JPH0596610A - 中空成形品の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】汎用の単層ブロー成形機を使い、一工程で外観
が良好で且つ均質な２層中空成形品を製造する方法を提
供する。 【構成】ダイヘッド２から押し出されるパリソン５の表
面に所望の材質からなる粉体７ａを付着させたのち、金
型を閉じてブロー成形する中空成形品の製造方法におい
て、前記ダイヘッド２と金型の中間に位置し、パリソン
７ａの周面を囲んで形成されたほぼ密閉状態にある空間
８内に前記粉体を飛散状態で供給し、パリソン表面に粉
体７ａを均一に付着させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一度のブロー成形で製
品表面に同質または異質の材料層を形成する２層構造を
有する中空成形品を製造する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の一般的な単層構造からなるダイヘ
ッドを備えたブロー成形機では、一度のブロー成形によ
って同時に２層の中空成形品を得ることができない。そ
のため、前記ブロー成形機を使って２層の中空成形品を
得ようとするときは、ブロー成形後に別工程を設けて別
途多層構造に形成する必要がある。従って、生産効率が
低いばかりでなくコストの高騰につながる。

【０００３】こうした不具合を解消するために開発され
たものに、例えば特開昭５９−１５０７３２号公報や特
公昭５９−１７９３８号公報等に開示された技術があ
る。これらの技術は、ダイヘッドと金型との中間にパリ
ソンを囲むリング状の粉体放射ノズルを設置し、ダイヘ
ッドから押し出され溶融状態にあるパリソンに粉体を直
接吹き付けて、その表面に粉体を付着させた後、金型に
導いてブロー成形するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記公報に
開示された従来方法は全て粉体を直接パリソンに吹き付
けるものであるため、溶融状態にあるパリソンは前記粉
体の吹付け圧力及び粉体による衝撃により、パリソン表
面が変形して波打ち状態となりやすく、その波打ち状態
のまま金型に導入されてブロー成形がなされてしまう。
このブロー成形時には、パリソンは周面の一部が折り重
なった状態で金型のキャビティ面に密着されるため、成
形後の製品表面にウエルドラインが発生するという欠点
がある。

【０００５】また、上記粉体の吹付け部は周辺が開放さ
れているため、粉体の飛散が激しく周辺環境の悪化を招
きやすく、更には周囲の雰囲気に影響されやすく粉体の
吹付けも均一になされ難い。そのため、上記不都合に加
えて益々不良製品が多くなりやすい。

【０００６】本発明は、従来技術がもつ上記不具合を解
消すべく鋭意研究した結果、開発されたものであり、そ
の目的は汎用の単層ブロー成形機を使って効率的で且つ
均質な２層中空成形品を一挙に製造する方法を提供する
ことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の構成はダイヘッドから押し出されるパリソ
ンの表面に所望の材質からなる粉体を付着させたのち、
金型を閉じてブロー成形する中空成形品の製造方法にお
いて、前記ダイヘッドと金型の中間に位置し、パリソン
の周面を囲んで形成されたほぼ密閉状態にある空間内に
前記粉体を飛散状態で供給し、パリソン表面に粉体を均
一に付着させることを特徴としている。

【０００８】

【作用】ダイヘッドからは溶融状のパリソンが、その表
面と粉体供給部との間に形成される空間内を上方から下
方へと押し出される。

【０００９】粉体供給部に導入される圧縮空気は整流手
段により所定の圧力と求心方向の流れに制御され、粉体
供給部内に貯溜されている粉体を同供給部の内部で舞い
上がらせる。前記粉体は、例えば上記パリソンの素材よ
り低融点の各種樹脂材料や塗料からなる粉体、或いは所
望の粒度をもつ高融点の樹脂やセラミック、金属などの
無機物からなる。

【００１０】上述のようにして粉体貯溜部内で舞い上が
った粉体の一部は粉体飛散手段により飛散されながら粉
体貯溜部の粉体吹出し口から上記空間に吹き出して飛散
させ、一部は同粉体貯溜部内を浮遊しながら落下して再
び舞い上がり前記粉体飛散手段により前記空間内へと吹
き出されて飛散する。

【００１１】このとき、上述のように前記空間内には溶
融パリソンが上方から下方へと走行しているため、同空
間内に飛散する粉体は溶融パリソンを何ら変形させるこ
となくその表面に順次付着する。

【００１２】溶融パリソンの表面に付着した粉体は溶融
し又は粉体のままで粉体付着部の下端部に到達すると、
そこで過剰な粉体が除去され肉厚を均一にならされる。
このとき除去された粉体は上記空間内の空気流により再
び粉体付着部内を舞い上がり、溶融パリソンの後続部分
の表面に何らの衝撃を与えることなく付着する。

【００１３】粉体付着部から空間への粉体吹出量は、同
装置への圧縮空気の供給量や内部の例えば空気案内部
材、粉体飛散部材などの配置、形状を変更することによ
り所望の値とすることができる。

【００１４】粉体付着部を通過した表面に粉体（溶融
層）が付着された溶融パリソンは、続いて金型部に導入
され、通常のブロー成形がなされると所望の形状をもつ
２層の中空成形品が得られる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の代表的な実施例を添付図面を
参照しながら具体的に説明する。図１は本発明方法によ
るパリソン表面への粉体付着機構の説明図、図２は本発
明方法を実施するに好適なブロー成形機例の要部構成
図、図３は同機に装備された粉体付着装置例の構造説明
図、図４は本発明方法により製造される成形製品の一例
を示す一部切断斜視図である。

【００１６】本発明に適用される粉体付着装置１は、図
３に示すようにダイヘッド２と金型３の間に配され、図
示例ではダイヘッド２の下部側面から垂下するブラケッ
ト４により懸垂支持されている。粉体付着装置１の代表
的な構造例を図２に基づいて説明すると、粉体付着装置
１の全体構造は整流部材１０を介して半径方向に２室に
区画された円環状の中空体であり、外周側の一室は圧縮
空気の流路１１、内周側の一室は粉体貯溜室１２をなし
ている。前記空気流路１１には外部の図示せぬ圧縮空気
供給源に接続するパイプ１３の一端が開口しており、同
パイプ１３から供給される圧縮空気が流路１１内を通っ
て、前記整流部材１０により整流されて前記粉体貯溜室
１２に流入する。前記整流部材１０は流路１１内の圧縮
空気を所定の吹出し力で粉体貯溜室１２の底部に向けて
一方向に流れるように制御する機能を備えていれば格別
の制限はないが、本実施例では平織物を使用している。

【００１７】前記粉体貯溜室１２の底部１４は、前記空
気流路１１から斜め下方に突出する外壁１４ａと粉体付
着装置１の垂直な内周壁１４ｂが下端で略交差する外形
を有している。同粉体貯溜室１２内の上部には前記整流
部材１０の空気吹出し面から所定の間隔をおいて前記外
壁１４ａの傾斜角度より勾配の大きい庇状の空気流案内
部材１５が連続的に垂設され、前記内周壁１４ｂの中間
部には同一円周上に粉体吹出し口１６が開口すると共
に、その上部開口縁１６ａからは所定の勾配をもつ下傾
斜の粉体飛散部材１７が同開口縁１６ａに沿って室内方
向に突設されている。また、前記内周壁１４ｂの下端か
らは連続舌片状の環状弾性部材１８が中心に向けて突設
されている。前記内周壁１４ｂの径はダイヘッド２から
押し出される溶融パリソン５の外径より大きく設定され
る。

【００１８】かかる構成からなる粉体付着装置１を装備
したブロー成形機により２層の中空成形品を製造する本
発明方法を図１に基づいて説明すると、ダイヘッド２か
らは溶融状のパリソン５が粉体付着装置１の内周壁１４
ｂとの間に所定の間隔をおいて上方から下方へと押し出
される。

【００１９】一方、パイプ１３を通って空気流路１１に
噴出された乱流空気流６ａは整流部材１０により所定の
圧力と求心方向の流れに制御され粉体貯溜室１２に流れ
込む。こうして粉体貯溜室１２に流れ込んだ空気流６ｂ
は上部の空気案内部材１５により更にその方向が制御さ
れて同室１２の底部１４に集まる。

【００２０】粉体貯溜室１２の底部１４には溶融パリソ
ン５の表面に付着させるための粉体７ａ、例えば同パリ
ソン５の素材より低融点の各種樹脂材料や塗料からなる
粉体、或いは所望の粒度をもつ高融点の樹脂やセラミッ
ク、金属などの無機物からなる粉体が貯蔵されている。

【００２１】上述のようにして粉体貯溜室１２の底部１
４に向けて導入される空気６は前記粉体７ａを同室内で
上方に舞い上がらせるが、その一部は上記粉体飛散部材
１７に衝突して反射し、内周壁１４ｂに形成されている
上記粉体吹出し口１６から外部に吹き出して溶融パリソ
ン５と粉体付着装置１の内周壁１４ｂとの間に形成され
ている空間８内で飛散させ、一部は同室内を浮遊しなが
ら落下して再び舞い上がり前記粉体飛散部材１７に衝突
しながら前記空間８内へと吹き出されて飛散する。

【００２２】このとき、前記空間８内には溶融パリソン
５が上方から下方へと走行するため、同空間８内の空気
流は同じく上方から下方へと流れる。本実施例では、粉
体付着装置１の溶融パリソン５の上部入口径をパリソン
径よりも僅かに大きく設定してあり、同入口には外部か
ら空気が導入されるため空間８内の粉体７ａは外部に逃
散することがなくなるばかりでなく、同時に粉体付着装
置１の内部から吹き出される空気６ｂの流れを乱し、粉
体７ａの飛散を均整化している。

【００２３】こうして均整化されて空間８内を飛散する
粉体７ａは、上方から下方へと移動する溶融パリソン５
の表面に付着して溶融し又は粉体のままで粉体付着装置
１の下端部に到達し、そこで環状弾性部材１８により過
剰な粉体７ａは除去され肉厚が均一にならされる。この
とき除去された粉体７ａは空間８内の空気流により再び
内部を舞い上がり、溶融パリソン５の後続部分の表面に
付着する。

【００２４】粉体付着装置１から空間８への粉体吹出量
は、同装置１への圧縮空気の供給量や内部の例えば空気
案内部材１５、粉体飛散部材１７等の配置や形状を変更
することにより所望の値とすることができる。

【００２５】粉体付着装置１から導出された表面に粉体
（溶融層）７ａを付着した溶融パリソン９は、続いて金
型３内に導入され、金型３を閉じて通常のブロー成形が
なされると図４に示すような所望の形状をもつ２層の中
空成形品が得られる。

【００２６】図４に示す中空成形品は、表面層７ｂが溶
融されて平滑面である例えばグローブボックスリッド、
モールなどの車両用内外装品を例としているが、溶融パ
リソン５の表面に付着する粉体７ａが原形を止めたまま
で成形される場合もある。

【００２７】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
方法によれば、単層のブロー成形機に簡単な装置を付設
させるだけでパリソン表面に変形を生じさせることなく
粉体を付着させることができ、従って表面の外観を損な
うことのない良質な２層構造の中空成形品を一工程で製
造することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法によるパリソン表面への粉体付着機
構を示す機能説明図である。

【図２】同成形機に敷設される粉体付着装置例の構造を
示す切断部分図である。

【図３】本発明方法を実施するに好適なブロー成形機の
一例を示す要部外観図である。

【図４】本発明方法により製造される中空成形品例を一
部切断して示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 粉体付着装置 ２ ダイヘッド ３ 金型 ４ ブラケット ５ 溶融パリソン ６ａ，６ｂ 空気流 ７ａ 粉体 ７ｂ 表面層 ８ 空間 ９ （粉体を付着した）溶融パリソン １０ 整流部材 １１ 空気流路 １２ 粉体貯溜室 １３ パイプ １４ 底部 １４ａ 外周壁 １４ｂ 内周壁 １５ 空気案内部材 １６ 粉体吹出し口 １７ 粉体飛散部材 １８ 環状弾性部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイヘッドから押し出されるパリソンの
   表面に所望の材質からなる粉体を付着させたのち、金型
   を閉じてブロー成形する中空成形品の製造方法におい
   て、前記ダイヘッドと金型の中間に位置し、パリソンの
   周面を囲んで形成されたほぼ密閉状態にある空間内に前
   記粉体を飛散状態で供給し、パリソン表面に粉体を均一
   に付着させることを特徴とする中空成形品の製造方法。