と共に表2にまとめて示
す。
【0062】
【表2】
【0063】表2から明らかな様に、Al−Cr合金蒸
着めっき鋼板およびAl−Ti合金蒸着めっき鋼板は共
に本発明で規定する製造条件を全て満足する場合 (No.1
〜6、15〜17)には、めっき密着性、化成処理性、加工後
耐食性が共に優れた性能を有するものであることが判
る。一方、本発明で規定する残留ガス成分の存在割合、
被めっき帯温度の条件のうち、少なくとも1条件でも本
発明の規定範囲から外れて製造したAl−Cr合金蒸着
めっき鋼板 (No.7〜14)およびAl−Ti合金めっき鋼
板(No.18〜26)は、上記性能の少なくとも1つ以上が劣
ることが判る。
【0064】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、A
l系蒸着めっき材を連続的に製造する上で、蒸着室内真
空中残留ガス成分の存在比率(組成比)および蒸着めっ
き時の被めっき帯温度を規定することによって、めっき
密着性、外観、化成処理性等に優れた製品を安定して得
ることができる様になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続蒸着めっき設備の説明図である。
【図2】連続蒸着めっき設備の説明図である。
【符号の説明】
1 被めっき材 2 脱脂装置 3 ガス還元炉 4 非酸化性冷却帯 5 入側真空シール装置 6 (第1)蒸着室 7 電子銃 8 電子線 9 蒸発原料A 10 蒸発原料B 11 蒸発槽A 12 蒸発槽B 13 真空計 14 ガス分析計 15 中間チャンバー 16 デフレクターロール 17 第2蒸着室 18 出側真空シール装置 19 非酸化性冷却帯 20 スキンパスロール 21 後処理装置 22 真空排気管 23 テーブルロール 24 中間チャンバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 綾部 東太 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 三宅 昭二 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め前処理された被めっき材表面の少な
    くとも片面に連続的にAl系蒸着めっきを施す真空蒸着
    法において、 (1) 蒸着室内の残留水素ガスが蒸着室内の全残留ガスの
    90vol%以上を占める (2) 蒸着室内の残留ガスのうち、水分、酸素、一酸化炭
    素、二酸化炭素のそれぞれのガス分圧の合計が 1×10-3
    Pa以下である (3) 蒸着めっき開始時の被めっき材温度;T(℃)が下
    式を満足する 150 ℃≦T≦ 400℃ の3条件を同時に満足することを特徴とするAl系蒸着
    めっき材の製造方法。
  2. 【請求項2】 被めっき材の前処理として還元性ガス雰
    囲気下において被めっき材を加熱して該被めっき材表面
    の還元・活性化処理を行なった後、非酸化性雰囲気下に
    て所定の温度まで冷却し、しかる後に被めっき材を蒸着
    室内に導入して、被めっき材表面の少なくとも片面に連
    続的にAl系蒸着めっきを施すことを特徴とする請求項
    1に記載のAl系蒸着めっき材の製造方法。
JP31868392A 1992-11-27 1992-11-27 Al系蒸着めっき材の製造方法 Withdrawn JPH06158285A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100322784B1 (ko) * 1998-04-29 2002-03-13 마이크로코팅 테크놀로지, 인크. 제어 분위기 하의 화학적 기상 증착 장치 및 방법
JP2007504364A (ja) * 2003-09-05 2007-03-01 サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ アルミニウムで被覆したステンレス鋼ストリップ
US7270714B2 (en) 1999-05-14 2007-09-18 Sumitomo Special Metals Co., Ltd. Surface treating apparatus

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