JPH0598325A - 高炉装入物分布制御装置 - Google Patents

高炉装入物分布制御装置

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JPH0598325A
JPH0598325A JP25888291A JP25888291A JPH0598325A JP H0598325 A JPH0598325 A JP H0598325A JP 25888291 A JP25888291 A JP 25888291A JP 25888291 A JP25888291 A JP 25888291A JP H0598325 A JPH0598325 A JP H0598325A
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JP
Japan
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action
flow
gas flow
furnace
charging
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JP25888291A
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Inventor
Mamoru Inaba
護 稲葉
Taichi Aoki
太一 青木
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 AI技術を利用して、高炉装入物分布制御に
関する操業システムを構築し、操業技術の高位標準化、
伝承、操業の自動化を達成する。 【構成】 高炉に設置させた各種センサからデータに含
まれたノイズを除去したデータを用いてセンサ別にガス
流の強度と推移傾向として推論する。その推論結果を装
入待や減風などに関する情報と知識ベースをもとにガス
流の強度と推移傾向として合成し、合成結果とその時の
操業状況および操業方針よりアクション手段を決定し、
アクション手段に対応したアクション決定マトリックス
などに当てはめて、アクション量を決定する。その後、
アクション履歴の補正や一過性の要因除去を行って実際
に行うアクション量を決定する。そしてこの実アクショ
ン量をPLCに送信して装入物分布を自動制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は高炉の炉内における装
入物分布制御を通じてガス流を制御してガス流分布と操
業の安定化を図るための制御装置に関する
【0002】
【従来の技術】図25は装入物分布制御と炉内状況を示
した図であり、表1は溶融帯の位置・形状と操業状況を
示した表である。
【0003】
【表1】
【0004】一般にコークスの燃焼によって発生する還
元ガス(以下ガスと称する)が高炉内の中心部に多く流
れることを中心流、炉壁部に多く流れることを周辺流、
また局部的に多く流れることを局所流と呼んでいる。通
常、高炉に装入される原料はコークスの方が鉱石より粒
経が大きく、また、コークスは還元粉化も起こらないた
めコークスの方が通気性も良い。更に、鉱石が溶けるゾ
ーン(以下溶融帯と称する)では鉱石層の通気抵抗はコ
ークス層の200〜300倍になり、ガスはコークス層
(溶融帯でのコークス層を以下スリットと称する)を通
過して流れる。
【0005】高炉では中心部に多くコークスを装入する
と中心流になり、溶融帯形状も富士山形になり、スリッ
ト数も増えてガス流が安定する。また、炉壁部に多くコ
ークスを装入すると周辺流になり、炉壁付着物の除去に
役立つといわれている。更に、局部的に多く流れると局
所流となり吹抜けやスリップなど突発的な異常炉況を誘
発する原因になる。このため、安定操業をするには装入
物分布を制御してガス流を安定にすること、また、局所
流の発生を検知して局部的に他と異なったアクションを
取ることにより局所流の成長を防止することが必要であ
る。
【0006】ベル式高炉の場合には、原料の装入は大ベ
ルの開閉動作によって行われる。そして、1回の大ベル
開閉動作をバッチと呼び、コークスと鉱石は数バッチ
(例えばコークス2バッチ、鉱石3バッチ)に分けて装
入される。これを5バッチ装入といい、5バッチをまと
めて1チャージと呼んでいる。通常操業でチャージ間隔
は約10分である。
【0007】図26はMAの設置状況を示す図であり、
(a)はその平面図、(b)は側面図である。大ベルか
ら自由落下する原料の着地位置を制御するため、高炉に
は約20個のMAが円周方向に等間隔で設置されてい
て、MAのストロークを炉壁部から中心部に向かって移
動できるようになっている。そして、装入物分布制御は
チャージを周期としてバッチ単位にMAのストロークを
変えて行われる。また、SL(大ベルから装入物表面ま
での距離)を上下させると、装入原料の落下位置が変
り、鉱石ベース(装入する鉱石とコークスの比)を変え
れば装入物表面性状が変り、細粒原料の使用割合が変れ
ば装入物表面の傾斜角が変り、時系列排出速度を変えれ
ば装入物表面での原料の流れ方が変るので、いずれも半
径方向での装入物分布制御に利用できる。
【0008】これまでMAと装入分布の関係は、例えば
『材料とプロセス(1)1988,p74』に開示され
ている。しかし、その内容は炉内のコークスと鉱石の層
厚分布をゾンデで間欠的に測定した結果や、屋外模型実
験で得られた結果に基づきMAアクションと装入物分布
の関係を定式化したものであり、実操業におけるガス流
の強度や推移傾向などからアクションり量を決定し、M
Aを制御してガス流分布の最適化を狙ったような一貫し
たシステム技術はまだ確立されていなかった。
【0009】また、センサ情報をもとに吹抜けやスリッ
プなどを予知する技術は、例えば特開昭62−2707
12号公報に開示されている。しかし、これは吹抜けや
スリップの予知を目的としたシステムであり、高炉のガ
ス流分布の最適化を目的とした一貫したシステムではな
い。更に、特開平2−182815号公報には知識工学
的手法を用いて推論し、MA、SL、鉱石ベース、細粒
原料の使用割合及び時系列排出速度を制御する方法が提
案されているが、これらのアクションの選択基準やアク
ション量の決定基準が具体的でなく、また、炉内残銑量
による影響が考慮されていないなどの問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な状
況に鑑みてなされたものであり、高炉の炉内におけるガ
ス流の強度や推移傾向、装入待や減風、装入物分布のア
クション履歴、残銑量や出銑状況などの操業状態を加味
してガス流分布を最適化するためのアクション手段及び
アクション量を決定し、自動制御することを可能にした
高炉装入物分布制御装置を提供することを目的とする
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明に係る高炉装入
物分布装置は、高炉操業に関する知識を知識ベースとし
て登録・修正する手段と、高炉に設置された各種センサ
からデータを所定の周期でプロセスコンピュータに取込
む手段と、取込んだデータに含まれるノイズを除去する
手段と、操業経験やモデル実験で得られた知識ベースを
もとにノイズを除去したデータをセンサ別にガス流の強
度及び推移傾向として推論する手段と、その推論結果を
装入待や減風などに関する情報と知識ベースをもとに中
心流、周辺流、局所流に関するガス流の強度と推移傾向
として合成する手段と、合成結果をその時の操業状況と
操業方針より装入物分布のアクション手段を決定し、M
Aアクション決定マトリックス、SLアクション決定マ
トリックス、鉱石ベースアクション決定マトリックス、
細粒原料使用量変更アクション決定マトリックス、及び
時系列排出速度アクション決定マトリックスのいずれか
に当てはめて、アクション量を決定する手段と、このア
クション量を装入物分布アクション履歴や送風圧力の変
更、炉内残銑量など一過性の要因を加味したり、配合変
更など将来の事象を先取りして補正する手段と、補正後
の装入物分布のアクション量をPLCに送信して自動制
御させる手段と、補正後の装入物分布のアクション手段
とアクション量をオペレータにガイダンスする手段を備
えている。
【0012】
【作用】この発明においては、高炉操業に関する知識が
知識ベースとして登録・修正され、また、高炉に設置さ
れている各種センサからデータが所定の周期でプロセス
コンピュータに取込まれる。そして、取込まれたデータ
に含まれたノイズが除去され、操業経験やモデル実験で
得られた知識ベースをもとにノイズを除去したデータに
ついてセンサ別にガス流の強度と推移傾向として推論す
る。その推論結果を装入待や減風などに関する情報と知
識をもとに中心流、周辺流及び局所流に関するガス流の
強度及び推移傾向として合成する。その合成結果とその
時の操業状況と操業方針より装入物分布のアクション手
段を決定し、MAアクション決定マトリックス、SLア
クション決定マトリックス、鉱石ベースアクション決定
マトリックス、細粒原料使用量アクション決定マトリッ
クス、及び時系列排出速度アクション決定マトリックス
のいずれかに当てはめアクション量を決定する。更に、
アクション量を装入物分布アクション履歴や送風圧力の
変更、炉内残銑量など一過性の要因を加味したり、配合
変更など将来の事象を先取りして補正する。そして、補
正後の装入物分布のアクション手段とアクション量をP
LCに送信して自動制御する。また、補正後の装入物分
布のアクション手段とアクション量をオペレータにガイ
ダンスする。
【0013】
【実施例】図1はこの発明の一実施例に係る高炉装入物
分布制御装置の概念図である。図において、10は高炉
であり、炉壁上部には円周方向に固定ゾンデ(温度と成
分を測定)やシャフト温度計が、その下には水平ゾンデ
(半径方向ガス温度、成分)が設置されている。また、
炉頂部には炉口ゾンデ(半径方向ガス温度、成分)炉口
テレビ(装入物表面の温度分布を面として測定)、装入
物ゾンデ(半径方向装入物表面形状、コークスと鉱石の
層厚分布)など各種センサとMAが設置されている。
【0014】20は従来から高炉の制御に用いられてい
るプロセスコンピュータである。このコンピュータ20
は、高炉に設置された各種センサからデータを所定の周
期でプロセスコンピュータに取込む手段21と、取込ん
だデータに含まれるノイズを除去する手段22と、装入
待や減風23、装入物分布のアクション履歴24、出銑
状況25などの情報を随時取込で保存するファイル手段
26と、推論結果や過程をオペレータにガイダンスする
手段27と、ガイダンス結果をPLC40に送信して装
入物分布を自動制御する手段28と、プロセスコンピュ
ータが待っているデータを知識処理コンピュータ30に
送信したり、知識処理した結果を受信したりする手段2
9とを内蔵しており、それらをそのシステムプログラム
より実現している。
【0015】30は知識処理コンピュータであり、高炉
の操業に関する知識を知識ベース31として登録・修正
する手段と、プロセスコンピュータ20から受信したデ
ータと知識ベース31をもとに中心流、周辺流、及び局
所流に関するガス流の強度と推移傾向として推論する手
段32と、その結果を装入待や減風などに関する情報と
知識ベースをもとにガス流の強度と推移傾向として合成
する手段33と、合成結果とその時の操業状況と操業方
針より装入物分布のアクション手段を決定し、MAアク
ション決定マトリックス、SLアクション決定マトリッ
クス、鉱石ベースアクション決定マトリックス、細粒原
料使用量変更アクション決定マトリックス、及び時系列
排出速度アクション決定マトリツクスのいずれかに当て
はめアクション量を決定する手段34と、このアクショ
ン量を装入物分布アクション履歴や送風圧力の変更、炉
内残銑量など一過性の要因を加味したり、配合変更など
将来の事象を先取りして補正する手段35と、推論に必
要なデータをプロセスコンピュータ20から受信し、推
論結果をプロセカコンピュータに送信する手段37とを
内蔵しており、それらをそのシステムプログラムより実
現している。
【0016】このようにプロセスコンピュータ20と知
識処理コンピュータ30とに装置が分かれているのは、
従来のシステム技術で処理する部分と、人工知能応用技
術で処理すべき部分とがあり、これらを分けた方がシス
テム開発上都合が良いからであって、この発明にとって
本質的なことではない。従って、1台のコンピュータを
論理的に分割して双方の手段を実現すれば1台のコンピ
ュータで実現することができる。
【0017】(1)前処理方法 各種のセンサデータはプロセスコンピュータ20の定周
期処理機能により、所定の周期で取込まれ、ファイル2
11に格納した後データに含まれるノイズを除去して、
制御情報として意味ある情報を抽出するために前処理が
行われる。前処理ではセンサの種類とセンサデータに含
まれるノイズの状態を考慮し、ガス流判断に有効なデー
タとするため指数平滑や1次回帰などの手法でデータ処
理をしている。
【0018】a.指数平滑
【数1】 Sn=(1−1/t)*Sn−1+Rn/t Sn:時刻nにおける指数平滑後の値 Sn−1:時刻n−1における指数平滑後の値 Rn:時刻nにおける指数平滑前の値 t:時定数1≦tでセンサ毎に定める n,t単位は分
【0019】b.1次回帰
【数2】
【0020】τ≦ti≦0:基準点は推論実行時刻、 τ:時定数、n:有効データ数 Xo:1次回帰データ そして、Sn又はXoはガス流の強度や推移傾向の判断
に使われる。
【0021】(2)ガス流の強度判定 前処理結果は知識コンピュータ30に送られ、センサ別
に学習制御された基準値をもとにガス流の強度を判断す
る。以下に基準値の決め方とガス流の強度の判断例を示
す。 (2−1)基準値の決め方 基準値は日平均値をもとに指数平滑法を用いて決定し、
設備や操業の経時的変化に容易に対応できるようにし
た。
【0022】
【数3】
【0023】また、指数平滑定数α(0≦α≦1)は、
装入待時間、減風時間、MAのアクション回数などの関
数とし、更に、装入待時間、減風時間、MAのアクショ
ン回数などは操業経験やオンライン実験をもとに図2の
(a)〜(h)に示す関数で表現し、特種な操業要因を
除去している。
【0024】
【数4】 α=α1×α2×α3×α4×α5×α6×α7×α8 α1=f(装入待時間) α2=f(減風時間) α3=f(MAアクション回数) α4=f(SLアクション回数) α5=f(鉱石ベースアクション回数) α6=f(細粒原料変更回数) α7=f(時系列排出速度変更回数) α8=f(全てのアクション回数) ここで、装入時間(装入から次の装入までの間隔)は、
平均装入待時間より待ち時間が長いものを対象とし、装
入待時間を次式により求める。
【0025】
【数5】
【0026】また、減風時間(目標送風量より送風量を
減らした時間)は、減風した時間と減風量をもとに経験
的に次式で計算している。
【0027】
【数6】
【0028】(2−2)ガス流の強度判定 水平ゾンデ、炉口ゾンデ、炉口テレビなど半径方向のガ
ス温度や成分を計測しているセンサ情報は中心流や周辺
流の判断に利用できる。また、固定ゾンデなどは周辺流
の判断に利用できる。更に、炉口テレビや固定ゾンデな
どは局所流の判断に利用できる。図3はガス流強度とガ
ス温度や成分の関係を示したものであり、一般にガス流
が強いとガス温度は高く、ガス利用率(CO/CO)
は低くなる。
【0029】(2−2−1)中心流や周辺流の判断 a.水平ゾンデ(図4) 設置状況を図4の(a)に示す。水平ゾンデは1日に数
回、炉内装入物の中にゾンデを挿入して、炉内半径方向
のガス温度と成分を(将来はガス流速も追加予定)を測
定している。一般に、炉内の熱レベルが高ければガス温
度は高めに、逆に熱レベルが低ければガス温度も低めに
計測されるが、熱レベルのガス温度や成分の分布への影
響は少ない。このため、測定データを操業経験で得られ
たパターンや前回の測定データと比較してガス流を判定
することにした。図4の(b)は測定データと操業経験
で得られたパターンとの比較例であり、中心流が強く、
周辺流が弱いことを示している。
【0030】b.炉口ゾンデ(図5) 設置状況を図5の(a)に、測定データを図5の(b)
にそれぞれ示す。炉口ゾンデは炉頂部の装入物表面上部
に東西及び南北方向にそれぞれ設置されていて、複数の
温度計と分析計でガス温度とガス成分を連続的に測定し
ている。ここではガス流を正確に判断するため、操業経
験をもとに周辺部のガス温度が中心部よりある値以上高
い(成分CO/COは低い)時は、低い(高い)方の
センサを異常として判断し、そのデータを除去した後、
東西南北の平均を取っている。そして、ガス温度は、炉
頂ガス温度と比較、ガス成分は水平ゾンデと同じ方法に
ガス流状況を判断している。以下にガス温度に関する処
理例を示す。図5の(c)はガス温度の強度(X)を横
軸にした時のガス流状況を示しており、この例では中心
流が強く、周辺流が弱いことを示している。ここで、
【数7】X=(Xi−t)−(Xib−Tb) Xi :i炉口ガス温度の平均値、 t:炉頂ガス温度 Xib:炉口ガス温度の基準値、 Tb:炉頂ガス温
度の基準値 であり、炉口ガス温度は東西南北の平均値である。な
お、炉頂ガス温度は高炉で発生するガスが集合した所で
測定しているので、炉口ガス温度を炉口の表面積で加重
平均して求めた値より精度が良い。
【0031】c.炉口テレビ(図6) 測定生データを図6の(a)に示す。炉口テレビは炉頂
部で装入物の表面温度分布を熱画像として連続的に測定
している。装入物表面温度はチャージ完了後、徐々に上
昇し、次のチャージが始まる前に最大となる。また、チ
ャージ直後は発塵のため装入物表面温度を正確に捕らえ
ることができない。このため、チャージ後4〜5分した
のちの熱画像をもとに炉口ゾンデの測温点に対応したデ
ータ(図6の(b))を作り、次に炉口ゾンデの処理と
同じ方法でガス流状況を判断している。
【0032】b.固定ゾンデ温度(図7) 設置状況を図7の(a)に、そして、測定データを図7
の(b)に示す。固定ゾンデは高炉シャフト上部の炉壁
部に円周方向に複数個(時には更に上下方向に数段)設
置されていて、装入物内部のガス温度と成分を測定して
いる。このため周辺流判断に利用できる。一般に、セン
サが不良になったり付着物がある時はガス温度や成分は
極端に低くなる。このため、合い隣り合うセンサデータ
を比較し、両者の差がある値以上ある時は、低い方のセ
ンサを異常とし、残りのセンサデータの平均値(Xt)
を計算する。また、周辺流強度(X)を平均値(Xt)
と基準値(Xo)をもとに計算してガス流状況を判断し
ている。
【数8】X=Xt−Xo
【0033】e.その他 シャフト温度は炉壁部に円周方向と上下方向に複数個設
置されていて、炉壁レンガ内の温度を測定しているの
で、固定ゾンデと同じ様にして周辺流の判断に利用でき
る。しかし、直接ガス温度を測定しているわけでは無い
ので、固定ゾンデよりガス流情報としての精度が落ち
る。また、中心流の時は溶融帯の形状がシャープ(図8
の(a))になり、還元ガスが通過するコークスのスリ
ット数も増えるためガス流が安定し、通気抵抗指数や送
風圧力が低く、熱損失やセンサデータの変動も減少し、
ガス利用率(CO/CO)は高くなる。逆に周辺流の
時は溶融帯の形状がフラット(図8の(b))になり、
スリット数も減少するためガス流が不安定になり、通気
抵抗指数や送風圧力が高く、熱損失やセンサデータの変
動も増加し、ガス利用率(CO/CO)は低くなる。
このため、ガス利用率、通気抵抗指数、送風圧力、熱損
失、センサデータの変動などについて、現在の値と基準
値を比較すればガス流状況が判定できる。
【0034】(2−2−2)局所流の判断 a.炉口テレビ(図9) 炉口テレビは炉頂部で装入物表面の温度分布を熱画像と
して連続的に測定している。高炉の装入面を真上から見
た時の炉口テレビによる測定生データを図9の(a)に
示す。装入物表面温度はチャージ完了後、徐々に上昇
し、次のチャージが始まる前に最大となる。また、チャ
ージ直後は発塵のため装入物表面温度を正確に捕らえる
ことができない。このため、チャージ後4〜5分した後
の熱画像をもとにMAの数に合せて円周方向に等分割
し、周辺部の温度の加重平均値をもとにMAの位置に対
応したデータ(図9の(b))を作り、円周方向のガス
流を判断している。例えば図9の(b)は北側のガス流
が強いことを示している。ここで、
【数9】ΔXi=Xi−X Xi:MAの位置に対応した装入物表面温度の平均値 X :装入物表面温度の平均値 であり、XはXiの平均として計算する。
【0035】b.固定ゾンデ温度(図10) 設置状況を図10の(a)に、そして測定データを図1
0の(b)にそれぞれ示す。固定ゾンデは高炉シャフト
上部の炉壁部に円周方向に複数個(時には更に上下方向
に数段)設置されていて、装入物内部のガス温度及び成
分を測定している。このため、円周方向の分布を考慮し
て測定位置とMAの位置との関係から、一次回帰式など
でMAの位置に対応したデータに変換すればMAの位置
に対応したガス流の判断に利用できる。例えば図10の
(b)は北側のガス流が強いことを示している。ここ
で、ΔXiは次式により求められる。
【0036】
【数10】 XはXiの平均として計算する。なお、固定ゾンデでは
ガス成分の分析も可能であり、この値を使用すれば温度
データと同じ様に局所流の判定に使用できる。
【0037】c.その他 シャフト温度は炉壁部円周方向と上下方向に複数設置さ
れていて、炉壁レンガ内の温度を連続的に測定してい
る。このため固定ゾンデ温度と同じ様に局所流の判定に
利用できる。しかし、直接ガス温度を測定しているわけ
ではないので固定ゾンデより情報の精度は良くない。
【0038】(2−3)推移傾向の判定 (2−3−1)中心流と周辺流の推移傾向の判定 カス流の推移傾向は、ガス流強度の判定に用いたセンサ
情報の時系列的推移がそのまま利用できる。例えば本装
置では図11の(a)に示す情報が上昇傾向の時や、図
11の(b)に示す情報が下降傾向の時に中心流の推移
傾向にあると判断している。また、図11の(c)に示
す情報が上昇傾向の時や、図11の(d)に示す情報が
下降傾向の時に周辺流の推移傾向にあると判断してい
る。
【0039】(2−3−2)局所流の推移傾向の判定 ガス流の推移傾向は、ガス流強度の判定に用いたセンサ
情報の時系列的推移がそのまま利用できる。例えば炉口
テレビで計測される装入物表面温度や固定ゾンデ温度で
特定の点の温度が上昇傾向にある時は、局所流が成長し
ていることを示している。図12に固定ゾンデ温度によ
るガス流の推移傾向の判断例を示す。この図から北側で
ガス流が成長してきていることが分かる。
【0040】(3)ガス流の強度と推移傾向の合成 (3−1)中心流と周辺流の強度と推移傾向の合成 センサデータはセンサの設置状況、操業状況(装入待、
減風など)により大きく変化する。また、炉口ゾンデ温
度や炉口テレビなどほぼ同じ傾向を示すもので精度に違
いがあるものがあり、ガス流状況を最終的に判断する時
は、これらの要素を旨く考慮してシステム化する必要が
ある。ここでは以下のようにして精度の良い装置として
いる。
【0041】(3−1−1)半径方向に複数点計測して
いるセンサ情報の合成 水平ゾンデ、炉口ゾンデ、炉口テレビなど半径方向に複
数点計測しているセンサ情報は中心(または炉壁)部の
センサのみでガス流を判断するのではなく、測定位置を
加味して合成することにより、センサ情報の精度の向上
を図っている。例えば次式により中心流や周辺流を求め
ている。
【0042】
【数11】
【0043】例えばi=5の時はa1=0.7,a2=
0.3,a3=a4=a5=0.0,b1=b2=b3
=0.0,b4=0.3,b5=0.7のようにしてガ
ス流の強度や推移傾向を合成している。
【0044】(3−1−1)中心流や周辺流の強度と推
移傾向の合成 中心流や周辺流の強度と推移傾向について別々の合成を
行う。表2は合成に使うセンサデータの状況を示す。表
2でO印は大きい(Qは小さい)ほど強度や推移傾向が
強いことを意味している。以下に中心流強度の合成例を
示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【数12】
【0047】ここでaiは各センサの寄与度、fiは装
入待や減風などを加味した確信度である。個々では図2
(a),(b)の積として決めている。nはO印の数、
mはセンサの数である。周辺流の強度や中心流、周辺流
の推移傾向も同じ様にして決ている。
【0048】(3−2)局所流の強度と推移傾向の合成 センサデータは設置状況、操業状況(装入待、減風な
ど)より大きく変化する。また、炉口テレビや固定ゾン
デ温度などはほぼ同じ傾向を示すが測定の精度に違いの
ある。このため、ガス流を最終的に判断する時は、これ
らの要素を旨く考慮してシステム化する必要がある。こ
こでは以下のようにして精度の良い装置としている。表
3は局所流の判断に使うセンサデータの状況を示してい
る。
【0049】
【表3】
【0050】(3−2−1)合成方法 局所流は先ずセンサデータを図13に示すように一次回
帰してMAの位置に対応したデータに変換してから次式
で合成する。MAの位置(図13の(a)に対応した温
度は、図13の(b)に示すように配置された固定ゾン
デの測定温度の1次回帰曲線(図13の(c))を求め
て、その対応する値を読むことにより得られる。
【数13】 ここで、ajは図2(a),(b)の積として決めてい
る。
【0051】(4)合成結果の基準化 本装置ではできるだけオペレータの操業経験に近付けて
制御を行うため、(3−1)の項での合成値を1〜5の
レベルに基準化することにした。図14の(a)は基準
化例を示す。本装置では操業経験をもとに判断基準値k
1,k2,k3,k4を決めて1〜5の5段階の判断を
している。図14の(a)で数値は以下の状態を示す。 1:非常に弱い、2:弱い、3:ちょうど良い、4:強
い、5:非常に強い なお、操業経験をもとに作成した図14の(b)に示す
ような関数で表現して判断すれば、よりきめ細かく判断
できることは明白であるが、ここではオペレータに近い
判断方法を採用している。
【0052】(5)装入物分布アクション手段の決定 (5−1)半径方向分布アクション手段 半径方向の装入物分布を制御して、中心流や周辺流を制
御する一般的な手法としては(1)MAアクションのパ
ターン変更、(2)SLの位置変更、(3)鉱石ベース
の変更、(4)細粒原料使用量の変更、(5)時系列排
出速度の変更などがある。従来はその時の操業方針にの
み依存してアクション手段を決めていたが、本装置では
より安定したガス流分布を得るため、操業経験やオフラ
イン実験をもとに図15の(a)に示すアクション・ガ
ス流評価テーブルを、また、操業者の操業方針を加味で
きるように図15の(b)に示す操業評価テーブルを、
更に、操業経験やオフライン実験をもとに図15の
(c)に示すアクション可否評価関数を考案した。そし
て、半径方向の装入物アクション手段はこれらのテーブ
ル評価関数を用いて、それぞれのアクション手段の評価
値を次式で計算している。なお、図15(a)のCij
は操業経験とモデル実験により決定し、ニューラルネッ
トを使えば実績による学習もできる。図15の(b)の
aijは操業者の操作方針に基づき任意に設定する。図1
5図の(c)においては、biが1に近い程操作が難し
くなることを示している。
【0053】
【数14】
【0054】ここで、 i:アクション手段、 j:中心流(j=1),周辺流
(j=2) ai:操業評価値、 bi:アクション可否評価関
数値 Cij:ガス流の強度に関する評価値、 Xj:ガ
ス流の強度 Cij´:ガス流の推移傾向に関する評価値、Xj´:
ガス流の推移傾向強度 である。そして、Tiが最大となるアクション手段
(i)を選択している。
【0055】(5−2)円周径方向分布アクション手段 半径方向の装入物分布を制御して、局所流を制御する方
法としては、炉下部での燃料や空気の吸込み状況を羽口
毎に変更する方法や出銑作業を行う出銑口を変更する方
法も考えられるが、MAパターンを局部的に変更する方
法が一般的であり、本装置ではこの方法を採用してい
る。
【0056】(6)装入物分布アクション量の決定 (6−1)MAアクションのパターン変更 (6−1−1)中心流・周辺流のアクション (a)MAパターン変更量の推論 図16にMAパターン変更量の推論例を示す。MAパタ
ーン変更量は操業経験をもとに考案した強度判定マトリ
ックス及び推移傾向判定マトリックスを使って推論す
る。例えば中心流強度が+2、周辺強度が+3の時のガ
ス流の強度は強度判定マトリックスよりW1となる。ま
た、中心流推移傾向が+2、周辺流推移傾向が+4の時
のガス流の推移傾向は推移傾向判定マトリックスよりW
1となる。この結果をMAアクション決定マトリックス
に当てはめれば+2となる。これは現在のMAパターン
より+2つだけ中心流指向のMAパターンNoを選択す
ることを意味している。ここでも図14の(b)に示し
た関数で判断した結果を四捨五入してMAパターンNo
の変更量を決めればよりきめ細く制御できることは明白
である。なお、本装置では装入物分布に関するモデル実
験で得られた結果をMAパターンNoとして、周辺流か
ら中心流に向かって登録している(図18)。
【0057】(b)MAアクション量診断 MAパターンNoを変更した時、その部分のガス流は装
入物の降下とともに徐々に変化する。そして、MAパタ
ーンNoの変更の影響が行き渡るまでには通常約12時
間かかる。このため、実操業でMAの位置に対応したガ
ス流を判断するにはMAの操作履歴を加味する必要があ
る。また、出銑作業時は数時間減風を送風圧力などが一
時的に大きく変化してガス流も乱れる。これらの一過性
の要因に伴う要素を除去する必要もある。本装置ではこ
れらの要素を以下のように加味している。
【0058】a.MAの操作履歴 図19にMAの操作履歴を加味したMAアクションの補
正例を示す。横軸は時刻、縦軸はMAパターンNoの変
更量である。例えば(6−1−1)(a)の項でMAパ
ターン変更量として+2の指示が10時間続き(図19
の(a))、時刻0の時にMAパターンNoを+2だけ
変更したとする(図19の(c))。するとその結果は
装入物の降下とともに徐々にガス流に現れてくる(図1
9の(b))。実操業ではこの点を加味し、MAパター
ンNoを+2変更した効果が+1だけ現れる時間(約6
時間後)を想定して、6時間後に改めてMAパターンN
oを+1だけ変更する。なお、ここでもMAパターンN
oの変更量に曖味さを持たせれば、図19の(b)で求
めた値を使えばもう少しきめ細く制御できるが、オペレ
ータの操業に近付けるため本装置のようにした。この考
え方は(6−2)〜(6−5)に述べるアクション手段
の時も同じである。
【0059】b.送風圧力などの一過性の要因 出銑作業時は数分間減風を行うため送風圧力などが一時
的に大きく変化する。このため同じ方向にMAパターン
Noの変更指示が2回以上連続した時に初めて実アクシ
ョンを取るようにして、減風に伴う一過性要因を除去し
ている。また残銑量が多い時はガス流が乱れる。このた
め残銑量を図20に示すようなメンバーシップ関数で表
現して、アクション量にその値を掛けて補正している。
この考え方は(6−2)〜(6−5)に述べるアクショ
ン手段の時も同じである。
【0060】c.配合変更などガス流だけでは判断でき
ない要素 図21の(a)に配合変更などガス流を乱す要素の先取
り例を示す。横軸は時刻、縦軸はMAパターンNoの変
更量を示す。例えば直送焼結鉱に替えて、粒径のやや小
さいヤード焼結鉱の使用割合を増やすと徐々に中心流が
つぶれていく傾向にある。このため、本装置ではヤード
焼結鉱の使用割合の増加量(X)をもとにMAパターン
No変更量(Y)を計算し、実際にヤード焼結鉱を使用
する時刻の数時間前から焼結鉱が溶けて溶銑となるまで
の間(6−1−1)(b)b.の項で決まった値に対し
てYだけ中心流指向のパターンNoを選択している。こ
こでも図21の(b)示したようなメンバーシップ関数
で表現してアクション量を補正すればよりきめ細かく制
御できる。配合変更など未来の事象を先取りする考え方
は(6−2)〜(6−5)に述べるアクション手段の時
も同じである。
【0061】d.アクションの実施 (6−1−1)(b)cの項の結果は表示装置(CR
T)と警報装置でオペレータに通知されると共に、制御
モードが自動の時は、その信号がMA制御装置(PL
C)に送信されMAのストロークを自動的に制御して半
径方向の装入物分布制御に繋げている。また、手動モー
ドの時はオペレータが表示を見てMA制御装置のストロ
ークの設定変更を行い、半径方向の装入物分布制御に繋
げている。この考え方は(6−2)〜(6−5)に述べ
るアクション手段の時も同じである。
【0062】(6−1−2)局所流のアクション (a)MAパターン変更量の推論 MAパターン変更量は操業経験やモデル実験をもとに決
定したMAアクション決定マトリックス(図17)を使
って推論する。例えばあるMAに対応した点のガス流の
強度が+2であり、しかも推移傾向の強度も+2であっ
たとすると、MAアクション決定マトリックスの値は+
2となる。これは現在のMAパターンより+2つだけ中
心流指向のMAパータンNoを選択することを意味して
いる。ここでも図14の(b)に示した関数で判断した
結果を四捨五入してMAパターンNoの変更量を決めれ
ばよりきめ細く制御できることは明白である。なお、本
装置では中心流・周辺流のアクション時と同じ様に装入
物分布に関するモデル実験で得られた結果をMAパター
ンとして、周辺流から中心流に向かって登録している
(図18)。
【0063】(b)MAアクション量診断 MAパターンNoを変更した時、その部分のガス流は装
入物の降下とともに徐々に変化する。そして、MAパタ
ーンNoの変更の影響が行き渡るまでには通常約12時
間かかる。このため、操業でMAの位置に対応したガス
流を判断するにはMAの操作履歴を加味する必要があ
る。また、出銑作業時は嵩時間減風を行うため送風圧力
などが一時的に変化し、ガス流も乱れる。本装置ではこ
れらの一過性の要因に伴う要素を中心流・周辺流のアク
ション時と全く同じ方法で除去している。
【0064】(6−2)SLの位置変更 SLの位置変更で中心流・周辺流の制御ができる。本装
置ではSLの位置変更は(6−1−1)(a)の項に示
した強度判定マトリックスと推移傾向判定マトリックス
及び操業経験をもとに考案したSLアクション決定マト
リックスを使って推論する。例えば中心流強度が+2、
周辺流強度が+3の時のガス流の強度は強度判定マトリ
ックスよりW1となる。また、中心流推移傾向が+2、
周辺流推移傾向が+4の時のガス流推移傾向は推移傾向
判定マトリックスよりW1となる。この結果をSLアク
ション決定マトリックスに当てはめれば+2となる。こ
れは現在のSLより+2つだけ中心流指向のSLアクシ
ョンを選択することを意味している。ここでも図14
(b)に示した関数で判断した結果を四捨五入してSL
の変更量を決めればよりきめ細く制御できることは自明
である。なお、本装置では装入物分布に関するモデル実
験で得られた結果をSL位置変更評価関数として登録
し、この関数より操作量を決めている(図22の
(a))。例えばSLが基準点にあり+2だけ周辺流ア
クションを取るときはSLを0.8m上げる。
【0065】(6−3)鉱石ベースの変更 鉱石ベース(またはコークスベース)の変更では中心流
・周辺流の制御ができる。本装置では鉱石ベースの変更
は(6−1−1)(a)の項に示した強度判定マトリッ
クスと推移傾向判定マトリックス及び操業経験をもとに
考案した鉱石ベースアクション決定マトリックスを使っ
て推論する。例えば中心流強度が+2、周辺流強度が+
3の時のガス流の強度は強度判定マトリックスよりW1
となる。また中心流推移傾向が+2、周辺流推移傾向が
+4の時のガス流の推移傾向は推移傾向判定マトリック
スよりW1となる。この結果を鉱石ベースアクション決
定マトリックスに当てはめれば+2となる。これは現在
の構成ベースより+2つだけ中心流指向の鉱石ベースア
クションパターンNoを選択することを意味している。
ここでも図14(b)に示した関数で判断した結果を四
捨五入して鉱石ベースのパターンNo変更量を決めれば
よりきめ細く制御できることは自明である。なお、本装
置では装入物分布に関するモデル実験で得られた結果を
鉱石ベースのアクション評価関数として登録し、この関
数より操作量を決めている(図22の(b))。例えば
鉱石ベースが基準より+1の位置にあり周辺流強度を+
1だけ強めるときは鉱石ベースを+1から+1.6に変
える。
【0066】(6−4)細粒原料使用量の変更 細粒原料使用量を変えれば中心流・周辺流の制御ができ
る。本装置では細粒原料使用量は(6−1−1)(a)
の項に示した強度判定マトリックスと推移傾向判定マト
リックス及び操業経験をもとに考案した細粒原料使用量
アクション決定マトリックスを使って推論する。例えば
中心流強度が+2、周辺流強度が+3の時のガス流の強
度は強度判定マトリックスよりW1となる。また、中心
流推移傾向が+2、周辺流推移傾向が+4の時のガス流
の推移傾向は推移傾向判定マトリックスよりW1とな
る。この結果を細粒原料使用量アクション決定マトリッ
クスに当てはめれば+2となる。これは現在の鉱石ベー
スより+2つだけ中心流指向の細粒原料使用量のアクシ
ョンパターンNoを選択することを意味している。ここ
でも図14(b)に示した関数で判断した結果を四捨五
入して細粒原料使用量のパターンNo変更量を決めれば
よりきめ細く制御できることは自明である。なお、本装
置では装入物分布に関するモデル実験で得られた結果を
細粒原料使用量のアクション評価関数として登録し、こ
の関数より操作量を決めている(図23の(a))。例
えば細粒原料使用量が基準点にあり+2だけ周辺流アク
ションをとるときは、細粒原料使用量を1.6%増や
す。
【0067】(6−5)時系列排出パターンの変更 鉱石やコークスの時系列排出速度を変更すれば中心流・
周辺流の制御ができる。本装置では時系列排出速度の変
更は(6−1−1)(a)の項に示した強度判定マトリ
ックスと推移傾向判定マトリックス及び操業経験をもと
に考案した時系列排出アクション決定マトリックスを使
って推論する。例えば中心流強度が+2、周辺流強度が
+3の時のガス流の強度は強度判定マトリックスよりW
1となる。また中心流推移傾向が+2、周辺流推移傾向
が+4の時のガス流の推移傾向は推移傾向判定マトリッ
クスよりW1となる。この結果を時系列排出アクション
決定マトリックスに当てはめれば+2となる。これは現
在の時系列排出パターンより+2つだけ中心流指向のパ
ターンNoを選択することを意味している。ここでも図
14(b)に示した関数で判断した結果を四捨五入して
時系列排出パターンNo変更量を決めればよりきめ細く
制御できることは自明である。なお、本装置では装入物
分布に関するモデル実験で得られた結果を時系列排出速
度評価関数として登録し、この関数より操作量を決めて
いる(図23の(b))。例えば排出速度が基準値より
+1.7秒にあり+1だけ中心流アクションを取る時に
は、排出速度を+1.7秒から+4秒に増やす。
【0068】(7)操業実績 図24に本装置による制御を開始してからの操業指数の
推移を示す。本装置による制御の実現により半径方向お
よび円周方向のガス流分布が適性になり、徐々に操業面
での効果も拡大していることが分かる。
【0069】
【発明の効果】以上のようにこの発明は、操業技術の高
位標準化と伝承、操業の自動化を目的に半径方向および
円周方向の装入物分布制御と中心流・周辺流および局所
流に関する高度な操業知識をシステム化したものであ
り、以下の効果が得られている。 (1)操業技術の高位標準化、伝承 (2)オペレータの作業負荷低減、操業の自動化 (3)センサ情報の高度加工によるガス流判断の適正化
(高精度化) (4)リアルタイムな監視、制御の実現 (5)(上記(1)〜(4)の結果として)従来のオペ
レータ制御より決め細い制御の実現 (6)(上記(1)〜(4)の結果として)図24に示
す操業効果の確認
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る高炉装入物分布制御
装置のブロック図である。
【図2】指数平滑定数の決定関数を示す図であり。
(a)は装入待時間、(b)は減風時間、(c)はアク
ション回数、(d)はSLアクション回数、(e)は鉱
石ベースアクション回数、(f)は細粒原料使用量変更
アクション回数、(g)は時系列排出速度回数、(h)
は装入物分布アクション回数である。
【図3】ガス流強度の判定例を示した図である。
【図4】中心流・周辺流の判定に用いる水平ソンデの設
置例及びデータ例を示した図である。
【図5】中心流・周辺流の判定に用いる炉口ソンデの設
置例、データ例及び加工データ例を示した図である。
【図6】中心流・周辺流の判定に用いる炉口テレビの生
データ例及び加工データ例を示す図である。
【図7】中心流・周辺流の判定に用いる固定ゾンデの配
置例及び測定データ例を示す図である。
【図8】中心流・周辺流の判定に用いるその他の情報に
よるガス流量判断例を示す図である。
【図9】局所流の判定に用いる炉口テレビ及び加工例を
示す図である。
【図10】局所流の判定に用いる固定ゾンデの配置例及
び測定データ例を示す図である。
【図11】ガス流の推移傾向の判定に用いるセンサ及び
判定例(例1〜例4)を示す図である。
【図12】ガス流の推移傾向の判定に用いるセンサ及び
判定例(例5)を示す図である。
【図13】固定ゾンデ温度データの一時回帰例を示す図
である。
【図14】合成結果の基準化例を示す図である。
【図15】装入物分布アクション手段の判断方法を示す
図である。
【図16】中心流及び周辺流に対するMAアクションの
推論例を示す図である。
【図17】局所流に対するMAアクションの推論例を示
す図である。
【図18】MAパターンNo登録状況を示す図である。
【図19】MA操業履歴を加味した補正例を示した図で
ある。
【図20】残銑量の補正関数例を示した図である。
【図21】配合変更など未来の事象の先取り例を示した
図である。
【図22】SLの位置変更評価関数及び鉱石ベースアク
ション評価関数を示した図である。
【図23】細粒原料使用量評価関数及び時系列排出速度
評価関数を示した図である。
【図24】実施例の操業実績を示した図である。
【図25】装入物分布制御と炉内状況を示した図であ
る。
【図26】MAの設置状況を示した図である。
【符号の説明】 10 高炉 20 プロセスコンピュータ 30 知識処置コンピュータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉操業に関する知識を知識ベースとし
    て登録・修正する手段と、 高炉に設置された各種センサからデータを所定の周期で
    プロセスコンピュータに取込む手段と、 取込んだデータに含まれるノイズを除去する手段と、 操業経験やモデル実験で得られた知識ベースをもとにノ
    イズを除去したデータをセンサ別に中心流、周辺流及び
    局所流に関するガス流の強度と推移傾向として推論する
    手段と、 その推論結果を装入待や減風などに関する情報とガス流
    に関する知識ベースをもとにガス流の強度と推移傾向と
    して合成する手段と、 合成結果をその時の操業状況と操業方針より装入物分布
    のアクション手段を決定し、ムーバブルアーマ(以下M
    Aと称す)アクション決定マトリックス、ストックライ
    ン(以下SLと称す)アクション決定マトリックス、鉱
    石ベースアクション決定マトリックス、細粒原料使用量
    変更アクション決定マトリックス、及び時系列排出速度
    アクション決定マトリックスのいずれかに当てはめてア
    クション量を決定する手段と、 前記アクション量をプログラムブルコントローラ(以下
    PLCと称す)に送信して装入物分布を自動制御させる
    手段とを有する高炉装入物分布制御装置。
  2. 【請求項2】 装入物分布のアクション履歴や送風圧力
    の変更、炉内残銑量など一過性の要因を加味したり、配
    合変更など未来の事象を先取りして前記アクション量を
    補正する手段を有する請求項1記載の高炉装入物分布制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記装入物分布のアクション量をオペレ
    ータにガイダンスする手段を有する請求項2記載の高炉
    装入物分布制御装置。
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