JPH06157291A - 米胚芽油含有皮膚洗浄剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 水に弱酸性のＮ−アシル−Ｌ−グルタミン酸
塩を溶解した水性媒体に米胚芽油を分散溶解させ、これ
にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム
等の洗浄性界面活性剤、保湿剤、消炎剤、殺菌剤を加え
た皮膚洗浄剤。 【効果】 洗浄剤中での米胚芽油の酸化分解を防止し、
米胚芽油特有の効果を有効に引き出すことが可能となっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は米胚芽油含有皮膚洗浄剤
に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】米胚芽油含有の洗浄剤は一般に公知であ
る。

【０００３】このような洗浄剤中に保湿剤、消炎剤、殺
菌剤を含有させることも一般的である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】米胚芽油は、本来、極
めて酸化分解を受けやすい植物油であり、ただ単に洗浄
剤中に米胚芽油を配合しても、米胚芽油は、酸化分解
し、米胚芽油特有の効果を出しにくい欠点があった。

【０００５】また、露出度の低い皮膚では変敗物質によ
る刺激炎症性、洗浄力低下の問題も指摘されている。

【０００６】米胚芽油含有の洗浄剤は古くから知られて
いるものの、品質が一定化されておらず、この原因が原
料である糠脂質部分の酵素分解、米胚芽油抽出条件、保
存条件に起因することは予測されていたが、その品質の
向上性を検討した報告はない。

【０００７】本発明は上述の問題点を解決すべき洗浄力
が高く、刺激性、炎症性もなく、安全性の高い米胚芽油
含有洗浄剤の提供を目的としてなされたものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者等は、米胚芽油含有洗浄剤処理方を検討し
たところ、洗浄剤として弱酸性(pH5〜6.5)のＮ−アシル
−Ｌ−グルタミン酸塩を選択し、これに適量の水を加え
て水性媒体とし、この水性媒体に米胚芽油を分散溶解さ
せることにより品質の向上性が高まることを見い出し、
これが酸化防止効果によるものであり、既存の酸化防止
剤の添加と比較しても格段の効果があることを見い出し
て本発明を完成させたのである。

【０００９】更に具体的には本発明における水性媒体
は、洗浄基剤として弱酸性(pH5〜6.5)のＮ−アシル−Ｌ
−グルタミン酸塩を 3〜30% の割合で配合し、適量の水
を加えることにより得る。これに米胚芽油を分散溶解す
ることにより、洗浄剤中の米胚芽油の酸化分解を防止
し、米胚芽油特有の効果を引き出すことが可能となっ
た。

【００１０】通常の処方にあたっては、洗浄基剤とし
て、Ｎ−アシル−Ｌ−グルタミン酸塩の一種又はそれに
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸アミド
プロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の洗浄性界面活
性剤が組み合わせ利用される。保湿剤としてはｄ１−ピ
ロリドンカルボン酸ナトリウム液、コラーゲン、ＤＮ
Ａ、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンカリウム液が、消
炎剤としてグリチルリチン酸、アラントインが、殺菌剤
として、トリクロカルバン、オクトピロックス、トリク
ロサンが、他に、静電気防止剤、増粘剤、乳化剤、パー
ル化剤、防腐剤、香料が処方される。

【００１１】また本発明の洗浄剤は、主として洗顔用、
頭髪用、ボディー用として使用される。

【００１２】

【実施例】以下に本発明の実施例をあげ、更に詳細に説
明する。

【００１３】１）処方例 ボディーシャンプー 米胚芽油 ５％ （重量％以下同じ） N-ヤシ油脂肪酸アシル-L- グルタミン酸トリエタノールアミン液(30%) １０％ ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム １６％ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド ５％ トルクロロヒドロキシジフェニルエーテル ０．２％ アラントイン ０．１％ グリチルリチン酸ジカリウム ０．５％ 香料 適量 合計 １００％ 毛髪洗浄剤 米胚芽油 １％ N-ヤシ油脂肪酸アシル-L- グルタミン酸トリエタノールアミン液(30%) ９０％ コラーゲン １％ ＤＮＡ １％ ピロクトンオラミン １％ アラントイン ０．５％ グリチルリチン酸ジカリウム ０．１％ 香料 微量 水 適量 合計 １００％ 洗顔剤 米胚芽油 ５％ N-アシル-L- グルタミン酸ナトリウム ３０％ プロピレングリコール １５％ d1- ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 ２％ トリクロロカルバニリド １％ アラントイン ０．５％ グリチルリチン酸ジカリウム ０．１％ 香料 微量 水 適量 合計 １００％ ２）米胚芽油安定化試験 約４ｇの下記サンプルをシャーレに広げ、それを約４リ
ットルの密封容器に入れ、５０℃で２０日保存し、その
サンプルの過酸化物価及びにおいを評価した。

【００１４】 サンプル ０時 ５０℃２０日後 におい 過酸化物価 におい 過酸化物価 ボディーシャンプー 異臭なし 0meq/kg 異臭なし 2meq/kg 毛髪洗浄剤 異臭なし 0meq/kg 異臭なし 3meq/kg 洗顔剤 異臭なし 0meq/kg 異臭なし 0meq/kg 比較例１ 異臭なし 0meq/kg 酸敗臭 18meq/kg 比較例２ 異臭なし 0meq/kg 酸敗臭 17meq/kg 比較例３ 異臭なし 0meq/kg 酸敗臭 10meq/kg 比較例１：米胚芽油のみ 比較例２：米胚芽油＋酸化防止剤（トコフェロール0.01
%) 比較例３：米胚芽油1%、ラウリン酸カリウム20% 、エタ
ノール5%、プロピレングリコール5%、水 69%の比率から
なるシャンプー ３）洗浄効力試験 ａ）防臭効果 犬臭の強い１ケ月洗浄処理を施さないビーグル成犬（体
重20kg±1)１群３頭を用い、製剤例１記載のボディーシ
ャンプーと米胚芽油を含まない以外は同一処方のシャン
プーを使用して洗浄した。洗浄後２週間にわたり、毎日
犬臭の強さを試験員が臭いを嗅ぎ調査したところ、本発
明製剤で洗浄した犬は３〜４日臭いの発生が防止され、
序々に臭いが増加するが、米胚芽油を含まない処方で
は、翌日から臭いが発生することが認められた。

【００１５】ｂ）皮膚育成効果 上記ａ）で用いたビーグル成犬（体重20kg±1)１群３頭
を用い、洗浄後腹部の毛を剃り、メスで深さ１cm長さ１
cmにわたり切開し、傷口に本発明洗浄剤の3%水溶液10cc
をスポイトで毎日１回創面に滴下する方法で洗浄し、創
傷治療効果を検討した。対照群は米胚芽油を含まない処
方で調製した3%水溶液を用いて処置し、創傷の回復時間
を測定した。

【００１６】結果は創傷部分の完全回復に本発明製剤が
７日〜１０日であったのに対して、対照群では１３日〜
１７日かかっており、個体差、同一条件の創傷状態を作
り出すことが困難なことから、不完全であるが創傷部分
の回復を促進させる可能性が示唆された。

【００１７】ｃ）消炎効果 アレルギー性皮膚炎の経験のあるボランティア男女１５
名（年齢２２〜４０才）に実施例記載の洗顔剤を使用し
てもらい、使用感、アレルギー性皮膚炎の発生状態につ
いて調査した。結果は全員が良好と回答し、誰もアレル
ギー性皮膚炎の発生は認められなかった。

【００１８】ｄ）抜け毛防止効果 ボランテァ男１０名（年齢２５〜４０才）に実施例記載
の毛髪洗浄剤を７日間にわたり毎日１回使用してもら
い、洗浄後の抜け毛を集め、乾燥後の重量を測定した。
１ケ月休養期間をおき、再び同じボランティアに米胚芽
油を含まない以外は同一処方の毛髪洗浄剤を用い、洗浄
後の抜け毛を集め、乾燥後の重量を測定し比較したとこ
ろ、米胚芽油を含む処方に１０％程度の抑制率が観察さ
れた。

【００１９】

【式１】 ＊米胚芽油処方による抜け毛重量（Ｂ） ＊米胚芽油を含まない処方による抜け毛重量（Ａ）

【００２０】

【発明の効果】酸化防止処理を施した米胚芽油を含有す
る洗浄剤であり、特に皮膚、毛髪の洗浄用として使用す
る。防臭、皮膚育成効果、疥癖、創傷、頭髪脱毛防止効
果を有する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 康好 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 杉山 孝雄 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 澤井 喜一 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水に弱酸性のＮ−アシル−Ｌ−グルタミ
   ン酸塩を溶解させてなる水性媒体に米胚芽油を分散溶解
   させ、これに少なくとも１つの洗浄性界面活性剤を加
   え、もしくは加えずしてなる米胚芽油含有皮膚洗浄剤。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の洗浄剤に保湿剤、消炎
   剤及び殺菌剤のいずれか１もしくは複数を加えてなる米
   胚芽油含有皮膚洗浄剤。
3. 【請求項３】 消炎剤がアラントイン、グリチルリチン
   から選択されることを特徴とする請求項２に記載の米胚
   芽油含有皮膚洗浄剤。