JPH06124777A - 誘導加熱調理器用鍋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属鍋が一般的である誘導加熱調理器用鍋に
おいて金属製の外観を排して、特に食卓に持ち込んだ場
合に違和感なく食事の雰囲気作りを阻害することがな
く、卓上煮炊料理に使用して特に好ましい雰囲気をかも
し出す新規な誘導加熱調理器用鍋を提案する。 【構成】 誘導加熱調理器用鍋(10)を、木製あるいは耐
熱樹脂製の鍋状の外容器(1) 及びこの外容器の内面少な
くとも底面に固定された誘導加熱される発熱用金属体
(2) とから構成する。なお、前記発熱用金属体が誘導加
熱調理器の発生する磁束の有効高さ内に位置するように
前記外容器の底部の厚さ(H) を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、誘導加熱調理器と組合
せ使用され煮炊きされる調理対象物を入れる容器である
誘導加熱調理器用鍋に関する。

【０００２】

【従来の技術】各種の電気発熱方式の中で誘導加熱は、
交番磁束中に置かれた磁性体に生じる渦電流によるジュ
ール熱を利用するもので、比較的新しい方式であるが、
既に家庭用の調理用加熱器として確立されている。図３
は、このような誘導加熱調理器の一例を示す外観図、ま
た図４はその概略断面図である。

【０００３】誘導加熱調理器自体は周知であるが、概略
説明すると、１１は本体であり、上面にはトッププレー
ト１２となっていて、この上に誘導加熱調理器用の容器
（鍋等）が載置される。トッププレート１２の下面所定
距離に位置して加熱用コイル３が配設されている。本体
１１内部には前記加熱コイル３に高周波電流を供給する
ためのインバータ回路等の電子回路部１４、１４′が収
納されている。１３は本体前面に設けられた出力調整具
である。この出力調整具１３の操作により、通電あるい
は出力の調整ができる。

【０００４】前記トッププレート１２上には所定の容器
が調理品を収納して載置され、加熱用コイル３が交番磁
束を発生し、この交番磁束に基づき前記容器の底面に誘
起される渦電流の発熱作用で容器が加熱され、調理に供
される。

【０００５】ところで、こうした誘導加熱調理器と組合
せて使用される容器には、交番磁束に基づき発熱する、
例えば、１８−０ＳＵＳ（ステンレス）の様な磁性体材
料が使用される。こうした磁性体材料で、鍋全体を一体
に形成するのが一般的である。このように、従来は誘導
加熱調理器用を含めて、鍋は金属製が一般的通念であ
り、調理場を連想させる。もっとも、底部にのみ前述磁
性材料を配置し、残る部分は陶器や耐熱ガラスとしたも
のもあるが、やはり調理場と密着した観念を伴うもので
ある。

【０００６】ところで、誘導加熱器は調理現場にて使用
される他、食卓にて卓上煮炊料理に使用される場合も多
く、この場合誘導加熱調理器をそのまま卓上に載置し使
用することができる。また、その安全性や加熱対象を直
接発熱させる特性から、更には食卓自体に作り付けた形
態でも利用され、食卓の天板裏側に目立たぬように取付
ければ食卓に顕著な凹凸もなく電源コード等も目に触れ
ないことから、加熱源の存在を意識させない食事に好ま
しい雰囲気を提供している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述の様に、加熱源に
誘導加熱調理器を利用すると食事に好ましい雰囲気を持
ち込むことができるのであるが、一方で調理材料を収容
し調理をする或いは調理済みの料理を収容して保温する
ための鍋については、前述したように、金属鍋が一般的
であり選択の余地が無く食卓に持ち込んだ場合に食事の
雰囲気作りを阻害するものであった。

【０００８】本発明は、このような状況に鑑みてなされ
たもので、誘導加熱調理器用鍋の選択幅を広げて、特に
金属製の外観を排して食卓に持ち込んでも違和感なく、
卓上煮炊料理に使用して特に好ましい雰囲気をかもし出
す新規な誘導加熱調理器用鍋を提案することをその目的
とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】課題を解決するために、
本願発明では誘導加熱調理器用鍋を、木製あるいは耐熱
樹脂製の鍋状の外容器と、この外容器の内面少なくとも
底面に固定された誘導加熱される発熱用金属体とで構成
する。

【００１０】

【作用】本願の鍋は誘導加熱調理器に載置されると、誘
導加熱調理器からの磁束に反応して前記発熱用金属体が
発熱し接触する水や汁等を加熱して所望の調理や保温が
行われる。しかし、外観上からは木製あるいは耐熱樹脂
製の外容器しか目に触れないから金属製の鍋を想起させ
ず、調理場を連想することが無く、食事に好ましい雰囲
気を楽しめる。特に、誘導加熱調理器を目立たないよう
に作りつけた食卓にて用いる場合には、一層効果的であ
る。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を実施例を挙げ添附図面に沿っ
て詳細に説明する。図１は、本願発明の誘導加熱調理器
用鍋の一実施例を示す断面図であり、同時に食卓に作り
付けられた誘導加熱（調理）部のコイルを示している。

【００１２】図の誘導加熱調理器用鍋１０は、鍋状の外
容器１とその内側に密着固定された同じく鍋状の発熱用
金属体２とで構成されている。外容器１は、木製あるい
は耐熱樹脂製でなり外観からは金属を想起させない。こ
れら材料は非磁性体であり磁束は通過する。発熱用金属
体２は、少なくとも底面には在ることが必要であり、実
施例では鍋状で誘導加熱調理器用鍋１０の上縁部まで連
続的に一体に形成され内容器ともなっている。この発熱
用金属体２には、誘導加熱の原理に基づいて交番磁束に
より発熱する金属材料、例えば１８−０ＳＵＳ等が用い
られる。

【００１３】前記外容器１の底部１ａは所定の厚みＨに
形成されており、従って前記発熱用金属体２も誘導加熱
調理器用鍋１０の底下面より所定距離（下面でＨとな
る）に位置している。上記底部の厚みＨは、厳密には使
用が想定される誘導加熱調理器の構成に対応して決定さ
れる。即ち、誘導加熱調理器のコイル３から発生する磁
束は巻回されたコイルの両面に生じ、その密度はコイル
からの距離に応じて変化し所定距離で密度が極大とな
る。この磁束密度極大部に発熱用の磁性体を位置させる
と熱効率が良く望ましい。

【００１４】本願では、前記磁束密度極大値に近い値を
得られる範囲を磁束の有効部と記載するものとする。こ
の有効部の図１における上方の限界面を符号Ｌを付して
表す。上述の前記発熱用金属体２が誘導加熱調理器用鍋
１０の底下面より所定距離（下面でＨとなる）に位置す
るように前記外容器１の底部１ａを所定の厚みＨに形成
するとは、換言すると、前記発熱用金属体２が誘導加熱
調理器のコイル３が発生する磁束の有効部に位置するよ
うにすることである。勿論、前記発熱用金属体２が誘導
加熱調理器のコイル３が発生する磁束の密度極大部に位
置することが好ましいが、その位置は組合せて使用され
る誘導加熱調理器毎に若干異なるため一義的に決定する
ことは無意味であり、有効範囲内に位置すれば許容でき
る範囲の効率低下に収まる。

【００１５】なお、一般の誘導加熱調理器ではトッププ
レート（あるいは食卓載置面）の表面が磁束密度の極大
部と略一致するように設計されるから、前述した、前記
外容器の底部の厚さを前記発熱用金属体が誘導加熱調理
器の発生する磁束の有効部内に位置するように設定す
る、とは一般には即ち、外容器の底部の厚さを一定値以
下にすることと等価である。

【００１６】以上説明した構成の、本願発明の誘導加熱
調理器用鍋は、誘導加熱調理器に載置されると、前記発
熱用金属体が誘導加熱調理器からの磁束に反応して（う
ず電流損による）発熱し、これと接触する誘導加熱調理
器用鍋１０内に用意された水や汁等を加熱して所望の調
理や保温が行われる。勿論水や汁等とともに料理材料が
あればこれを調理あるいは保温することができる。

【００１７】この時、利用者は外観上からは木製あるい
は耐熱樹脂製の外容器１しか目にしないから、金属製の
鍋や調理場を連想することが無く、食事に好ましい雰囲
気を楽しめる。なお、誘導加熱調理器１０単体を用いて
も良いが、図２に示すように、誘導加熱調理器２０を目
立たないように作りつけた食卓３０にて用いる場合に
は、一段と効果的である。

【００１８】なお、誘導加熱調理器用鍋の厚みＨを、既
述したように誘導加熱器の構成に併せて設定しておけ
ば、載置使用時には誘導加熱調理器のコイル３から発生
する磁束の有効部に前記発熱用金属体が確実に位置する
の調理あるいは保温効果を効率的に発揮する。

【００１９】付言すると、本願発明の誘導加熱調理器用
鍋１０は、水あるいは汁を伴う煮炊き料理に使用される
もので、焼物には適さない。以上の説明では、蓋につい
て触れていないが、いうまでもなく適宜の蓋と組み合わ
せて用いても良く、また前述した外容器と同一外観の蓋
と組合せて用いても良い。

【００２０】なお、前記発熱用金属体の表面に更に、適
宜の機能層（保護層等）を設けても良い。上述実施例で
は、発熱用金属体は誘導加熱調理器用鍋の上端まである
言わば内容器状のものを用いたが、この形状に限らず内
面底部に固定した平板状のものであっても良い。本願の
発熱用金属体は、要は外容器の内面少なくとも底面に存
在すれば足りる。また、前記外容器の外表面に適宜装飾
を施したり、紋様を付すことも所望に応じて可能であ
る。

【００２１】以上説明した本願発明は上述実施例に限ら
ず、一般に水（汁、酒等も含む）を食卓上で適温に保つ
用途に広く使用することができ、例えば徳利に入れた日
本酒の燗等に用いることもできる。

【００２２】

【発明の効果】以上詳述したとおり本願両発明の誘導加
熱調理器用鍋は、木製あるいは耐熱樹脂製の鍋状の外容
器と、この外容器の内面少なくとも底面に固定された誘
導加熱される発熱用金属体とで一体に形成されているの
で、卓上煮炊料理用或いは保温用の目的で食卓に持ち込
んでも、外観上からは木製あるいは耐熱樹脂製の外容器
しか目に触れないから金属製の鍋を想起させず、調理場
を連想することが無く、食事に好ましい雰囲気を楽しめ
る。特に、誘導加熱調理器を目立たないように作りつけ
た食卓にて用いる場合には、一層効果的である。

【００２３】なお、前記発熱用金属体が誘導加熱調理器
の発生する磁束の有効高さ内に位置するように前記外容
器の底部の厚さが設定すれば、単に誘導加熱調理器ある
いは食卓（実際には誘導加熱器）の上に載置するのみ
で、発熱用金属体が誘導加熱調理器の発生する磁束の有
効部に自然と位置するので、誘導加熱効果に損失が無
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明の誘導加熱調理器用鍋の一実施例を誘
導加熱部とともに示す一部断面側面図である。

【図２】本願発明の誘導加熱調理器用鍋の一使用例を示
す図である。

【図３】本願発明に係る誘導加熱調理器の一例を示す外
観斜視図である。

【図４】本願発明に係る誘導加熱調理器の内部構成の一
例を示す側断面図である。

【符号の説明】

１…外容器、 ２…発熱用金属体、 ３…コイル（誘導加熱調理器）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 木製あるいは耐熱樹脂製の鍋状の外容器
   (1) と、 この外容器(1) の内面少なくとも底面に固定された誘導
   加熱される発熱用金属体(2) とから成る誘導加熱調理器
   用鍋。