JPH059737U - 鋳造用溶湯フイルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶湯中のノロ、滓、介在物等を完全に除去で
き、溶湯成分を汚染するおそれがなく、溶湯の凝固後に
は容易に分離させることができる鋳造用溶湯フィルタを
提供すること。 【構成】 セラミックス製の溶湯フィルタ本体２をその
外周部と湯道壁面３との間に耐熱緩衝材４を充填して固
定する。耐熱緩衝材４は熱膨張性のものが好ましい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は金属あるいは合金の鋳造作業において、溶湯中のノロ、滓、介在物等 の非金属不純物の除去のために使用される鋳造用溶湯フィルタに関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

鋳造用の湯道系の内部にフィルタを設置して溶湯中のノロ、滓、介在物等の非 金属不純物の除去することは、従来から広く行われている。特にアルミニウムや アルミニウム合金等の鋳造においては、主として金網が溶湯フィルタとして使用 されている。 このような溶湯フィルタは鋳造後に湯道部に包まれたままリサイクル溶融に回 されるが、金網製の溶湯フィルタをアルミニウムやアルミニウム合金等から分離 することは難しく、また金網の鉄分によるアルミニウムやアルミニウム合金等の 汚染が問題となっている。

【０００３】 また最近では溶湯成分を汚染するおそれのないセラミックス製の溶湯フィルタ が開発されている。しかしこのようなセラミックス製の溶湯フィルタは、砂型の 内部に埋め込んで使用することはできるものの、脆性材料であって弾力性に欠け るために金型鋳造を行うような場合に剛体である金型内部にうまく固定すること ができず、溶湯フィルタの周囲から溶湯が侵入したり、溶湯フィルタが移動した りするために鋳造用の湯道系の内部に設置することはできなかった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記したような従来の問題点を解消して、剛性材料からなる湯道の内 部に確実に固定することができ、溶湯中のノロ、滓、介在物等を除去することが できるとともに、溶湯成分を汚染するおそれがなく、しかも溶湯の凝固後に容易 に分離させることができる鋳造用溶湯フィルタを提供するために完成されたもの である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するためになされた本考案は、金属あるいは合金鋳造用の湯 道系の内部に、セラミックス製の溶湯フィルタ本体を、その外周部と湯道壁面と の間に耐熱緩衝材を充填した状態で固定したことを特徴とするものである。

【０００６】

【実施例】

以下に本考案を図示の実施例によって更に詳細に説明する。 図１は本考案をアルミニウム溶湯の金型鋳造に適用した第１の実施例を示すも のであって、１は湯道、２はその内部に固定されたセラミックス製の溶湯フィル タ本体である。本実施例の溶湯フィルタ本体２はセラミックハニカム構造体から なるものであるが、セラミックフォーム等からなるものとしてもよい。

【０００７】 このセラミックス製の溶湯フィルタ本体２の外周部と湯道壁面３との間には耐 熱緩衝材４が充填されており、本考案ではこの耐熱緩衝材４によってセラミック ス製の溶湯フィルタ本体２を固定している。耐熱緩衝材４としてはシリカ系、シ リカ・アルミナ系等のセラミックファイバーを使用することができるが、これら に熱膨張性を持たせるために、雲母系、蛭石系等の熱膨張性の充填材を混合させ たものを使用することが好ましい。本実施例では耐熱緩衝材４として、シリカ系 セラミックファイバーとシリカ系充填材の入った３〜５ｍｍの厚さの耐火シート が用いられ、この耐熱緩衝材４は予めセラミックス製の溶湯フィルタ本体２の外 周部に水ガラス系の接着材５により合着されている。

【０００８】 このような鋳造用溶湯フィルタを図２に示す押し込み治具６によって湯道１の 内部の一定位置に挿入した。 ここで用いた押し込み治具６はステンレススチールのような金属板からなるも のであり、上端部に取手７を備え外周には鍔８を備えている。またその下方部に は多数のスリット９を形成して弾力性を与えるとともに、下端を内側に折り曲げ て鋳造用溶湯フィルタの保持部10を形成してある。保持部10としては例えば粘着 剤を利用して鋳造用溶湯フィルタを保持させる粘着型ピックアップや、ブラシ状 の突起により鋳造用溶湯フィルタを保持させるブラシ型ピックアップとすること ができる。この保持部10に鋳造用溶湯フィルタを保持させ、鍔８を利用して湯道 １の内部の一定深さまで鋳造用溶湯フィルタを押し込むことができる。

【０００９】 このようにして鋳造用溶湯フィルタを湯道１の内部の一定位置に挿入し、鋳造 用溶湯フィルタの外周部の接着材５を乾燥させたうえでアルミニウム溶湯を注入 して介在物の除去を行わせた。本考案のセラミックス製の溶湯フィルタ本体２の 周囲は耐熱緩衝材４により包まれており、鋳型の持っている余熱温度により耐熱 緩衝材４が膨張して溶湯フィルタ本体２を確実に湯道壁面３に固定することとな る。このように本考案のセラミックス製の溶湯フィルタ本体２の周囲は完全にシ ールされているので溶湯の洩れがなく、また溶湯流によって溶湯フィルタ本体２ が動いたり傾いたりすることもないので、完全な濾過を行うことができ、ノロ、 滓、介在物のない健全な鋳物を得ることができた。

【００１０】 図３は本考案をアルミニウム合金の低圧鋳造に適用した第２の実施例を示すも のである。この実施例では湯口壁面３に段部６を形成して溶湯フィルタ本体２が 下方からの溶湯流により浮き上がることをより確実に防止している。またこの実 施例では耐熱緩衝材４として蛭石系充填材の入った１〜３ｍｍの厚さの耐火シー トが使用され、セラミックセメント系の接着材５により固定されている。 この実施例のものも、前記の実施例と同様に完全なフィルター機能を発揮し、 ノロ、滓、介在物のない健全な鋳物を得ることができた。

【００１１】 またいずれの実施例の溶湯フィルタ本体２も、セラミック製のものであるから 溶湯凝固後は型から容易に分離することができ、また溶湯からの分離も容易に行 うことができる。しかもアルミニウムやアルミニウム合金の溶湯を汚染すること がないので、湯口部分の凝固物をリサイクル溶融にまわした場合にも全く支障の ないものである。 なお、本考案の鋳造用溶湯フィルタはアルミニウムやアルミニウム合金の鋳造 以外にも使用できることはいうまでもないことである。

【００１２】

【考案の効果】

以上に詳細に説明したように、本考案の鋳造用溶湯フィルタはセラミックス製 の溶湯フィルタ本体を剛性材料からなる湯道の内部に耐熱緩衝材により固定した ものであるから、溶湯流によって移動することもなく溶湯中のノロ、滓、介在物 等を除去して健全な鋳物を得ることができる。しかも本考案の鋳造用溶湯フィル タは溶湯成分を汚染するおそれがなく、溶湯の凝固後には容易に分離させること ができる。よって本考案は従来の問題点を解消したものとして、その実用的価値 は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例を示す断面図である。

【図２】実施例に用いた押し込み治具の一部切欠斜視図
である。

【図３】本考案の第２の実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 湯道 ２ セラミックス製の溶湯フィルタ本体 ３ 湯道内面 ４ 耐熱緩衝材 ５ 接着材 ６ 押し込み治具

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ０１Ｄ 39/20 Ｄ 9263−4Ｄ Ｂ２２Ｄ 43/00 Ｃ 7819−4Ｅ

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 金属あるいは合金鋳造用の湯道系の内部
   に、セラミックス製の溶湯フィルタ本体を、その外周部
   と湯道壁面との間に耐熱緩衝材を充填した状態で固定し
   たことを特徴とする鋳造用溶湯フィルタ。