JPH06110903A - 建築コストシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】詳細な図面がなくても最終の契約見積額に近い
工事費を、設計初期に合理的に見積ることが可能なシス
テムの提供を目的とする。 【構成】 建築物の工事費用を中細項目別の費用と、そ
の工事費に影響を与える影響要因とを選択してＯＣＲシ
ート１に記載する。そして、ＯＣＲシート１のデータを
基礎データ入力端末機２に入力し、工事費用と影響要因
とから統計解析により中細項目ごとの統計理論値を算出
する。情報センター３は、基礎データ入力端末機２の基
礎データを受信する機能を備え、統計解析により求めら
れた統計理論値を蓄える。登録利用者のもとに設置され
るユーザー端末機４は、公衆回線５を介して建物の概要
データを情報センター３に送信し、情報センター３が算
出した各中細項目設備ごとの工事費見積書をユーザー端
末機４から出力する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、特に、建築物の概略
図面から工事費を算出するのに好適な建築コストシステ
ムに関する

【０００２】

【従来の技術】従来、コンピュータを使用して建物工事
費を見積る場合、完成された詳細な図面を基に、建築資
材の量を合計し、この数量から工事費用を算出するもの
である。また詳細な図面がまだ作成されない設計初期の
段階には、建築積算の専門家が、過去の経験を通して建
物の概要から建築工事費の見積りをする。この場合、専
門家はラフプランや基本設計図を基にして、過去の実績
データから類似する建築物を選び出し、その工事の見積
書を参考に建築工事費を見積っている。そして、設計後
期に詳細な図面が作成されると、この図面から詳細な材
料、数量を算出し、設計初期の見積を見直して最終的な
契約見積書が作成される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のコン
ピュータ使用の見積は、詳細な図面がなければできない
ので、設計後期の使用のみに限定され、詳細図面がない
設計初期に使用して見積ることは不可能であった。しか
も、設計後期において、詳細な図面を基にして見積額を
算出する場合でも、建築資材の量を詳細に算出すること
から、多大な積算工数を要するものである。したがっ
て、詳細な図面を基に、資材データを積算するには、入
力データが極めて多く、工事ごとのデータ入力作業に多
くの手間を要するものであった。

【０００４】一方、専門家が過去のデータを基に見積る
手段によると、類似の建物のデータから類推するものな
ので、詳細図面から最終的に見積った見積額と大巾な差
異が生じやすく、この結果、予算調整のための大巾な設
計変更や、再見積のための経費が掛かるなど、莫大な経
費ロスが費やされるケースは少なくない。しかも、最終
の見積額に近い額を工事の当初に見積るには、永い見積
経験に裏付けされた熟練した勘が必要である。ところ
が、技術者不足の傾向の中では、これらの経験による見
積が不可能にになりつつあるのが当業界の実状である。

【０００５】また、建築工事費用が正確に算出されたと
しても、この建築工事に付帯する電灯設備工事や空調機
器設備工事等の設備仕様について、豊富な知識がなけれ
ば設備工事費用を含む工事費全体の見積をすることは困
難である。そこで、設計の初期において、建物内容に適
応した設備仕様書を利用することができる見積システム
の提供が望まれていた。

【０００６】この発明は、上述のごとき当業界の現状に
鑑み、詳細な図面がなくても最終の契約見積額に近い額
を、設計の初期に合理的に見積ることが可能で、且つ、
同時に見積額に対応した設備仕様書を作成することがで
きる建築コストシステムの提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成すべく
この発明は、基礎データ入力端末機２と、ユーザー端末
機４と、情報センター３とで建築コストシステムを構成
する。基礎データ入力端末機２は、過去の建築物の工事
費用から収集分析した中細項目別の工事費用と、この工
事費用に影響を与える影響要因とを記載したＯＣＲシー
ト１から基礎データが逐次入力され、基礎データの工事
費用と影響要因との統計解析により中細項目別工事費の
統計理論値を算出して情報センター３に入力する。ユー
ザー端末機４は、登録利用者のもとに各々設置され、公
衆回線５を介して積算する建物の概要データを情報セン
ター３に送信する。情報センター３は、基礎データ入力
端末機２の基礎データを受信する機能を備え、統計解析
により求められた中細項目の工事費別の統計理論値を蓄
え、ユーザー端末機４から入力された概要データと工事
費別の統計理論値とから、中細項目ごとの工事費用見積
を算出するものである。また、情報センター３は、予め
地域ごとに入力された気温、地震の頻度、労働者賃金の
レベル、積雪の有無、凍結震度等のコスト要因を蓄積
し、積算する建設地域のコスト要因を判別する。更に、
情報センター３は、ユーザー端末機４から送信される建
物の概要（建設地、敷地条件、用途、規模、グレード）
データから、適切な設備システムを自動選択して設備中
細項目ごとの設備仕様書を自動作成する機能を有する。

【０００８】

【作用】この発明によると、中細項目別の工事費用と影
響要因との相関関係を統計解析手法によって算出した統
計理論値は、情報センター３のデータベース３Ｂに逐次
保存される。そして、データベース３Ｂに蓄積された統
計理論値を使用し、ユーザー端末機から入力された概要
データに基づく中細項目別の工事見積が算出されるもの
である。一方、情報センター３は、建設地の気象条件、
敷地条件、用途、規模、グレードの条件から建物内容に
適応した設備システムを自動選択する。そして、設備中
細項目工事ごとに見積金額に対応する設備仕様書が自動
作成される。また、情報センター３は、予め蓄積された
コスト要因を積算データとして使用する。

【０００９】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を詳
細に説明する。このシステムの主要構成は、ＯＣＲシー
ト１、基礎データ入力端末機２、情報センター３、ユー
ザー端末機４、公衆回線５で構成する。

【００１０】ＯＣＲシート１は、過去の契約見積書１Ａ
や契約図面１Ｂから中細項目別の工事費と、その工事費
に影響を与える影響要因とを分類して記入するものであ
る。中細項目別の工事費とは、例えば、仮設工事や左官
工事、電灯設備など、およそ200 項目である。また、中
細項目工事費に影響を与える影響要因とは、建設地の気
温、地震の頻度、労働者賃金のレベル、積雪の有無、凍
結深度、仕上げのグレード等、およそ500 項目を判別し
て地域ごとのコスト要因とするものである。このとき、
地域ごとのコスト要因を、建設地の郵便番号ごとに類別
しておくことで、郵便番号を入力するだけで、地域ごと
のコスト要因を出力することが可能になる。

【００１１】基礎データ入力端末機２は、ＯＣＲシート
１に記入された基礎データを入力し、この基礎データの
中細項目別の工事費用と影響要因との相関を統計解析に
て求めこの統計理論値を情報センター３に送る。このと
き、ＯＣＲシート１からの基礎データ入力は、最新の契
約見積書等から逐次入力するもので、算出された統計理
論値は、カテゴリースコアとしてスコアリスト２Ｂに出
力される。

【００１２】情報センター３は、基礎データ入力端末機
２の基礎データを受信する機能を備えるホストコンピュ
ータ３Ａと、基礎データ入力端末機２からのデータを蓄
積するデータベース３Ｂとで構成する。図示例では、基
礎データ入力端末機２からの送信を公衆回線５を介して
行なっているが、特に公衆回線５を使用しなくてもよ
い。また、情報センター３は、ユーザー端末機４から送
信される建物の概要（建設地、敷地条件、用途、規模、
グレード）データから、適切な設備システムを自動選択
して設備中細項目ごとの設備仕様書を自動作成する機能
を有する。更に情報センター３は、前記基礎データ入力
端末機２を介して予め地域ごとに入力された気温、地震
の頻度、労働者賃金のレベル、積雪の有無、凍結震度等
のコスト要因を蓄積し、積算する建設地域のコスト要因
を判別する。

【００１３】ユーザー端末機４は、公衆回線５を介して
情報センター３に結ばれるもので、ユーザーが希望する
建築物の概要データ６を情報センター３に送信し、この
概要データ６から得られる見積書７を出力する機能を有
している。ユーザー端末機４は、登録された特定利用者
が多数使用するものであることから、公衆回線５は、シ
ングルタスク方式やマルチタスク方式などを予定してい
る。また、通信時間を短縮するため、概要データ６の入
力や見積書７の出力は、フロッピーディスクを用いた一
括送信システムも予定している。

【００１４】概要データ６とは、例えば、建物の所在地
（建設地）や建物の大きさ、種類などの建物概要情報、
あるいは、敷地の面積、道幅などの敷地情報、構造、耐
震工法の有無、形状などの構造・形状情報などで、ユー
ザー端末機４の画面で４画面程度の入力項目を予定して
いる。

【００１５】次に、ユーザーの概要データ６入力から、
見積書７が出力されるまでの流れを説明する。ユーザー
端末機４から情報センター３に送信された概要データ６
によって、まず、電気、給排水、衛生、空調設備方式が
自動選択される。また、概要データ６を基に、施工地
域、用途、規模、グレードの条件を判別し、これらの条
件に適応する統計理論値を選択する。更に、自動選択さ
れた設備内容に適応するカテゴリースコアが選択されて
各中細項目の工事費別に見積を算出する。そして、この
見積は、ユーザー端末機４から出力されるものである。

【００１６】

【発明の効果】この発明は上述の如く構成したことによ
り、詳細な図面がなくても最終の見積額に近い額を、設
計初期に合理的に見積ることができ、また、設計の初期
から建物内容に適応した設備仕様書を作成することがで
きる。すなわち、過去の契約見積書１Ａや契約図面１Ｂ
のデータを、中細項目の工事費用と工事費に影響を与え
る影響要因との相関関係を統計解析することによって得
られた統計理論値を基に見積りするシステムであるか
ら、類似の建物のデータから類推する見積に比べて、極
めて精度の高い見積が設計初期に算定できる。

【００１７】しかも、ユーザーは、ユーザー端末機４か
ら概要データ６を入力するだけで、中細項目別の設備仕
様が自動選択され、この仕様に対応する見積りが算定さ
れるから、仕様の明示が無い見積金額によって、後に金
額と仕様都とにくいちが生ずるいった従来の不都合は解
消された。

【００１８】また、情報センター３は、ユーザー端末機
４から送信される建物の概要（建設地、敷地条件、用
途、規模、グレード）データから、適切な設備システム
を自動選択して設備中細項目ごとの設備仕様書を自動作
成するから、詳細図面が作成される前の設計初期の段階
から具体的な検討が可能になる。

【００１９】更に、基礎データ入力はＯＣＲシート１の
項目別に記入することで分類されるので、このＯＣＲシ
ート１に記載されたデータをそのまま入力することで、
統計解析に必要な基礎データが入力される。後は、ユー
ザー端末機４から送られた建物の概要データを基に、情
報センター３が統計解析手法によって見積を算定するか
ら、熟練した勘や、永い見積経験がなくても容易に見積
を算定することができる。

【００２０】このように本発明によると、詳細な図面が
なくても最終の見積額に近い額を、設計初期に合理的に
見積ることができ、また、設計の初期からて建物内容に
適応した設備仕様書を作成することができるなどといっ
た産業上有益な種々の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すブロック図である。

【符号の説明】

１ ＯＣＲシート １Ａ 過去見積書
１Ｂ 図面 ２ 基礎データ入力端末機
２Ａ モデム ２Ｂ スコアリスト ３ 情報センター ３Ａ ホストコンピュータ ３Ｂ データベース ４ ユーザー端末機 ４Ａ モデム ５ 公衆回線 ６ 概要データ ７ 見積書

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基礎データ入力端末機と、ユーザー端末
   機と、情報センターとで構成する建築コストシステムで
   あって、 基礎データ入力端末機は、過去の建築物の工事費用から
   収集分析した中細項目別の工事費用と、この工事費用に
   影響を与える影響要因とを記載したＯＣＲシートから基
   礎データが逐次入力され、基礎データの工事費用と影響
   要因との統計解析により中細項目別工事費の統計理論値
   を算出して情報センターに入力し、 ユーザー端末機は、登録利用者のもとに各々設置され、
   公衆回線を介して積算する建物の概要データを情報セン
   ターに送信し、 情報センターは、基礎データ入力端末機の基礎データを
   受信する機能を備え、統計解析により求められた中細項
   目の工事費別の統計理論値を蓄え、ユーザー端末機から
   入力された概要データと工事費別の統計理論値とから、
   中細項目ごとの工事費用を算出することを特徴とする建
   築コストシステム。
2. 【請求項２】 情報センターは、予め地域ごとに入力さ
   れた気温、地震の頻度、労働者賃金のレベル、積雪の有
   無、凍結震度等のコスト要因を蓄積し、建設地域のコス
   ト要因を判別する請求項１，２記載の建築コストシステ
   ム。
3. 【請求項３】 情報センターは、ユーザー端末機から送
   信される建物の、建設地、敷地条件用途、規模、グレー
   ドのデータから適切な設備システムを自動選択して設備
   中細項目ごとの設備仕様書を自動作成する請求項１記載
   の建築コストシステム。