JPH06150414A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JPH06150414A
JPH06150414A JP29742492A JP29742492A JPH06150414A JP H06150414 A JPH06150414 A JP H06150414A JP 29742492 A JP29742492 A JP 29742492A JP 29742492 A JP29742492 A JP 29742492A JP H06150414 A JPH06150414 A JP H06150414A
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純一郎 中山
Junsaku Nakajima
淳策 中嶋
Yoshiteru Murakami
善照 村上
Akira Takahashi
明 高橋
Kenji Ota
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 透光性のある基体1と、基体1上に形成さ
れ、室温で面内磁気異方性が優位な面内磁化を示す一
方、温度上昇に伴い垂直磁気異方性が優位な垂直磁化に
移行する読み出し層3と、読み出し層3上に形成され、
情報を光磁気記録する記録層4と、記録層4上に形成さ
れた反射層6を有しており、上記反射層6が、AlN
i、AlTi、AlTa、AlSiのいずれかである光
磁気記録媒体。 【効果】 したがって、従来より小さい記録ビットの再
生を行うことが可能になり、記録密度が著しく向上す
る。しかも、再生信号品質に優れ、記録密度が高く、耐
湿性に優れた光磁気ディスクを提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録装置に適用
される光磁気ディスク、光磁気テープ、光磁気カード等
の光磁気記録媒体及び、光磁気記録媒体の記録再生方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光磁気ディスクは、書き換え可能な光デ
ィスクとして研究開発が進められており、その一部は既
に、コンピューター用の外部メモリーとして実用化がな
されている。
【0003】光磁気ディスクは、記録媒体として垂直磁
化膜を用い、光を利用して記録再生を行うため、面内磁
化膜を用いたフロッピーディスクあるいはハードディス
クに比べて、大記録容量を実現できる。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、上記
従来の構成では、光磁気ディスクの記録密度が、記録再
生に使用される光ビームの記録媒体上での大きさに依存
するため、今まで以上に記憶容量を大きくできないとい
う問題点を有している。
【0005】つまり、記録ビットの大きさ及び記録ビッ
トの間隔が光ビームスポット径に比べて小さくなってく
ると、光ビームスポットの中に、隣接する記録ビットを
含めた複数の記録ビットが入ってくるため、雑音が増加
し、一つ一つの記録ビットを分離して再生することがで
きなくなってしまうという問題点を有している。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る光
磁気記録媒体は、上記の課題を解決するために、透光性
のある基体と、基体上に形成され、室温で面内磁気異方
性が優位な面内磁化を示す一方、温度上昇に伴い垂直磁
気異方性が優位な垂直磁化に移行する読み出し層と、読
み出し層上に形成され、情報を光磁気記録する記録層
と、記録層上に形成された反射層を有しており、上記反
射層が、AlNi、AlTi、AlTa、AlSiのい
ずれかであることを特徴としている。
【0007】請求項2の発明に係る光磁気記録媒体は、
上記の課題を解決するために、透光性のある基体と、基
体上に形成され、室温で面内磁気異方性が優位な面内磁
化を示す一方、温度上昇に伴い垂直磁気異方性が優位な
垂直磁化に移行する読み出し層と、読み出し層上に形成
され、情報を光磁気記録する記録層と、記録層上に形成
された放熱層を有しており、上記放熱層が、AlNi、
AlTi、AlTa、AlSiのいずれかであることを
特徴としている。
【0008】
【作用】請求項1の構成によれば、再生動作時に、読み
出し層に光ビームが照射されると、照射された部位の温
度分布は、ほぼガウス分布になるので、光ビームの径よ
り小さい中心近傍領域のみの温度が上昇する。
【0009】この温度上昇に伴って、温度上昇部位の磁
化は、面内磁化から垂直磁化に移行する。この時、読み
出し層及び記録層の2層間の交換結合力により、記録層
の磁化の向きに読み出し層の磁化の向きが従う。
【0010】温度上昇部位が面内磁化から垂直磁化に移
行すると、温度上昇部位のみが極カー効果を示すように
なり、該部位からの反射光に基づいて情報が再生され
る。
【0011】そして、光ビームが移動して次の記録ビッ
トを再生するときは、先の再生部位の温度は低下し、垂
直磁化から面内磁化に移行するため、極カー効果を示さ
なくなる。このことは、記録層に記録された磁化が読み
出し層の面内磁化によりマスクされて読み出されないと
いうことを意味している。これにより、雑音の原因とな
り、再生の分解能を低下させる隣接記録ビットからの信
号混入がなくなる。
【0012】以上のように、所定温度以上に昇温された
領域のみを再生に関与させるので、従来より小さい記録
ビットの再生を行うことが可能になり、記録密度が著し
く向上する。
【0013】しかも、記録層の上にAlNi、AlT
i、AlTa、AlSiのいずれかからなる反射層を設
けたので、再生信号品質に優れ、記録密度が高く、耐湿
性に優れた光磁気記録媒体を提供できる。
【0014】請求項2の構成によれば、上記の反射層の
代わりに、AlNi、AlTi、AlTa、AlSiの
いずれかからなる放熱層を設けたので、記録ビット形状
がきれいになり、再生信号品質に優れ、耐湿性に優れた
光磁気記録媒体を提供できる。
【0015】
【実施例】本発明の第1実施例を図1ないし図23に基
づいて説明すれば、以下の通りである。
【0016】本実施例の光磁気ディスク(光磁気記録媒
体)は、図1に示すように、基板1(基体)、透明誘電
体層2、読み出し層3、記録層4、透明誘電体層5、反
射層6、オーバーコート層7がこの順に積層された構成
を有している。
【0017】読み出し層3として使用される希土類遷移
金属合金は、図2の磁気状態図に示すように、垂直磁化
を示す組成範囲(図中、Aで示す)は非常に狭い。これ
は、希土類金属と遷移金属のモーメントがつりあう補償
組成(図中、Pで示す)の近辺でしか垂直磁化が現れな
いからである。
【0018】希土類金属と遷移金属の磁気モーメント
は、それぞれの温度特性が異なり、高温では遷移金属の
磁気モーメントが希土類金属に比べて大きくなる。この
ため、室温の補償組成よりも希土類金属の含有量を多く
しておき、室温では垂直磁化を示さずに面内磁化を示す
ようにしておく。この場合、光ビームが照射されること
により、照射部位の温度が上昇すると、遷移金属の磁気
モーメントが相対的に大きくなって、希土類金属の磁気
モーメントとつりあうようになり、垂直磁化を示すよう
になる。
【0019】図3ないし図6は、読み出し層3のヒステ
リシス特性の一例を示しており、横軸は、読み出し層3
の膜面に垂直方向に印加される外部磁界(Hex )であ
り、縦軸は、同じく膜面に垂直な方向から光を入射させ
た場合の極カー回転角(θk )である。
【0020】図3は、図2の磁気状態図における組成P
の読み出し層3の、室温から温度T1 までの間のヒステ
リシス特性を示しており、図4ないし図6は、それぞ
れ、温度T1 から温度T2 までのヒステリシス特性、温
度T2 から温度T3 までのヒステリシス特性、及び温度
3 からキュリー温度Tc までのヒステリシス特性を示
している。
【0021】温度T1 から温度T3 の温度範囲では、外
部磁界に対して極カー回転角の立ち上がりが急峻なヒス
テリシス特性を示すが、それ以外の温度範囲では極カー
回転角はほとんど0である。
【0022】上記の特性を備えた希土類遷移金属を読み
出し層3に使用することで、光磁気ディスクの記録密度
は高くなる。すなわち、光ビームの大きさよりも小さな
記録ビットの再生が可能になる。これについて、以下に
説明する。
【0023】再生動作時に、基板1(図1)の側から集
光レンズ9を介して再生光ビーム8が読み出し層3に照
射される。再生光ビーム8が照射された読み出し層3の
部位は、その中心部近傍が最も温度が上昇し、周辺の部
位の温度よりも高くなる。これは、再生光ビーム8が、
集光レンズ9により回折限界まで絞り込まれているた
め、その光強度分布がガウス分布になり、光磁気ディス
ク上の再生部位の温度分布もほぼガウス分布になるから
である。
【0024】中心近傍の温度がT1 以上に達し、周辺部
位の温度がT1 以下になるように再生光ビーム8の強度
が設定されている場合、T1 以上の温度を有する領域の
みを再生に関与させるので、再生光ビーム8の径よりも
小さな記録ビットの再生が行え、記録密度は著しく向上
することになる。
【0025】つまり、T1 以上の温度を有する領域の磁
化は、面内磁化から垂直磁化に移行する(極カー回転角
のヒステリシス特性は図3から図4もしくは図5に移行
する)。この時、読み出し層3及び記録層4の2層間の
交換結合力により、記録層4の磁化の向きが読み出し層
3に転写される。一方、再生光ビーム8の中心近傍に対
応した領域以外の、周辺部位では温度がT1 以下である
ため、面内磁化の状態(図3)が保持される。この結
果、膜面に垂直方向から照射された再生光ビーム8に対
しては、極カー効果を示さない。
【0026】このようにして、温度上昇部位が面内磁化
から垂直磁化に移行すると、再生光ビーム8の中心近傍
のみが極カー効果を示すようになり、該部位からの反射
光に基づいて、記録層4に記録された情報が再生され
る。
【0027】再生光ビーム8が移動して(実際には光磁
気ディスクが回転して)、次の記録ビットを再生する時
は、先の再生部位の温度はT1 以下に下がり、垂直磁化
から面内磁化に移行する。これに伴い、この温度が低下
した部位は極カー効果を示さなくなる。従って、該温度
の低下した部位からは情報が再生されなくなり、雑音の
原因である隣接記録ビットからの信号混入がなくなる。
【0028】以上のように、本発明の光磁気ディスクを
用いれば、再生光ビーム8の径よりも小さい記録ビット
の再生が確実に行え、隣接する記録ビットの影響を受け
ないため、記録密度を著しく高めることが可能である。
【0029】次に、本実施例の光磁気ディスクの具体例
を示す。
【0030】基板1は、直径86mm、内径15mm、厚さ
1.2mmの円盤状のガラスからなっている。基板1の片
側の表面には、図示していないが、光ビーム案内用の凹
凸状のガイドトラックが、ピッチが1.6μm、グルー
ブ(凹部)の幅が0.8μm、ランド(凸部)の幅が
0.8μmで形成されている。
【0031】基板1のガイドトラックが形成されている
側の面に、透明誘電体層2として、A1Nが厚さ80n
mで形成されている。
【0032】透明誘電体層2上に、係る読み出し層3と
して、希土類遷移金属合金薄膜であるGdFeCoが、
厚さ15nmで形成されている。GdFeCoの組成
は、Gd0.26(Fe0.82Co0.180.74であり、そのキ
ュリー温度は約300℃である。
【0033】読み出し層3上に、記録層4として、希土
類遷移金属合金薄膜であるDyFeCoが、厚さ15n
mで形成されている。DyFeCoの組成は、Dy0.23
(Fe0.78Co0.220.77であり、そのキュリー温度は
約200℃である。
【0034】上記の読み出し層3と記録層4の組み合わ
せにより、読み出し層3の磁化の方向は、室温ではほぼ
面内(つまり、読み出し層3の層方向)にあり、100
〜125℃程度の温度で面内方向から垂直方向に移行す
る。
【0035】記録層4上には、透明誘電体層5として、
A1Nが厚さ30nmで形成されている。
【0036】透明誘電体層5上には、反射層6として、
A1Niが厚さ30nmで形成されている。A1Niに
おけるNiの含有量は、5atm%である。
【0037】反射層6上には、オーバーコート層7とし
て、ポリウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂
が、厚さ5μmで形成されている。
【0038】上記の光磁気ディスクは、以下の手順で製
造された。
【0039】ガラスの基板1の表面のガイドトラック
は、反応性イオンエッチング法により形成された。
【0040】透明誘電体層2、読み出し層3、記録層
4、透明誘電体層5及び反射層6は、いずれもスパッタ
ー法により、同一スパッター装置内で、真空を破らずに
形成された。透明誘電体層2・5のA1Nは、A1ター
ゲットをN2 ガス雰囲気中でスパッターする反応性スパ
ッター法により形成された。読み出し層3及び記録層4
は、FeCo合金ターゲット上にGdあるいはDyのチ
ップを並べた、いわゆる複合ターゲット、若しくはGd
FeCo及びDyFeCoの3元合金ターゲットを用い
て、Arガスでスパッターすることにより形成された。
【0041】反射層6はAlNi合金ターゲットを用い
て、Arガスでスパッターすることにより形成された。
なお、AlNi合金ターゲットの代わりに、Alターゲ
ット上にNi片を配した複合ターゲットを用いてもよ
い。
【0042】オーバーコート層7は、スピンコーターに
よりポリウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂を
塗布した後、紫外線照射装置で紫外線を当て、硬化させ
ることにより形成された。
【0043】上記の光磁気ディスクでは、読み出し層3
と記録層4の膜厚の合計は30nmであり、非常に薄い
膜厚に設定されている。このため、基板1側から入射し
た再生光ビーム8は読み出し層3および記録層4を透過
し、反射層6で反射され、再び記録層4および読み出し
層3に入射する。その結果、再生光ビーム8が基板1側
から入射し読み出し層3で反射された光と、反射層6で
反射した光とが干渉し、磁気光学効果のエンハンスメン
トが行われる。すなわち、極カー回転角が大きくなる。
このため、より高精度に情報を再生できると共に、再生
信号品質が向上する。
【0044】AlNiは反射率が高いため、読み出し層
3及び記録層4を透過した光を効率良く反射させること
ができる。このため、反射層6の材料として好適であ
る。
【0045】また、AlNiは、熱伝導率が比較的低い
ので、記録再生に必要なレーザーパワーを低く設定する
ことができる。換言すれば、光磁気ディスクが高感度に
なる。これにより、光磁気ディスク装置の光源としての
半導体レーザーの寿命を延ばすことができる。
【0046】上記の光磁気ディスクを用いて、記録に要
するレーザーパワーを調べた所、反射層6だけを純Alに
代えた光磁気ディスクと比べて、0.5 mW以上低いレー
ザーパワーで記録できることが確認できた。
【0047】また、再生時の最適レーザーパワーも、反
射層6だけを純Alに代えた光磁気ディスクに比べて低
いことが確認できた。
【0048】更に、AlNiは、耐湿性に非常に優れて
おり、長期信頼性に優れた光磁気記録媒体を提供するこ
とができる。
【0049】以下に、上記の光磁気ディスクの耐湿性テ
スト結果について説明する。
【0050】光磁気ディスクを80℃、90%R.H. の環境条
件下で1000時間放置して、その特性の変化を調べた。比
較のため、反射層6を純Alに代えた以外、上記と同じ
構成の光磁気ディスクについても同様に調べた。
【0051】その結果、反射層6に純Alを用いた光磁
気ディスクでは、反射層6のAlに多数のピンホールが
発生した。そして、このピンホールのために、記録再生
実験で測定したノイズが上昇し、初期に比べて、再生信
号品質(C/N) が10dBも劣化した。
【0052】一方、本実施例の光磁気ディスクでは、反
射層6におけるピンホールの発生は数個程度と極めて少
なかった。このため、ノイズ上昇は無く、上記環境条件
下に放置後も、初期と変わらない特性が得られた。
【0053】AlNiにおけるNiの含有量は、0 〜10
atm%が好適である。Ni含有量があまり多くなり過ぎる
と、反射率がNiの増加につれて低下し、再生信号品質
(C/N) の劣化を招く。Ni量が10atm%までであれ
ば、C/Nの劣化はそれほど顕著では無く、実用的な値
が得られる。また、Ni含有量が、0.5atm% 程度とごく
僅かであっても、Alに比べて記録感度は改善され、ま
た耐湿性は格段に改善される。
【0054】反射層6の材料として、AlTi、AlT
a、AlSiも好適である。
【0055】これらの材料も反射率が高い材料であるの
で、読み出し層3及び記録層4を透過した光を効率良く
反射させることができ、再生信号品質の優れた光磁気デ
ィスクを提供することができる。
【0056】また、これらの材料も熱伝導率が比較的低
いので、記録再生に必要なレーザーパワーを低く設定す
ることができ、光磁気ディスク装置における半導体レー
ザーの寿命を延ばすことができる。
【0057】Tiを1.5atm% 含有したAlTiの反射層
6を有する光磁気ディスク、Taを1.5atm% 含有したA
lTaの反射層6を有する光磁気ディスク、Siを10at
m%含有したAlSiの反射層6を有する光磁気ディスク
についても、上記と同様に、記録および再生に要するレ
ーザーパワーを求めると共に、耐湿性テストを行った
所、上記と同様の結果が得られた。
【0058】AlTiにおけるTiの含有量およびAl
TaにおけるTaの含有量は、0 〜10atm%が好適であ
る。これらの含有量があまり多くなり過ぎると、反射率
がTiあるいはTaの増加につれて低下し、再生信号品
質(C/N) の劣化を招く。含有量が10atm%までであれ
ば、C/Nの劣化はそれほど顕著では無く、実用的な値
が得られる。また、含有量が、0.5atm% 程度とごく僅か
であっても、Alに比べて記録感度は改善され、また耐
湿性は格段に改善される。
【0059】AlSiにおけるSiの含有量は、0 〜50
atm%が好適である。これらの含有量があまり多くなり過
ぎると、反射率がSiの増加につれて低下し、再生信号
品質(C/N) の劣化を招く。含有量が50atm%までであ
れば、C/Nの劣化はそれほど顕著では無く、実用的な
値が得られる。また、含有量が、0.5atm% 程度とごく僅
かであっても、Alに比べて記録感度は改善され、また
耐湿性は格段に改善される。
【0060】AlTaを反射層6に用いた場合には、次
の利点がある。
【0061】AlTaの反射層6は、AlTa合金ター
ゲット、もしくは、Alターゲット上にTa片を配した
複合ターゲットをArガスでスパッターすることにより
形成される。
【0062】ところで、AlTa合金ターゲット、もし
くは、Alターゲット上にTa片を配した複合ターゲッ
トをN2 ガス、あるいは、ArガスとN2 ガスの混合ガ
スでスパッターすると、反応性スパッターにより、Al
TaNが形成される。AlTaNは、透明であり、か
つ、屈折率が2前後と大きいので、透明誘電体層2・5
の材料として使用可能である。
【0063】したがって、透明誘電体層2・5と反射層
6とを同一ターゲットを用いて形成できる。このため、
スパッター装置を小型化でき、光磁気ディスクの製造コ
ストを大幅に下げることができる。
【0064】AlSiを反射層6に用いた場合にも、A
lTaを反射層6に用いた場合と、同様の利点がある。
【0065】すなわち、AlSiの反射層6は、AlS
i合金ターゲット、もしくは、Alターゲット上にSi
片を配した複合ターゲットをArガスでスパッターする
ことにより形成される。AlSi合金ターゲット、もし
くは、Alターゲット上にSi片を配した複合ターゲッ
トをN2 ガス、あるいは、ArガスとN2 ガスの混合ガ
スでスパッターすると、反応性スパッターにより、Al
SiNが形成される。
【0066】AlSiNは、透明であり、かつ、屈折率
が2前後と大きいので、透明誘電体層2・5の材料とし
て使用可能である。
【0067】したがって、透明誘電体層2・5と反射層
6とを同一ターゲットを用いて形成できる。このため、
スパッター装置を小型化でき、光磁気ディスクの製造コ
ストを大幅に下げることができる。
【0068】次に、反射層6の膜厚について説明する。
【0069】反射層6の膜厚があまり薄すぎると、反射
層6を光が透過してしまい、エンハンス効果が低下す
る。このため、膜厚は最低でも20nm程度は必要であ
る。また、膜厚があまり厚すぎると記録、再生等に必要
なレーザパワーが高くなり、光磁気ディスクの記録感度
を低下させてしまう。このため、反射層6の材料の熱伝
導率、比熱に応じて膜厚を設定する必要があるが、通
常、100 nm以下が好ましい。従って、反射層6に好適
な膜厚は20〜100 nmの範囲である。
【0070】尚、上記のAlNi、AlTi、AlT
a、AlSiは、非常に耐湿性に優れた材料であるの
で、膜厚が30nm程度以下と薄くても、長期信頼性に優
れた光磁気記録媒体を提供できる。
【0071】本実施例の光磁気ディスクにおいて、磁気
光学効果のエンハンスメントのためには、透明誘導体層
2の膜厚は、70〜100 nmが最適であり、この時、透明
誘導体層5の膜厚は15〜50nmが好適である。
【0072】透明誘導体層2の膜厚を上記のように設定
すれば、読み出し層3からの反射光の極カー回転角を光
の干渉効果により増大させることができる。再生時の信
号品質(C/N) をできるだけ大きくさせるには、極カ
ー回転角を大きくさせることが必要であり、このため透
明誘導体層2の膜厚は、極カー回転角が最も大きくなる
ように設定される。この膜厚は、再生光の波長、透明誘
導体層2の屈折率により変化する。上記第一実施例の場
合は、780 nmの再生光波長に対して、屈折率2.0 のA
lNを用いているので、透明誘導体層2のAlNの膜厚
を30〜1200nm程度にすると、カー効果エンハンスメン
トの効果が大きくなる。尚、好ましくは、透明誘導体層
2のAlNの膜厚は70〜100 nmであり、この範囲であ
れば極カー回転角がほぼ最大になる。
【0073】上記の説明は、波長が780 nmの再生光に
対するものであったが、例えば波長が半分の400 nmの
再生光に対しては、透明誘導体層2の膜厚もほぼ半分に
すれば良い。
【0074】更に、透明誘導体層2の材料の違いあるい
は製法により透明誘導体層2の屈折率が変わった場合
は、屈折率と膜厚を乗じた値(光路長)が同じになるよ
うに、透明誘導体層2の膜厚を設定すれば良い。
【0075】すなわち、例えば、透明誘導体層2のAl
Nの屈折率2と膜厚80nmを乗じた、160 nmが透明誘
導体層2の光路長となるが、このAlNの屈折率が2か
ら2.5に変わった場合は、160 nm/2.5=64nm程度
に膜厚を設定すれば良いことになる。
【0076】上記の説明からわかるように、透明誘導体
層2の屈折率は大きいほど、その膜厚は少なくて済む。
また、屈折率が大きいほど、極カー回転角のエンハンス
効果も大きくなる。
【0077】また、透明誘導体層5の膜厚は、膜厚を厚
くすればするほど、極カー回転角が大きくなるが、反射
率が小さくなる。反射率をあまり小さくし過ぎると、ガ
イドトラックにサーボをかけるための信号が小さくな
り、安定したサーボがかけられなくなってしまう。この
ため、透明誘導体層5の膜厚は15〜50nm程度が適して
いる。
【0078】また、透明誘導体層2の屈折率よりも透明
誘導体層5の屈折率を大きくすれば、よりエンハンス効
果を高めることができる。
【0079】透明誘導体層2及び5の材料としては、A
lNが好適である。
【0080】AlNは、スパッター時のスパッターガス
であるArとN2 の比率、ガス圧力等を変えることによ
り、その屈折率が変わるが、おおむね1.8 〜2.1 程度と
比較的屈折率が大きな材料であり、磁気光学効果のエン
ハンス効果が大きく、再生信号品質に優れた光磁気ディ
スクを提供できる。
【0081】また、透明誘導体層2は、上記説明のよう
なカー効果エンハンスメントの役割があるだけでなく、
透明誘導体層5とともに読み出し層3と記録層4の希土
類遷移金属合金からなる磁性材料の酸化を防止する役割
もある。
【0082】希土類遷移金属からなる読み出し層3と記
録層4は、非常に酸化されやすく、特に希土類が酸化さ
れやすい。このため外部からの酸素、水分侵入を極力防
止しなければ、酸化によりその特性が著しく劣化してし
まう。
【0083】そのため、本実施例においては、読み出し
層3と記録層4の両側をAlNで挟み込む形の構成を取
っている。AlNは、その成分に酸素を含まない窒化物
であり、非常に耐湿性に優れた材料である。
【0084】また、AlTaN、AlSiNも透明誘導
体層2または5の材料として好適である。
【0085】更に加えて、SiN 、SiAlON、TiN 、TiON、
BN、ZnS 、TiO2、BaTiO3、SrTiO3等も好適である。
【0086】また、このうち特に、SiN 、TiN 、BN、Zn
S は、その成分に酸素を含まず、耐湿性に優れた光磁気
ディスクを提供することができる。
【0087】また、希土類遷移金属合金からなる読み出
し層3及び記録層4は、光をよく吸収するので、これら
を合わせた膜厚が、50nm以上になるとほとんど光が透
過せず、カー効果のエンハンスメントをできなくなる。
従って、これら2層を合わせた膜厚は10〜50nmが好適
である。
【0088】上記の読み出し層3のGdFeCoの組成は、Gd
0.26(Fe0.82Co0.18)0.74に限定されるものではない。読
み出し層3は、室温でほぼ面内磁化を有し、室温以上の
温度で面内磁化から垂直磁化に移行すれば良い。希土類
遷移金属合金においては、希土類と遷移金属の比率を変
えれば、希土類と遷移金属の磁化が釣り合う補償温度が
変わる。GdFeCoはこの補償温度付近で垂直磁化を示す材
料系であることからGdとFeCoの比率を変えて補償温度を
変えてやれば、面内磁化から垂直磁化に移行する温度も
これにつれて変わる。
【0089】図7は、GdX (Fe0.82Co0.18)1-X の系にお
いてX、すなわちGdの組成を変えた場合の補償温度及び
キュリー温度を調べた結果である。
【0090】補償温度が室温(25℃)以上にある組成
範囲は、同図から明らかなようにXが0.18以上である。
このうち、好ましくは、0.19<X<0.29の範囲である。
この範囲であれば、読み出し層3上に記録層4を積層し
た実使用構成において、面内から垂直方向に磁化の向き
が移動する温度が室温〜200℃程度の範囲となる。こ
の温度があまり高すぎると、再生用のレーザパワーが記
録用のレーザパワーと同じくらい高くなってしまうの
で、記録層4に記録が行われて記録情報が乱される恐れ
がある。
【0091】次に、上記のGdFeCo系において、FeとCoの
比率を変えた場合、すなわち、 GdXX (Fe1-YCoY )1-X
おいて、Yを変えた場合における、特性(補償温度及び
キュリー温度)の変化について説明する。
【0092】図8は、Coがゼロの場合、すなわち、GdX
Fe1-X の特性を示す図である。同図において、例えば、
Gd組成がX=0.3 の場合、補償温度は約120℃で、キュ
リー温度は約200℃ある。
【0093】図9は、Feがゼロの場合、すなわち、GdX
Co1-X の特性を示す図である。同図において、例えば、
Gd組成がX=0.3 の場合、補償温度は約220℃で、キュ
リー温度は約400℃ある。
【0094】以上のことから、Gd組成が同じであって
も、Co量が増えると、補償温度及びキュリー温度が上昇
することがわかる。
【0095】再生時の極カー回転角ができるだけ大きい
ほうが高いC/Nを得られるので、読み出し層3のキュ
リー温度は、高い方が有利である。ただし、あまりCo量
を増やし過ぎると、面内から垂直に磁化方向が移行する
温度も高くなるので注意が必要である。
【0096】これらの点を考慮して、Gdx (Fe1-YCoY )
1-XにおけるYの値は、0.1 <Y<0.5 の範囲が良い。
【0097】上記の読み出し層3において、面内磁化か
ら垂直磁化に移行する温度等の特性は、当然のことなが
ら、記録層4の組成、膜厚等の影響を受ける。これは、
両層の間に磁気的な交換結合力が働くからである。した
がって、記録層4の材料、組成、膜厚により、読み出し
層3の最適な組成、膜厚が変わる。
【0098】以上説明した通り、本発明の光磁気ディス
クの読み出し層3の材料としては、面内磁化から垂直磁
化への急峻であるGdFeCoが最適であるが、以下に述べる
希土類遷移金属合金でも、同様の効果が得られる。
【0099】Gdx Fe1-X は、図8に示すような特性を有
しており、0.24<X<0.35の範囲で室温以上に補償温度
を有する。
【0100】Gdx Co1-X は、図9に示すような特性を有
しており、0.20<X<0.35の範囲で室温以上に補償温度
を有する。
【0101】遷移金属としてFeCo合金を用いている場
合、TbX (FeY Co1-Y )1-Xは、0.20<X<0.30(このと
き、Yは任意)の範囲で室温以上で補償温度を有する。
DyX (FeY Co1-Y )1-Xは、0.24<X<0.33(このとき、
Yは任意)の範囲で室温以上で補償温度を有する。HoX
(FeY Co1-Y )1-Xは、0.25<X<0.45(このとき、Yは
任意)の範囲で室温以上で補償温度を有する。
【0102】以上の材料に加えて、光ピックアップの光
源である半導体レーザーの波長が、前述の780 nmより
短くなった場合に、その波長での極カー回転角が大きな
材料も、本発明の読み出し層3の材料として好適であ
る。
【0103】既に、説明した通り、光磁気ディスク等の
光ディスクにおいて、その記録密度を制限するのは光ビ
ームの大きさであり、これはレーザー波長と対物レンズ
の開口数により決まるものである。従って、今よりも波
長の短い半導体レーザーが出現すれば、それだけで光磁
気ディスクの記録密度は向上する。現在では、既に670
〜680 nmの波長の半導体レーザーがほぼ実用化レベル
にあり、波長400 nm以下のSHG レーザーも精力的に研
究が進められている。
【0104】希土類遷移金属合金の極カー回転角は、波
長依存性を有しており、一般には、波長が短くなると、
極カー回転角は減少してしまう。短波長で極カー回転角
の大きい膜を用いると、信号強度が大きくなり高品質の
再生信号が得られることになる。
【0105】上述の読み出し層3の材料にNd,Pt,Pr,Pd
のうち少なくとも1種類の元素を微量添加することで、
読み出し層3として要求される特性をほとんど損なわず
に、短波長での極カー回転角を増加することができ、短
波長レーザーを用いた場合でも高品質な再生信号が得ら
れる光磁気ディスクを提供できる。
【0106】上記元素を添加した読み出し層3として
は、具体的には、例えば、Nd0.05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0.180.740.95、Pt0.05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0.180.740.95、Pr0.05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0.180.740.95、Pd0.05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0.180.740.95がある。
【0107】更に、上述の読み出し層3の材料に、微量
のCr,V,Nb,Mn,Be,Niのうち少なくとも1種類の元素を添
加することで、読み出し層3自体の耐環境性が向上す
る。すなわち、水分、酸素侵入による読み出し層3の材
料の酸化による特性の劣化を少なくし、長期信頼性に優
れた光磁気ディスクを提供できる。
【0108】上記元素を添加した読み出し層3として
は、具体的には、例えば、Cr0.05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0.180.740.95、V0.05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0. 180.740.95、Nb0.05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0.180.740.95、Mn0. 05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0.180.740.95、Be0.05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0.180.740.95、Ni0.05〔Gd0.26(Fe
0.82Co0.180.740.95がある。
【0109】記録層4 の材料は、従来の光磁気ディスク
で開発、使用されている材料、すなわち、室温からキュ
リー温度まで垂直磁化を示す材料で、そのキュリー温度
が記録に適した温度範囲、すなわち 150〜250 ℃程度で
あれば良い。上記実施例では、記録層4としてDyFeCoを
採用したが、DyFeCoは、その垂直磁気異方性が小さい材
料であり、そのため、記録の際に必要な外部磁界が低く
ても記録が行える。これは、特に、後述する磁界変調オ
ーバーライト記録方式においては、非常に有利な点とな
り、記録用外部磁界発生装置の小型化、低消費電力化が
可能となる。
【0110】DyFeCo以外では、TbFeCo, GdTbFe, NdDyFe
Co, GdDyFeCo, GdTbFeCoが記録層4に好適である。一例
を挙げれば、TbX (FeY Co1-Y 1-X において、
任意のYに対し、0.10≦X≦0.30を満足してお
れば良い。より具体的には、例えば、Tb0.18(Fe
0.88Co0.120.82がある。
【0111】TbFeCoは、その垂直磁気異方性Ku
が約3〜4×106 erg/ccと大きい材料であり、
高温でのカーループの角形が崩れず、再生信号品質が非
常に高い光磁気記録媒体を供給することができる。
【0112】また、上記の記録層4の材料に、Cr, V, N
b, Mn, Be, Ni のうち少なくとも1種類の元素を添加す
ると、より長期信頼性を向上させることができる。
【0113】基板1の材料としては、上記のガラス以外
に、化学強化されたガラス、これらのガラス基板上に紫
外線硬化型樹脂層を形成した、いわゆる2P層付きガラ
ス基板、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)、アモルファスポリオレフィン
(APO)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビフェニ
ール(PVC)、エポキシ等の基板1を使用することが
可能である。
【0114】基板1に化学強化されたガラスを採用した
場合、機械特性(光磁気ディスクの場合、面振れ、偏
心、反り、傾き等)に優れていること、硬度が大きく、
砂や埃により傷が付きにくいこと、化学的に安定なた
め、各種溶剤に溶けないこと、プラスチックに比べ帯電
しにくいので埃や塵が付着しにくいこと、化学的に強化
されているので割れにくいこと、耐湿性、耐酸化性、耐
熱性に優れているので、光磁気記録媒体の長期信頼性が
向上すること、光学特性に優れており、高い信号品質が
得られること等が利点として挙げられる。
【0115】尚、基板1として、上記のガラス、化学強
化ガラスを用いた場合に、光ビーム案内用のガイドトラ
ック、及びアドレス信号等の情報を得るために予め基板
に形成されるプリピットと呼ばれる凹凸信号を基板上に
形成する方法としては、これらガラス基板表面を反応性
ドライエッチングすることにより形成される。また、2
P層と呼ばれる紫外線硬化型樹脂をガラスの基板1上に
塗布した後、スタンパーと呼ばれる型をこの樹脂層に押
し付け、紫外線を照射して樹脂を硬化させた後、スタン
パーをはがして樹脂層上に上記のガイドトラック、プリ
ピット等を形成する方法がある。
【0116】基板1にPCを採用した場合、射出成型が
できるため、同一の基板1を大量に、安価に供給できる
こと、ほかのプラスチックに比べ、吸水率が低いので、
光磁気記録媒体の長期信頼性が向上すること、耐熱性、
耐衝撃性に優れていることなどが利点として挙げられ
る。なお、この材料も含め、以下に述べる射出成型が可
能な材料については、ガイドトラック、プリピット等
は、射出成型時にスタンパーを成型金型表面に取り付け
ておけば、成型と同時に基板1の表面に形成される。
【0117】基板1にPMMAを採用した場合、射出成
型ができるため、同一の基板1を大量に、安価に供給で
きること、他のプラスチックに比べ、複屈折が小さいの
で、光学特性に優れており、高い信号品質が得られるこ
と、耐久性に優れていること等が利点として挙げられ
る。
【0118】基板1にAPOを採用した場合、射出成型
ができるため、同一の基板1を大量に、安価に供給でき
ること、他のプラスチックに比べ、吸水率が低いので、
光磁気記録媒体の長期信頼性が向上すること、複屈折が
小さいので、光学特性に優れており、高い信号品質が得
られること、耐熱性、耐衝撃性に優れていること等が利
点として挙げられる。
【0119】基板1にPSを採用した場合、射出成型が
できるため、同一の基板1を大量に、安価に供給できる
こと、他のプラスチックに比べ、吸水率が低いので、光
磁気記録媒体の長期信頼性が向上すること等が利点とし
て挙げられる。
【0120】基板1にPVCを採用した場合、射出成型
ができるため、同一の基板1を大量に、安価に供給でき
ること、他のプラスチックに比べ、吸水率が低いので、
光磁気記録媒体の長期信頼性が向上すること、難燃性で
あること等が利点として挙げられる。
【0121】基板1にエポキシを採用した場合、他のプ
ラスチックに比べ、吸水率が低いので、光磁気記録媒体
の長期信頼性が向上すること、熱硬化性樹脂であるた
め、耐熱性に非常に優れていること等が利点として挙げ
られる。
【0122】以上のように基板1として、各種材料を使
用することが可能であるが、それらの材料を光磁気ディ
スクの基板1として使用する場合、以下の光学特性、機
械特性を満足していることが望ましい。
【0123】屈折率 :1.44〜1.62 復屈折 :100nm以下(平行光で測定された往
復複屈折) 透過率 :90%以上 厚さ変動 :±0.1mm チルト :10mrad以下 面振れ加速度:10m/s2 以下 径方向加速度:3m/s2 以下 記録媒体にレーザー光を集光するための光ピックアップ
は、基板1の屈折率に合わせて設計されるため、基板1
の屈折率の変動が大きくなるとレーザー光を十分に集光
することができなくなる。レーザー光の集光状態が変わ
ってくると記録媒体(つまり、読み出し層3と記録層
4)の温度分布が変化することになり、記録再生に影響
を及ぼす。本発明においては、再生時の記録媒体の温度
分布が特に重要となってくるため、使用する基板1の屈
折率を1.44〜1.62の範囲内に抑えることが望ま
しい。
【0124】また、基板1を通してレーザー光を入射さ
せるため、基板1に複屈折が存在すると、レーザー光が
基板1を通過する際、その偏光状態が変わってしまう。
本発明は読み出し層3の磁化状態の変化をカー効果を利
用して偏光状態の変化として再生するため、基板1を通
過する際に偏光状態が変わってしまうと再生することが
できなくなってしまう。そのため、平行光で測定した際
の基板1の往復複屈折は100 nm以下であることが望ま
しい。
【0125】また、基板1の透過率が低くなると、例え
ば記録時において、光ピックアップからの光ビームが基
板1を通過する際、その光量が減少してしまう。そのた
め、記録に必要である光量を記録媒体で得ようとする
と、より高出力なレーザー光源が必要となる。特に本発
明においては、記録媒体が記録層4と読み出し層3の2
層からなっており、従来の単層の(読み出し層3のな
い)記録媒体に比べて、記録媒体を昇温するためには、
より多くの光量を必要とするため、基板1の透過率は9
0%以上であることが望ましい。
【0126】また、記録媒体にレーザー光を集光するた
めの光ピックアップは、基板1の厚さに合わせて設計さ
れるため、基板1の厚さの変動が大きくなるとレーザー
光を十分に集光することができなくなる。レーザー光の
集光状態が変わってくると記録媒体の温度分布が変化す
ることになり、記録再生に悪影響を及ぼす。本発明にお
いては、再生時の記録媒体の温度分布が特に重要となっ
てくるため、使用する基板1の厚さ変動を±0.1mm の範
囲内に抑えることが望ましい。
【0127】また、基板1にチルトが存在すると光ピッ
クアップからのレーザー光は、傾いた記録媒体面に集光
されることになり、チルトの状態に応じて集光状態が変
化することになり、基板1の厚さが変動した場合と同様
に、記録再生に悪影響を及ぼす。そのため、本発明にお
いては、基板1のチルトを10mrad以下、もっと好ましく
は5mrad 以下とすることが望ましい。
【0128】また、基板1が光ピックアップに対して上
下に移動した場合、光ピックアップはその上下動を補償
し記録媒体面にレーザー光を集光すべく動作するが、上
下動が大きくなり過ぎると光ピックアップの補償動作が
不完全なものとなり、記録媒体面でのレーザー光の集光
状態は不完全なものとなる。レーザー光の集光状態が不
完全なものとなると記録媒体の温度分布が変化すること
になり、記録再生に悪影響を及ぼす。本発明において
は、再生時の記録媒体の温度分布が特に重要となってく
るため、使用する基板の回転時の上下動については、そ
の面振れ加速度を10m/s2 以下に抑えることが望ま
しい。
【0129】また、基板1にはあらかじめ1.0〜1.
6μmピッチで光ビーム案内用のガイドトラックが設け
られているが、ガイドトラックに偏心が存在すると、回
転時にガイドトラックは光ピックアップに対して半径方
向に移動することになる。この時、光ピックアップはそ
の半径方向の移動を補償しガイドトラックと一定の関係
を保つべくレーザー光を集光させるが、ガイドトラック
の半径方向への移動が大きくなり過ぎると光ピックアッ
プの補償動作が不完全なものとなり、ガイドトラックと
一定の関係を保った状態でレーザー光を集光させること
ができなくなる。本発明においては、再生時の記録媒体
の温度分布が特に重要となってくるため、使用する基板
の回転時の半径方向への移動については、その径方向加
速度を3m/s2 以下に抑えることが望ましい。
【0130】集光されたレーザー光を光磁気ディスクの
所定の位置に導く方法として、スパイラル状、または、
同心円状のガイドトラックを利用した連続サーボ方式
と、スパイラル状、または、同心円状のピット列を利用
したサンプルサーボ方式が考えられる。
【0131】連続サーボ方式の場合、図10に示すよう
に、1.2〜1.6μmピッチで、0.2〜0.6μm
幅のグループが、λ/(8n)程度の深さで形成され、
ランド部分で情報の記録再生が行われるのが一般的であ
る。これはランド仕様の光磁気ディスクと呼ばれる。こ
こで、λはレーザビームの波長であり、nは使用される
基板の屈折率である。
【0132】このような、一般的な方式に本発明を適用
することは十分に可能である。本発明においては、隣接
トラックの記録ビットのよるクロストークが大幅に低減
されることにより、例えば、ランド仕様の光磁気ディス
クにおいては、0.5〜1.2μmピッチで、0.1〜
0.4μm幅のグループを形成した場合でも、隣接記録
ビットからのクロストークに影響されることなく、記録
再生を行うことが可能になり、記録密度は大幅に向上す
る。
【0133】更に、図11に示すように、0.8〜1.
6μmピッチで、同一幅のグループとランドを形成し、
グループ部分とランド部分の両方で記録再生を行った場
合においても隣接トラックの記録ビットからのクロスト
ークに影響されることなく、グループ部分とランド部分
の両方で記録再生を行うことが可能となり、記録密度は
大幅に向上する。
【0134】一方、サンプルサーボ方式の場合は、図1
2に示すように、1.2〜1.6μmピッチでもってウ
ォブルピットが(λ/(4n))程度の深さで形成さ
れ、レーザビームが常にウォブルピットの中心を走査す
るように情報の記録再生が行われるのが一般的である。
このような一般的な方式に本発明を適用することは十分
に可能である。本発明においては、隣接する記録ビット
からのクロストークが大幅に低減されることにより、
0.5〜1.2μmピッチで、ウォブルピットを形成し
た場合でも、隣接する記録ビットからのクロストークに
影響される事なく、記録再生を行うことが可能となり、
記録密度は大幅に向上する。
【0135】さらに、図13に示すように、0.8〜
1.6μmピッチで、ウォブルピットを形成し、ウォブ
ルピットが逆極性で存在する位置に情報の記録再生を行
った場合において隣接記録ビットからのクロストークに
影響される事なく記録再生を行うことが可能となり、記
録密度は大幅に向上する。
【0136】また、図14に示すように、連続サーボ方
式において、グルーブをウォブリングさせることにより
光磁気ディスクの位置情報を得る場合は、ウォブリング
状態が逆位相となった部分において、隣接グルーブに存
在する記録ビットからのクロストークが大きくなるとい
う問題が存在したが、本発明を適用することによりウォ
ブリング状態が逆位相となった部分においても、隣接グ
ルーブに存在する記録ビットからのクロストークが発生
する事なく、良好な記録再生を行うことが可能となる。
【0137】本実施例の光磁気ディスクは、また、以下
に説明するような種々の記録再生用光ピックアップにも
好適である。
【0138】例えば、複数の光ピックアップまたは一つ
の光源から複数の光ビームを作り出したマルチビーム方
式の光ピックアップを採用する場合、図15に示すよう
に、複数の光ビームの両端の光ビームがガイドトラック
上を走査するように位置決めし、その間に位置する複数
の光ビームで記録再生を行う方法が一般的であるが、本
発明の光磁気ヘッドディスクを用いることにより、光ビ
ームの間隔を狭くしても隣接記録ビットからのクロスト
ークの影響を受けることなく再生することが可能とな
り、ガイドトラックのピッチを短くすることが可能とな
るか、又は、一対のガイドトラックの間により多くのレ
ーザビームで記録再生することが可能となり、記録密度
は大幅に向上する。
【0139】以上の説明では、使用する光ピックアップ
の対物レンズの開口数(N.A.)が一般的な値である
0.4〜0.6を有するとし、また、レーザー光の波長
が670nm〜840nmであるとして、ガイドトラッ
クのピッチ等について議論しているが、N.A.を更に
大きく0.6〜0.95とすることで、レーザー光を更
に小さく絞り込み、本発明の光磁気ディスクを適用する
ことにより、ガイドトラックのピッチ及び幅を更に狭く
することが可能となり、更に高密度な記録再生が可能と
なる。
【0140】また、波長480nmのアルゴンレーザー
光やSHG素子を利用した335nm〜600nmの波
長のレーザ光を使用することにより、レーザー光を更に
小さく絞り込み、本発明を適用することにより、ガイド
トラックのピッチ及び幅を更に狭くすることが可能とな
り、更に高密度な記録再生が可能となる。
【0141】a/wに関しては、0.3〜1.0のもの
が使える。ここで、aはレンズの光学的に有効な直径、
wはレンズに入る光束の直径でガウス分布している場合
は中心強度の1/e2 の強度になる半径である。
【0142】次に、本実施例の光磁気ディスクに適用す
る際のディスクフォーマットについて記述する。
【0143】一般に、光磁気ディスクにおいては、異な
るメーカー間、あるいは、異なる光磁気ディスクディス
ク間の互換性を維持するために、それぞれの半径位置で
の記録、消去パワーをどのような値あるいは、デューテ
ィーに設定するかを、内外周の一部に(λ/(4n))
程度の深さのプリピット列であらかじめ記録されてい
る。また、読み取ったそれらの値を元に、実際に記録再
生を行えるテスト領域が内外周に設けられている(例え
ば、IS10089 規格を参照)。
【0144】一方、再生パワーについても、特定の再生
パワーとするための情報が、内外周の一部にプリピット
列であらかじめ記録されている。
【0145】本発明の光磁気ディスクにおいては、再生
時の記録媒体の温度分布が再生特性に大きな影響を及ぼ
すため、再生パワーの設定方法が非常に重要である。
【0146】再生パワーの設定方法として、例えば、再
生パワーについても記録パワーと同様に、内外周に再生
パワーを設定するためのテスト領域を設け、テスト領域
において得られた再生パワーからそれぞれの半径位置で
の再生パワーを最適化するための情報を、内外周の一部
にピット列で予め記録しておく方が望ましい。
【0147】特に光磁気ディスクの回転数が常に一定で
あるCAV方式を用いる光磁気ディスク・ドライブにお
いては、半径位置に応じて光磁気ディスクの線速が変わ
るため、半径位置に応じて再生レーザーパワーを変えた
ほうがより好ましい。したがって、できるだけ多くの半
径方向領域に区切った情報をプリピット列として記録し
ておいたほうが良い。
【0148】また、同じく、各半径位置でより最適な再
生レーザーパワーを設定する方法として、記録領域を半
径位置により複数のゾーンに分けて、ゾーンとゾーンの
境界部分にそれぞれのゾーンごとに記録パワー及び再生
パワーをテスト領域において最適化することにより、再
生時の記録媒体の温度分布をより正確に制御することが
可能となり、良好な記録再生が可能となる。
【0149】次に、本実施例の光磁気ディスクは、以下
に説明する種々の記録方式に適応するものである点につ
いて説明する。
【0150】まず、オーバーライトができない第1世代
の光磁気ディスクの記録方法について説明する。
【0151】第1世代の光磁気ディスクは、IS10089
規格(ISOの5.25”書き換え型光ディスクについ
て定めた規格)に準拠して、既に多く市販されており、
オーバーライトができないため、すでに情報が記録され
ている所に、新たに情報を記録する場合には、一旦その
部分の消去を行い、次に記録を行うという動作が必要に
なる。そのため、最低2回の光磁気ディスクの回転が必
要になり、データ転送速度が遅いという欠陥がある。
【0152】しかしながら、磁性膜に要求される性能
は、次に説明するオーバーライト可能な光磁気ディスク
に比べて、それほで高くないという利点はある。
【0153】オーバーライトができない欠点を無くすた
めに、例えば複数個の光学ヘッドを配して、回転待ちの
ロスを無くし、データ転送速度を向上させる方法は一部
の装置で採用されている。
【0154】例えば、2個の光学ヘッドを用いて、先行
する光学ヘッドで既に記録されている情報を消去し、後
から追いかける光学ヘッドで新しい情報を記録する方法
である。再生の際は、どちらか一方の光学ヘッドを用い
て再生する。
【0155】また、3個の光学ヘッドを用いて記録する
場合は、先行する光学ヘッドが既に記録されている情報
を消去し、次の光学ヘッドで新しい情報を記録し、残り
の光学ヘッドでベリファイ(新しい情報が正しく記録さ
れているかを確認)する。
【0156】また、複数の光学ヘッドを用いる代わり
に、1個の光学ヘッドをビームスプリッターを用いて複
数のビームを作り出し、これを上記複数の光学ヘッドと
同じように用いても良い。
【0157】これにより、既に記録されている情報の消
去過程を経ることなく、新たな情報の記録が行え、第1
世代の光磁気ディスクを用いての疑似オーバーライトが
実現できる。
【0158】本実施例の光磁気ディスクは、既に実験結
果説明の所で示した通り、記録、再生、消去が行える事
が確認できており、本記録方式に適用できる光磁気ディ
スクとなっている。
【0159】次に、磁界変調オーバーライト記録方式に
ついて説明をする。
【0160】磁界変調オーバーライト記録方式とは、光
磁気記録媒体に一定のパワーのレーザーを照射しなが
ら、情報に応じて磁界強度を変調して記録する方法であ
り、図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0161】図16は、光磁気ディスクに磁界変調オー
バーライトを行う光磁気ディスク装置の一例を示す模式
図であり、記録及び再生時にレーザー光を照射するレー
ザー光源(図示されていない)、及び記録及び再生時に
光磁気ディスクからの反射光を受光する受光素子(図示
されていない)等を内蔵した光学ヘッド11と、光学ヘ
ッド11と機械的、もしくは電気的に連結された浮上型
磁気ヘッド12を備えている。
【0162】浮上型磁気ヘッド12は浮上スライダー1
2aとMnZnフェライト等からなるコアにコイルが巻
回された磁気ヘッド12bから構成され、浮上型磁気ヘ
ッド12はサスペンション13により光磁気ディスク1
4に押圧され、数μm〜数10μm程度の一定の間隙で
浮上している。
【0163】この状態で浮上型磁気ヘッド12および光
学ヘッド11を光磁気ディスク14の記録領域内の所望
の半径位置に移動させ、光学ヘッド11から光磁気ディ
スク14の記録層に2〜10mW程度のレーザー光を集
光して照射し、記録層4をキュリー温度(又は保磁力が
ほぼ“0”になる温度)近傍まで昇温させた上で、記録
すべき情報に応じて上向きと下向きとに反転する磁界を
磁気ヘッド12bにより印加する。これにより、既に記
録されている情報の消去過程を経ることなく、オーバー
ライト記録方式で情報の記録を行うことができる。
【0164】尚、本実施例では、磁界変調オーバーライ
ト時に、レーザーパワーを一定としたが、磁界の極性が
切り替わる時にレーザーパワーを記録されないパワーま
で下げて、記録がなされないようにすると、記録される
記録ビット形状がよりきれいになり、再生信号品質が向
上する。
【0165】磁界変調オーバーライトにおいては、高速
記録を行おうとする場合には、高速で磁界を変調する必
要があるが、磁気ヘッド12bの消費電力、大きさの点
で制約があり、あまり大きな磁界を、発生させることは
困難である。従って、光磁気ディスク14には、比較的
小さな磁界で記録できることが要求される。
【0166】本実施例の光磁気ディスクにおいては、記
録層4のキュリー温度を150〜250℃と比較的低く
押さえ、記録がなされやすくするとともに、垂直磁気異
方性の小さい材料であるDyFeCoを採用することで、記録
時の磁界をより低く押さえることができ、磁界変調オー
バーライト方式に非常に適した構成となっている。
【0167】次に、光変調オーバーライト記録方式につ
いて説明する。
【0168】光変調オーバーライト記録方式とは、磁界
変調オーバーライト記録方式とは全く逆であり、光磁気
記録媒体に一定の磁界強度を印加し、情報に応じてレー
ザーパワーを変調して記録する方法である。これについ
て、図17ないし図21に基づいて説明すれば、以下の
通りである。
【0169】図18は、以下に説明する光変調オーバー
ライト記録方式に適した、読み出し層3及び記録層4の
膜面に垂直方向の保磁力の温度依存性および記録磁場H
W を示している。
【0170】記録は、記録磁場HW を印加しながら、高
低、2レベルに強度変調されたレーザー光を照射するこ
とにより行う。すなわち、図19に示すように、高レベ
ルIのレーザー光が照射されると、読み出し層3及び記
録層4がともにキュリー点TC1、TC2付近またはそれ以
上となる温度TH まで昇温し、低レベルIIのレーザー光
が照射されると、記録層4のみがキュリー点TC2以上と
なる温度TL まで昇温するように設定されている。
【0171】したがって、低レベルIIのレーザー光が照
射されると、読み出し層3の保磁力H1 は十分小さいの
で、磁化は記録磁場HW の向きに従い、さらに冷却の過
程で記録層4に転写される。すなわち、図17に示すよ
うに、磁化は上向きになる。
【0172】次に、高レベルIのレーザー光が照射され
ると、補償温度を越えているので、読み出し層3の磁化
の向きは記録磁場HW により、低レベルIIのレーザー光
の場合とは逆向き、すなわち、下向きとなる。冷却の過
程では低レベルIIのレーザー光と同じ温度迄下がるが、
読み出し層3と記録層4の冷却過程が異なる(記録層4
の方が速く冷却される)ため、まず記録層4のみ低レベ
ルIIのレーザー光が照射された温度TL となり読み出し
層3の磁化の向きが記録層4に転写され、下向きとな
る。その後、読み出し層3が低レベルIIののレーザー光
と同じ温度迄下がり、記録磁場HW の向きに従い、上向
きとなる。この時、記録層4の磁化の向きはその保磁力
2 が記録磁場HW より十分大きいので、記録磁場HW
の向きには従わない。
【0173】再生時のレーザー光の強度、図19のレベ
ルIII のレーザー光が照射されると、読み出し層3の温
度はTR (図18)となり、読み出し層3の磁化が面内
磁化から垂直磁化に移行し、記録層4及び読み出し層3
の両層とも垂直磁気異方性を示す。この時、記録磁場H
W は印加されないか、記録層4の保磁力H2 より十分小
さいので、再生時には読み出し層3の磁化の向きは記録
層4との界面に作用する交換力により記録層4の向きと
一致する。
【0174】これにより、既に記録されている情報の消
去過程を経ることなく、オーバーライト記録方式で情報
の記録を行うことができる。
【0175】尚、記録は、記録磁場HW を印加しなが
ら、図20または、図21に示すような変調された2タ
イプのレーザー光を照射して行ってもよい。
【0176】すなわち、タイプIの高レベルのレーザー
光が照射されると、読み出し層3及び記録層4がともに
キュリー点TC1、TC2付近またはそれ以上となる温度T
H まで昇温し、タイプIIの低レベルのレーザー光が照射
されると、記録層4のみがキュリー点TC2以上となる温
度TL まで昇温するように設定されている。このように
すると、特にタイプIの高レベルのレーザー光が照射さ
れた時の読み出し層3と記録層4の冷却過程を大きく相
違させることができる。すなわち、記録層4の方が速く
冷却される。このため、より容易に重ね書きを行うこと
ができる。
【0177】但し、タイプIの高レベルのレーザー光が
照射された後、しばらく照射されるレーザー光の強度
は、高レベル以下であればよい。
【0178】以上の記録方式によれば、光変調オーバー
ライト時に、一般には必要となる初期化用磁界を印加す
る必要がなくなる利点がある。
【0179】上記光磁気ディスク(図1)は、一般には
片面タイプと呼ばれる。この光磁気ディスクは、透明誘
電体層2、読み出し層3、記録層4、透明誘電体層5、
反射層6の薄膜部分を総じて記録媒体層と称することに
すると、図22に示すように、基板1、記録媒体層1
9、オーバーコート層7の構造となる。
【0180】これに対して、図23に示すように、基板
1の上に記録媒体層19を形成したものを2枚、記録媒
体層19・19が対向するように接着層10で接着した
光磁気ディスクは、両面タイプと呼ばれている。
【0181】尚、接着層10の材料はポリウレタンアク
リレート系接着剤が特に良い。この接着剤は紫外線、熱
及び嫌気性の3タイプの硬化機能が組み合わされたもの
であり、紫外線が透過しない記録媒体層19の影になる
部分の硬化が熱及び嫌気性硬化機能により硬化されると
いう利点を持っており、極めて高い耐湿性を有し、長期
安定性に極めて優れた両面タイプの光磁気ディスクを提
供することができる。
【0182】片面タイプは、両面タイプと比べて光磁気
ディスクの厚みが半分で済むため、例えば小型化が要求
される記録再生装置に有利である。
【0183】両面タイプは、両面再生が可能なため、例
えば大容量を要求される記録再生装置に有利である。
【0184】片面タイプ、両面タイプのいずれを採用す
るかは上記のような光磁気ディスクの厚さ、容量を考慮
する以外に、以下に説明するように、記録方式にも大き
く依存する。
【0185】光磁気ディスクへの情報の記録には、周知
のごとく、光ビームと磁界が用いられる。光磁気ディス
ク装置(図16参照)においては、半導体レーザー等の
光源からの光ビームを集光レンズで基板1を通して記録
媒体層19上に集光させて照射し、これと対峙した位置
に設けられた磁石、電磁石等の磁界発生装置(例えば、
浮上型磁気ヘッド12)により磁界が記録媒体層19に
印加されるようになっている。記録の際には光ビーム強
度を再生時よりも高くすることで、集光された部分の記
録媒体層19の温度が上昇し、その部分の磁性膜の保磁
力が小さくなる。この時に外部から保磁力以上の大きさ
の磁界を印加すると、印加された磁界の方向に磁性膜の
磁化がならい、記録が完了する。
【0186】例えば、情報に応じて記録用磁界を変調す
る磁界変調オーバーライト方式では、磁界発生装置(多
くは電磁石)を極力記録媒体層19に近づける必要があ
る。これは、電磁石のコイルの発熱、装置消費電力、大
きさ等の制限により、記録に必要な周波数(一般には数
百kHz〜数十MHz)で変調し、記録に必要な磁界(一般
的には500e〜数百Oe程度)を発生させようとする
と、記録媒体に0.2mm以下程度、多くの場合は50μ
m程度まで近づける必要が生じる。このため、両面タイ
プの光磁気ディスクでは、基板1の厚さが一般に1.2
mm前後であり薄くても0.5mm程度必要なため、光ビー
ムを対峙させて電磁石を配した場合、記録磁界強度が不
足してしまい、記録が行えない。従って、記録変調オー
バーライト方式に適した記録媒体層19を採用した場合
は、片面タイプの光磁気ディスクが多く用いられる。
【0187】これに対して、情報に応じて光ビームを変
調する光変調オーバーライト方式では、記録用の磁界が
一方向を向いたまま、あるいは記録用磁界が不要であ
る。よって、発生磁界の強い、例えば永久磁石を用いる
ことができ、磁界変調オーバーライト方式の場合のよう
に記録媒体層19に極力近づけて配置せずとも、記録媒
体層19から数mm程度離して配置できる。従って、片面
タイプだけでなく、両面タイプも採用できる。
【0188】本実施例の光磁気ディスクを片面ディスク
として用いる場合、構造上、以下に説明するようなバリ
エーションが可能である。
【0189】第1のバリエーションは、オーバーコート
層7上にハードコート層(図示されていない)を形成し
た光磁気ディスクであり、基板1/記録媒体層19/オ
ーバーコート層7/ハードコート層の構造を有してい
る。ハードコート層として、例えばアクリレート系の紫
外線硬化型ハードコート樹脂膜を、例えばポリウレタン
アクリレート系の紫外線硬化型樹脂からなり膜厚が約6
μmのオーバーコート層7の上に形成する。ハードコー
ト層の膜厚は、例えば3μmである。
【0190】オーバーコート層7を形成することで、記
録媒体層19の酸化による特性劣化を防ぎ、長期信頼性
を確保することができる。これに加えて、ハードコート
膜を設けることで、例えば記録用の磁石がディスクに接
触してしまっても、硬度の高い、耐摩耗性にすぐれたハ
ードコート膜の作用で、傷を付きにくくし、また傷が発
生しても、それが記録媒体層19にまで達することを防
ぐことができる。
【0191】また、当然のことながら、オーバーコート
層7にハードコート層の機能を付加させてオーバーコー
ト層7だけで済ませても良い。
【0192】第2のバリエーションは、オーバーコート
層7上にハードコート層を形成すると共に、基板1の記
録媒体層19とは反対側の面にハードコート層(図示さ
れていない)を形成した光磁気ディスクであり、ハード
コート層/基板1/記録媒体層19/オーバーコート層
7/ハードコート層の構造を有している。
【0193】光磁気ディスク用の基板1の材料として、
PCをはじめとするプラスチックが多く用いられるが、
これらの材料はガラスに比べて、非常に柔らかく、爪で
こすっただけでも傷が入ってしまう。この傷は、光ビー
ムで記録再生を行う際にひどい場合には、サーボ飛びを
生じさせ、情報の記録再生が不可能になる場合もある。
【0194】本実施例の光磁気ディスクにおいては、光
ビームの中心近傍だけを利用して再生を行うので、基板
1の表面の傷等の欠陥が再生に及ぼす影響が従来の光磁
気ディスクよりも大きくなってしまう。このため、ハー
ドコート層を基板1の記録媒体層19とは反対側の面に
設けることで、傷発生が防ぐことができる本構成は非常
に有効である。
【0195】また、両面タイプにおいても、光磁気ディ
スクのそれぞれの基板1・1の表面にハードコート層を
設ければ、同様の効果があることは明らかである。
【0196】第3のバリエーションは、上記第1、第2
のバリエーションのオーバーコート層7上、あるいは、
ハードコート層上に更に、帯電防止コート層(図示され
ていない)、あるいは、帯電防止機能を付加させた層を
形成した光磁気ディスクである。
【0197】基板1の表面にゴミ、ほこりが付くと、傷
と同様に情報の記録再生が不可能となる場合がある。ま
た、オーバーコート膜6上にほこりが付くと、磁界変調
オーバーライト方式の場合に、磁石を浮上型磁気ヘッド
12(図16)として、オーバーコート膜6上を数μm
のギャップで配置しているような場合には、ゴミ、ほこ
りが浮上型磁気ヘッド12、記録媒体層19の損傷を生
じさせてしまう。
【0198】本構成のように、基板1側の表面または記
録媒体層19側表面に帯電防止機能を有する層が設けら
れた構成を取れば、空気中のゴミ、ほこり等が基板1の
表面あるいはオーバーコート層7上に付着するのを防止
することができる。
【0199】本実施例の光磁気ディスクにおいては、光
ビームの中心近傍だけを利用して再生を行うので、基板
1の表面のゴミ、ほこり等の欠陥が再生に及ぼす影響が
従来の光磁気ディスクよりも大きいので、本構成は極め
て有効である。
【0200】帯電防止層としては、例えば、導電性フィ
ラーを混入したアクリル系ハードコート樹脂を使用する
ことができ、その膜厚は約2〜3μmが適当である。
【0201】また、帯電防止層は、プラスチックの基板
1、ガラスの基板1を問わず、表面抵抗率を下げ、ゴ
ミ、ほこり等を付きにくくする目的で設けられる。
【0202】また、当然のことながら、オーバーコート
層7またはハードコート層に帯電防止効果を付加させて
も良い。
【0203】また、両面タイプにおいても、光磁気ディ
スクのそれぞれの基板1・1の表面に対して、本構成を
適用できることは明らかである。
【0204】第4のバリエーションは、オーバーコート
層7上に潤滑層(図示されていない)を形成した光磁気
ディスクであり、基板1/記録媒体層19/オーバーコ
ート層7/潤滑層の構造を有している。潤滑層として
は、例えば、フッ素系樹脂を使用することができ、その
膜厚は約2μmが適当である。
【0205】潤滑層を設けることで、磁界変調オーバー
ライト方式で浮上型磁気ヘッド12を用いた場合、浮上
型磁気ヘッド12と光磁気ディスクとの間の潤滑性を向
上させることができる。
【0206】すなわち、浮上型磁気ヘッド12は記録媒
体層19上に数μmから数十μmのギャップを保ちなが
ら情報の記録を行うために配置されるものであり、浮上
型磁気ヘッド12を記録媒体層19に押し付けるよう働
くサスペンション13による押圧と、光磁気ディスクの
高速回転による空気流により発生して浮上型磁気ヘッド
12を記録媒体層19から離すように働く浮上力をバラ
ンスして、上記ギャップが保たれる。
【0207】このような浮上型磁気ヘッド12を用い
て、光磁気ディスクの回転開始時、所定回転数に達する
までの時間、及び、回転終了時、所定回転数より停止に
至るまでの間、浮上型磁気ヘッド12と光磁気ディスク
とが接するCSS(Contact-Start-Stop)方式を採用す
る場合には、浮上型磁気ヘッド12と光磁気ディスクと
が吸着すると、光磁気ディスクの回転開始時、浮上型磁
気ヘッド12が破損されることがある。しかしながら、
本実施例の光磁気ディスクによれば、オーバーコート層
7上に潤滑膜を設けたので、浮上型磁気ヘッド12と光
磁気ディスクとの間の潤滑性が向上し、吸着による浮上
型磁気ヘッド12の破損を防止できる。
【0208】当然のことながら、記録媒体層19の劣化
を防ぐ、耐湿保護性能も兼ね備えた材料であれば、オー
バーコート層7と潤滑層を別々に設ける必要はない。
【0209】第5のバリエーションは、基板1の記録媒
体層19とは反対側の面に透湿防止層(図示されていな
い)と第2のオーバーコート層(図示されていない)と
を積層した光磁気ディスクであり、オーバコート層/透
湿防止層/基板1/記録媒体層19/オーバーコート層
7の構造を有している。
【0210】透湿防止層には、例えば、A1N, A1SiN, Si
N, A1TaN, SiO, ZnS, TiO2等の透明誘電体材料を使用で
き、その膜厚は5nm程度が適当である。第2のオーバコ
ート層は、特に基板1としてPC等の吸湿性の高いプラ
スチックを基板1に用いた場合に有効である。
【0211】透湿防止層は、環境湿度変化に対する光磁
気ディスクの反り変化を低く押さえる効果を有してい
る。これについて、以下に説明する。
【0212】基板1の光入射側にこの透湿防止膜がない
場合は、例えば環境湿度が大きく変化した場合に、記録
媒体層19のない側、すなわち基板1の入射光側からの
みプラスチックの基板1に水分が吸湿されたり放湿され
たりする。この吸湿、放湿によりプラスチックの基板1
には局部的な体積変化が生じ、プラスチックの基板1に
反りが生じてしまう。
【0213】この光磁気ディスクの反りは、情報の再
生、記録等に用いられる光ビームの光軸に対して基板1
が傾いた状態になるため、サーボがずれて信号品質が劣
化したり、ひどい場合にはサーボ飛びが生じたりしてし
まう。
【0214】また、基板1にチルトが存在すると光学ヘ
ッド11(図16)からのレーザー光は、傾いた記録媒
体層19の面に集光されることになり、チルトの状態に
応じて集光状態が変化することになり、記録再生に悪影
響を及ぼす。
【0215】更に、基板1が光学ヘッド11に対して上
下に移動した場合、光学ヘッド11はその上下動を補償
し記録媒体層19の面にレーザー光を集光すべく動作す
るが、上下動が大きくなり過ぎると光学ヘッド11の補
償動作が不完全なものとなり、記録媒体層19の面での
レーザー光の集光状態は不完全なものとなる。レーザー
光の集光状態が不完全なものとなると記録媒体層19の
温度分布が変化することになり、記録再生に影響を及ぼ
す。本実施例においては、再生時の記録媒体層19の温
度分布が特に重要となってくるため、極力基板1の反
り、環境による反り変化を押さえることが必要となって
くる。
【0216】本構成の光磁気ディスクであれば、透湿防
止層があることにより基板1の表面側における水分の吸
湿、放出がなくなるため、環境変化時の基板1の反りを
大幅に押さえることができ、上記説明の通り、本発明の
光磁気ディスクに特に適した構成となる。
【0217】尚、透湿防止層上の第2のオーバコート層
は、透湿防止層への傷発生の防止、基板1の表面の保護
等の目的で設けられており、その材料は、記録媒体層1
9上のオーバーコート層7と同じでも良い。
【0218】更に、本構成に加えて前述の、例えば、ハ
ードコート層あるいは帯電防止層を第2のオーバコート
層の代わりに、あるいはその上に設けても良い。
【0219】本発明の第2実施例を図24に基づいて説
明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前
記の実施例の図面に示した部材と同一の機能を有する部
材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0220】本実施例の光磁気ディスクは、図24に示
すように、基板1、透明誘電体層2、読み出し層3、記
録層4、放熱層20、オーバーコート層7がこの順に積
層された構成を有している。
【0221】基板1は、直径86mm、内径15mm、厚さ
1.2mmの円盤状のガラスからなっている。基板1の片
側の表面には、図示していないが、光ビーム案内用の凹
凸状のガイドトラックが、ピッチが1.6μm、グルー
ブの幅が0.8μm、ランドの幅が0.8μmで形成さ
れている。
【0222】基板1のガイドトラックが形成されている
側の面に、透明誘電体層2として、A1Nが厚さ80n
mで形成されている。
【0223】透明誘電体層2上に、係る読み出し層3と
して、希土類遷移金属合金薄膜であるGdFeCoが、
厚さ50nmで形成されている。GdFeCoの組成
は、Gd0.26(Fe0.82Co0.180.74であり、そのキ
ュリー温度は約300℃である。
【0224】読み出し層3上に、記録層4として、希土
類遷移金属合金薄膜であるDyFeCoが、厚さ50n
mで形成されている。DyFeCoの組成は、Dy0.23
(Fe0.78Co0.220.77であり、そのキュリー温度は
約200℃である。
【0225】上記の読み出し層3と記録層4の組み合わ
せにより、読み出し層3の磁化の方向は、室温ではほぼ
面内(つまり、読み出し層3の層方向)にあり、100
〜125℃程度の温度で面内方向から垂直方向に移行す
る。
【0226】記録層4上には、放熱層20として、A1
Niが厚さ100nmで形成されている。A1Niにお
けるNiの含有量は、5atm%である。
【0227】放熱層20上には、オーバーコート層7と
して、ポリウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂
が、厚さ5μmで形成されている。放熱層20はAlN
i合金ターゲットを用いて、Arガスでスパッターする
ことにより形成された。なお、AlNi合金ターゲット
の代わりに、Alターゲット上にNi片を配した複合タ
ーゲットを用いてもよい。
【0228】放熱層20上には、オーバーコート層7と
して、ポリウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂
が、厚さ5μmで形成されている。
【0229】基板1、透明誘電体層2、読み出し層3、
記録層4、オーバーコート層7には、前記実施例と同一
の材料を使用できる。
【0230】記録層4上に放熱層20を設けたので、記
録の際に、記録ビット形状をよりきれいにする効果があ
る。これは、次の理由による。
【0231】入射面側から入射された光ビームは、その
ほとんどが読み出し層3及び記録層4に吸収され熱に変
わる。この時、熱は読み出し層3及び記録層4の厚さ方
向に伝導するとともに、層内方向、つまり横方向にも伝
導する。この横方向への熱伝導量が多く、かつ、熱伝導
する速度が遅いと、例えば、より高速に、高い記録密度
で記録を行おうとする場合、次に記録しようとする記録
ビットに対して熱的な悪影響を及ぼす。このため、既定
の長さよりも長い記録ビットになってしまったり、ある
いはガイドトラックに対して横方向に広がった記録ビッ
トが形成されたりする。横方向に記録ビットが広がって
しまうと、クロストーク量の増加につながり、良好な記
録再生が行えなくなる。
【0232】本実施例では、熱伝導の高いAlNiから
なる放熱層20を記録層4上に形成しているので、横方
向への熱の広がりを放熱層20側、つまり厚さ方向へ逃
がすことができ、上記のような横方向への熱の広がりを
低減させることができる。したがって、より密度の高
い、より高速な記録条件下で、熱干渉のない記録を行う
ことが可能になる。
【0233】また、放熱層20を設けると、以下に説明
するように、光変調オーバーライト記録の際にも、有利
となる。
【0234】放熱層20があることにより、記録の過程
で、光ビーム照射により一旦昇温した領域が冷えると
き、読み出し層3と記録層4のそれぞれの層の温度変化
に、よりはっきりとした差をもたせることができる。こ
の効果は、特に高レベルのレーザー光が照射された時の
読み出し層3と記録層4の冷却過程を大きく相違させる
ことができるため(記録層4の方が速く冷却される)、
より容易に重ね書きを行うことができる。
【0235】放熱層20の材料であるAlNiは、読み
出し層3、記録層4に用いられる希土類遷移金属合金膜
よりもその熱伝導率が高く、放熱層20に適した材料で
ある。
【0236】上記の光磁気ディスクを用いて、記録を行
い、光磁気ディスクの線速を5m/secにして0.7
65μmの長さの記録ビット長の再生信号品質(C/
N)を測定した結果、50dBのC/Nが得られた。放
熱層20を形成していない光磁気ディスクについてもC
/Nを測定した結果、放熱層20によりC/Nが3dB
以上改善されることが分かった。
【0237】また、本実施例の光磁気ディスクを用い
て、IS10089規格(ISOの5.25”書き換え
型光ディスクについて定めた規格)に準拠した測定方法
で、クロストーク量も測定した。その結果、本実施例の
光磁気ディスクでは、クロストーク量は約−33dBで
あり、放熱層20を形成していない場合と比較して、ク
ロストーク量が3dB以上低減されることが分かった。
【0238】更に、AlNiは、耐湿性に非常に優れてお
り、長期信頼性に優れた光磁気ディスクを提供すること
ができる。
【0239】以下に、上記の光磁気ディスクの耐湿性テ
スト結果について説明する。
【0240】光磁気ディスクを80℃、90%R.H. の環境条
件下で1000時間放置して、その特性の変化を調べた。比
較のため、放熱層20を純Alに代えた以外、上記と同じ
構成の光磁気ディスクについても同様に調べた。
【0241】その結果、放熱層20を純Alを用いた光磁
気ディスクでは、放熱層20のAlに多数のピンホールが
発生した。これが原因となり、記録層4および読み出し
層3にも多数のピンホールが発生した。一方、本実施例
の光磁気ディスクでは、ピンホールの発生は数個程度と
極めて少なかった。このため、C/Nおよびクロストー
ク量は、上記環境条件下に放置後においても、初期と変
わらない特性が得られた。
【0242】AlNiにおけるNiの含有量は、0 〜10atm%が
好適である。Ni含有量があまり多くなり過ぎると、熱伝
導率が低下し、記録の際に読み出し層3および記録層4
で発生した熱が放熱層20に逃げにくくなる。このた
め、再生信号品質(C/N) の劣化を招く。Ni量が10atm%ま
でであれば、C/N の劣化はそれほど顕著では無く、実用
的な値が得られる。また、Ni含有量が0.5atm% 程度とご
く僅かであっても、Alに比べて、耐湿性は格段に改善さ
れる。
【0243】放熱層20の材料として、AlTi、AlTa、Al
Siも好適である。
【0244】Tiを1.5atm% 含有したAlTiの放熱層20を
有する光磁気ディスク、Taを1.5atm% 含有したAlTaの放
熱層20を有する光磁気ディスク、Siを10atm%含有した
AlSiの放熱層20を有する光磁気ディスクについても、
上記と同様の、動特性測定および耐湿性テストを行った
所、上記と同様の結果が得られた。
【0245】AlTiにおけるTiの含有量およびAlTaにおけ
るTaの含有量は、0 〜10atm%が好適である。これらの含
有量があまり多くなり過ぎると、熱伝導率が低下し、記
録の際に読み出し層3および記録層4で発生した熱が放
熱層20に逃げにくくなる。このため、再生信号品質(C
/N) の劣化を招く。Ti量あるいはTa量が10atm%までであ
れば、C/N の劣化はそれほど顕著では無く、実用的な値
が得られる。また、NiあるいはTa含有量が0.5atm% 程度
とごく僅かであっても、Alに比べて、耐湿性は格段に改
善される。
【0246】AlSiにおけるSiの含有量は、0 〜50atm%が
好適である。これらの含有量があまり多くなり過ぎる
と、熱伝導率が低下し、記録の際に読み出し層3および
記録層4で発生した熱が放熱層20に逃げにくくなる。
このため、再生信号品質(C/N)の劣化を招く。Si
量が50atm%までであれば、C/N の劣化はそれほど顕著で
は無く、実用的な値が得られる。また、Si含有量が0.5a
tm% 程度とごく僅かであっても、Alに比べて、耐湿性は
格段に改善される。
【0247】AlTaを放熱層20に用いた場合には、次の
利点がある。
【0248】AlTaの放熱層20は、AlTa合金ターゲッ
ト、もしくは、Alターゲット上にTa片を配した複合ター
ゲットをArガスでスパッターすることにより形成され
る。
【0249】ところで、AlTa合金ターゲット、もしく
は、Alターゲット上にTa片を配した複合ターゲットをN
2 ガス、あるいは、ArガスとN2 ガスの混合ガスでス
パッターすると、反応性スパッターにより、AlTaN が形
成される。AlTaN は、透明であり、かつ、屈折率が2前
後と大きいので、透明誘電体層2の材料として使用可能
である。
【0250】したがって、透明誘電体層2と放熱層20
とを同一ターゲットを用いて形成できる。このため、ス
パッター装置を小型化でき、光磁気ディスクの製造コス
トを大幅に下げることができる。
【0251】AlSiを放熱層20に用いた場合にも、AlTa
を放熱層20に用いた場合と、同様の利点がある。
【0252】すなわち、AlSiの放熱層20は、AlSi合金
ターゲット、もしくは、Alターゲット上にSi片を配した
複合ターゲットをArガスでスパッターすることにより
形成される。AlSi合金ターゲット、もしくは、Alターゲ
ット上にSi片を配した複合ターゲットをN2 ガス、ある
いは、ArガスとN2 ガスの混合ガスでスパッターする
と、反応性スパッターにより、AlSiN が形成される。Al
SiN は、透明であり、かつ、屈折率が2前後と大きいの
で、透明誘電体層2の材料として使用可能である。
【0253】したがって、透明誘電体層2と放熱層20
とを同一ターゲットを用いて形成できる。このため、ス
パッター装置を小型化でき、光磁気ディスクの製造コス
トを大幅に下げることができる。
【0254】次に、放熱層20の膜厚について説明す
る。
【0255】放熱層20の膜厚を厚くするほど放熱効果
が高くなり、長期信頼性も向上する。しかしながら、放
熱層20の膜厚をあまり厚くすると、光磁気ディスクの
記録感度を低下させてしまう。放熱層20の材料の熱伝
導率、比熱に応じて膜厚を設定する必要があるが、通
常、5 〜200nm が好ましく、10〜100nm がさらに好まし
い。熱伝導率が比較的高く耐食性に優れた材料であれ
ば、放熱層20の膜厚は10〜100nm で済むので、成膜時
間を短縮できる。
【0256】上記の光磁気ディスクにおいて、記録層4
と放熱層20との間に前記実施例の保護層を形成する
と、次の利点がある。
【0257】すなわち、読み出し層3および記録層4の
希土類遷移金属合金は、非常に酸化されやすく、外部か
らの水分侵入により容易に特性が劣化する。そのため、
耐湿性に優れた材料を放熱層20に用いたが、記録層4
と放熱層20との間に保護層をさらに形成すると、より
耐湿性に優れた光磁気ディスクを提供できる。
【0258】保護層の材料としては、透明誘電体層2で
用いられるAlNが適しており、保護層と透明誘電体層
2を同じ材料にすれば、製造上も有利である。
【0259】保護層の膜厚は、10〜100nmが良
い。保護層の材料としては、SiN、AlSiN、Ti
N、AlTaN、ZnS、BN等、酸素を含まない窒化
物が好適である。
【0260】本実施例の光磁気ディスクのバリエーショ
ンについては、前記実施例と同様であり、その説明を省
略する。
【0261】上述の第1および第2実施例では、光磁気
記録媒体として光磁気ディスクを挙げて説明したが、光
磁気カード、光磁気テープにも本発明を応用できる。な
お、光磁気テープの場合、リジッドな基板1の代わり
に、可撓性のあるテープベース(基体)、例えば、ポリ
エチレンテレフタレートからなるテープベースを用いれ
ばよい。
【0262】請求項1の発明に対応する光磁気ディスク
は、透光性のある基体1と、基体1上に形成され、室温
で面内磁気異方性が優位な面内磁化を示す一方、温度上
昇に伴い垂直磁気異方性が優位な垂直磁化に移行する読
み出し層3と、読み出し層3上に形成され、情報を光磁
気記録する記録層4と、記録層4上に形成された反射層
6を有しており、上記反射層6が、AlNi、AlT
i、AlTa、AlSiのいずれかである。
【0263】したがって、従来より小さい記録ビットの
再生を行うことが可能になり、記録密度が著しく向上す
る。しかも、記録層4の上にAlNi、AlTi、Al
Ta、AlSiのいずれかからなる反射層6を設けたの
で、再生信号品質に優れ、記録密度が高く、耐湿性に優
れた光磁気ディスクを提供できる。
【0264】請求項2の発明に対応する光磁気ディスク
は、以上のように、透光性のある基体1と、基体1上に
形成され、室温で面内磁気異方性が優位な面内磁化を示
す一方、温度上昇に伴い垂直磁気異方性が優位な垂直磁
化に移行する読み出し層3と、読み出し層3上に形成さ
れ、情報を光磁気記録する記録層4と、記録層4上に形
成された放熱層20を有しており、上記放熱層20が、
AlNi、AlTi、AlTa、AlSiのいずれかで
ある。
【0265】したがって、従来より小さい記録ビットの
再生を行うことが可能になり、記録密度が著しく向上す
る。記録層4の上にAlNi、AlTi、AlTa、A
lSiのいずれかからなる放熱層20を設けたので、記
録ビット形状がきれいになり、再生信号品質に優れ、耐
湿性に優れた光磁気記録媒体を提供できる。
【0266】
【発明の効果】請求項1の発明に係る光磁気記録媒体
は、以上のように、透光性のある基体と、基体上に形成
され、室温で面内磁気異方性が優位な面内磁化を示す一
方、温度上昇に伴い垂直磁気異方性が優位な垂直磁化に
移行する読み出し層と、読み出し層上に形成され、情報
を光磁気記録する記録層と、記録層上に形成された反射
層を有しているので、従来より小さい記録ビットの再生
を行うことが可能になり、記録密度が著しく向上する。
しかも、記録層の上にAlNi、AlTi、AlTa、
AlSiのいずれかからなる反射層を設けたので、再生
信号品質に優れ、記録密度が高く、耐湿性に優れた光磁
気記録媒体を提供できるという効果を奏する。
【0267】請求項2の発明に係る光磁気記録媒体は、
以上のように、透光性のある基体と、基体上に形成さ
れ、室温で面内磁気異方性が優位な面内磁化を示す一
方、温度上昇に伴い垂直磁気異方性が優位な垂直磁化に
移行する読み出し層と、読み出し層上に形成され、情報
を光磁気記録する記録層と、記録層上に形成された放熱
層を有しているので、従来より小さい記録ビットの再生
を行うことが可能になり、記録密度が著しく向上する。
しかも、記録層の上にAlNi、AlTi、AlTa、
AlSiのいずれかからなる放熱層を設けたので、記録
ビット形状がきれいになり、再生信号品質に優れ、耐湿
性に優れた光磁気記録媒体を提供できるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すものであり、光磁気
ディスクの概略構成及び再生動作を示す説明図である。
【図2】図1の光磁気ディスクの読み出し層の磁気特性
を示す磁気状態の説明図である。
【図3】図2の室温から温度T1において、読み出し層に
印加される外部印加磁界と極カー回転角との関係を示す
説明図である。
【図4】図2の温度T1から温度T2において、読み出し層
に印加される外部印加磁界と極カー回転角との関係を示
す説明図である。
【図5】図2の温度T2から温度T3において、読み出し層
に印加される外部印加磁界と極カー回転角との関係を示
す説明図である。
【図6】図2の温度T3キュリー温度Tcにおいて、読み出
し層に印加される外部印加磁界と極カー回転角との関係
を示す説明図である。
【図7】GdX (Fe0.82Co0.18)1-X のキュリー温度(Tc)と
補償温度(Tcomp) の組成依存性を示したグラフである。
【図8】GdX Fe1-X のキュリー温度(Tc)と補償温度(Tco
mp) の組成依存性を示したグラフである。
【図9】GdX Co1-X のキュリー温度(Tc)と補償温度(Tco
mp) の組成依存性を示したグラフである。
【図10】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ランド、グループ形状の一例を示す説明図である。
【図11】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ランド、グループ形状の他の例を示す説明図である。
【図12】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ウォブルピットの配置の一例を示す説明図である。
【図13】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ウォブルピットの配置の他の例を示す説明図である。
【図14】図1の光磁気ディスクの基板上に形成された
ウォブルリンググルーブの一例を示す説明図である。
【図15】図1の光磁気ディスクにおける、複数の光ビ
ームを用いた場合の記録再生方法を示す説明図である。
【図16】図1の光磁気ディスクを用いた磁界変調オー
バーライト記録方法を示す説明図である。
【図17】図1の光磁気ディスクを用いた光変調オーバ
ーライト記録方法を示すと共に、読み出し層及び記録層
の磁化方法を示す説明図である。
【図18】図1の光磁気ディスクを用いた光変調オーバ
ーライト記録方法を示すと共に、読み出し層及び記録層
の保持力の温度依存性を示す説明図である。
【図19】図1の光磁気ディスクに対して、光変調オー
バーライト時、および、再生時に照射される光ビームの
強度の一例を表す説明図である。
【図20】図1の光磁気ディスクに対して、光変調オー
バーライト時、および、再生時に照射される光ビームの
強度の他の例を表す説明図である。
【図21】図1の光磁気ディスクに対して、光変調オー
バーライト時、および、再生時に照射される光ビームの
強度のその他の例を表す説明図である。
【図22】図1の光磁気ディスクの片面タイプを示す説
明図である。
【図23】図1の光磁気ディスクの両面タイプを示す説
明図である。
【図24】本発明の第2実施例を示すものであり、光磁
気ディスクの概略の構成図である。
【符号の説明】
1 基板(基体) 2 透明誘電体層 3 読み出し層 4 記録層 5 透明誘電体層 6 反射層 7 オーバーコート層 10 接着層 19 記録媒体層 20 放熱層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 善照 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 高橋 明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 太田 賢司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性のある基体と、基体上に形成され、
    室温で面内磁気異方性が優位な面内磁化を示す一方、温
    度上昇に伴い垂直磁気異方性が優位な垂直磁化に移行す
    る読み出し層と、読み出し層上に形成され、情報を光磁
    気記録する記録層と、記録層上に形成された反射層を有
    しており、 上記反射層が、AlNi、AlTi、AlTa、AlS
    iのいずれかであることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】透光性のある基体と、基体上に形成され、
    室温で面内磁気異方性が優位な面内磁化を示す一方、温
    度上昇に伴い垂直磁気異方性が優位な垂直磁化に移行す
    る読み出し層と、読み出し層上に形成され、情報を光磁
    気記録する記録層と、記録層上に形成された放熱層を有
    しており、 上記放熱層が、AlNi、AlTi、AlTa、AlS
    iのいずれかであることを特徴とする光磁気記録媒体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10143933A (ja) * 1996-11-13 1998-05-29 Sanyo Electric Co Ltd 記録媒体及び情報記録再生装置
US6699602B2 (en) 2001-03-01 2004-03-02 Hitachi Maxell, Ltd. Amorphous magnetic recording medium, process for producing the same and magnetic recording and reproduction apparatus
US7260822B2 (en) * 2001-06-07 2007-08-21 Koninklijke Philips Electronics N.V. Optical data storage medium and use of such a medium
US10032849B2 (en) 2016-06-01 2018-07-24 Samsung Display Co., Ltd. Organic light emitting diode display device and manufacturing method thereof

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