JPH06104401B2 - リアアクスルケース - Google Patents

リアアクスルケース

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JPH06104401B2
JPH06104401B2 JP61306326A JP30632686A JPH06104401B2 JP H06104401 B2 JPH06104401 B2 JP H06104401B2 JP 61306326 A JP61306326 A JP 61306326A JP 30632686 A JP30632686 A JP 30632686A JP H06104401 B2 JPH06104401 B2 JP H06104401B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はリアアクスルケースに係り、特に、球状黒鉛鋳
鉄により一体鋳造成形してなるリアアクスルケースに関
するものである。
〔従来の技術〕
従来、自動車の差動歯車及びこれから両側に延出された
車軸を収容するリアアクスルケースには以下のごとき構
造が採用されていた。
第２図は第１の従来例を示すものである。図示するよう
に、リアアクスルケース１には主に差動歯車ハウジング
２と車軸ハウジング３とから構成されている。車軸ハウ
ジング３は差動歯車ハウジング２から両側に延出して形
成されている。この車軸ハウジング３の端部には車軸を
回転自在に支持するエンド部４が形成されている。エン
ド部４の差動歯車ハウジング２側にはブレーキフランジ
５が形成されている。上記差動歯車ハウジング２の上部
にはフラット６が形成されている。また、上記車軸ハウ
ジング３の上部にはスプリングシート７が形成され、下
部にはトルクロッドブラケット８が形成されている。上
記車軸ハウジング３のエンブ部４は機械的性質の優れた
鍛造品にて形成されており、他の大部分はプレス品にて
形成され、これらの部品は溶接にて組み立てられてい
た。
この第１の従来例にあっては、複数の部品を溶接にて組
み立てるため、、生産性が悪く、強度上溶接部が欠陥と
なり、強度不足である場合には基本寸法を大きくして形
状を変更しなければ対応できないという問題があった。
また、プレス型の製造コストが高いため多種少量生産に
適していないという問題があった。
このような問題点を解決すべく第２の従来例にあっては
上記複数の部品を全て鋳鋼にて一体的に鋳造成形する構
造、或いは差動歯車ハウジング２及び車軸ハウジング３
を鋳鋼にて一体的に鋳造成形し、フラット６類のみボル
ト締結、又は溶接にて組み立てる構造が考え出された。
しかし鋳鋼は鋳込温度が高く、引け巣ができ易い等極め
て鍛造性が悪く、鋳型の制約が厳しい等製造コストが高
いという問題があった。
また、鋳造性が悪いため、薄肉化が困難であり、重量の
軽量化も困難であるという問題があった。
そこで、第３図に示す如き第３の従来例が考え出され
た。図示するように、第３の従来例にあっては強靭性を
必要とする車軸ハウジング３のエンド部４が気械的性質
の優れた鍛造品にて成形され、強度をその寸法形状で補
える車軸ハウジング３のエンド部４以外の部分及び差動
歯車ハウジング２の球状黒鉛鋳鉄にて一体的に鋳造成形
されており、これらはボルト締結により組み立てられて
いた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、第３の従来例にあっては次のごとき問題点が
あった。
鍛造品と球状黒鉛鋳鉄製の鋳造品とを溶接にて接合する
ことは現在の溶接技術では極めて困難であり強度上問題
がある。このためボルト締結により鋳造品にて成形され
た車軸ハウジング３のエンド部４と球状黒鉛鋳鉄製の鋳
造品にて成形された車軸ハウジング３のエンド部４以外
の部分及び差動歯車ハウジング２とを組み立てており、
部品点数が増し、十分な軽量化を図れないばかりか、製
造コストも高くなるという問題があった。
上述のごとき問題点に鑑みて本発明は十分に軽量で安価
な製造コストにて信頼性のあるリアアクスルケースを提
供することを目的とするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
従来技術における問題点を解決するために本発明のリア
アクスルケースは、差動歯車ハウジングからその両側へ
車軸ハウジングを延出させてなるリアアクスルケースに
おいて、上記差動歯車ハウジングと上記車軸ハウジング
とを球状黒鉛鋳鉄にて一体に鋳造成形し、鋳造成形後、
上記車軸ハウジングのブレーキフランジにより先端側の
エンド部を砂型の取外しによって冷却することにより、
高硬化で強靭な組織にするとともに、上記エンド部以外
の車軸ハウジングと上記差動歯車ハウジングとは砂型内
で徐冷することにより、柔軟性のあるフェライト型の組
織とし、上記エンド部の中間部位に位置する基部表面に
高周波焼入れにより焼入強化組織部を形成したことを特
徴とするものである。
〔作用〕
上記構成によれば、差動歯車ハウジングと車軸ハウジン
グとを球状黒鉛鋳鉄にて一体に鋳造成形すると共に、車
軸ハウジングのエンド部全体を他の部分よりも高硬度で
強靭な組織としかつ当該他の部分をフェライト型の組織
としたので、上記エンド部を、車軸を通じてかかる応力
にも破損（折損）することがないように十分に強化する
ことができる一方、エンド部以外の部分を、路面の突起
物と接触しても破損しないように十分に軟らかくするこ
とができる。このように、両ハウジングを球状黒鉛鋳鉄
にて一体に鋳造成形しても、車軸ハウジングのエンド部
と他の部分とに所定の機械的性質を持たせ、鋳造製が良
くかつボルト締結のない、軽量でかつ安価な信頼性の高
いリアアクスルケースを得ることができる。
また、エンド部に強靭性をもたせることで、良好な焼入
れ効果を得ることができるようになる。このため、更
に、このエンド部の基部表面に焼入強化組織部を形成す
ることにより、エンド部の強靭性を維持しつつも耐摩耗
性を可及的に高めることができる。
〔実施例〕
以下に本発明の一実施例を添付図面に従って詳述する。
第１図に示す如く、リアアクスルケース20は主の差動歯
車を収容する略球形状の差動歯車ハウジング21と、この
差動歯車ハウジング21から両側に延出され車軸を収容す
る円筒状の車軸ハウジング22とから成っている。これら
差動歯車ハウジング21と車軸ハウジング22とは球状黒鉛
鋳鉄にて一体に鋳造成形されている。上記差動歯車ハウ
ジング21の上部にはブラケット23が形成されている。ま
た、上記車軸ハウジング22の上部にはスプリングシート
24が形成され、下部にはトルクロッドブラケット25が形
成されている。これらブラケット23、スプリングシート
24及びトルクロッドブラケット25は本実施例にあっては
上記差動歯車ハウジング21と車軸ハウジング22と共に、
球状黒鉛鋳鉄にて一体に鋳造成形されているが、これら
の部品はボルト締結によって取り付けるようにしても良
い。上記車軸ハウジング22の端部にはエンド部26が形成
され、このエンド部26の差動歯車ハウジング21側にはブ
レーキフランジ27が形成されている。
車軸ハウジング22のエンド部26全体（図中Ａ部）の組織
が鋳込後の冷却速度を速めることにより、高強度で強靭
な組織となり強化されている。冷却速度は車軸ハウジン
グ22のエンド部26全体を砂型から早く取り出して自然冷
却させるか、或いは強制冷却させることにより速められ
ている。
また、上記車軸ハウジング22のエンド部26以外の部分と
差動歯車ハウジング21との部は、砂型内で放置冷却、即
ち徐冷することにより、柔軟性のあるフェライト型の組
織に形成されている。
更に、上記車軸ハウジング22のエンド部26の中間位置に
あって外側に車輪を回転自在に支持する軸受が配設され
る基部の表面には焼入強化組織部28が形成されている。
この焼入強化組織部28は高周波焼入を施すことにより形
成されている。
次に上記実施例におけるリアアクスルケースの製造工程
とリアアクスルケースの作用をより詳細に述べる。
先ず、差動歯車ハウジング21と車軸ハウジング22とを一
体に鋳造成形すべくこれらの砂型を分割可能に形成す
る。本実施例にあってはブラケット23類も同一砂型で一
体に鋳造成形する。そして、球状黒鉛鋳鉄を上記砂型に
鋳込む。鋳造成形後、上記車軸ハウジング22のエンド部
26全体（図中Ａ部）の砂型を分割して取外し、このエン
ド部26を自然冷却或いは強制冷却させてパーライト組織
を晶出することにより高硬度でかつ靭性を向上させて強
化する。車軸ハウジング22のエンド部26以外の部分、差
動歯車ハウジング21及びブラケット23類は砂型内に放置
して冷却、即ち徐冷する。次に上記車軸ハウジング22の
エンド部26の中間部位にあって外側に車輪を回転自在に
支持する軸受が配設されるところの基部の表面に高周波
焼入を施し、硬度を高めると同時に強度を上げる。これ
により、車軸ハウジング22に掛かる応力の集中する上記
エンド部26の基部が破損することが防止される。
その後、上記車軸ハウジング22のエンド部26以外の部分
と差動歯車ハウジング21との砂型を分割して取外す。こ
れにより、上記車軸ハウジング22のエンド部26以外の部
分と差動歯車ハウジング21は柔軟性のなるフェライト型
の球状黒鉛鋳鉄の組織となるため、硬度がHB＝150前後
の低い値となり、伸びの向上した機械的性質を得ること
ができる。そのため、路面の突起物と接触しても変形さ
せることにより、破壊が防止されるものである。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明のリアアクスルは、差動歯車ハウ
ジングからその両側へ車軸ハウジングを延出させてなる
リアアクスルケースにおいて、上記差動歯車ハウジング
と上記車軸ハウジングとを球状黒鉛鋳鉄にて一体に鋳造
成形し、鋳造成形後、上記車軸ハウジングのブレーキフ
ランジより先端側のエンド部を砂型の取外しによって冷
却することにより、高硬度で強靭な組織にするととも
に、上記エンド部以外の車軸ハウジングと上記差動歯車
ハウジングとは砂型内で徐冷することにより、柔軟性の
あるフェライト型の組織とし、上記エンド部の中間位置
に位置する基部表面を高周波焼入れにより表面硬化層を
形成したことを特徴とするので、次のような優れた効果
を奏する。
（１） 差動歯車ハウジングと車軸ハウジングとを球状
黒鉛鋳鉄にて一体に鋳造成形したので、鋳造性が良く、
且つ溶接やボルト締結による組立作業が必要ないため安
価な製号コストにてリアアクスルケースを製造すること
ができる。
（２） 鋳造製造後、上記車軸ハウジングのブレーキフ
ランジより先端側のエンド部を砂型の取外しによって冷
却することにより、高硬度で強靭な組織にするととも
に、上記エンド部以外の車軸ハウジングと上記差動歯車
ハウジングとは砂型内で徐冷することにより、柔軟性の
あるフェライト組織としたので、上記エンド部は高強度
で強靭な組織となり、強度の向上したエンド部が得られ
るとともに、上記エンド部以外の車軸ハウジングと上記
差動ハウジングとは柔軟性のあるフェライト組織とした
ので、変形しても破損することのないリアアクスルケー
スを得ることができる。
（３） 上記車軸ハウジングのエンド部の基部表面に焼
入強化組織部が形成されたので、エンド部の基部表面の
硬度が他の部分よりも高くなり、強靭性を有し、車軸に
掛ける応力によって破壊することのないリアアクスルケ
ースを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明のリアアクスルケースの一実施例を示す
要部側面図、第２図は第１の従来例を示す要部側面図、
第３図は第３の従来例を示す要部側面図である。 20……リアアクスルケース、 21……差動歯車ハウジング、 22……車軸ハウジング、 26……エンド部、 28……焼入強化組織部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】差動歯車ハウジングからその両側へ車軸ハ
    ウジングを延出させてなるリアアクスルケースにおい
    て、上記差動歯車ハウジングと上記車軸ハウジングとを
    球状黒鉛鋳鉄にて一体に鋳造成形し、鋳造成形後、上記
    車軸ハウジングのブレーキフランジより先端側のエンド
    を砂型の取外しによって冷却することにより、高硬度で
    強靭な組織にするとともに、上記エンド部以外の車軸ハ
    ウジングと上記差動歯車ハウジングとは砂型内で徐冷す
    ることにより、柔軟性のあるフェライト型の組織とし、
    上記エンド部の中間部位に位置する基部表面に高周波焼
    入れにより焼入強化組織部を形成したことを特徴とする
    リアアクスルケース。
JP61306326A 1986-12-24 1986-12-24 リアアクスルケース Expired - Lifetime JPH06104401B2 (ja)

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