JPH06146823A - エンジン用バルブシート - Google Patents

エンジン用バルブシート

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JPH06146823A
JPH06146823A JP30127492A JP30127492A JPH06146823A JP H06146823 A JPH06146823 A JP H06146823A JP 30127492 A JP30127492 A JP 30127492A JP 30127492 A JP30127492 A JP 30127492A JP H06146823 A JPH06146823 A JP H06146823A
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JP
Japan
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powder
valve seat
phase
engine
weight
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Application number
JP30127492A
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English (en)
Inventor
Katsuaki Sato
克明 佐藤
Katsuhiko Tominaga
克彦 富永
Tsutomu Saka
勉 坂
Osamu Kawamura
治 川村
Teruo Takahashi
輝夫 高橋
Arata Kakiuchi
新 垣内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Nippon Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Nippon Piston Ring Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度で、且つ優れた耐摩耗性を有するエン
ジン用バルブシートを提供する。 【構成】 エンジン1のAl合金製シリンダヘッド2に
圧入されるFe系バルブシート5であって、マトリック
スの金属組織がオーステナイト相およびマルテンサイト
相を有する混相組織であり、エキゾーストバルブ6が着
座する着座部14では、マルテンサイト相の存在量がオ
ーステナイト相の存在量よりも多く、一方、シリンダヘ
ッド2に圧入される圧入部15では、オーステナイト相
の存在量がマルテンサイト相の存在量よりも多くなって
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンジン用バルブシー
ト、特に、Al合金製シリンダヘッドに圧入されるFe
系バルブシートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種バルブシートとして、その
マトリックスの金属組織をパーライト相より構成したも
のが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のバ
ルブシートは、その引張強さ、圧縮強さ、圧環強さ等の
強度が比較的低く、またエンジンバルブに因る叩かれ摩
耗量も比較的多い上、エンジンバルブの摩耗量を増す、
といった問題がある。また、バルブシートはAl合金製
シリンダヘッドに圧入して用いられるため、Al合金と
Feの熱膨脹差に起因して圧入代を大きくしなければな
らず、バルブシートの薄肉化に限界があった。
【0004】本発明は前記に鑑み、高強度であると共に
優れた耐摩耗性を有し、その上相手部材であるエンジン
バルブの摩耗を抑制することができ、さらに薄肉化を達
成し得るようにした前記バルブシートを提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、エンジンのA
l合金製シリンダヘッドに圧入されるFe系バルブシー
トにおいて、マトリックスの金属組織がオーステナイト
相およびマルテンサイト相を有する混相組織であり、エ
ンジンバルブが着座する着座部では、マルテンサイト相
の存在量がオーステナイト相の存在量よりも多く、一
方、前記シリンダヘッドに圧入される圧入部では、オー
ステナイト相の存在量がマルテンサイト相の存在量より
も多くなっていることを特徴とする。
【0006】
【作用】マトリックスの金属組織を前記のような混相組
織にすると、マルテンサイト相に因る脆化を、伸びを有
するオーステナイト相により補って、バルブシートの強
度を向上させることができる。また圧入部はオーステナ
イト相の存在量が多く、その熱膨脹係数がシリンダヘッ
ド構成材料であるAl合金のそれに近似するので、その
圧入代を減らしてバルブシートの薄肉化を図ることが可
能であり、これによりバルブシートの内径を拡張して吸
排気効率を向上させることができる。一方、着座部はマ
ルテンサイト相の存在量が多いので、エンジンバルブに
因る叩かれ摩耗量が少なく、その上相手部材であるエン
ジンバルブの摩耗を抑制することが可能である。
【0007】
【実施例】図1において、エンジン1のシリンダヘッド
2はAl合金より構成され、そのエキゾーストポート3
の入口側に形成された凹部4にFe系バルブシート5が
圧入される。エンジンバルブとしてのエキゾーストバル
ブ6のバルブヘッド7は燃焼室側に在ってバルブシート
5と対向し、またバルブステム8はシリンダヘッド2の
バルブガイド9に摺動自在に嵌合される。バルブステム
9に装着された一対のリテーナ10,11間にバルブス
プリング12が縮設され、そのバルブステム9の端面に
はロッカアーム13が当接する。
【0008】図2に示すように、バルブシート5におけ
るマトリックスの金属組織はオーステナイト相およびマ
ルテンサイト相を有する混相組織であって、エキゾース
トバルブ6のバルブヘッド7が着座する着座部14で
は、マルテンサイト相の存在量がオーステナイト相の存
在量よりも多く、一方、シリンダヘッド2の凹部4に圧
入される圧入部15では、オーステナイト相の存在量が
マルテンサイト相の存在量よりも多くなっている。
【0009】マトリックスの金属組織を前記のような混
相組織にすると、マルテンサイト相に因る脆化を、伸び
を有するオーステナイト相により補って、バルブシート
5の強度を向上させることができる。また圧入部15は
オーステナイト相の存在量が多く、その熱膨脹係数がシ
リンダヘッド構成材料であるAl合金のそれに近似する
ので、その圧入代を減らしてバルブシート5の薄肉化を
図ることが可能であり、これによりバルブシート5の内
径を拡張して排気効率を向上させることができる。一
方、着座部14はマルテンサイト相の存在量が多いの
で、エキゾーストバルブ6に因る叩かれ摩耗量が少な
く、その上エキゾーストバルブ6の摩耗を抑制すること
が可能である。
【0010】バルブシート5の製造に当っては、粉末冶
金法により、金属組織に少なくともオーステナイト相を
有するマトリックスを備えたFe系焼結素材を製造する
工程と、そのFe系焼結素材に時効、加工等による2次
硬化処理を施す工程とが用いられる。
【0011】Fe系焼結素材におけるマトリックスの金
属組織は、例えば、オーステナイト相のみからなる単相
組織か、オーステナイト相およびマルテンサイト相から
なる混相組織か、オーステナイト相およびパーライト相
からなる混相組織か、またはオーステナイト相、マルテ
ンサイト相およびパーライト相からなる混相組織であ
る。これらマトリックス中には微細なMC型またはM6
C型炭化物(ただし、Mは金属炭化物形成元素)が分散
している。
【0012】二次硬化処理は、その処理を単独で行って
もよいが、簡便な方法としては、Fe系焼結素材を図
1,図2に示すようにエンジン1に組込んで、それを運
転することによって行われる。即ち、エンジン1の運転
に伴いFe系焼結素材が燃焼熱により加熱され、同時に
エキゾーストバルブ6のバルブヘッド7がFe系焼結素
材の着座部14に着座し、次いで離間し、これが繰返さ
れると、Fe系焼結素材には、着座部14で最も温度が
高く、一方、圧入部15で最も温度が低くなるような温
度分布が現出すると同時に着座部14ではエキゾースト
バルブ6による叩かれ加工が発生するので、着座部14
においては圧入部15に比べて相変化が急速に進行し、
その結果、着座部14ではマルテンサイト相の存在量が
オーステナイト相の存在量(残存量)よりも多くなり、
一方、圧入部15ではマルテンサイト相の存在量よりも
オーステナイト相の存在量(残存量)が多くなり、これ
によりバルブシート5が得られる。このような二次硬化
処理においては、前記相変化と共にマルテンサイト相内
における微細金属炭化物および金属間化合物の析出が発
生する。
【0013】次に、Fe系バルブシート5の組成につい
て説明する。このバルブシート5は、必須成分として金
属炭化物形成元素、オーステナイト形成元素およびCを
含有し、硬質粉末、Pおよび自己潤滑材を選択成分とす
るもので、残部は実質的にFe(Si、Mn、Sを含
む)である。 (a) 金属炭化物形成元素について この種元素には、W、Mo、V、Ti、Nb、Taおよ
びBから選択される少なくとも一種が該当し、これらの
元素をMとすると、それはMCまたはM6 Cで表わされ
る金属炭化物を形成する。金属炭化物形成元素の含有量
は、通常、0.4〜15重量%、好ましくは6〜12重
量%である。この元素の含有量が0.4重量%未満であ
ると、二次硬化による硬度の増大が十分ではなく、耐摩
耗性を十分に向上させることができないことがある。一
方、15重量%を超えると、焼結素材における炭化物析
出量が多くなり過ぎて硬度が必要以上に上昇し、切削性
の低下を招くことがある。ただし、V、TiおよびNb
は突角状炭化物を析出するのでこれらの少なくとも一種
を用いるときは、エンジンバルブに対する攻撃性を緩和
するため、その含有量は0.4〜2重量%であることが
好ましい。なお、W、Moを併用する場合には、15重
量%まで含有させてもよい。
【0014】金属炭化物形成元素は焼結時にオーステナ
イト相内に粒径が通常2μm以下の微細なMC型または
6 C型炭化物を析出し、時効処理されることにより核
となってさらに成長すると同時に析出量を増す。一方、
マトリックス中のC量は、この金属炭化物量の増加に伴
い減少し、その結果、マルテンサイト変態点(以下、M
s点という)が上昇してマルテンサイト変態がエンジン
の環境温度である200〜400℃で発生する。 (b) オーステナイト形成元素について この種元素には、Ni、Co、CuおよびCrから選択
される少なくとも一種が該当する。このオーステナイト
形成元素はマトリックス中に含まれて耐熱性、耐蝕性お
よび強度を向上させる作用を有すると共に焼結時におけ
るマルテンサイト変態あるいはパーライト変態を抑制
し、また時効、エンジンバルブによる叩かれ加工等によ
りマルテンサイト変態を惹起して二次硬化するオーステ
ナイト相を形成する。さらに高温下に長時間保持される
と、マルテンサイト相にNi3 Ti、Ni3 Mo、Ni
3 Nb、NiAl等の硬度向上に寄与する金属間化合物
を析出する。
【0015】オーステナイト形成元素の含有量は、通
常、5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%であ
る。この元素の含有量が5重量%未満であると、耐熱
性、耐蝕性および強度を十分に向上させることができ
ず、またオーステナイト相が十分に形成されないことが
ある。一方、含有量が35重量%を超えると、オーステ
ナイト相が安定化して二次硬化が起こらなくなることが
ある。 (c) Cについて Cは、Ms点を下げる作用を有し、その含有量は、通
常、0.2〜1.2重量%、好ましくは0.4〜0.8
重量%である。このC含有量が0.2重量%未満である
と、マトリックス中に遊離フェライトが析出して耐摩耗
性の向上が阻害されることがある。一方、含有量が1.
2重量%を超えると、焼結時においてマトリックス中に
遊離セメンタイトが析出して切削性が損なわれることが
あると共に、Ms点が100℃以下と低くなり過ぎて時
効等によるマルテンサイト変態が起こらず、したがって
二次硬化しなくなって硬度および耐摩耗性が向上しない
ことがある。なお、Cは炭素粉末その他の粉末からの拡
散によってマトリックス中に含まれるものをいい、例え
ば硬質相として添加されることのある炭化物中の炭素あ
るいはその他の硬質粉末に含有される結合炭素および遊
離炭素は除かれる。 (d) 硬質粉末について 硬質粉末は、マトリックス中に分散して耐摩耗性を向上
させる作用を有するが、この硬質粉末の分散量が多くな
ると、加工性および強度の低下を招くと共に、バルブシ
ートの製造コストが上昇する。これらの点を考慮する
と、硬質粉末の含有量の上限値は30重量%に設定され
る。
【0016】硬質粉末としては、例えばW−Cr−Co
−C系ステライト合金粉末、W−Cr−Co−C−Fe
系ステライト合金粉末、イートナイト系合金粉末、Mo
−Fe系合金粉末、Cr−Mo−V−C−Fe系合金粉
末、Co−Mo−Cr−Si系合金粉末、炭化物、酸化
物、窒化物等のセラミック粉末等が該当する。硬質粉末
の硬さHvは、通常、900以上である。 (e) Pについて Pは圧粉性の悪い高合金粉末の焼結時における粒子間の
焼結性を改善して高密度、高強度焼結体を形成する作用
を有する。Pの含有量は、通常、0.1〜0.6重量
%、好ましくは0.2〜0.4重量%である。この含有
量が0.1重量%未満であると、前記焼結性改善作用が
十分でないことがある。一方、含有量が0.6重量%を
超えると、粒界にステダイトが析出し、切削性、強靱性
の低下を招くことがある。なお、前記含有量範囲は積極
的にPを配合する場合に関するものであり、原料粉末中
に不可避的に含有される微量のPを含むものではない。 (f) 自己潤滑材について 自己潤滑材は単独添加またはFe粉末に含有されて用い
られ、マトリックスの粒界または粒内に析出する。自己
潤滑材としては、例えばフッ化物、硫化物、鉛酸化物等
が該当する。自己潤滑材の含有量は、通常、0.2〜5
重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。この含有
量が0.2重量%未満であると、自己潤滑材の配合効
果、即ち、自己潤滑性の向上を図って耐摩耗性を向上さ
せる効果が十分でないことがある。一方、5重量%を超
えると、強度や耐蝕性の低下を招くことがある。
【0017】Fe系焼結素材の製造において、その圧粉
体の密度は、通常、6.8g/cm3以上に設定される。
また焼結処理は各構成元素の酸化を防止するために非酸
化性雰囲気中で行われる。焼結温度および焼結時間につ
いては各成分の配合割合、圧粉体の形状、大きさ等によ
り異なるので一概に決定することは困難であるが、通
常、焼結温度は1100〜1200℃に、また焼結時間
は20〜60分間に設定される。この場合、焼結過程で
冷却速度を調節したり、またはFe系焼結素材の溶体化
処理を行うことによって、使用環境下でマルテンサイト
化し得るオーステナイト相をマトリックス中に形成させ
ることができる。Fe系焼結素材の硬さ、HR Bは約1
00以下であり、良好な加工性を有する。またその素材
は優れた耐摩耗性、耐熱性および強度を有し、その上良
好な耐蝕性を有するので、例えばアルコールを燃料とす
る機関のバルブシートに用いても、アルコールの燃焼で
生じたギ酸による腐蝕の影響が少ない。
【0018】次に具体例について説明する。
【0019】表1は、Fe系バルブシートに関する実施
例(1)〜(4)および比較例の組成を示す。この組成
は、当然のことではあるが、Fe系焼結素材のそれと同
じである。
【0020】
【表1】 各バルブシート用Fe系焼結素材を製造すべく、Fe系
ベース粉末、第1硬質粉末、第2硬質粉末、第3硬質粉
末および自己潤滑材としてMnS粉末を用意した。
【0021】表2は、Fe系ベース粉末の組成を示す。
【0022】
【表2】 表3は第1〜第3硬質粉末を構成する合金粉末の組成を
示す。
【0023】
【表3】 次に実施例(1)のバルブシート用Fe系焼結素材を次
のような方法で製造した。先ず、Fe系ベース粉末に対
して、0.6重量%のC粉末(黒鉛粉末)、4重量%の
Ni粉末、2重量%のCo粉末、10重量%の第1硬質
粉末、15重量%の第3硬質粉末および0.5重量%の
MnS粉末を配合して原料粉末を調製し、この原料粉末
に1.0重量%のステアリン酸亜鉛(金型用潤滑剤)を
添加しV型ブレンダにより15分間混合して混合粉末を
得た。
【0024】油圧プレス機を使用して混合粉末よりバル
ブシートに対応する形状の圧粉体を成形し、次いで圧粉
体に、AXガス炉を使用して1160℃、30分間の条
件下で焼結処理を施し、その後20℃/min の冷却速度
で冷却してFe系焼結素材を製造した。
【0025】このFe系焼結素材におけるマトリックス
の硬さHv0.025 は381であり、またオーステナイト
相の存在量は面積率で36.3%であった。
【0026】次に、Fe系焼結素材に時効処理を施し
て、時効温度および時効時間と、硬さHv0.025 との関
係を調べたところ表4の結果を得た。
【0027】
【表4】 また、時効温度および時効温度と、残留オーステナイト
相の存在量(面積率)との関係を調べたところ表5の結
果を得た。
【0028】
【表5】 表4,表5から明らかなように、各時効温度において、
時効時間の経過と共に硬さが上昇すると共に残留オース
テナイト相の存在量が減少しており、これにより二次硬
化現象が発生していることが判る。したがって、Fe系
焼結素材をエンジンに組込んで、それを運転することに
より、その素材に200〜400℃にて二次硬化処理を
施し、着座部および圧入部の金属組織を前記のように特
定した実施例(1)のバルブシートを得ることができ
る。
【0029】次に、実施例(2)のバルブシート用Fe
系焼結素材を次のような方法で製造した。先ず、Fe系
ベース粉末に対して、0.4重量%のC粉末(黒鉛粉
末)、6重量%のNi粉末、2重量%のCo粉末、10
重量%の第1硬質粉末、15重量%の第2硬質粉末およ
び0.5重量%のMnS粉末を配合して原料粉末を調製
し、この原料粉末に1.0重量%のステアリン酸亜鉛
(金型用潤滑剤)を添加しV型ブレンダにより15分間
混合して混合粉末を得た。
【0030】油圧プレス機を使用して混合粉末よりバル
ブシートに対応する形状の圧粉体を成形し、次いで圧粉
体に、AXガス炉を使用して1160℃、30分間の条
件下で焼結処理を施し、その後20℃/min の冷却速度
で冷却してFe系焼結素材を製造した。
【0031】このFe系焼結素材におけるマトリックス
の硬さHv0.025 は475であり、またオーステナイト
相の存在量は面積率で33.5%であった。
【0032】次に、Fe系焼結素材に時効処理を施し
て、時効温度および時効時間と、硬さHv0.025 との関
係を調べたところ、表6の結果を得た。
【0033】
【表6】 また、時効温度および時効温度と、残留オーステナイト
相の存在量(面積率)との関係を調べたところ表7の結
果を得た。
【0034】
【表7】 表6,表7から明らかなように、各時効温度において、
時効時間の経過と共に硬さが上昇すると共に残留オース
テナイト相の存在量が減少しており、これにより二次硬
化現象が発生していることが判る。したがって、前記同
様にFe系焼結素材をエンジンに組込んで、それを運転
することにより、その素材に200〜400℃にて二次
硬化処理を施し、着座部および圧入部の金属組織を前記
のように特定した実施例(2)のバルブシートを得るこ
とができる。
【0035】次に実施例(3)のバルブシート用Fe系
焼結素材を次のような方法で製造した。先ず、Fe系ベ
ース粉末に対して、0.4重量%のC粉末(黒鉛粉
末)、6重量%のNi粉末、2重量%のCo粉末、10
重量%の第1硬質粉末、15重量%の第2硬質粉末およ
び0.2重量%のP粉末を配合して原料粉末を調製し、
この原料粉末に1.0重量%のステアリン酸亜鉛(金型
用潤滑剤)を添加しV型ブレンダにより15分間混合し
て混合粉末を得た。
【0036】油圧プレス機を使用して混合粉末よりバル
ブシートに対応する形状の圧粉体を成形し、次いで圧粉
体に、AXガス炉を使用して1160℃、30分間の条
件下で焼結処理を施し、その後20℃/min の冷却速度
で冷却してFe系焼結素材を製造した。
【0037】このFe系焼結素材におけるマトリックス
の硬さHv0.025 は564であり、またオーステナイト
相の存在量は面積率で35%であった。
【0038】さらに実施例(4)のバルブシート用Fe
系焼結素材を次のような方法で製造した。先ず、Fe系
ベース粉末に対して、0.6重量%のC粉末(黒鉛粉
末)、4重量%のNi粉末、2重量%のCo粉末、10
重量%の第1硬質粉末、15重量%の第2硬質粉末およ
び0.2重量%のP粉末を配合して原料粉末を調製し、
この原料粉末に1.0重量%のステアリン酸亜鉛(金型
用潤滑剤)を添加しV型ブレンダにより15分間混合し
て混合粉末を得た。
【0039】油圧プレス機を使用して混合粉末よりバル
ブシートに対応する形状の圧粉体を成形し、次いで圧粉
体に、AXガス炉を使用して1160℃、30分間の条
件下で焼結処理を施し、その後20℃/min の冷却速度
で冷却してFe系焼結素材を製造した。
【0040】このFe系焼結素材におけるマトリックス
の硬さHv0.025 は425であり、またオーステナイト
相の存在量は面積率で40%であった。
【0041】次に、実施例(1)〜(3)に対応するF
e系焼結素材および比較例に対応するFe系焼結素材を
エンジンのエキゾーストポート側に組込んでそのエンジ
ンを運転することによって、それら素材に対応するバル
ブシートを得ると共にそれらの着座部およびエキゾース
トバルブにおけるバルブヘッドの摩耗状況を調べたとこ
ろ図3の結果を得た。なお、比較例バルブシートにおけ
るマトリックスの金属組織はパーライト相より構成され
ていた。
【0042】エンジンの運転条件は、カム回転数 30
00rpm 、バルブローテーション20rpm 、運転時間
約9時間(コンタクト数1.6×106 回)、エンジン
温度 200℃、バルブスプリング荷重 25kg(セッ
ト)、62kg(リフト)、エキゾーストバルブ材料 N
CF440(インコネル相当材)である。
【0043】図3から、実施例(1)〜(3)は比較例
に比べて耐摩耗性に優れており、またエキゾーストバル
ブの摩耗も抑制されていることが明らかである。
【0044】なお、本発明に係るバルブシートはインテ
ークポート側にも適用される。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように金属組織
を特定することによって、高強度であると共に優れた耐
摩耗性を有し、その上、相手部材であるエンジンバルブ
の摩耗を抑制することができ、さらに薄肉化を達成し得
るバルブシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの要部断面図である。
【図2】バルブシートの要部拡大断面図である。
【図3】バルブシートおよびエキゾーストバルブの摩耗
状況を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン 2 シリンダヘッド 5 バルブシート 6 エキゾーストバルブ(エンジンバルブ) 14 着座部 15 圧入部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂 勉 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 川村 治 栃木県下都賀郡野木町野木1111番地 日本 ピストンリング株式会社栃木工場内 (72)発明者 高橋 輝夫 栃木県下都賀郡野木町野木1111番地 日本 ピストンリング株式会社栃木工場内 (72)発明者 垣内 新 栃木県下都賀郡野木町野木1111番地 日本 ピストンリング株式会社栃木工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン(1)のAl合金製シリンダヘ
    ッド(2)に圧入されるFe系バルブシート(5)にお
    いて、マトリックスの金属組織がオーステナイト相およ
    びマルテンサイト相を有する混相組織であり、エンジン
    バルブ(6)が着座する着座部(14)では、マルテン
    サイト相の存在量がオーステナイト相の存在量よりも多
    く、一方、前記シリンダヘッド(2)に圧入される圧入
    部(15)では、オーステナイト相の存在量がマルテン
    サイト相の存在量よりも多くなっていることを特徴とす
    るエンジン用バルブシート。
JP30127492A 1992-11-11 1992-11-11 エンジン用バルブシート Pending JPH06146823A (ja)

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