JPH06136033A - 高ビニル結合を有するブタジエン系重合体の製造方法 - Google Patents

高ビニル結合を有するブタジエン系重合体の製造方法

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JPH06136033A
JPH06136033A JP31085992A JP31085992A JPH06136033A JP H06136033 A JPH06136033 A JP H06136033A JP 31085992 A JP31085992 A JP 31085992A JP 31085992 A JP31085992 A JP 31085992A JP H06136033 A JPH06136033 A JP H06136033A
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JP
Japan
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butadiene
phosphine
aluminum
polymer
based polymer
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JP31085992A
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Kohei Goto
幸平 後藤
Toshiyuki Hayakawa
俊之 早川
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭化水素溶媒においても高活性で重合し、得
られる重合体が高ビニル結合含量で、しかも融点の低下
を損なわずに低ガラス転移温度化を図ることが可能なブ
タジエン系重合体の製造方法を提供する。 【構成】 1,3−ブタジエンを少なくとも50モル%
以上含有する共役ジエンを、(A)コバルトの有機酸
塩、(B)脂環族炭化水素ホスフィンと芳香族炭化水素
ホスフィンからなる混合配位子、および(C)アルミノ
オキサンを含有する有機アルミニウムを含む触媒を用
い、不活性有機溶媒中で重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高ビニル結合を有する
ブタジエン系重合体の製造方法に関し、さらに詳細には
ビニル結合含量が高く、しかも融点の低下を損なわずに
低ガラス転移温度(Tg)化が可能な低温特性に優れた
ブタジエン系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】適度な結晶化度に制御した1,2−ポリ
ブタジエンは、結晶性に富んだ領域と非晶性部とからな
る構造を有するため、熱可塑性エラストマーとしての機
能だけでなく、分子中に化学反応性に富んだ炭素−炭素
二重結合を有しているため、従来の加硫ゴムや架橋密度
を高めた熱硬化性樹脂の機能も有する。また、この1,
2−ポリブタジエンは、優れた加工性を有することか
ら、他の樹脂や熱可塑性エラストマーの改質材、医療用
高分子材料として展開されている。
【0003】従来、これらの結晶化度の制御された1,
2−ポリブタジエンは、コバルト塩のホスフィン錯体と
トリアルキルアルミニウムと水からなる触媒(特公昭4
4−32425号公報)や、コバルト化合物、トリアル
キルアルミニウムと水、およびトリフェニルホスフィン
誘導体からなる触媒(特公昭61−27402号公報)
などにより得られている。これらの触媒系では、塩化メ
チレンに代表されるハロゲン化炭化水素溶媒では高い重
合活性を示すが、汎用的な炭化水素系溶媒では重合活性
が低下するという問題がある。また、得られる重合体の
分子特性である分子量と融点の制御範囲が比較的狭く、
広範囲に分子特性が制御された重合体の製造には至って
いない。例えば、前者では高分子量の領域の製造が困難
であること、後者においては高結晶化度(高融点)の重
合体の製造には特殊な配位子の使用が必須であり、これ
を意図するため重合温度を低下させて重合を行っても、
重合速度が遅くなり生産性が低下し、またその結晶化度
(融点)の上限には自ずから限界がある。
【0004】以上の問題点に鑑み、本願出願人は、先に
特定の触媒系を用いることにより、炭化水素溶媒におい
ても高活性で重合し、得られる重合体が高ビニル結合含
量で、かつ結晶性であり、しかも重合体の結晶化度(融
点)を制御することが可能なブタジエン系重合体の製造
方法を提供した(特願平4−31312号明細書)。し
かしながら、従来の結晶性1,2−ポリブタジエンの製
造方法および上記の本願出願人による製造方法において
は、得られる重合体の低温特性を支配するガラス転移温
度は重合触媒によって規定される融点によって、その関
係が決まっていた。すなわち、ガラス転移温度(Tg)
(K)/融点(Tm)(K)の比は、一定であることを
意味している。言い換えれば、融点を上げ、耐熱性を付
与するほど、ガラス転移温度も上昇していくので、低温
特性が犠牲になるという問題点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、炭化水素溶媒におい
ても高活性で重合し、得られる重合体が高ビニル結合含
量で、しかも融点の低下を損なわずに低ガラス転移温度
化を図ることが可能なブタジエン系重合体の製造方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、1,3−ブタ
ジエンを少なくとも50モル%以上含有する共役ジエン
を、(A)コバルトの有機酸塩、(B)脂環族炭化水素
ホスフィンと芳香族炭化水素ホスフィンからなる混合配
位子(以下「(B)ホスフィン化合物」ということがあ
る)、および(C)アルミノオキサンを含有する有機ア
ルミニウムを含む触媒を用い、不活性有機溶媒中で重合
することを特徴とする高ビニル結合を有するブタジエン
系重合体の製造方法を提供するものである。
【0007】本発明で用いられる1,3−ブタジエン以
外の共役ジエンとしては、4−アルキル置換−1,3−
ブタジエン、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンな
どが挙げられる。このうち、4−アルキル置換−1,3
−ブタジエンとしては、1,3−ペンタジエン、1,3
−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オク
タジエン、1,3−ノナジエン、1,3−デカジエンな
どが挙げられる。
【0008】また、2−アルキル置換−1,3−ブタジ
エンの代表的なものは、2−メチル−1,3−ブタジエ
ン(イソプレン)、2−エチル−1,3−ブタジエン、
2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル
−1,3−ブタジエン、2−ブチル−1,3−ブタジエ
ン、2−イソブチル−1,3−ブタジエン、2−アミル
−1,3−ブタジエン、2−イソアミル−1,3−ブタ
ジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2−シク
ロヘキシル−1,3−ブタジエン、2−イソヘキシル−
1,3−ブタジエン、2−ヘプチル−1,3−ブタジエ
ン、2−イソヘプチル−1,3−ブタジエン、2−オク
チル−1,3−ブタジエン、2−イソオクチル−1,3
−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエンの
なかで、1,3−ブタジエンと混合して用いられる好ま
しい共役ジエンとしては、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエンが挙げられる。重合に供される単量体成分中の
1,3−ブタジエンの含有量は50モル%以上、好まし
くは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上
であり、50モル%未満では得られるブタジエン系重合
体が融点を示さず、無定形となるため好ましくない。
【0009】次に、本発明の触媒に使用される(A)コ
バルトの有機酸塩としては、有機溶媒への溶解性の面か
ら、好ましくは炭素数4以上のコバルトの有機酸塩であ
る。この(A)コバルトの有機酸塩は、酪酸塩、ヘキシ
ル酸塩、ヘプチル酸塩、2−エチル−ヘキシル酸などの
オクチル酸塩、デカン酸塩や、ステアリン酸、オレイン
酸、エルカ酸などの高級脂肪酸塩、安息香酸塩、トリル
酸塩、キシリル酸塩、エチル安息香酸などのアルキル、
アラルキル、アリル置換安息香酸塩やナフトエ酸塩、ア
ルキル、アラルキルもしくはアリル置換ナフトエ酸塩を
挙げることができる。これらのうち、2−エチルヘキシ
ル酸のいわゆるオクチル酸塩や、ステアリン酸塩、安息
香酸塩が、有機溶媒への優れた溶解性のために好まし
い。
【0010】また、本発明の触媒のうち、(B)ホスフ
ィン化合物は、重合触媒の活性化、ビニル結合構造およ
び結晶性の付与と結晶化度の制御、融点とガラス転移温
度の関係、換言すれば結晶化度の分布の制御に必須の成
分であり、一般式(I)で表される有機リン化合物のう
ちの、脂環族炭化水素ホスフィンと芳香族炭化水素ホス
フィンの組み合わせ、あるいは該有機リン化合物自体で
ある。
【0011】
【化1】
【0012】R1 、R2 およびR3 の炭素数は特に限定
されないが、好ましくは1〜6である。(B)ホスフィ
ン化合物のうち、脂環族炭化水素ホスフィンとしては、
トリシクロペンチルホスフィン、トリ(メチルシクロペ
ンチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、
トリ(メチルシクロヘキシル)ホスフィン、トリ(ジメ
チルシクロヘキシル)ホスフィンなどが挙げられ、好ま
しくはシクロヘキシルホスフィンである。
【0013】また、(B)ホスフィン化合物のうち、芳
香族炭化水素ホスフィンとしては、トリ(3−メチルフ
ェニル)ホスフィン、トリ(3−エチルフェニル)ホス
フィン、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリ
(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ(3,
4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ(3−イソプ
ロピルフェニル)ホスフィン、トリ(3−t−ブチルフ
ェニル)ホスフィン、トリ(3,5−ジエチルフェニ
ル)ホスフィン、トリ(3−メチル−5−エチルフェニ
ル)ホスフィン)、トリ(3−フェニルフェニル)ホス
フィン、トリ(3,4,5−トリメチルフェニル)ホス
フィン、トリ(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)ホスフィン、トリ(4−エトキシ−3,5−ジエチ
ルフェニル)ホスフィン、トリ(4−ブトキシ−3,5
−ジブチルフェニル)ホスフィン、トリ(4−メトキシ
フェニル)ホスフィン、トリ(3−メトキシフェニルホ
スフィン)、トリベンジルホスフィン、トリ(4−メチ
ルフェニルホスフィン)、1,2−ジフェニルホスフィ
ノエタン、1,3−ジフェニルホスフィノプロパン、
1,4−ジフェニルホスフィノブタン、トリ(4−エチ
ルフェニルホスフィン)、などが挙げられる。芳香族炭
化水素ホスフィンとしては、好ましくはトリフェニルホ
スフィン、トリ(3−メチルフェニル)ホスフィン、ト
リ(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフ
ィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィンなどで
ある。
【0014】さらに、(B)ホスフィン化合物のうち、
あらかじめ脂環族炭化水素ホスフィンと芳香族炭化水素
ホスフィンを化学的に結合させた化合物としては、ジシ
クロヘキシルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルベ
ンジルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィ
ン、ネオメンチルジフェニルホスフィンなどが挙げられ
る。
【0015】(B)ホスフィン化合物は、以上のように
(B−1)脂環族炭化水素ホスフィンと(B−2)芳香
族炭化水素ホスフィンとからなる混合配位子であるが、
両者の割合は、(B−1)/(B−2)(モル比)=3
/97〜97/3、好ましくは5/95〜95/5であ
る。このモル比が3/97未満ではガラス転移温度を下
げる効果が小さく、一方97/3を超えると結晶性重合
体の調製が困難となるので好ましくない。
【0016】さらに、本発明の触媒のうち、(C)有機
アルミニウムを構成するアルミノオキサンとしては、例
えば一般式(II) または一般式(III)
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】(式中、R′は炭化水素基、mは2以上の
整数を示す)で表される有機アルミニウム化合物を挙げ
ることができる。この一般式(II) あるいは(III)で表
されるアルミノオキサンにおいて、R′はメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であ
り、好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好まし
くはメチル基である。また、mは、2以上、好ましくは
5以上、さらに好ましくは10〜100の整数である。
このアルミノオキサンの具体例としては、メチルアルミ
ノオキサン、エチルアルミノオキサン、プロピルアルミ
ノオキサン、ブチルアルミノオキサンなどを挙げること
ができる。
【0020】この際、(C)有機アルミニウムとして、
前記アルミノオキサン以外の他のアルミニウム化合物を
併用することができる。この他のアルミニウム化合物と
しては、アルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルア
ルミニウム化合物、アルキルアルミニウムアルコキサイ
ドなどが挙げられる。このうち、アルキルアルミニウム
としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミ
ニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルア
ルミニウムなどが挙げられる。
【0021】また、ハロゲン化アルキルアルミニウム化
合物は、一般式AlR4 p 3-p (式中、R4 はアルキ
ル基、Xはハロゲン原子、pは0、1、1.5または2
を示す)で表される。ここで、アルキル基は、炭素数1
〜8を有する直鎖状または分岐状のアルキル基、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。
また、ハロゲン原子Xとしては、フッ素原子、塩素原
子、ヨウ素原子が挙げられ、特に塩素原子が好ましい。
【0022】このハロゲン化アルキルアルミニウム化合
物の具体例としては、ジエチルアルミニウムフルオライ
ド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミ
ニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイ
ド、ジイソブチルアルミニウムフルオライド、ジイソブ
チルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウ
ムブロマイド、ジイソブチルアルミニウムアイオダイ
ド、ジヘキシルアルミニウムフルオライド、ジヘキシル
アルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムブロ
マイド、ジヘキシルアルミニウムアイオダイド、ジオク
チルアルミニウムフルオライド、ジオクチルアルミニウ
ムクロライド、ジオクチルアルミニウムブロマイド、ジ
オクチルアルミニウムアイオダイド、エチルアルミニウ
ムジフルオライド、エチルアルミニウムジクロライド、
エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウム
ジアイオダイド、イソブチルアルミニウムジクロライ
ド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアル
ミニウムセスキクロライド、アルミニウムトリクロライ
ド、アルミニウムトリブロマイド、アルミニウムトリア
イオダイドなどが挙げられる。
【0023】さらに、アルキルアルミニウムアルコキサ
イドとしては、一般式AlR5 q (OR6 3-q(式
中、R5 およびR6 は同一または異なりアルキル基、q
は1または2を示す)で表される有機アルミニウム化合
物のアルコキシ誘導体が挙げられる。このうち、アルキ
ル基は、炭素数1〜8の直鎖状または分岐状アルキル
基、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、イソブ
チル基、ヘキシル基、オクチル値など挙げられる。
【0024】アルキルアルミニウムアルコキサイドの好
ましい具体例としては、ジエチルアルミニウムモノメト
キサイド、ジエチルアルミニウムモノエトキサイド、ジ
エチルアルミニウムモノブトキサイド、ジイソブチルア
ルミニウムモノメトキサイド、ジイソブチルアルミニウ
ムモノブトキサイド、エチルアルミニウムジメトキサイ
ド、エチルアルミニウムジエトキサイド、エチルアルミ
ニウムジブトキサイド、イソブチルアルミニウムジメト
キサイド、イソブチルアルミニウムジエトキサイド、イ
ソブチルアルミニウムジブトキサイドなどが挙げられ
る。
【0025】以上の他のアルミニウム化合物のうち、ト
リメチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアル
ミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムモノエト
キサイド、ジエチルアルミニウムモノエトキサイド、エ
チルアルミニウムモノエトキサイド、およびエチルアル
ミニウムジエトキサイドが、アルミノオキサンとの併用
において高触媒活性を有するので好ましい。
【0026】他のアルミニウム化合物に対するアルミノ
オキサンの使用割合は、アルミニウム原子比で100/
0〜25/75である。以上の他のアルミニウム化合物
は、アルミノオキサンと併用して1種または2種以上で
用いられる。
【0027】なお、本発明において使用される触媒の使
用量は、共役ジエン1モルあたり、(A)コバルトの有
機酸塩は、コバルト原子換算で0.001〜1ミリモ
ル、好ましくは0.01〜0.5ミリモル程度である。
また、(B)ホスフィン化合物の使用量は、(A)成分
のコバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)とし
て、通常、0.1〜50、好ましくは0.1〜20、さ
らに好ましくは0.1〜10である。この比が0.1未
満でも50を超えても、重合活性が低下する。さらに、
(C)有機アルミニウムの使用量は、(A)コバルトの
有機酸塩のコバルト原子に対するアルミニウム原子の比
(Al/Co)として、通常、4〜105 、好ましくは
10〜104 である。
【0028】本発明に使用される触媒には、さらに必要
に応じてエステル化合物、アルコール化合物、フェノー
ル化合物、スルホキサイド化合物、含チッ素複素環化合
物、水、第3級アミン化合物などの重合活性剤を添加し
てもよい。この重合活性剤の添加量は、(C)有機アル
ミニウムのAl原子に対し、10-3〜10モル当量であ
る。
【0029】本発明に使用される触媒は、触媒各成分を
任意の順序で、不活性有機溶媒中で混合することによっ
て調製される。好ましくは、(A)成分と(B)成分を
あらかじめ混合して調製すると、高活性な触媒が安定よ
く形成できる。また、(C)成分は、あらかじめ混合
し、(A)〜(B)成分と反応系中で接触させることが
好ましい。なお、触媒は、これを本発明の1,3−ブタ
ジエンを主成分とする共役ジエンに接触させる前にあら
かじめ各成分を混合して調製しておいてもよく、また重
合反応器中で該共役ジエンの存在下で各成分を混合して
調製することもできる。
【0030】本発明では、1,3−ブタジエンを主体と
する共役ジエンを、前記触媒、すなわち(A)〜(C)
成分を主成分とする触媒を用い、不活性有機溶媒中で重
合する。重合溶媒として用いられる不活性有機溶媒とし
ては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメンな
どの芳香族炭化水素溶媒、ブタン、ペンタン、ヘキサン
などの脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、メチルシ
クロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素溶
媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2
−ジクロロエタン、トリクロルエチレン、パークロルエ
チレン、クロルベンゼン、ブロムベンゼン、クロルトル
エンなどのハロゲン化炭化水素溶媒およびこれらの混合
物が挙げられ、好ましくは脂肪族および脂環族炭化水素
溶媒が挙げられる。
【0031】重合温度は、通常、−50〜120℃で、
好ましくは−20〜80℃である。重合反応は、回分式
でも、連続式でもよい。なお、溶媒中の単量体濃度は、
通常、5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%で
ある。また、重合体を製造するために、本発明の触媒お
よび重合体を失活させないために、重合系内に酸素、水
あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を
極力なくすような配慮が必要である。重合反応が所望の
段階まで進行したら反応混合物をアルコール、その他の
重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤な
どを添加し、次いで通常の方法に従って生成重合体を分
離、洗浄、乾燥して目的のブタジエン系重合体を得るこ
とができる。
【0032】本発明の製造方法によって得られるブタジ
エン系重合体は、ブタジエン部分のビニル結合含量が8
0%以上、好ましくは85%以上である。また、本発明
で得られるブタジエン系重合体の融点(Tm)は、50
〜150℃の結晶構造を含んだ重合体である。
【0033】さらに、本発明で得られるブタジエン系重
合体のガラス転移温度(Tg)は、−30〜10℃であ
る。このように、本発明では、特定の配位子を組み合わ
せたコバルト系触媒によって、融点の低下を損なわずに
低ガラス転移温度化を図った低温特性の優れたブタジエ
ン系重合体が得られる。言い換えれば、低温の使用温度
範囲を広げることができる。特に、高融点重合体の系に
本発明を応用すると、従来欠点となっていた低温での衝
撃性を大幅に改良することができる。すなわち、高融点
化にともない、従来、ガラス転移温度も上昇し、Tg
(K)/Tm(K)の比は使用触媒で一定であるのが、
本発明の触媒系では、従来の触媒系に較べて、この比を
大きく変化させる効果を発現することができる。なお、
本発明において、得られるブタジエン系重合体のTg
(K)/Tm(K)は、好ましくは0.630〜0.7
50である。
【0034】さらに、本発明で得られるブタジエン系重
合体の分子量は、広い範囲にわたって変化させることが
できるが、そのポリスチレン換算の重量平均分子量は、
通常、104 〜106 であり、104 未満では強度的性
質に劣るために好ましくなく、一方106 を超えると加
工性が劣り、ロールやバンバリーでの混練り時にトルク
が過大にかかったり、配合薬品やカーボンブラックなど
の補強剤の分散が不良となり加硫物の性能が劣るなどの
問題が生起し好ましくない。
【0035】さらに、本発明で得られるブタジエン系重
合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)と重
量平均分子量(Mw)との比で表される分子量分布(M
w/Mn)も維持することができ、通常、1.5〜5.
0の範囲に制御することができる。
【0036】本発明により得られるブタジエン系重合体
は、該重合体を、単独でまたは他の合成ゴムもしくは天
然ゴムとブレンドして原料ゴムとして配合し、必要なら
ばプロセス油で油展し、次いでカーボンブラックなどの
充填剤、加硫剤および加硫促進剤などの通常の加硫ゴム
配合剤を加えてゴム組成物とし、これを加硫し、機械的
特性および耐摩耗性が要求されるゴム用途、例えばタイ
ヤ、ホース、ベルト、スポンジ、履物素材、シート、フ
ィルム、チューブ、包装材、樹脂の改質材、感光性材
料、その他の各種工業用品に用いることができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下
の実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施例
中、部および%は特に断らないかぎり重量基準である。
また、実施例中の各種の測定は、下記の方法に拠った。
ブタジエン系重合体のビニル結合含量は、赤外吸収スペ
クトル法(モレロ法)によって求めた。ブタジエン系重
合体の融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、
DSC(示差走査熱量計)を用い、ASTM D341
8に準じて測定した。重量平均分子量および数分子量
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)〔(株)島津製作所製、C−4A〕を用い、40
℃、テトラヒドロフランを溶媒として測定した。
【0038】実施例1 乾燥チッ素雰囲気中下で、内容積100mlの硬質耐圧
ビンに、n−ヘキサン40g、1,3−ブタジエン10
g、メチルアルミノオキサン(MAO)の10%トルエ
ン溶液、2−エチルヘキシル酸コバルト、トリシクロヘ
キシルホスフィンとトリフェニルホスフィン(ホスフィ
ン化合物)のトルエン混合溶液を、1,3−ブタジエン
(BD)/2−エチルヘキシル酸コバルト(Co有機酸
塩)(モル比)=20,000、トリシクロヘキシルホ
スフィン/トリフェニルホスフィン(モル比)=80/
20、ホスフィン化合物/Co有機酸塩(P/Co原子
比)=2.0、メチルアルミノオキサン/Co有機酸塩
(Al/Co原子比)=100となるように添加し、振
とう機で系内を混合させながら、10℃で30分間重合
した。反応停止は、停止剤として2,6−ジ−t−ブチ
ル−p−クレゾールを含む少量のメタノールを反応系に
加えることによって行った。次いで、凝固剤として、
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを含む多量の
メタノールを用い、重合体を分離させた。ろ別回収後、
40℃で真空乾燥し、収量から重合体収率を求めた。結
果を表1に示す。
【0039】実施例2〜4 実施例1で用いたトリシクロヘキシルホスフィン/トリ
フェニルホスフィンの添加量比を、表1に示すように代
えた以外は、実施例1と同様の条件、操作で重合を行っ
た。結果を表1に示す。 実施例5〜8 実施例1で用いたホスフィン化合物の組み合わせを、ト
リシクロヘキシルホスフィンとトリ(3−メチルフェニ
ル)ホスフィンに代えた以外は、実施例1と同様に重合
を行った。結果を表1に示す。
【0040】実施例9 実施例1で用いたホスフィン化合物の組み合わせを、ト
リシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ン、トリ(3−メチルフェニル)ホスフィンの40/3
0/30の組成モル比に代えた以外は、実施例1と同様
に重合を行った。結果を表1に示す。 実施例10 実施例1で用いたホスフィン化合物を、ジシクロヘキシ
ルフェニルホスフィンに代えた以外は、実施例1と同様
に重合を行った。結果を表1に示す。
【0041】比較例1 実施例1で用いた混合ホスフィンをトリフェニルホスフ
ィンに代えた以外は、実施例1と同様に重合を行った。
結果を表1に示す。 比較例2 実施例1で用いた混合ホスフィンをトリ(3−メチルフ
ェニル)ホスフィンに代えた以外は、実施例1と同様に
重合を行った。結果を表1に示す。 比較例3 実施例1で用いた混合ホスフィンをトリシクロヘキシル
ホスフィンに代えた以外は、実施例1と同様に重合を行
った。結果を表1に示す。 比較例4〜7 市販の結晶性1,2−ポリブタジエン〔日本合成ゴム
(株)製、商品名JSRRB〕の融点とガラス転移温度
を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1から明らかなように、実施例1〜10
では、ホスフィン化合物として混合配位子を用いている
ので、ガラス転移温度の低い、言い換えれば低温特性の
優れた結晶性の高ビニル結合を有するブタジエン系重合
体が得られている。これに対し、比較例1〜2では高融
点のものが得られているが、それにともないガラス転移
温度も高い。また、比較例3では、融点が認められな
い。さらに、比較例4〜7は、いずれもこれまでの市販
の1,2−ポリブタジエンであるが、高ビニル結合であ
るが、低融点である。なお、得られた重合体のTmとT
gの関係を図1に示す。本発明の重合体の製造方法は、
図1から明らかなように、実施例の重合体のTgは比較
例の重合体の同じTmで比較しても、Tgが低い重合体
が得られることが分かる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、触媒系として、特定構
造の配位子成分からなるホスフィン化合物を用いること
により、トリアリールホスフィン系配位子の使用系や従
来の市販の結晶性1,2−ポリブタジエンの融点とガラ
ス転移温度の関係において、ガラス転移温度の低い、言
い換えれば低温特性の優れた高ビニル結合を有するブタ
ジエン系重合体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブタジエン系重合体のTmとTgの関係を示す
図である。
【符号の説明】 Tm 融点(℃) Tg ガラス転移温度(℃)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,3−ブタジエンを少なくとも50モ
    ル%以上含有する共役ジエンを、(A)コバルトの有機
    酸塩、(B)脂環族炭化水素ホスフィンと芳香族炭化水
    素ホスフィンからなる混合配位子、および(C)アルミ
    ノオキサンを含有する有機アルミニウムを含む触媒を用
    い、不活性有機溶媒中で重合することを特徴とする高ビ
    ニル結合を有するブタジエン系重合体の製造方法。
JP31085992A 1992-10-27 1992-10-27 高ビニル結合を有するブタジエン系重合体の製造方法 Withdrawn JPH06136033A (ja)

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