JPH06134984A - インクジェット記録ヘッド、その製造方法及び記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、その製造方法及び記録装置

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JPH06134984A
JPH06134984A JP28635792A JP28635792A JPH06134984A JP H06134984 A JPH06134984 A JP H06134984A JP 28635792 A JP28635792 A JP 28635792A JP 28635792 A JP28635792 A JP 28635792A JP H06134984 A JPH06134984 A JP H06134984A
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JP
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ink
group
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recording
orifice
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JP28635792A
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English (en)
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Tadaki Inamoto
忠喜 稲本
Hideaki Mashio
英明 真塩
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Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 インクジェット記録ヘッドのオリフィス周縁
部をa加水分解によりR 1Si(OH)3を生成する化合
物(R1はC1-20のフルオロアルキル基、フルオロアリ
ール基、フルオロシクロアルキル基、フルオロアルキル
アリール基、フルオロアリールアルキル基からなる群よ
り選ばれ、フッ素の元素数とフッ素及び炭素以外の元素
数の比が1:1以上である基)とbアミノ基含有化合物
との混合物で処理し、撥インク性膜107を形成する。 【効果】 撥インク性膜の強度が増し、良好な印字品位
を長期に保つ信頼性の高いヘッド提供できる。また、ヘ
ッド作成にかかるコストの低減も可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般にインクと呼ばれ
る記録液を微細口(オリフィス)から小滴として吐出、
飛翔させ、この小滴の被記録面への付着を以て記録を行
うインクジェット記録装置の記録ヘッド、特に、インク
吐出口の周縁に改良を加えたインクジェット記録ヘッド
及びその製造方法に関し、また該記録ヘッドを具備する
記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在知られる各種記録方式の中でも、記
録時に騒音の発生がほとんどないノンインパクト記録方
式であって、且つ、高速記録が可能であり、しかも、普
通紙に特別の定着処理を必要とせずに記録の行える所謂
インクジェット記録法は、極めて有用な記録方式である
と認められている。このインクジェット記録法について
は、これ迄にも様々な方式が提案され、改良が加えられ
て商品化されたものもあれば、現在も尚、実用化への努
力が続けられているものもある。
【0003】インクジェット記録法は、要するに、イン
クと称される記録液の小液滴(droplet)を飛翔させ、
それを紙等の被記録部材に付着させて記録を行うもので
ある。そして、記録液滴の発生法及び液滴の飛翔方向を
制御するための制御方法等に基づき、このインクジェッ
ト記録法は、いくつかの方式に大別される。
【0004】それらの中で、代表的な方式の一つは、例
えばUSP3596275(Sweet方式)、USP32
98030(Lewis and Brown方式)等に開示されてい
る方式であって、連続振動発生法によって帯電量の制御
された液滴流を発生させ、この帯電量の制御された液滴
流を、一様の電界が駆けられている偏向電極間を飛翔さ
せることで、液滴の飛翔軌道を制御しつつ被記録部材上
に記録を行うものである。そして、この方式は、一般に
コンティニアス方式とも略称されている。
【0005】これと対比される代表的な他の方式は、一
つには、例えば特開昭54−59936号公報に開示さ
れる方式(BJ方式)である。この方式は、インクを急
激に加熱することでインクを気化させ、その際の急激な
状態変化によりインクを吐出させ、被記録部材上に記録
を行うものである。さらに例えば、USP374712
0に開示されている方式(Stemme方式)である。この方
式は、記録のための液体を吐出するオリフィスを有する
記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素子に、電気的
な記録信号を印加し、この電気的記録信号をピエゾ振動
素子の機械的振動に変え、その機械的振動に従って必要
時毎に前記オリフィスより液滴を吐出、飛翔させて被記
録部材に付着させることで記録を行うものである。これ
らが、所謂、オンデマンド方式である。
【0006】以上のようなインクジェット記録方式に採
用されるインクジェット記録ヘッドにおいては、インク
が吐出される所謂オリフィスの周りの物性は、インクを
常時安定して吐出させる上で極めて重要である。
【0007】即ち、オリフィスの外周表面(オリフィス
面)にインクが回り込んで、オリフィス付近の一部にイ
ンク溜りが生ずると、インクがオリフィスから吐出され
る際、その飛翔方向が正規の方向から離脱するようにな
り、更にはインク溜り状態の不安定さから、吐出される
毎にその飛翔方向が一定でないという不具合が生じ、安
定した液滴吐出が行えず、良好な記録が得られなくな
る。また、オリフィスの全面がインクの膜で覆われる
と、所謂スプラッシュ現象が生じてインクの散乱が起こ
り、これによっても安定した記録が得られなくなる。あ
るいは、オリフィスを覆うインク溜りが大きくなると、
記録ヘッドのインク吐出が不能状態に陥ることすらあ
る。
【0008】これらの問題を解決する方法として、従来
から吐出オリフィスを取り囲む外表面をシリコーンオイ
ル、アラビアゴム等で処理して撥水または撥油性にする
方法は、実公昭48−36188号公報等によって公知
である。しかしこれらの方法は、吐出オリフィスを形成
するガラス、金属等の部材との接着性が悪いために耐久
性がなく、目的とする効果は初期的なものに過ぎなかっ
た。また撥液性も十分ではなく、例えばシリコーン系の
物質では水系のインクに対して撥液性を示しても、アル
コール系、ケトン系、エステル系等の有機溶剤系インク
に対しては全く撥液性を示さなかった。
【0009】更に、この接着性を向上させ、撥インク性
を向上させたものとして、特開昭56−89569号公
報では、フッ素含有基を有するシランカップリング剤と
いう特定の化合物を用いることで、上記問題を解決して
いる。
【0010】その概要を説明したインクジェット記録ヘ
ッドの代表的なものとして、例えば図4に示すような構
造を挙げることができる。即ち、例えば、ガラス、セラ
ミックス、金属等で形成される基板401上に設けられ
た発熱素子402、発熱素子402に通電するための電
極(不図示)をインク403の電食から守るための保護
膜404(不用の場合もある)、インク流路の覆い40
5、及びオリフィス406を有する面(オリフィス面)
には、撥インク性膜407よりなる。尚、インクは基板
401もしくは保護膜404と覆い405で形成される
インク流路411内よりオリフィス面に達する。このよ
うなインクジェット記録ヘッド400では、発熱素子4
02に通電することによって、急激な発熱が起こり、こ
こに接触しているインク403に気泡が発生し、その気
泡発生による圧力でメニスカス408が破壊され、イン
ク403がオリフィス406よりインク小滴409とな
り、被記録部材410に向かって飛翔、付着し、記録が
行われる。図5は、このヘッドのオリフィス近傍の外観
斜視図である。501は基板、505はインク流路の覆
い、506はオリフィス、507は撥インク性膜であ
る。
【0011】図6は、他の従来例である。即ち、例えば
ガラス、セラミックス、金属等で形成され、かつインク
603の流路604の一部を形成する、微細な中空を有
する導管601の外周囲には、導管601内に満たされ
ているインクを吐出するオリフィス605より吐出させ
るための手段である、例えばピエゾ素子602が付設さ
れて記録ヘッド600が構成されている。導管601の
一方の端部には別に設けられている不図示の貯蔵槽より
導管601内に、矢印Pで示すようにインクを供給する
ための貯蔵槽と導管601との間を連結し、流路604
の一部を構成する例えばポリ塩化ビニル等で形成されて
いるパイプ606が接続されている。そして、導管60
1の終端部には撥インク性膜607が設けられ、インク
ジェット記録ヘッド600が構成されている。
【0012】従来、撥インク性膜を形成するための材料
としては、前述したようにオリフィスを構成する部材と
の接着性が良いことや、水系インク、有機溶剤系インク
のどちらに対しても十分な撥インク性を示すことから、
フッ素含有基を有するシランカップリング剤という特定
の化合物が用いられていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フッ素
含有基を有するシランカップリング剤を用いた場合でも
以下に示す不具合が生じていた。
【0014】1.オリフィス面に上記物質を塗布処理し
た後の硬化過程で通常行う加熱処理を行うと、硬化する
前に上記物質に流動性が生じ、上記物質がインク流路内
に流れ込んでしまう。このため、出来上ったインクジェ
ット記録ヘッドにインクを充填した時、インクメニスカ
スの後退という現象が発生し、正常なインクの吐出がで
きなくなる。
【0015】2.上記不具合を避けるためには、例え
ば、予めインク流路内に上記物質と混和しない物質(例
えば、水、パラフィン等)を充填した後、上記物質の塗
布、硬化処理を行う等のなんらかの追加プロセスが必要
となる。
【0016】3.上記物質は、極薄く形成されていても
その性能を発揮するものであるが、実際に塗布されたも
のはその厚さが不均一であり、まだら状になってしま
う。これはオリフィス面と上記物質の濡れ性の違いおよ
び凝集力によるためと考えられるが、厚く塗布された部
分は特に硬化し難い。インクジェット記録ヘッドは必要
に応じて使用中にオリフィス面についた紙かすやゴミ、
インクの溜りを取り除くために、オリフィス面をゴムや
布等で擦り、本来の正常な状態に復帰させる、所謂「回
復操作」を行っている。この際、前記の厚く塗布された
部分は硬化が不十分であるために簡単にはがれたり、移
動してオリフィス部に付着したり、インク流路内に入り
込むことがあり、これにより印字品位を劣化させること
が多々あった。
【0017】本発明は、上記の点に鑑み成されたもので
あって、使用の際には常時所定の方向に実質的に均一液
体量を以て安定した吐出が行え、高速記録に十分適用さ
れ得るインクジェット記録ヘッドを提供することを目的
とする。
【0018】また、処理の際に、インク流路内に充填等
の特別なプロセスを行うことを必要とせず、塗布及び加
熱硬化させることができ、更に得られたインクジェット
記録ヘッドが回復操作による擦りにも半永久的に耐え、
撥水性が持続し、また印字不良や印字不能などの不具合
が生じない記録ヘッドを提供することを目的とするもの
である。
【0019】さらにこのようなインクジェット記録ヘッ
ドを具備する記録装置を提供するものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、インク流路として細孔を有し、この細孔の一端を
オリフィスとして前記インクの小滴を吐出、飛翔させ、
このインク小滴の被記録面への付着を以て記録を行うイ
ンクジェット記録ヘッドにおいて、少なくとも前記オリ
フィスの周縁部が、 a.加水分解によりR1Si(OH)3を生成する化合物 (但し、R1は炭素数1〜20のフルオロアルキル基、
フルオロアリール基、フルオロシクロアルキル基、フル
オロアルキルアリール基、フルオロアリールアルキル基
からなる群より選択される基で、その基におけるフッ素
の元素数とフッ素及び炭素以外の元素数の比率が1:1
以上の含フッ素基である。)及び、 b.アミノ基含有化合物、 とを混合したもので処理されていることを特徴とするイ
ンクジェット記録ヘッドである。
【0021】以下、本発明を図面により詳細に説明す
る。尚、本発明においては、オリフィス付近に問題の解
決が絞られるものであるので、以後においては記録ヘッ
ドのオリフィスを含む部分のみを抽出して詳述するが、
本発明の主旨に沿うものであれば、以下の説明に限定さ
れることはなく、如何なるタイプのインクジェット記録
ヘッドでも、吐出オリフィスよりインクを吐出させるも
のであれば、本発明が適用可能である。
【0022】図2は、オリフィス面が露出した状態のイ
ンクジェット記録ヘッドで、基板101上に発熱素子1
02が設けられ、更に保護膜104を有している。この
上に覆い105が発熱素子102とインク流路111の
位置が合うように設けられている。
【0023】通常、撥インク処理はこの状態で行うこと
もできるし、必要ならばインク流路111内への撥イン
ク処理剤の流れ込みを最小限に抑えるため、インク流路
内に充填物を設けることもできる。撥インク処理剤が塗
布されるオリフィス面112は清浄に保つことが重要で
ある。清浄に保つ方法としては、溶剤を用いて洗浄する
方法、界面活性剤で洗浄する方法、プラズマ処理、紫外
線照射を行いながら酸素を導入する方法等が考えられる
が、前工程が清浄で、洗浄を行う必要がなければ、これ
を省略することもできる。尚、このオリフィス面を清浄
に保つことは、接着あるいは塗布等の際、通常行われる
ことであって、本発明に限定を加えるものではない。
【0024】次にオリフィス面に撥インク処理剤が塗布
される。本発明で用いる撥インク処理剤は、以下のa及
びbの物質が予め混合されたものを用いることを特徴と
するものである。
【0025】a.加水分解によりR1Si(OH)3を生
成する化合物 (但し、R1は炭素数1〜20のフルオロアルキル基、
フルオロアリール基、フルオロシクロアルキル基、フル
オロアルキルアリール基、フルオロアリールアルキル基
からなる群より選択される基で、その基におけるフッ素
の元素数とフッ素及び炭素以外の元素数の比率が1:1
以上の含フッ素基である。)及び、 b.アミノ基含有化合物。
【0026】そして、前記アミノ基含有化合物が、加水
分解によりR2Si(OH)3またはR23Si(OH)
2(但し、R2はアミノ基を含有する炭素数1〜20のア
ルキル基、アリール基からなる群より選択される基であ
り、R3は炭素数1〜10のアルキル基である。)を生
成する化合物であることは、特に好ましいものである。
【0027】ここで、aの化合物は、フッ素含有シラン
カップリング剤の一種で、具体的には、以下のものが挙
げられる。
【0028】
【化1】 (15)または(16)は商品名KP−801(信越化学工業
(株)製)として市販されている。
【0029】また、アミノ基を有する化合物の代表的な
ものとしては、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、
エチレンジアミン、トリエチルアミン等を挙げることが
できる。
【0030】さらに以下に示すアミノ基を有するシラン
カップリング剤も使用することができる。
【0031】
【表1】 上記aとbの混合は、aとbのみの混合物であっても良
いが、通常は溶剤を用い、両者を溶解した形で用いるの
が塗布膜を薄くでき、インク流路への入り込みを抑える
点から好ましい。
【0032】aとbの混合比は、aを1に対してbを1
/1000〜100倍の範囲で選ぶことができる。aの
比率が高いと加熱処理時に流動性が発現しインク流路内
に入り込む可能性が高くなり、逆にbの比率が高くなる
と撥インク性が悪くなる。
【0033】bは、接着を目的とする一般のシランカッ
プリング剤では、加水分解の触媒として用いられること
がある(参考文献、R. L. Kausら、SPE 34th ANTEC Sec
tion3, 22-26(1976))。しかしながら、フッ素含有シラ
ンカップリング剤に対して用いるとアミノ基の活性が高
いために、フッ素含有シランカップリング剤本来の撥
水、撥油性を損なうおそれがあるため、今まで用いられ
たことはなかった。ところが、インクジェット記録ヘッ
ドのオリフィス面の処理に用いると、前述したインク流
路内への入り込みを抑えることができ、特に有効な方法
であることが判った。
【0034】aとbの混合物または混合溶液をオリフィ
ス面に塗布する方法としては、 1.ゴム、プラスチック等の弾性体の表面に薄くaとb
の混合物を塗布した後、オリフィス面に加圧転写するこ
とで塗布する方法。この方法では、インク流路内に充填
物を入れることは特に必要ない。 2.ハケ塗り、スプレー塗布、あるいは希釈液中に浸漬
するなどの方法。この方法ではインク流路内に撥インク
処理剤が入り込む可能性があるので、インク流路内に充
填物を充填することが必要となる。この場合、充填物
は、撥インク処理剤の塗布が終了した時、あるいは硬化
が終了した後に除去すれば良い。
【0035】次に塗布された撥インク処理剤を加熱硬化
させ、撥インク膜が形成される。このようにしてインク
ジェット記録ヘッド100が形成される。得られたイン
クジェット記録ヘッド100のオリフィス付近の外観斜
視図を図1に示す。
【0036】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出させる方
式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもた
らすものである。
【0037】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明
細書に開示されている基本的な原理を用いて行なうもの
が好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コン
ティニュアス型のいずれにも適用可能である。
【0038】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて
核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つ
の駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱
エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸
騰を生じさせる。このように液体(インク)から電気熱
変換体に付与する駆動信号に一対一対応した気泡を形成
出来るため、特にオンデマンド型の記録法には有効であ
る。この気泡の成長、収縮により吐出口を介して液体
(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成す
る。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気
泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液
体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパ
ルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号
明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているよう
なものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率
に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載さ
れている条件を採用すると、さらに優れた記録を行なう
ことができる。
【0039】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液流路、電気熱変換
体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)
の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を
開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,4
59,600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるもので
ある。
【0040】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギーの圧力
波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する
特開昭59年第138461号公報に基づいた構成としても本発
明は有効である。
【0041】さらに、本発明が有効に使用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅
に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0042】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0043】また、本発明の記録装置に、記録ヘッドに
対しての回復手段や、予備的な補助手段などを付加する
ことは本発明の記録装置を一層安定にすることができる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニン
グ手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいは
これとは別の加熱素子、あるいはこれらの組み合わせに
よる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出
モードを行なう手段を付加することも安定した記録を行
なうために有効である。
【0044】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成したるものか、複数個の組み合わせに
よって構成したものかのいずれでもよいが、異なる色の
複色カラーまたは、混色によるフルカラーの少なくとも
一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0045】以上の説明においては、インクを液体とし
て説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクで
あって、室温で軟化もしくは液体あるいは、上述のイン
クジェットではインク自体を30℃以上70℃以下の範
囲内で温度調整を行なってインクの粘性を安定吐出範囲
にあるように温度制御するものが一般的であるから、使
用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよ
い。
【0046】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止する
かまたは、インクの蒸発防止を目的として放置状態で固
化するインクを用いることもできる。いずれにしても熱
エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液
化してインク液状として吐出するものや記録媒体に到達
する時点ではすでに固化し始めるものなどのような、熱
エネルギーによって初めて液化する性質のインク使用も
本発明には適用可能である。
【0047】このような場合インクは、特開昭54-56847
号公報あるいは特開昭60-71260号公報に記載されるよう
な、多孔質シートの凹部または貫通孔に液状または固形
物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向
するような形態としてもよい。
【0048】本発明においては、上述した各インクに対
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0049】図7は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装
着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示
す外観斜視図である。
【0050】図において、701はプラテン707上に
送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を
行うノズル群を備えたインクジェットヘッドカートリッ
ジ(IJC)である。702はIJC701を保持する
キャリッジ(HC)であり、駆動モーター703の駆動
力を伝達する駆動ベルト704の一部と連結し、互いに
平行に配設された2本のガイドシャフト705及び70
6と摺動可能とすることにより、IJC701の記録紙
の全幅にわたる往復移動が可能となる。
【0051】708はヘッド回復装置であり、IJC7
01の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向
する位置に配設される。伝動機構709を介したモータ
ー710の駆動力によって、ヘッド回復装置708を動
作せしめ、IJC701のキャッピングを行う。このヘ
ッド回復装置708のキャップ部711によるIJC7
01へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置7
08内に設けた適宜の吸引手段によるインク吸引もしく
はIJC701へのインク供給経路に設けた適宜の加圧
手段によるインク圧送を行い、インクを吐出口より強制
的に排出させることによりノズル内の増粘インクを除去
する等の吐出回復処理を行う。また、記録終了時等にキ
ャッピングを施すことにより記録ヘッドが保護される。
【0052】712はヘッド回復装置708の側面に配
設されるクリーニングブレードである。ブレード712
はブレード保持部材713にカンチレバー形態で保持さ
れ、ヘッド回復装置708と同様、モーター710及び
伝動機構709によって動作し、IJC701の吐出面
との係合が可能となる。これにより、IJC701の記
録動作における適切なタイミングで、あるいはヘッド回
復装置708を用いた吐出回復処理後に、ブレード71
2をIJC701の移動経路中に突出させ、IJC70
1の移動動作に伴ってIJC701の吐出面における結
露、濡れあるいは塵埃等を拭き取るものである。
【0053】
【実施例】以下、実施例にて本発明の記録ヘッドにつき
具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定され
るものではない。
【0054】実施例1 図2に示すような発熱ヘッドを先ず作成した。基板10
1としては、0.5mm厚の単結晶シリコン基板を用
い、発熱抵抗体102はHfB2スパッタリングで厚さ
500Åで作成され、電極としてはアルミニウム蒸着で
厚さ5000Åで作成され、保護膜はSiO2スパッタ
リングで厚さ3μmに作成された。
【0055】覆い105は青板ガラス上に感光性樹脂で
溝を形成したものを用い、これを上記基板101上に発
熱抵抗体と溝の位置が合うように接着した。
【0056】一方、フロン−113に1%のKP−80
1(信越化学工業(株)製)及び1%のγ−アミノプロ
ピルトリメトキシシランを溶解混合した溶液を、よく洗
浄された厚さ0.5mmのシリコンゴム上にスピンナー
コートし、これを前記オリフィス面に加圧転写させた。
その後、150℃、20分間で加熱硬化させた。
【0057】実施例2 図3に示すような構成のインクジェット記録ヘッドに撥
インク処理を行った。即ち、先端が細められたガラス管
301(インク流路部内径0.2mm、オリフィス部内
径0.05mm)にピエゾ振動素子302を付設させ
た。オリフィス305とは反対の端部にはポリ塩化ビニ
ル製のパイプ306をインク導入管として接続した。オ
リフィス面は外壁面を酸化セリウム(平均粒径0.1μ
m)を用い研磨した後、蒸留水でよく洗浄し乾燥させ
た。次にインク流路内に水銀を充填した後、撥インク処
理剤として実施例1と同じものを用い、この溶液に前記
オリフィス面近傍を浸漬するようにして処理した後、水
銀を除去し、150℃の熱風で乾燥及び硬化を行い撥イ
ンク性膜307を形成しインクジェット記録ヘッドを作
成した。
【0058】比較例1 撥インク処理剤としてKP−801の1%フロン−11
3溶液を用いた以外は実施例1と同様の工程でインクジ
ェット記録ヘッドを作成した。加熱硬化中にインク流路
内に撥インク処理剤の入り込みが認められた。
【0059】比較例2 比較例1と同じ撥インク処理剤を用い、ヘッドには予め
インク流路内にパラフィンを充填した後、実施例1と同
様の方法で撥インク処理剤を加圧転写した後、150
℃、20分間で加熱硬化処理を行った後、トルエンでパ
ラフィンを溶解除去し、インクジェット記録ヘッドを作
成した。
【0060】比較例3 比較例1と同じ撥インク処理剤を用い、実施例2と同様
の方法で撥インク処理を行い実施例2と同じタイプのイ
ンクジェット記録ヘッドを作成した。
【0061】表2に以上の実施例、比較例で作成したイ
ンクジェット記録ヘッドを用いた初期印字試験及び回復
操作後の印字試験結果を示す。
【0062】
【表2】 表からも明らかなように、本発明のインクジェット記録
ヘッドは初期印字において良好な印字が得られ、また、
ゴムブレードによる”オリフィス面ふき”という回復操
作後も良好な印字が得られた。また、そのオリフィス面
は初期と変らず、耐久性のあることが明らかとなった。
これに対して、比較例1では、加熱硬化処理により撥イ
ンク処理剤がオリフィスの内部に入り込んだため、初期
印字から不良であった。比較例2、3では初期印字は良
好なものが得られたが、回復操作を行うことにより、撥
インク性膜が損傷を受け、そのかすがオリフィスの内部
に入り込み印字不良を引起こした。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、撥インク処理剤と
してフッ素含有シランカップリング剤とアミノ基含有化
合物の混合物を用いることにより、以下の効果が得られ
る。
【0064】1.撥インク性膜の強度が増す。そのた
め、回復操作のような擦りに対しても耐久性がある。そ
の結果、良好な印字品位を長期に保つことができ信頼性
の高いヘッドを提供できる。
【0065】2.撥インク処理剤の加熱硬化の際、塗布
したものが移動する事無く、そのためオリフィスが開口
したままでも処理可能である。その場合、インク流路内
に充填物を入れる必要がないので、処理が簡単に行え、
ヘッド作成にかかるコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したインクジェット記録ヘッドの
オリフィス近傍の外観斜視図である。
【図2】本発明を実施する直前のインクジェット記録ヘ
ッドの一例の断面図である。
【図3】本発明を実施した他のインクジェット記録ヘッ
ドの例を示す断面図である。
【図4】従来の処理を行ったインクジェット記録ヘッド
の断面図である。
【図5】図4のインクジェット記録ヘッドのオリフィス
付近の外観斜視図である。
【図6】従来の処理を行ったインクジェット記録ヘッド
の断面図である。
【図7】本発明により得られた記録ヘッドインクジェッ
トヘッドカートリッジとして装着したインクジェット記
録装置の一例を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
101、401 基板 102、402 発熱素子 107、407 撥インク性膜 301、601 導管 302、602 ピエゾ素子 307、607 撥インク性膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク流路として細孔を有し、この細孔
    の一端をオリフィスとして前記インクの小滴を吐出、飛
    翔させ、このインク小滴の被記録面への付着を以て記録
    を行うインクジェット記録ヘッドにおいて、少なくとも
    前記オリフィスの周縁部が、 a.加水分解によりR1Si(OH)3を生成する化合物 (但し、R1は炭素数1〜20のフルオロアルキル基、
    フルオロアリール基、フルオロシクロアルキル基、フル
    オロアルキルアリール基、フルオロアリールアルキル基
    からなる群より選択される基で、その基におけるフッ素
    の元素数とフッ素及び炭素以外の元素数の比率が1:1
    以上の含フッ素基である。)及び、 b.アミノ基含有化合物、 とを混合したもので処理されていることを特徴とするイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記アミノ基含有化合物が、加水分解に
    よりR2Si(OH)3またはR23Si(OH)2(但
    し、R2はアミノ基を含有する炭素数1〜20のアルキ
    ル基、アリール基からなる群より選択される基であり、
    3は炭素数1〜10のアルキル基である。)を生成す
    る化合物であることを特徴とする請求項1に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 記録媒体の記録領域の全幅にわたってオ
    リフィスが複数設けられているフルラインタイプのもの
    であることを特徴とする請求項1または2に記載のイン
    クジェット記録ヘッド
  4. 【請求項4】 インク流路として細孔を有し、この細孔
    の一端をオリフィスとして前記インクの小滴を吐出、飛
    翔させ、このインク小滴の被記録面への付着を以て記録
    を行うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    少なくとも前記オリフィスの周縁部を、 a.加水分解によりR1Si(OH)3を生成する化合物 (但し、R1は炭素数1〜20のフルオロアルキル基、
    フルオロアリール基、フルオロシクロアルキル基、フル
    オロアルキルアリール基、フルオロアリールアルキル基
    からなる群より選択される基で、その基におけるフッ素
    の元素数とフッ素及び炭素以外の元素数の比率が1:1
    以上の含フッ素基である。)及び、 b.アミノ基含有化合物、 とを混合したもので処理することを特徴とするインクジ
    ェット記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記アミノ基含有化合物が、加水分解に
    よりR2Si(OH)3またはR23Si(OH)2(但
    し、R2はアミノ基を含有する炭素数1〜20のアルキ
    ル基、シクロアルキル基、アリール基からなる群より選
    択される基であり、R3は炭素数1〜10のアルキル基
    である。)を生成する化合物であることを特徴とする請
    求項3に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 記録媒体の被記録面に対向してインクを
    吐出するオリフィスが設けられている請求項1に記載の
    インクジェット記録ヘッドと、該記録ヘッドを載置する
    ための部材とを少なくとも具備することを特徴とする記
    録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6685301B2 (en) * 2001-02-08 2004-02-03 Canon Kabushiki Kaisha Liquid repellent member, method for manufacturing liquid repellent member, ink jet head using liquid repellent member, method for manufacturing ink jet head and method for supplying ink
JP2011240702A (ja) * 2010-05-14 2011-12-01 Xerox Corp 撥油性表面コーティング

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